JP4735467B2 - 燃料噴射装置及び内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、所定量の燃料を燃焼室に噴射可能とした燃料噴射装置、並びにこの燃料噴射装置が搭載された内燃機関に関するものである。
燃料を吸気ポートではなく、燃焼室に直接噴射する筒内噴射式内燃機関が従来から知られている。この筒内噴射式内燃機関では、吸気弁の開放時に、空気が吸気ポートから燃焼室に吸入され、この吸気行程時またはピストンが上昇して吸入空気を圧縮する圧縮行程時に、燃料噴射弁が燃焼室に対して燃料を直接噴射する。すると、燃焼室にて、高圧空気と霧状の燃料とが混合し、この混合気に対して点火プラグが着火して爆発し、排気弁の開放時に、排気ガスが吸気ポートから排出される。
この筒内噴射式内燃機関では、圧縮行程中に燃焼室に燃料を噴射してリーンな空燃比で成層燃焼を実行可能であると共に、吸気行程中に燃焼室に燃料を噴射して均一な混合気を形成する均質燃焼が実現可能となっている。即ち、内燃機関の低負荷運転領域では、ピストンの吸気行程における吸気弁の開放時に、吸気ポートの空気を燃焼室に吸入し、この吸入空気を圧縮行程時に圧縮し、この高圧空気に対して燃料を噴射して混合し、この混合気が点火プラグに導かれて着火して燃焼する。一方、内燃機関の中・高負荷運転領域では、ピストンの吸気行程における吸気弁の開放時に、吸気ポートの空気を燃焼室に吸入すると共に、この吸入空気に対して燃料噴射を行って燃焼室全体に分散した混合気を形成し、この分散した混合気に対して点火プラグにより着火され、この着火混合気が火種となって燃焼室全体に分散した混合気が燃焼する。つまり、内燃機関の低負荷時には、圧縮行程時に燃料を噴射して成層燃焼を行い、中・高負荷時には、吸気行程時に燃料を噴射して均質燃焼を行うようにしている。
そして、この筒内噴射式内燃機関に適用される燃料噴射装置は、先端部にサック部及び噴射口を有するハウジング内に、ニードル弁が移動自在で、且つ、燃料通路を閉塞するように付勢支持されて構成されており、噴射口は、左右に広角して扇形状に形成された、所謂、スリット噴射口となっている。従って、所定のタイミングで、このニードル弁を移動して燃料通路を開放すると、燃料通路の燃料がサック部を介して噴射口から燃焼室に向けて噴射される。
ところで、上述したように、筒内噴射式内燃機関では、圧縮行程中に燃焼室に燃料を噴射してリーンな空燃比で成層燃焼を実行すると共に、吸気行程中に燃焼室に燃料を噴射して均一な混合気を形成する均質燃焼を実行している。上述した左右に広角して扇形状に形成されたスリット噴射口を有する燃料噴射装置では、圧縮行程中に燃焼室に燃料を噴射すると、その燃料噴霧がピストンのキャビティにより点火プラグに導かれることとなり、この燃料噴霧を含む混合気に着火することで、適正な成層燃焼を実現できる。しかし、吸気行程中に燃焼室に燃料を噴射すると、燃料噴霧が水平な扇形状であるため、燃焼室全体に分散しにくく均一な混合気の形成が不十分となり、適正な均質燃焼を実現することが困難となる。
一方、上下に広角して扇形状に形成されたスリット噴射口を左右に並べて設けた燃料噴射装置がある。この燃料噴射装置では、吸気行程中に燃焼室に燃料を噴射すると、燃料噴霧が2つの垂直な扇形状であるため、燃焼室全体に分散しやすく均一な混合気を形成することができ、適正な均質燃焼を実現できる。しかし、圧縮行程中に燃焼室に燃料を噴射すると、その燃料噴霧が上下方向に分散してしまい、ピストンのキャビティにより混合気を点火プラグに導くことができず、適正な成層燃焼を実現することが困難となる。
なお、機関運転状態に応じて噴霧形態が変化するようにした燃料噴射弁として、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された燃料噴射弁は、異なる噴射角度を有する2つのスリット状の噴孔を形成し、エンジン運転状態により燃圧を変化させることで、噴霧形状をこのエンジン運転状態に適合した広分散型の噴霧、または集中型の噴霧を形成可能とするものである。
