以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態について説明する。まず、本発明の第一実施形態による単体のフォトカプラーについて説明する。図1は本発明の第一実施形態による単体のフォトカプラー断面を示している。
図1示されるように、フォトカプラー100は、基板としてのシリコン基板101と、シリコン基板101に設けられた受光素子としてのフォトダイオード107と、フォトダイオード107と電気的に接続されている導電膜117と、シリコン基板101の上に設けられた酸化シリコン膜102と、酸化シリコン膜102の上に設けられたポリイミド膜103と、ポリイミド膜103の上に設けられた導電膜116と、ポリイミド膜103と導電膜116の上に設けられたポリイミド膜115と、ポリイミド膜115の上に配置された透明基板111と、透明基板111の上に設けられた光源としての面光源112とを備えている。
導電膜117は、出力パッド108と、出力パッド108とフォトダイオード107とを接続する配線を構成している。
導電膜116は、入力パッド106と、可動ミラー104と、可動ミラー104を支持するヒンジ105を構成している。可動ミラー104は、ヒンジ105によってシリコン基板101から離れて支持されている。可動ミラー104はシリコン基板101と共働して光変調素子の一形態である偏向ミラー素子を構成している。
ポリイミド膜103とポリイミド膜115は、スペーサーを構成し、可動ミラー104とフォトダイオード107とを囲んでいる。
面光源112は、例えば、EL(Electroluminescence)素子で構成される。また、透明基板111は、例えば、石英またはガラスで構成される。
フォトカプラー100は、さらに、透明基板111の下面(基板に向き合う面)に設けられた反射膜109を備え、反射膜109は開口部110を有し、面光源112と可動ミラー104は反射膜109の開口部110を通して対向している。フォトカプラー100は、さらに、反射膜109の開口部110内に、透明基板111に設けられたマイクロレンズ114を備えている。開口部110とマイクロレンズ114は、可動ミラー104に対向する位置に形成されている。
次に、フォトカプラー100の動作について説明する。
まず、シリコン基板101を接地し、面光源112に通電して、面光源112を発光させる。この状態では、図2に示されるように、面光源112から射出された光120は、開口部110を通り、可動ミラー104によって反射され、再び開口部110を通り、面光源112に戻されるだけであり、フォトダイオード107には入射しない。その結果、出力パッド108には電位は生じない。
次に、図3に示されるように、入力パッド106に所望の電圧を印加すると、この入力パッド106に接続されている可動ミラー104に、ヒンジ105を通して電圧が印加される。シリコン基板101は接地されているため、シリコン基板101と可動ミラー104の間に電位差が発生し、可動ミラー104が静電引力によってシリコン基板101の方向に引き寄せられる。つまり、可動ミラー104がシリコン基板101の側に変位する。
この状態では、面光源112から射出された光121は、開口部110を通り、可動ミラー104によって反射膜109の方向に反射され、さらに反射膜109によってシリコン基板101の方向に反射され、フォトダイオード107に入射する。フォトダイオード107に入射した光は、フォトダイオード107によって光電変換されて、出力パッド108に電位を発生する。
このように、入力パッド106へ電気信号を入力すると、この電気信号が面光源112と可動ミラー104によって光信号に変換され、この光信号がフォトダイオード107によって再び電気信号に変換されて出力パッド108に出力される。すなわち、面光源112と可動ミラー104とフォトダイオード107によってフォトカプラーが構成される。
本実施形態のフォトカプラー100は、従来のフォトカプラーと同様に、デジタル信号だけでなく、アナログ信号も伝達することができる。すなわち、図4に示されるように、可動ミラー104と反射膜109によって反射された光は、フォトダイオード107の表面に明領域181を形成する。この明領域181のうちフォトダイオード107上に位置する部分182がフォトダイオード107からの出力に寄与する。
入力パッド106に印加する電圧を変化させると、これに対応して可動ミラー104の変位角が変化する。その結果、部分182の面積すなわち出力パッド108に発生する電位の値が、入力電圧に応じて変化する。従って、本実施形態のフォトカプラー100は、入力パッドに入力される電気信号のON/OFF状態だけでなく、波形そのものを出力パッド108に伝える。
面光源112からの光はマイクロレンズ114や開口部110を通して可動ミラー104に入射する。マイクロレンズ114は、面光源112からの光を可動ミラー104に集光する機能を有し、光の利用効率向上や迷光の防止の効果がある。ただし、マイクロレンズ114は必ずしも必要ではない。
透明基板111とポリイミド膜103と115とシリコン基板101とで囲まれた空間は外部に対して密閉されている。この密閉された空間は、望ましくは、不活性ガスが充填された雰囲気または真空の雰囲気または減圧された雰囲気であるとよい。その場合、可動ミラー104とヒンジ105とフォトダイオード107の経時劣化が良好に防止される。
さらに、入力パッド106と出力パッド108はポリイミド膜103と酸化シリコン膜102によって電気的に分離されているため、パッド間で電気的な干渉は生じない。従って、従来のフォトカプラーと同様に一方の回路や装置を入力パッド106に接続し、他方の回路や装置を出力パッド108に接続することによって、入力側の装置や回路と出力側の装置や回路を独立に設計して接続することが可能となるほか、それぞれの装置や回路が発するノイズが相互に遮断される。
