JP4738237B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
上述したヒートポンプ式の空気調和装置においては、室外機ユニットを設置している環境温度が低い状況で冷房運転を行う低外気冷房運転を実施することもある。このような低外気冷房運転の場合には、運転起動時の冷媒循環量が少ない状態であるにもかかわらず、凝縮器として機能する室外熱交換器の凝縮能力が非常に高くなるため、凝縮した液冷媒が室外熱交換機の内部に溜まり込み、冷凍サイクルを循環する冷媒量が減少して圧縮機の低圧側圧力を所定値以上に低下させることがある。このような低圧側圧力の低下は圧縮機保護の観点から好ましいことではない。従って、圧縮機停止の保護回路を設けて冷房運転を停止するなど低外気冷房運転が可能な環境温度には制約があった。
また、上述した低外気冷房運転時に発生する低圧側圧力の低下防止対策としては、運転起動時に電子膨張弁の開度を通常の冷房運転時より大きく設定し、冷凍サイクルを循環する冷媒が流れやすい状態にすることも知られている。
このような液圧縮や潤滑油濃度の希釈は、圧縮機を破損させる原因となるため好ましくない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧縮機の破損を防止してより低温の温度環境でも信頼性の高い低外気冷房運転が可能な空気調和装置を提供することにある。
電子膨張弁を備えた冷媒回路に設けた圧縮機を運転して循環する冷媒の状態変化により空調を行うヒートポンプ式の空気調和装置において、冷房運転時に所定値未満の低外気温度を検出した低外気冷房運転時に所定値(P1)以下の低圧圧力を所定時間(t1)継続して検知した場合、前記圧縮機の運転をいったん停止して前記電子膨張弁の開度を全開とし、所定の条件で前記圧縮機の運転を再開する自動復帰後に、前記圧縮機の低圧圧力が所定の圧力まで回復した時点で前記電子膨張弁の開度を絞る低外気冷房運転モードを設け、前記低外気温冷房運転モードは、所定値(P1)以下の低圧圧力を所定時間(t1)継続して検知した場合に前記圧縮機の運転を停止するとともに前記電子膨張弁の開度を全開にする運転停止段階と、前記運転停止段階から所定値(P2)以上の低圧圧力を連続して所定時間(t2)検知した時点から所定時間(t3)経過後に前記圧縮機の運転を再開する自動復帰段階と、前記圧縮機の運転再開から所定時間(t4)経過後に所定値(P2)以上の低圧圧力を検出したら前記電子膨張弁を初期開度に設定し、かつ、前記圧縮機の運転再開から所定時間(t5)経過後に通常の電子膨張弁制御に戻す電子膨張弁制御段階と、を備えていることを特徴とするものである。
そして、前記低外気温冷房運転モードは、所定値(P1)以下の低圧圧力を所定時間(t1)継続して検知した場合に前記圧縮機の運転を停止するとともに前記電子膨張弁の開度を全開にする運転停止段階と、前記運転停止段階から所定値(P2)以上の低圧圧力を連続して所定時間(t2)検知した時点から所定時間(t3)経過後に前記圧縮機の運転を再開する自動復帰段階と、前記圧縮機の運転再開から所定時間(t4)経過後に所定値(P2)以上の低圧圧力を検出したら前記電子膨張弁を初期開度に設定し、かつ、前記圧縮機の運転再開から所定時間(t5)経過後に通常の電子膨張弁制御に戻す電子膨張弁制御段階と、を備えている。
また、このような低外気冷房運転モードは、室外制御部のソフトウェアを変更することで容易に実現可能である。従って、空気調和装置に新たな機器類を追加するハード面の変更と比較して低コストである。
図3は、マルチ型空気調和装置の全体構成例を示す説明図である。このマルチ型空気調和装置は、室外機ユニット10と、同室外機ユニット10に接続された複数台の室内機ユニット20(図3では、2台の室内機ユニットの場合の構成を表示)とを具備して構成される。これら室内機ユニット10及び室外機ユニット20は、冷媒を流す冷媒配管30や図示しない電気配線等により接続されている。
なお、この室内機ユニット10には、この他にも図示省略の室外ファン、サービスバルブ及びストレーナ等の機器類が設けられている。
