JP4746199B2 - 紙幣入出金装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ATM(現金自動預入支払機)等に組み込まれ、紙幣の入金処理や出金処理を自動的に行う紙幣入出金装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀行等に設置されるATMや両替機には、紙幣の入金処理や出金処理を自動的に行う紙幣入出金装置が組み込まれている。一般に、この種の紙幣入出金装置は、紙幣の入出金を行う入出金部と、紙幣の種類および真偽を識別する識別部と、入金紙幣の集積や出金紙幣の繰り出しを行う中間プール部と、紙幣を収納する金庫(紙幣収納部)とを備えて構成されており、入金取引に際しては、入出金部が取り込んだ入金紙幣を中間プール部に一時保留し、該保留紙幣を入金取引確定後に金庫内に収納するように動作される。
【0003】
この種の紙幣入出金装置においては、信頼性の根幹をなす紙幣識別処理および紙幣計数処理の精度を確保することは勿論のこと、ジャム等の機械的なトラブルが発生しても、入金取引が確定した紙幣と、未確定の紙幣とを明確に切り分けた状態を維持することにより、金銭取引上のトラブルを回避することが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の紙幣入出金装置では、ジャム等のトラブル発生時に、中間プール部内の未確定紙幣を手作業で取り出す場合、金庫内の確定紙幣やリフトブレード(未確定紙幣の切り分け機能および取り込み機構を持つ部材)に触る可能性があるため、未確定紙幣が確定紙幣に混入したり、逆に確定紙幣が未確定紙幣に混入する等のトラブルが生じる惧れがある許りでなく、セキュリティの低下を招く不都合がある。
【0005】
そこで、金庫の紙幣収納口をシャッタで閉じた後、上記未確定紙幣の取り出しを行うようにすることが提案されるが、この場合には、閉じ操作されたシャッタが未確定紙幣の一部を金庫内に誤って収納してしまう等、新たな問題が生じる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、ジャム等のトラブル発生時において、中間プール部内の未確定紙幣を、紙幣収納部内の確定紙幣に触れることなく処理することができ、しかも、閉じ操作されたシャッタが未確定紙幣の一部もしくは全てを紙幣収納部に誤って収納してしまう不都合も回避することができる紙幣入出金装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の紙幣入出金装置は、確定紙幣を収納する紙幣収納部と、前記紙幣収納部の紙幣収納口を開閉するシャッタであって、通常時は前記紙幣収納口を開くものと、前記紙幣収納部上に未確定紙幣を搬入する中間プール部と、前記確定紙幣と未確定紙幣を切り分けるリフトブレードと、前記シャッタが閉じ操作されたとき、前記リフトブレード上の未確定紙幣を前記シャッタよりも上方へ退避させる退避部材とを備えて構成される。
【0008】
また、前記退避部材は、閉じ操作された前記シャッタに押されて回動し、その回動に伴って前記未確定紙幣の一端部を上方へ持ち上げることが好ましい。この場合においては、前記退避部材を、特別な連動機構を設けることなくシャッタの閉じ操作に連動させることができる許りでなく、未確定紙幣の一端部を持ち上げられる程度の小さな部材で構成することができ、その結果、部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0009】
また、前記退避部材は、前記中間プール部と前記紙幣収納部との間で紙幣移動をガイドする紙幣ガイドに兼用されていることが好ましい。この場合においては、中間プール部と紙幣収納部との間の紙幣移動を円滑にしてジャムの発生を防止できる許りでなく、部品の兼用化により部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0010】