特開平11−082244号公報
ところが、上述した特許文献1に記載された従来の燃料噴射弁にあっては、燃圧を変化させることで、噴霧形状を広分散型の噴霧、または集中型の噴霧を形成可能としており、エンジン運転状態に応じた燃圧制御が必要となって燃料噴射制御が面倒なものとなるばかりか、燃圧を低下させた場合には、燃料噴霧の微粒化が問題となり、燃焼が悪化してしまうおそれがある。また、この従来の燃料噴射弁では、エンジン運転状態に応じて噴霧形状を変えているものの、成層燃焼や均質燃焼を実現するために最適なものとはなっておらず、安定した燃焼状態を得ることができないおそれがある。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、内燃機関の運転状態に応じて最適な燃料噴霧形態を形成可能として燃焼安定性の向上を図った燃料噴射装置及び内燃機関を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の燃料噴射装置は、燃料通路を有すると共に先端部に該燃料通路が連通するサック部及び噴射口を有するハウジングと、前記ハウジングに移動自在に支持されて前記燃料通路を断続可能である噴射弁とを具えた燃料噴射装置において、前記噴射口は、上下に広角して扇形状に形成されると共に左右方向に並んだ第1、第2、第3噴射口を有し、大気圧場に噴射される実際の噴霧広がり角と加圧場に噴射される実際の噴霧広がり度との偏差の比率である燃料噴霧縮み率を設定し、中央に位置する前記第2噴射口の燃料噴霧縮み率が、両側に位置する前記第1、第3噴射口の燃料噴霧縮み率より大きく設定され、且つ、前記第1、第2、第3噴射口の燃料噴霧角度が同じ角度に設定されたことを特徴とするものである。
本発明の燃料噴射装置では、前記第2噴射口の燃料噴霧剥離角度が、前記第1、第3噴射口の燃料噴霧剥離角度より大きく設定されたことを特徴としている。
また、本発明の内燃機関は、請求項1から3のいずれか一つに記載の燃料噴射装置を、吸気ポート側に位置して下方に所定角度傾斜して設け、排気ポート側に向けて燃焼室に直接燃料を噴射可能としたことを特徴とするものである。
本発明の燃料噴射装置によれば、上下に広角して扇形状に形成されると共に左右方向に並んだ第1、第2、第3噴射口を設け、大気圧場に噴射される実際の噴霧広がり角と加圧場に噴射される実際の噴霧広がり度との偏差の比率である燃料噴霧縮み率を設定し、中央に位置する第2噴射口の燃料噴霧縮み率を、両側に位置する第1、第3噴射口の燃料噴霧縮み率より大きく設定し、第1、第2、第3噴射口の燃料噴霧角度を同じ角度に設定したので、吸気行程中に燃焼室に燃料が噴射されると、3つの垂直な扇形状をなす燃料噴霧となり、燃焼室全体に分散して均一な混合気を形成することができ、適正な均質燃焼を実現することができる一方、圧縮行程中に燃焼室に燃料が噴射されると、第2噴射口の燃料噴霧縮み率が大きいため、この燃料噴霧が上下方向に拡散せず、両側の第1、第3噴射口からの燃料噴霧と干渉して合体し、合体した燃料噴霧がピストンのキャビティにより点火プラグに導かれることとなり、適正な成層燃焼を実現することができる。その結果、均質燃焼と成層燃焼の両立を図ることで、内燃機関の運転状態に応じて最適な燃料噴霧形態を形成可能として燃焼安定性の向上を図ることができる。
また、本発明の内燃機関によれば、上述した燃料噴射装置を、吸気ポート側に位置して下方に所定角度傾斜して設け、排気ポート側に向けて燃焼室に直接燃料を噴射可能としたので、吸気行程中に吸気ポート側から燃料が噴射されると、3つの垂直な扇形状をなす燃料噴霧が燃焼室全体に分散して均一な混合気を形成することができ、圧縮行程中に吸気ポート側から燃料が噴射されると、第2噴射口の燃料噴霧が上下方向に拡散せずに第1、第3噴射口からの燃料噴霧と干渉して合体し、合体した燃料噴霧がピストンのキャビティにより点火プラグに導かれることとなり、均質燃焼と成層燃焼の両立を図ることで、内燃機関の運転状態に応じて最適な燃料噴霧形態を形成可能として燃焼安定性の向上を図ることができる。
