JP4764842B2 - チタン酸ナノシート分散液 - Google Patents
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Description
この方法は、具体的には、まずCs2CO3:TiO2(モル比)=1:5.2の混合粉末を800℃で20時間焼成して、レピドクロサイト型層状チタン酸であるCs0.7Ti1.825□0.175O4(□は空孔)を合成し、この粉末を1モル/L程度の塩酸水溶液中で撹拌することで、層状構造を維持したまま、層間のCsイオンを全て水素イオンに入れ換えて、H0.7Ti1.825□0.175O4・H2Oの組成をもつ水素型物質に誘導する。次いで、これに塩基物質であるテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを含む溶液を作用させ、層間に上記塩基物質をインターカレート、更に層剥離させることにより、チタン酸ナノシート分散液を得る方法である。
しかしながら、この方法では、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン類を水素イオン濃度と等量以上(N/Tiモル比0.37以上)添加する必要があり、得られるチタン酸ナノシート分散液中には大量のアミン類が共存しており、アミン類の混入が許容できない用途には利用できない。
これらの大量のアミン類を共存するチタン酸ナノシート分散液は、経時により着色したり、また例えば、ポリエステル系樹脂に配合した場合、樹脂の分解や着色を引き起こす等の問題が生じ、汎用性に乏しい。
従来の技術では、アミン類量が少なく、透明性に優れたチタン酸ナノシート分散液を得ることはできなかった。
すなわち、本発明は次の(1)及び(2)を提供する。
(1)N/Tiモル比が0.2を超えるアミン類含有チタン酸ナノシート分散液とアルコキシシランの酸加水分解物とを混合後、アミン類を除去して得られる、N/Tiモル比が0.2以下であるチタン酸ナノシート分散液。
(2)N/Tiモル比が0.2を超えるアミン類含有チタン酸ナノシート分散液とアルコキシシランの酸加水分解物とを混合後、アミン類を除去する工程を含む、N/Tiモル比が0.2以下であるチタン酸ナノシート分散液の製造方法。
本発明のN/Tiモル比が0.2以下であるチタン酸ナノシート分散液(以下、単に「本分散液」ということがある)は、N/Tiモル比が0.2を超えるアミン類含有チタン酸ナノシート分散液(以下、単に「原料分散液」ということがある)とアルコキシシランの酸加水分解物とを混合することによって得られる分散液(以下、単に「中間分散液」ということがある)から、溶媒置換等でアミン類を除去することによって得ることができる。
なお、本発明においてN/Tiモル比とは、チタン酸ナノシート分散液又は固体中の、チタン原子当りの窒素原子のモル比を意味し、窒素原子はアミン類に由来する。またSi/Tiモル比とは、チタン酸ナノシート分散液又は固体中のチタン原子当りに含まれるケイ素原子のモル比を意味し、ケイ素原子はアルコキシシランに由来する。
本明細書において「透明性に優れる」及び「流動性を有する」とは、下記のとおり定義される。
「透明性に優れる」とは、分散液の濁度が30%以下であることをいう。なお、濁度はJIS K−0101規定の方法により求めることができる。
「流動性を有する」とは、本発明では、B型粘度計を用いて、60rpmで30秒回転後の25℃での粘度が5000mPa・s以下であることをいう。なお粘度測定に用いる粘度計のローター番号は、測定粘度に適したものが用いられる。
通常、チタン酸ナノシートを分散させた溶液において、分散液中のアミン類量が少なくなるとゲル化し易くなり、更に濃縮によりチタン酸ナノシート濃度が高くなってくると液状を保つことができなくなる。しかしながら、本発明によれば、チタン酸ナノシートのTiO2換算濃度が67質量%以上という高濃度でありながら、分散液の粘度を1000mPa・s以下、更には100mPa・s以下の流動性を有するチタン酸ナノシート分散液を調製することができる。なお粘度の下限値は、溶媒粘度以上、例えば1mPa・s以上である。
なお、H2O/Tiモル比とは、チタン原子当りの水分子のモル比を意味する。この水含有量はカールフィッシャー水分計等の常法により求めることができる。
本分散液におけるアミン量は、本分散液の汎用性の観点から、N/Tiモル比で0.2以下であり、好ましくは0.18以下、より好ましくは0.17以下である。また、本分散液におけるSi量は、Si/Tiモル比で、0.001〜10であり、好ましくは0.005〜1、より好ましくは0.01〜0.5、最も好ましくは0.03〜0.3である。
また、本分散液中のSi量は配合したアルコキシシランの量から求めることができるが、分散液から公知の方法で直接測定してもよく、Ti量と同様にICP法や蛍光X線法によって求めることもできる。