このうち、冷媒温度を検出する温度センサとしては、吐出管温度センサ18a、室外熱交温度センサ18b、吸入管温度センサ18c及びドーム下温度センサ18dが設けられている。さらに、室外機ユニット10が設置されている室外環境の空気(以下、「室外空気」と呼ぶ)温度を検出する温度センサとして、外気温度センサ18eが設けられている。また、冷媒圧力を検出する圧力センサとして、高圧圧力センサ19a及び低圧圧力センサ19bが設けられている。
また、室内機ユニット20には、各ユニット毎に冷媒や吸込空気の温度を検出して室内制御部23に入力するセンサ類が適所に設けられている。図示の室内機ユニット20は、冷媒温度を検出する3つの室内熱交温度センサ24a,24b,24cと、吸込空気温度を検出する吸込温度センサ25とを備えている。
この室内機ユニット20は、室内ファンで吸引した室内の空気を室内熱交換器21に導いて通過させ、上述した室外機ユニット10から供給される冷媒との間で熱交換した空調空気を室内に吹き出すように構成されている。
この低外気運転モードは、圧縮機11の運転をいったん停止して室内電子膨張弁22の開度を全開とし、所定の条件を満たして圧縮機11の運転が再開された自動復帰後に、圧縮機11の低圧圧力が所定の圧力P2まで回復した時点で室内電子膨張弁22の開度を全開から絞るようにした運転制御である。
最初に、冷房運転時の空調作用について、図中に矢印で示した冷媒の流れとともに説明する。なお、冷房運転及び暖房運転は、四方弁12の操作により変化する冷媒の流れ方向に応じて選択切換えされる。
この冷房運転において、圧縮機11の圧縮で高温高圧の気体とされた冷媒は、四方弁12を通過して室外熱交換器13に導かれる。この室外熱交換器13では、高温高圧の気相冷媒が室外空気と熱交換することにより、高温高圧の気体冷媒が室外空気に放熱して凝縮液化する。この結果、高温高圧の気体冷媒は高温高圧の液冷媒となり、この液冷媒は、冷房運転時に全開とされる室外電子膨張弁14及びレシーバ15を通過した後、冷媒配管30を通って室内機ユニット20に供給される。
この気体冷媒は、冷媒配管30を通って室外機ユニット10に戻され、四方弁12からアキュムレータ16を経由して再び圧縮機11に吸引されるため、以下同様の過程で状態変化を繰り返しながら空気調和装置の冷凍サイクルを循環する。
圧縮機11の圧縮で高温高圧の気体とされた冷媒は、図中に破線矢印で示すように、四方弁12及び冷媒配管30を通過して室内機ユニット20に導かれる。この気体冷媒は、室内機ユニット20の室内熱交換器21を通過する際に室内空気と熱交換して放熱する。この放熱により、室内空気は加熱されて温風となり、気体冷媒は凝縮して高温高圧の液冷媒となる。この液冷媒は、暖房運転時に全開とされる室内電子膨張弁22を及び冷媒配管30を通過して室外機ユニット10に戻される。
室外熱交換器13に流れ込んだ液冷媒は、この熱交換器を通過する際に室外空気と熱交換して吸熱し、蒸発気化して低温低圧の気体冷媒となる。この気体冷媒は、四方弁12及び吸入マフラ16を通過して圧縮機11に吸引されるため、以下同様の過程で状態変化を繰り返しながら空気調和装置の冷凍サイクルを循環する。
この低外気冷房運転モードは、冷房運転時において、外気温度センサ18eで検出された外気温度の検出値が所定値未満の低温である場合、図2のステップS1に示すように、圧縮機11の低圧圧力を検出する低圧圧力センサ19bの検出値を監視する。この結果、低圧圧力センサ19bが所定値P1以下の低圧を検知し、この低圧検知の状態が所定時間t1連続した場合には低圧異常検知と判断し、通常の冷房運転制御から低外気冷房運転モードに切り換えた運転制御が実施される。
ここで所定値P1及び所定時間t1の一例を示すと、所定値P1は0.08MPa程度の低圧となり、所定時間t1は15秒程度となる。
