JP4742208B2 - オレフィン重合体製造用触媒およびそれを用いたオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合体製造用触媒およびそれを用いたオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合体製造用触媒と、それを用いるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、種々の遷移金属を含有する触媒を用いてオレフィン重合体を製造する方法が知られている。例えば、欧州特許EP121965号(特開昭59−197427号に対応)、欧州特許EP314309号(特開平1−132629号に対応)には、典型的には、以下の触媒を用いることが開示されている。すなわち、(a)パラジウム化合物、(b)パラジウムに対し非配位性或いは非常に弱い配位性を有する陰イオン源、および(c)式R12P−R−PR34のビスホスフィンであって、ここでR1乃至R4は別個にアリール基であり、任意に極性置換体であり得、そしてRは「−(CH2n−」(nは2〜6の整数)の様な2価の有機架橋基であるビスホスフィンを使用する。陰イオン源は、典型的にはその共役酸である。
また、欧州特許EP246683号(特開昭62−267327号に対応)により、(a)酢酸パラジウムや塩化パラジウムなどのパラジウム化合物、(b)式R12P−R−PR34のビスホスフィンであって、ここでR1〜R4は別個にアリール基であり、任意に極性置換体であり得、そしてRは「−(CH2n−」(nは2〜6の整数)の様な2価の有機架橋基であるビスホスフィン、(c)錫もしくはゲルマニウムのハロゲン化物、からなる触媒系を用いて、ポリケトンを製造することが開示されている。
【0003】
また、欧州特許EP508502号(特開平4−366129号に対応)には以下の触媒組成物が開示されている。すなわち、a)VIII族金属化合物、 b)一般式MFnのルイス酸であって、ここでMはフッ素とルイス酸を形成しうる元素を表し、Fはフッ素を表し、そしてnは3または5の値であるルイス酸、および、 c)少なくとも2つのリン、窒素または硫黄を含有する配位座原子団を包含する配位子であって、前記配位座原子団を介して前記配位子がVIII族金属と錯体形成することができる配位子である。
また、米国特許US5830989号(特開平8−176295号に対応)には、(a)周期律表第8族の金属に配位することができる少なくとも1つの配位子を包含する周期律表第8族金属化合物、と(b)式、BXYZの化合物であって、ここでX、YおよびZのうち少なくとも1つがクロロまたはブロモフェニル基である化合物とから成るポリケトンを製造するための触媒組成物が開示されている。
【0004】
また、米国特許US5734010号(特開平10−36503号に対応)には、操作条件下に液体である溶媒中で、助触媒を使用しなくても活性を示す下記一般式(a)の触媒の存在下、ポリケトンを製造する方法が記載されている。
[Pd(chel)(chel’)2+[A-2 (a)
[尚、式中、chelおよびchel’は、同一であるか、または異なっていてもよく、窒素含有またはリン含有二座配位キレート剤を表し、そしてA-は、B(3,5−(CF32 −C634 -、B(C654 -およびAl(C654 -から選択される、本質的に配位せず、エステル化せず、かつ不安定ではないアニオンを示す。]
しかしながら、これらの触媒は、高い重合活性を維持しながら、特に高い分子量の重合体を得る上では、必ずしも好適な触媒というわけではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い重合活性で、高分子量のオレフィン重合体を製造することのできる、オレフィン重合体製造用触媒と、それを用いるオレフィン重合体の製造方法を提供することを1つの目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1]下記一般式(1)で表される遷移金属化合物と、[2]非配位性アニオンもしくは低配位性アニオンを含有する化合物を、[3]溶剤配位子、の存在下で反応させて得られうる、オレフィン重合体製造用触媒である。
【0007】
Z(PR1 2211 2 式(1)
[尚、M1は周期律表第8族の遷移金属原子である。Zは、周期律表第3〜8族の遷移金属原子に少なくとも1つのπ電子共役配位子が配位した構造を有するメタロセン化合物である。遷移金属原子M1とメタロセン化合物Zは、2個の独立したPR1 2基を介して結合されている。ここで、Pはリン原子を表し、R1は炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基を表す。X1はハロゲンと炭素数1〜10の炭化水素基とからなる群から選択された結合基であり、M1に結合している。]
また、別の本発明は、該オレフィン重合体製造用触媒を用いる、オレフィン重合体の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒は、[1]下記一般式(1)で表される遷移金属化合物と、[2]非配位性アニオンもしくは低配位性アニオンを含有する化合物を、[3]溶剤配位子、の存在下で反応させて得ることができる。
【0009】
Z(PR1 2211 2 式(1)
一般式(1)中、Zは、周期律表第3〜8族の遷移金属原子に少なくとも1つのπ電子共役配位子が配位した構造を有するメタロセン化合物である。
【0010】
一般式(1)中、M1は、周期律表第8族の遷移金属原子であり、Pd、Ni、Ptを例示することができる。特に好ましいのはPdである。
【0011】
1とメタロセン化合物Zは、2個の独立したPR1 2基を介して結合されている。ここで、Pはリン原子を表し、R1は炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基を表し、p−トリル基、p−クロルフェニル基、p−メトキシフェニル基、フェニル基を例示することができる。PR1 2基として好ましいのは、ジ−p−トリルホスフィン、ジ−p−クロルフェニルホスフィン、ジ−p−メトキシフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィンである。
【0012】
1は、M1に結合しており、ハロゲンと炭素数1〜10の炭化水素基とからなる群から選択された結合基である。このような結合基として、クロライド、ブロマイド、イオダイド、ハイドライド、メチル基、エチル基、プロピル基などが例示でき、クロライド、メチル基が好ましく用いられる。特に、2個のX1が共にクロライドである場合、もしくは、1個のX1がクロライドで、別のX1がメチル基である場合が好ましい。
【0013】
一般式(1)中、Zは、さらに具体的な、好ましい態様として、下記一般式(2)で表すことができる。
s2 n22 m-n 式(2)
上記一般式(2)において、M2は、周期律表第3〜8族の遷移金属であり、Fe、Ni、Ti、ZrおよびHfを例示できる。好ましいのは、FeもしくはZrである。
【0014】
上記一般式(2)において、mは遷移金属M2の配位数であり、nは、2≦n≦mの関係を有する1つの整数である。
【0015】
