JP4762757B2 - 流体軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軸受隙間に形成される潤滑膜で軸部材を回転可能に支持する流体軸受装置に関するものである。
流体軸受装置は、その優れた回転精度、高速回転性、静粛性等を活かして、例えば、HDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、あるいは情報機器等の冷却ファンに用いられるファンモータなどの小型モータ用として使用されている。
例えば特許文献1に示されている流体軸受装置は、軸部材と、内周に軸部材が挿入された軸受部材(軸受スリーブ)と、内周に軸受部材が固定され、一端が開口したハウジングと、ハウジングの開口部に設けられたシール部材とを備える。軸部材が回転すると、軸受部材の内周面に形成されたラジアル軸受面と、軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に潤滑膜が形成され、これにより軸部材が回転自在に支持される。これと同時に、シール部材の内周面と軸部材の外周面との間にシール空間が形成され、軸受内部に充填された潤滑油の漏れ出しを防止している。このとき、ラジアル軸受面とシール空間とは軸方向に並べて配置される。なお、この流体軸受装置の軸受部材のラジアル軸受面には、動圧発生部として動圧溝が形成されているが、「軸受面」とは軸受隙間と面する部分のことを言い、この面に動圧発生部が形成されるか否かを問わないこととする(以下同様)。
特開2003−172336号公報 特開2005−155912号公報
ところで、近年では小型の情報機器に対する需要が高まっており、それに応じて、HDDの駆動装置等、ひいてはこれらに使用される軸受装置に対しても、小型化、薄型化が求められている。しかし、上記のような軸受装置では、シール空間は、潤滑油の温度変化に伴う体積変化を許容する容積を要するため、一定の軸方向寸法を必要とする。また、ラジアル軸受面は、軸受剛性を高めるため、軸方向でできるだけスパンを大きくして設けることが望ましい。このようなシール空間およびラジアル軸受面を軸方向に並べて配置することにより、軸受装置の軸方向の所要スペースが嵩む。
これに対し、例えば特許文献2には、スリーブのハウジング開口側端部に、ラジアル軸受隙間と軸方向に並べて設けられた第一のテーパシール部と、スリーブ側面に設けられた第二のテーパシール部を備えた軸受装置が示されている。この軸受装置では、熱膨張等による潤滑液の体積変化は、スリーブ側面に設けられた第二のテーパシール部で吸収するため、ラジアル軸受隙間と軸方向に並べて設けられた第一のテーパシール部は従来のシール部材のような軸方向寸法を必要とせず、軸受装置の軸方向寸法を縮小することができる。
しかし、特許文献2の軸受装置では、2箇所のテーパシール部で軸受内部の潤滑油が大気に開口するため、テーパシール部が一箇所にのみ設けられている特許文献1の軸受装置に比べ、衝撃荷重等により潤滑油が軸受装置の外部へ漏れ出す危険性が高い。潤滑油の漏れ出しは、周辺環境の汚染や、潤滑油不足による潤滑不良を招く恐れがある。
本発明の課題は、小型化、薄型化が可能であるとともに、潤滑油等の潤滑流体の漏れ出しを確実に防止できる流体軸受装置を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、内周面にラジアル軸受面を有する軸受部材と、軸受部材の内周に挿入され、軸部及びフランジ部を有する軸部材と、軸部材に固定され、円盤部、及び、円盤部から軸方向他端側に延在した円筒部を有するシール部材と、シール部材の円筒部の外周面で形成されたシール空間と、軸部材の外周面と軸受部材のラジアル軸受面との間に形成されるラジアル軸受隙間と、軸受部材の軸方向一端側の端面とシール部材の円盤部の端面との間に形成される第1のスラスト軸受隙間と、軸受部材の軸方向他端側の端面と軸部材のフランジ部の端面との間に形成される第2のスラスト軸受隙間とを備え、ラジアル軸受隙間、第1のスラスト軸受隙間、及び第2のスラスト軸受隙間に形成される潤滑膜で軸部材を回転自在に支持する流体軸受装置において、シール空間の少なくとも一部を、ラジアル軸受面の外径領域に配したことを特徴とする。
このように本発明の流体軸受装置では、一定の軸方向寸法が必要とされるシール空間の少なくとも一部を、ラジアル軸受面の外径領域に配した。これにより、シール空間の少なくとも一部をラジアル軸受隙間と径方向に重ねて配置することができるため、シール空間を設けることで軸受装置の軸方向の所要スペースが嵩むことを抑え、必要なシール空間容積を保ったまま、軸受装置の小型化、薄型化を図ることができる。
また、シール空間が一箇所のみに形成されるため、シール空間が複数箇所設けられるものと比べ、軸受内部に充填された潤滑油の漏れ出しをより確実に回避できる。
