JP4736153B2 - 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法およびポリプロピレン系樹脂発泡体シート - Google Patents
熱可塑性樹脂発泡体の製造方法およびポリプロピレン系樹脂発泡体シート Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関する。熱可塑性樹脂発泡体はその軽量性、断熱性等を活かして、包装、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用される。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂発泡体の製造方法としては、数多くの製法が挙げられるが、発泡剤は大別して、熱分解型化学発泡剤と物理発泡剤が挙げられ、ともに発生する発泡ガスが樹脂に溶解しにくい場合、ダイ内において発泡ガスが樹脂中より相分離し気泡成長が進行し、気泡がせん断変形を受け、破泡しやすく、高倍率で気泡微細な発泡体は得られにくいといった問題があった。特にサーキュラーダイを用いた場合、破泡の痕跡が、押出方向に沿った筋状となり、幅方向に多数見られる外観不良を生じ易い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ダイ内における気泡成長を制御し、外観不良の改善された熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、溶融した熱可塑性樹脂中より発泡ガスが相分離して気泡が成長を開始してからダイ外に押出される間に気泡が受けるせん断歪み量γが下記数式1を満たす熱可塑性樹脂発泡体の製造方法にかかるものである。
γ ≦ a×(Cg)b+c [数式1]
(式中、γはせん断歪み量を表し、Cgは発泡ガス濃度(単位:g(ガス)/g(樹脂))を表す。aは0.00545であり、bは−1.691であり、cは3.00である。)
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお以降では上記の数式1の右辺をγcと略記することがある。即ち γc = a×(Cg)b+c である。
【0005】
【発明の実施の形態】
【0006】
上記数式1の右辺γcの値は、所望の発泡倍率となるよう発泡ガス濃度Cgを決定することで定まる臨界的なせん断歪み量である。
γ>γcの場合、気泡が受けるせん断歪み量γが大きく、気泡がせん断によって破泡してしまいやすく、高倍率で気泡微細な熱可塑性樹脂発泡体は得られにくい。
【0007】
上記の数式1にいうせん断歪み量γとは、気泡がダイ内で成長を開始してからダイ外に押出される間に受けるせん断による歪み量の合計であり、具体的には、気泡がダイ内で成長を開始してからダイ外に押出されるまでの時間とせん断速度との積で求められ、例えば下記の数式2または数式3で求められる値である。
・サーキュラーダイまたはTダイの場合
γ = (n+2)×Pc÷τ [数式2]
・ストランドダイの場合
γ = (n+3)×Pc÷(2×τ) [数式3]
上記数式2または数式3において、τはせん断応力(単位:Pa)を表し、Pcは臨界圧力(単位:Pa)を表し下記数式4で求められる値である。
Pc = Cg÷H [数式4]
上記数式4において、Pcは臨界圧力(単位:Pa)を表し、Cgは発泡ガス濃度(単位:g(ガス)/g(樹脂))を表し、Hは発泡ガスのヘンリー定数(単位:g(ガス)/g(樹脂)・Pa)を表す。該ヘンリー定数Hは文献(AIChE J., 12, 1147 (1966).)等に報告されている値を使用できる。
【0008】
また上記数式2または3において、nは熱可塑性樹脂の固有の値(定数)であり、溶融した熱可塑性樹脂等の指数則流体が満足する関係式である下記数式5の関係を利用してキャピラリーレオメーター等を用いて求められる値である。
【0009】
上記数式2または3によれば、せん断歪み量γはn、Pcもしくはτを制御することにより制御される。nは用いる熱可塑性樹脂固有の定数であり、Pcは数式4に示される通り所望の発泡ガス濃度により定まる値である。τは上記数式5に示す通り、n、ηもしくはせん断速度により制御される。せん断速度は下記数式8、数式9または数式10で求められ、ダイリップ形状(ストランドダイ、サーキュラーダイ、Tダイ)、定数n、吐出量Qにより制御される。
上記数式6、数式7または数式8において、Qは吐出量(単位:cc/s)をそれぞれ表し、rはストランドダイの半径(単位:cm)を表し、r2 はサーキュラーダイの外リップの半径(単位:cm)を表し、r1 はサーキュラーダイの内リップの半径(単位:cm)を表す。WはTダイのダイの幅(単位:cm)を表し、tはTダイのリップ開度(単位:cm)を表す。
【0010】
定数nは用いる熱可塑性樹脂に特有の値であり、温度の依存性は無視できるものとする。また、定数ηも用いる熱可塑性樹脂に特有の値であるが、これについては温度依存性を考慮する必要があることが知られている。