上記一般式(2)において、R2 nのうち少なくとも1つのR2は遷移金属原子M2に配位するπ電子共役配位子であり、他のR2は遷移金属原子M2に結合する炭素数1〜30の炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、置換スルホナト基、または、結合基の別の一端でさらに前記π電子共役配位子と結合しているアミドシリレン基もしくはアミドアルキレン基である。上記炭素数1〜30の炭化水素基としては、例えば、アルキル基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびそれらの誘導体、アリール基として、フェニル基、ナフチル基、およびそれらの誘導体や、ベンジル基などを例示することができる。このうち、π電子共役配位子を除くR2として好ましいのは、結合基の別の一端でさらに前記π電子共役配位子と結合しているアミドシリレン基である。
【0016】
上記π電子共役配位子としては、η−シクロペンタジエニル構造、η−ベンゼン構造、η−シクロヘプタトリエニル構造、またはη−シクロオクタテトラエン構造を有する配位子が挙げられ、特に好ましいのはη−シクロペンタジエニル構造を有する配位子である。η−シクロペンタジエニル構造を有する配位子としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、水素化インデニル基、フルオレニル基、ジヒドロアズレニル基などが挙げられる。これらの基は、アルキル基、アリール基およびアラルキル基のような炭化水素基、トリアルキルシリル基のような炭化水素置換シリル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、鎖状および環状アルキレン基などで置換されていてもよい。
【0017】
上記一般式(2)において、sは0もしくは1の整数であり、Qは2個のR2を架橋している架橋基であり、2個のR2がQによって架橋されていても、架橋されていなくてもよいことを示す。特に、R2 nのうち、π電子共役配位子が2個以上含まれる場合には、そのうち2個のπ電子共役配位子同士は、Qによって互いに架橋されていてもいなくてもよい。Qとしては、炭素数1〜30のアルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、置換シクロアルキレン基、置換アルキリデン基、フェニレン基、シリレン基、置換ジメチルシリレン基、もしくはゲルミル基を例示することができる。
【0018】
一般式(2)において、X2は、ハロゲンと炭素数1〜10の炭化水素基とからなる群から選択された結合基であり、それぞれ遷移金属M2に結合している。Xとしては、クロライド、ブロマイド、イオダイド、ハイドライド、メチル基、エチル基、プロピル基等が例示でき、クロライド、メチル基が、好ましい。
【0019】
一般式(2)で示された Qs2 n22 m-n すなわち、一般式(1)におけるメタロセン化合物Zとしては、下記のものを例示することができる。
【0020】
すなわち、π電子共役配位子を1個有するメタロセン化合物として、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エチレンジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エチレンチタニウムジメチル、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エチレンジルコニウムジベンジル、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エチレンチタニウムジメチル、(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)メチレンチタニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジベンジル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シリレンジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シリレンチタニウムジフェニル、(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シリレンジルコニウムジベンジル等が挙げられる。
【0021】
また、π電子共役配位子を2個有しそれらが非架橋であるメタロセン化合物として、遷移金属がジルコニウムである場合を例示すると、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(シクロペンタジエニル)(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(シクロペンタジエニル)(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0022】
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(トリエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル等が挙げられる。
【0023】
これらのジルコニウム化合物において、ジルコニウムをイットリウム、サマリウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルまたはクロムに置き換えた化合物も同様に例示できる。
【0024】
なお、上記に例示したメタロセン化合物には、π電子共役配位子上の炭素原子が他の1つもしくは複数の結合基によって置換された構造を有するメタロセン化合物が含まれるが、該メタロセン化合物が2置換体である場合には、1位と2位が共に置換された置換体、および、1位と3位が共に置換された置換体であってもよく、該メタロセン化合物が3置換体である場合には、1位、2位及び3位が共に置換された置換体、1位、2位及び4位が共に置換された置換体であってもよい。また、置換する結合基としてのアルキル基は、それらの構造異性体であってもよい。
【0025】
また、π電子共役配位子を2個有しそれらが非架橋であるメタロセン化合物の例としては、上記の化合物以外に、フェロセンなども例示できる。
【0026】
更に、2個のπ電子共役配位子が架橋されているメタロセン化合物として、たとえば、ジメチルシリレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、rac−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、rac−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、rac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、
【0027】
rac−エチレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルジヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ハフニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ハフニウムジクロリド、
【0028】
rac−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
【0029】
ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチルなどが挙げられる。なお、上記のラセミ化合物に対応したメソ化合物も使用することができる。
【0030】
上記のメタロセン化合物の中でも、フェロセン、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが最も好ましく用いられる。
【0031】
上記一般式(1)に記載した2個のPR1 2基は、互いに独立して、炭素数1〜10の炭化水素基を介し、もしくは直接に、前記π電子共役配位子に結合しており、その別の一端は、前記一般式(1)で示されるM1に結合している。2個のPR1 2基は、特に、上記一般式(2)で示される Qs(R2 n)M22 m-n 、すなわち、上記一般式(1)中に記載されているメタロセン化合物Zが、π電子共役配位子を2個有し、それが共にη−シクペンタジエニル構造を有するものである場合に、その一方のη−シクペンタジエニル構造の1位と2位の位置に2個のPR1 2基を結合しているもの、もしくは、2個のη−シクペンタジエニル構造のそれぞれの1位と1’位の位置に、1個ずつのPR1 2基を結合して有するものが好ましい。
【0032】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒の製造に用いる、一般式(1)で表される遷移金属化合物の好ましい具体例としては、下記構造式(3)〜(6)で表される化合物を挙げることができる。
【0033】
【化1】
式(3)
Figure 0004742208
【0034】
【化2】
式(4)
Figure 0004742208
【0035】
【化3】
式(5)
Figure 0004742208
【0036】
【化4】
式(6)
Figure 0004742208
【0037】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒の製造に用いられる、[2]非配位性アニオンもしくは低配位性アニオンを含有する化合物とは、該オレフィン重合体製造用触媒を構成する、上記一般式(1)で表される遷移金属化合物中の遷移金属M1に起因するM1カチオンに対して、重合させるオレフィン等のモノマーが置換困難なほどに強く配位しないカウンターアニオンを形成することのできるアニオンであれば特に限定されない。本発明のオレフィン重合体製造用触媒の製造に用いられる、[2]非配位性アニオンもしくは低配位性アニオンを含有する化合物として、具体的には、AgBF4、AgPF6、B(C653、Ph3CB(C654を例示することができる。
【0038】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒の製造に用いられる、[3]溶剤配位子としては、該オレフィン重合体製造用触媒を構成する、上記一般式(1)で表される遷移金属化合物中の遷移金属M1に起因するM1の空の配位座に配位することにより、オレフィン重合体製造用触媒を安定化させ、重合させるオレフィン等のモノマーと容易に置換されることのできるものであれば特に限定されない。本発明のオレフィン重合体製造用触媒の製造に用いられる、[3]溶剤配位子として、具体的には、メタノール、アセトニトリル(CH3CN)、ベンゾニトリル(PhCN)を例示することができる。
【0039】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒は、[1]上記一般式(1)で表される遷移金属化合物と、[2]上記非配位性アニオンもしくは低配位性アニオンを含有する化合物を、[3]上記溶剤配位子、の存在下で反応させて得ることができる。
【0040】
上記一般式(1)で表される遷移金属化合物の製造にあたっては、公知の方法が採用でき、例えば、オルガノメタリックス(organometallics),11,1598(1992)に記載されている製造方法を採用できる。
【0041】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒は、[1]上記一般式(1)で表される遷移金属化合物と、該遷移金属化合物と等モルの[2]非配位性アニオンもしくは低配位性アニオンを含有する化合物を、上記遷移金属化合物に含まれている遷移金属M1の1モルに対して、好ましくは、1000〜1モル、より好ましくは、500〜10モル、さらに好ましくは、400〜100モル、特に好ましくは、300〜200モルに相当する量の[3]溶剤配位子の存在下で、反応させることによって好適に製造することができる。この反応は、好ましくは、−30〜100℃、さらに好ましくは、−20〜80℃、特に好ましくは、0〜70℃の温度で行われる。
上記のようにして製造したオレフィン重合体製造用触媒を用いて、オレフィン重合体を製造する際には、その重合反応の活性を高めるために、該オレフィン重合体製造用触媒とともに、1,4−ベンゾキノンもしくは1,4−ナフトキノンなどの1,4−キノン類、ニトロベンゼンなどの芳香族ニトロ化合物、またはトルエンスルホン酸、などの有機酸化剤を使用することができる。これらの有機酸化剤の使用量は、オレフィン重合体製造用触媒を形成する[1]遷移金属化合物由来の遷移金属M1の1モル当たり、5〜5,000モルが好ましく、さらに10〜1,000モルが好ましい。
【0042】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒としては、好適なものとして下記構造式(7)〜(9)で示されるものを挙げることができる。
【0043】
【化5】
式(7)
Figure 0004742208
尚、Phはフェノール基を、NCMe、NCPhはそれぞれ、アセトニトリル、ベンゾニトリルを表す。
【0044】
【化6】
式(8)
Figure 0004742208
尚、Meはメチル基を表す。
【0045】
【化7】
式(9)
Figure 0004742208
【0046】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒を用いて重合するオレフィンとしては、炭素数2〜20のオレフィン、もしくは炭素数2〜20のオレフィンとオレフィンを除くコノマーとの混合物を挙げることができ、該オレフィンを除くコモノマーとして、メチルアクリレートのようなアルキルアクリレートもしくは一酸化炭素を例示することができる。本発明のオレフィン重合体製造用触媒を用いて重合するオレフィンとして、好ましくは、エチレン、プロピレン、スチレン等の芳香環を含むオレフィン、エチレンとプロピレンとの混合物、もしくは、これらの少なくとも1つのオレフィンと一酸化炭素との混合物を挙げることができる。好ましいのは、エチレン、もしくは、エチレンと一酸化炭素の混合物である。
【0047】
また、本発明のオレフィン重合体製造用触媒を用いて好適に製造することのできるオレフィン重合体は、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であり、具体的には、プロピレン単独重合体、エチレン単独重合体、共重合体の重量基準でプロピレン単位を50重量以上含むプロピレン/エチレン共重合体、共重合体の重量基準でオレフィン単位を10〜99.1重量、好ましくは30〜99.1重量%、さらに好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは50〜80重量%含むオレフィンとオレフィンを除くコモノマーとの共重合体である。オレフィンを除くコモノマーとしては、メチルアクリレートのようなアルキルアクリレート、もしくは、一酸化炭素が例示でき、好ましくは、一酸化炭素である。本発明のオレフィン重合体製造用触媒を用いて製造するに好適なオレフィン重合体は、オレフィン単独重合体もしくはオレフィン/一酸化炭素共重合体である。特に、エチレン単独重合体もしくはエチレン/一酸化炭素共重合体が好適である。特に、本発明のオレフィン重合体製造用触媒は、オレフィン/一酸化炭素共重合体を、交互共重合体として製造することができるという性能を有する。