本発明でいうチタン酸ナノシートは、チタンを中心として6個の酸素が配位した8面体構造を基本ユニットとし、このユニットが二次元平面状に広がった分子レベルの厚み(nmレベル)を持ったシート構造を有する。このチタン酸ナノシートは、二チタン酸、三チタン酸、四チタン酸、五チタン酸、六チタン酸、レピドクロサイト型等の構造を有するチタン酸ナノシートを包含し、例えば、チタン酸との塩の形態で、後記のアミン類がN/Tiモル比で0.2以下の割合で含まれていると考えられる。
チタン酸ナノシートは、分散液中において、チタン酸ナノシートが1枚ずつばらばらに分散した状態であると推察され、チタン酸ナノシート分散液は、系によっては、チタン酸ナノシートが積層し層を成した状態や、一部凝集したものを含むと考えられる。
アミン類の少ないチタン酸ナノシート分散液(本分散液)の分散媒の主成分は、本分散液の汎用性、保存安定性及びコストの観点から、水溶性の有機溶媒が好ましい。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール等の炭素数1〜8のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3〜10のケトン等の極性有機溶媒が挙げられる。これらの中では、炭素数1〜6のアルコールが好ましく、炭素数1〜3のアルコールがより好ましく、メタノールが特に好ましい。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本分散液、すなわちアミン類の少ないチタン酸ナノシート分散液を製造するにあたり、その原料となるN/Tiモル比が0.2を超えるアミン類含有チタン酸ナノシート分散液(原料分散液)の製造方法につき説明する。
原料分散液は、例えば、チタンアルコキシド及び/又はチタン塩(以下、「チタン源」ということがある)を、アミン類の存在下で、加水分解することにより得ることができる。この場合、アミン類の含水溶液とチタン源を混合させてもよく、アミン類とチタン源の混合液と水を混合させてもよい。また、例えば、チタン源の加水分解により得られた水酸化チタンをアミン類と混合することによっても得ることができる。
チタン源であるチタンアルコキシド及び/又はチタン塩としては、加水分解により水酸化チタンを生成するものが好ましい。ここで、水酸化チタンは、Ti(OH)2、Ti(OH)3、Ti(OH)4又はH4TiO4で表される組成式を有するものを包含する。
チタンアルコキシドとしては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルコキシドを有するチタンアルコキシドが好ましく、具体的には、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中では、特にチタンテトラアルコキシドが好ましく、一般的な入手のし易さ、取り扱い性の観点から、チタンテトライソプロポキシドが好ましい。
チタン塩は、水と混合することにより、又は水との混合後、加熱することにより水酸化チタンを生成するが、その際、更にアルカリを共存させてもよい。水酸化チタンを生成させる際に共存させるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類水酸化物が挙げられる。更にはアンモニアや上記アミン類もアルカリとして使用することができる。これらの中では、入手のし易さ、取り扱い性の観点から、アルカリ金属水酸化物、アンモニア及びアミン類がより好ましい。アルカリの添加量は、チタン塩水溶液のpHが2以上となる量、より好ましくはpHが4以上となる量が好ましい。
なお、チタンとともに、他の元素、例えば、バナジウム、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン等を共存させ、複合化することもできる。
アミン類としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、及び第4級アンモニウム水酸化物からなる群から選ばれる1種以上が用いられるが、好ましくはヒドロキシ基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基又はベンジル基を1〜3個有するアミン類が好ましい。
具体的には、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルオクチルアミン等が好ましく挙げられる。また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の置換アミン類も用いることができる。
これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、チタン酸ナノシート生成の観点から、アミン類濃度9mmol/Lの水溶液におけるpHが9以上であるアミン類が好ましい。
また、原料分散液中のチタン濃度は、本分散液の保存安定性及び使いやすさの観点から、酸化チタン(TiO2)換算で0.01〜15質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.05〜5質量%が更に好ましい。