また、上記のように、軸受部材の両端面側にスラスト軸受隙間を設けることにより、二つのスラスト軸受隙間の軸方向スパンを大きくとることが可能であるため、軸受装置のモーメント剛性を向上させることができる。
上記のようなシール空間は、例えば、内周に軸受部材が固定されたハウジングの内周面と、シール部材の外周面との間に形成することができる。
以上のように、本発明によると、小型化、薄型化が可能であるとともに、潤滑流体の漏れ出しを確実に防止できる流体軸受装置を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る流体軸受装置の一例として動圧軸受装置1を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に非接触支持する動圧軸受装置1と、軸部材2に装着されたロータ(ディスクハブ)3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5を備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取付けられる。動圧軸受装置1のハウジング7は、ブラケット6の内周に装着される。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスクDが一枚または複数枚保持される。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それによって、ディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
図2は、上記スピンドルモータで使用される動圧軸受装置1の一実施形態を示すものである。この動圧軸受装置1は、有底筒状のハウジング7と、ハウジング7の内周に固定される軸受部材8と、軸受部材8の内周に挿入された軸部材2と、ハウジング7の開口部をシールするシール部材9とを主要な構成部品として備える。なお、以下説明の便宜上、ハウジング7の開口側を上側、その軸方向反対側を下側として説明を進める。
軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端で外径側に張り出したフランジ部2bとを一体または別体に有する。軸部2aの外周面は概ね円筒面状に形成され、シール部材9が固定される領域には環状溝2a1が形成され、ラジアル軸受部R1およびR2に対応する領域の中間部には、他の部分より僅かに小径な逃げ部2a2が形成される。この軸部材2は、全体をステンレス鋼等の金属材で形成する他、例えば軸部2aを金属製、フランジ部2bを樹脂製とした金属と樹脂のハイブリッド構造とすることもできる。
軸受部材8は、例えば銅を主成分とする焼結金属で円筒状に形成される。焼結金属には潤滑油が含浸されている。この他、中実の金属材料、例えば黄銅等の軟質金属で軸受部材8を形成することもできる。
軸受部材8の内周面8aには、ラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられる(図2にクロスハッチングで示す)。これら2つの領域には、図3に示すように、動圧発生部として、例えばヘリングボーン形状に配列した複数の動圧溝Gがそれぞれ形成される。上側の領域の動圧溝Gは軸方向で非対称に形成されており、該領域内では上側の動圧溝の軸方向長さX1が下側の動圧溝の軸方向長さX2よりも若干大きくなっている(X1>X2)。一方、下側の領域の動圧溝Gは軸方向対象に形成され、該領域内では上下の動圧溝Gの軸方向長さがそれぞれ等しい。
軸受部材8の上側端面8bおよび下側端面8cには、スラスト軸受面となる領域が形成され(図2にクロスハッチングで示す)、該領域には、動圧発生部として、例えば図4、図5に示すようなスパイラル状に配列した複数の動圧溝8b1、8c1が形成される。
軸受部材8の外周面の一箇所もしくは円周方向に等配した複数箇所には、潤滑油を循環させるための循環溝8dが軸方向に形成される。循環溝8dの両端は軸受部材8の両端面8b、8cに開口している。
ハウジング7は、円筒部7aと、円筒部7aの下端開口部を封口する底部7bとで構成される。円筒部7aの内周面は、小径内周面7a1と、大径内周面7a2と、両内周面7a1、7a2の境界面7a3とからなり、境界面7a3は軸方向と直交する方向の平坦面状に形成される。円筒部7aの外周面は、図1に示すブラケット6の内周面に圧入、接着、圧入接着等適宜の手段で固定される。
ハウジング7は、黄銅やアルミニウム合金等の軟質金属材料、あるいはその他の金属材料で形成される。加工方法は、適宜の機械加工が採用できるが、加工性やコストの観点から、鍛造で行うことが好ましい。
