JP4746873B2 - エアバッグを製造する方法 - Google Patents

Description

本発明は、２層のテキスタイルシートファブリックからなるエアバッグに関する。該２層は、互いに向かい合っておりガスで満たされた少なくとも１つのチャンバを囲み、外側を向く表面を有する。更に、本発明は、該エアバッグの製造方法に関する。

使用されているエアバッグファブリックの技術的特性は、ファブリックが密な構造であることの影響を受けている。所望の強度及び気密性を達成するために、該ファブリックは適度な織り密度（ｓｅｔ）で製造されなければならず、その結果、材料消費量が多くなるため製造コストがかかる。完全製造すなわちワンピース織り（ＯＰＷ）のエアバッグでは耐破壊性能を満たしていることが必要とされる。換言すれば、エアバッグの圧力が重要な局面においても維持されていることが極めて重要である。すなわち、エアバッグは漏れてはならないのである。この目的のためエアバッグは非常に高密度に織り込まれ、２層部から１層部へ移行する部分において織り方を変化させることに大きな努力が払われている。これにより例えば高いファブリック引き裂き強度又はくし形引っ張り力（ｃｏｍｂ ｗｉｔｈｄｒａｗａｌ ｆｏｒｃｅ）を達成することができる。多くの場合において、依然この方法で製造されるエアバッグファブリックは適切な漏洩防止を得ることに失敗しているので、ファブリックの細孔を封止するだけを目的として高価なプロセスにより追加の薄いフィルムが加えられている。これにより所望の漏洩防止を達成している。上記の如く製造されたエアバッグは、織り込み方法に起因して非常に高価になる。一方で、複雑なコーティング処理に起因してエアバッグのコストは更に増加する。

高密度であるが故に、このようなファブリックは完成に時間を要し、且つ高コストである。

周知のエアバッグファブリックは、高い織り密度であり、かつ、織り込み処理速度が遅いので、ヤーン（ｙａｒｎ）に課せられる負荷がこれらに対応して高いという更なる欠点を有する。従って、織り込み時に糸を上から下へ又はその逆に移行させる際、高い織り密度であるが故に糸がしばしば互いにこすれ合い、また、結果的に高い確率で不良品になり得る織り込み時における品質の損傷（細孔損傷、毛玉、固まり、糸切れ等）が多くなる。更に、織り込みの際の糸の損傷が、多くの場合、織機の中断時間を引き起こし、また、機械のスピードをより速くする必要性がより一層効率を悪化させ既に高い製造コストを更に高くする。

上記のエアバッグのその他の欠点として、該エアバッグが高い織り密度であるが故にこれに対応してエアバッグファブリックが大きな厚みを有しているため、完成したエアバッグが折り畳まれた状態の収納容積を確認する必要がある。高い織り密度に起因して、ファブリックすなわちエアバッグはより固くなり、ファブリックの作動にも悪影響を及ぼす。

本発明は、従来技術の欠点を回避若しくは少なくとも顕著に減少させた低コストエアバッグを製造することを目的としている。更に、当該エアバッグの製造方法も提供している。

この目的は、まず請求項１に記載されているエアバッグより達成される。本発明のエアバッグは、従来技術によって知られるエアバッグに比べて著しく安価に製造される。外部に面するエアバッグのファブリック層の表面上に、漏洩防止の形成及びエアバッグの強化に適したコーティングをすることによって、エアバッグのテキスタイルシートファブリックを比較的低密度に織り込むことができる。この場合においてエアバッグを強化することとは、エアバッグをコーティングして、特に強い強度、漏洩防止及びファブリックへのつなぎ止め（ｋｅｙｉｎｇ）を達成することを意味する。ファブリック自体は、エアバッグの外部及び内部構造及びその少なくとも１つのチャンバの形成に対するいわば責任がある。すなわち、例えばフィルムの形成状の如きコーティングによって対処されるファブリック漏洩防止及び強化に対してはファブリックは本来的に貢献しない。この理由のために、ファブリックの織り密度を大きく再構成することができる。例えば、ワンピース織り（ＯＰＷ）の単層部を、従来のパナマ織の代わりに（より単純な）平織によって固く且つきつく織ることができる。これによって、上記にて提案したものと同じ平織を用いて単層部から２層部へ移行する臨界部において剪断力によるファブリックの負荷を著しく減少させることができる。その結果、コーティングが剥離したり、ファブリック上にコーティングする際に傷をつけたりするリスク、すなわち漏洩のリスクを大幅に減少させることとなる。所望の気密性を満足することによって本発明のエアバッグは、十分な圧力持続時間を確保する。