なお、保存安定性及びコストの観点から、原料分散液のpH値は、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、最も好ましくは9以上であり、アミンの除去性を考慮した場合、原料分散液のpH値は13以下が好ましい。なお本発明のpH値は、常法に従い、例えばpHメーターを用いて25℃にて測定する。
チタン源の加水分解温度は、アミン類の安定性の観点から、2〜200℃が好ましく、10〜150℃がより好ましく、20〜100℃が更に好ましい。
反応時間は0.1〜20時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
混合時間は、本分散液の製造安定性及び製造効率の観点から、0.01〜5時間が好ましく、0.02〜2時間がより好ましい。また、層構造を発達させるために、アミン類とチタン源を混合した後に、更に50〜200℃で水熱合成を行ってもよい。
本発明のアミン含有量が少なく、かつ透明性に優れたチタン酸ナノシート分散剤を得るためには、まず前記で得られたN/Tiモル比が0.2を超える原料分散液と、後述するアルコキシシランの酸加水分解物とを混合することで、中間分散液を調製する。
原料分散液とアルコキシシランの酸加水分解物との混合は、原料分散液中のチタン源由来のTi原子に対する、アルコキシシランの酸加水分解物中のSi原子の割合、すなわちSi/Tiがモル比で、0.001〜10、好ましくは0.005〜1、より好ましくは0.01〜0.5、最も好ましくは0.06〜0.3の割合になるように行うことが好ましく、これが最終的な本分散液中のSi/Tiの比率に反映される。また本分散液の製造容易性等の観点から、混合温度は、通常0〜100℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。混合時間は、0〜24時間が好ましく、0〜1時間がより好ましい。
アルコキシシランの酸加水分解物は、原料分散液から、溶媒置換によりアミン類を除去する場合、良好な透明性及び流動性を得る上で必要な化合物である。
アルコキシシランの酸加水分解物は、例えば、酸性溶液中でアルコキシシランを撹拌することにより、アルコキシシランの酸加水分解物溶液として得ることができる。酸加水分解物溶液の溶媒としては、アルコキシシランを加水分解するに必要な量の水を含んだ含水有機溶媒が好ましく、有機溶媒としては、アルコキシシランが可溶な溶媒が好ましく、アルコキシシランの加水分解により生じる、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルコール溶媒がより好ましい。
酸加水分解物溶液中のSi濃度は、アルコキシシランの種類にも依存するが、得られるチタン酸ナノシート分散液の流動性の観点から、Si換算濃度で1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、4〜7質量%が更に好ましい。
また、加水分解の温度は、アルコキシシランの種類、濃度にも依存するが、得られるチタン酸ナノシート分散液の流動性及び製造容易性の観点から、0〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましく、加水分解時間は、0.1〜96時間が好ましく、1〜48時間がより好ましく、3〜36時間が更に好ましい。
この溶媒留去、再分散工程を繰り返すことにより、アミン類も留去され、アミン類含有量の少ない(N/Tiモル比0.2以下)、透明性に優れたチタン酸ナノシートを得ることができ、更には、流動性のある高濃度分散液、具体的にはTiO2換算濃度6質量%以上、更に7質量%以上、特に8質量%以上、30質量%以下の分散液を得ることも可能になる。なお、本発明におけるチタン酸ナノシート分散液は、アミン類含有率が0の場合も包含する。
上記効果を発現するアルコキシシランの酸加水分解物の作用機構については定かではないが、一般にアルコキシシランの酸加水分解物は正電荷を持つことから、負電荷を持つチタン酸ナノシートと静電的相互作用が起こりやすくなり、アルコキシシランの酸加水分解物のSi−O基がチタン酸ナノシートの表面のTi原子により効率的に結合される結果、チタン酸ナノシートの構造を安定化(凝集抑制)させ、流動性、透明性に優れたチタン酸ナノシート分散液が得られると考えられる。同時に、チタン酸ナノシート表面に相互作用(静電的に結合)していたアミン類が表面から脱離し、更に溶媒留去とともに除去される結果、アミン類の含有量の少ないチタン酸ナノシート分散液が得られると考えられる。
アルコキシシランの種類は特に限定されないが、水及び溶媒置換に用いる分散媒に可溶な化合物が好ましく、本分散液の保存安定性及び製造容易性、コストの観点から、置換基を有するアルコキシシランが好ましい。Si原子1個当たりのアルコキシ基の数は2〜3が好ましく、アルコキシ基としては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
アルコキシシランの置換基は、本分散液の保存安定性の観点から、アルキル基、エポキシ基、フェニル基、メルカプト基、ビニル基、及びメタクリル基からなる群から選ばれる1種以上を含有するものが好ましい。
その具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