【0048】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒を用いてオレフィン/一酸化炭素共重合体を製造すると、160〜260℃の融点を有する共重合体が好適に得られ、特に200〜260℃の融点を有する共重合体を好適に製造することができる。
【0049】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法は、公知のオレフィン重合プロセスが使用可能であり、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ガソリン留分や水素化ジーゼル油留分、メタノール等のアルコール類、ジクロロメタン等の含ハロゲン溶媒等の溶媒中でオレフィン類を重合させる溶液重合法もしくはスラリー重合法、オレフィン類自身を溶媒として用いるバルク重合法、オレフィン類の重合を気相中で実施する気相重合法、あるいはこれらのプロセスの2以上を組み合わせた重合プロセスを使用することができる。前記の組み合わせた重合プロセスとしては、バルク−気相プロセスが最も好ましい。
【0050】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒を使用してオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法においては、その重合温度は、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは−20〜150℃、さらに好ましくは0〜100℃、特に好ましくは10〜80℃であり、重合圧力は、大気圧〜9.9MPa(ゲ−ジ圧)、好ましくは0.4〜5.0MPa(ゲ−ジ圧)の範囲である。また、必要に応じて水素やメタノールのような連鎖移動剤を導入して、得られるオレフィン重合体の分子量を調節しても良い。なお、メタノールは触媒の活性化のために用いられる場合もある。
【0051】
オレフィン重合の終了後、重合系から未反応単量体及び水素を分離し、触媒失活処理等を行って、オレフィン重合体を得る。
【0052】
尚、本発明のオレフィン重合体製造用触媒を、オレフィン重合体の製造に使用する際には、該オレフィン重合体製造用触媒とともに、触媒活性を向上させる目的で、B[3,5-C6H3(CF3)2]3、B(p-ClC6H4)3、B(C653等の有機ホウ素化合物を併用しても良い。
【0053】
また、本発明のオレフィン重合体製造用触媒は、前記一般式(1)で表される触媒に、Ti系チーグラー触媒もしくはメタロセン触媒等の公知の触媒を併用してもよい。Ti系チーグラー触媒としては、チタン化合物、マグネシウム化合物、及び必要に応じて、分子内に酸素、窒素、リン、硫黄のいずれか1種以上を含む電子供与体を接触して得られる、チタン、マグネシウム、ハロゲン及び必要に応じて電子供与体からなる担持型触媒や、四塩化チタンを還元して得られる三塩化チタン系触媒が挙げられる。また、メタロセン触媒とは、例えば、シクロペンタジエニル化合物もしくはインデニル化合物等と遷移金属化合物を接触して得られる触媒のことである。
【0054】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒は、担体に担持させて、担持型触媒として用いても良い。具体的には、本発明の触媒を、MgCl2,SiO2,Al23等の無機化合物、もしくはポリエチレン、ポリプロピレン等の高分子化合物と接触させることにより得ることができる。
【0055】
本発明のオレフィン重合体製造用触媒およびそれを用いた製造方法を採用して得られたオレフィン重合体は、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤等の各種添加剤、更には種々の合成樹脂を配合した後、通常、溶融混練機を用いて190〜350℃の温度で20秒〜30分間程度加熱溶融混練し、必要に応じてストランド状に押し出した後に、更に細断して粒状体、すなわちペレットの形態で各種成形品の製造に供される。
【0056】
【実施例】
以下に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
尚、各実施例および比較例で得られた触媒およびそれを用いて得られたオレフィン重合体については、下記のような試験項目を測定することによって、その性能を評価した。
【0057】
(試験項目)
1.元素分析
C,H,Nの各元素の分析には、「ELEMENTAR VARIOEL」(Elemental analysensysteme Gmbh社製」を用いて行った。ハロゲンの分析には、VOLHARDS法(oxygen flask method)を用いた。その他金属などの分析は、「Atom Scan 16」(Thermo Jarrel Asy社製)を用いて、ICAP INDUCTUIELY COUPLED AGRON PLASMA法で行った。(単位:重量%)
2.1H−NMR分析
得られたオレフィン重合体製造用触媒について、300MHzで、「Bruker AM-300」(商品名、Bruker社製)を用い、または、500MHzで、「Varian Unity Plus Spectrometer」(商品名、Varian社製)を用いて、室温で測定した。溶媒として、CD2Cl2を用いた。
3.31P−NMR分析
得られたオレフィン重合体製造用触媒について、122MHzで、「Bruker AM-300」(商品名、Bruker社製)を用い、または、202MHzで、「Varian Unity Plus Spectrometer」(商品名、Varian社製)を用いて、室温で測定した。溶媒として、CD2Cl2を用いた。
4.融点
得られたオレフィン重合体について、DSC測定により、「SEIKO SSC-5500 system」(商品名、セイコ−電子工業社製)を用いて、昇温速度20℃/分で測定して求めた。(単位:℃)
5.1H−NMR分析
得られたオレフィン重合体について、1mlのC66と、1mlの1,1,1−ヘキサフルオロアイソプロパノールとの混合溶液に、該重合体50mgを溶解し、濾過により金属Pdを除去した後の試験液について、300MHzで、「Bruker AM-300」(商品名、Bruker社製)を用いて、室温で測定して求めた。
【0058】
6.13C−NMR分析
得られたオレフィン重合体について、1mlのC66と、1mlの1,1,1−ヘキサフルオロアイソプロパノールとの混合溶液に、該重合体50mgを溶解し、濾過により金属Pdを除去した後の試験液について、75.5MHzで、「Bruker AM-300」(商品名、Bruker社製)を用いて、室温で測定して求めた。
7.重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)、重量平均分子量(Mw)に対するZ平均分子量(Mz)の比(Mz/Mw)
