以下に、本発明の実施の形態を図に基づいて説明するが、本発明はこの実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の目的を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。なお、図1は、実施例1の三軸磁気センサの概略構成を模式的に示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A’断面を示す断面図である。また、図2は、本発明の三軸磁気センサに用いられる巨大磁気抵抗効果素子の概略構成を模式的に示す図であり、図2(a)は複数の巨大磁気抵抗効果素子(GMR)バーが接続されて1つのX軸センサ用の巨大磁気抵抗効果素子が構成された状態を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のB−B’断面を模式的に示す断面図であり、図2(c)は、図2(b)の内部の積層状態を模式的に示す図である。図3は複数の巨大磁気抵抗効果素子(GMR)バーが接続されて1つのY1軸センサ用の巨大磁気抵抗効果素子と、1つのY2軸センサ用の巨大磁気抵抗効果素子が構成された状態を示す平面図であり、図3(a)はその平面図であり、図3(b)は、図3(a)のC部を斜め上方から見た状態を模式的に示す斜視図である。
図4は、図1の三軸磁気センサのピニング方向と感度方向を模式的に示す図であり、図4(a)は全体の平面を模式的に示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のD部を拡大して模式的に示す斜視図であり、図4(c)は、図4(a)のE部を拡大して模式的に示す斜視図である。図5は、ブリッジ結線を示すブロック図であり、図5(a)はX軸センサのブリッジ結線を示すブロック図であり、図5(b)はY1軸センサのブリッジ結線を示すブロック図であり、図5(c)はY2軸センサのブリッジ結線を示すブロック図である。図6〜図15は製造途中の実施例1の三軸磁気センサを模式的に示す断面図である。図16は、規則化熱処理(ピニング処理)の状態を模式的に示す平面図である。図17は規則化熱処理(ピニング処理)において用いられるヨークを示す図であり、図17(a)はヨークの一部の平面を模式的に示す平面図であり、図17(b)はヨークを用いて規則化熱処理(ピニング処理)を行う状態を模式的に示す断面図である。
1.実施例1
実施例1の三軸磁気センサ10は、図1に示すように、平面視で互いに直交するX軸、及びY軸に沿った辺を有する正方形状であって、X軸及びY軸に直交するZ軸方向に小さな厚みを有する石英やシリコンからなる基板11を備えている。そして、この基板11の上に、それぞれ4個ずつのX軸GMR素子12a〜12d、Y1軸GMR素子12e〜12h(図1の後述するGMRバーを示す実線の部分)、Y2軸GMR素子12i〜12l(図1の後述するGMRバーを示す破線の部分)からなる合計で12個のGMR素子と、パッド部(配線から外部に出力を取り出す部分:図示せず)及びビア部(GMR素子から配線に接続する部分を指すが、このビア部は最終的には露出されない:図示せず)ならびに配線(図示せず)が作り込まれている。なお、基板11内には、LSIや配線層が作り込まれており、LSIが作り込まれた基板を用いたものにおいてはデジタル出力の磁気センサとなされており、配線層のみが作り込まれた基板を用いたものにおいてはアナログ出力の磁気センサとなされている。
ここで、X軸GMR素子は第1X軸GMR素子12aと、第2X軸GMR素子12bと、第3X軸GMR素子12cと、第4X軸GMR素子12dとにより構成されている。そして、基板11のX軸(この場合、図1(a)の左側端部をX軸の基準点とし、この基準点から図の右側へ向かう方向をX軸正方向とし、その反対側へ向かう方向をX軸負方向とする。以下においても同様である。)の右側端部近傍で、Y軸(この場合、図1(a)の下側端部をY軸の基準点とし、この基準点から図の上側へ向かう方向をY軸正方向とし、その反対側へ向かう方向をY軸負方向とする。以下においても同様である。)の略中央部(以下ではY軸中央部という)上方に第1X軸GMR素子12aが配置され、その下方に第2X軸GMR素子12bが配置されている。また、基板11のX軸の左側端部近傍で、Y軸中央部上方に第3X軸GMR素子12cが配置され、その下方に第4X軸GMR素子12dが配置されている。