アルコキシシランの分子量は特に限定されないが、本分散液の保存安定性及びコストの観点から、100〜10,000が好ましく、150〜1,000がより好ましく、150〜500が更に好ましい。
本発明のチタン酸ナノシート分散液及びその製造方法においては、N/Tiモル比が0.2を超えるアミン類含有チタン酸ナノシート分散液とアルコキシシランの酸加水分解物とを混合後、アミン類を除去する工程を含むことが特徴である。
アルコキシシランの酸加水分解物を混合した分散液からのアミン類の除去は、エバポレート留去、カチオン交換樹脂、限外ろ過、透析等の常法により行うことができる。例えば、エバポレート留去によりアミン類の除去を行う場合、留去時の温度は、特に限定されないが、本分散液の保存安定性の観点から、10〜100℃が好ましく、20〜80℃がより好ましく、30℃〜60℃が更に好ましい。
溶媒で希釈後、超音波照射等により再分散、均一化させてもよい。
ラマン分光測定装置(東京インスツルメント株式会社製、Nanofinder30)を用いて、アルゴンイオンレーザー(波長633nm)を光源とし、グレーティング600grp/mm、積算時間400秒の条件で室温にて測定した。
チタン酸ナノシート固体のTi、Si定量分析は、蛍光X線分析(XRF)装置(理学電機株式会社製、ZSX100E)を用いて行い、C、H、N定量分析は、全自動元素分析計(パーキンエルマー社製、2400II、カラム分離方式、TCD検出)を用いて行った。また、チタン酸ナノシート分散液中のTi定量分析は、分散液の乾燥固体を前記の蛍光X線装置を用いて分析することにより行った。チタン酸ナノシート分散液中のアミンの定量分析は、過塩素酸滴定法により行った。
pH電極内部液として飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を用い、pH電極(HORIBA製6367)を接続したpHメーター(HORIBA製D−13)により、25℃におけるpHを測定した。
<チタン酸ナノシート分散液の流動性評価>
チタン酸ナノシートメタノール分散液を、エバポレーター(50℃)を用いて、TiO2換算濃度8質量%までの濃縮を行った。得られた濃縮液の粘度(25℃)を、B型粘度計(No.4ローター)を用いて60rpmで30秒回転後に測定した。
25℃、撹拌下、信越化学株式会社製の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「GTS」と略す)14.9g(0.063モル)とメタノール7.5gの混合溶液に0.01規定塩酸5.2gを3分かけて滴下、更に25℃で24時間撹拌を行うことによりGTSの酸加水分解物溶液(pH=4.4)を得た。酸加水分解物の1H−NMRスペクトルにより、GTSの全てが加水分解されていることを確認した。
調製例2(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのアルカリ加水分解物の調製)
25℃、撹拌下、GTS14.9g(0.063モル)とメタノール7.5gの混合溶液に0.01規定水酸化ナトリウム水溶液5.2gを3分かけて滴下、更に25℃で24時間撹拌を行うことによりGTSのアルカリ加水分解物溶液(pH=8.6)を得た。アルカリ加水分解物の1H−NMRスペクトルにより、GTSの全てが加水分解されていることを確認した。
トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.05モル(5.05g)を蒸留水160gに溶解したアミン水溶液を撹拌し、これに、室温下、2−プロパノール10mLにチタンテトライソプロポキサイド〔Ti(OiPr)4〕0.1モル(28.42g)を溶解させた液をチタン源として滴下した。滴下に伴い溶液は白濁するが、撹拌を続行することでTiO2換算濃度4%、N/Tiモル比0.5の透明な、トリエチルアミンを含有するチタン酸ナノシート水分散液を得た。原料分散液であるチタン酸ナノシート水分散液のpHは11であった。
調製例4(ジエチルアミン含有チタン酸ナノシート水分散液の製造)
調製例3において、トリエチルアミン0.05モルの代わりに、ジエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.05モル(3.67g)を使用した以外は、調製例3と同様の操作を行った。滴下に伴い溶液は白濁するが、撹拌を続行することでTiO2換算濃度4%、N/Tiモル比0.5の透明な、ジエチルアミンを含有するチタン酸ナノシート水分散液を得た。原料分散液であるチタン酸ナノシート水分散液のpHは11であった。
調製例3で得られたトリエチルアミン含有チタン酸ナノシート水分散液150g(Ti=0.075モル)に、室温下、メタノール150gと、調製例1で得られたGTSの酸加水分解物溶液6.6g(Si=0.015モル)の均一溶液を混合後、すぐにエバポレーター(50℃)を用いて、濃縮を行った。得られた透明濃縮液(TiO2換算濃度約4質量%)にメタノール300gを添加、均一混合後、すぐにエバポレーター(50℃)を用いて再度濃縮を行った。このメタノール希釈−濃縮工程を20回繰り返すことにより、トリエチルアミン及びGTS誘導体を含有するチタン酸ナノシートのメタノール分散液(Si/Tiモル比=0.2)を製造した。なお、各濃縮工程において、メタノールで希釈した分散液の量が約150gとなるまで濃縮を行い、最後の濃縮工程ではメタノールで希釈した分散液の量が75g(TiO2換算濃度8質量%)となるまで濃縮を行った。