得られたオレフィン重合体について、該重合体を、1,1,1−ヘキサフルオロアイソプロパノールに、その濃度が0.01重量%となるように溶解し、この溶液を、「GPC−201D(2)」(商品名、Waters社製)を用いて、23℃の温度で測定して求め、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を基準とした相対値として得られた。(Mwの単位:g/mol)
8.固有粘度
得られたオレフィン重合体について、「VMR-053UPC」(商品名、離合社製)を用いて、テトラリンの希薄溶液を使用し、135℃で測定して求めた。(単位:dl/g)
【0059】
尚、下記実施例、比較例中、「DPPF」、「DPPP」、「COD」なる略称はそれぞれ、下記のものを示す。
(1)DPPF … 1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
その構造式を下記式(10)に示す。
【化8】
式(10)
Figure 0004742208
【0060】
(2)DPPP … 1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン
その構造式を下記式(11)に示す。
【化9】
式(11)
Figure 0004742208
【0061】
(3)COD … シクロオクタジエン
【0062】
実施例1
オレフィン重合体製造用触媒:[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6]:の合成
(1)遷移金属化合物:(DPPF)Pd(Me)Cl:の合成例
Inorg.Chem.,32,5769(1993),および、オルガノメタリックス(Organometallics),13,303(1994)に記載された方法に準じ、まず(COD)Pd(Me)Clを合成した。すなわち、10.4mmolの(COD)PdCl2を500mlのフラスコに導入し、引き続いて、200mlのCH2Cl2を導入した。本混合物を攪拌しながら、13.4mmolの(Me)4Sn を同フラスコに導入した。混合物は鮮やかな黄色が色あせるまで、通常、30〜120分に渡って、40〜50℃でリフラックスされた。このときに、若干の金属Pdへの分解が観察された。その後、混合物は室温まで冷却され、ろ過によりほとんど無色の溶液が回収された。溶媒を減圧乾燥でとりのぞき、生じた白色の固体につき、1回当たり10mlのジエチルエーテルを用いた洗浄を3回実施したのち、減圧乾燥し、(COD)Pd(Me)Clを得た。収率は95%であった。
【0063】
そして、上記のようにして得られた(COD)Pd(Me)Clと、市販のDPPF(Aldorich社製)を用いて、オルガノメタリックス(Organometallics),11,1598(1992)に記載の方法に準じて、(DPPF)Pd(Me)Clを合成した。すなわち、3.1mmolの(COD)Pd(Me)Clを溶解したベンゼン溶液15mlへ、3.1mmolのDPPFを溶解したベンゼン溶液10mlを加え、該混合溶液を20時間攪拌した。攪拌後、該混合溶液から、黄色の固体がろ過により回収され、1回当たり5mlのベンゼンを用いて2回洗浄し、その後、1回当たり5mlのペンタンを用いて2回洗浄され、(DPPF)Pd(Me)Clを得た。収率は85%であった。
【0064】
(2)オレフィン重合体製造用触媒:[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6]:の合成
上記(1)で得られた(DPPF)Pd(Me)Clを0.407mmolと、これと等ミリモルのAgPF6とを、を窒素雰囲気下でシュレンク管中に導入した。その後、該シュレンク管中に、1.0mlのアセトニトリルと、20mlのジクロロメタンが加えられた。該混合物を30分間攪拌した後、濾過することにより、淡黄色の溶液を回収した。該淡黄色の溶液に、さらに150mlのペンタンを加え攪拌すると、淡黄色の析出物が確認された。さらに30分の攪拌の後、その淡黄色の固体を、濾過することにより回収し、さらに1回当たり10mlのペンタンで3回洗浄した後、減圧乾燥し、[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6]を得た。収率は85%であった。
以下に、[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6]の同定データを示した。尚、元素分析、NMR分析は、前記記載の方法で測定した。
(元素分析結果)
元素分析結果は下記の通りであった。
C(51.7%), H(4.09%), N(1.70%)
ちなみに、一般式:[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6] から算出される各元素の組成量理論値は、 C(51.6%), H(3.95%), N(1.63%), Fe(6.49%), P(10.8%), Pd(12.4%), F(13.3%) の割合である。
(NMR分析結果)
1H-NMR分析結果は下記の通りであった。尚、溶媒としてCD2Cl2を使用し、波長500MHzで測定した。
0.66 ppm [3H, dd, JPH=3.00Hz, 7.00Hz, Pd-Me]
1.83 ppm [3H, s, MeCN]
4.07 ppm [2H, pseudo s, Cp]
4.32 ppm [2H, pseudo s, Cp]
4.37 ppm [2H, pseudo s, Cp]
4.50 ppm [2H, pseudo s, Cp]
7.45〜7.71 ppm [20H, m, Ph]
31P-NMR分析結果は下記の通りであった。尚、溶媒としてCD2Cl2を使用し、波長200MHzで測定した。
18.88 ppm [d, JPP=33.4Hz, -PPh2]
42.52 ppm [d, JPP=33.4Hz, -PPh2]
-149.13 ppm [sept, PF6]
【0065】
実施例2
オレフィン重合体製造用触媒:[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2:の合成
(1)遷移金属化合物:(DPPF)PdCl2 :の合成例
米国特許US5830989号における(DPPP)PdCl2の合成方法に準じ、該米国特許において(DPPP)を使用しているところを(DPPF)に変えて、(DPPF)PdCl2を合成した。すなわち、2.29mmolの(COD)PdCl2を含む25mlのCH2Cl2けん濁液に、2.30mmolのDPPFが添加され、10分間攪拌された。その後、250mlのジエチルエーテルが添加され、更に30分間攪拌された。そして、生じたオレンジ色の個体が濾過により回収され、1回当たり10mlのジエチルエーテルで3回洗浄された後、減圧下で乾燥され、(DPPF)PdCl2として得られた。
【0066】
(2)オレフィン重合体製造用触媒:[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2:の合成