このようなフォトカプラー100によれば、光源となる発光素子をシリコン基板上に形成する必要がなく、また光源と他の構成要素間の精密な位置決めも不要なため、シリコン基板上にフォトカプラーをモノリシックかつ容易に形成することが可能となる。
次に、上記フォトカプラーをアレイ状に配置したフォトカプラーアレイについて説明する。図5は本発明の第一実施形態によるフォトカプラーアレイの斜視図であり、図6は、本発明の第一実施形態によるフォトカプラーアレイの分解斜視図である。
図5と図6に示されるように、フォトカプラーアレイ150は、基板としてのシリコン基板151と、シリコン基板151に設けられた複数の受光素子としてのフォトダイオード157と、フォトダイオード157に対応してシリコン基板151の上に設けられた複数の可動ミラー154と、シリコン基板151の上に設けられたスペーサーとしてのポリイミド膜153と、ポリイミド膜153の上に配置された透明基板161と、透明基板161の下面(シリコン基板151に向き合う面)に設けられた反射膜159と、透明基板161の上に設けられた光源としての面光源162とを備えている。
フォトダイオード157と可動ミラー154は同数であり、それぞれ一対一で対応している。ポリイミド膜153は、フォトダイオード157と可動ミラー154のそれぞれの組を囲んでおり、それぞれの組同士の間を空間的に分離している。反射膜159は、フォトダイオード157と可動ミラー154の組に対応した複数の開口部160を有している。つまり、開口部160はフォトダイオード157と可動ミラー154の組と同数であり、それぞれの組と一対一で対応している。面光源162とそれぞれの可動ミラー154とは反射膜159のそれぞれの開口部160を通して対向している。
フォトダイオード157と可動ミラー154と開口部160は、フォトカプラーを構成する主要な要素であり、一次元に配列されている。従って、フォトカプラーアレイ150は、一次元に配列された複数のフォトカプラーを含んでいる。
このようなフォトカプラーアレイ150において、各フォトカプラーの動作は前述した動作と同様であり、入力パッド156に入力された電気信号が、面光源162と可動ミラー154によって光信号に変換され、フォトダイオード157によって再び電気信号に変換されて出力パッド158に出力される。
隣接するフォトカプラーの間には、ポリイミド膜153によって隔壁が形成されており、隣接するフォトカプラー間のクロストークを防止している。面光源162は、複数個の可動ミラー154に対して一個実装すればよい。言い換えれば、複数のフォトカプラーが一個の面光源162を共有している。また、面光源162と他の構成要素間の高精度な位置決めは不要である。
このようなフォトカプラーアレイによれば、多数のフォトカプラーを一つのパッケージ内に高密度に実装することが可能になるため、装置の小型化が容易になる。また、本発明によるフォトカプラーとフォトカプラーアレイでは、面光源を除いたフォトカプラーの構成要素はシリコンMEMSの製造技術を用いて製造可能であるため、後述の第二実施形態で示されるように、多くのフォトカプラーを半導体集積回路チップ上にモノリシックに形成することが可能となる。
次に、本実施形態によるフォトカプラーの製造方法について図7〜図11を参照しながら簡単に説明する。
まず、図7に示されるように、シリコン基板131に不純物を拡散することによってフォトダイオード133を形成した後、基板表面に酸化シリコン膜132、フォトダイオード上へのコンタクトホール134、一層目の導電膜パターン135、パッド開口部136を形成する。フォトダイオード133はコンタクトホール134を介して導電膜パターン135と接続される。導電膜パターン135はアルミニウムなどで構成され、配線と出力パッドとなる。
次に、図8に示されるように、シリコン基板131の表面全面に一層目のポリイミド膜137を成膜した後、二層目の導電膜パターン138を形成する。この二層目の導電膜パターン138は可動ミラーとヒンジと入力パッドとなる。導電膜パターン138は、導電膜パターン135と同様にアルミニウムでも構成されてもよいが、ミラーやヒンジを構成するため、光源の発する光の波長に対して反射率が高く、塑性変形し難い材料で構成されることが望ましく、例えば、白金やチタン、モリブデン、タングステン、ニッケルなどで構成されるとよい。
次に、図9に示されるように、一層目のポリイミド膜137の表面に二層目のポリイミド膜139を成膜した後、入力パッド部分のポリイミド膜を除去する。さらに、ポリイミド膜139の表面にポリイミド膜のエッチングマスク140を形成する。このエッチングマスク140は、PCVD(Plasma Assisted Chemical Vapor Deposition)法によって形成した酸化シリコン膜などをパターニングすることによって形成する。
次に、図10に示されるように、一層目のポリイミド膜137と二層目のポリイミド膜139をRIE(Reactive Ion Etching)によってエッチングする。ここで、エッチングに使用する酸素ガスの圧力を高めに設定することによって、ポリイミド膜の深さ方向だけでなく横方向にもエッチングを進行させることができる。このようなエッチング条件を採用することによって、二層目の導電膜パターン138の一部について、その下層にあるポリイミド膜も同時に除去され、可動ミラーとヒンジがリリースされる。
次に、図11に示されるように、エッチングマスク140を除去した後、シリコン基板131をダイシングしてチップに分離する。続いて、ポリイミド膜139の表面にガラスなどの透明基板143を接着する。この透明基板143にはマイクロレンズ144と反射膜141と開口部142をあらかじめ形成しておく。ここで、透明基板143の接着は、不活性雰囲気中あるいは減圧雰囲気中で行なうことが望ましい。
