JP4756619B2 - 定着装置及び該定着装置を有するカラー画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び該定着装置を有するカラー画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材とを有し、互いに色の異なる複数のトナー像を重ね合わせて成る定着すべき重ね合わせトナー像を担持した記録材を、該重ね合わせトナー像が前記定着部材に接する向きにして、回転する定着部材と加圧部材の間のニップを通過させて該重ね合わせトナー像を加熱すると共に加圧して当該トナー像を記録材に定着する定着装置、及びその定着装置を有するカラー画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成されるカラー画像形成装置に上記形式の定着装置を採用することは従来より周知である。この定着装置は、加熱された定着部材と、加圧部材とを回転させながら、両者の間に形成されたニップに、重ね合わせトナー像を担持した記録材を通過させ、その通過時にトナーを加熱溶融させ、当該トナー像を記録材上に融着させるものである。
【0003】
上述のようにして記録材上に定着されたカラー画像が得られるが、従来はそのカラー画像の見栄えを高めるため、当該カラー画像に高い光沢度が要求され、通常、30乃至40%程の光沢度が必要であるとされていた。かかる高い光沢度のカラー画像が得られるように、従来の定着装置においては、記録材が定着部材と加圧部材の間のニップを通過するとき、その記録材に担持されたトナーを液状にまで溶融させ、トナーを定着部材の外周面に密着させてトナー像を記録材上に定着していた。
【0004】
ところが、上述のように記録材上のトナーに対して高熱を加えて当該トナーを液状にまで溶融させると、その溶融トナーの粘着性が高まり、ニップを出た記録材が定着部材の外周面から分離せずにその外周面に巻き付いてしまうおそれがあった。特に最近は、地球環境問題への意識の高揚から、パルプの使用量が少なく製紙時の二酸化炭素発生量も少ない薄紙の使用の要望が高まっているが、かかる薄紙は、腰が弱いため、記録材として薄紙を用いると、定着部材の外周面への記録材の巻き付きが発生しやすくなる。
【0005】
そこで、従来は、定着部材の外周面に、例えばシリコーンオイルより成る離型剤を多量に塗布し、ニップを出た記録材を定着部材外周面から分離しやすくすることにより、記録材の定着部材への巻き付きを防止していた。例えば、A4サイズの記録材に対して、10mgほどのシリコーンオイルを定着部材の外周面に塗布するのが普通であった。
【0006】
ところが、上述のように定着部材外周面に多量の離型剤を塗布すると、その離型剤が記録材上に多量に移行して付着するので、記録材の画像面への加筆性が低下する。すなわち、その画像面にボールペンなどによって加筆するとき、画像面に多量の離型剤が付着しているため、画像面へのインクの乗りが悪くなり、思うように加筆することができなくなるのである。しかも、定着動作時に多量の離型剤が消費されるので、画像形成装置のメンテナンスに関する費用が嵩む欠点も免れない。
【0007】
また、ニップを出た記録材を定着部材の外周面から分離するための分離部材を設けると、記録材が定着部材に巻き付く不具合を抑制できる。ところが、分離部材の先端部分が定着部材の外周面に当接することにより、定着部材外周面が摩耗し、その表面に微小な傷が付けられ、これによってトナー像の定着時に定着部材の傷に対応する跡がトナー像に付けられる。記録材に担持された単色トナー像を定着してモノクロ画像を得るモノクロ画像形成装置の場合には、トナー像に多少の跡が形成されても、完成したモノクロ画像の光沢度が低いため、その跡が目立たず、見かけ上の画質が劣化することはない。ところが、定着後の画像がカラー画像である場合には、その光沢度が高いため、わずかな跡であってもこれが大変目立ち、その画質が大きく低下する。
【0008】
上述のように、カラー画像形成装置に用いられる定着装置には、もっぱらモノクロ画像だけを形成するモノクロ画像形成装置の定着装置には見られない特有の問題があり、従来よりその解決が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、定着部材に離型剤を塗布せず、或いはその塗布量を少なくし、しかも記録材として薄紙を用いたときも、記録材が定着部材に巻き付く不具合を効果的に抑制でき、しかも高品質なカラー画像を得ることのできる冒頭に記載した形式の定着装置を提供することを第1の目的とし、かかる定着装置を有する画像形成装置を提供することをその第2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、冒頭に記載した形式の定着装置において、少なくともバインダー樹脂、着色剤及び前記バインダー樹脂の流動開始温度よりも低い融点のワックスを含有するトナーを用い、前記ニップを出た記録材を前記定着部材の外周面から分離するための分離部材を設け、該分離部材は、その少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分が、使用可能な最も薄い記録材の厚さ以下の厚さに設定され、かつ少なくとも当該先端部分がふっ素樹脂を含有する材料により構成された分離シートより成り、該分離シートの少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分を、記録材搬送方向に対して直交する向きに引張るテンション付与手段を設けたことを特徴とする定着装置を提案する(請求項1)。
また、上記請求項1に記載の定着装置において、定着後のカラー画像の光沢度が5乃至20%となるように、前記重ね合わせトナー像に対する温度条件と加圧条件を設定すると有利である(請求項2)。
【0014】
さらに、本発明は、上記第1の目的を達成するため、冒頭に記載した形式の定着装置において、少なくともバインダー樹脂、着色剤及び前記バインダー樹脂の流動開始温度よりも低い融点のワックスを含有するトナーを用い、定着後のカラー画像の光沢度が5乃至20%となるように、前記重ね合わせトナー像に対する温度条件と加圧条件を設定し、前記ニップを出た記録材を前記定着部材の外周面から分離するための分離部材を設け、前記定着部材を、複数のガイド部材に巻き掛けられた無端状の定着ベルトにより構成すると共に、前記記録材が前記ニップを出る側の定着ベルト部分を案内するガイド部材を、定着ベルトの内周面が接触する固定ガイド部材により構成し、前記分離部材と前記固定ガイド部材とを連結部材によって一体に固定連結したことを特徴とする定着装置を提案する(請求項3)。
