JP4752715B2 - 超音波センサ - Google Patents
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Description
例えば、車両に取り付けられた円筒状のアルミケースの先端に設けられた基板に、超音波を検出する圧電式超音波振動子を直接取り付けて、基板の振動によって超音波を送受信する超音波センサが知られている(特許文献1)。
しかし、超音波センサを小型化すると共振周波数が大きくなってしまい、信号の減衰が大きくなる、または、指向性の悪くなる、などによりセンサ特性が悪くなるという問題があった。
共振周波数を低減するためには、超音波振動子を貼り付ける基板の剛性を下げればよい。基板の剛性を下げる方策としては、低ヤング率の基板、例えば、樹脂基板を用いることが考えられる。
樹脂基板を用いて形成される超音波センサ110は、例えば、図10(A)及び(B)に示すように、樹脂基板131と、圧電体121cを上部電極121aと下部電極121bとにより挟んで形成された超音波振動子121とから構成される。ここで、上部電極121aには、リード線128がはんだ付けにより接続され、下部電極121bには、電極123を介してリード線125がはんだ付けにより接続される。
超音波振動子121への配線は、各電極にリード線をはんだ付けすることにより行うが、超音波振動子121を1mm角以下まで小型化するとはんだ付けが困難になる。そこで、配線方法をはんだ付けからワイヤボンディングに変更することが望ましいが、樹脂基板131は耐熱性が低いため、300度以上の高温が必要なサーモコンプレッション(熱圧着)方式を適用することができない。また、樹脂基板131は剛性が低いため、サーモソニック(超音波熱圧着)方式では、適切な摩擦熱が発生せず、適用することができない。
つまり、超音波センサの小型化には、樹脂基板の採用が有効であるが、樹脂基板にワイヤボンディングによる配線を行うことができないという問題があった。
樹脂基板と、
前記樹脂基板の基板面に設けられ、ワイヤボンディングによる配線を形成することができるパッドと、
前記樹脂基板の基板面に設けられた超音波振動子と、
を備えた超音波センサであって、
前記超音波振動子は、一対の電極に圧電体が挟まれて形成された圧電式超音波振動子であり、少なくとも一方の電極において前記パッドとの間でワイヤボンディングによる配線が施され、
前記樹脂基板の外周部において前記樹脂基板を梁状に保持し、端部において所定の物体に取り付けられるとともに、送受信される超音波の振動により変形し、前記樹脂基板の振動を増幅する振動増幅部材を備えたという技術的手段を用いる。
また、請求項1に記載の発明によれば、樹脂基板は、共振周波数を低減できるため、超音波振動子を備えてなる超音波センサに好適に用いることができる。また、ワイヤボンディングによる配線が可能であるため、超音波振動子を小型化することができ、超音波センサを小型化することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、超音波振動子として、検出感度が良好な圧電式超音波振動子をワイヤボンディングによる配線を施して用いることができる。
そして、請求項1に記載の発明によれば、樹脂基板の外周部において樹脂基板を梁状に保持し、端部において所定の物体に取り付けられるとともに、送受信される超音波の振動により変形し、樹脂基板の振動を増幅する振動増幅部材を更に備えているため、超音波振動子に伝達される振動が大きくなるので、超音波センサの感度を向上させることができる。
パッドの表面に電極層を形成する場合に、樹脂基板の基板面に形成する他の電極と同一工程で形成することができる。
この発明に係る樹脂基板及び超音波センサの第1実施形態について、図を参照して説明する。ここでは、超音波センサを車両に搭載して使用する場合を例に説明する。
図1は、第1実施形態の樹脂基板及び超音波センサの説明図である。図1(A)は、第1実施形態の樹脂基板及び超音波センサを超音波振動子側から見た平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)の縦断面説明図である。図2及び図3は、樹脂基板へのパッドの取付方法の変更例を示す断面説明図である。
なお、各図では、説明のために一部を拡大し、一部を省略して示している。
超音波振動子21は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体21cを、上部電極21aと下部電極21bとにより挟んで形成されている。
下部電極21bは、樹脂基板31の基板面にめっきなどにより形成されている電極23に、例えば、導電性接着剤22を介して電気的に接続されて取り付けられている。
ここで、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は、圧電定数が大きいので、大きな超音波の発信、小さな超音波の受信をすることができ、感度の良好な超音波センサを作製することができる。
