JP4749727B2 - ムメフラール含有組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ムメフラール含有組成物の製造方法に関する。具体的には、梅肉エキス中からクエン酸をほぼ選択的に取り除き、ムメフラールの含有率を高めたムメフラール含有組成物の製造方法に関する。
梅干や梅肉エキスは日本特有の食品で、昔から健康に良いものとして愛用されている。それらは、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの低級有機酸類を多量に含み、殺菌、疲労回復、胃の保護作用を有すると言われている。また、それらに加えて食物繊維や鉄分をも含み、血圧を上げる酵素(ACE)の活性を抑制する働きを有するとも言われている。それらのうち梅肉エキスは梅干と異なり、含有する塩分がほとんどなく、塩分摂取を制限されている人でも安心して食することができる。また、近年の研究では、梅肉エキス中に含まれるムメフラール(Mumefural、MFと称する場合もある。)が血流改善効果を発揮することが報告されている(非特許文献1、特許文献1)。
ムメフラールは、生梅の状態では含まれておらず、梅肉エキスの製造時に行う加熱処理によって、グルコースやスクロースなどの糖が脱水反応を起こして5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(「HMF」と称する。)を生成し、これがさらにクエン酸とエステル縮合を起こして生成することが知られている(非特許文献2)。また、地黄中の血流改善作用を示す活性成分が、中間生成物であるHMFであることも確認されている(非特許文献3)。
梅肉エキス中のMF量は通常エキス中0.数〜1%程度しか含まれておらず、ムメフラールの血流改善作用に関して言うと、1日当たり3gの梅肉エキスを1週間摂取することによって、被験者(34名)の82.4%に対して有効であったとされている(非特許文献1)。ところが、上記したように梅肉エキスにはクエン酸などの有機酸が高濃度に(梅肉エキス中に質量比で40〜50%程度)含まれているため、梅肉エキスをそのまま食するには味覚的に抵抗があり、1日3gの梅肉エキスを摂取するには無理があった。また、梅肉エキスを他の食品等に配合したのでは、その強い酸味によって食品本来の風味が損なわれ、何らかの工夫を施す必要があった。
そのため、例えば特開2004−81014号公報(特許文献2)では、梅果汁の加熱工程において加圧を行ったり、糖類又はクエン酸を添加して梅肉エキス中のMF含有量を高めたりする方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、エキスに加工する梅肉果汁中のBrix値によってMF含有量が左右される恐れがあり、MF含有量の安定した梅肉エキスを提供することが困難であった。また、MF含有量が高められたと言っても梅肉エキス中には有機酸が多量に存在しており、エキスそのものを食するには酸味が強く摂取しにくいという状況には変わりがなかった。そして、水分量を保持しながら濃縮し、さらに加圧加熱を行う必要があるので、製造工程の管理を慎重に行わなくてはならないという問題点もあった。
一方、動植物の抽出エキスから特定の成分を抽出し、精製を行う方法として、水や有機溶媒に対する分配係数の相違を利用したり、種々の担体を用いたカラムクロマトグラフィを利用したりすることがある。ところが、MFやクエン酸は共に有機酸であって、炭素数の違いがあるものの、両者は溶媒に対してよく似た挙動を示す。したがって、分配係数の相違を利用する方法では両者を十分に分離することができず、特許文献1において記載されているように、メタノールやエタノールで抽出した後に、ゲルろ過クロマトグラフィで分離しているのが実情である。このクロマトグラフィを使う方法は、クロマトグラムからMFやHMFが溶出されるタイミングを的確に把握しておく必要があり、非常に煩雑な方法であって精製コストが高くなる。そして、MFのみを取り出せば、梅本来の風味が損なわれる。