上記(1)で合成した0.203mmolの(DPPF)PdCl2と、0.407mmolのAgBF4が、窒素雰囲気下でシュリンク管に導入された。ひきつづき、該混合物に、1.0mlのアセトニトリルと、20mlのジクロロメタンが加えられた。該溶液を30分攪拌した後、濾過することにより紫色の溶液が回収された。該紫色の溶液に150mlのペンタンを加え攪拌すると、紫色の固体の析出が確認された。さらに30分攪拌したのち、ろ過により紫色の固体を回収し、1回当たり10mlのペンタンで3回洗浄したのち、減圧乾燥して、[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2を得た。収率は80%であった。
以下に[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2の同定データを示した。元素分析、NMR分析は前記記載の要領で測定した。
(元素分析結果)
元素分析結果は下記の通りであった。
C(49.7%), H(3.71%), N(3.06%), Fe(6.10%), P(6.76%), Pd(11.6%), B(2.36%), F(16.6%)
ちなみに、一般式:[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2 から算出される各元素の組成量理論値は、 C(48.9%), H(3.86%), N(2.99%), Fe(5.93%), P(6.51%), Pd(10.1%), B(2.28%) の割合である。
(NMR分析結果)
1H-NMR分析結果は下記の通りであった。尚、溶媒としてCD2Cl2を使用し、波長300MHzで測定した。
1.82 ppm [6H, s, MeCN]
4.51 ppm [4H, pseudo s, Cp]
4.66 ppm [4H, pseudo s, Cp]
7.47〜7.74 ppm [20H, m, Ph]
31P-NMR分析結果は下記の通りであった。尚、溶媒としてCD2Cl2を使用し、波長122MHzで測定した。
43.58 ppm [s, -PPh2]
【0067】
実施例3
[(DPPF)Pd(NCPh)2][BF4]2の合成
アセトニトリルの代わりにベンゾニトリルを用いた以外は、実施例2と同様にして、[(DPPF)Pd(NCPh)2][BF4]2を合成した。収率は80%であった。
以下に[(DPPF)Pd(NCPh)2][BF4]2の同定データを示した。元素分析、NMR分析は前記記載の要領で測定した。
(元素分析結果)
元素分析結果は下記の通りであった。
C(55.4%), H(3.65%), N(2.69%), Fe(5.37%), P(5.96%), Pd(10.2%), B(2.08%), F(14.6%)
ちなみに、一般式:[(DPPF)Pd(NCPh)2][BF4]2 から算出される各元素の組成量理論値は、C(54.7%), H(3.86%), N(2.76%), Fe(4.93%), P(4.95%), Pd(8.79%), B(1.91%) の割合である。
(NMR分析結果)
1H-NMR分析は下記の通りであった。尚、溶媒としてCD2Cl2を使用し、波長300MHzで測定した。
4.58 ppm [4H, pseudo s, Cp]
4.67 ppm [4H, pseudo s, Cp]
7.25〜7.86 ppm [30H, m, Ph]
31P-NMR分析は下記の通りであった。尚、溶媒としてCD2Cl2を使用し、波長122MHzで測定した。
44.08 ppm [s, -PPh2]
【0068】
実施例4
[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6]による、エチレン/一酸化炭素共重合体の製造
ジクロロメタン(300ml)が窒素雰囲気下で、十分に乾燥した攪拌機付き1L−ステンレス製リアクターに導入された。導入されたジクロロメタンは、20℃で0.2MPa(絶対圧)のエチレン/一酸化炭素混合ガス(50/50)にて飽和されるように15分間攪拌された。その後、実施例1にて合成された3.81×10-5molの[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6]を含むジクロロメタン溶液50mlをリアクターに導入した。その後、上記の混合ガスによりリアクター内の圧力を1MPaにコントロールした。上記の圧力を保ちながら、20℃にて6時間攪拌をおこなったのち、重合を終了した。得られた白色の重合体をろ過により回収し、アセトンで洗浄し、60℃で減圧乾燥した。得られた重合体の収量は7.8gであり、活性は33000[g/(mol・h・MPa)]であった。このようにして得られた重合体の融点は255℃であった。また、NMR測定を行った結果、1H−NMRでは2.39〜2.41ppmにシングレットピーク[(−CH2CH2−CO-)nに相当]が観察され、13C−NMRでは、35.3ppm(メチレンカーボンに相当)、212.1ppm(カルボニルカーボンに相当)が観察され、他には、溶媒によるシグナルしか観察されず、得られた重合体は、エチレン/一酸化炭素交互共重合体であることを確認した。また、該共重合体のMwが15.1×105g/mol、Mw/Mnが1.59、Mz/Mwが、1.38であった。
【0069】
実施例5
[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2による、エチレン/一酸化炭素共重合体の製造方法
[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6]に代えて、実施例2で合成した[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2を用い、さらに、[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2のジクロロメタン溶液をリアクターに導入後、メタノール2mlを加えた以外は実施例4と同様にして、エチレン/一酸化炭素共重合体の製造を行った。その結果、4.9gの重合体が得られ、活性は21000[g/(mol・h・MPa)]であった。このようにして得られた重合体の融点は256℃であった。また、NMR分析の結果、得られた重合体は、実施例4と同様のエチレン/一酸化炭素交互共重合体であった。また、得られた共重合体は、Mwが6.30×105g/mol、Mw/Mnが1.6、Mz/Mwが1.46であった。
【0070】
実施例6
[(DPPF)Pd(NCPh)2][BF4]2による、エチレン/一酸化炭素共重合体の製造方法
[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2に代えて、実施例3で合成した[(DPPF)Pd(NCPh)2][BF4]2を用いた以外は、実施例5と同様の重合操作を行った。その結果、4.6gの重合体が得られ、活性は20000[g/(mol・h・MPa)]であった。得られた重合体の融点は256℃であり、NMR分析の結果、実施例4と同様のエチレン/一酸化炭素交互共重合体であることが判った。
【0071】
比較例1
[(DPPP)Pd(NCPh)2][BF4]2の製造]
(1)(DPPP)PdCl2の合成
米国特許US5830989号記載の方法に準じて合成した。すなわち、2.30mmolのDPPPが、2.29mmolの(COD)PdCl2を含むCH2Cl2のけん濁液25mlに、該けん濁液を攪拌しながら添加された。10分間攪拌した後、250mlのジエチルエーテルが加えられ、さらに30分間攪拌された。生じた析出物はろ過により回収され、1回当たり10mlのジエチルエーテルを用いて3回洗浄され、減圧乾燥され、ほとんど白色の固体として回収され、(DPPP)PdCl2が得られた。収率は95%であった。