【0015】
また、上記請求項3に記載の定着装置において、前記固定ガイド部材の少なくとも定着ベルト内周面に接する部分が架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成されていると有利である(請求項4)。
【0016】
さらに、上記請求項1乃至4いずれかに記載の定着装置において、前記分離部材は、その少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分が、架橋ふっ素樹脂を含有する分離シートにより構成されていると有利である(請求項5)。
【0017】
また、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置において、前記分離部材は、その少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分が、多孔質ふっ素樹脂より成る分離シートにより構成されていると有利である(請求項6)。
【0018】
また、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置において、前記記録材が前記ニップに進入する側の定着部材外周面部分に対向して配置された入口シート部材を設け、該入口シート部材と前記分離部材と定着装置のケーシングとが前記定着部材のまわりを取り囲んでおり、定着部材の最外層の表層と、該定着部材の外周面を向いた入口シート部材の先端部分のうちの少なくとも一方が、架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成されていると有利である(請求項7)。
【0019】
さらに、本発明は、前記第2の目的を達成するため、請求項1乃至7のいずれかに記載の定着装置を有することを特徴とするカラー画像形成装置を提案する(請求項8)。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。先ず、本発明を適用可能なカラー画像形成装置と、定着装置の基本構成を明らかにする。
【0021】
図1はカラー画像形成装置の一例を示す概略図である。ここに示したカラー画像形成装置は、記録材上に重ね合わせトナー像を形成する作像手段1と、その重ね合わせトナー像を記録材上に定着する定着装置2とを有している。図1においては、定着装置2を単なるブロックで示してあるが、その具体的構成は後に詳しく説明する。
【0022】
図1に示した作像手段1は、ドラム状の感光体として構成された第1乃至第4の像担持体3Y,3M,3C,3BKを有し、その各像担持体上にイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。第1乃至第4の像担持体3Y乃至3BKに対向して転写ベルト4が配置され、この転写ベルト4は、駆動ローラ5と従動ローラ6に巻き掛けられて矢印A方向に走行駆動される。
【0023】
第1乃至第4の各像担持体3Y,3M,3C,3BK上にトナー像を形成する構成と、その作用は実質的に全て同一であるため、第1の像担持体3Yにトナー像を形成する構成だけを説明する。この像担持体3Yは図1における時計方向に回転駆動され、このとき帯電ローラ7によって像担持体表面が所定の極性に均一に帯電される。次いでその帯電面に、レーザ書き込みユニット8から出射する光変調されたレーザビームLが照射される。これによって像担持体3Y上に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置9によってイエロートナー像として可視像化される。
【0024】
一方、図示していない給紙部から、例えば転写紙から成る記録材Pが給送され、その記録材Pが、矢印Bで示すように、像担持体3Yと転写ベルト4の間に送り込まれ、転写ベルト4に担持されて搬送される。転写ベルト4を挟んで、像担持体3Yにほぼ対向する位置には転写ローラ10が配置され、その転写ローラ10に対し、像担持体3Y上のトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、これによって像担持体3Y上のイエロートナー像が記録材P上に転写される。記録材Pに転写されず、像担持体3Y上に残された転写残トナーは、クリーニング装置11によって除去される。
【0025】
全く同様にして、第2乃至第4の像担持体3M,3C,3BK上にマゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像が、イエロートナー像の転写された記録材P上に順次重ね合されて転写される。このようにして記録材P上には、4色のトナー像が重ね合わされた重ね合わせトナー像が形成されるが、各色のトナー像を記録材上に形成する順序は、上述した例に限られず、適宜選択することができる。また記録材P上に形成する重ね合わせトナー像は、4色に限られず、2以上の色のトナー像であればよい。
【0026】
上述のようにして4色の重ね合わせトナー像を担持した記録材Pは、矢印Cで示すように定着装置2に送り込まれ、このときその重ね合わせトナー像が記録材P上に定着されて、カラー画像、この例ではフルカラー画像が形成される。定着装置2を通過した記録材は、図示していない排紙トレイ上に排出される。或いは、この記録材Pが、表裏を反転されて図示していない中間給紙装置に送り込まれ、ここから再び作像手段1に給送され、既にカラー画像の形成された一方の面と反対側の他方の面に、各像担持体3Y,3M,3C,3BKから各色のトナー像を順次転写される。引き続きこの記録材Pが定着装置2を通過することにより、その他方の面に形成された重ね合わせトナー像が当該記録材の他方の面に定着され、次いでその記録材Pは排紙トレイ上に排出される。
【0027】
図2は定着装置2の拡大断面図であり、ここに示した定着装置2は熱ローラタイプの定着装置であり、定着ローラ12として構成された定着部材と、この定着ローラ12に圧接した加圧ローラ13として構成された加圧部材とを有し、これらのローラ12,13が互いに圧接することによりニップNが形成される。定着ローラ12は時計方向に回転し、加圧ローラ13は反時計方向に回転する。このように、定着部材と加圧部材は互いに逆方向に回転する。
