JP4760186B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム及びその製造方法、熱収縮性ラベル - Google Patents
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Description
しかし、ポリ塩化ビニル系フィルムは収縮特性には優れるが、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となるなどの問題を抱えている。また、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムをPET容器などの収縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用する際に、ラベルと容器を分離しなければならないという問題がある。
これらの問題のないポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムに代わる収縮ラベルとして非常に期待されており、PET容器の使用量増大に伴って、使用量も増加傾向にある。
通常、自動販売機では飲料は冷却あるいは加熱して販売されるが、加熱の場合、飲料が50〜60℃となるようにしている場合が多い。
このことから、最外層に滑り性の良好な薄膜層を有し、かつ、広い温度範囲において良好な滑り性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムが求められていた。
基層となる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、公知の多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分から形成されるエステルユニットを主たる構成ユニットとする単一の共重合ポリエステル、あるいは、2以上のポリエステルの混合物を用いて得られるものであり、10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの95℃の温湯に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が50%以上である。
熱収縮率(%)=(加熱前寸法−加熱後寸法)/加熱前寸法 × 100
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いられる原料組成物中のポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸のほか、芳香族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸のいずれもが用いられ得る。
原料組成物には、1種もしくはそれ以上のポリエステルが含有される。2種以上のポリエステルを混合する場合には、共重合ポリエステルおよびホモポリエステルの所望の組成の混合物とする。一般に共重合ポリエステルは融点が低いため、乾燥時の取扱いが難しい等の問題があるので、ホモポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)等)と共重合ポリエステルを混合して用いることが好ましい。
好適な実施様態としては、エチレンテレフタレートユニット、及びネオペンチルグリコールとテレフタル酸からなるユニット、1,4−シクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸からなるユニット、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸からなるユニット、1,3-プロパンジオールとテレフタル酸からなるユニット、エチレンイソフタレートのいずれか1種以上を含有するポリエステルで、より好適な実施様態としては、エチレンテレフタレートユニット、及びネオペンチルグリコールとテレフタル酸からなるユニット又は1,4−シクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸からなるユニット、及び1,4−ブタンジオールとテレフタル酸からなるユニットまたは1,3-プロパンジオールとテレフタル酸からなるユニットを含有するポリエステルとすることが挙げられる。
エチレンテレフタレートユニットを含有量を増加させたときのフイルム物性に与える影響としては、フィルムを強靭にし、耐熱性を上げる、また、破れ難くする効果が挙げられる。また、降伏点応力を増加させ、容器等へ装着した際、容器への密着性が得られる。
上記2軸延伸では縦横方向の延伸は同時に行なわれてもよく、どちらか一方を先に行ってもよい。延伸倍率は1.0倍から7.0倍の範囲で任意に設定され、所定の一方向の倍率を3.5倍以上とすることが好ましい。
延伸工程においては、フィルムを構成する重合体が有するガラス転移温度(Tg)以上でかつ例えばTg+80℃以下の温度で予熱を行なうことが好ましい。延伸時のヒートセットでは、例えば、延伸を行なった後に、30〜150℃の加熱ゾーンを約1〜30秒通すことが推奨される。また、フィルムの延伸後、ヒートセットを行なう前もしくは行なった後に、所定の度合で延伸を行なってもよい。さらに上記延伸後、伸張あるいは緊張状態に保ってフィルムにストレスをかけながら冷却する工程、あるいは、該処理に引き続いて緊張状態を解除した後も冷却工程を付加してもよい。得られるフィルムの厚みは6〜250μmの範囲が好ましい。
なかでも特にシリコーン樹脂が推奨される。シリコーン樹脂とはオルガノポリシロキサンが3次元的な網状構造をもつものをさし、ポリエステル系フィルム表面に易滑層として積層した後ロールとして巻き取った際、接触したフィルム裏面への転写が起こり難い。また、飲料ラベルとして使用する場合、印刷加工が施されるが、その際の印刷性の低下が少ない。更に、有機基としてメチル基を有するものは耐熱性に優れ、ホット飲料容器のラベルとしての使用にも適することから特に推奨される。シリコーン樹脂の中でも、特にポリジメチルシロキサン系の化合物が好ましい。