以下に、本発明に係る燃料噴射装置及び内燃機関の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施例に係る燃料噴射装置を表す要部縦断面図、図2は、図1のI−II断面図、図3は、図1のI−III断面図、図4は、インジェクタにおける距離Bに対する縮み率を表すグラフ、図5−1は、吸気行程時における第1、第3噴射口からの燃料噴霧を表す概略図、図5−2は、吸気行程時における第2噴射口からの燃料噴霧を表す概略図、図5−3は、吸気行程時における全ての噴射口からの燃料噴霧を表す概略図、図6は、本実施例の燃料噴射装置による吸気行程噴射を表す概略図、図7−1は、圧縮行程時における第1、第3噴射口からの燃料噴霧を表す概略図、図7−2は、圧縮行程時における第2噴射口からの燃料噴霧を表す概略図、図7−3は、圧縮行程時における全ての噴射口からの燃料噴霧を表す概略図、図8は、本実施例の燃料噴射装置による圧縮行程噴射を表す概略図、図9は、本実施例の燃料噴射装置が適用された内燃機関の概略構成図である。
本実施例の燃料噴射装置が適用された内燃機関において、図9に示すように、エンジン10は、筒内噴射式の火花点火エンジンである。このエンジン10にて、シリンダブロック11上にシリンダヘッド12が締結されており、このシリンダブロック11に形成された複数のシリンダボア13にピストン14がそれぞれ上下移動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック11の下部にクランクシャフト15が回転自在に支持されており、ピストン14はコネクティングロッド16を介してこのクランクシャフト15にそれぞれ連結されている。
燃焼室17は、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とピストン14により構成されており、この燃焼室17は、上部(シリンダヘッド12の下面)の中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。そして、この燃焼室17の上部、つまり、シリンダヘッド12の下面に吸気ポート18及び排気ポート19が対向して形成されており、この吸気ポート18及び排気ポート19に対して吸気弁20及び排気弁21の下端部がそれぞれ位置している。従って、この吸気弁20及び排気弁21が所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート18及び排気ポート19を開閉し、吸気ポート18と燃焼室17、燃焼室17と排気ポート19とをそれぞれ連通することができる。
吸気ポート18には、インテークマニホールド22を介してサージタンク23が連結され、このサージタンク23には吸気管24が連結されており、この吸気管24の空気取入口にはエアクリーナ25が取付けられている。そして、このエアクリーナ25の下流側にスロットル弁を有する電子スロットル装置26が設けられている。また、シリンダヘッド12には、燃焼室17に直接燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)27が装着されており、このインジェクタ27は、吸気ポート18側に位置し、先端部が下方に所定角度傾斜しており、排気ポート19側に向けて燃料を噴射可能となっている。更に、シリンダヘッド12には、燃焼室17の上方に位置して混合気に着火する点火プラグ28が装着されている。
一方、排気ポート19には、エギゾーストマニホールド29を介して排気管30が連結されており、この排気管30には排気ガス中に含まれるHC、CO、NOxなどの有害物質を浄化処理する触媒装置31,32が装着されている。また、吸気管24におけるサージタンク23の下流側と、排気管30における各触媒装置31,32の間とには排気ガス再循環通路(EGR通路)33が設けられており、このEGR通路33にはEGR弁34が設けられている。