【0028】
両ローラ12,13の圧接したニップNは、加熱手段によってトナー像の定着に適した適正温度に制御される。この例では、定着ローラ12と加圧ローラ13の内部に熱源としてのハロゲンヒータ14,15がそれぞれ設けられ、図示していない温度制御装置によって、ヒータ14,15への通電がON,OFF制御され、ニップNの温度が適正温度に保たれる。
【0029】
前述のように、色の異なる複数のトナー像を重ね合わせて成る重ね合わせトナー像Tを担持した記録材Pは、矢印Cで示すように定着装置2に送り込まれ、当該記録材Pは、そのトナー像Tが定着ローラ12の表面に接する向きにしてニップNを通過し、このとき熱と圧力によりトナー像が記録材P上に定着される。トナーが溶融して、記録材上に融着するのである。このようにして、記録材上に定着されたカラー画像が得られる。
【0030】
定着ローラ及び加圧ローラは適宜な形態に構成できるものであるが、図2に示した定着ローラ12は、アルミニウムなどの剛体より成る円筒状のベース部材16と、その外周面に固定された例えばシリコーンゴムより成る弾性層17と、さらにその外周面に積層された表層18より成る。加圧ローラ13は、剛体より成るベース部材19と、その外周面に積層された表層20により構成されている。このように、定着ローラ12が弾性層17を有していると、ニップNを通過する記録材上の溶融したトナー像を定着ローラ12の外周面に密着させることができ、完成したカラー画像の光沢度を均一化でき、その画質を向上させることが可能となる。
【0031】
図3に示す定着装置2は、その加圧ローラ13が、剛体より成るベース部材19と、その外周面に固定された例えばシリコーンゴムより成る弾性層21と、その外周面に積層された表層20より成り、その他の点は図2に示した定着装置と変りはない。図3における図2と同様な部分には、図2に付した符号と同一の符号を付してある。
【0032】
図4に示した定着装置2においては、定着部材が無端状の定着ベルト12Aにより構成され、この定着ベルト12Aは、2つのガイドローラ22,23より成るガイド部材に巻き掛けられている。ガイド部材の数は3以上であってもよい。一方、加圧部材は、図2に示した定着装置の場合と同様に円筒状に形成された加圧ローラ13により構成されている。加圧ローラ13は、定着ベルト12Aを介して一方のガイドローラ22に圧接しており、これにより加圧ローラ13の外周面が定着ベルト12Aの外周面に圧接し、その圧接によりニップNが形成される。ガイドローラ22,23と加圧ローラ13はそれぞれ矢印方向に回転し、これによって定着ベルト12Aが矢印D方向に回転駆動される。定着ベルト12Aと加圧ローラ13はこの場合も、時計方向と反時計方向の逆方向に回転する。
【0033】
また、図4に示した定着装置2においては、ガイドローラ23と加圧ローラ13の内部にヒータ14A,15が設けられ、これらのヒータ14A,15によって定着ベルト12Aと加圧ローラ13が加熱され、該ヒータ14A,15への通電がON,OFF制御されて、ニップNの温度が重ね合わせトナー像Tの定着に適した適正温度に保たれる。
【0034】
この例の場合も、図1に示した作像手段1によって形成されたトナー像、すなわち互いに色の異なる複数のトナー像を重ね合わせて成る定着すべきトナー像Tを担持した記録材Pが、矢印Cで示すように、そのトナー像Tが定着ベルト12Aの表面に接する向きにして、回転する定着ベルト12Aと加圧ローラ13との間のニップNを通過し、このとき熱と圧力の作用によりトナーが溶融してトナー像Tが記録材P上に定着される。
【0035】
図4に示したガイドローラ22は、ベース部材41と、その外側面に積層された弾性層42とを有し、加圧ローラ13は図2に示した加圧ローラと同じく、ベース部材19、表層20とによって構成されている。
【0036】
図5に例示した定着装置2は、定着部材が無端状の定着ベルト12Bにより構成され、この定着ベルト12Bは、2つのガイドローラ22A,23Aと、不動に固定された固定ガイド部材24より成る複数のガイド部材に巻き掛けられ、各ガイドローラ22A,23Aはそれぞれ矢印方向に回転し、定着ベルト12Bは矢印D方向に回転駆動される。これにより、定着ベルト12Bは、その内周面が固定ガイド部材24に摺接する。
【0037】
加圧部材は、図3に示した加圧ローラと同様に構成された加圧ローラ13より成り、この加圧ローラ13は、矢印方向に回転しながら、定着ベルト12Bを介して固定ガイド部材24とガイドローラ22Aに圧接し、これにより加圧ローラ13の外周面が定着ベルト12Bの外周面に圧接し、ニップNが形成される。この場合も、定着ベルト12Bと加圧ローラ13は逆方向に回転する。
【0038】
ガイドローラ23Aと加圧ローラ13の内部にはヒータ14B,15が設けられ、これらのヒータ14B,15によって定着ベルト12Bと加圧ローラ13が加熱され、ニップNの温度が重ね合わせトナー像Tの定着に適した温度に保たれる。図1に示した作像手段1により記録材P上に形成された重ね合わせトナー像Tを担持した記録材Pは、この場合もそのトナー像Tが定着ベルト12Bに接する向きにして、矢印Cで示すようにニップNを通過し、このとき熱と圧力によりトナーが溶融し、トナー像Tが記録材P上に定着される。
【0039】
図4及び図5に示した定着ベルト12A,12Bは、図6に拡大して示すように、例えばポリイミドより成るベース部材16Aと、その表面に固定された弾性層17Aと、さらにその外周面に積層された表層18Aより成る。
【0040】
図2乃至図5に示した定着装置2においては、加圧部材が加圧ローラ13により構成されているが、この加圧部材をガイド部材に巻き掛けられて回転駆動される無端状の加圧ベルトにより構成することもできる。
【0041】
以上、本発明を適用可能な画像形成装置と、定着装置の具体例を説明したが、そのいずれの定着装置も、加熱される定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材とを有し、互いに色の異なる複数のトナー像を重ね合わせて成る定着すべき重ね合わせトナー像を担持した記録材を、その重ね合わせトナー像が定着部材に接する向きにして、回転する定着部材と加圧部材の間のニップを通過させて重ね合わせトナー像を加熱すると共に加圧して当該トナー像を記録材に定着するように構成されている。