また、前記リフトブレードは、前記確定紙幣と未確定紙幣との間に隙間を確保することが好ましい。この場合においては、退避部材が未確定紙幣を上方へ退避させる際に、確定紙幣に接触することを防止でき、その結果、確定紙幣が退避部材によって持ち上げられ、未確定紙幣に混入する不都合を回避することができる。
【0011】
また、前記紙幣収納部は、紙幣入出金装置本体に対して着脱自在な金庫で構成されていることが好ましい。この場合においては、装置本体から金庫を取外すことにより、中間プール部の下方を広く開放した状態でジャム紙幣の処理を行うことができる。
【0012】
また、前記リフトブレードは、前記金庫に対し、その内外に出退自在に取付けられると共に、その出退動作に基づいて前記未確定紙幣を前記金庫内に収納するように構成されていることが好ましい。この場合においては、シャッタを閉じ操作すると、リフトブレードも金庫内に格納されるため、未確定紙幣の処理に際してリフトブレードが邪魔になる不都合がない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図示した一実施形態に基いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る紙幣入出金装置の内部側面図である。この図に示されるように、紙幣入出金装置1は、最上部の前側に設けられる入出金部100と、該入出金部100の後方に設けられる識別部200と、上記入出金部100の下方に設けられる千円用中間プール部300Aと、該千円用中間プール部300Aの下方に着脱自在に装着される千円用金庫400Aと、該千円用金庫400Aの下方に設けられる五千円用中間プール部300Bと、該五千円用中間プール部300Bの下方に着脱自在に装着される五千円用金庫400Bと、五千円用金庫400Bの下方に設けられる一万円用中間プール部300Cと、該一万円用中間プール部300Cの下方に着脱自在に装着される一万円用金庫500と、上記各部の間で紙幣搬送を行う紙幣搬送部600と、上記金庫400A、400B、500の後方に設けられる制御部700とを備えて構成される。尚、上記の各中間プール部300A、300B、300Cは同一構造であるため、各中間プール部300A、300B、300Cに共通する説明においては符号A、B、Cを省略する。また、金庫400A、400B、500のうち、千円用金庫400Aと五千円用金庫400Bも同一構造であるため、各金庫400A、400Bに共通する説明においては符号A、Bを省略する。
【0014】
入出金部100は、入金利用者から紙幣Pを受け取ると共に、出金利用者に紙幣Pを渡す部分である。本実施形態の入出金部100は、入金時において、入出金口101に一括投入された紙幣Pの束を仕切り板102の上側に取り込む処理と、取り込んだ紙幣Pを搬送口103を介して識別部200に順次繰り出す処理と、入金リジェクト口104から送り込まれるリジェクト紙幣Pを仕切り板102の下側に集積する処理と、集積したリジェクト紙幣Pを入出金口101から放出する処理とを行い、また、出金時および一括返却時においては、搬送口103を介して識別部200から送り込まれる紙幣Pを仕切板102の上側に集積する処理と、集積した紙幣Pを入出金口101から放出する処理とを行うように構成される。
【0015】
識別部200は、入金された紙幣Pまたは出金する紙幣Pの真偽および種類を識別する部分である。本実施形態の識別部200は、紙幣Pの光透過パターンを検出する光透過式識別センサ(図示せず)と、紙幣Pに印刷される磁性体の磁気パターンを検出する磁気式識別センサ(図示せず)とを備えて構成される。
【0016】
中間プール部300は、入金された紙幣Pの一時保留や、金庫400、500からの出金紙幣Pの繰出しを行う部分である。本実施形態の中間プール部300は、入金時において、搬送口301から送り込まれる紙幣Pを集積する処理(集積モード)と、集積した紙幣Pを金庫400、500に収納する処理(収納モード)とを行い、また、一括返却時においては、集積した紙幣Pを搬送口301から順次繰り出す処理(返却モード)を行い、更に、出金時においては、金庫400、500内の紙幣Pを搬送口301から順次繰り出す処理(繰り出しモード)を行うように構成される。