よってせん断歪み量γは、用いる熱可塑性樹脂および発泡倍率を固定すると、ダイリップ形状、吐出量Qおよび成形温度(樹脂温度)により制御される。
【0011】
リップ形状の制御について述べると、Tダイでは容易であり、リップ開度tを幅W方向に多数設置されたヒートボルト等を利用して運転中に自動制御する装置が一般に知られている。ストランドダイやサーキュラーダイでは運転中における大幅な形状変更、自動制御はやや困難であり、初期に形状設定し、運転中は微調整することが好ましい。
【0012】
吐出量Qについては、押出機や定量フィーダーのスクリュー回転数を変更することで容易に制御できる。また、ギアポンプを押出機とダイの間に設けることも有効である。ギアポンプを用いた場合、ギアポンプの回転数によって吐出量を容易に変更でき、かつ、ギアポンプ入り口の樹脂圧が一定となるようにスクリュー回転数に自動フィードバックして吐出安定化をはかることができる。
樹脂温度は押出機、アダプタ、ダイの温度設定を変更することで容易に制御できる。
【0013】
定数n、ηはキャピラリーレオメーター等で測定される。キャピラリーレオメーターを押出機やダイにバイパス接続し、ダイから製品を押出発泡しながら、インラインでキャピラリーレオメーターを用いて定数n、ηを求め、リップ形状、吐出量、樹脂温度の制御にフィードバックすることも好適である。原料樹脂のロット間によるバラツキがある場合、インラインで各ロットの定数n、ηを求め、生産条件にフィードバックできるため、より安定した生産が可能となる。
【0014】
本発明において用いる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などやこれらの混合物などが挙げられ、前記の数式5における定数nが1.0<n≦2.4を満足する熱可塑性樹脂が好ましい。
【0015】
定数nの意味について説明すると、せん断粘度とせん断速度の関係において、nは傾きに相当し、nが大きいほどせん断速度が高くなるにつれてせん断粘度が低下しやすい。n=1.0はニュートン流体を意味し、せん断速度によらずせん断粘度一定となる。
本発明においては、せん断歪み量γがより小さくなるようせん断速度を高めることが好ましいが、nが大きい熱可塑性樹脂を用いると高せん断速度で加工する場合にせん断粘度の低下が大きく破泡しやすくなり好ましくない。本発明で用いる熱可塑性樹脂としてより好ましくは定数nが1.0<n≦2.2を満足するものであり、さらに好ましくは1.0<n≦2.0を満足するものである。
【0016】
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、特に機械物性、耐熱性、環境対策等からポリプロピレン系樹脂が好適である。中でも、極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン重合体部分(A)を製造する第一段階および極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン重合体部分(B)を製造する第二段階を含む工程により連続的に得られるプロピレン重合体(T)であって、該プロピレン重合体(T)の極限粘度が3dl/g未満、分子量分布が10未満でありかつ該プロピレン重合体(T)中の結晶性プロピレン重合体部分(A)の含有量が0.05重量%以上35重量%未満であるプロピレン重合体(T)が、nが比較的小さく特に好適である。
【0017】
前記のプロピレン重合体(T)は(A)を製造する第一段階および(B)を製造する第二段階を含む工程により連続的に得られる重合体である。ここで「連続的に製造して得られる重合体」とは、例えば第一段階で(A)を重合した後、引き続いて第二段階で(A)を重合したと同一の重合槽で(B)を重合する回分式重合法や、2槽以上の重合槽を直列に配置し、第一段階として(A)を重合後生成物を次の重合槽へ移送し、その重合槽で第二段階として(B)を重合する連続式重合法等の方法で得られる重合体である。なお、連続式重合法の場合は、第一段階および第二段階それぞれの重合槽は1槽でも2槽以上でもよい。
【0018】
該プロピレン重合体(T)の溶融強度は高い方が発泡シートを得る上で好ましく、かかる観点から(A)の極限粘度は5dl/g以上が好ましく、6dl/g以上がさらに好ましく、7dl/g以上が特に好ましい。
【0019】
結晶性プロピレン重合体部分(A)のプロピレン重合体(T)中の含有量は溶融強度の観点から0.05重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましい。また伸び特性の観点から結晶性プロピレン重合体部分(A)の量は発泡シートを得るに十分な溶融強度を有している限り、少ない方が好ましく、通常は35重量%未満が好ましく、20重量%以下がより好ましい。即ち、該プロピレン重合体(T)中の結晶性プロピレン重合体(A)の含有量は0.05重量%以上35重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3〜20重量%である。(A)の割合は重合時に重合条件等で所定の量に調節してもよく、溶融工程または混練工程において(B)に相当する成分を追加して(A)の量を調節してもよい。