ハウジング7と軸受部材8との固定は、圧入や接着、あるいは圧入接着(接着剤の介在の下で圧入する)で行うことができる。ハウジング7と軸受部材8との固定面積は、ハウジング7の内周面に大径内周面7a2が形成されている分、内周面が円筒状に形成されるものと比べ狭くなるため、これらはなるべく強い固定力で固定されることが望ましい。上記のように、ハウジング7を金属製とすると、接着剤による接着性に優れているため、接着で固定される場合、金属製のハウジング7は軸受部材8との強固な固定が可能となる。
シール部材9は、円盤部9aと、円盤部9aの外径端から軸方向下向きに延在したシール部9bとで断面逆L字形に形成される。本実施形態では、円盤部9aの内周面9a2、シール部9bの内周面9b1および外周面9b2は、何れも円筒面状に形成される。
シール部材9は、各種金属材料、あるいは樹脂材料で形成される。金属材料としては、例えば黄銅やアルミニウム合金等の軟質金属材料が使用できる。また、樹脂材料としては、例えば射出成形でシール部材9が形成される場合、射出成形可能な樹脂材料であれば非晶性樹脂・結晶性樹脂を問わず使用可能で、例えば、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。もちろんこれらは一例にすぎず、軸受の用途や使用環境に適したその他の樹脂材料を使用することもできる。また、射出成形以外の加工方法で形成する場合は、その加工方法に適した樹脂材料を使用すればよい。上記の樹脂材料には、必要に応じて強化材(繊維状、粉末上等の形態は問わない)や潤滑剤、導電材等の各種充填材が一種または二種以上配合される。
シール部材9は、例えば、圧入や接着、あるいは圧入接着により、軸部材2の軸部2aの外周面に固定される。シール部材9が接着剤を介して固定される場合、軸部2aに形成された環状溝2a1が接着剤溜りとして作用することにより、より強い固定力が得られる。なお、シール部材9が接着剤を用いずに固定される場合、軸部2aの環状溝2a1は設けなくてもよい。
動圧軸受装置1の組立は、ハウジング7内に軸部材2を収容した後、ハウジング7の内周面に軸受部材8を固定し、さらに軸部材2の軸部2aの所定位置にシール部材9を固定することで行われる。その後、ハウジング7の内部空間に潤滑油を充満させれば、図2に示す動圧軸受装置1が得られる。組立後は、シール部材9の円盤部9aの下側端面9a1が軸受部材8の上側端面8bと当接し、シール部材9のシール部9bの下側端面がハウジング7の内周の境界面7a3と軸方向隙間11を介して対向している。
軸部材2の回転時には、軸受部材8の内周面8aのラジアル軸受面に形成された上下2箇所の動圧溝領域は、それぞれ軸部2aの外周面とラジアル軸受隙間を介して対向する。また、軸受部材8の上側端面8bのスラスト軸受面に形成された動圧溝領域がシール部材9の円盤部9aの下側端面9a1と第1のスラスト軸受隙間を介して対向し、軸受部材8の下側端面8cのスラスト軸受面に形成された動圧溝領域がフランジ部2bの上側端面と第2のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、軸部材2がラジアル軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが構成される。同時に、上記スラスト軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、軸部材2が第1および第2のスラスト軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってスラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが構成される。
シール部材9のシール部9bの外周面9b2は、ハウジング7の大径内周面7a2との間に所定の容積を持ったシール空間Sを形成する。このとき、シール空間Sの少なくとも一部は、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受面の外径領域に位置する。この実施形態において、ハウジング7の大径内周面7a2は、上方に向かって漸次拡径したテーパ面状に形成され、そのためシール空間Sは下方に向かって漸次縮小したテーパ形状を呈する。従って、シール空間S内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用により、シール空間Sが狭くなる方向に向けて引き込まれ、これによりハウジング7の開口部がシールされる。シール空間Sは、ハウジング7の内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能をも有し、油面は常時シール空間S内にある。
