JP4766431B2 - 自動車のインストルメントパネル機器取付構造 - Google Patents

Description

本発明は、インストルメントパネル内に組み込まれるオーディオ機器やナビゲーション機器等の各種機器のパネル周囲に化粧パネルを備えたインストルメントパネル機器取付構造に係り、特に化粧パネルの建付け安定化構造に関するものである。

従来、自動車のインストルメントパネル内に対して、例えばオーディオ機器は、図６に示すように取り付けられる。オーディオ機器１は、自動車の車体２に固定されたインストルメントパネル支持部材３に、その側面に設けられた孔１ｄがインストルメントパネルロア５ｂの取付部４を介して取り付けられることで、固定保持されている。
そのため、オーディオ機器１は、インストルメントパネル５を構成するインストルメントパネルアッパ５ａとインストルメントパネルロア５ｂとで画成される開口内に収まり、その表面のパネル１ａが外部から視認・操作される。

そして、インストルメントパネルアッパ５ａとオーディオ機器１との隙間５ｃを塞ぐように、オーディオ機器１の周縁に沿って所謂オーディオ化粧パネル６が装着される。これにより見かけ上、オーディオ機器１の表面のパネル１ａがオーディオ化粧パネル６の表面と面一となり、隙間が生じない。

ところで、前述したオーディオ機器取付構造において、オーディオ機器１は、インストルメントパネルロア５ｂ及びインストルメントパネル支持部材３を介して車体２側に取り付けられるため、オーディオ機器１の取付精度は、図７に示すように、車体２、インストルメントパネル（図７では、これをＩＰと略記している。）支持部材３及びインストルメントパネルロア５ｂの取付精度に依存することになる。一方、オーディオ化粧パネル６は、インストルメントパネルアッパ５ａに取り付けられ、インストルメントパネルアッパ５ａはインストルメントパネルロア５ｂ及びインストルメントパネル支持部材３を介して車体２側に連絡しているため、オーディオ化粧パネル６の取付精度は、車体２、インストルメントパネル支持部材３、インストルメントパネルロア５ｂ及びインストルメントパネルアッパ５ａの取付精度に依存することになる。

このように、オーディオ化粧パネル６のオーディオ機器１に対する建付け精度は、複数の部品の取付精度に依存するため、オーディオ機器１がオーディオ化粧パネル６に対して図６に矢印Ｙで示す上下方向やこれに垂直な左右方向にずれて隙間が生じたり、あるいは図６に矢印Ｚで示す前後方向にずれることでオーディオ機器１の表面のパネル１ａとオーディオ化粧パネル６の表面とが面一にならず、建付け品質が不安定となり、外観見栄えが損なわれてしまうことがあった。

本発明は以上の点に鑑み、簡単な構成により、各種機器に対する化粧パネルの建付け品質を向上させるようにした自動車のインストルメントパネル機器取付構造を提供することを目的としている。

上記目的を達成するため、本発明のインストルメントパネル機器取付構造は、オーディオ機器等の機器を、インストルメントパネルの開口内に収まるように車体に固定されたインストルメントパネル支持部材に取り付けると共に、インストルメントパネルの開口と機器の周縁との間隙を化粧パネルにより覆うようにした自動車のインストルメントパネル機器取付構造であって、化粧パネルが、機器のパネル周囲に装着され機器と係合する第一の部材と、この第一の部材と機器との間に設けられ上記インストルメントパネルの開口周縁に係合する第二の部材と、から構成されていることを特徴とする。

第一の部材と第二の部材とは、それぞれ機器とインストルメントパネルの開口周縁とに係合するための係合部を有し、第二の部材は、第一の部材の係合部が挿通されるための切欠きを有することが望ましい。

上記構成によれば、化粧パネルの一部、即ち第一の部材が、機器のパネル周囲に装着されることにより、機器のパネル周縁と化粧パネルとが互いに密着して面一になると共に、第二の部材がインストルメントパネルの開口周囲に確実に当接し、第一の部材と第二の部材との間でズレを吸収し得るので、機器とインストルメントパネルとの間に前後方向の位置精度のバラツキがあったとしても、インストルメントパネルの開口周囲と化粧パネルとの間に隙間が生じない。

さらに、第二の部材が、第一の部材の係合部が挿通されるための隙間を有することにより、この隙間の範囲で第二の部分が第一の部材に対して前後上下左右方向に移動調整可能となり、機器とインストルメントパネルとの間に位置精度のバラツキがあったとしても、インストルメントパネルの開口周囲と化粧パネルとの間に隙間が生じない。

このようにして本発明によれば、簡単な構成で各種機器に対する化粧パネルの建付け品質を向上させるようにした、自動車のインストルメントパネル機器取付構造を提供することができる。