また、有機酸の精製工程において活性炭を用いる方法も汎用されるが、その多くは、目的物の溶液に含まれている不純物を除去するために用いられる方法である(例えば、特許文献3:特開2000−302724号公報、特許文献4:特開平09−313195号公報、特許文献5:特開平09−67388号公報その他)。また、特開平9−67388号公報(特許文献6)には、サイコサポニンの精製方法において、サイコサポニンを活性炭に吸着させた後、メタノールやエタノールなどの有機溶媒で溶出させる方法が開示されている。しかしながら、サイコサポニンはイオン的な性格が薄く、かつ比較的極性の低い物質であって(特許文献6段落0021参照)、MFやクエン酸のように極性の高い物質が吸着されるとは到底予想されるものではなかった。
特開平11−228561号公報 特開2004−81014号公報 特開2000−302724号公報 特開平09−313195号公報 特開平09−67388号公報 特開平9−67388号公報 Chuda Y. et al., J. Agric. Food Chem.,47,p828-831,1999 我籐ら,ヘモレオロジー研究会誌,(3),p81-87,2000 松田,日本生薬学会第51回年会,1A−S1,2000
本発明は上記背景技術のもとになされたものであって、本発明の目的とするところは、梅肉エキス中から、血流改善作用を有するMFやHMFとクエン酸などの低級有機酸を効率的にかつ簡便に分離し、酸味が少なくMFやHMFを比較的高い濃度で含む梅風味のあるMF含有組成物に仕上げることにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意努力したところ、活性炭を利用して梅肉エキスからクエン酸等の低級有機酸をほぼ除去し得ると共に梅肉エキス中のMF・HMFを高い回収率で回収し、MF含有率の高い梅風味の残った組成物を効率よく取得できることを見出し、本願発明を完成させるに至った。
本発明によれば、極めて簡単に、クエン酸含有量が少なくMFを比較的高い濃度で含むムメフラール含有組成物を得ることができる。この組成物は梅風味を有しながらも酸味が非常に少ないので、種々の食品への適用が容易で、血流改善作用を有するいわゆる機能性食品への用途が広がる。
本発明のムメフラール含有組成物の製造方法は、梅肉エキスからクエン酸等の低級有機酸を除去し、ムメフラールおよび5−ヒドロキシメチル−2−フルフラールを比較的高い濃度で含有する組成物を製造する方法である。
当該製造方法は、梅肉エキスを水または低級アルコールと水との混液に分散させる工程と、前記工程で得られた分散液または当該分散液の上清もしくはロ液と活性炭を接触させる工程と、前記活性炭と前記分散液等を分離する工程と、前記分離された活性炭からムメフラールを溶媒にて溶出させる工程とを有している。
本発明において用いられる梅肉エキスは、ごく一般的に得られる梅肉エキスであれば特に制限されるものではない。その伝統的な製造方法は、青梅の実(Prunus mume)の果肉部分をすりおろしてガーゼ等で得られた果汁をろ過し、その後弱火で飴状に煮詰めることである。使用される梅の種類も特に制限されるものではない。梅肉エキスはムメフラールを高濃度に含むものを使用するのが好ましいのは言うまでもなく、例えば前記特許文献2に開示された方法で得られたものであってもよい。
梅肉エキスは、活性炭との接触をよくするために、まず、水または水と低級アルコールとの混液に分散させ、不溶分を除去する。このとき、用いられる低級アルコールはメタノールまたはエタノールであるが、残留した際の安全性等を考慮するとエタノールが望ましい。また、水との混合比は、水100容量に対してアルコール0〜50容量が望ましい。アルコールがそれ以上になると、クエン酸等の低級有機酸が分散液に抽出されるようになる。また、目的物の活性炭への吸着性を考慮すれば、水と低級アルコールの混液よりも、水のみを用いるのが好ましい。この方が次の工程で行う活性炭への吸着率が高くなるからである。分散させる方法も特に限定されるものではなく、攪拌だけでなく、例えば超音波を当てて分散させることにしてもよい。