パッド11の表面には、Al、Auなど導電性が良好な電極層32が形成される。この電極層32は、電極23と同一工程で形成することができる。
ここで、パッド11がAlまたはAl合金で形成されている場合は、そのままでワイヤボンディングによる配線が可能であるため、表面に電極層32を形成する必要はない。
パッド11(電極層32)は、超音波振動子21の上部電極21aとの間がボンディングワイヤ24により配線され、リード線26が電気的に接続される。
また、超音波振動子21の下部電極21bには、電極23を介してリード線25が電気的に接続される。
これらのリード線25,26を介して超音波振動子21の駆動電流の供給、電圧信号の伝達が行われる。
例えば、図2に示すように、電極層32を形成したパッド11を予め作製しておき、樹脂基板31の基板面に接着剤33により接着固定してもよい。ここで、基板面にパッド11を嵌め込むことができる凹部を形成し、この凹部に接着固定することもできる。
図3(A)に示すように、針状の固定部11aを備えたパッド11を用いることができる。これによると、樹脂基板31に固定部11aを差し込むだけで、パッド11を固定することができる。
図3(C)に示すように、樹脂基板31に屈曲した溝部31hを形成し、パッド11の屈曲部11cを挿入して固定する構成を用いることができる。ここで、屈曲部11cは予めパッド11に形成しておいてもよいし、液体状の樹脂を溝部31hに充填した後に、パッド11の平板部分を載置し、固化させて一体的に成形してもよい。
これによると、屈曲部11cが溝部31hに係止された状態となるため、パッド11が外れるおそれが少ない。
また、図3(E)に示すように、樹脂基板31の基板面にパッド11を固定可能な係止部34を形成し、パッド11の端部を係止することにより固定する構成を用いることもできる。
また、パッド11は、電極層32が外部に露出しており、ワイヤボンディングによる配線が可能であれば、パッド11の表面が樹脂基板31の基板面より凹んでいても突出していても同一面でもよい。
樹脂基板31は、半導体装置などで良く用いられているプリント配線基板を用いることもできる。
超音波センサ10は、バンパ40に超音波振動子21が車両の内側になるように、樹脂基板31を外部に露出させた状態で取り付けられている。
樹脂基板31は、バンパ40の構成材料であるポリカーボネート系樹脂により形成されているため、超音波センサ10の存在を目立たなくすることができる。従って、意匠性に優れた超音波センサ10を作製することができ、バンパ40の美観を保つことができる。
超音波振動子21とリード線25,26により電気的に接続された回路素子(図示せず)は、ECUに電気的に接続されており、超音波振動子21から出力される電圧信号に基づいて演算処理を行う。例えば、送信した超音波と受信した超音波との時間差や位相差を求めることにより、障害物との距離測定などを行うことができる。
なお、障害物に対して超音波を送信する超音波送信素子を別に用意して、超音波センサ10を受信専用とする構成を用いることもできる。
(1)樹脂基板31が、ワイヤボンディングによる配線を形成することができるパッド11を基板面に備えているので、超音波振動子21のようなワイヤボンディングによる配線を形成する必要がある素子を搭載することができる。
パッド11の形成材料として、導電性、耐熱性に優れた硬質な材料である金属系材料を好適に用いることができ、更に、AlまたはAl合金は、電極層32を形成せずに、そのままでワイヤボンディングによる配線が可能であり、安価であるため、好適である。
また、パッド11の表面に導電性を有する電極層32を形成することにより、導電性が低い材料もパッド11として用いることができる。
樹脂基板31を形成する際に、インサート成形によりパッド11を樹脂基板31の基板面に取り付けた場合には、樹脂基板31にパッド11を取り付ける工程が不要であり、一体的に形成することができる。
パッド11を樹脂基板31の基板面に接着固定した場合には、簡便な方法で取り付けることができ、位置決めも容易である。
パッド11に、ワイヤボンディングを行う表面の裏面から突出する突出部、例えば、ネジ部11b、屈曲部11c、ボルト部11dを形成した場合には、樹脂基板31の厚さ方向で固定される部分が存在するので、強固に固定することができ、樹脂基板31から外れるおそれを少なくすることができる。
この発明に係る超音波センサの第2実施形態について、図を参照して説明する。
図4は、第2実施形態の樹脂基板及び超音波センサの説明図である。図4(A)は、第2実施形態の樹脂基板及び超音波センサを超音波振動子側から見た平面説明図であり、図4(B)は、図4(A)の縦断面説明図である。図5は、パッドの配置位置の変更例を示す平面説明図である。
ここで、図4(A)の奥行側及び図4(B)の下方向が車両の外部を示す。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