【0017】
金庫400、500は、入金された紙幣Pまたは出金用の紙幣Pを収納する部分である。本実施形態の金庫400、500は、金庫内部を中間プール部300に連通させる上部開口(紙幣収納口)401、501と、該上部開口401、501を開閉するシャッタ402、502と、紙幣取扱者が紙幣Pを出し入れするための紙幣出し入れ口403、503と、該紙幣出し入れ口403、503を開閉するドア404、504と、該ドア404、504を施錠するドア施錠機構405、505とを備えて構成される。また、本実施形態の一万円用金庫500は、出金時に発見したリジェクト紙幣Pを収納するリジェクト金庫を兼ねており、該リジェクト金庫を構成する出金リジェクト部506が前端側に一体化されている。
【0018】
紙幣搬送部600は、入金された紙幣Pを識別部200から各中間プール部300へ搬送する入金搬送処理と、入金リジェクト紙幣Pを識別部200から入出金部100の入金リジェクト口104へ搬送する入金リジェクト搬送処理と、出金(または返却)する紙幣Pを各中間プール部300から識別部200へ搬送する出金搬送処理(または返却搬送処理)と、出金リジェクト紙幣Pを出金リジェクト部506へ搬送する出金リジェクト搬送処理とを行う部分である。本実施形態の紙幣搬送部600は、識別部200の後部から千円用中間プール部300Aの搬送口近傍に至る横搬送部601と、千円用中間プール部300Aの搬送口近傍から出金リジェクト部506に至る縦搬送部602と、各中間プール部300の搬送口近傍で搬送経路を切換える千円ゲート603A、五千円ゲート603Bおよび一万円ゲート603Cと、横搬送部601の中間部から入出金部100の入金リジェクト口104に至る入金リジェクト搬送部604と、該入金リジェクト搬送部604の始端部で搬送経路を切換える入金リジェクトゲート605とを備えて構成される。
【0019】
制御部700は、ホストからのコマンドや各種センサの検出信号を入力し、該入力に応じて各種アクチュエータを動作させる部分である。本実施形態の制御部700は、入金処理、収納処理、一括返却処理および出金処理を行うためのプログラムを備えており、以下、上記各処理の概略を説明する。
【0020】
入金処理は、入金コマンドの受信に応じて実行される。入金コマンドを受信すると、入出金部100の入出金口101を開閉するシャッタ105が開き、紙幣Pの投入を待つ。紙幣Pの束が入出金口101に投入されると、投入された紙幣Pの束は、仕切り板102の上側に取り込まれた後、識別部200に一枚ずつ順次繰り出され、その真偽および種類が識別される。紙幣Pが真券であると識別された場合には、その券種に対応するゲート603が開くと共に、紙幣Pが横搬送部601および縦搬送部602を経て対応する中間プール部300に送り込まれ、ここに集積される。一方、紙幣Pが偽券であると識別された場合には、入金リジェクトゲート605が開くと共に、紙幣Pが横搬送部601および入金リジェクト搬送部604を経て仕切り板102の下側に送り込まれ、ここに集積される。入出金部100から全ての紙幣Pが繰り出されると、入金リジェクト紙幣P(仕切り板102の下側集積紙幣P)の有無が判断される。入金リジェクト紙幣Pが無い場合には、そのまま入金処理を終了する一方、入金リジェクト紙幣Pが有る場合には、入金リジェクト紙幣Pを入出金口101から返却した後、入金処理を終了する。
【0021】
また、入金処理終了後、収納コマンドを受信すると、収納処理が実行され、各中間プール部300に集積された紙幣Pが各金庫400、500に収納される。一方、入金処理終了後、返却コマンドを受信すると、一括返却処理が実行される。一括返却処理においては、各中間プール部300に集積された紙幣Pが順次繰り出されると共に、繰り出された紙幣Pが縦搬送部602、横搬送部601および識別部200を経て入出金部100に送り込まれ、ここに集積される。その後、集積された紙幣Pを入出金口101から返却し、一括返却処理を終了する。
【0022】