(2)[(DPPP)Pd(NCPh)2][BF4]2の合成
米国特許US5830989号の方法に準じて、[(DPPP)Pd(NCPh)2][BF4]2を合成した。すなわち、まず、0.407mmolのAgBF4がシュリンク管に導入された。ひきつづき0.202mmolの(DPPP)PdCl2,および1.0mlのベンゾニトリル(PhCN),更に10mlのCH2Cl2が添加された。1時間攪拌した後、淡黄色の溶液がろ過により回収され、100mlのジエチルエーテルが添加され、白色の固体が析出した。白色固体はろ過により回収され、1回当たり5mlのジエチルエーテルで3回洗浄したのち、減圧乾燥されて、[(DPPP)Pd(NCPh)2][BF4]2が得られた。収率は85%であった。
【0072】
[(DPPP)Pd(NCPh)2][BF4]2による、エチレン/一酸化炭素共重合体の製造
[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2に変えて、上記で合成した[(DPPP)Pd(NCPh)2][BF4]2を用い、さらに重合時間を2時間にした以外は実施例5と同様の重合操作を行った。その結果、1.4gの重合体が得られ、活性は18000g/[(mol・h・MPa)]であった。この活性は、実施例4、5、6と比べ低活性であった。得られた共重合体について、NMR測定を行った結果、実施例4と同様にエチレン/一酸化炭素交互共重合体であることが分かった。
【0073】
実施例7
[(DPPF)Pd(Me)(NCMe)][PF6]による、エチレン/一酸化炭素共重合体の製造
最初にジクロロメタン(300ml)をリアクターに導入する際に、B(C6F5)3(7.05×10-4mol)を同時に導入したことと、重合時間を2時間にしたこと以外は実施例4と同様の重合操作をおこなった。その結果、5.5gの重合体が得られ、活性は72000[g/(mol・h・MPa)]であった。得られた重合体の融点は255℃であり、NMR分析の結果、実施例4と同様のエチレン/一酸化炭素交互共重合体であることが判った。また、得られた重合体のMwは6.58×105g/mol、Mw/Mnは1.35、Mz/Mwは1.27であった。
【0074】
実施例8
[(DPPF)Pd(NCMe)2][BF4]2によるエチレン/一酸化炭素共重合体の製造
最初にジクロロメタン(300ml)をリアクターに導入する際に、B(C6F5)3(7.05×10-4mol)を同時に導入したこと以外は実施例5と同様の重合操作をおこなった。その結果、10.1gの重合体が得られ、活性は44000[g/(mol・h・MPa)]であった。得られた重合体の融点は255℃であり、NMR分析の結果、実施例5と同様のエチレン/一酸化炭素交互共重合体であることが判った。
【0075】
比較例2
[(DPPP)Pd(NCPh)2][BF4]2による、エチレン/一酸化炭素共重合体の製造
最初にジクロロメタン(300ml)をリアクターに導入する際に、B(C6F5)3(7.05×10-4mol)を同時に導入したこと以外は比較例1と同様な重合操作を行った。その結果、2.8gの重合体が得られ、活性は37000[g/(mol・h・MPa)]であった。この活性は、実施例7、8の活性と比べて低活性であった。得られた共重合体は、NMR測定の結果、実施例4と同様にエチレン/一酸化炭素交互共重合体であることが分かった。
【0076】
実施例9
[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Clの合成
(1)(COD)Pd(Me)Clの合成例
実施例1記載の方法で合成した。
(2)[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Clの合成
まず、Inorg.Chem.,16,1788(1977)に記載の方法に準じて、シクロペンタジエンを合成した。すなわち、ジシクロペンタジエンに、170℃で蒸留操作を施し、クラッキングさせることにより生じたシクロペンタジエンを−78℃のシュリンク管に受け取った。シクロペンタジエンは数週間、窒素雰囲気下、ー70℃で保管可能であった。
【0077】
次に、Inorg.Chem.,16,1788(1977)に記載の方法に準じて、Na(C5H5)(DME)を合成した。すなわち、ナトリウムが混合物に対して40重量%の割合で含まれるナトリウムとミネラルオイルからなる混合物38.84gを、500mlの丸底フラスコ中に加える。尚、該混合物中に含まれるナトリウムは0.678molである。そして、引き続き、270mlのエチレングリコールジメチルエーテル(DME)を添加した。その後、フラスコはー78℃に冷却された。そして、該フラスコの内容物を激しく攪拌しながら、更に、前記で製造し−78℃に冷却されたシクロペンタジエン0.825molを、1時間かけてゆっくり添加した。添加終了後、混合物はその温度が室温になるまで放置された。その後、混合物は反応を完了させる目的で、12時間に渡り、70℃でリフラックスされた。その後、混合物は室温まで冷却されて、生じた白色の固体はろ過により回収され、1回当たり50mlのペンタンで3回洗浄され、減圧下に乾燥されて、Na(C5H5)(DME)が得られた。収率は85%であった。
次に、Inorg.Synth.,21,136(1982)に記載の方法に準じ、ZrCl4(THF)2を合成した。すなわち、50mmolのZrCl4を含む150mlのCH2Cl2溶液に、THF100mmol(8.1ml)が充分にゆっくりと、リフラックス下で添加された。THFの添加終了時には、ほとんど無色の溶液が得られた。溶液は一度ろ過され、150mlのペンタンが加えられたのち、混合物はー25℃のフリーザー中に2時間、放置された。白色の固体が生じ、ろ過で回収され減圧下乾燥されて、ZrCl4(THF)2が得られた。収率は90%であった。
【0078】
オルガノメタリックス(Organometallics),1,1591(1982)に記載の方法に準じ、C5H5PPh2を合成した。すなわち、蒸留された65.2mmolのClPPh2をカヌーラにより、上記で合成した65.2mmolのNa(C5H5)(DME)を含む−78℃のTHF溶液40mlへと添加した。それから室温で30分間攪拌し、Celiteによりろ過し、溶液が回収された。溶媒が減圧下で取り除かれ、オイル状の淡いオレンジ色の生成物として、C5H5PPh2が得られた。収率は85%であった。
オルガノメタリックス(Organometallics),1,1951(1982)に記載の方法に準じて、Li(C5H4PPh2)を合成した。nBuLiを1.6mol/lの割合で含むヘキサン溶液47ml(従って、該溶液中には、78.6mmolのnBuLiが含まれている)が、65.2mmolのC5H5PPh2を含む−78℃の140mlのトルエン溶液にゆっくり添加された。室温で15分間攪拌したところで、黄色い固体が析出した。黄色い固体はろ過により回収され、1回当たり30mlのペンタンで3回洗浄され、減圧乾燥されて、Li(C5H4PPh2)が得られた。収率は95%であった。