溶媒に対して分散させる梅肉エキスの量も適宜決めればよく、目的物であるMF及びHMFを溶媒に溶解させることができればよい。目安としては、梅肉エキス1質量部に対して溶媒1〜100質量部である。梅肉エキスには通常40〜50質量%程度のクエン酸が含まれていると考えられるので、上記質量比で混合した場合には、その液性は酸性側にあるが、これを例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いて中性もしくはアルカリ性としても差し支えない。下記実施例において説明するように、HMFの回収率を高めたい場合には、分散液の液性をアルカリ性にする方が好ましい。
次に梅肉エキスを分散させた液から、不溶分を除去する。この除去の手段も常法を用いればよく、例えばメンブランフィルターやガーゼを用いたろ過、デカンテーションによる方法、遠心分離による方法などが挙げられる。これらの方法によって上清液もしくはロ液を得る。なお、次の工程において、溶出された目的物と活性炭が十分に接触し、活性炭に目的物を吸着させることができればよいので、必ずしも不溶分を除去する必要もない。しかし、不溶分の存在により目的物の活性炭への吸着が妨げられたり、夾雑物が多くなったりするので、得られた組成物中の純度が低下する恐れがある。したがって、出来る限り不溶分を除くのが望ましい。
上記で得られた上清液もしくはロ液は、活性炭によって処理される。これによって、上清液もしくはロ液中の目的物は活性炭に吸着される。そして、クエン酸等の低級有機酸のほとんどは活性炭に吸着されず、上清液もしくはロ液中に溶解した状態で除去される。クエン酸等の有機酸は活性炭に吸着されないことはよく知られているところであるが、MFやHMFのように極性がある物質は吸着されないと考えられていた。ところがその予想に反し、本願発明者の実験によれば、MFやHMFはクエン酸と異なる挙動を示し、MFなどは活性炭に吸着されることが分かった。
用いられる活性炭も特に制約はなく、例えば木粉(おがくず)、ヤシ殻、石炭、ピッチ、コークスなどの植物質や鉱物質の各種炭素質材料を炭化し、賦活化したものが用いられる。その製造方法も制約されるものでもなく、例えば塩化亜鉛法(薬品賦活法)、水蒸気法、造粒法、破砕法などが挙げられる。活性炭は内部に無数の微細孔を有するが、微細孔の大きさは原材料や製造方法によって異なることが知られている。例えば、水蒸気法により得られた活性炭の微細孔はほぼ1.5〜2.5μmに分布し、塩化亜鉛法(薬品賦活法)により得られた活性炭ではほぼ2.5〜4.0μmに分布する。微細孔の大きさも特に限定されるものではないが、目的物の吸着性を考慮すると本願発明者の実験からでは細孔径は大きい方が好ましい。具体的には1.5〜2.5μmの微細孔を有する活性炭には、白鷺A、白鷺B、白鷺M、白鷺P、粒状白鷺(いずれも日本エンバイアロケミカルズ社の商品名)、太閤Kタイプ、太閤Pタイプ(いずれも二村化学社の商品名)、大平梅峰印、大平MA印(太平化学産業社の商品名)などが該当する。また、2.5〜4.0μmの微細孔を有する活性炭には、カルボラフィン、強力白鷺、精製白鷺、特製白鷺(いずれも日本エンバイアロケミカルズ社の商品名)、太閤Sタイプ(二村化学社の商品名)などが該当する。活性炭には粒状、粉状のものなどがあるが、本発明においてはいずれの活性炭を用いてもよい。
活性炭への吸着は、例えばカラム法すなわち活性炭を充填したカラムに上記上清液等を通す方法や、バッチ法すなわち上清液等が入れられた容器に活性炭を投入する方法その他の方法、いずれの方法であっても差し支えない。この場合、出発材料として用いる梅肉エキスに対して、バッチ法ならば概ね0.1〜1質量/容量%程度、好ましくは0.5〜1質量/容量%の活性炭を用いるのが目安であり、MFが高濃度に存在する梅肉エキスを用いるのであれば、使用する活性炭量を多くすればよい。また、カラム法の場合においても、少なくとも前記割合以上の活性炭をカラムに充填するのが好ましい。
