JP4762899B2 - 固定層触媒部分酸化反応器における改善された熱制御システムによる不飽和アルデヒド及び不飽和酸の製造方法 - Google Patents

固定層触媒部分酸化反応器における改善された熱制御システムによる不飽和アルデヒド及び不飽和酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蒸気相で触媒によりオレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する工程、具体的には、プロピレンからアクロレインとアクリル酸を製造する工程、及び前記製造工程で使用される熱交換式反応器、より詳しくは、固定層シェルアンドチューブ型熱交換式反応器に係る。オレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する工程は、代表的な接触気相酸化反応(catalytic vapor phase oxidation)に当たる。
一般に、接触気相酸化反応は、1種以上の触媒が顆粒状に反応チューブ(接触管)に充填され、供給ガスが管を通って反応器に供給され、供給ガスが接触管内で触媒と接触して酸化反応を行う。反応途中で発生する反応熱は、伝熱媒体との熱交換により除去され、伝熱媒体の温度が、所定の温度に保持される。この時、熱交換のための伝熱媒体は、接触管の外面に設けられ熱交換を行う。所望の生成物を含有する反応混合物は、管を通って収集回収及び精製段階に送られる。
接触気相酸化反応は、通常、高い発熱反応であるため、反応温度を特定範囲内に調節し、反応領域内の高温点(hot spot)の大きさを小さくすることが非常に重要である。
反応器内の伝熱媒体(heat transfer medium)を均一に循環させることだけでは接触気相酸化反応の反応熱を十分に制御することができず、大きい高温点がしばしば発生して、反応器内において局所的に過度な酸化反応を引き起こす。その結果、望ましくない燃焼反応が増大し、目的とする製造物の歩留まりを下げる。しかも、高温点の存在による高温に触媒が常に局部的に曝されるため、触媒の寿命が短くなる。
オレフィンの部分酸化反応には、モリブデンとビスマスまたはバナジウム酸化物またはこれらの混合物が触媒として使用される。プロピレンを酸化してアクロレインまたはアクリル酸を製造する工程、ナフタレンまたはオルトキシレンを酸化して無水フタル酸を製造したり、ベンゼン、ブチレンまたはブタジエンを部分酸化して無水マレイン酸を製造する工程が代表的である。
一般に、プロピレンから二段階の蒸気相触媒部分酸化反応により最終生産物であるアクリル酸が生成される。即ち、第1段階では、酸素、希釈不活性気体、水蒸気及び任意量の触媒によりプロピレンが酸化されて、主にアクロレインが製造され、第2段階では、酸素、希釈不活性気体、水蒸気及び任意量の触媒により前記アクロレインが酸化されてアクリル酸が製造される。第1段階における触媒は、Mo−Biを基本とする酸化触媒にてプロピレンを酸化し、主にアクロレインを生成する。また、一部のアクロレインは、この触媒相にて酸化し続けて、アクリル酸を一部生成する。第2段階における触媒は、Mo−Vを基本とする酸化触媒にてアクロレインを酸化し、主にアクリル酸を生成する。
このような工程を行う反応器は、一つの装置で前記二つの段階の工程のいずれもを行うことができるか、または前記二つの段階の工程をそれぞれ別の装置で行うことができるような構成を有しており、米国特許第4,256,783号には、この種の反応器が開示されている。
一方、アクリル酸を生産する業界では、前記反応器による製造生産量を高めるために、前記反応器の構成的な面を改良したり、酸化反応を引き起こすための最適の触媒を提案したり、または工程の運転面を改善するなどの、多角的な努力を注いできている。
その一環として、従来では、前記反応器に提供されるプロピレンの空間速度を高めたり、またはプロピレンの濃度を高めたりしていたが、この場合には、前記反応器内における酸化反応が高速で起こり、その結果、反応温度が制御し難いのみならず、反応器内の触媒層に対する高い高温点(hot spot)の生成により高温での一酸化炭素、二酸化炭素、及び酢酸等の副産物の生成が多くなり、アクリル酸の歩留まりを落とすという不具合がある。
更に、プロピレンの高い空間速度及び高濃度を用いてアクリル酸を製造する場合、異常温度が反応器内で発生し、この結果、触媒層からの有効成分の離脱、金属成分の焼結による活性点個数の減少等のような不具合が生じ、その機能が低下することもある。
このように、アクリル酸の製造に際する当該製造反応器における反応熱の制御は、高い生産性の確保のためにはなにより重要であり、特に、触媒層に対する高温点及びこの近傍での熱蓄積を抑え、この高温点による反応器のランナウェイ(runaway;発熱反応が激しくて反応器が制御されないか、または反応器が爆発する状態)に走らないように反応器を効率よく制御する必要がある。
従って、高温点及び高温点の近傍での熱蓄積を抑えることにより、触媒を長寿命化し副反応を抑えることで歩留まりを向上することは非常に重要であり、これを達成するために様々な試みが行われてきた。
基本的な方法は、反応物の進行方向(以下、軸方向)に沿って活性を調節した複数の段階の触媒層を構成することであって、高温点が発生する反応器の入口側には、低い活性を有する触媒層を使用し、出口側に向かうにつれて活性が徐々に高くなる触媒層を構成する方法がある。広く知られている活性調節方法としては、触媒物質と不活性物質とを混ぜて各種の活性を有する触媒粒子を製造する方法(例えば、US特許第3,801,634、日本国特許第53−30688B、日本国特許第63−38831)、アルカリ金属種を変えたり量を調節することで活性及び選択度を調節する方法(例えば、US特許第4,837,360)、触媒粒子の占有体積を調節することで活性を調節する方法(例えば、US特許第5,198,581、US特許第5,719,318)、触媒を製造するに際する焼成温度の調整により活性を調節する方法(例えば、US特許第6,028,220)等が代表的である。これらの方法は、それなりの効果があるものの、依然として改善すべきところがある。
触媒物質と不活性物質とを混ぜる方法が最も簡単に活性を調節する方法であるが、不活性物質を混ぜることにより触媒層の充填長さが相当に長くなる必要があり、既に製造されている触媒粒子と不活性粒子とを均一に混ぜて使用する必要がある場合、二種の粒子を均一に混ぜるということは、相当の努力と時間を要するため、かなりの負担として働く。
アルカリ金属を使用する方法は、活性が調節できるのみならず、選択度を増大させる上で相当に好ましい方法である。しかしながら、触媒組成中のアルカリ金属は、極めて少量でも活性及び選択度を変化させるため、触媒の製造過程の僅かな誤差が大きな歩留まりの下落につながり得るというおそれがある。