【0020】
流動性と加工性の観点から、(B)の極限粘度は3dl/g未満が好ましく、さらに流動性と加工性の観点から、プロピレン重合体(T)全体の極限粘度も3dl/g未満であることが好ましい。また、発泡シートの外観の観点から、プロピレン重合体(T)全体の分子量分布は10未満が好ましい。なお本発明でいう分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価する。
【0021】
なお連続的に重合する場合、(B)の極限粘度は(B)の製造条件を適宜設定することにより上記範囲内とすることができる。通常は極限粘度の加成性が成り立つとして、(A)と(B)とからなるプロピレン重合体(T)の場合、最終的に得られたプロピレン重合体(T)の極限粘度[η]T と(A)の極限粘度[η]A および(A)、(B)それぞれの(T)中の含有量(重量%)から下記数式9により(B)の極限粘度を求める。
[η]B = ([η]T ×100−[η]A ×WA )÷WB [数式9]
[η]T :プロピレン重合体(T)の極限粘度(dl/g)
[η]A :結晶性プロピレン重合体部分(A)の極限粘度(dl/g)
WA :結晶性プロピレン重合体部分(A)の含有量(重量%)
WB :結晶性プロピレン重合体部分(B)の含有量(重量%)
【0022】
さらに、プロピレン重合体(T)の溶融強度の観点から、(A)の極限粘度[η]A (dl/g)および含有量WA (重量%)が、下記数式10を満たすことがさらに好ましい。
WA ≧400×EXP(−0.6×[η]A ) [数式10]
WA が上記式の範囲内であると、溶融強度の改善効果が十分であり好ましい。
【0023】
(A)および(B)は、それぞれポリプロピレン結晶構造を有する結晶性プロピレン重合体部分であり、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと、結晶性を失わない程度の量のエチレンおよび/またはα−オレフィン等のコモノマーとの共重合体が好ましい。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ヘキセン等が挙げられる。結晶性を失わない程度の量とはコモノマーの種類により異なるが、例えばエチレンの場合、共重合体中のエチレン単位の量は通常10重量%以下、1−ブテン等の他のα−オレフィンの場合、共重合体中のα−オレフィン単位の量は通常30重量%以下である。(A)と(B)とは同一組成であっても異なっていてもよい。また(A)と(B)とはブロック的に結合していてもよい。さらには(A)と(B)がブロック的に結合したものとそれ以外の(A)および(B)とが共存していてもよい。
【0024】
また(B)は上記以外に結晶性のプロピレン重合体(T)中に非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体が分散している重合体も例示することができる。
【0025】
上記プロピレン重合体(T)は、例えば、Ti原子、Mg原子、ハロゲン原子を含有する固体触媒を使用して製造することができ、例えば、特開平11−228629号公報に記載の方法が挙げられる。
【0026】
本発明で使用する発泡剤は特に限定されるものではなく、炭酸ガス、窒素ガス、ブタンなどに代表される物理発泡剤、重曹、アゾジカルボン酸アミドなどに代表される化学発泡剤などが使用でき、これらの併用も可能である。また、気泡核剤として、タルク、シリカなどの無機フィラーを添加することもできる。
化学発泡剤の場合、発泡体が発泡剤の分解残さを有しているために、発泡体の変色、臭気の発生などが用途によっては懸念される。
【0027】
発泡ガスの熱可塑性樹脂への溶解性が低い場合に特に本発明は有効であり、加工温度における熱可塑性樹脂に対する発泡ガスのヘンリー定数が2〜9×10-9g(ガス)/g(樹脂)・Paである熱可塑性樹脂と発泡ガスの組み合わせを用いる際に本発明を適用することが好ましい。熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を使用する場合、188℃におけるヘンリー定数が2〜6×10-9g(ガス)/g(樹脂)・Paである発泡ガスを用いる際に本発明を適用することが好ましい。熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を使用する場合、本発明に適用する発泡剤として特に好ましくは、窒素ガス、炭酸ガス、空気等の無機ガスであり、最も好ましくは炭酸ガスである。
【0028】
本発明においては通常、熱可塑性樹脂と発泡剤を押出機等を用いて溶融混練を行い、該押出機に接続したダイより外に押出して発泡体を製造する。
かかる押出機としては、その構造から単軸や多軸押出機が挙げられ、また、それら複数の押出機を組み合わせたものも使用可能である。また、吐出量の安定制御のため、押出機とダイの間にギヤポンプを設けることも有効である。