次に活性炭に吸着された目的物を溶出させる。溶出に用いられる溶媒は、目的物を溶出できればいずれの溶媒でもよいが、好ましくはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなど炭素数3までの低級アルコールと水との50:50混液(容量比)ないし水をほぼ含まない前記低級アルコールである。水の含有量が多いとMF以外の有機酸その他の夾雑物が溶出されるおそれが強くなるだけでなく、得られた組成物中のMF含量が低下する場合がある。溶出の方法は、吸着後に回収した活性炭に溶出溶媒を加えてバッチ処理を行う、上記カラムに充填された活性炭に溶出溶媒を流して溶出させる方法がある。上記活性炭への吸着に引き続き、溶媒を変えるのみで溶出を行え、操作が簡便になるというメリットを考慮すると、カラム法が有利であるが、溶出液量等によって回収率が不安定になり、回収率を高くするにはバッチ処理が有利であると言える。
また、溶出に際し、前段の処理として、MF等を吸着した活性炭を水を用いて洗浄するのが好ましい。この洗浄を行うことによってHMFが優先的に溶出される。この洗浄は、上記カラム法、バッチ法のいずれの方法を用いて行ってもよいが、洗浄回数を増やす、水との接触時間を長くするなどすれば、溶出されるMFが多くなり、収率が低下するので注意を要する。
その後、得られた溶出液に対してエバポレータによる濃縮や凍結乾燥等を行うことにより、比較的高い濃度でMFを含有するエキス状のもの乃至粉末状の組成物を得ることができる。
このように、上記方法を用いることにより、実質的にクエン酸を含有せず、具体的には少なくともクエン酸含有量が処理する梅肉エキス中の含有量の1/10以下、望ましくは1/20以下、さらに具体的に言うと全組成物中5質量%以下、望ましくは2質量%以下であり、粗精製前のMF含有量に比べて高い濃度でムメフラールを含有する組成物もしくは梅エキス粗精製物を得ることができる。特に、操作が煩雑なカラムクロマトグラフィを用いることなく、非常に簡便な方法で、ムメフラールを高い濃度で含む組成物(粗精製物)を得ることができる。すなわち、本発明によれば、簡便な方法であるにもかかわらず、得られた組成物中のMF含有量を精製前に比べて少なくとも2倍以上、言い換えるならば一般的な梅肉エキスから質量比でムメフラール含量2%以上の粗精製物を得ることができる。
こうして得られたMF含有組成物は、MF含有量が多く、しかも酸味が少なく、そして梅風味を残しつつ従来にない味を呈する。したがって、従来の梅肉エキスと比べて非常に摂取しやすくなり、各種食品への添加も行いやすい。例えば、得られた組成物をそのまま摂取するのはもちろんのこと、澱粉や乳糖、麦芽糖、デキストリンなどの適当な助剤と共に、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、ペースト剤、ドリンク剤、用時溶解性の顆粒状ないし粉末状のドリンク剤、ジャム、菓子、ケーキ、パン、バム、アイスクリーム製品などにして摂取できる。また、俗に言う健康食品、あるいは血流改善効果を標榜可能な特定保健用食品として提供することもできる。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されないのは言うまでもない。
〔梅肉エキス中のMF及びHMFの分析〕
下記の梅肉エキスについてそれぞれ1gを下記の移動相10mlに分散させ、下記分析条件にて梅肉エキス中のHF及びHMFを分析し、その得られたピーク面積から回収率、含有量を算出した。
<HPLCの分析条件>
カラム:DAISOPAK−SP120 ODS−BP(150mm×6mm)