以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図１及び図２は、本発明に係る自動車のインストルメントパネル機器取付構造の一実施形態の構成を示す分解斜視図である。また、図３及び図４は、これらを組み付けて破断した図である。
自動車のインストルメントパネル機器取付構造１０において、オーディオ機器１１は、図２に示すように、自動車の車体１２に固定されたインストルメントパネル支持部材１３の取付穴１３ａに、オーディオ機器１１の孔１１ｄとインストルメントパネルロア１５ｂの孔１５ｄとを挿通するボルトＢにより取り付けられ固定保持されている。

これにより、オーディオ機器１１は、インストルメントパネル１５を構成するインストルメントパネルアッパ１５ａとインストルメントパネルロア１５ｂとで画成される開口内に収まり、その表面のパネル１１ａが外部から視認・操作され得るようになっている。
そして、インストルメントパネルアッパ１５ａとオーディオ機器１１との隙間を塞ぐように、オーディオ機器１１のパネル１１ａの周縁に沿って、所謂オーディオ化粧パネル２０が装着される。

以上の構成は、図６に示した従来の自動車のインストルメントパネル機器取付構造と同様の構成であるが、本発明による自動車のインストルメントパネル機器取付構造１０においては以下の点で異なる構成になっている。
即ち、オーディオ化粧パネル２０は、例えば樹脂のようなある程度の弾性を有する素材より成形されており、前後方向（図１及び図２の矢印Ｚ方向）に、二つの部材、即ち第一の部材としての化粧パネルアウタ２１と、第二の部材としての化粧パネルインナ２２とに分割されている。

より詳細には、化粧パネルアウタ２１は、オーディオ機器１１の周縁を覆うように額縁状に形成され、表面は、内側がオーディオ機器１１のパネル１１ａと面一であり、外縁が内縁よりインストルメントパネル１５寄りになるよう傾斜している。また、その周縁に沿って設けられた複数のツメ２１ａによりオーディオ機器１１周縁に設けられた複数の係合孔１１ｂに係合し、オーディオ機器１１のパネル１１ａの周縁に隙間なく固定保持されるようになっている。

化粧パネルインナ２２は、化粧パネルアウタ２１とオーディオ機器１１との間に、オーディオ機器１１の周縁を覆うように額縁状に設けられ、表面は、外縁が内縁よりインストルメントパネル１５寄りになるよう傾斜している。その周縁に沿って設けられた複数のツメ２２ａはインストルメントパネルアッパ１５ａ及びインストルメントパネルロア１５ｂの開口周縁に設けられた複数の係合孔１５ｃに係合する。上記複数のツメ２２ａ同士の間には、化粧パネルアウタ２１のツメ２１ａが挿通されるための切欠き２２ｂが設けられる。この切欠き２２ｂは、ツメ２１ａが前後方向（図１及び図２にて矢印Ｚで示す方向）のみならず上下左右方向（図１及び図２にて矢印Ｙ，Ｘで示す方向）にも移動可能な程度に、ツメ２１ａ周辺に空間を形成する。すなわち、化粧パネルインナ２２が化粧パネルアウタ２１に対して遊びを有することにより、化粧パネルアウタ２１の動きは化粧パネルインナ２２に規制されることなく、互いに前後方向及び上下左右方向に移動可能に構成されている。このため、オーディオ化粧パネル２０の化粧パネルアウタ２１と化粧パネルインナ２２とは相互に前後上下左右方向の移動調整ができ、オーディオ機器１１のインストルメントパネル１５の開口に対する位置決めのバラツキが吸収される。

また、オーディオ機器１１の周縁に設けられた複数の係合孔１１ｂ同士の間には、化粧パネルインナ２２のツメ２２ａが挿通されるための切欠き１１ｃが設けられる。この切欠き１１ｃは、ツメ２２ａが前後方向のみならず上下左右方向にも移動可能な程度に、ツメ２２ａ周辺に空間を形成する。すなわち、オーディオ機器１１が化粧パネルインナ２２に対して遊びを有することにより、化粧パネルインナ２２の動きはオーディオ機器１１に規制されることなく、互いに前後方向（図２にて矢印Ｚで示す方向）及び上下左右方向（図１及び図２にて矢印Ｙ，Ｘで示す方向）に移動可能に構成されている。

以上のように、化粧パネルアウタ２１はオーディオ機器１１に係合して密着するので、これらの間に隙間は生じず、同時にオーディオ機器１１のパネル１１ａと化粧パネルアウタの表面とは面一となる。一方、化粧パネルインナ２２はインストルメントパネルアッパ１５ａとインストルメントパネルロア１５ｂとに係合し、その開口周縁に密着するため、これらの間に隙間は生じない。さらに、化粧パネルアウタ２１はその周縁部分の傾斜により化粧パネルインナに多少の隙間Ｓを介して覆い被さっているのみであって係合関係になく、また、上述のように化粧パネルアウタ２１は切欠き２２ｂに挿通されることにより化粧パネルインナ２２による干渉を受けず、化粧パネルインナ２２は切欠き１１ｃに挿通されることによりオーディオ機器１１による干渉を受けないため、化粧パネルアウタ２１は化粧パネルインナ２２に対し一定の範囲で前後上下左右方向にずれることができ、その場合でも、化粧パネルアウタ２１と化粧パネルインナ２２との間の隙間Ｓは乗員から見えにくく、外観に影響が少ない。