得られた高濃度チタン酸ナノシートメタノール分散液は透明均一、低粘度であり、その定量分析の結果、N/Tiモル比は0.11、H2O/Tiモル比は0.5であった。この高濃度チタン酸ナノシートメタノール分散液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
またラマンスペクトルによりチタン酸骨格構造であることが確認された。
実施例1において、GTSの酸加水分解物溶液の添加量を3.3g(Si=0.0075モル)とした以外は、実施例1と同様にしてチタン酸ナノシートメタノール分散液を製造した。得られた高濃度チタン酸ナノシートメタノール分散液は透明均一、低粘度であった。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、GTSの酸加水分解物溶液の添加量を1.6g(Si=0.0037モル)とした以外は、実施例1と同様にしてチタン酸ナノシートメタノール分散液を製造した。得られた高濃度チタン酸ナノシートメタノール分散液は透明均一、低粘度であった。結果を表1に示す。
実施例4
実施例2において、トリエチルアミン含有チタン酸ナノシート水分散液の代わりに、調製例4で得られたジエチルアミン含有チタン酸ナノシート水溶液を用い、メタノール希釈−濃縮工程を15回繰り返した以外は、実施例2と同様にしてチタン酸ナノシートメタノール分散液を製造した。得られた高濃度チタン酸ナノシートメタノール分散液は透明均一、低粘度であった。結果を表1に示す。
実施例1において、GTSの酸加水分解物を添加せず、メタノール希釈−濃縮工程を15回繰り返した以外は、実施例1と同様にしてチタン酸ナノシートメタノール分散液を製造した。なお、各濃縮工程において、メタノールで希釈した分散液の量が約300gとなるまで濃縮を行い、最後の濃縮工程では、TiO2換算濃度3質量%まで濃縮した段階でゲル化した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、GTSの酸加水分解物の代わりに0.01規定塩酸0.63gとメタノール0.89gの混合溶液(実施例2のGTS酸加水分解物溶液中の塩酸、メタノール量に相当)を添加し、メタノール希釈−濃縮工程を8回繰り返した以外は、実施例1と同様にしてチタン酸ナノシートメタノール分散液を製造した。なお、各濃縮工程において、メタノールで希釈した分散液の量が約300gとなるまで濃縮を行い、最後の濃縮工程では、TiO2換算濃度3質量%まで濃縮した段階でゲル化した。結果を表1に示す。
実施例1において、GTSの酸加水分解物の代わりにGTS1.78g(Si=0.0075モル)を添加し、メタノール希釈−濃縮工程を20回繰り返した以外は、実施例1と同様にしてチタン酸ナノシートメタノール分散液を製造した。最後の濃縮工程では、TiO2換算濃度6質量%まで濃縮した段階でゲル化した。結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、GTSの酸加水分解物の代わりに調製例2のGTSのアルカリ加水分解物溶液3.3g(Si=0.0075モル)を添加し、メタノール希釈−濃縮工程を15回繰り返した以外は、実施例1と同様にしてチタン酸ナノシートメタノール分散液を製造した。最後の濃縮工程では、TiO2換算濃度6質量%まで濃縮した段階でゲル化した。結果を表1に示す。
なお、表1中のTEAはトリエチルアミン、DEAはジエチルアミン、GTSは3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを意味する。
Claims (5)
- N/Tiモル比が0.2を超えるアミン類含有チタン酸ナノシート分散液とアルコキシシランの酸加水分解物とを混合後、アミン類を除去して得られる、N/Tiモル比が0.2以下であるチタン酸ナノシート分散液。
- 分散媒が有機溶媒であり、分散液中の水含有量がH2O/Tiモル比で20以下である、請求項1に記載のチタン酸ナノシート分散液。
- 分散媒がアルコールである、請求項1又は2に記載のチタン酸ナノシート分散液。
- アルコキシシランが、アルキル基、エポキシ基、フェニル基、メルカプト基、ビニル基、及びメタクリル基からなる群から選ばれる1種以上の置換基を含有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載のチタン酸ナノシート分散液。
- N/Tiモル比が0.2を超えるアミン類含有チタン酸ナノシート分散液とアルコキシシランの酸加水分解物とを混合後、アミン類を除去する工程を含む、N/Tiモル比が0.2以下であるチタン酸ナノシート分散液の製造方法。
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