その他の利点は、平織の表面を滑らかにすることによって実現され、これによりコーティングの密着性が向上し、漏洩のリスクが更に除去される。低い織り密度となるが故に織機の生産量が増加するため、エアバッグファブリック及びワンピース織り（ＯＰＷ）の工場内での製造及び仕上げ作業が、実質的に安価になる。互いの糸同士の摩擦や杼口の変化がより少ないため、ヤーン材の負荷は著しく減少する。その結果、損傷（細孔損傷、毛玉、固まり、糸切れ等）が大幅に減少し、製品品質が非常に向上する。これによりヤーンの損傷による織機の停止がより少なくなり、効率が大幅に向上する。

本発明のエアバッグの更に他の利点は、折り畳まれた状態の収納容積が減少することによって実現される。本発明によって可能となる織り密度の低下によって、カバー因子（ｃｏｖｅｒ ｆａｃｔｏｒ）を減らすことが可能となり、その結果、柔軟性が増し、より柔らかい感触のファブリックとなる。この結果として、織機から排出されるファブリックは後段工程での処理におい手より作業性が向上する。

本発明の更なる特徴と利点は、従属請求項に記載されている。

本発明の目的は請求項８に記載されている方法によって更に達成され得る。かかる目的を達成すべく、表面上の熱間圧延熱可塑性フィルムの利点が詳細に記載されている。すなわち、圧力によってファブリック上のつなぎ止め（ｋｅｙｉｎｇ）点が平坦化され、圧延適用フィルムにより拡張した受容表面を提供する。換言すれば、この比較的単純なトリックによってコーティングとファブリックとの間をより強くつなぎ止めるべく表面を平坦化することが可能となる。

一般に、上記した表面を意味する、例えば、織物、編物又はレース状織物のテキスタイルシートファブリックの表面は、平坦な構造でなく「でこぼこ」でる。結果として、例えばフィルム形状のコーティングに利用可能な連続平坦接触表面にならない。でこぼこ構造は、テキスタイルシートファブリックの糸が、その表面に単に波形状を形成するものであり、編物においては、例えばループの頂部が表面から突出し、ループの谷部が編物のより深い位置に存在している。

流体、フィルム、フィルムの如き材料又はラミネート等でテキスタイルシートファブリックをコーティングすることが知られており、これにより、例えば劣化及び／又は漏洩防止を促進し、透過性及び／又は摩擦を除去をする。かかるテキスタイルシートファブリックが、機械的、水力学的又は空気力学的に酷使されるとき、テキスタイルシートファブリックとコーティングとの間のつながりは***し、さらにはテキスタイルシートファブリックが全て機能しないという結果になり得る。

請求項９に記載されている本発明の方法の他の有利な特徴においては、テキスタイルシートファブリック、特に織物の、エアバッグ織物及びエアバッグを低コストな方法でコーティングすることにあり、ここにおいてはテキスタイルシートファブリックとそのコーティングとの間の良好な密着が達成される。テキスタイルシートファブリックの密着性は、フッ化処理と同様にコロナ処理とプラズマ処理との両方によって大幅に改良される。例えば、ドイツ国実用新案第２９８０５９９９Ｕ１号に開示される上記のコロナ及びプラズマ処理においては、静電引力が活性化されて、テキスタイルシートファブリックに塗布される物質の密着性を大幅に強める。テキスタイルシートファブリックのフッ化処理においては、再生可能なドライケミカル反応が、水素原子がフッ素によって置換される表面上で起こり、よって機械的及び化学的結合の可能な長い活性表面が作られる。