また、前記問題点が相当解決されるとしても、上記技術がより効率よく用いられるためには、反応が起こる反応装置系を発熱の激しい酸化反応に適するように設計する必要があり、特に、激しい発熱による触媒の不活性化を抑えるためには、高温点及びランナウェイが制御できる効率的な熱制御システムの構築が必須である。効率よい熱制御システムの構築のために多孔遮蔽板の導入(例えば、US特許第4,256,783、ヨーロッパ特許第293224A、日本国特許第52−83936)、各種のバッフルの配設による溶融塩の循環経路の設定(例えば、US特許第3,871,445)、冷却熱交換器を統合した酸化反応器の設計(例えば、US特許第3,147,084)、改善された熱交換システムによる多段階熱制御構造(例えば、韓国特許出願番号第10−2002−40043、国際出願番号PCT/KR02/02074)等についての研究が進められてきている。
米国特許第4,256,783号明細書 米国特許第3,801,634号明細書 日本国特許第53−30688B明細書 日本国特許第63−38831号明細書 米国特許第4,837,360号明細書 米国特許第5,198,581号明細書 米国特許第5,719,318号明細書 米国特許第6,028,220号明細書 米国特許第4,256,783号明細書 欧州特許出願公開第293224A号明細書 日本国特許第52−83936号明細書 米国特許第3,871,445号明細書 米国特許第3,147,084号明細書 国際出願番号PCT/KR02/02074
上記のような接触気相酸化反応は、高温で行われるのみならず、反応熱の激しい発熱反応であるため、反応器の入口の周辺で非常に高い高温点が発生したり、またはその近傍での熱蓄積により選択度が悪くなり、更には、長期的には、触媒の性能を顕著に落としかねない。特に、高温点の温度が触媒の焼成温度を超えれば、触媒の寿命が短縮し、全体の触媒層の取替え時期を早めるため、経済的損失を被らなければならない。しかも、充填された触媒層の活性が低下し、伝熱媒体(溶融塩)の温度を上げることで落ちた活性を補償しようとする場合、高温点での温度または高温点での熱蓄積も同時に上昇するため、これに対する対策を講じなければならない。
このような点に鑑みて、本発明者らは、二つの段階を行う単一の反応器または二つの直列に連結された反応器を使用し、オレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する固定層シェルアンドチューブ型熱交換式反応器において、第1段階の反応領域において反応器を少なくとも1の遮蔽板で軸方向に沿って二つ以上の領域に分け、第1段階の反応領域における相互独立して分けられたシェル空間に満たされた伝熱媒体の温度を触媒の活性と反応度合いに適するように設定した結果、高温点及び高温点の近傍での熱蓄積を抑えることができるということを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明は、分けられたそれぞれの反応領域内において触媒層の最大ピーク温度と該領域に当たるシェル空間に満たされた伝熱媒体(溶融塩)の温度との差を制御し、活性の非常に高い触媒を使用して運転しても熱的に安定し且つ歩留まりが低下することなく運転できる製造工程及び改善された熱交換式反応器を提供しようとする。
更に、本発明は、遮蔽板が配設された位置での発熱量の除去を容易にするために反応抑制層を挿入することを特徴とする製造工程及びシェルアンドチューブ型熱交換式反応器を提供しようとする。
本発明は、シェルアンドチューブ型熱交換式反応器(shell-and-tube heat exchanger type reactor)で固定層触媒部分酸化反応によりオレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する工程において、より詳しくは、プロピレンからアクロレインとアクリル酸を製造する工程において、不飽和アルデヒドを主に製造する第1段階の反応領域と、不飽和酸を主に製造する第2段階の反応領域のうちの第1段階の反応領域を少なくとも1の遮蔽板(partition)で二つ以上の空間に区画し、区画された各シェル空間を、伝熱媒体で満たして等温または0〜5℃の温度差の範囲に保持させ、この時、複数個に区画されたシェル空間の伝熱媒体の温度を反応物の進行方向に沿って高くなるように設定すること、伝熱媒体の温度と高温点での温度との差を制限して運転すること、及び/または遮蔽板が配設された位置に反応抑制層を挿入することを特徴とする製造工程を提供する。
また、本発明は、固定層触媒部分酸化反応によりオレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する工程に使用可能なシェルアンドチューブ型熱交換式反応器において、前記反応器は、一つ以上の接触管を含み、各接触管は、不飽和アルデヒドを主に製造する第1段階の反応領域と、不飽和酸を主に製造する第2段階の反応領域のいずれかを含むか、または双方を含み、第1段階の反応領域が、少なくとも1の遮蔽板で二つ以上の空間に区画され、区画された各シェル空間を、伝熱媒体で満たして等温または0〜5℃の温度差の範囲に保持させ、この時、複数個に区画されたシェル空間の伝熱媒体の温度を反応物の進行方向に沿って高くなるように設定すること、伝熱媒体の温度と高温点での温度との差を制限して運転すること、及び/または遮蔽板が配設された位置に反応抑制層を挿入することを特徴とするシェルアンドチューブ型熱交換式反応器を提供する。
ここで、区画された各シェル空間とは、接触管、シェル、遮蔽板、チューブシート等で囲まれた内部空間を意味する。
以下、本発明は、全体の反応領域のうちの不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する第1段階の反応領域を主な対象にし、この反応領域に本発明によって改善された熱制御システムを適用して高温点の大きさ及び高温点での熱蓄積を抑え、中間段階での歩留まりを高める一方、第2段階の反応領域での反応が安定し且つ最終の歩留まりを高めることができるようにすることに焦点を合わせている。
前記製造工程及び熱交換式反応器における前記区画された各シェル空間内の伝熱媒体の温度は、できれば等温に近く設定し、発熱量と伝熱媒体の伝熱能力によって、区画された各シェル空間に含まれる触媒層の両端部に当たる伝熱媒体の温度差が0〜5℃であることが好ましく、0〜3℃であることがより好ましい。
伝熱媒体の例としては、非常に大きな粘性を有する媒体、例えば、溶融塩(molten salt)が挙げられ、溶融塩は、主に硝酸カリウム及び亜硝酸ナトリウムとの混合物から構成される。他の伝熱媒体の例としては、フェニルエーテル媒体(例えば、“Dowtherm”)、ポリフェニル媒体(例えば、“Therm S”)、hot oil、ナフタレン誘導体(S.K.oil)、水銀等が挙げられる。
伝熱媒体の流速を調節することにより反応器内の各シェル空間における反応をほぼ同一の溶融塩温度で行うことができる。
各段階の反応領域における隣接するシェル空間内の伝熱媒体の温度は、軸方向からみて0℃超過50℃以下の温度差にて高くなるように設定することが好ましく、5〜15℃の温度差がより好ましい。
各シェル空間に満たされる伝熱媒体の温度が反応物の進行方向(以下、軸方向)に沿って高くなれば、触媒層の反応性が軸方向に沿って増大する。
遮蔽板で区画された各シェル空間の伝熱媒体の温度を軸方向に沿って高くすれば、高温点及びその近傍の熱蓄積を抑えることができる。