オルガノメタリックス(Organometallics),5,888(1986)に記載の方法に準じて、Zr(h−C5H4PPh2)2Cl2を合成した。すなわち、上記で得られた3.5mmolのLi(C5H4PPh2)と1.75mmolのZrCl4(THF)2と、25mlのベンゼンをシュリンク管に導入した。そして、2〜3時間ほど室温で攪拌して、さらに2時間、かなり温和にリフラックスされた。けん濁液は3cmの厚さのCeliteでろ過され、うすいオレンジ色の溶液が回収された。溶媒が減圧下で取り除かれ、生じた黄色の固体が、1回当たり5mlのペンタンで2回洗浄され、減圧乾燥されて、Zr(h−C5H4PPh2)Cl2が得られた。収率は61%であった。
【0079】
(2)オレフィン重合体製造用触媒:[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Cl:の合成上記で合成された0.476mmolの(COD)Pd(Me)Clを含む20mlのベンゼン溶液が、上記で合成された0.476mmolのZr(η-C5H4PPh2)2Cl2を含む20mlのベンゼン溶液に加えられ、3日間攪拌された。その後、オレンジ色の溶液がろ過により回収された。そして、溶媒が減圧下に、蒸発させられた。生じたオレンジ色の固体を1回当たり10mlのペンタンで3回洗浄後、減圧乾燥し、Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Clを得た。収率は95%であった。
以下に[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Clの同定結果を示した。
(元素分析結果)
元素分析結果は下記の通りであった。
C(51.4%), H(3.79%), P(7.58%), Pd(13.0%), Zr(11.2%), Cl(13.0%)
ちなみに、一般式:[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Cl から算出される各元素の組成量理論値は、C(50.7%), H(3.95%)である。
(NMR分析結果)
1H-NMR分析結果は下記の通りであった。尚、溶媒としてCD2Cl2を使用し、波長300MHzで測定した。
1.60 ppm [3H, dd, JPH=6.00Hz, JPH〜0Hz, Pd-Me]
5.90 ppm [2H, pseudo s, Cp]
6.31 ppm [2H, pseudo s, Cp]
6.44 ppm [2H, pseudo s, Cp]
6.88 ppm [2H, pseudo s, Cp]
7.0〜8.0 ppm [20H, m, Ph]
31P-NMR分析結果は下記の通りであった。尚、溶媒としてCD2Cl2を使用し、波長122MHzで測定した。
14.01 ppm [d, JPP〜0Hz, -PPh2]
14.60 ppm [d, JPP〜0Hz, -PPh2]
【0080】
参考例1
[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Clによる、エチレン単独重合体の製造
メチルアルミノキサン(Al換算で、5.1×10-3mol)とトルエン(300ml)が、乾燥された攪拌機付き1Lステンレススチールリアクターに導入された。混合物は0.2MPaのエチレンの存在下、20℃で15分間攪拌された。その後、実施例9にて合成された[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Cl(5.1×10-6mol)のトルエン溶液(50ml)がリアクターに導入された。その後、エチレン圧が0.4MPaの一定圧力となるように調節され、20℃で2.5時間重合反応を行った。その結果、3.2gのエチレン重合体が得られた。得られたエチレン重合体の固有粘度は11.6(dl/g)であった。
【0081】
実施例11
[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Clによるエチレン/一酸化炭素共重合体の製造
実施例9にて合成された[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Cl(129×10-6mol)がジクロロメタン(50ml)中で、さらにAgBF4(Ag/Pd=3.0)およびMeCN(MeCN/Pd=300)を加えて15分攪拌された。該反応物を濾過後、濾液をシュリンク管へ移送した。上記とは別に、ジクロロメタン(300ml)が重合リアクターに導入され、エチレン/一酸化炭素混合ガス(50/50)の0.2MPaの存在下15分間攪拌された。次に上記のシュリンク管の溶液が重合リアクターに導入された。混合ガスによりリアクター内部の圧は1.0MPaに調節され、20℃で48時間攪拌されることにより共重合反応を行った。重合終了後得られた内容物から、ろ過後、アセトンで洗浄し、減圧乾燥することにより、融点が255℃の重合体が得られた。NMR測定により、該重合体が、エチレン/一酸化炭素交互共重合体であることが確認された。
【0082】
比較例3
(DPPP)PdCl2によるエチレン単独重合体の製造
[Zr(η-C5H4PPh2)2Cl2]Pd(Me)Clに変えて、米国特許US5830989号に準拠して合成した(DPPP)PdCl2を用いた以外は実施例10と同様の重合操作を行った。しかし、エチレン重合体は得られなかった。
【0083】
【発明の効果】
本発明の触媒を使用すれば、高い重合活性で、高分子量のオレフィン重合体が得られる。特に、本発明の触媒を使用すれば、交互共重合体としてのオレフィン/一酸化炭素共重合体を、高活性で、高分子量の共重合体として製造することができる。交互共重合体としてのオレフィン/一酸化炭素共重合体は、耐摩耗性などの機械的特性、耐薬品性、耐熱性、ガスバリア−性などが特に優れていることから、エンジニアプラスチックの用途、パッケージの用途、ファイバーやブレンドポリマーとしての用途などに好適に使用されることができる。

Claims (3)

  1. [1]下記一般式(1)で表される遷移金属化合物と、[2]非配位性アニオンもしくは低配位性アニオンを形成する化合物を、[3]アセトニトリル又はベンゾニトリルである溶剤配位子、の存在下で反応させて得られうる、オレフィン重合体製造用触媒を重合触媒として用いて、オレフィンと一酸化炭素との交互共重合体を製造する方法。
    Z(PR1 2211 2 式 (1)
    [尚、M1はPd、Ni又はPtである。Zは、Fe,Ti,Zr,Hfに2個のη−シクロペンタジエニル配位子が配位した構造を有するメタロセン化合物である。遷移金属原子M1とメタロセン化合物Zを形成する2個のη−シクロペンタジエニル配位子は、2個の独立したPR1 2基を介して結合されている。ここで、Pはリン原子を表し、R1は炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、置換フェニル基を表す。X1は、M1に結合しており、ハロゲンと炭素数1〜10の炭化水素基とからなる群から選択された結合基である。]
  2. 触媒が担体に担持されていることを特徴とする、請求項1記載のオレフィンと一酸化炭素との交互共重合体を製造する方法。
  3. オレフィン重合体が、エチレンと一酸化炭素との交互共重合体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のオレフィンと一酸化炭素との交互共重合体を製造する方法。
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