出金処理は、出金コマンドの受信に応じて実行される。出金コマンドを受信すると、各金庫400、500内の紙幣Pが必要枚数だけ順次繰り出されると共に、繰り出された紙幣Pが縦搬送部602、横搬送部601および識別部200を経て入出金部100に送り込まれ、ここに集積される。その後、集積された紙幣Pを入出金口101から出金し、出金処理を終了する。また、出金処理中に出金リジェクト紙幣P(偽券、破損紙幣、重送紙幣等)が見つかった場合には、出金リジェクト処理が実行され、出金リジェクト部506に出金リジェクト紙幣Pが収納される。
【0023】
次に、本発明の要部である金庫400(500)の詳細を中間プール部300と共に説明する。図1に示されるように、紙幣入出金装置1のシャーシ2には、左側方に開口する3段の金庫装着室3が形成されている。各金庫装着室3の上部には、ユニット化された中間プール部300が組み付けられており、各中間プール部300には、縦搬送部602の動力源である縦搬送モータ(図示せず)の動力が入力ギヤ302を介して伝動される。これにより、各中間プール部300において、縦搬送部602と同期した紙幣搬送(集積搬送および繰り出し搬送)を行うことが可能になる。
【0024】
図2は、中間プール部の内部平面図、図3は、中間プール部の内部左側面図である。これらの図に示されるように、中間プール部300は、縦搬送部602と同期して紙幣Pの集積搬送および繰り出し搬送を行うベルト搬送体303と、該ベルト搬送体303の前端部対向位置に設けられ、繰り出し搬送時に紙幣Pの先端部をピックアップするピックアップローラ304と、該ピックアップローラ304の近傍に設けられ、繰り出し搬送時に紙幣Pの分離を促す分離ローラ305と、上記ベルト搬送体303の中間部に組み込まれ、紙幣Pの繰り出しを検知する繰り出しセンサ機構306と、上記ベルト搬送体303の後部に組み込まれ、繰り出し搬送時に下層の紙幣Pを制動する紙幣ブレーキ機構307と、上記ベルト搬送体303の左右両側方に設けられ、集積搬送時に紙幣Pを一枚ずつ整然と集積させるバタフライ308と、上記ベルト搬送体303の左右両側部に沿って設けられ、集積搬送時および繰り出し搬送時に所定のタイミングで紙幣Pを押し下げる押し下げレバー309と、上記バタフライ308および押し下げレバー309を動作させるバタフライソレノイド310と、上記紙幣ブレーキ機構307を動作させる分離ソレノイド311とを備えて構成されている。
【0025】
一方、金庫400(500)は、各金庫装着室3における中間プール部300の下方空間に着脱自在に装着される。図1に示されるように、各金庫装着室3の前側には、それぞれ金庫施錠機構4が設けられている。金庫施錠機構4は、施錠操作および解錠操作に応じて出没する回動式のロックレバー4aを備えており、上記施錠操作に伴って突出したロックレバー4aが金庫400(500)に係合することにより、金庫400(500)の取り出しが規制される。また、図4に示されるように、各金庫装着室3の裏側(シャーシ2の右側面)には、リフト駆動機構5が設けられている。リフト駆動機構5は、リフトモータ6と、該リフトモータ6の正逆駆動に応じて回動するカム7と、該カム7に上方から接当するカムピン8と、該カムピン8を支軸9aを支点として上下動自在に支持するカムアーム9とを備えて構成され、リフトモータ6の正逆駆動に応じたカム7の回動により、カムピン8を上下動させる。そして、カムピン8は、シャーシ2に形成される円弧状(円弧中心は支軸9a)の長孔10を介して金庫装着室3に突出しており、金庫装着状態においては、金庫400(500)の側面に形成される同一形状の長孔406を介して金庫400(500)の内部に進入する。
【0026】
金庫400(500)は、前述したように、金庫内部を中間プール部300に連通させる上部開口401(501)と、該上部開口401(501)を開閉するシャッタ402(502)と、紙幣取扱者が紙幣Pを出し入れするための紙幣出し入れ口403(503)と、該紙幣出し入れ口403(503)を開閉するドア404(504)と、該ドア404(504)を施錠するドア施錠機構405(505)とを備えて構成されるが、さらに、その内部には、紙幣収納機構および紙幣ガイド機構を備えており、以下、これらの機構を詳細に説明する。尚、金庫400および金庫500における上記機構の構成は略同一であるため、以降は、金庫500の説明を省略する。