反応物の濃度が高く、反応圧力の高い反応器の前端部における反応性が最も活発であるため、反応器の前部では相当の大きさの高温点が形成され、この高温点の形成される位置に当たるシェル空間内の伝熱媒体の温度を最低活性温度まで下げることで、反応性をそれ程落とすことなく高温点の大きさを抑え、高温点の近傍での熱蓄積を防止することができる。
遮蔽板なしに連続して昇温させる場合には、接触酸化反応による反応熱を除去、または、熱蓄積を抑えるために、多くの手間がかかり、所望する温度プロファイルに精度よく設定することは非常に難しい。
遮蔽板の位置は、高温点の発生位置を精度よく予測し設定することが好ましい。
高温点は、触媒相接触気相酸化反応による反応熱の発生により生成され、反応物の組成、反応物の流速(L/min)、伝熱媒体の温度等の因子により決められ、一定の組成条件で一定の位置と大きさを有する。しかし、これは、時間が経って触媒の活性が変われば、変わることもある。
熱制御が問題とされる部分は、主反応物であるオレフィン(プロピレン)と分子酸素の濃度の高い第1段階の酸化反応触媒層の前部、そして、第1段階中でも二つの層以上に充填された構造において、活性の異なる隣接する触媒層との境の近傍で高温点が発生することがある。
前記遮蔽板の位置は、高温点及び高温点による熱蓄積が問題とされる位置または各領域における発熱量を最大限に除去可能な位置に配設することが好ましい。
高温点は、最高の温度ピークであって、大概、各触媒層毎に一つ以上の高温点を有する。
また、触媒が最適の活性を有するように、各区画されたシェル空間内の伝熱媒体(molten saltまたはheat transfer salt)の温度を設定することが好ましい。
特に、本発明では、高いオレフィン濃度、または高いオレフィン空間速度下において, 各段階の接触管内におけるまたは一つの接触管内の各段階における高温点及び高温点の近傍での熱蓄積を抑えるために、伝熱媒体の温度を軸方向に沿って変化させることにより、過度な発熱反応による触媒の損傷を軽減し、副反応による歩留まりの減少を抑え、結果として、歩留まりを向上することができる。
本発明は、第1段階の反応領域における遮蔽板で区画されたシェル空間を、軸方向に沿って領域1、領域2、領域3、・・・、領域Nのように称する時、
Figure 0004762899
で、より好ましくは、
Figure 0004762899
であり、また、
Figure 0004762899
で、より好ましくは、
Figure 0004762899
である製造工程及び反応器(Nは、2以上の整数である)を提供する。
ここで、Th1は、第1のシェル空間に当たる触媒層での反応混合物の最高温度(触媒層の最高温度)を表し、ThNは、第Nのシェル空間に当たる触媒層での反応混合物の最高温度(触媒層の温度)を表す。また、Tsalt1は、第1のシェル空間に満たした伝熱媒体(溶融塩)の温度を表し、TsaltNは、第Nのシェル空間に満たした伝熱媒体の温度を表す。
第1のシェル空間では、反応物の濃度及び圧力が高くて触媒層のピーク温度と溶融塩の温度との差がそれ以降のシェル空間のそれより大きいため、当然の如く、第1のシェル空間での温度差の範囲もそれ以降のシェル空間の温度差の範囲より大きい。しかし、本発明では、第1のシェル空間でのピーク温度の大きさを最小化しつつ、それ以降のシェル空間でも温度差の範囲に制限を設けることで局部的に過度な発熱を抑え、全体としての温度プロファイルの形態が緩やかになる方法を提供し、前記制限範囲は、本発明者らの多年間にわたる多様な実験の結果である。かかる制限範囲を設けずに運転を行えば、高温点での触媒焼結、重要金属成分の離脱、副産物の増大等を引き起こしかねず、特に、反応器へと混合原料物質を注入する時における急な発熱反応により事故につながることもあるため、本方法は、安全な反応の立ち上がりと安定した運転に必須とされる技術である。
本発明は、各反応領域での触媒層の最高温度と伝熱媒体(溶融塩)の温度差を、前記提示したような範囲に制御することにより、触媒が軸方向に沿って均一に活性を示すようにし、反応度合いを適切に調節し、この結果、高温点での熱蓄積を抑え副反応を抑えることで歩留まりの低下を防ぐことができる。
従って、本発明は、高いオレフィン濃度、または高いオレフィン空間速度でのみならず、第1段階の反応器に充填される触媒の活性を調節することなく安定して運転することができる。一方、オレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造するに際し、オレフィンを、50〜130hr−1の空間速度で反応器の入口から注入すればよい。
第1段階の反応領域への活性を調節した複数個の触媒層を充填する方法では、高温点での温度ピークの大きさを減らし熱蓄積を抑えることでより優れた性能が得られるが、異種の触媒を別に製造し充填しなければならないという煩わしさがあるため、触媒にかかるコストアップという問題が生じる。また、それぞれの充填層に相当する触媒の形状、大きさの調節とアルカリ金属及びアルカリ土類金属等の含量の調節は、非常に難しく、毎回複数種の触媒をそれぞれ均一な性能を有するように製造しなければならないということは大きな負担として働く。これに対し、本発明では、同一の大きさ、同一の形状、また同一の活性を有する触媒層でも多段熱制御システムを適用することで効率よく且つ安定してアクロレイン及びアクリル酸等を製造する工程及び反応器を提供することができる。
本発明の一実施態様は、分子状酸素、希釈不活性気体、蒸気、及び選択的に、反応してから吸収塔へと吸収されていないガス中の再循環した一部のガス(recycled off-gas)等と共に触媒を使用してプロピレンからアクロレインとアクリル酸を製造するに際し、アクロレイン及びアクリル酸を製造する第1段階の反応領域における反応器を軸方向に沿って二つ以上の領域に分けて相互独立したシェル空間に区画し、伝熱媒体の温度を軸方向に沿って高くなるように設定することで触媒層の反応性が軸方向に沿って増大するようにしたものである。
主にプロピレンからアクロレインが生成される第1段階の反応領域において、活性を有する触媒層の温度は、約290〜420℃であり、伝熱媒体の温度は、約290〜350℃に設定される。この時、アクロレインの他、アクリル酸、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、酢酸、及び少量の副産物が更に生成される。この段階での酸化反応は、高温で進められるのみならず、激しい発熱であるため、プロピレンのグラム−モル(g‐mol)当たりに約81kcalの熱量が発生し、高温点での温度は、370〜400℃に達する。主にアクロレインからアクリル酸が生成される第2段階の反応領域における、活性を有する触媒層の温度は約260〜360℃であり、伝熱媒体の温度は、約260〜330℃に設定される。この時、アクリル酸の他、未反応のアクロレイン、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、酢酸、未反応のプロピレンと少量の副産物が出口から出る。第2段階の反応も同様に、高温で進められるのみならず、激しい発熱反応であるため、アクロレインのグラム−モル(g‐mol)当たりに約60kcalの熱量が発生し、高温点での温度は、310〜350℃に達する。