ダイとしては、発泡体の形状、用途に応じてサーキュラーダイ、Tダイ、ストランドダイ等が挙げられ、シート状のものはサーキュラーダイ、Tダイによって得られる。特にサーキュラーダイはTダイに比べて、端部ロスがなく、生産性が高い。
【0029】
本発明における発泡倍率や発泡体形状は使用するダイ形状、熱可塑性樹脂、発泡ガス等の諸条件によって異なるが特に限定されることはなく、従来よりも高倍率で気泡微細な発泡体を得ることができる。例えばサーキュラーダイ、ポリプロピレン系樹脂、炭酸ガスを用いた場合、発泡倍率が3.0〜10.0倍、厚みが0.5〜5mmの筋状外観不良の見られない良好な発泡体を得ることができる。
【0030】
本発明で得られる発泡体シートには、用途に応じてシートやフィルムを積層したり、これら発泡体シートまたは積層発泡体シートに真空成形等の熱成形を施すことも可能である。
積層用のシートやフィルムとしては用途に応じて公知のものを使用することができ、例えば、アルミニウムや鉄等の金属薄板、熱可塑性樹脂シート、熱可塑性樹脂フィルム、熱可塑性樹脂加飾シート、熱可塑性樹脂加飾フィルム、熱可塑性樹脂発泡シート、紙、合成紙、不織布、織布、麻、ガラスウール、カーペット等が挙げられる。
【0031】
例えば、食品用途であれば熱可塑性樹脂フィルム、特に気体バリア樹脂フィルム、具体的にはEVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PVA(ポリビニルアルコール)等のフィルムを貼合することが多い。また、自動車内装材用途であれば、不織布、織布、カーペット等を貼合することが多い。
貼合方法は特に限定されることはなく、例えば、▲1▼接着剤を発泡体シート表面に塗布して貼合する方法、▲2▼接着樹脂フィルムがラミネートされたシートやフィルムを用い、その接着樹脂フィルム面を加熱溶融させて発泡シートと貼合する方法等が挙げられる。
熱成形としては、真空成形、熱罫線加工、等が挙げられるが、特に限定されることはないが、真空成形が一般的である。本発明の発泡シートは気泡微細であるため、熱成形性に優れている。
【0032】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその主旨を損なわない限り、これらの例に何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた評価方法について以下に示す。
【0033】
(1)重合体の極限粘度
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。なお、結晶性プロピレン重合体部分(B)の極限粘度は結晶性プロピレン重合体部分(A)および全体のプロピレン重合体(T)の極限粘度より明細書中に記載の計算式より求めた。
【0034】
(2)分子量分布
G.P.C.(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により、下記条件で測定した。なお分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製)
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8mL
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。この条件で測定された標準ポリスチレン(NBS706:Mw/Mn=2.0)のMw/Mnは1.9〜2.0であった。
【0035】
(3)MFR
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。
【0036】
(4)気泡径
JIS K6402に準拠し、拡大鏡を用いて一定距離、直線上の気泡の数を数え、一個当りの径を算出した。
【0037】
(5)発泡倍率
JIS K7112に準拠し、水中置換法による測定方法を使用し発泡体の密度ρfを求めた。発泡倍率は未発泡の熱可塑性樹脂の密度ρsをρfで割ったものである。実施例ではポリプロピレン系樹脂を使用しているが、ρs=0.9g/ccとして発泡倍率を算出した。
【0038】
(6)発泡体外観
筋状外観不良が目視で確認できたとき×とし、確認できないとき○とした。
【0039】
[参考例1](ポリプロピレン系樹脂の製造)
[1](固体触媒成分の合成)
攪拌機付きの200リットルSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80リットル、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/リットルのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51リットルを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間攪拌した後室温で固液分離し、トルエン70リットルでの洗浄を3回繰り返した。