また、シリカ、チタニア、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、スチレンージビニルベンゼン系、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド、ベンゾグアナミン等の有機粒子、あるいはこれらの表面処理品等を添加することにより更に滑り性を向上させることができる。前記の有機粒子あるいは無機粒子は易滑層中あるいはベースフィルム中のいずれに添加してもよい。易滑層中に添加する場合は平均粒径0.1〜10.0μmのものを50〜4000ppmの範囲内で添加するのがよく、ベースフィルム中に添加する場合は平均粒径0.5〜30.0μmのものを100〜3000ppmの範囲内で添加するのが好ましいが、表面凹凸の生成などによりフィルムの透明性が低下する傾向にあるため、透明性の要求に応じて添加量をさらに適宜調整することが推奨される。
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。また、本発明におけるバインダーとして使用する樹脂は耐水性が必要であるため、本質的に水不溶性である必要がある。
特に、疎水性共重合ポリエステル樹脂を幹ポリマーとすることが好ましい。該ポリエステル樹脂を有機溶媒中でラジカル重合性単量体をグラフト重合し、水添加、有機溶媒留去することにより得られるグラフト重合反応物は、密着性、耐水性に優れる上、水分散樹脂の形態であり、作業環境面、塗布性の点からも好ましいことから推奨される。好ましい幹ポリマーのポリエステル樹脂構成成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、等の脂肪族ジカルボン酸成分等から選択される成分に加えて、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸等の重合性不飽和2重結合を有する成分を0.5〜10モル%程度含有することが好ましく、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等から選択される成分を含有することが好ましい。また、グラフト部位は重合性不飽和単量体から構成されるが、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等から選択される成分に加えてスチレン、α―メチルスチレン等のスチレン系化合物を含有することが好ましい。
塗布層は、延伸、乾燥後にフィルム上に存在する量としては0.001〜0.5g/m2が好ましく、より好ましくは0.002〜0.2g/m2である。0.001g/m2以下では、摩擦抵抗が大きくなり、0.5g/m2を超えると、フィルムの透明性の低下が発生する。
延伸したフィルムを10cm×10cmの正方形に、その一辺がフィルム流れ方向と平行になるように切り出し、これを95℃に加熱した水槽に10秒間浸漬した。10秒経過後、直ちに別途用意した25℃の水槽に20秒間浸漬した後、フィルムの主収縮方向の長さを測定し、加熱収縮率を求めた。なお、最も収縮した方向を主収縮方向とした。
収縮率(%)=(加熱前寸法−加熱後寸法)/加熱前寸法 × 100
フィルム面同士の動摩擦係数μd、変動幅RをJIS K−7125に準拠し、23℃・65%RH環境下で測定した。
また、高温下摩擦係数は、試験テーブルの温度を65℃とした。フイルムが収縮しないように縦横両方向を把持した状態にし、その他は上記と同様の方法で測定した。
TENSILON/UTM−IIIL(TOYO MEASURING INSTRUMENTS CO.LTD)を用いて、フィルムの主延伸方向(主収縮方向)と直角方向において、雰囲気温度23℃、チャック間を100mmとして、幅15mmのフィルム試験片を引張速度200mm/分で引張り試験を行い、引張応力−ゆがみ曲線を作成した。降伏点応力(単位:MPa)引張応力−ゆがみ曲線の初めの極大点部分を用いた。
温度30℃、相対湿度85%の環境下で、フィルムを2週間保存する。JISK 7127に準じ、保存後のフィルムの最大収縮方向と直交する方向についての引張試験を行う。試験片数は20とした。試験片長さ200mm、チャック間距離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張速度200mm/分の条件で行った。伸度5%以下で破断した試験片数を数え、全試験片数(20個)に対する百分率を求め、耐破れ性(%)とした。
(1)ポリエステル系樹脂及び未延伸フィルム
ポリエチレンテレフタレート60重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル30重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したポリエステル組成物(A)と、ポリエチレンテレフタレート20重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル70重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したポリエステル組成物(B)を、それぞれ別の2台の押し出し機に供給、280℃で溶融押し出しし、マルチマニホールドダイ方式により(A)が外層、(B)が内層となるよう、厚み1:2:1の割合で積層、2種3層として押し出しし、チルロールで急冷固化させて未延伸積層フィルムを得た。
ジメチルシリコーン樹脂(SE4005 日新化学研究所製)の固形分を塗布液中の全固形分中70重量%、共重合ポリエステル樹脂の水分散液(AGN709 東洋紡績製)の固形分を固形分中20重量%、アセチレングリコール誘導体(サーフィノール485 信越化学工業製)の固形分を固形分10重量%含む、IPA−水溶液を塗布液(塗布液―1) とした。
(1)で得た未延伸フィルムに(2)で調合した塗布液をファウンテン方式で塗布し、フィルム温度が70℃になるまで加熱した後、テンターで横方向に4.0倍延伸後、80℃で熱固定し、コート量0.01g/m2、厚み50μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
この延伸フィルムについて上記方法にて試験をおこなった結果を表1に示す。