最後に、透明基板143の表面に透明接着剤を用いて面光源を接着することによって、フォトカプラーが完成する。
以上のようなフォトカプラーの製造方法によれば、可動ミラーやフォトダイオードなど、微細な加工が必要な構成要素をMEMS製造技術によって形成することが可能である。このため、本実施形態のフォトカプラーアレイを低コストかつ大量に生産することが可能となる。
上述した本発明の第一実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、様々な変形がなされてもよい。例えば、可動ミラーや透明基板の支持にポリイミド膜を使用する例を示したが、絶縁性材料であれば、シリコーン樹脂などの他の樹脂材料や、酸化シリコン膜などの無機材料を使用してもよい。また、面光源としてEL素子以外に蛍光パネルや発光ダイオード、半導体レーザーなど、他の光源を使用してもよい。また、透明基板にはガラス板のほか、光源の発する光を透過する他の材料を使用してもよく、例えば光源に赤外光源を使用する場合は、ガラス板の代わりにシリコン基板を使用してもよい。またフォトダイオードの代わりにフォトトランジスターなどの他の素子を使用してもよい。また光源からの光をフォトダイオードに向けるために片持ち式の可動ミラーを使用する例を示したが、DMD(Digital Micromirror Device)素子や櫛型アクチュエーターなどの他のアクチュエーターを使用した素子、またはシリコン基板を加工することによって形成するいわゆるバルクマイクロマシン製造技術によって形成される素子など、他の光偏向素子を使用してもよく、また光偏向素子以外に光バルブ素子などを使用してもよい。また、一次元状の可動ミラーアレイと一次元状のフォトダイオードアレイを用いた構成例を示したが、これには限定されず、二次元状のアレイを用いてもよい。また、シリコン基板にフォトダイオードを形成して受光素子を構成する例を示したが、ガラス基板にシリコン膜を形成して、このシリコン膜にフォトダイオードを形成してもよい。その場合、大型の基板が使用できるほか、液晶パネルなどにフォトカプラーをモノリシックに形成することが可能となる。
<第二実施形態>
本実施形態は、第一実施形態のフォトカプラーアレイの応用例であるフォトカプラー内蔵型半導体集積回路に向けられている。より詳しくは、第一実施形態のフォトカプラーアレイを用いて1チップで様々な装置のシーケンス制御を行なうことが可能なシーケンサチップに向けられている。図12は、本発明の第二実施形態によるシーケンサチップの斜視図であり、図13は、本発明の第二実施形態によるシーケンサチップの分解斜視図である。
図12と図13に示されるように、シーケンサチップ200は、入出力パッド209と集積回路202が形成された半導体基板としてのシリコン基板201と、シリコン基板201の上に設けられたフォトカプラーアレイ下部基板210と211と、シリコン基板201の上に設けられたスペーサーとしてのポリイミド膜216と、ポリイミド膜216の上に配置されたガラス基板などの透明基板205と、透明基板205の下面(シリコン基板201に向き合う面)に設けられた反射膜206と、透明基板205の上に設けられた光源としてのEL素子などの面光源208とを備えている。
フォトカプラーアレイ下部基板210と211は、第一実施形態と同様に、フォトカプラーの主要な要素である、可動ミラーとヒンジとフォトダイオードとを備えている。可動ミラーとヒンジとフォトダイオードのそれぞれの組はアレイ状に配列されており、それぞの組はポリイミド膜によって互いに空間的に分離されている。
反射膜206は、可動ミラーとフォトダイオードの組に対応した開口部であるスリット207を有し、面光源208とそれぞれの可動ミラーとは反射膜206のスリット207を通して対向している。
集積回路202は、一般的なシーケンサに含まれる、入出力インターフェース回路、メモリー、CPUコア、タイマー、カウンターなどの回路から構成される。
フォトカプラーの構成と動作は、第一実施形態と同様であるため、その説明はここでは省略する。
次に、本実施形態によるシーケンサチップの動作を説明する。図14は、本発明の第二実施形態によるシーケンサチップのブロック図である。
図14に示されるように、シーケンサチップは、複数の入力端子282と、入力端子282に接続された第一フォトカプラーアレイ291と、第一フォトカプラーアレイ291に接続された集積回路293と、集積回路293に接続された第二フォトカプラーアレイ292と、第二フォトカプラーアレイ292に接続された複数の出力端子283とを備えている。
第一フォトカプラーアレイ291は一次元状に配列された複数のフォトカプラー280を含み、第一フォトカプラーアレイ291はそれぞれ入力端子282と接続されている。第二フォトカプラーアレイ292は一次元状に配列された複数のフォトカプラー281を含み、フォトカプラー281はそれぞれ出力端子283と接続されている。
集積回路293は、第一フォトカプラーアレイ291と接続された入力インターフェース回路284と、入力インターフェース回路284と接続された制御回路285と、制御回路285と接続されたメモリー286と、制御回路285と接続された出力インターフェース回路287とを含んでいる。
フォトカプラー280と281は、図13に示された、可動ミラーとヒンジとフォトダイオードが形成されたフォトカプラーアレイ下部基板210と211と、面光源208と、スリット207を有する反射膜206が下面に設けられた透明基板205とから構成される。入力端子282と出力端子283は、図13に示された入出力パッド209に対応している。集積回路293は、図13に示された集積回路202対応している。