また、車両には電子制御ユニット(ECU)35が搭載されており、このECU35は、インジェクタ27、点火プラグ28、EGR弁34などを制御可能となっている。即ち、吸気管24の上流側にはエアフローセンサ36が装着されると共に、サージタンク23には吸気負圧センサ37が装着され、計測した吸入空気量、吸気負圧をECU35に出力している。また、電子スロットル装置26は現在のスロットル開度をECU35に出力しており、エンジン回転数センサ38は検出したエンジン回転数をECU35に出力している。従って、ECU35は、検出した吸入空気量、吸気負圧、スロットル開度(またはアクセル開度)、エンジン回転数などのエンジン運転状態に基づいて、燃料噴射量、噴射時期、点火時期、EGR弁開度などを決定している。
このように構成されたエンジン10に搭載されたインジェクタ27において、図1乃至図3に示すように、ハウジング41は中空円筒形状をなし、本体部42に対して先端部43が小径となっており、この先端部43に球面形状をなすサック部44が形成されると共に、外部に開口する3つの噴射口45,46,47が形成されている。噴射弁としてのニードル弁48は、円盤形状をなすフランジ部49から円柱形状をなす弁本体50が一体に下方に延出して構成され、フランジ部49の外周面がハウジング41における本体部42の内周面に嵌合し、且つ、軸心方向(図1にて上下方向)に沿って移動自在に支持されている。また、ニードル弁48は、弁本体50の外周面がハウジング41における先端部43の内周面に所定の隙間をもって挿入され、円錐形状をなす先端面51が先端部43の傾斜面52に当接し、ここにシール部が形成されている。
従って、ハウジング41とニードル弁48との間に燃料通路53が構成されることとなり、この燃料通路53の下端部側はサック部44を介して噴射口45,46,47に連通可能となっている。そして、ニードル弁48の先端面51がハウジング41の傾斜面52に当接することで燃料通路53を遮断することができる一方、先端面51が傾斜面52から離れたときに燃料通路53を開放し、燃料通路53にある燃料をサック部44を介して噴射口45,46,47から外部(燃焼室17)に噴射することができる。
また、ハウジング41内には、支持リング54を介して支持板55が固定されており、この支持板55とニードル弁48との間にはコイルスプリング56が圧縮状態で介装されている。従って、ニードル弁48は、コイルスプリング56の付勢力により先端面51がハウジング41の傾斜面52に密着して燃料通路53を遮断する方向に付勢されている。一方、ハウジング41の壁内には、ニードル弁48のフランジ部49に対向し、且つ、若干上方に位置してソレノイド57が内蔵されている。従って、ソレノイド57へ通電すると、吸引力が発生してコイルスプリング56の付勢力に抗してニードル弁48を上方に移動し、燃料通路53を開放することができる。
なお、インジェクタ27の基端部には、図示しないデリバリパイプを介して燃料ポンプ、燃料タンクなどが連結されており、ハウジング41内を通して燃料通路53の上流側に所定圧の燃料が供給されている。
ところで、本実施例のインジェクタ27にて、中央に位置する第2噴射口46から噴射される燃料噴霧縮み率を、その両側に位置する第1噴射口45及び第3噴射口47から噴射される燃料噴霧縮み率より大きく設定している。
即ち、第2噴射口46は、インジェクタ27の軸線L2に沿って形成され、この第2噴射口46の水平方向両側にて、軸線L2に対して所定の噴射角度αをもった軸線L1,L2に沿って第1噴射口45と第3噴射口47が形成されることで、3つの噴射口45,46,47は、左右方向に噴射角度αをもって並んだものとなっている。また、各噴射口45,46,47は、それぞれ噴射される燃料噴霧が上下に拡散するように、上下に広角した扇形状に形成され、その噴霧角度βが設定され、各噴射口45,46,47の噴霧角度βは同じ角度に設定されている。そのため、各噴射口45,46,47は、矩形形状をなす断面通路となっている。