以上の作用につき、図５に示す概念図を参照して説明する。
化粧パネルアウタ２１の取付精度は、車体１２，インストルメントパネル支持部材１３，インストルメントパネルロア１５ｂ及びオーディオ機器１１の取付精度に依存する。
また、化粧パネルインナ２２の位置精度は、車体１２，インストルメントパネル支持部材１３，インストルメントパネルロア１５ｂ及びインストルメントパネルアッパ１５ａの取付精度に依存する。ここで、化粧パネルアウタ２１と化粧パネルインナ２２との間は上述のように隙間Ｓが生じても乗員から見えにくく、外観に影響が少ない。

従って、オーディオ機器１１のインストルメントパネル１５の開口に対する位置精度のバラツキは化粧パネルアウタ２１と化粧パネルインナ２２との間で吸収されることになり、オーディオ化粧パネル２０の建付け精度が向上し、安定した建付け品質が得られる。
これにより、オーディオ機器１１のパネル１１ａとインストルメントパネル１５の開口との間に多少の位置ずれがあったとしても、外観見栄えに影響がない。

上述した実施形態においては、インストルメントパネル１５の開口内にオーディオ機器１１を取り付ける場合について説明したが、これに限らず、ナビゲーション機器や各種マルチディスプレイ装置等の各種機器を取り付ける場合についても本発明を適用し得ることは明らかである。
また、オーディオ化粧パネル２０は、オーディオ機器１１の全周に沿って外縁状に形成されず、例えば下縁を除く外縁にのみ形成されていてもよい。

さらに、上述した実施形態においては、オーディオ化粧パネル２０の化粧パネルインナ２２は、化粧パネルアウタ２１のツメ２１ａが前後方向のみならず上下左右方向にも移動可能な程度に、ツメ２１ａ周辺に空間を形成した切欠き２２ｂを備えているが、上下左右方向に移動し得ない程度の空間を形成した切欠きを有していてもよい。この場合、オーディオ機器１１のインストルメントパネル１５の開口１５ｃに対する前後方向の位置ずれのみが吸収され得ることになる。

以上述べたように、本発明によれば、簡単な構成で各種機器に対する化粧パネルの建付け品質を向上させるようにした、極めて優れた自動車のインストルメントパネル機器取付構造が提供される。

本発明による自動車のインストルメントパネル機器取付構造の一実施形態の構成を示す分解斜視図である。 本発明による自動車のインストルメントパネル機器取付構造の一実施形態の構成を示す分解斜視図である。 図１の自動車のインストルメントパネル機器取付構造を矢印Ｘ方向に矢視した断面図である。 図１の自動車のインストルメントパネル機器取付構造を矢印Ｙ方向に矢視した断面図である。 図１の自動車のインストルメントパネル機器取付構造におけるオーディオ機器の支持状態を示す概念図である。 従来の自動車のインストルメントパネル機器取付構造の一例の構成を示す概略断面図である。 図５の自動車のインストルメントパネル機器取付構造におけるオーディオ機器の支持状態を示す概念図である。

符号の説明

１０ インストルメントパネル機器取付構造
１１ オーディオ機器
１１ａ パネル
１１ｂ 係合部
１１ｃ 切欠き
１２ 車体
１３ インストルメントパネル支持部材
１４ 取付具
１５ インストルメントパネル
１５ａ インストルメントパネルアッパ
１５ｂ インストルメントパネルロア
２０ オーディオ化粧パネル
２１ 化粧パネルアウタ
２１ａ ツメ
２２ 化粧パネルインナ
２２ａ ツメ
２２ｂ 切欠き

Claims (2)

1. オーディオ機器等の機器を、インストルメントパネルの開口内に収まるように車体に固定されたインストルメントパネル支持部材に取り付けると共に、上記インストルメントパネルの開口と上記機器の周縁との間隙を化粧パネルにより覆うようにした、自動車のインストルメントパネル機器取付構造であって、
   上記化粧パネルは、上記機器のパネル周囲に装着され上記機器と係合する第一の部材と、この第一の部材と上記機器との間に設けられ上記インストルメントパネルの開口周縁に係合する第二の部材と、から構成されていることを特徴とする、自動車のインストルメントパネル機器取付構造。
2. 前記第一の部材及び前記第二の部材はそれぞれ前記機器と前記インストルメントパネルの開口周縁とに係合するための係合部を有し、前記第二の部材は前記第一の部材の上記係合部が挿通されるための切欠きを有することを特徴とする、請求項１に記載の自動車のインストルメントパネル機器取付構造。

Images