次いで、スラリー濃度が0.6Kg/リットルになるようにトルエンを加えた後、n−ブチルエーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を加え、さらにフタル酸クロライドを20.8モル加えて110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃でトルエンでの洗浄を2回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後同温度で固液分離した後、95℃でトルエン90リットルでの洗浄を2回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90リットルでの洗浄を3回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90リットルでの洗浄を3回行った後、さらにヘキサン90リットルでの洗浄を3回した後減圧乾燥して固体触媒成分11.0Kgを得た。
固体触媒成分はチタン原子1.9重量%、マグネシウム原子20重量%、フタル酸エステル8.6重量%、エトキシ基0.05重量%、ブトキシ基0.21重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。
【0040】
[2](固体触媒成分の予備活性化)
内容積3リットルのSUS製、攪拌機付きオートクレーブに十分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5リットル、トリエチルアルミニウム37.5ミリモル、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン3.75ミリモル、上記[1]で得られた固体触媒成分15gを添加し、槽内温度を5〜15℃に保ちながらプロピレン15gを30分かけて連続的に供給して予備活性化を行った。
【0041】
[3](結晶性プロピレン重合体部分(A)の重合)
SUS製の内容積300リットルの重合槽において、重合温度60℃、重合圧力27kg/cm2 Gを保持するように液状プロピレンを57kg/hで供給しながら、トリエチルアルミニウム1.3ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン0.13ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分0.51g/hを連続的に供給し、水素の実質的非存在下でプロピレン重合を行い、2.0kg/hの重合体が得られた。この時の重合体生成量は触媒1g当たり3920gであり、その一部をサンプリングして分析した結果、極限粘度は7.7dl/gであった。得られた重合体はそのまま第二槽目に連続的に移送した。
【0042】
[4](結晶性プロピレン重合体部分(B)の重合)
内容積1m3 の攪拌機付き流動床反応器において、重合温度80℃、重合圧力18Kg/cm2 G、気相部の水素濃度8vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給しながら、第一槽目より移送された触媒含有重合体およびトリエチルアルミニウム60ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン6ミリモル/hを供給しながらプロピレン重合を連続的に継続することにより18.2kg/hの重合体が得られた。この重合体の極限粘度は1.9dl/gであった。
以上の結果から(B)の重合時の重合体生成量は触媒1gあたり31760gであり、第一槽目と第二槽目の重合重量比は11:89であり、(B)の極限粘度は1.2dl/gと求められた。
【0043】
[5](重合体のペレット化)
この重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、商品名イルガノックス1010(チバガイギー社製)0.05重量部、商品名スミライザーBHT(住友化学工業社製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で溶融混練し、MFRが12g/10分のペレット(ポリプロピレン系樹脂)を得た。
【0044】
[6]指数則流体における定数n、ηの測定
東洋精機社製キャピラリーレオメーターCAPIROGRAPH 1Bを用いた。内径0.955cmのバレルおよび、長さ4cm、内径0.1cmのオリフィスを用いて、180℃で0.2、0.5、1、2、5、10、20、または50cm/60sの各ピストン速度にて樹脂を押出し、樹脂圧力P(Pa)を測定した。その樹脂圧力P(Pa)および吐出量Q(cc/s)を両対数プロットし、直線回帰を行い、下記数式11を用いてnおよびηを算出したところ、n=2.04、η=1.79×107 であった。
log(P)=log(2L/r(n+3)/n)+(1/n)log((n+3)η/π)+(1/n)log(Q) [数式11]
なお、上記数式11において、Lはオリフィスの長さ(4cm)であり、rはオリフィス内径の半径(0.05cm)であり、Qは下記数式12で求められる。