ところで、図2及び図3に示すように、各噴射口45,46,47は、ハウジング41の先端側から扇形状の電極を挿入して放電加工することで形成され、ハウジング41への電極の挿入量に応じて噴射口45,46,47の幅が設定される。この場合、この放電加工により形成される扇形状の噴射口45,46,47にて、その加工中心O1とサック部44のサック中心O2とのインジェクタ27の軸線L2に沿った距離をBとすると、本実施例では、第2噴射口46における距離B2が第1、第3噴射口45,47における距離B1,B3よりも短いものとなっている。このように距離B1,B2を設定することで、第2噴射口46の燃料噴霧剥離角度θ2が、第1、第3噴射口45,47の燃料噴霧剥離角度θ1,θ3より大きく設定されることとなる。
ここで、燃料噴霧縮み率とは、インジェクタ27から大気圧場に噴射される実際の噴霧広がり角β1と、加圧場に噴射される実際の噴霧広がり度β2との偏差の比率(β1−β2)/β1である。そして、各噴射口45,46,47における燃料噴霧縮み率(β1−β2)/β1及び燃料噴霧剥離角度θ1,θ2,θ3は、この距離B1,B2,B3に応じて設定されるものとなる。即ち、図4に示すように、インジェクタ27における距離Bが増加するのに伴って、燃料噴霧縮み率β2/β1が小さくなる傾向があることがわかっている。即ち、インジェクタ27における距離B1,B3が大きい第1、第3噴射口45,47では、燃料噴霧縮み率が小さいため、大気圧場に噴射される実際の噴霧角度β1と加圧場に噴射される実際の噴霧角度β2とがほぼ同じものとなる。一方、インジェクタ27における距離B2が小さい第2噴射口46では、燃料噴霧縮み率β2/β1が大きいため、大気圧場に噴射される実際の噴霧角度β1に対して加圧場に噴射される実際の噴霧角度β2が小さいものとなる。
また、インジェクタ27における距離B1,B2,B3が増加するのに伴って、燃料噴霧剥離角度θ1,θ2,θ3が小さくなっている。これは、サック部44から噴射口45,46,47を通して燃焼室17に燃料が噴射されるとき、燃料噴霧剥離角度θ1,θ2,θ3が大きくなると、噴射口45,46,47の壁面から燃料が剥離しやすくなり、噴霧角度βに応じて広がらずに中央部に集中するものと考えられる。
従って、図1乃至図3に示すように、インジェクタ27にて、ニードル弁48がコイルスプリング56の付勢力により燃料通路53を閉止している状態から、ソレノイド57へ通電すると、ニードル弁48がコイルスプリング56の付勢力に抗して上方に移動することで燃料通路53を開放し、燃料通路53の燃料がサック部44に供給され、このサック部44から各噴射口45,46,47を通して燃焼室17に噴射される。そして、所定期間が経過すると、ソレノイド57への通電が停止され、ニードル弁48がコイルスプリング56の付勢力により下方に移動することで燃料通路53を閉止し、燃料通路53からサック部44への燃料供給が停止され、噴射口45,46,47からの燃料噴射が終了する。
このとき、エンジン10の吸気行程でインジェクタ27から燃焼室17に燃料が噴射されると、燃焼室17が大気圧場であるため、図5−1及び図5−2に示すように、各噴射口45,46,47から噴射される燃料噴霧は、ほぼ同じ形態の扇形状となり、図5−3及び図6に示すように、燃焼室17の上下方向に沿って扇形状に広がる3つの燃料噴霧が燃焼室17の左右方向に並んだものとなる。そのため、噴射口45,46,47から噴射される燃料噴霧は、燃焼室17全体に分散して均一な混合気を形成することができ、この分散した混合気に対して点火プラグ28により着火され、この着火混合気が火種となって燃焼室17全体に分散した混合気が燃焼することで、適正な均質燃焼を実現することができる。