移動相:20mMリン酸緩衝液(pH2.6)/アセトニトリル=85/15
検出波長:280nm
流速:1.0mL/min
カラム温度:室温
〔梅肉エキス中のクエン酸の分析〕
下記の梅肉エキス抽出物についてそれぞれ1gを取り、水を加えて50mLにし、フェノールフタレイン試液を2〜3滴加え、0.1mol/Lの水酸化カリウム液で、液が紅色を呈するまで滴定した。比較液として1g/100mLクエン酸水溶液も同様にして滴定し、その滴定量から酸度(有機酸としての濃度)を測定した。
〔参考例1〕
梅肉エキス(株式会社梅丹本舗製、市販品)15gに精製水500mlを加え、よく分散した後、遠心分離(5000rpm、5分間)を行い、上清液を得た。次に溶媒をエバポレータにて減圧除去し、10.98gの抽出物を得た。
〔参考例2〕
参考例1で用いた梅肉エキス15gに99.5容量%のエタノール500mlを加え、よく分散した後、遠心分離(5000rpm、5分間)を行い、上清液を得た。次に溶媒をエバポレータにて減圧留去して、6.47gの抽出物を得た。
その結果、参考例1では有機酸量1.41(w/w%)、参考例2では有機酸量0.91(w/w%)であった。クエン酸はエタノールに溶解しにくいことから、エタノールではクエン酸が抽出されず、有機性のわずかに高いムメフラールが抽出されると推測し、本処理を行ったが、梅肉エキスをエタノールで抽出しても有機酸量の低下(処理前梅肉エキスの約64.5%に低下)は期待できないことが分かった。
〔実施例1〕
参考例1で用いた梅肉エキス(株式会社梅丹本舗製、市販品)15gに精製水500mlを加え、よく分散した後、遠心分離(5000rpm、5分間)を行い、上清液を得た。この上清液150mlに各種活性炭を上清液に対して1質量/容量%になるように加え、しばらく放置した。この液をメンブランフィルターを用いてろ過し、MF吸着活性炭を得た。次いで、得られた活性炭に50容量%のエタノール水を150ml加え、よく撹拌して、しばらく放置した。そして、メンブランフィルターを用いてろ過を行い、50容量%エタノール溶出液を得た。この溶出液について、MF及びHMFを上記分析条件に従って測定したところ、次の表1に示す結果となった。なお、表1中に示す回収率(%)とはそれぞれ未処理の液中のMFまたはHMFを100とした場合のものである(表2〜5も同じ)。
Figure 0004749727
この結果、大平MA印、白鷺A、カルボラフィン、太閤FCが、MF及びHMFの吸着性が高かった。特に細孔直径が2.5〜4.0μmの活性炭であるカルボラフィン、太閤FCの吸着性がよく、溶出による回収率(それぞれ50.2%、52.6%)も高かった。そこで、以下の実験においては、活性炭として太閤FCを用いることにした。
〔実施例2〕
実施例1で得られた上清液について太閤FCを用い、活性炭の使用量を変えて実施例1と同様な実験を行った。また、梅肉エキス中のMF含有量が既知である梅肉エキス(中野BC社製の梅肉エキス:100g中MF1000mg含有)を仮の標準とし、得られた組成物中のMF含有量についても測定した。なお、HMFについては適当な標準となる物質が入手できなかったので、MF、HMFそれぞれの吸光係数が等しいものとして概算することにした。また、総NaOH消費量からMFによるNaOH消費量(計算値)を減じることにより組成物中の有機酸量を補正し、クエン酸としての量を計算した。MF等の含有率は、溶出溶液から溶媒をエバポレータにより蒸散させて得られた組成物量から算出した(以下同じ)。これらの結果を表2に示した。各表に示した有機酸量(%)はMFを含んだ値である。
Figure 0004749727
表2の結果から、バッチ法においては活性炭の量を多くすればするほどMFおよびHMFの吸着量は多くなるが、MFに関しては、活性炭の量が多いと回収率が低下する傾向を示した。また、組成物中の有機酸量は、活性炭の量が多いと増加する傾向を示したが、1.0%以下の添加量では処理前のクエン酸含有量に対して、約1/20以下とすることができた。そして、得られた組成物中のMF含有率は梅肉エキス中のほぼ2倍以上となり、クエン酸含有率は約2%以下、活性炭量が多い場合でもほぼ5%以下とすることができた。