このようなシーケンサチップにおいては、各々の入力端子282のON/OFF状態は、対応するフォトカプラー280を介して入力インターフェース回路284内のメモリー(図示せず)に記憶される。制御回路285は、CPU(Central Processing Unit)とタイマーとカウンターなどから構成され、メモリー286にあらかじめ格納されたプログラムに従い、入力インターフェース回路284に記憶された入力端子のON/OFF状態に対して、各々の出力端子283のON/OFF状態の設定を行なう。制御回路285によって設定された出力端子の状態は、出力インターフェース回路287によって、対応するフォトカプラー281を介して出力端子283に出力される。
ここで、本シーケンサチップの製造方法は、シリコン基板に集積回路を形成した後、第一実施形態と同様に、フォトカプラーアレイ部を形成することによって完成する。ここで、集積回路は通常の半導体技術を用いて容易にシリコン基板に形成することができる。
以上、説明したように、本実施形態によれば、一個の半導体集積回路チップ内部にシーケンサの構成要素をすべて集積することができる。このため、小型ロボットなど、部品の実装スペースの小さい機器にシーケンサを組み込むことが可能となる。また、すべての構成要素をMEMS製造技術によって形成・実装することが可能であるため、大量のチップを安価に生産することが可能である。
上述した本発明の第二実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、様々な変形がなされてもよい。例えば、光源からの光をフォトダイオードに向けるために片持ち式の可動ミラーを使用する例を示したが、DMD(Digital Micromirror Device)素子や櫛型アクチュエーターなどの他のアクチュエーターを使用した素子、またはシリコン基板を加工することによって形成するいわゆるバルクマイクロマシン製造技術によって形成される素子など、他の光偏向素子を使用してもよく、また光偏向素子以外に光バルブ素子などを使用してもよい。また、可動ミラーや透明基板の支持にシリコーン樹脂などの他の樹脂材料や、酸化シリコン膜などの他の無機材料を使用してもよい。また、透明基板にはガラス板のほかに、光源の発する光に対して透明な他の材料を使用してもよい。また、受光素子にフォトダイオードを使用する例を示したが、フォトトランジスターなど他の素子を使用してもよい。また、シーケンサへの応用例について示したが、これ以外にもシリコン基板に形成されるあらゆる集積回路に応用することが可能である。この場合には、集積回路と入出力パッド間をフォトカプラーを介して接続するほかに、集積回路を構成する回路同士をフォトカプラーを介して接続してもよい。これにより、回路間の相互干渉を防止することが可能になる。また光源としてEL素子を使用する例を示したが、蛍光パネルや発光ダイオード、半導体レーザーなど、他の光源を使用してもよい。また、一次元状の可動ミラーアレイと一次元状のフォトダイオードアレイを用いた構成例を示したが、これには限定されず、二次元状のアレイを用いてもよい。さらに、基板にシリコン基板を使用する例を示したが、ガラス基板にシリコン膜を形成して、このシリコン膜にフォトダイオードや集積回路を形成してもよい。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
本発明は、ひとつには、フォトカプラーに向けられており、以下に記す各項のフォトカプラーを含んでいる。
1. 本発明のフォトカプラーは、基板と、基板に設けられた受光素子と、基板の上に設けられた光変調素子と、受光素子と光変調素子とを囲むように基板の上に設けられたスペーサーと、スペーサーの上に配置された透明基板と、透明基板の下面(基板に向き合う面)に設けられた反射膜と、透明基板の上に設けられた光源とを備え、反射膜は開口部を有し、光源と光変調素子は反射膜の開口部を通して対向している。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、光変調素子への入力信号を、発光素子と光変調素子によって光信号に変換したのち、受光素子によって再び電気信号に変換する。すなわち、発光素子と光変調素子と受光素子とによって、フォトカプラーの機能を実現する。
2. 本発明の別のフォトカプラーは、第1項に記載のフォトカプラーにおいて、基板がシリコン基板である。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、光変調素子や受光素子を、MEMS(Micro Electromechanical System)技術によって形成することが可能であるため、低いコストで量産することが可能となる。
3. 本発明の別のフォトカプラーは、第2項に記載のフォトカプラーにおいて、受光素子がフォトダイオードである。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、受光素子がMEMS技術によってシリコン基板に形成可能なフォトダイオードで構成される。
4. 本発明の別のフォトカプラーは、第2項に記載のフォトカプラーにおいて、受光素子がフォトトランジスターである。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、受光素子がMEMS技術によってシリコン基板に形成可能なフォトトランジスターで構成される。
5. 本発明の別のフォトカプラーは、第2項に記載のフォトカプラーにおいて、変調素子が偏向ミラー素子である。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、変調素子がMEMS技術によってシリコン基板の上に形成可能な偏向ミラー素子で構成される。