ポリエチレンテレフタレート60重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル30重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したポリエステル組成物(A)中に平均粒径3μmの球状シリカを700ppm加えた他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。なお、該粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定した値である。
このフィルムについて上記方法にて試験をおこなった結果を表1に示す。
ジメチルシリコーン樹脂(SE4005 日新化学研究所製)の固形分を塗布液中の全固形分中70重量%、共重合ポリエステル樹脂の水分散液(バイロナールMD1500 東洋紡績製)の固形分を固形分中20重量%、ポリオキシアルキレン型界面活性剤(サーフSNウェット980 サンノプコ製)の固形分を固形分10重量%含む、IPA−水溶液を塗布液(塗布液―2)とした他はフィルム1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムについて上記方法にて試験をおこなった結果を表1に示す。
ポリエチレンテレフタレート20重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル70重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したポリエステル組成物(A)と、ポリエチレンテレフタレート60重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル30重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したポリエステル組成物(B)を、それぞれ、外層(A)、内層(B)とした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムについて上記方法にて試験をおこなった結果を表1に示す。
ポリエステル組成物(A)(B)いずれも、ポリエチレンテレフタレート60重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル30重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したものとした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムについて上記方法にて試験をおこなった結果を表1に示す。
ポリエステル組成物(A)(B)いずれも、ポリエチレンテレフタレート20重量%、テレフタル酸100モル%とネオペンチルグリコール30モル%とエチレングリコール70モル%とからなるポリエステル70重量%、およびポリブチレンテレフタレート10重量%を混合したものとし、塗布液をフィルム3と同様にした他は実施例1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムについて上記方法にて試験おこなった結果を表1に示す。
未延伸冷却フィルムに塗布液を塗布しなかった他はフィルム1と同様の方法で熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
このフィルムについて上記方法にて試験おこなった結果を表1に示す。
上記ラベルをFuji Astec Inc製スチームトンネル(型式:SH−1500−L)を用い、通過時間15秒、第1ゾーン温度70℃、第2ゾーン温度75℃、第3ゾーン温度82℃で、500mlのPETボトル飲料に熱収縮、装着した
フィルム5では収縮不足、フィルム6ではフィルムがずり上がり、適正に装着できなかった。
Claims (6)
- エチレンテレフタレートを主構成成分とし、エチレンテレフタレート単位を70モル%以上含有する熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレンテレフタレート単位が40モル%以上であり、全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%以上82モル%以下であるポリエステル樹脂からなる層(A)、及び全ポリエステル樹脂成分中、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレンテレフタレート単位が21モル%以上40モル%未満であり、全ポリエステル樹脂成分中、エチレンテレフタレート単位が72モル%未満であるポリエステル樹脂からなる層(B)を有し、層(A)が層(B)の両外層側に位置し、少なくとも一方の最外層に易滑層を有し、該易滑層中にシリコーン成分を含有しており、かつ、少なくともフィルムの一方の面同士の動摩擦係数が温度23℃・相対湿度65%の雰囲気下においてμd≦0.27、範囲R≦0.05、温度65℃においてμd≦0.30、範囲R≦0.10であり、95℃において主収縮方向の温湯収縮率が50%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 温度30℃、相対湿度85%の環境下で、フィルムを2週間保存後、JIS K7127に準じ、保存後のフィルムの最大収縮方向に対する直交方向において引張り試験を行なったときの伸度5%以下の試験片数に対する全試験片数(20個)に対する百分率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- JIS K7127に準じ、フィルムの最大収縮方向に対する直交方向において引張り試験を行ったときの引張り応力―歪み曲線における降伏点応力値が5.0MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 最外層のシリコーン成分含有層量が0.001〜0.5g/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムからなる熱収縮性ラベル。
- 溶融押出された未延伸ポリエステル系フィルムまたは一軸延伸ポリエステル系フィルムの少なくとも片面に、シリコーン成分を含有する塗布液を塗布した後、該塗布フィルムを更に二軸延伸、又は、一軸延伸することを特徴とする請求項1〜5に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
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