このため、上述した低圧異常検知がなされると、次のステップS2に進んで圧縮機11の運転を停止した後、次のステップS3に進んで室内電子膨張弁22を全開にする。ここで全開とする室内電子膨張弁22は、室内機ユニット20が複数存在する場合、運転中の室内機ユニット20内に設置されているものとし、停止中の室内機ユニット20については全閉状態をそのまま維持する。
このようにして、低圧圧力センサ19bが所定値P1以下の低圧圧力を所定時間t1継続して検知した場合、圧縮機11の運転を停止するとともに室内電子膨張弁22の開度を全開にすることで運転停止段階が完了する。
ここで所定値P2及び所定時間t2,t3の一例を示すと、所定値P2はP1より高い0.2MPa程度の低圧となり、所定時間t2は10秒程度、所定時間t3は3分程度となる。
ここで、室内電子膨張弁22の初期開度は、通常の冷房運転を開始した場合に設定される開度であり、通常は全開時の20%程度とされる。また、所定時間t4,t5の一例を示すと、所定時間t4は1分程度、所定時間t5は3分程度となる。
このような低外気冷房運転モードの追加は、空気調和装置に新たな機器類を追加するようなハード面での変更及び改造を不要とし、室外制御部17のソフトウェアを変更するだけで低コストに実現できる。
また、上述した低外気冷房運転モードは、圧縮機11の吸入側に設置されるアキュムレータ16がなくても、低外気冷房運転時に液冷媒が圧縮機11に戻る液圧縮を防止し、圧縮機11の破損を回避した信頼性の高い運転を可能にする。
この変形例は、上述した実施形態と電子膨張弁制御段階の制御が異なっており、この電子膨張弁制御段階以前については同じ制御となる。従って、以下では電子膨張弁制御段階のみを説明し、それ以前の制御には説明を省略する。
このような制御としても、冷凍サイクル内を循環する冷媒の流れが安定した後には低外気冷房運転の継続が可能であり、低外気冷房時に発生していた液冷媒の過大循環を抑制または防止することができ、低外気冷房運転に起因する液圧縮や潤滑不良により圧縮機11が破損するのを防止し、たとえば−15℃程度となるより低温の温度環境でも信頼性の高い低外気冷房運転が可能になる。
11 圧縮機
12 四方弁
13 室外熱交換器
14 室外電子膨張弁
17 室外制御部
18e 外気温度センサ
19a 高圧圧力センサ
19b 低圧圧力センサ
20 室内機ユニット
21 室内熱交換器
22 室内電子膨張弁
23 室内制御部
Claims (2)
- 電子膨張弁を備えた冷媒回路に設けた圧縮機を運転して循環する冷媒の状態変化により空調を行うヒートポンプ式の空気調和装置において、
冷房運転時に所定値未満の低外気温度を検出した低外気冷房運転時に所定値(P1)以下の低圧圧力を所定時間(t1)継続して検知した場合、前記圧縮機の運転をいったん停止して前記電子膨張弁の開度を全開とし、所定の条件で前記圧縮機の運転を再開する自動復帰後に、前記圧縮機の低圧圧力が所定の圧力まで回復した時点で前記電子膨張弁の開度を絞る低外気冷房運転モードを設け、
前記低外気温冷房運転モードは、
所定値(P1)以下の低圧圧力を所定時間(t1)継続して検知した場合に前記圧縮機の運転を停止するとともに前記電子膨張弁の開度を全開にする運転停止段階と、
前記運転停止段階から所定値(P2)以上の低圧圧力を連続して所定時間(t2)検知した時点から所定時間(t3)経過後に前記圧縮機の運転を再開する自動復帰段階と、
前記圧縮機の運転再開から所定時間(t4)経過後に所定値(P2)以上の低圧圧力を検出したら前記電子膨張弁を初期開度に設定し、かつ、前記圧縮機の運転再開から所定時間(t5)経過後に通常の電子膨張弁制御に戻す電子膨張弁制御段階と、
を備えていることを特徴とする空気調和装置。 - 前記電子膨張弁制御段階において、前記圧縮機の運転再開から所定時間(t4)経過後に所定値(P2)以上の低圧圧力を回復しない場合には、前記圧縮機の運転再開から所定時間(t5)経過後に前記電子膨張弁を初期開度に設定して通常の電子膨張弁制御に戻すことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
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