6. 本発明の別のフォトカプラーは、第2項に記載のフォトカプラーにおいて、変調素子が光バルブ素子である。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、変調素子がMEMS技術によってシリコン基板の上に形成可能な光バルブ素子で構成される。
7. 本発明の別のフォトカプラーは、第1項に記載のフォトカプラーにおいて、光源が面光源である。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、光変調素子の形成範囲と同等の大きさの光源を使用することによって、ビームスプリッターやレンズなどの光学部品を使用することなく、光源からの光を、フォトカプラーを構成するすべての光変調素子に直接入射させることができる。従って、部品点数や実装寸法の縮小が可能となる。
8. 本発明の別のフォトカプラーは、第1項に記載のフォトカプラーにおいて、基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が真空の雰囲気である。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、フォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
9. 本発明の別のフォトカプラーは、第1項に記載のフォトカプラーにおいて、基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が減圧された雰囲気である。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、フォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
10. 本発明の別のフォトカプラーは、第1項に記載のフォトカプラーにおいて、基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が不活性ガスが充填された雰囲気である。
このフォトカプラーは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーでは、フォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
本発明は、ひとつには、少なくとも一次元に配列された複数のフォトカプラーを含むフォトカプラーアレイに向けられており、以下に記す各項のフォトカプラーアレイを含んでいる。
11. 本発明のフォトカプラーアレイは、基板と、基板に設けられた複数の受光素子と、受光素子に対応して基板の上に設けられた複数の光変調素子と、基板の上に設けられたスペーサーと、スペーサーの上に配置された透明基板と、透明基板の下面(基板に向き合う面)に設けられた反射膜と、透明基板の上に設けられた光源とを備え、スペーサーは受光素子と光変調素子のそれぞれの組を囲んでおり、反射膜は受光素子と光変調素子の組に対応した複数の開口部を有し、光源とそれぞれの光変調素子とは反射膜のそれぞれの開口部を通して対向している。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイは、基本的に、複数個の光変調素子と複数個の受光素子と一個の光源とから構成されている。光源の集積化は一般には困難であるが、このフォトカプラーアレイでは、複数のフォトカプラーが一個の光源を共有するため、多数のフォトカプラーをコンパクトに集積化することが可能である。
12. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第11項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、基板がシリコン基板である。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、光変調素子や受光素子を、MEMS(Micro Electromechanical System)技術によって形成することが可能であるため、低いコストで量産することが可能となる。
13. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第12項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、受光素子がフォトダイオードである。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、受光素子がMEMS技術によってシリコン基板に形成可能なフォトダイオードで構成される。
14. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第12項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、受光素子がフォトトランジスターである。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、受光素子がMEMS技術によってシリコン基板に形成可能なフォトトランジスターで構成される。
15. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第12項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、変調素子が偏向ミラー素子である。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、変調素子がMEMS技術によってシリコン基板の上に形成可能な偏向ミラー素子で構成される。
16. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第12項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、変調素子が光バルブ素子である。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、変調素子がMEMS技術によってシリコン基板の上に形成可能な光バルブ素子で構成される。
17. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第11項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、光源が面光源である。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、光変調素子の形成範囲と同等の大きさの光源を使用することによって、ビームスプリッターやレンズなどの光学部品を使用することなく、光源からの光を、フォトカプラーアレイを構成するすべての光変調素子に直接入射させることができる。従って、部品点数や実装寸法の縮小が可能となる。
18. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第11項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が真空の雰囲気である。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、個々のフォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
19. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第11項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が減圧された雰囲気である。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、個々のフォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
20. 本発明の別のフォトカプラーアレイは、第11項に記載のフォトカプラーアレイにおいて、基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が不活性ガスが充填された雰囲気である。
このフォトカプラーアレイは第一実施形態と第二実施形態に対応している。このフォトカプラーアレイでは、個々のフォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
本発明は、ひとつには、少なくとも一つのフォトカプラーを含むフォトカプラー内蔵型半導体集積回路に向けられており、以下に記す各項のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路を含んでいる。
21. 本発明のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、集積回路が形成された半導体基板と、半導体基板に設けられた少なくとも一つの受光素子と、受光素子に対応して半導体基板の上に設けられた少なくとも一つの光変調素子と、半導体基板の上に設けられたスペーサーと、スペーサーの上に配置された透明基板と、透明基板の下面(半導体基板に向き合う面)に設けられた反射膜と、透明基板の上に設けられた光源とを備え、受光素子と光変調素子のそれぞれの組は互いに空間的に分離されており、反射膜は受光素子と光変調素子の組に対応した複数の開口部を有し、光源とそれぞれの光変調素子とは反射膜のそれぞれの開口部を通して対向している。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、外部接続用端子や集積回路をフォトカプラーを使用して相互に接続することによって、外部端子と半導体集積回路間および半導体集積回路間を互いに電気的に分離した状態で信号の受け渡しを行なう。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、フォトカプラーを半導体集積回路チップ内部に形成することによって、複数個のフォトカプラーを含むシステムをチップ内部に集積化することが可能である。
22. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第21項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、半導体基板がシリコン基板である。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、光変調素子や受光素子を、MEMS(Micro Electromechanical System)技術によって形成することが可能であるため、低いコストで量産することが可能となる。
23. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第22項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、受光素子がフォトダイオードである。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、受光素子がMEMS技術によってシリコン基板に形成可能なフォトダイオードで構成される。
24. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第22項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、受光素子がフォトトランジスターである。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、受光素子がMEMS技術によってシリコン基板に形成可能なフォトトランジスターで構成される。
25. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第22項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、変調素子が偏向ミラー素子である。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、変調素子がMEMS技術によってシリコン基板の上に形成可能な偏向ミラー素子で構成される。
26. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第22項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、変調素子が光バルブ素子である。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、変調素子がMEMS技術によってシリコン基板の上に形成可能な光バルブ素子で構成される。
27. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第21項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、光源が面光源である。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、光変調素子の形成範囲と同等の大きさの光源を使用することによって、ビームスプリッターやレンズなどの光学部品を使用することなく、光源からの光を、フォトカプラーを構成するすべての光変調素子に直接入射させることができる。従って、部品点数や実装寸法の縮小が可能となる。
28. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第21項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、半導体基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が真空の雰囲気である。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、フォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
29. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第21項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、半導体基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が減圧された雰囲気である。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、フォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
30. 本発明の別のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は、第21項に記載のフォトカプラー内蔵型半導体集積回路において、半導体基板とスペーサーと透明基板とで囲まれた空間が不活性ガスが充填された雰囲気である。
このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路は第二実施形態に対応している。このフォトカプラー内蔵型半導体集積回路では、フォトカプラーや半導体集積回路の寿命や耐環境性能が向上する。
100…フォトカプラー、101…シリコン基板、102…酸化シリコン膜、103…ポリイミド膜、104…可動ミラー、105…ヒンジ、106…入力パッド、107…フォトダイオード、108…出力パッド、109…反射膜、110…開口部、111…透明基板、112…面光源、114…マイクロレンズ、115…ポリイミド膜、116…導電膜、117…導電膜、131…シリコン基板、132…酸化シリコン膜、133…フォトダイオード、134…コンタクトホール、135…導電膜パターン、136…パッド開口部、137…ポリイミド膜、138…導電膜パターン、139…ポリイミド膜、140…エッチングマスク、141…反射膜、142…開口部、143…透明基板、144…マイクロレンズ、150…フォトカプラーアレイ、151…シリコン基板、153…ポリイミド膜、154…可動ミラー、156…入力パッド、157…フォトダイオード、158…出力パッド、159…反射膜、160…開口部、161…透明基板、162…面光源、181…明領域、182…部分、200…シーケンサチップ、201…シリコン基板、202…集積回路、205…透明基板、206…反射膜、207…スリット、208…面光源、209…入出力パッド、210…フォトカプラーアレイ下部基板、211…フォトカプラーアレイ下部基板、216…ポリイミド膜、280…フォトカプラー、281…フォトカプラー、282…入力端子、283…出力端子、284…入力インターフェース回路、285…制御回路、286…メモリー、287…出力インターフェース回路、291…第一フォトカプラーアレイ、292…第二フォトカプラーアレイ、293…集積回路。