【0027】
図5は、リフトブレード上昇状態(繰り出しモード)を示す紙幣収納機構の正面図、図6は、リフトブレード上昇状態(繰り出しモード)を示す紙幣収納機構の右側面図、図7は、リフトブレード下降状態(初期状態)を示す紙幣収納機構の右側面図である。これらの図に示されるように、紙幣収納機構は、ベルト搬送体303の下方で紙幣Pを昇降させるステージ407と、該ステージ407を昇降自在に支持するパンタグラフ408と、上記ステージ407を上昇方向に付勢するステージバネ(引張コイルバネ)409と、金庫400の上端部に上下回動自在に設けられる左右一対のリフトアーム410と、該リフトアーム410の先端部に上下回動自在に設けられるリフトブレード411とを備えて構成される。
【0028】
パンタグラフ408は、金庫400の底部に設けられるベースプレート412と、ステージ407との間に伸縮自在に構成されており、その枢軸413は右側方に延出している。ステージバネ409は、枢軸413の延出部と金庫400の固定部との間に介設されると共に、中間部が複数の固定プーリ414に懸回されており、そのバネ力は、枢軸413を引き上げる方向、つまりステージ407を上昇させる方向に作用している。
【0029】
左右一対のリフトアーム410は、平面視でステージ407の左右両側に振り分け状に配置されると共に、その基端部同士が回動支軸410aを介して一体的に連結されている。右側のリフトアーム410には、作動プレート415が一体的に設けられており、その先端部には係合溝415aが形成されている。係合溝415aは、金庫400が装置本体に装着されたとき、リフト駆動機構5のカムピン8に係合し、リフトアーム410をリフト駆動機構5に連動連結させる。これにより、リフトアーム410がリフトモータ6の正逆駆動に応じて昇降動作することになる。さらに、作動プレート415には、プーリ416が設けられている。プーリ416には、ステージバネ409の中間部が懸回されており、そのバネ力は、プーリ416を引き下ろす方向に作用している。そのため、ステージバネ409を利用してリフトアーム410を下方に付勢できる許りでなく、リフトアーム410の上昇動作時に、ステージバネ409を介してステージ407を引き上げることが可能になる。
【0030】
リフトブレード411は、平面視で紙幣P(ステージ407)の幅方向両端部に重合するようにリフトアーム410の先端部に取り付けられている。リフトブレード411の前後中央位置は、左右方向(紙幣幅方向)を向く第一支軸417と、前後方向(紙幣長さ方向)を向く第二支軸418とを介してリフトアーム410の先端部に支持されている。第一支軸417を支点とするリフトブレード411の回動は自由であり、紙幣Pの押圧反力または紙幣Pとの接触抵抗によってリフトブレード411が略平行姿勢に保たれる。一方、第二支軸418を支点とするリフトブレード411の回動は、正面視で略平行となる位置が上限であり、常時は復帰バネ419の付勢力で上限に位置する。また、図7に示されるように、リフトアーム410がステージバネ409の付勢力またはリフトモータ6の駆動力で金庫400内に位置するときは、リフトブレード411がリフトアーム410と略一直線となり、金庫400の上端部に沿って格納される。以下、リフトブレード411の作用を図8〜図10に沿って説明する。
【0031】
図8は、集積モードにおけるリフトブレードの作用を示す正面図、図9は、返却モードおよび収納モードにおけるリフトブレードの作用を示す正面図、図10は、収納モードにおけるリフトブレードの作用を示す正面図である。図8に示されるように、集積モードにおいては、リフトブレード411が収納紙幣(確定紙幣)Pの両端部を押えながら集積ポジションAまで移動する。入金紙幣(未確定紙幣)Pは、ベルト搬送体303とリフトブレード411との間に順次搬入され、リフトブレード411上に集積される。これにより、リフトブレード411が、入金紙幣Pと収納紙幣Pとを切り分ける切り分け部材として機能する。また、リフトブレード411は、正面視山形状(へ字状)に形成され、その裾部で収納紙幣Pを押えつつ、頂部で入金紙幣Pを支持することにより、収納紙幣Pと入金紙幣Pとの間に所定間隔の間隙を確保している。