本発明に係る反応器の構造をみてみれば、第1段階の反応領域におけるシェル空間は、少なくとも1の遮蔽板で二層以上に分け、各空間に満たした伝熱媒体の温度を相互独立して制御可能な構造であり、それぞれの空間に満たした伝熱媒体の温度は、軸方向に沿って高くなるように設定されている。例えば、第1段階の反応領域に当たるシェル空間を、三つの独立した空間に分けるとすれば、シェル空間内に接触管軸と垂直に二つの遮蔽板が配設され、伝熱媒体の温度が独立して制御される三つのシェル空間に分けられた構造が提供され、各空間に満たされた伝熱媒体の温度を入口から出口に向かって軸方向に沿ってそれぞれ300、310、315℃といったように設定する。
一方、第1段階の反応領域における触媒層は、軸方向に沿って均一な活性を有する一つの層、必要に応じては、活性が増大する方向に沿って二つ以上の層を積層して配設してもよい。また、第2段階の反応領域においても触媒層は、軸方向に沿って均一な活性を有する一つの層、必要に応じては、活性が増大する方向に沿って二つ以上の層を積層して配設することができる。
アクリル酸を製造する商業的なシェルアンドチューブ型反応器内における接触管の数は、数千から数万に至り、ここに配設される遮蔽板も相当に肉厚であって50〜100mmに達する。従って、各段階の反応領域において二つ以上のシェル空間に分ければ、遮蔽板が配設される位置では、反応による発熱量の除去が容易ではないことから伝熱が問題とされ、本発明では、前記伝熱が問題とされないように、遮蔽板が設設される位置に当たる接触管の内部に不活性物質または不活性物質と触媒物質とを混ぜてなる層、即ち、反応抑制層を設けることをまた他の特徴とする。
この反応抑制層は、第1段階(プロピレンからアクロレインへ)と第2段階(アクロレインからアクリル酸へ)との間に高さ約400〜1000mmで充填される充填層であり第2段階の反応に適する反応温度まで冷却を誘導する不活性層とは異なる性格の層であって、伝熱が問題とされる地点での発熱を最小化するための充填層である。この反応抑制層における不活性物質の触媒物質に対する体積比は、20〜100%が好ましく、より好ましくは、80〜100%である。反応抑制層の充填高さは、遮蔽板の厚みの20〜500%程度であり、より好ましくは、120〜150%程度として充填層が遮蔽板の厚みに全て重なり合うことができるようにし、充填層の高さを遮蔽板の厚みより低くしなければならない場合は、最大限に多くの面積が重なり合うように充填することが好ましい。
反応抑制層に使用される不活性物質は、オレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する反応、例えば、プロピレン及びアクロレイン触媒酸化反応における不活性である物質を指し、形状は、球状、円筒状、環状、棒状、板状、鉄網状、及び適宜の大きさの塊状であれば使用可能であり、必要に応じて、これらを適当な割合で混ぜて使用してもよい。広く知られている不活性物質としては、アルミナ、シリカアルミナ、ステンレス鋼、鉄、ステアタイト、磁器(china、porcelain)、各種のセラミック製品があり、これらを混ぜて使用してもよい。
反応器内の接触管は、各段階別に酸化反応のための一つ以上の触媒粒子層から構成してもよい。
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図1〜4は、本発明のアイデアを伝えるべく考案されたパイロットの構造であって、本発明は、図面に示す内容だけに限定されるものではない。
実際のシェルアンドチューブ型熱交換器形態の反応器は、一つの接触管を有する反応器により温度、歩留まり等の反応器の挙動特性をよく示すことが知られており、本発明では、各反応段階において一つの接触管が配設されたパイロット実験を通じて発明の効果を述べることにする。
以降の説明のために、各段階別の触媒層を次の通りに称し、次の順番は、反応が進められる経路と一致する。
第1段階の反応における第1の触媒層=第1段階_イ層
第1段階の反応における第2の触媒層=第1段階_ロ層
第1段階の反応における第3の触媒層=第1段階_ハ層

第2段階の反応における第1の触媒層=第2段階_イ層
第2段階の反応における第2の触媒層=第2段階_ロ層
第2段階の反応における第3の触媒層=第2段階_ハ層
必要に応じて、各段階における触媒層を、イ層、ロ層、ハ層、…、N層にいくにつれて触媒の活性反応が増大する形に配設してもよい。
図1は、二つの段階の反応が一つの接触管において起こるように構成したパイロット反応器の構造を示しており、第1段階の反応領域10と、第2段階の反応領域20とは直列に連結し、反応器の入口から入ってきた反応物が第1段階と第2段階の反応を経てアクリル酸を生成するように構成される。必要に応じて、各段階の反応領域において二つ以上の相違する活性を有する触媒層(不活性物質層と反応抑制層を除く触媒層)を構成すればよい。
以下、各段階において活性が異なる二つの触媒層から構成されたことを基本とする反応系を例に挙げて詳細に説明することにする。
図1中の11、12、21は、温度が異なる伝熱媒体が入り込む各シェル空間(ジャケット、jacket)である。図1に接触管の触媒層の構成を示し、充填層は、図中の下方から上方に向かって、次の順に充填されている。
不活性粒子_イ層16
第1段階の反応領域:
第1段階_イ層14
第1段階_反応抑制層17
第1段階_ロ層15
不活性粒子_ロ層31
第2段階の反応領域:
第2段階_イ層24
第2段階_ロ層25
前記の第1段階_イ層と第1段階_ロ層には、同一の活性または相違する活性の触媒層を充填することができる。第2段階_イ層と第2段階_ロ層も同様に、同一の活性または相違する活性を有する触媒層を充填することができる。第1段階の反応領域と第2段階の反応領域との間には、不活性粒子を適切に充填して(不活性粒子_ロ層)、第2段階に入る反応混合物の温度が第2段階_イ層の活性温度の範囲に入るようにする。第1段階の反応器におけるシェル空間は、二つの熱制御空間に分けられ独立して熱制御される。図1において、第1段階の反応領域における遮蔽板13は、触媒層との境に位置する。図1中の30は、第1段階と第2段階の反応領域を仕切る遮蔽板であり、不活性物質層31は、反応物が第2段階の反応領域の触媒層24に適する温度への冷却を誘導する充填層である。
図1中の1は、反応物の流れを示し、プロピレン、分子酸素、希釈ガス、蒸気から構成されている。図1中の3は、生成物の流れを示し、アクリル酸、希釈ガス、分子酸素、未反応のプロピレン、未反応のアクロレイン、少量の副産物等から構成されている。主な生成物はアクリル酸である。
図1中の11と12は、第1段階の反応領域における二つに分けられたシェル空間(ジャケット)であり、図1中の21は、第2段階の反応領域のシェル空間(ジャケット)である。
図2は、第1段階の反応領域と第2段階の反応領域が分けられているパイロット反応器の構造を示しており、基本的な反応器の構造と触媒の充填層の構造は、図1と同一である。
図3は、各段階において相違する活性を有する触媒層を、二層以上に充填しようとする場合を示しており、遮蔽板が触媒層との境面から離れた位置に配設された構造であって、反応器の入口から第1段階_ロ層の温度ピーク領域までを第1熱制御領域とし、第1段階の反応領域の余の空間を第2熱制御領域として分けようとする時に使用可能な方法である。この種の構造は、触媒層において二つ以上の隣接するピークが存在し、これらのピークの温度を同時に一つのシェル空間(ジャケット)を用いて制御しようとする場合に適用可能である。