【0042】
ここで、この形式の従来の定着装置においては、記録材上のトナー像がニップを通るとき、そのトナーが熱によって溶融するので、溶融トナーが粘着剤として作用し、ニップを出た記録材が定着部材の外周面に巻き付き、これによって記録材のジャムが発生するおそれがあった。かかるトナーの粘着性を定量的に把握するため、本発明者は、図10に示した装置を用いて以下に説明する実験を行った。
【0043】
図10において、ホットプレート25の上に、4色のトナー像を重ね合わせた未定着の重ね合わせトナー像Tを担持した記録材Pを載置し、その記録材Pの上に、内部に設けられたヒータ14によって加熱された定着ローラ12を、破線で示した位置から実線で示した位置まで転動させ、通常の定着装置と同じ加熱加圧条件で定着ローラ12の外周面をトナー像Tに接触させ、そのトナーを溶融させた。このとき、溶融したトナーによって記録材Pが矢印E方向に引き上げられる力を、記録材Pの一端に接続したフォースゲージ26によって測定し、溶融トナーの粘着力と、定着後のカラー画像の光沢度の関係を調べた。その結果を図11に示す。この実験では、定着ローラ12の外周面に離型剤は塗布されていない。
【0044】
図11中の実線Fは、バインダー樹脂と着色剤を有しているが、ワックスは含有しないトナーを用い、定着ローラ12を記録材Pに対して200mm/secの相対速度で移動させたときの結果であり、実線Gは、同じくワックスを含有しないトナーを用い、定着ローラ12を記録材Pに対して100mm/secの相対速度で移動させたときの結果である。また実線Hは、バインダー樹脂と着色剤のほかに4%のワックスを含有したトナーを用い、定着ローラ12を記録材Pに対して200mm/secの相対速度で移動させたときの結果を示し、実線Iは4%のワックスを含有したトナーを用い、定着ローラ12を記録材Pに対して100mm/secの相対速度で移動させたときの結果を示している。
【0045】
ここで、実線F,Gと、実線H,Iを比較すれば明らかなように、ワックス入りのトナーを用いたときの方が、ワックスを含有しないトナーを用いた場合よりも、トナーの粘着力が弱くなる。これは、定着ローラ12とホットプレート25により形成されるニップ中に存在するトナーのワックスの融点は、バインダー樹脂の流動開始温度よりも低いので、バインダー樹脂が溶融する前に、ワックスが溶融して析出し、そのワックスがトナーと定着ローラ12との間に作用する粘着力を弱める働きをなすものと考えられる。
【0046】
さらに、注目すべきことは、実線H,Iから判るように、ワックス入りのトナーを用いた場合、定着後のカラー画像の光沢度が20%以下であると、定着時に溶融したトナーの温度があまり高くならないため、その粘着力が急激に低下し、光沢度が20%を越えると、定着時に溶融したトナーの温度が非常に高くなって、その粘着力が急激に上昇する点である。すなわち、ワックスを含有したトナーを用い、定着後のカラー画像の光沢度が20%以下となるように、定着ローラ12の温度等を制御すれば、記録材Pが定着ローラ12に巻き付くことを効果的に防止することができるのである。
【0047】
上述した知見に基づき、図2乃至図6に示した定着装置においては、少なくともバインダー樹脂、着色剤及び前記バインダー樹脂の流動開始温度よりも低い融点のワックスを含有するトナーが用いられていると共に、定着後のカラー画像の光沢度が5乃至20%となるように、定着時の重ね合わせトナー像に対する温度条件と加圧条件が設定されている。この構成により、定着ローラ12又は定着ベルト12A,12Bより成る定着部材の外周面に離型剤を塗布せず、又は極く少量、例えばA4サイズの記録材に対して5mg程度の離型剤を塗布するだけで、ニップNを出た記録材Pが、定着部材の外周面に巻き付くことを効果的に防止することができる。
【0048】
ところで、前述のように、従来は定着後のカラー画像の光沢度は、30乃至40%程必要であると考えられていた。ところが、最近は、コンピュータの普及により、文字と写真が混在するカラービジネス文書が増加したことに伴い、従来の銀塩写真のような高い光沢度(30乃至40%)よりも低い光沢度(20%以下)のカラー画像が望まれるようになりつつある。従って、前述のように、カラー画像の光沢度が5乃至20%であれば、その画質が劣化することはなく、むしろ、最近の低光沢度のカラー画像に対する要望に応えたカラー画像を供することができる。しかも、カラー画像の光沢度を下げると、定着部材の摩耗により、カラー画像に多少の光沢度のばらつきが生じるようになっても、そのばらつきが目立たなくなり、安定した光沢のカラー画像を得ることが可能となる。このようにして、定着部材への記録材の巻き付きを防止し、かつ高品質なカラー画像を得ることができるのである。
【0049】
ところが、上述した構成を採用しただけであると、記録材として、例えば秤量70g/m(厚さ82μm)以下のような薄紙を使用した場合には、その腰が弱いため、ニップNを出た記録材Pが定着部材の外周面に巻き付くおそれがある。そこで、図2乃至図6に示した定着装置2においては、ニップNを出た記録材Pを定着部材の外周面から分離するための分離部材27が設けられている。この分離部材27は、定着部材の外周面を向いた側の先端部分27Aが、定着部材の外周面に接触するか、又は例えば0.3mm以下の微小ギャップJがあけられるように定着部材の外周面に対置される。分離部材27を定着部材の外周面に対してこのように配置すると、前述の各構成との相乗効果によって、定着部材に離型剤を塗布せず、又はその塗布量を少なくし、しかも記録材Pが薄紙より成るときも、ニップNを出た記録材が定着部材の外周面に巻き付いて記録材のジャムが発生する不具合を防止できる。定着部材外周面に多量の離型剤を塗布したことにより生じる従来の欠点を阻止することができるのである。
【0050】
ところで、上述のように分離部材27の先端部分27Aを定着部材外周面に接触させた場合だけでなく、分離部材27を定着部材外周面に近接して配置した場合も、その定着部材や分離部材27が熱膨張することにより、分離部材27の先端部分27Aが定着部材の外周面に接触することがあり、これによって定着部材外周面と分離部材27の先端部分27Aが経時的に摩耗する。定着部材外周面の摩耗が著しくなり、その表面に傷が付けられると、記録材上のトナーがニップNを通過するとき、そのトナー像に定着部材の傷に対応する跡が付けられる。カラー画像の場合には、この跡が大変目立ち、その画質が劣化する。従って、長期に亘って定着部材外周面の摩耗を抑えることができるように構成することが重要である。本例の定着装置においては、この要求に応えるため、次の各構成が採用されている。