振動増幅部材35は、樹脂系材料のような変形しやすい材料により形成されており、端面部35aにおいて、バンパ40に取り付けられている。ここで、振動増幅部材35は、樹脂基板31と別に形成して樹脂基板31に取り付けても良いし、樹脂基板31と一体的に形成してもよい。
これにより、樹脂基板31は、振動増幅部材35により外周部を保持されて、バンパ40に梁状に支えられた形状に形成される。
この構成によれば、樹脂基板31において超音波を受信すると、振動増幅部材35に振動が伝達し、端部が基板面方向にたわみ変形を繰り返す。このたわみ変形により、樹脂基板31の振動が増幅されるため、超音波振動子21に伝達される振動が大きくなるので、超音波センサ10の感度を向上させることができる。
パッド11及びダミーパッド12を超音波振動子21に対して対称に配置することにより、超音波振動子21を中心とした樹脂基板31の重量のバランスを対称にすることができるので、樹脂基板31の厚さ方向の振動にねじれモードが生じないようにすることができ、超音波振動子21に安定した強度の高い振動を伝達することができる。
また、図5(B)に示すように、樹脂基板31の外周に平行に帯状に形成したパッド11及びダミーパッド12により、超音波振動子21を取り囲む構成を用いることもできる。これによると、パッド11及びダミーパッド12の重量が増大し、樹脂基板31の重量が増大するため、共振周波数を低減することができる。
また、ダミーパッド12は、配線を行わないため、重量バランスが取れれば、材質及び形状は問わない。
(1)振動増幅部材35は、樹脂基板31の外周部において樹脂基板31を梁状に保持し、端部32aにおいてバンパ40に取り付けられるとともに、送受信される超音波の振動により変形し、樹脂基板31の振動を増幅するため、超音波振動子21に伝達される振動が大きくなるので、超音波センサの感度を向上させることができる。
この発明に係る超音波センサの第3実施形態について、図を参照して説明する。
図6は、第3実施形態に係るモールド成形を用いて形成された超音波センサの説明図である。図7は、インサート成形を用いて形成された超音波センサの説明図である。図8は、コネクタを備えた超音波センサの説明図である。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
本実施形態の超音波センサは、バンパ40に貫通形成された取付部に樹脂基板31の側面部において、超音波振動子21が車両の内側になるように、樹脂基板31を外部に露出させた状態で取り付けられている。
モールド部材36の車両内側の面からは、超音波振動子21の上部電極21aとワイヤボンディングにより配線されるパッド13の一端部と、超音波振動子21の下部電極21bと電気的に接続される電極14の一端部とが露出している。
なお、パッド13はAl合金などにより形成してもよいし、表面に電極層を設けてもよい。
また、パッド部13aは図3に示したパッド11と同様の形状に形成することができる。
空間部36aには、ゲル状の材料を充填することもできる。これによれば、超音波振動子21において発生する超音波のうち、モールド部材36側に伝達する超音波はゲル状の材料により減衰し、樹脂基板31に伝達する超音波のみが、高い強度で伝達されるため、ノイズを低減することができ、超音波の検出感度を向上することができる。
図8に示すように、モールド部材36から露出したパッド13の一端部と、電極14の一端部とにそれぞれコネクタ38を設けることができる。これによれば、外部配線との接続を容易に行うことができる。図7に示す構成の超音波センサにおいても、同様にコネクタ38を設けることができる。
(1)超音波振動子21は、パッド13のリード部13b及び電極14のリード部14bの一端部を露出させた状態で埋設してモールド成形されたモールド部材36の空間部36aに配置されているため、超音波振動子21を外力の負荷などから保護することができる。
空間部36aには、ゲル状の材料を充填することもできる。これによれば、超音波振動子21において発生する超音波のうち、モールド部材36側に伝達する超音波はゲル状の材料により減衰し、樹脂基板31に伝達する超音波のみが、高い強度で伝達されるため、ノイズを低減することができ、超音波の検出感度を向上することができる。
(1)図9に示すように、樹脂基板31の車両外方側の面に、バンパ40と色調などが似ている材料を用いて板状に形成された保護材41を形成してもよい。この構成によれば、バンパ40と色調などが似ているため、超音波センサ10の存在を目立たなくすることができる。従って、意匠性に優れた超音波センサ10を作製することができ、バンパ40の美観を保つことができる。
保護材41は、例えば、バンパ40と同一材料のポリカーボネート系樹脂により形成することができる。また、保護材41は、板状部材に形成して樹脂基板31に接着してもよいし、液状の樹脂を塗布した後に硬化させて形成してもよい。
また、保護材41は、バンパ40の一部として形成してもよい。更に、樹脂基板31をバンパ40と一体的に形成してもよい。