例えば、第1段階_イ層と第1段階_ロ層において生じる温度ピークを、第1熱制御領域に満たした伝熱媒体の温度を調節することで、触媒層のピーク温度を管理すべき上限温度以下になるように制御することができる。図3に示すような遮蔽板の位置設定方法と触媒及び不活性物質の充填方法は、図1に示す一つの接触管を使用した反応器の構造でも同様な原理にて適用可能である。
触媒層における遮蔽板の配設位置は、充填順番からみて、先行する触媒充填層と当該触媒層との間に遮蔽板を配設することができ、当該触媒層のピーク地点以降に第2の遮蔽板を配設することができる。仮に、当該触媒層が、反応器の入口または各段階の反応領域の立ち上がり地点での第1の触媒充填層であるとすれば、当該触媒層のピーク以降に一つの遮蔽板を配設する。遮蔽板を配設してなるシェル空間は、複数個の触媒層から発生する一つ以上のピークの位置を含むようにしてもよい。
本発明の熱制御システムは、オレフィンの酸化反応のみならず、軸方向に沿う反応の種類が異なって反応が段階別に進められる反応システム及び同種の反応が起こるとしても反応温度を領域別に区分して最適の温度に熱制御する必要があるシステムのいずれもに適用可能である。
〔実施例〕
[実施例1(改善された熱制御システム):溶融塩の温度設定の変化による歩留まりの変化及び高温点の大きさの変化1]
図3に示すように、第1段階と第2段階がそれぞれ一つの接触管(図3中の領域10、20内の接触管)において行われるパイロット反応器を用意した。前記接触管の内径は、26mmであり、第1段階の接触管には、約1200mmの触媒層を充填し、第2段階の接触管には、約1100mmの触媒層を充填した。図3中の11、12は、第1段階の反応領域の分けられたシェル空間であり、各シェル空間に満たされた溶融塩の温度は、それぞれ300、305℃に設定されており、図3中の21は、第2段階の反応領域のシェル空間であって溶融塩で満たされており、265℃に設定されている。第1段階の反応領域(図3中の10)に満たされた二層の触媒物質は、モリブデンとビスマスを基本とする第1段階の酸化触媒層であり、この触媒の製法は、韓国特許第0349602号(出願番号第10−1997−0045132)に記載されている。第2段階の反応領域(図3中の20)に満たされた二層の触媒物質は、モリブデンとバナジウムを基本とする第2段階の酸化触媒層であって、その触媒の製法は、韓国特許第0204728号及び韓国特許第0204719号に記載されている。
各段階の触媒層は、入口から出口にいくにつれて触媒の活性が増大する二つの層にしてそれぞれ充填した(US3801634とUS4837360の触媒活性調節法を使用する)。
第1段階の反応領域の触媒層は、軸方向に沿って二つの触媒をそれぞれ320mm、880mmの層にして充填し、第2段階の反応領域の触媒層は、軸方向に沿って二つの触媒をそれぞれ290mm、810mmの層にして充填した。第1の反応領域における遮蔽板の位置は、触媒層の中心部分である600mmの位置に配設し、二つの触媒層から発生する二つの温度ピークを全て含むようにした。遮蔽板の位置に当たる接触管内には、不活性物質層の高さが遮蔽板の厚みの120%になるように充填した。図3に示す2で示す流れを誘導する管は、二つの接触管を連結する管であって保温材にて覆われている。プロピレン、蒸気、酸素及び不活性気体が混合されている出発物質が1で示すように入口から入って、反応経路を経た後に3で示すように出口から出る。反応器の入口から注入される出発物質は、プロピレン、酸素、蒸気、窒素気体からなり、プロピレン7%、酸素とプロピレンとの比は、約1.80である。空間速度は、第1段階の反応器において1400hr−1(standard temperature and pressure;STP)であり、第2段階の反応器では、1530hr−1(STP)である。ここで、第1段階の反応領域に入るオレフィンの空間速度は、98hr−1(STP)である。
第1段階の反応器における第1のシェル空間に当たる領域から高温点が発生し、その高温点の温度は381.6℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ81.17%、8.84%であった。等温で運転される第2段階の反応器における高温点は、327℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ0.553%、84.01%であった。
反応抑制層(不活性物質層)では、反応が起こらないため、憂慮していた伝熱効率の減少による異常な温度上昇はみられなかった。
[実施例2(改善された熱制御システム):溶融塩の温度設定の変化による歩留まりの変化及び高温点の大きさの変化2]
第1段階の反応領域(第1段階の反応器)における溶融塩の温度設定を除いては、実施例1と同一である。第1段階の反応領域における溶融塩の温度は、軸方向に沿ってそれぞれ300、310℃に設定した。
第1段階の反応器における第1のシェル空間に当たる領域から高温点が発生し、その高温点の温度は381.5℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ81.13%、9.30%であった。等温で運転される第2段階の反応器における高温点は、320.0℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ1.18%、84.35%であった。
[実施例3(改善された熱制御システム):溶融塩の温度設定の変化による歩留まりの変化及び高温点の大きさの変化3]
第1段階の反応領域(第1段階の反応器)における溶融塩の温度設定を除いては、実施例1と同一である。第1の反応領域における溶融塩の温度は、軸方向に沿ってそれぞれ300、315℃に設定した。
第1段階の反応器における第1のシェル空間に当たる領域から高温点が発生し、その高温点の温度は381.2℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ79.02%、11.46%であった。等温で運転される第2段階の反応器における高温点は、327.5℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ0.607%、84.95%であった。
[実施例4(改善された熱制御システム):溶融塩の温度設定の変化による歩留まりの変化及び高温点の大きさの変化4]
第1段階の反応領域(第1段階の反応器)における溶融塩の温度設定を除いては、実施例1と同一である。第1の反応領域における溶融塩の温度は、軸方向に沿ってそれぞれ300、320℃に設定した。
第1段階の反応器における第1のシェル空間に当たる領域から高温点が発生し、その高温点の温度は381.2℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ78.97%、11.45%であった。等温で運転される第2段階の反応器における高温点は、327.0℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ0.607%、84.88%であった。