〔実施例3〕
実施例1で得られた上清液について太閤FCを用い、活性炭の使用量および溶出溶媒を変えて実施例1と同様な実験を行った。なお、この実験では、吸着後の活性炭について、まず水で洗浄した後、溶出溶媒による溶出を2度繰り返した。その結果を表3に示した。
Figure 0004749727
その結果、50容量%エタノールを用いた場合には、有機酸量は初期の梅肉エキス抽出量中の濃度に比べて、約1/10以下、最も少ない場合には約1/20以下の濃度に低下した。また、MFは50%以上の回収率で回収することができ、少ない活性炭量で50容量%のエタノールを用いた場合には70%近くの回収率でMFを取り出すことができた。また、溶出回数を繰り返すことによってMFの回収率が上昇し、70%近くの回収率で回収することができた。そして、得られた組成物中のMF含有量はほぼ10倍近くとなり、質量比で5%以上、一方クエン酸含有量については約5%以下とすることができた。なお、クエン酸含有量は、実施例2に比べると増えている一方、実施例3−3では負の値となっている。これは、水で洗浄することにより、溶出後の乾燥物総量が実施例2より大きく減少することにより、みかけ上クエン酸含有量が増加したものと考えられる。ちなみに、組成物中におけるMF含有量/クエン酸量比を見ると、実施例2における比と実施例3における比には差がなく、実施例3−3においては実質的にはクエン酸量はほとんど含まれていないと考えられる。
〔実施例4〕
実施例1で用いた梅肉エキス0.6g(MF6mg含有)を用い、実施例1において太閤FCを用いて得られたクエン酸を除去した濃縮エキス(MF3mg/mL含有)を適量追加することにより、MF濃度の異なる試験液(20ml)を作成した(実施例4−1〜4−4)。これらの液各20mlをメンブランフィルターでろ過して、活性炭(太閤FC)を液量に対して1質量/容量%になるように加え、しばらく放置した。そして、メンブランフィルターを用いてろ過し、MF吸着活性炭を得た。次いで、得られた活性炭に50容量%のエタノールを20mlを加え、よく撹拌してしばらく放置した後、メンブランフィルターを用いてろ過を行い、50容量%エタノール溶出液を得た。この溶出液について、MF及びHMFを上記分析条件に従って測定したところ、次の表4に示す結果となった。
Figure 0004749727
その結果、梅肉エキス中の濃度を高めた場合(実施例4−2、4−3)では、1度の溶出においても回収率が高められ、しかもこの範囲内においては回収率が70%程度で一定した。一方、元の梅肉エキスをそのまま用いた場合には、実施例3−1と同様に55%程度であり、MFが高い場合には活性炭量が少ないために吸着されずに回収できなかったものと考えられる。したがって、使用活性炭量と含有MF量を適当な範囲にすると、概ね回収率を一定にできることが理解される。
〔実施例5〕
実施例1で得られた上清液(pH3)に5N−NaOH溶液でpH7、9、11に調整した。これらの液に1g/100mlの割合で活性炭(太閤FC)を加え、実施例1と同様の実験を行った。その結果を表5に示す。その結果、MFに関してはpH依存性はほとんど示さないようであったが、HMFに関しては高いpHに調整した方が回収率が高く、HMFも高濃度で取り出したい場合には、高いpHに調整した後に活性炭処理を行った方が好ましいと言える。
Figure 0004749727
〔実施例6〕