この構成によれば、超音波振動子21が車両の外方に面して形成されているため、樹脂基板31を介さずに超音波を伝達することができるので、超音波の検出感度を向上させることができる。
なお、カバーは、超音波の伝達をできるだけ阻害しないようにメッシュ状や多数の小さな貫通孔を有する形状に形成することができる。また、室内で使用するロボットなどに超音波センサ10を取り付ける場合には、カバーを設けなくてもよい。
更に、超音波センサ10の用途に合わせて、他の部材に取り付けることもできる。例えば、超音波センサ10を車両側方の障害物センサとして用いる場合には、ウインカのカバー、ドアミラーなどに取り付けることもできる。車両後方の障害物センサとして用いる場合には、リアランプのカバー、バックランプのカバーなどに取り付けることもできる。
ネジ部11b、屈曲部11c、ボルト部11dが請求項7に記載の突出部に対応する。
11 パッド
11b ネジ部(突出部)
11c 屈曲部(突出部)
11d ボルト部(突出部)
12 ダミーパッド
13b リード部
14 取付部材
21 超音波振動子
21a 上部電極
21b 下部電極
21c 圧電体
31 樹脂基板
32 電極層
35 振動増幅部材
36 モールド部材
38 コネクタ
40 バンパ
Claims (15)
- 樹脂基板と、
前記樹脂基板の基板面に設けられ、ワイヤボンディングによる配線を形成することができるパッドと、
前記樹脂基板の基板面に設けられた超音波振動子と、
を備えた超音波センサであって、
前記超音波振動子は、一対の電極に圧電体が挟まれて形成された圧電式超音波振動子であり、少なくとも一方の電極において前記パッドとの間でワイヤボンディングによる配線が施され、
前記樹脂基板の外周部において前記樹脂基板を梁状に保持し、端部において所定の物体に取り付けられるとともに、送受信される超音波の振動により変形し、前記樹脂基板の振動を増幅する振動増幅部材を備えたことを特徴とする超音波センサ。 - 前記パッドは、金属系材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
- 前記金属系材料は、AlまたはAl合金であることを特徴とする請求項2に記載の超音波センサ。
- 前記パッドの表面に導電性を有する電極層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記パッドは、前記樹脂基板を形成する際に、インサート成形により前記樹脂基板の基板面に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記パッドは、前記樹脂基板の基板面に接着固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記パッドは、ワイヤボンディングによる配線を形成する面の裏面から突出する突出部を有し、この突出部が前記樹脂基板に埋設されることにより、前記樹脂基板の基板面に固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記パッドの表面が、前記超音波センサの基板面と同一面になるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記パッドの表面の端部から略垂直方向に形成された導電性を有するリード部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記樹脂基板は、ポリカーボネート系樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記樹脂基板の基板面上の、前記超音波振動子を中心にして前記パッドに対して対称な位置に、前記超音波振動子を中心として前記樹脂基板の重量のバランスを厚さ方向の振動を阻害しない程度に対称にするためのダミーパッドを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記超音波振動子は、前記超音波振動子に電気的に接続された配線の一端部を露出させた状態で埋設してモールド成形されたモールド部材の空間部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記空間部には、超音波の振動を減衰させるゲル状材料が充填されていることを特徴とする請求項12に記載の超音波センサ。
- 前記超音波振動子に電気的に接続された配線の一端部に、外部配線に接続するためのコネクタが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1つに記載の超音波センサ。
- 前記樹脂基板において、車両のバンパに取り付けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の超音波センサ。
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