[実施例5(改善された熱制御システム):溶融塩の温度設定の変化による歩留まりの変化及び高温点の大きさの変化5]
第1段階の反応領域(第1段階の反応器)における溶融塩の温度設定を除いては、実施例1と同一である。第1段階の反応領域における溶融塩の温度は、軸方向に沿ってそれぞれ308、315℃に設定した。
第1段階の反応器における第1のシェル空間に当たる領域から高温点が発生し、その高温点の温度は392.5℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ80.33%、11.37%であった。等温で運転される第2段階の反応器における高温点は、320.5℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ0.631%、86.83%であった。
[実施例6(各段階の反応領域に同一の活性を有する触媒を充填し多段階熱制御システムを適用した場合)]
第1段階の反応領域に満たされた1200mmの触媒層は、実施例1で使用された二種の触媒のうちの高い活性を有する触媒を充填した。第2段階の反応領域に満たされた1100mmの触媒層は、実施例1で使用された二種の触媒のうちの高い活性を有する触媒を充填した。各段階の反応領域内の触媒の充填構造と温度設定を除いては、実施例1と同一である。第1段階の反応領域に当たる二つのシェル空間の溶融塩の温度は、軸方向に沿って295℃(領域1に当たるシェル空間)、308℃(領域2に当たるシェル空間)とにそれぞれ設定した。第2段階の反応領域では、溶融塩の温度を265℃に等温設定した。
等温で運転される第1段階の反応器における領域1での高温点の温度は392.3℃、領域2での高温点の温度は363.6℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ79.23%、11.08%であった。等温で運転される第2段階の反応器におけるアクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ0.704%、85.54%であった。
h1−Tsalt1は97.3℃であり、Th2−Tsalt2は、58.6℃であった。
[比較例1(多段階熱制御システムを適用せずに等温で運転した場合):溶融塩の温度設定による高温点と歩留まりの変化1]
第1段階の反応領域(第1段階の反応器)における溶融塩の温度設定を除いては、実施例1と同一である(図4参照)。第1の反応領域における溶融塩の温度は、300℃に等温設定し、遮蔽板の配設は行わなかった。第2の反応領域における溶融塩の温度は、265℃に等温設定した。
等温で運転される第1段階の反応器における高温点の温度は、383.8℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ81.34%、8.18%であった。等温で運転される第2段階の反応器における高温点は、320.1℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ1.585%、83.11%であった。
[比較例2(多段階熱制御システムを適用せずに等温で運転した場合):溶融塩の温度設定による高温点と歩留まりの変化2]
第1段階の反応領域(第1段階の反応器)における溶融塩の温度設定を除いては、比較例1と同一である。第1の反応領域における溶融塩の温度は、305℃に等温設定した。
等温で運転される第1段階の反応器における高温点の温度は、394.6℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ81.91%、8.35%であった。等温で運転される第2段階の反応器における高温点は、320.3℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ1.424%、84.07%であった。
[比較例3(多段階熱制御システムを適用せずに等温で運転した場合):溶融塩の温度設定による高温点と歩留まりの変化3]
第1段階の反応領域(第1段階の反応器)における溶融塩の温度設定を除いては、比較例1と同一である。第1の反応領域における溶融塩の温度は、310℃に等温設定した。
等温で運転される第1段階の反応器における高温点の温度は、405.7℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ80.43%、10.11%であった。等温で運転される第2段階の反応器における高温点は、316.0℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ1.257%、84.66%であった。
[比較例4(各段階の反応領域に同一の活性を有する触媒をそれぞれ充填した場合):溶融塩の温度設定による高温点と歩留まりの変化4]
第1段階の反応領域に満たされた1200mmの触媒層は、実施例6で使用された触媒を充填した。第2段階の反応領域に満たされた1100mmの触媒層は、実施例6で使用された触媒を充填した。各段階の反応領域内の温度設定を除いては、実施例6と同一である。第1段階の反応領域における溶融塩の温度は300℃、第2段階の反応領域の溶融塩の温度は、265℃に設定した。比較例4では、遮蔽板を使用していないが、反応抑制層を使用した。
等温で運転される第1段階の反応器における高温点の温度は407.9℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ80.92%、9.09%であった。等温で運転される第2段階の反応器におけるアクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ0.807%、84.21%であった。
h1−Tsalt1は107.9℃であった。
[比較例5(各段階の反応領域に同一の活性を有する触媒をそれぞれ充填した場合):溶融塩の温度設定による高温点と歩留まりの変化5]
各段階の反応領域内の温度設定を除いては、比較例4と同一である。第1段階の反応領域における溶融塩の温度は305℃、第2段階の反応領域の溶融塩の温度は、265℃に設定した。
等温で運転される第1段階の反応器における高温点の温度は418.3℃であり、アクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ80.77%、9.15%であった。等温で運転される第2段階の反応器におけるアクロレイン及びアクリル酸の歩留まりは、それぞれ0.934%、84.30%であった。
h1−Tsalt1は113.3℃であった。
[比較例6(反応抑制層を遮蔽板の厚みの10%に相当する厚みにして使用した場合)]
遮蔽板が配設された位置の第1段階の触媒層に反応抑制層を、遮蔽板の厚みの10%に相当する厚みにして挿入したことを除いては、実施例6と同一である。
[比較層7(反応抑制層を使用していない場合)]
遮蔽板が配設された位置の第1段階の触媒層に反応抑制層を挿入していないことを除いては、実施例6と同一である。
Figure 0004762899
Figure 0004762899
Figure 0004762899