【0032】
集積処理完了後、顧客の要求に応じて入金紙幣Pを返却する場合は、図9に示されるように、リフトブレード411が返却ポジションBまで上昇する。このときリフトブレード411上の入金紙幣Pは、ベルト搬送体303に押し当てられ、ベルト搬送体303の繰り出し搬送動作に伴って中間プール部300から順次搬出される。一方、集積処理完了後、入金確定操作に応じて入金紙幣Pを金庫400に収納する場合は、図9に示されるように、リフトブレード411が返却ポジションBを越えて上限ポジションCまで上昇する。その途中、入金紙幣Pがベルト搬送体303との接当により上昇が規制されると、リフトブレード411は、復帰バネ419に抗して下方に退避回動すると共に、入金紙幣Pの側面をなぞりながら入金紙幣Pの上方に移動し、その後、復帰バネ419の付勢力で平行姿勢に復帰する。そして、上限ポジションCまで上昇したリフトブレード411は、図10に示されるように、反転下降して入金紙幣Pおよび収納紙幣Pを押し下げ、金庫400内に収納することになる。
【0033】
図11は、シャッタ開き状態の金庫を示す平面図である。この図に示されるように、シャッタ402は、上部開口401の前後両縁部に左右方向摺動自在に支持され、左外側方への引き出し操作で金庫400の上部開口401を開くように構成される。シャッタ402は、金庫400に対して着脱不能であり、引き出しストロークの終端で抜止め状に係止されるが、シャッタ402の右端側には、折曲自在な折曲部402aが形成されており、該折曲部402aを支点としてシャッタ402を下方に折り曲げることで、開き状態のシャッタ402を金庫400の左側面部に沿わせることが可能となっている。
【0034】
図12は、シャッタ開き状態の金庫および中間プール部を示す正面断面図である。この図に示されるように、紙幣ガイド機構は、金庫400側に設けられる金庫側可動紙幣ガイド420および金庫側固定紙幣ガイド421、中間プール部300側に設けられる中間プール側第一固定紙幣ガイド312、中間プール側第二固定紙幣ガイド313および中間プール側可動紙幣ガイド(退避部材)314を備えて構成される。金庫側可動紙幣ガイド420は、中間プール部300と金庫400との間で紙幣Pの前後および右側面をガイドすべく、平面視で上部開口401の前側縁部、後側縁部および右側縁部に沿うように形成されている。金庫側可動紙幣ガイド420は、金庫400の上端側内側部に平行リンク機構(図示せず)を介して昇降自在に設けられると共に、第一ガイドバネ(図示せず)によって上方に付勢されている。つまり、シャッタ閉じ状態においては、金庫側可動紙幣ガイド420が第一ガイドバネの付勢力に抗して金庫400内に押し込まれているが、シャッタ402が開くと、第一ガイドバネの付勢力で金庫側可動紙幣ガイド420が上部開口401から上方に突出すると共に、中間プール側第一固定紙幣ガイド312の下端に弾圧状に接当し、中間プール部300と金庫400との間に連続した紙幣ガイドを形成する。尚、金庫側可動紙幣ガイド420の左上コーナー部には、右高左低状に傾斜する傾斜ガイド部(図示せず)が形成されており、該傾斜ガイド部は、シャッタ402が閉操作されたとき、その先端部に接当して金庫側可動紙幣ガイド420を没入方向に動作させる。
【0035】
一方、中間プール側可動紙幣ガイド314は、中間プール部300と金庫400との間で紙幣Pの左側面をガイドすべく、平面視で上部開口401の左側縁部上方に設けられる。中間プール側可動紙幣ガイド314は、中間プール側第二固定紙幣ガイド313の下端部に支軸315を介して左右回動自在に設けられると共に、第二ガイドバネ(図示せず)によって下方突出方向に付勢されている。つまり、シャッタ閉じ状態においては、中間プール側可動紙幣ガイド314がシャッタ402に押されて上方へ退避回動するが、シャッタ402が開くと、第二ガイドバネの付勢力で下方へ回動した中間プール側可動紙幣ガイド314が金庫400内に進入すると共に、その先端部が金庫側固定紙幣ガイド421の内側面に弾圧状に接当し、中間プール部300と金庫400との間に連続した紙幣ガイドを形成する。