【0051】
先ず、耐摩耗性に優れた材料としては、架橋ふっ素樹脂が挙げられる。この架橋ふっ素樹脂は、原子力研究所から提案された(参考文献:大島,放射線化学62号(1996)『ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)の放射線架橋』)技術を開発委託された日立電線が実用化した技術である(参考文献:草野ら,日立電線技報No.20(2001.1)『架橋ふっ素樹脂材料及び応用製品』)。これは、酸素の少ない雰囲気でふっ素樹脂を融点直上に加熱し、電離性の放射線を照射することで、従来架橋できなかったふっ素樹脂を架橋させ、大幅に耐摩耗性に優れた材料とする技術である。しかも、この架橋ふっ素樹脂は、従来ふっ素樹脂が有する低摩擦、高離型、耐熱性を維持することができるため、摺動部に使用した場合、それ自体及び相手部材を摩耗させることが少なく、かつ異物も付着し難いため長期に安定した使用が可能となる。
【0052】
上述した知見に基づき、図2乃至図6に示した定着装置においては、定着部材の最外層の表層18,18Aと、該定着部材の外周面を向いた分離部材27の先端部分27Aのうちの少なくとも一方が、架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成されている。架橋ふっ素樹脂を含有する材料とは、架橋ふっ素樹脂のみ、又は架橋ふっ素樹脂と他の物質より成る材料を意味する。
【0053】
図2及び図3に示した定着装置2の場合には、分離部材27の先端部分27Aと、定着ローラ12の表層18のうちの少なくとも一方を、架橋ふっ素樹脂を含有する材料によって構成し、図4乃至図6に示した定着装置2の場合には、分離部材27の先端部分27Aと定着ベルト12A,12Bの表層18Aのうちの少なくとも一方を、架橋ふっ素樹脂を含有する材料によって構成する。かかる構成を採用することにより、定着部材の外周面の耐摩耗性を高め、長期に亘って定着部材外周面に傷が付けられることを防止でき、これによって高品質なカラー画像を得ることができる。
【0054】
定着部材の表層18,18Aを架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成すると、摩耗に対する負荷を定着部材の全周の広い面積で受け持つことができるため、定着部材の耐摩耗性を向上させる効果を特に高めることができる。
【0055】
また、架橋ふっ素樹脂は離型性に優れた材料であるため、定着部材の表層18,18Aを、かかる架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成することによって、ニップNを出た記録材Pが定着部材の外周面に巻き付くことをより一層確実に防止することが可能となり、しかもトナーが定着部材の外周面に付着することも防止できる。
【0056】
定着部材の表面を架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成するには、例えば、定着部材の最外周部にふっ素樹脂層を形成した後、これに放射線照射を行い、架橋ふっ素樹脂より成る表層18,18Aを形成することもできるが、この方法によると、大掛かりな製造装置が必要となる。
【0057】
そこで、図2、図3及び図6に例示したように、定着部材が、少なくともベース部材16,16Aと、そのベース部材16,16Aの外側に設けられた弾性層17,17Aと、該弾性層17,17Aの外側に設けられた表層18,18Aとを有している場合、弾性層17,17Aの外周面に、架橋ふっ素樹脂の粉末と溶融可能な他のふっ素樹脂を塗布し、これらを加熱して表層18,18Aを形成すると、簡単に、架橋ふっ素樹脂を含有する材料より成る表層18,18Aを備えた定着部材を製造することができる。より具体的に示すと、定着部材の製造時に、ベース部材16,16Aの外周面に弾性層17,17Aを固定した後、架橋ふっ素樹脂の粉末と、溶融可能な他のふっ素樹脂の粉末の混合体を弾性層17,17Aの外周面に塗布し、次いでこれを加熱して他のふっ素樹脂粉末を溶融し、弾性層17,17Aの外周面に膜形成を行い、架橋ふっ素樹脂を含有する材料より成る表層18,18Aを形成する。この表層18,18Aの厚さは、例えば20乃至30μm程度とすることができる。その際、表層18,18Aの平滑性を高めることができるように、他のふっ素樹脂として、これが溶融したときに優れた流動性を示すPFA,MFA,FEPなどを用いることが好ましい。
【0058】
また、定着部材の表層と分離部材の先端部分の少なくとも一方が架橋ふっ素樹脂を含有する構成に代え、又はこの構成と共に、図2乃至図5に示したように、分離部材27の少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分27Aが、使用可能な最も薄い記録材Pの厚さt1以下の厚さt2に設定され、かつ少なくともその先端部分27Aがふっ素樹脂を含有する材料により構成された分離シート127によって分離部材27を構成してもよい。これにより定着部材の摩耗を長期に亘って防止することが可能となる。
【0059】
上述のように、分離部材27として、少なくとも先端部分27Aの厚さt2が薄い分離シート127を用いると、定着部材と加圧ローラとの間の狭い空間に先端部分27Aを差し込んだ状態で、その先端部分を定着部材の外周面に近接して配置できるので、分離シート127を定着部材外周面に近接させ、両者間のギャップJを維持することが可能となる。またその先端部分27Aが定着部材の外周面に接触しても、その先端部分27Aの厚さt2が薄いので、その当接圧は弱く、定着部材の外周面が早期に摩耗してその外周面に傷が付けられることを防止できる。しかも、分離シート127の先端部分27Aは、ふっ素樹脂を含有する材料、すなわちふっ素樹脂のみ、又はこれに他の物質が含まれた材料により構成されているので、その離型性が高く、ここにトナーが固着することを防止できる。分離シート127の先端部分にトナーが固着し、これが大きく成長すると、その固着トナーによって定着部材の表面に傷が付けられるおそれがあるが、分離シート127の先端部分27Aをふっ素樹脂を含有する材料で構成することにより、かかる不具合を阻止できる。このようにして、長期に亘って高品質なカラー画像を得ることができるのである。