Q=πR2V [数式12]
上記数式12において、Rはバレル内径の半径(0.4775cm)であり、Vはピストン速度を単位cm/sに換算した値である。
【0045】
[実施例1](押出発泡試験)
50mmΦ単軸押出機(L/D=42)に120mmΦサーキュラーダイ(外リップ半径r2 =6.00cm、内リップ半径r1 =5.97cm)を取り付けた装置を使用した。上記参考例1[5]で得られたポリプロピレン系樹脂に対して0.7PHRの珪藻土をブレンドした原料樹脂を押出機ホッパーに投入して溶融混錬を行い、溶融が進んだ位置(L/D=20)に炭酸ガスを濃度Cgが5.13×10-3g(炭酸ガス)/g(原料樹脂)となるよう高圧で液注入した。原料樹脂と炭酸ガスを十分溶融混練したのち、180℃に冷却・調整し、ダイに導入し、吐出量11.70Kg/h(=4.33cc/s;但し溶融体の密度を0.75g/ccとした。)で押出した。ダイから押出した発泡体を直後に設置したマンドレルによりブローアップするとともに冷却し、その後この円筒状発泡シートにカッターでスリットを入れ、円筒を開いて平板状シートとし、巻取機にて巻き取った。
AIChE J., 12, 1147 (1966).によれば、188℃のポリプロピレンに対する炭酸ガスのヘンリー定数は0.228cc(STP)/g・atmであり、単位換算した値4.5×10-9g(炭酸ガス)/g(ポリプロピレン)・Paをこの実施例における炭酸ガスのヘンリー定数Hとして用いることとした。よって、この実施例における臨界圧力Pcは1.14×106 Paであり、せん断速度は1.04×103 s-1であり、せん断応力τは1.08×105 Paであり、せん断歪み量γは42.64であった。一方、臨界的なせん断歪み量γcは43.61と計算された。
得られた発泡体は、発泡倍率3.1倍、2.0mm厚み、気泡径1000μmの筋状外観不良の見られない良好な発泡シートであった。
【0046】
[実施例2〜5および比較例1〜4]
実施条件を表1に示す通りにそれぞれ変更して実施例1と同様に実施し、その結果を表1および2にまとめた。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】
本発明における熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、ダイ内における気泡成長を制御し、せん断による破泡を低減せしめることにより、従来と比べて高倍率で気泡微細で外観不良の改善された熱可塑性樹脂発泡体を提供することができる。特に樹脂への溶解性の低い発泡ガス、例えば炭酸ガス等を用いた場合に有効な製造方法である。また、熱可塑性樹脂発泡体はその軽量性、断熱性等を活かして、包装、食品容器、文具、建材、自動車内装材等として好適に使用することができる。
Claims (7)
- 溶融した熱可塑性樹脂中より発泡ガスが相分離して気泡が成長を開始してからダイ外に押出される間に気泡が受けるせん断歪み量γが下記数式1を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
γ≦a×(Cg)b+c・・・[数式1]
(式中、γはせん断歪み量を表し、Cgは発泡ガス濃度(単位:g(ガス)/g(樹脂))を表す。aは0.00545であり、bは−1.691であり、cは3.00である。) - 熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
- ポリプロピレン系樹脂が、極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン重合体部分(A)を製造する第一段階および極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン重合体部分(B)を製造する第二段階を含む工程により連続的に得られるプロピレン重合体(T)であって、該プロピレン重合体(T)の極限粘度が3dl/g未満、分子量分布が10未満でありかつ該プロピレン重合体(T)中の結晶性プロピレン重合体部分(A)の含有量が0.05重量%以上35重量%未満であるプロピレン重合体(T)であることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡ガスが、188℃におけるポリプロピレン系樹脂に対するヘンリー定数が2〜6×10−9g(ガス)/g(樹脂)・Paの発泡ガスであることを特徴とする請求項3または4記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡ガスが、炭酸ガスであることを特徴とする請求項3または4記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
- サーキュラーダイを用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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