比較例1乃至3を比較すれば、第1段階の反応領域を等温に設定して歩留まりを高めたい場合には、溶融塩の温度を高める必要があるが、これは、触媒層内の高温点の大きさの相当な増大につながる。
実施例3は、比較例2と3に比べて最終のアクリル酸の歩留まりも高いのみならず、多段階熱制御を適用して高温点での温度も遥かに低く、安定した操業が可能であることが分かる。また、第1段階の反応における溶融塩の平均温度について同一の実施例2と比較例2(305℃)、実施例4と比較例3(310℃)をそれぞれ比較すれば、熱制御領域を二つに分離し、第1段階の反応を施した場合(実施例)が一つの等温で第1段階の反応を施した場合に比べて最終のアクリル酸の歩留まりも高いのみならず、多段階熱制御を適用することで高温点での温度も遥かに低く、この結果、安定した操業が可能であることが分かる。
実施例1〜4を比べてみると、第2のシェル空間の温度が305℃から320℃に上がることにより、第1段階の反応器において生成されるアクロレインがアクリル酸へと転換される割合が高く、相対的にアクロレインの歩留まりは減少する傾向をみせた。従って、第2の反応器では、主な反応物であるアクロレインを転換させる負担が多少軽減し、アクリル酸への歩留まりも増大した。多段階熱制御を適用した実施例は、いずれも比較例に比べて第2段階の反応器に移行するアクロレインの負担が小さいものと分析され、そのうちの実施例3が、第2段階の反応領域におけるアクロレインに対する負担が最も小さく、最終のアクリル酸の歩留まりが最も高かった。そして、実施例1〜4の結果をみれば、第1段階の反応により生成された中間生成物(アクロレイン)と最終生産物(アクリル酸)の歩留まりの和としては、実施例3が最も高いため、実施例3の反応条件における選択率がこれらの実験のうちでも最も高かったことが分かる。
一方、実施例5は、実施例1〜4とは異なって、第1段階の反応器のシェル空間での溶融塩温度を、軸方向に沿って308℃、315℃に設定し、第1段階の反応器における前半部の温度をより高くすることで一層高い歩留まりを得た。上がった溶融塩の温度による高温点の温度は、392.5℃まで上がった。しかし、実施例3に比べて、第1段階の反応領域のアクロレインとアクリル酸の歩留まりの和は、実施例5の場合、91.7%、実施例3の場合、90.47%であって、実施例5の場合が、中間生成物及び最終生成物への転換率と選択度が高いことが分かる。その結果として、実施例5の第2段階の反応領域におけるアクリル酸の歩留まりは、86.83%であって、全ての実験において最高の歩留まりをみせた。
なお、遮蔽板の配設により伝熱が問題とされる位置への不活性物質層の導入により、触媒層中の異常な温度上昇は現われなかった。
一方、表2に表す結果から、第1段階の反応領域に同一の活性を有する触媒を充填した場合にも多段階熱制御の効果を奏することが分かる。実施例6は、多段熱制御を適用し、比較例4と5は、等温設定で第1段階の反応領域を運転した。表2に表すように、反応領域におけるΔT(T−Tsalt)値が、多段熱制御を通じて提示した範囲内に制御されつつも歩留まりと選択率において却って優れた結果をみせた。比較例4と5は、高温点での温度の大きさが非常に大きく、触媒焼成温度に近いことから、触媒の劣化を引き起こすのみならず、高温点の近傍での高い温度により副反応が引き起こされるところ、長期間の運転時における歩留まりの低下につながり得る。特に、比較例4と5は、ΔT(T−Tsalt)値が、本願で提示した好ましい値(請求項13と請求項15)である110℃に近接するか、または超えた場合であって、二酸化炭素、酢酸等の副産物の増大により最終生産物のアクリル酸の歩留まりが1%以上落ちたことが分かる。
表3は、遮蔽板の挿入により伝熱が悪くなることを解決するための実験の結果を表している。実施例6は、遮蔽板が入っている位置に反応抑制層を挿入して実験を行った例である。比較例6は、反応抑制層の厚みが遮蔽板の厚みの10%であることを除いては、実施例6と同一である。比較例7は、遮蔽板の位置に反応抑制層を挿入していないことを除いては、実施例6と同一である。表3によく表しているように、伝熱が問題とされる遮蔽板の位置における温度制御が容易ではないことから、比較例6では、塩の温度に比べて67.4℃の温度上昇が、比較例7では、100.7℃の温度上昇が起こって、実施例6とは大差をみせ、比較例6と7でのTintf(遮蔽板の位置における触媒層の温度)がピーク層の温度に近接していることが分かる。これは、遮蔽板の近傍における伝熱が悪く、発熱反応による熱蓄積が主な原因であることと考えられる。反応抑制層を使用しないと、熱蓄積だけが問題とされることではなく、反応抑制層が十分に確保できていない比較例6と7から分かるように、最終製品であるアクリル酸の歩留まりも実施例6に比べて劣っている。これは、遮蔽板の位置での反応熱が逃げ難いため異常に温度が上昇し、結局のところ選択率が落ち、相対的に副産物の量が増大することを意味する。
本発明によれば、2段階で進められるオレフィンの酸化反応による不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造するに際して、改善された熱制御システムを提案して高負荷反応条件下でも先行技術の長所を十分に応用することができる構造の反応器システムを設計することができ、この熱制御システムを用いれば、高温点の発生または高温点での熱蓄積が抑えられ、その結果、高い生産性で不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造することができ、また、触媒を長寿命化することができる。
一つの接触管内において第1段階の反応及び第2段階の反応が順次に行われるパイロット反応器における触媒層の構造を示す模式図である。 二つの接触管からなるパイロット反応器の構造と接触管内の触媒層の構成を示す模式図である。第1段階の反応及び第2段階の反応がそれぞれ一つの反応器で行われ、第1段階の反応器における遮蔽板の位置が触媒層との境にある。 二つの接触管からなるパイロット反応器の構造と接触管内の触媒層の構成を示す模式図である。第1段階の反応及び第2段階の反応がそれぞれ一つの反応器で行われ、第1段階の反応器における遮蔽板の位置が触媒層との境ではない場合である。 二つの接触管からなるパイロット反応器の構造と接触管内の触媒層の構成を示す模式図である。第1段階の反応及び第2段階の反応がそれぞれ一つの反応器で行われ、遮蔽板が配設されていないパイロット反応器の構造を示している。
符号の説明
10: 第1段階の反応領域
11、12、21:シェル空間
13、30:遮蔽板
20:第2段階の反応領域
24:触媒層

Claims (14)

  1. シェルアンドチューブ型熱交換式反応器で固定層触媒部分酸化反応によりオレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する工程において、
    不飽和アルデヒドを主に製造する第1段階の反応領域と、不飽和酸を主に製造する第2段階の反応領域のうちの第1段階の反応領域を少なくとも1の遮蔽板で二つ以上の空間に区画し、
    区画された各シェル空間を、伝熱媒体で満たして等温または0〜5℃の温度差の範囲に保持させ、
    この時、複数個に区画されたシェル空間の伝熱媒体の温度を反応物の進行方向に沿って高くなるように設定し、