【0036】
上記の如く構成された中間プール側可動紙幣ガイド314は、シャッタ402が閉じ操作されたとき、リフトブレード411上の入金紙幣Pをシャッタ402よりも上方へ退避させる退避部材としても機能する。以下、図13および図14に沿って中間プール側可動紙幣ガイド314(以下、退避部材という。)の作用を説明する。
【0037】
図13は、シャッタの閉じ始めを示す金庫および中間プール部の正面断面図、図14は、シャッタを閉じた状態を示す金庫および中間プール部の正面断面図である。入金取引中にジャム等のトラブルが発生した場合には、図13に示されるように、シャッタ402の閉じ操作を行う。シャッタ402を閉じ操作すると、退避部材314がシャッタ402の先端部に押されて回動する。このとき退避部材314の先端部は、リフトブレード411を介して切り分けられた入金紙幣Pと収納紙幣Pとの間の間隙に進入する。シャッタ402を更に閉じ側に操作すると、退避部材314は、入金紙幣Pの左端部を持ち上げながら回動し、シャッタ402の上方へ入金紙幣Pを退避させる。その後、シャッタ402は、入金紙幣Pの下面に沿って全閉位置まで到達し、その上面で入金紙幣Pを支持する。つまり、リフトブレード411上の入金紙幣Pを金庫400内に誤って収納することなく、シャッタ402を閉じ操作することができ、これにより、金庫400内の収納紙幣Pに触れずに入金紙幣P(ジャム紙幣P)の処理を行うことが可能になる。
【0038】
以上の如く本実施形態によれば、紙幣入出金装置1は、確定紙幣Pを収納する金庫400と、金庫400の上部開口401を開閉するシャッタ402と、金庫400上に未確定紙幣Pを搬入する中間プール部300と、確定紙幣Pと未確定紙幣Pを切り分けるリフトブレード411と、シャッタ402が閉じ操作されたとき、リフトブレード411上の未確定紙幣Pをシャッタ402よりも上方へ退避させる退避部材314とを備えて構成される。これにより、ジャム等のトラブル発生時において、中間プール部300内の未確定紙幣Pを、金庫400内の確定紙幣Pに触れることなく処理することができ、しかも、閉じ操作されたシャッタ402が未確定紙幣Pの一部もしくは全てを金庫400に誤って収納してしまう不都合も回避することができる。
【0039】
また、退避部材314は、閉じ操作されたシャッタ402に押されて回動し、その回動に伴って未確定紙幣Pの一端部を上方へ持ち上げるため、退避部材314を、特別な連動機構を設けることなくシャッタ402の閉じ操作に連動させることができる許りでなく、未確定紙幣Pの一端部を持ち上げられる程度の小さな部材で構成することができ、その結果、部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0040】
また、退避部材314は、中間プール部300と金庫400との間で紙幣移動をガイドする紙幣ガイド(中間プール側可動紙幣ガイド)に兼用されているため、中間プール部300と金庫400との間の紙幣移動を円滑にしてジャムの発生を防止できる許りでなく、部品の兼用化により部品点数の削減や構造の簡略化を図ることができる。
【0041】
また、リフトブレード411は、確定紙幣Pと未確定紙幣Pとの間に隙間を確保するため、退避部材314が未確定紙幣Pを上方へ退避させる際に、確定紙幣Pに接触することを防止でき、その結果、確定紙幣Pが退避部材314によって持ち上げられ、未確定紙幣Pに混入する不都合を回避することができる。
【0042】
また、金庫400は、装置本体に対して着脱自在に構成されているため、装置本体から金庫400を取外すことにより、中間プール部300の下方を広く開放した状態でジャム紙幣の処理を行うことができる。
【0043】
また、リフトブレード411は、金庫400に対し、その内外に出退自在に取付けられると共に、その出退動作に基づいて未確定紙幣Pを金庫400内に収納するように構成されているため、シャッタ402を閉じた状態では、リフトブレード411も金庫400内に格納されることになり、その結果、未確定紙幣Pの処理に際してリフトブレード411が邪魔になる不都合がない。