一方、エンジン10の圧縮行程でインジェクタ27から燃焼室17に燃料が噴射されると、燃焼室17が加圧圧場であるため、図7−1に示すように、燃料噴霧縮み率が小さく(燃料噴霧剥離角度が小さく)設定された第1、第3噴射口45,47から噴射される燃料噴霧は、ほぼ同じ形態の扇形状となり、図7−3及び図8に示すように、燃焼室17の上下方向に沿って扇形状に広がる2つの燃料噴霧が燃焼室17の左右方向に並んだものとなる。また、図7−2に示すように、燃料噴霧縮み率が大きく(燃料噴霧剥離角度が大きく)設定された第2噴射口46から噴射される燃料噴霧は、図7−3及び図8に示すように、燃焼室17の上下方向には広がらずに、第1、第3噴射口45,47から噴射された2つの燃料噴霧の間に棒状に位置するものとなる。
そして、第2噴射口46から噴射された燃料噴霧は、その両側の第1、第3噴射口45,47から噴射された2つの燃料噴霧のコアンダ効果により左右方向に広がって干渉して合体し、この合体した燃料噴霧がピストン14のキャビティ14aにより上方に向けたウォールガイドを形成する。このピストン14のキャビティ14aから上方に向かう混合気は、点火プラグ28に効率的に導かれることとなり、適正な成層燃焼を実現することができる。
このように本実施例の燃料噴射装置及び内燃機関にあっては、ハウジング41内に燃料通路53を設けると共に、先端部にこの燃料通路53に連通するサック部44及び3つの噴射口45,46,47を形成し、このハウジング41にニードル弁48を移動自在に支持して燃料通路53を開閉可能とし、3つの噴射口45,46,47を、上下に広角して扇形状に形成すると共に、左右方向に並んで形成し、中央に位置する第2噴射口46の燃料噴霧縮み率を、両側に位置する第1、第3噴射口45,47の燃料噴霧縮み率より大きく設定している。
従って、吸気行程中にインジェクタ27の各噴射口45,46,47から燃焼室17に燃料が噴射されると、ほぼ垂直な扇形状をなす3つの燃料噴霧が左右方向に並んで形成され、この燃料噴霧が燃焼室17全体に分散して均一な混合気を形成することとなり、適正な均質燃焼を実現することができる。一方、圧縮行程中にインジェクタ27の各噴射口45,46,47から燃焼室17に燃料が噴射されると、第1、第3噴射口45,47に対して、第2噴射口46の燃料噴霧縮み率が大きいため、第1、第3噴射口45,47からの燃料噴霧はほぼ垂直な扇形状をなすが、第2噴射口46からの燃料噴霧は上下方向に拡散せず、両側の第1、第3噴射口からの燃料噴霧と干渉して合体し、合体した燃料噴霧がピストン14のキャビティ14aに向かい、このキャビティ14aにより点火プラグ28に導かれることとなり、適正な成層燃焼を実現することができる。その結果、均質燃焼と成層燃焼の両立を図ることで、エンジン10の運転状態に応じて最適な燃料噴霧形態を形成可能として燃焼安定性の向上を図ることができる。
また、本実施例の燃料噴射装置及び内燃機関では、インジェクタ27における第2噴射口46の燃料噴霧剥離角度を、第1、第3噴射口45,47の燃料噴霧剥離角度より大きく設定している。従って、第1、第3噴射口45,47に対して、第2噴射口46の燃料噴霧剥離角度が大きいため、第2噴射口46からの燃料噴霧は拡散せずに第1、第3噴射口からの燃料噴霧とコアンダ効果により良好に合体することとなり、この合体した燃料噴霧がピストン14のキャビティ14a適正に向かい、点火プラグ28に導かれることとなり、点火プラグ28により確実に点火して適正な成層燃焼を実現することができる。
また、本実施例の燃料噴射装置及び内燃機関では、第1、第2、第3噴射口45,46,47の燃料噴霧角度を同じ角度に設定している。従って、各噴射口45,46,47の燃料噴霧角度を同じ角度に設定した上で、中央の第2噴射口46の燃料噴霧縮み率を大きく設定することで、吸気行程中または圧縮行程中であっても、噴霧形態を最適形状に形成することができ、燃焼安定性を向上することができる。