本発明の方法の更に他の有利な特徴は、テキスタイルシートファブリックがシリコーンフィルムでコーティングされることにあり、ここにおいて、テキスタイルシートファブリックから離れて面しているその表面はフッ素ガスで処理される。このフッ化処理は、事実上シリコーン同士の密着を無くしほぼ完全に滑らかな表面を生ずる。

この利点は、従来必要とされた分離剤の必要性をなくすため、折り畳まれるエアバッグのために特に使用される。

以下に図面を参照して、本発明を実施例によって説明する。

図１を参照すると、横糸６及び縦糸７（現実のスケールではない）を含むファブリックが図示されている。いわゆるつなぎ止め点２が示されており、それぞれの位置に、密着性、漏洩防止及び強度について最適化されたフィルム１が横糸６及び縦糸７によって形成されるファブリック３に張り付けられる。ファブリック３は図２に示されるような１対のニップローラー４によって圧縮されるため、縦糸７は共に押しつぶされ、断面が楕円になる。同様に、簡易な概略図で示されている図１から明白なように、つなぎ止め「点」２がフィルム／コーティングとファブリックとの間で平坦になっている様子が示されている。

図２を参照すると、１対のニップローラー４が図示されており、それらの間に上記したフィルム１及び糸厚みが薄くされたバッキングファブリックが導かれてつなぎ止められている。フィルム／コーティングとファブリックとのつなぎは、化学的、熱的、機械的に成し遂げられ、これは更に複合（ｂｉｃｏｍｐｏｎｅｎｔ）ヤーンの使用によって強化され得る。その結果、いわゆるテキスタイル強化プラステック表面５が生じ、ファブリックの織り密度を粗くすることにより、ファブリックの波綾の数はより少ない。テキスタイル強化プラステック表面５のキーイングポイント２は、圧延の圧力によって平坦にされ、フィルム１により広い接触表面をもたらす。

エアバッグは、請求項３に記載されているように、形成され得る。ここにおいて、請求項１を参照する際に述べた利点が同様に供給されている。織った後にエアバッグを熱処理することによって、所望の漏洩防止及び強度が達成される。これはファブリック層の糸を覆っているプラスチック組成の架橋結合によるものである。

本発明によるエアバッグのファブリック層の断面図である。 本発明によるエアバッグのテキスタイルシートファブリックを生ぜしめるべく熱可塑性フィルムをファブリック層に圧延する方法を示した図である。

Claims (4)

1. 互いに向かい合ってガスを充填可能な少なくとも１つのチャンバを形成する、織物材の少なくとも２つの織られた層を含み、前記織られた層は外側に向いた表面上に密閉及び／または強化を行う層、ラミネート、フィルムまたはコーティングを有することを特徴とするエアバッグを製造する方法であって、
   製織機によってエアバッグ形状のファブリック（３）を織るステップと、
   熱可塑性フィルム（１）と共に前記表面を熱間圧延し、前記ファブリック（３）内のつなぎ止め点を圧力によって平坦にして、前記フィルム（１）に対して接触表面領域を提供するステップと、を含むことを特徴とする方法。
2. 請求項１記載の方法であって、前記表面及び／または層、ラミネート、フィルムまたはコーティングは一部分において、前記フィルムと圧延される前にコロナもしくはプラズマトリートメントによってまたはフッ素化によって処理されることを特徴とする方法。
3. 請求項１または２記載の方法であって、ポリアミド、ポリエステル、シリコン、ネオプレンまたはポリウレタンのフィルムが前記表面にラミネートされることを特徴とする方法。
4. 請求項１、２又は３記載の方法であって、前記表面にはシリコンの層が提供されて、フッ素ガスによって処理されることを特徴とする方法。

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