【0060】
図7及び図8は、図2及び図3に示した定着ローラ12に対して、上述の如く構成された分離シート127を位置決めするための一構成例を示している。図7に示すように、分離シート127の長手方向各端部、すなわち記録材の搬送方向に対して直交する向きの分離シート各端部に、当接部材29がそれぞれ固定され、その各当接部材29は、ねじ30を介して、支持部材31に支持されている。この支持部材31は、圧縮ばねなどからなる加圧部材32によって定着ローラ12の表面に向けて加圧されている。これにより、両当接部材29が定着ローラ12の表面に圧接する。その際、図8にも示すように、両当接部材29は定着ローラ12の記録材非通過領域PA、すなわち記録材Pが通過しない定着ローラの長手方向各端部領域に当接する。これにより、記録材が通過する領域、すなわち記録材通過領域PBに対向した分離シート127の先端部分27Aと、定着ローラ12の表面との間のギャップJを正しく保つことが可能となり、また定着ローラ12の膨張などによって分離シート127の先端部分27Aが定着ローラ12の外周面に接触したとしても、その接触圧を極く小さなものにすることができ、定着ローラ12の表面の摩耗を効果的に抑えることができる。当接部材29と分離シート127とを別部材とし、これらを接着剤などによって固定してもよいし、これらを予め一体の成形品により構成し、当接部材29と分離シート127が一つの部片となるように構成することもできる。
【0061】
また、図9に示すように、定着ローラ12の記録材非通過領域PAに、他の定着ローラ部分よりもわずかに径が大きくなった環状突部43を設け、その各環状突部43に当接部材29をそれぞれ当接させても、上述した構成と同じ効果を奏することができる。
【0062】
定着部材が図4及び図5に示した定着ベルト12A,12Bより成るときも、上述したところと全く同様に当接部材29を定着ベルト12A,12Bの表面の記録材非通過領域に当接させることによって、分離シート127と定着ベルト12A,12Bの表面との間のギャップJを規制し、或いは分離シート127と定着ベルトとの当接圧を小さくすることができる。
【0063】
上述のように、記録材搬送方向に対して直交する向きの分離シートの各端部に、その分離シートと定着部材外周面との間のギャップを保つための当接部材を設け、該当接部材を定着部材外周面の記録材非通過領域に当接させることにより、定着部材表面に傷がつけられる不具合を効果的に抑えることができる。その際、少なくとも定着部材外周面に接触する当接部材部分と、その当接部材29が当接する定着部材の外周面部分のうちの少なくとも一方が、架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成されていると有利である。前述のように、架橋ふっ素樹脂は耐摩耗性に優れた材料であるため、この構成を採用することによって、ギャップJを保ち、或いは分離シート127の先端部分27Aが定着部材に弱い当接圧で接触することを長期に亘って保証することができる。
【0064】
また分離部材27を、上述のように分離シート127によって構成した場合、その分離シート127の少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分27Aを、記録材搬送方向に対して直交する向きに引張るテンション付与手段を設けることが望ましい。図7及び図9に示した分離シート127は、その長手方向各端部が当接部材29にそれぞれ固定され、その両当接部材29がねじ30を介して支持部材31に支持されているが、そのねじ30を回すことにより、分離シート127を矢印方向に引張り、これに張力を付与することができる。このように、ねじ30は分離部材を引張るテンション付与手段の一例を構成している。この構成は、定着部材が定着ベルトより成るときも同様に採用できるものである。
【0065】
上述のように、分離シート127に張力を付与すると、ニップを出た記録材Pが分離シート127に突き当たったとき、その分離シート127が記録材を剥離するのに必要な剛性を示す。分離シート127は、その先端部分27が定着部材外周面に接触したときは、その当接圧を小さく留め、記録材Pを分離するときは、大きな剛性を示し、記録材Pが定着部材の外周面に巻き付くことを確実に防止することができるのである。
【0066】
図5に示した定着装置2においては、先にも説明したように、定着部材が、複数のガイド部材に巻き掛けられた無端状の定着ベルト12Bにより構成されていると共に、記録材PがニップNを出る側の定着ベルト部分を案内するガイド部材は、定着ベルト12Bの内周面が接触する固定ガイド部材24により構成されているが、このような不動に固定された固定ガイド部材24を用いると、記録材PがニップNを出る側、すなわち出口側の定着ベルト部分の曲率半径を小さく設定することができる。例えば、図5に符号Xで示した出口側の定着ベルト部分の曲率半径を10mm以下に設定でき、これによりニップNを出た記録材Pを定着ベルト12Aからより一層分離しやすくなる。
【0067】
その際、分離部材27を上述の如き固定ガイド部材24に対して位置決めすることが好ましい。例えば、分離部材27と固定ガイド部材24とを図示していない連結部材によって一体に固定連結して、分離部材27を固定ガイド部材24に対して位置決めするのである。固定ガイド部材24は不動に固定されているので、かかるガイド部材24に対して分離部材27を位置決めすれば、定着ベルト12Bに対する分離部材27の相対位置精度を高めることができ、両者間の微小なギャップJを保ち、或いは分離部材27が定着ベルト12Bの外周面に接触したとしても、その接触圧を極く弱いものにすることができる。これにより、定着ベルト12Bの外周面の摩耗を防ぎ、その面に傷が付けられる不具合を防止することができ、長期に亘って、高品質なカラー画像を得ることができる。この構成は、図7乃至図9に示した構成を採用したときも、或いはこれを採用しないときも適用できるものである。
【0068】