【0044】
以上、本発明の一実施形態を図面に沿って説明した。しかしながら本発明は前記実施形態に示した事項に限定されず、特許請求の範囲の記載に基いてその変更、改良等が可能であることは明らかである。
【0045】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、ジャム等のトラブル発生時において、中間プール部内の未確定紙幣を、紙幣収納部内の確定紙幣に触れることなく処理することができ、しかも、閉じ操作されたシャッタが未確定紙幣の一部もしくは全てを紙幣収納部に誤って収納してしまう不都合も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】紙幣入出金装置の内部側面図である。
【図2】中間プール部の内部平面図である。
【図3】中間プール部の内部左側面図である。
【図4】リフト駆動機構の左側面図である。
【図5】リフトブレード上昇状態(繰り出しモード)を示す紙幣収納機構の正面図である。
【図6】リフトブレード上昇状態(繰り出しモード)を示す紙幣収納機構の右側面図である。
【図7】リフトブレード下降状態(初期状態)を示す紙幣収納機構の右側面図である。
【図8】集積モードにおけるリフトブレードの作用を示す正面図である。
【図9】返却モードおよび収納モードにおけるリフトブレードの作用を示す正面図である。
【図10】収納モードにおけるリフトブレードの作用を示す正面図である。
【図11】シャッタ開き状態の金庫を示す平面図である。
【図12】シャッタ開き状態の金庫および中間プール部を示す正面断面図である。
【図13】シャッタの閉じ始めを示す金庫および中間プール部の正面断面図である。
【図14】シャッタを閉じた状態を示す金庫および中間プール部の正面断面図である。
【符号の説明】
P 紙幣
1 紙幣入出金装置
100 入出金部
200 識別部
300 中間プール部
303 ベルト搬送体
314 退避部材(中間プール側可動紙幣ガイド)
400 金庫
401 上部開口
402 シャッタ
411 リフトブレード
500 金庫
600 紙幣搬送部
700 制御部
Claims (6)
- 確定紙幣を収納する紙幣収納部と、
前記紙幣収納部の紙幣収納口を開閉するシャッタであって、通常時は前記紙幣収納口を開くものと、
前記紙幣収納部上に未確定紙幣を搬入する中間プール部と、
前記確定紙幣と未確定紙幣を切り分けるリフトブレードと、
前記シャッタが閉じ操作されたとき、前記リフトブレード上の未確定紙幣を前記シャッタよりも上方へ退避させる退避部材と、
を備えることを特徴とする紙幣入出金装置。 - 前記退避部材は、閉じ操作された前記シャッタに押されて回動し、その回動に伴って前記未確定紙幣の一端部を上方へ持ち上げることを特徴とする請求項1に記載の紙幣入出金装置。
- 前記退避部材は、前記中間プール部と前記紙幣収納部との間で紙幣移動をガイドする紙幣ガイドに兼用されていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣入出金装置。
- 前記リフトブレードは、前記確定紙幣と未確定紙幣との間に隙間を確保することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の紙幣入出金装置。
- 前記紙幣収納部は、紙幣入出金装置本体に対して着脱自在な金庫で構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の紙幣入出金装置。
- 前記リフトブレードは、前記金庫に対し、その内外に出退自在に取付けられると共に、その出退動作に基づいて前記未確定紙幣を前記金庫内に収納するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の紙幣入出金装置。
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