このように、シール空間Sの少なくとも一部をラジアル軸受面の外径領域に配することにより、シール空間Sの少なくとも一部とラジアル軸受面の形成領域とを径方向で重ねることができる。よって、シール空間Sを設けることにより、第1のラジアル軸受部R1の軸方向寸法や、2つのラジアル軸受部R1、R2の軸方向間隔が縮小することを抑えることができるため、軸受剛性を低下させることなく、軸受装置の薄型化を図ることができる。これにより、HDD装置の小型化・薄型化に対応することができる。
あるいは、上記の構成によると、軸受装置の軸方向寸法を増大させずに、軸受部材8の軸方向寸法を増すことができるため、2つのラジアル軸受部R1、R2間の間隔を長くすることにより、軸受剛性(特にモーメント剛性)を向上させることができる。これにより、HDD装置でのディスクの複数枚化に対応することが可能となる。
また、軸受内部の潤滑油が大気と接触するシール部が一箇所にのみ形成されるため、例えばシール部が複数形成されるものと比べ、潤滑油の漏れ出しの恐れが少ない。これにより、周辺環境の汚染や、潤滑油不良などを回避できる。
また、第1および第2のスラスト軸受隙間が軸受部材8の両端面側に設けられていることにより、各スラスト軸受隙間の軸方向スパンを大きくとることができるため、軸受装置のモーメント剛性を向上させることができる。
なお、ハウジング7の大径内周面7a2を円筒面とする一方、これに対向するシール部材9のシール部9bの外周面9b2をテーパ面状に形成してもよく、この場合、さらにシール空間Sに遠心力シールとしての機能も付与することができるのでシール効果がより一層高まる。
上述のように、第1ラジアル軸受部R1の動圧溝Gは軸方向非対称に形成されており、上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。そのため、軸部材2の回転時、動圧溝Gによる潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は上側領域が下側領域に比べて相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の差圧によって、軸受部材8の内周面8aと軸部2aの外周面との間のラジアル軸受隙間に満たされた潤滑油が下方に流動し、第2のスラスト軸受隙間(第2スラスト軸受部T2)→軸方向の循環溝8d→第1のスラスト軸受隙間(第1スラスト軸受部T1)という経路を循環して、ラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。
このように、潤滑油がハウジング7の内部を流動循環するように構成することで、ハウジング7の内部に満たされた潤滑油の圧力が局所的に負圧になる減少を防止して、負圧発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや振動の発生等の問題を解消することができる。この潤滑油の循環経路には、軸方向隙間11を介してシール空間Sが連通しているので、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合でも、気泡が潤滑油に伴って循環する際にこれらシール空間Sの潤滑油の油面(気液界面)から外気に排出され、気泡に悪影響はより一層効果的に防止される。なお、軸方向の循環溝8dはハウジング7の内周面に形成することもできる。
このような潤滑油の流動循環は、ラジアル軸受部R1、R2の動圧溝の長さを調整することで、上記と逆向きの循環とすることもできる。あるいは、特に動圧溝Gによる引き込み力の差圧が必要のない場合は、ラジアル軸受部R1、R2の何れの動圧溝も、それぞれの軸方向中心に関して対称な形状としてもよい。
以上の説明では、第1および第2ラジアル軸受部R1、R2の動圧発生部を軸受部材8の内周面に形成し、第1および第2スラスト軸受部T1、T2の動圧発生部を軸受部材8の上側端面8bおよび下側端面8cに形成した場合を例示している。このように軸受部材8に動圧発生部を形成するには、例えば、軸受部材8の圧縮成形に用いられる金型に動圧発生部の動圧溝等に対応する形状を成形しておき、この形状を圧縮成形と同時に軸受部材8に転写することにより行われる。この加工法によると、他の機械加工に比べ、比較的容易に、かつ高い精度で動圧発生部を形成することができるため、コストの低減および生産性の向上を図ることができる。
本発明は、上記に限られない。例えば、図6に示すように、シール部材9の円盤部9aの内径端に、軸方向に延在した固定部9cを設けると、シール部材9と軸部材2の軸部2aとの固定面積が拡大し、これらの固定力を向上させることができる。このとき、軸部2aの環状溝2a1の軸方向寸法を拡大すると、より多くの接着剤を保持することができ、さらなる固定力の向上を図ることができる。