図5に示した固定ガイド部材24の代りにガイドローラを用いたとすると、固定ガイド部材24を用いた場合よりも、出口側の定着ベルト部分の曲率半径を小さくすることが困難となるだけでなく、このガイドローラの回転により、該ローラがその半径方向に振れ動くため、分離部材27と定着ベルト外周面とのギャップJを適正な大きさに保ち、或いは定着ベルト外周面に対する分離部材27の当接圧を小さく留めることが容易ではない。図5に示した構成によると、このような不具合を回避できるのである。
【0069】
また、固定ガイド部材24の少なくとも定着ベルト内周面に接する部分が、架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成されていると、固定ガイド部材24と定着ベルとの摩耗を抑え、これらの寿命を伸ばすことができる。
【0070】
ところで、分離部材27としては、分離シートのほか分離爪などを用いることもできるが、先の説明から判るように、分離部材27は、その少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分が、架橋ふっ素樹脂を含有する分離シートにより構成されていることが有利である。かかる構成により、先にも述べた如く、定着部材と分離シート127とが互いに接触しても、その両者の摩耗を少なく抑えることができ、しかも分離シート127にトナーが固着し、その固着トナーが定着部材表面に傷を付ける不具合を防止することができる。
【0071】
ふっ素樹脂にガラス繊維などの充填剤を添加した材料により分離シートを構成し、その耐摩耗性を向上させることもできるが、かかる分離シートは、架橋ふっ素樹脂を含有する材料より成る分離シートに比べ、定着部材外周面に対する摩擦係数が大きくなり、定着部材外周面を摩耗させる量が増大するおそれがある。
【0072】
また、分離部材27として、その少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分27Aが、多孔質ふっ素樹脂より成る分離シート127を用いることもできる。かかる分離シート127は、多孔質であるため、これが定着部材の外周面に当接したとしても、その接触面積が少なく、しかも当該分離シート127は軟質であるため、定着部材の外周面を摩耗させないか、又はその摩耗量を極くわずかなものにすることができ、長期に亘って高品質なカラー画像を得ることができる。しかも、分離シート127が多孔質であるとニップNで加熱された記録材Pから出る水蒸気が分離シート127を透過するので、水蒸気が記録材Pに結露してその品質を低下させる不具合を防止できる。同じ目的で、図7及び図9に示すように、分離シート127に開口36を形成し、この開口36を通して水蒸気を上方に逃がすように構成することもできる。
【0073】
また、図2に示すように、記録材PがニップNに進入する側の定着ローラ外周面に対向配置された入口シート部材37を設け、この入口シート部材37と分離部材27と定着装置2のケーシング38によって、定着ローラ12のまわりを取り囲むように構成すると、ケーシング38の外に熱が多量に逃げることを防止でき、消費電力を低減できる効果が得られる。この構成は、定着部材が定着ベルトより成るときも同様に適用できるものである。
【0074】
その際、入口シート部材37の先端部分37Aが定着ローラ12の外周面に接触しているか、又は近接していると、入口シート部材37、ケーシング38及び分離部材27とにより、定着部材のまわりに形成される空間の密閉性を高めることができ、熱の放出防止効果を一層向上させることができる。ところが、入口シート部材37をこのように配置すると、当該入口シート部材37を定着部材外周面に近接させた場合でも、入口シート部材37と定着部材の熱膨張などによって、その入口シート部材37が定着部材外周面に接触することがある。従って、この場合も、定着部材の最外層の表層18,18Aと、その定着部材の外周面を向いた入口シート部材37の先端部分37Aのうちの少なくとも一方が、架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成されていることが好ましい。これにより、定着ローラ外周面の摩耗が促進されることを阻止でき、カラー画像の画質が劣化することを防止できる。
【0075】
分離部材27のみが架橋ふっ素樹脂を含んだ場合と、定着部材の表層のみが架橋ふっ素樹脂を含んだ場合と、両者が架橋ふっ素樹脂を含んだ場合のそれぞれについて、図2乃至図8に示した定着装置を用いた実験を行った。記録材としては秤量70g/m(厚さ82μm)の紙を使用し、5万枚以上の定着動作を行った。その結果、いずれの場合にも、記録材の定着部材への巻き付きを防止でき、完成したカラー画像の光沢異常もなかった。
【0076】
また、図2に示した入口シート部材37とケーシング38を設けることにより、記録材を定着装置に連続して送り込んだとき、5乃至10%の消費電力の低減効果が得られたことも確認できた。
【0077】
ところで、図1に関連して先に説明したように、記録材Pの一方の面にカラー画像を形成した後、その他方の面に重ね合わせトナー像を転写し、その重ね合わせトナー像を定着装置により定着することもあるが、この場合には、記録材Pは、その他方の面が定着部材に接する向きにして、定着部材と加圧ローラの間を通過する。この通過時に、一方の面に既に形成されているカラー画像が加圧ローラに接触するが、このとき加圧ローラからカラー画像に熱が伝えられて、そのカラー画像を構成するトナーが溶融し、これによって記録材Pが加圧ローラの外周面に巻き付くおそれがある。そこで、図示した各定着装置には、加圧ローラ13に記録材Pが巻き付くことを防止するための分離部材40が設けられている。この分離部材40が加圧ローラ13に接触することにより、加圧ローラ13が摩耗して、その表面に傷が付けられると、一方の面に形成されているカラー画像にその傷に対応する跡ができ、その画質が劣化する。
【0078】
従って、定着部材と、その定着部材に記録材が巻き付くことを防止するための分離部材27と、これらに関連する前述の各構成を、加圧ローラ13と、分離部材40と、これらに関連する構成にそのまま適用することにより、記録材Pの他方の面に担持された重ね合わせトナー像の定着時に、記録材Pの一方の面に形成されたカラー画像の画質を劣化させることなく、その記録材Pが加圧ローラ13に巻き付くことを阻止することができる。
【0079】