    第1段階の反応領域における遮蔽板で区画されたシェル空間を、軸方向に沿って領域1、領域2、領域3、・・・、領域Nのように称する時、
    Figure 0004762899
    であり、
    Figure 0004762899
    (Nは、2以上の整数である)であり、
    遮蔽板の配設位置は、一つ以上の温度ピークを含むように設定し、
    温度ピークは、反応器の入口または各段階の反応領域の前部、または異なる活性を有する隣接する触媒層の境の近傍で発生する、
    ことを特徴とする製造工程。
    [ここで、Th1は、第1のシェル空間に当たる触媒層での反応混合物の最高温度(触媒層の最高温度)を表し、ThNは、第Nのシェル空間に当たる触媒層での反応混合物の最高温度(触媒層の温度)を表す。また、Tsalt1は、第1のシェル空間に満たした伝熱媒体(溶融塩)の温度を表し、TsaltNは、第Nのシェル空間に満たした伝熱媒体の温度を表す。]
  2. シェルアンドチューブ型熱交換式反応器で固定層触媒部分酸化反応によりオレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する工程において、
    不飽和アルデヒドを主に製造する第1段階の反応領域と、不飽和酸を主に製造する第2段階の反応領域のうちの第1段階の反応領域を少なくとも1の遮蔽板で二つ以上の空間に区画し、
    区画された各シェル空間を、伝熱媒体で満たして等温または0〜5℃の温度差の範囲に保持させ、
    この時、複数個に区画されたシェル空間の伝熱媒体の温度を反応物の進行方向に沿って高くなるように設定し、
    遮蔽板が設けられる位置に当たる接触管内の位置に不活性物質単独または不活性物質と触媒との混合物からなる反応抑制層を備え
    遮蔽板の配設位置は、一つ以上の温度ピークを含むように設定し、
    温度ピークは、反応器の入口または各段階の反応領域の前部、または異なる活性を有する隣接する触媒層の境の近傍で発生する、
    ことを特徴とする製造工程。
  3. プロピレンからアクロレインとアクリル酸を製造する工程であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造工程。
  4. 隣接するシェル空間に満たされる伝熱媒体の温度差が0℃超過50℃以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造工程。
  5. 遮蔽板が配設される位置に当たる接触管内の位置に不活性物質単独または不活性物質と触媒との混合物からなる反応抑制層を備えることを特徴とする請求項1に記載の製造工程。
  6. 反応抑制層における不活性物質の触媒物質に対する体積比は、20%乃至100%であることを特徴とする請求項2またはに記載の製造工程。
  7. 反応抑制層の充填高さは、遮蔽板の厚みの20%乃至500%であることを特徴とする請求項2またはに記載の製造工程。
  8. 各段階の反応領域における不活性物質層または反応抑制層を除く触媒層として、一つの同一な活性層または二つ以上の相違する活性層を充填し、二つ以上の活性層を充填する時は、軸方向に沿って活性が増すように触媒充填層を構成することを特徴とする請求項1または2に記載の製造工程。
  9. 各シェル空間に充填された伝熱媒体の温度は、相互独立した制御が可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造工程。
  10. 反応器の入口から注入されるオレフィンの空間速度が50〜130hr−1であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造工程。
  11. Figure 0004762899
    であり、
    Figure 0004762899
    であることを特徴とする請求項1またはに記載の製造工程。
  12. 固定層触媒部分酸化反応によりオレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する工程に使用可能なシェルアンドチューブ型熱交換式反応器において、
    前記反応器は、一つ以上の接触管を含み、各接触管は、不飽和アルデヒドを主に製造する第1段階の反応領域と、不飽和酸を主に製造する第2段階の反応領域のいずれかを含むか、または双方を含み、第1段階の反応領域は、少なくとも1の遮蔽板で二つ以上の空間に区画され、区画された各シェル空間を、伝熱媒体で満たして等温または0〜5℃の温度差の範囲に保持し、この時、複数個に区画されたシェル空間の伝熱媒体の温度を反応物の進行方向に沿って高くなるように設定し、第1段階の反応領域における遮蔽板で区画されたシェル空間を、軸方向に沿って領域1、領域2、領域3、・・・、領域Nのように称する時、
    Figure 0004762899
    であり、
    Figure 0004762899
    (Nは、2以上の整数である)であり、
    遮蔽板の配設位置は、一つ以上の温度ピークを含むように設定し、
    温度ピークは、反応器の入口または各段階の反応領域の前部、または異なる活性を有する隣接する触媒層の境の近傍で発生する、
    ことを特徴とするシェルアンドチューブ型熱交換式反応器。
    [ここで、Th1は、第1のシェル空間に当たる触媒層での反応混合物の最高温度(触媒層の最高温度)を表し、ThNは、第Nのシェル空間に当たる触媒層での反応混合物の最高温度(触媒層の温度)を表す。また、Tsalt1は、第1のシェル空間に満たした伝熱媒体(溶融塩)の温度を表し、TsaltNは、第Nのシェル空間に満たした伝熱媒体の温度を表す。]
  13. Figure 0004762899
    であり、
    Figure 0004762899
    であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換式反応器。
  14. 固定層触媒部分酸化反応によりオレフィンから不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造する工程に使用可能なシェルアンドチューブ型熱交換式反応器において、
    前記反応器は、一つ以上の接触管を含み、各接触管は、不飽和アルデヒドを主に製造する第1段階の反応領域と、不飽和酸を主に製造する第2段階の反応領域のいずれかを含むか、または双方を含み、第1段階の反応領域は、少なくとも1の遮蔽板で二つ以上の空間に区画され、区画された各シェル空間を、伝熱媒体で満たして等温または0〜5℃の温度差の範囲に保持させ、この時、複数個に区画されたシェル空間の伝熱媒体の温度を反応物の進行方向に沿って高くなるように設定し、遮蔽板が配設される位置に当たる接触管内の位置に不活性物質単独または不活性物質と触媒との混合物からなる反応抑制層を備え、遮蔽板の配設位置は、一つ以上の温度ピークを含むように設定し、温度ピークは、反応器の入口または各段階の反応領域の前部、または異なる活性を有する隣接する触媒層の境の近傍で発生することを特徴とするシェルアンドチューブ型熱交換式反応器。
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