参考例1の上清液を比較例6−1、参考例2のエタノール溶出液の溶媒を減圧下に留去した後元の容量の水に再溶解した液を比較例6−2、実施例3の活性炭溶出液を減圧下に留去した後元の容量の水に再溶解した液をそれぞれ実施例6−1、6−2、6−3として、男女10名に飲用してもらい、味に対する評価を行った。その結果を表6に示した。その結果から分かるように、本発明の製造方法で得られた組成物を用いることにより、酸味が軽減されていることが実証された。また、いずれの実施例の液も梅風味が失われたものではなかった。そして、再溶解する前の組成物を食したところ、梅風味はしっかりと残っている一方、酸味は極度に低下し、梅肉エキスにあったエグ味感も低減され、非常に食べやすいものであった(表には示さず)。
Figure 0004749727
〔実施例7〕
実施例6で得られた比較例6−1および6−2ならびに実施例6−1〜6−3の液、それぞれ100mlに対して、フラクトース5.0g、NaCl0.125g、KCl0.075gを加え、清涼飲料水(スポーツドリンク)を作成した(比較例7−1、7−2ならびに実施例7−1〜7−3)。MF含有組成物を配合しないフラクトース5.0g、NaCl0.125g、KCl0.075gの水溶液を比較例7−3とした。これらを男女10名に飲用してもらい、味に対する評価を行った。その結果を表7に示した。
Figure 0004749727
比較例7−1では単に甘ったるい味であったが、それに対して、比較例7−1および7−2では酸味が強く、おいしいと言う評価はほとんどなく、毎日飲むのは辛いという意見が多かった。しかし、本発明の製造方法で得られた組成物を用いたもの(実施例7−1〜7−3)では、組成物自体の酸味が低下し、その結果得られたドリンク剤は、程よい酸味でおいしく感じる人が多かった。
本発明のMF含有組成物は、比較的簡便な方法により得ることができ、酸味が少ないので、多量の摂取が容易になる。また、梅肉エキス特有の梅風味も失われることなく、飲料などの各種食品への応用も容易になり、血流改善作用を発揮するいわゆる健康食品等種々の食品を広範囲に提供できる。

Claims (7)

  1. 梅肉エキスからクエン酸の含有率を低減し、ムメフラールの含有率を高めたムメフラール含有組成物の製造方法であって、
    梅肉エキスを水または低級アルコールと水との混液に分散させる工程と、
    前記工程で得られた分散液または当該分散液の上清もしくはロ液と活性炭を接触させる工程と、
    前記活性炭と前記分散液等を分離する工程と、
    前記分離された活性炭からムメフラールを溶媒にて溶出させる工程を、
    有することを特徴とするムメフラール含有組成物の製造方法。
  2. 前記溶出溶媒は、水とエタノールの混液であることを特徴とする請求項1に記載のムメフラール含有組成物の製造方法。
  3. 得られた組成物中のクエン酸含有量が、処理する梅肉エキス中の含有量の1/10以下とすることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の製造方法。
  4. 分散液等から分離された活性炭を水にて洗浄する工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のムメフラール含有組成物の製造方法。
  5. 梅肉エキスの分散液を活性炭と接触させ、当該活性炭から溶出させて得られた梅肉エキス粗精製物であって、
    クエン酸含有量が質量比で5%以下であるムメフラールおよび5−ヒドロキシメチル−2−フルフラールを含む組成物であることを特徴とする梅肉エキス粗精製物。
  6. 前記粗精製物中、ムメフラール含有量が質量比で2%以上である請求項5に記載の梅肉エキス粗精製物。
  7. 請求項1〜4の何れか1項に記載の方法で得られ、かつクエン酸含有量が質量比で5%以下であるムメフラール含有組成物、又は請求項5若しくは6に記載の梅肉エキス粗精製物を含有する食品。
JP2005012101A 2005-01-19 2005-01-19 ムメフラール含有組成物の製造方法 Active JP4749727B2 (ja)

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