図1には、以上説明した各構成の定着装置を採用できるカラー画像形成装置の一例を示したが、他の形式のカラー画像形成装置にも上述の各構成の定着装置を採用することが可能である。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、定着部材に離型剤を塗布せず、或いはその塗布量を少なくし、しかも記録材として薄紙を用いたときも、記録材が定着部材に巻き付く不具合を効果的に抑制でき、しかも高品質なカラー画像を得ることができる。
【0081】
特に、請求項2に係る発明によれば、簡単かつ低コストで、表層が架橋ふっ素樹脂を含有する材料より成る定着部材を供することができる。
【0082】
請求項6に係る発明によれば、固定ガイド部材の経時的な摩耗量を減らし、その寿命を伸ばすことができる。
【0083】
請求項8に係る発明によれば、記録材から蒸発した水蒸気を分離シートを通して逃がすことができる。
【0084】
請求項9に係る発明によれば、定着装置の消費電力を低減でき、しかも入口シート部材により定着部材外周面の摩耗が促進されることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】定着装置の一例を示す断面図である。
【図3】定着装置の他の例を示す断面図である。
【図4】定着装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図5】定着装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図6】定着ベルトの拡大断面図である。
【図7】分離シートを保持する装置の一例を示す平面図である。
【図8】図7に示した分離シートと定着ローラとの位置関係を示す斜視図である。
【図9】図7とは異なる分離シート保持装置を示す平面図である。
【図10】トナー粘着力の測定装置を示す説明図である。
【図11】トナー粘着力とカラー画像の光沢度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2 定着装置
12A 定着ベルト
12B 定着ベルト
24 固定ガイド部材
27 分離部材
27A 先端部分
37 入口シート部材
38 ケーシング
127 分離シート
N ニップ
P 記録材
T トナー像
t1 厚さ
t2 厚さ

Claims (8)

  1. 定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材とを有し、互いに色の異なる複数のトナー像を重ね合わせて成る定着すべき重ね合わせトナー像を担持した記録材を、該重ね合わせトナー像が前記定着部材に接する向きにして、回転する定着部材と加圧部材の間のニップを通過させて該重ね合わせトナー像を加熱すると共に加圧して当該トナー像を記録材に定着する定着装置において、
    少なくともバインダー樹脂、着色剤及び前記バインダー樹脂の流動開始温度よりも低い融点のワックスを含有するトナーを用い、前記ニップを出た記録材を前記定着部材の外周面から分離するための分離部材を設け、該分離部材は、その少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分が、使用可能な最も薄い記録材の厚さ以下の厚さに設定され、かつ少なくとも当該先端部分がふっ素樹脂を含有する材料により構成された分離シートより成り、該分離シートの少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分を、記録材搬送方向に対して直交する向きに引張るテンション付与手段を設けたことを特徴とする定着装置。
  2. 定着後のカラー画像の光沢度が5乃至20%となるように、前記重ね合わせトナー像に対する温度条件と加圧条件を設定した請求項1に記載の定着装置。
  3. 定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材とを有し、互いに色の異なる複数のトナー像を重ね合わせて成る定着すべき重ね合わせトナー像を担持した記録材を、該重ね合わせトナー像が前記定着部材に接する向きにして、回転する定着部材と加圧部材の間のニップを通過させて該重ね合わせトナー像を加熱すると共に加圧して当該トナー像を記録材に定着する定着装置において、
    少なくともバインダー樹脂、着色剤及び前記バインダー樹脂の流動開始温度よりも低い融点のワックスを含有するトナーを用い、定着後のカラー画像の光沢度が5乃至20%となるように、前記重ね合わせトナー像に対する温度条件と加圧条件を設定し、前記ニップを出た記録材を前記定着部材の外周面から分離するための分離部材を設け、前記定着部材を、複数のガイド部材に巻き掛けられた無端状の定着ベルトにより構成すると共に、前記記録材が前記ニップを出る側の定着ベルト部分を案内するガイド部材を、定着ベルトの内周面が接触する固定ガイド部材により構成し、前記分離部材と前記固定ガイド部材とを連結部材によって一体に固定連結したことを特徴とする定着装置。
  4. 前記固定ガイド部材の少なくとも定着ベルト内周面に接する部分が架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成されている請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記分離部材は、その少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分が、架橋ふっ素樹脂を含有する分離シートにより構成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記分離部材は、その少なくとも定着部材外周面を向いた先端部分が、多孔質ふっ素樹脂より成る分離シートにより構成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記記録材が前記ニップに進入する側の定着部材外周面部分に対向して配置された入口シート部材を設け、該入口シート部材と前記分離部材と定着装置のケーシングとが前記定着部材のまわりを取り囲んでおり、定着部材の最外層の表層と、該定着部材の外周面を向いた入口シート部材の先端部分のうちの少なくとも一方が、架橋ふっ素樹脂を含有する材料により構成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の定着装置を有することを特徴とするカラー画像形成装置。
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