そして、本実施例の燃料噴射装置及び内燃機関では、インジェクタ27を吸気ポート18側に位置して下方に所定角度傾斜して設け、排気ポート19側に向けて燃焼室17に直接燃料を噴射可能としている。従って、吸気行程噴射では適正な均質燃焼を実現することができ、圧縮行程中では適正な成層燃焼を実現することができる。
なお、上述した実施例では、第1、第2、第3噴射口45,46,47を、それぞれ噴射される燃料噴霧が上下に拡散するように上下に広角した扇形状に形成し、その噴霧角度βを同じ角度に設定したが、燃焼室17やピストン14におけるキャビティ14aの形状などに応じて、噴霧角度βを相違させたり、噴霧中心を上下にずらしたりしてもよい。
また、上述した実施例では、インジェクタ27が吸気ポート18側に配置し、先端部を下方に所定角度傾斜して排気ポート19側に向けて燃料を噴射可能としたが、この構成に限定されるものではない。即ち、インジェクタ27を排気ポート19側に配置し、先端部を下方に所定角度傾斜し、吸気ポート18側に向けて燃料を噴射可能としてもよい。また、インジェクタ27を吸気ポート18と排気ポート19との間、つまり、燃焼室17の中央上部に配置し、先端部を下方に向けてピストン14のキャビティ14aに対して燃料を噴射可能としてもよい。
以上のように、本発明に係る燃料噴射装置は、内燃機関の運転状態に応じて最適な燃料噴霧形態を形成可能として燃焼安定性の向上を図るものであり、いずれの種類の内燃機関に用いても好適である。
本発明の一実施例に係る燃料噴射装置を表す要部縦断面図である。 図1のI−II断面図である。 図1のI−III断面図である。 インジェクタにおける距離Bに対する縮み率を表すグラフである。 吸気行程時における第1、第3噴射口からの燃料噴霧を表す概略図である。 吸気行程時における第2噴射口からの燃料噴霧を表す概略図である。 吸気行程時における全ての噴射口からの燃料噴霧を表す概略図である。 本実施例の燃料噴射装置による吸気行程噴射を表す概略図である。 圧縮行程時における第1、第3噴射口からの燃料噴霧を表す概略図である。 圧縮行程時における第2噴射口からの燃料噴霧を表す概略図である。 圧縮行程時における全ての噴射口からの燃料噴霧を表す概略図である。 本実施例の燃料噴射装置による圧縮行程噴射を表す概略図である。 本実施例の燃料噴射装置が適用された内燃機関の概略構成図である。
符号の説明
10 エンジン(内燃機関)
17 燃焼室
27 インジェクタ(燃料噴射装置)
28 点火プラグ
35 電子制御ユニット(ECU)
41 ハウジング
44 サック部
45 第1噴射口
46 第2噴射口
47 第3噴射口
48 ニードル弁(噴射弁)
53 燃料通路

Claims (3)

  1. 燃料通路を有すると共に先端部に該燃料通路が連通するサック部及び噴射口を有するハウジングと、前記ハウジングに移動自在に支持されて前記燃料通路を断続可能である噴射弁とを具えた燃料噴射装置において、前記噴射口は、上下に広角して扇形状に形成されると共に左右方向に並んだ第1、第2、第3噴射口を有し、大気圧場に噴射される実際の噴霧広がり角と加圧場に噴射される実際の噴霧広がり度との偏差の比率である燃料噴霧縮み率を設定し、中央に位置する前記第2噴射口の燃料噴霧縮み率が、両側に位置する前記第1、第3噴射口の燃料噴霧縮み率より大きく設定され、且つ、前記第1、第2、第3噴射口の燃料噴霧角度が同じ角度に設定されたことを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、前記第2噴射口の燃料噴霧剥離角度が、前記第1、第3噴射口の燃料噴霧剥離角度より大きく設定されたことを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 請求項1または2に記載の燃料噴射装置を、吸気ポート側に位置して下方に所定角度傾斜して設け、排気ポート側に向けて燃焼室に直接燃料を噴射可能としたことを特徴とする内燃機関。
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