また、第1のスラスト軸受部T1の位置は上記に限られず、例えばフランジ部2bの下端面2b2とハウジング7の内底面7b1とで第1のスラスト軸受部T1を構成してもよい(図示省略)。このとき、フランジ部2bの下端面2b2とハウジング7の内底面7b1との間に形成されたスラスト軸受隙間の油膜の動圧作用で、軸部材2がスラスト方向に支持される。この場合、軸受部材8の上端面8bとこれに対向するシール部材9の端面9a1との間の隙間は、上述の潤滑油の循環経路を構成する。この隙間の幅が潤滑油の循環を妨げるほど過小である場合は、循環を促すために、軸受部材8の上端面8b、あるいはシール部材9の端面9a1に径方向溝を設けてもよい。
以上の実施形態で示した動圧発生部は、それぞれと対向する面、すなわち軸部材2の軸部2aの外周面やシール部材9の円盤部9aの下側端面9a1、あるいは軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1に形成してもよい。
また、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2の動圧発生部として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝を例示しているが、これに限られない。例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、いわゆるステップ軸受や、波型軸受、あるいは多円弧軸受を採用することができ、スラスト軸受部T1、T2として、ステップ軸受や波型軸受を採用することができる。さらには、ラジアル軸受部R1、R2として、動圧発生部を有しない、いわゆる真円軸受を採用することもできる。このとき、軸受部材8の円筒状内周面8aがラジアル軸受面となり、対向する軸部材2の外周面2aとの間にラジアル軸受隙間を形成する。また、フランジ部を有さず、球面状の下端部を有する軸部材を用いて、スラスト軸受部をいわゆるピボット軸受で構成することもできる。また、スラスト軸受部T1、T2の何れかのみを形成、あるいは双方を省略してもよい。
また、以上の説明では、ハウジング7は軸受部材8との固定力を考慮して金属材料で形成されているが、固定力に問題がなければ、ハウジング7を樹脂材料で形成することができる。この場合、金属材料に比べ、低コスト化や軽量化が図られるという利点が得られる。ハウジング7に使用可能な樹脂材料は、上記のシール部材9の樹脂材料として例示したものと重複するため、説明を省略する。
また、以上の説明では、動圧軸受装置1の内部に充満する流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に動圧を発生させることができる流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等を使用することもできる。
本発明に係る流体軸受装置(動圧軸受装置1)を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの断面図である。 動圧軸受装置1の実施形態を示す断面図である。 軸受部材8の断面図である。 シール部材9のA−A線(図5参照)での断面図である。 シール部材9のB方向(図4参照)から見た平面図である。 動圧軸受装置1の他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 動圧軸受装置
2 軸部材
2a 軸部
2b フランジ部
7 ハウジング
8 軸受部材
9 シール部材
9a 円盤部
9b シール部
9c 固定部
G 動圧溝
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (2)

  1. 内周面にラジアル軸受面を有する軸受部材と、軸受部材の内周に挿入され、軸部及びフランジ部を有する軸部材と、軸部材に固定され、円盤部、及び、円盤部から軸方向他端側に延在した円筒部を有するシール部材と、シール部材の円筒部の外周面で形成されたシール空間と、軸部材の外周面と軸受部材のラジアル軸受面との間に形成されるラジアル軸受隙間と、軸受部材の軸方向一端側の端面とシール部材の円盤部の端面との間に形成される第1のスラスト軸受隙間と、軸受部材の軸方向他端側の端面と軸部材のフランジ部の端面との間に形成される第2のスラスト軸受隙間とを備え、ラジアル軸受隙間、第1のスラスト軸受隙間、及び第2のスラスト軸受隙間に形成される潤滑膜で軸部材を回転自在に支持する流体軸受装置において、
    シール空間の少なくとも一部を、ラジアル軸受面の外径領域に配したことを特徴とする流体軸受装置。
  2. 軸受部材をハウジングの内周面に固定し、シール部材の円筒部の外周面とハウジングの内周面との間に前記シール空間を形成した請求項1記載の流体軸受装置。
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