また、Y1軸GMR素子は第1Y1軸GMR素子12eと、第2Y1軸GMR素子12fと、第3Y1軸GMR素子12gと、第4Y1軸GMR素子12hとにより構成されている。そして、基板11のY軸の上側端部近傍で、X軸中央部の左方に第1Y1軸GMR素子12eが配置され、その右方に第2Y1軸GMR素子12fが配置されている。また、基板11のY軸の下側端部近傍で、X軸中央部の左方に第3Y1軸GMR素子12gが配置され、その右方に第4Y1軸GMR素子12hが配置されている。
さらに、Y2軸GMR素子は第1Y2軸GMR素子12iと、第2Y2軸GMR素子12jと、第3Y2軸GMR素子12kと、第4Y2軸GMR素子12lとにより構成されている。そして、基板11のY軸の下側端部近傍で、X軸中央部の左方に第1Y2軸GMR素子12iが配置され、その右方に第2Y2軸GMR素子12jが配置されている。また、基板11のY軸の上側端部近傍で、X軸中央部の左方に第3Y2軸GMR素子12kが配置され、その右方に第4Y2軸GMR素子12lが配置されている。
ここで、各GMR素子12a〜12d、12e〜12h、12i〜12lは、互いに平行で帯状に隣接配置された偶数個(この場合は、例えば4個とするが、偶数個であれば何個でもよい)GMRバーを備えており、これらのGMRバーがマグネット膜(バイアス磁石膜)により直列接続され、これらの端部に端子部となるマグネット膜が接続されて形成されている。例えば、図2(なお、図2においては第1X軸GMR素子12aについてのみ示しているが、他のGMR素子においても同様の構成である)に示すように、4個のGMRバー12a−1,12a−2,12a−3,12a−4がマグネット膜12a−6,12a−7,12a−8により直列接続され、これらの端部に端子部となるマグネット膜12a−5,12a−9が接続されて形成されている。この場合、X軸GMR素子12a〜12dの各GMRバー(12a−1,12a−2,12a−3,12a−4等)は、基板11の表面と平行な平面上に形成されており、その長手方向がY軸に対して平行(X軸に直交する)になるように配列されている。
また、Y1軸GMR素子とY2軸GMR素子は、基板11の上に形成された断面形状が台形状の複数の突部(堤部)15の各斜面上に形成されているとともに、Y1軸GMR素子は突部(堤部)15の第1斜面15a上に形成されており、Y2軸GMR素子は突部(堤部)15の第2斜面15b上に形成されている。なお、各斜面15a,15bの傾斜角度は等しく、基板の平面に対してθ(30°<θ<60°)となるように形成されている。そして、図1(b),図3(b)に示すように、Y1軸GMR素子の各GMR素子(例えば、12e−2)とY2軸GMR素子の各GMR素子(例えば、12k−2)とが1つの突部15で互に背中合わせになるように配置されている。この場合、Y1軸GMR素子12e〜12hの各GMRバーおよびY2軸GMR素子12i〜12lの各GMRバーは、その長手方向がX軸に対して平行(Y軸と垂直)になるように配列されている。
ついで、GMRバーの構成について、第1X軸GMR素子12aのGMRバー12a−2を例にして、図2に基づいて説明する。なお、他のGMRバー12a−1,12a−3,12a−4についてはこれと等しいため、ここではGMRバー12a−2について説明する。また、他のX軸GMR素子12b,12c,12dおよびY1軸GMR素子12e,12f,12g,12hおよびY2軸GMR素子12i,12j,12k,12lのそれぞれのGMRバーの構成についてもこれと等しいので、その説明は省略する。
ここで、第1X軸GMR素子12aのGMRバー12a−2は、図2(a)のB−B’線に沿った平面にて切断した概略断面図である図2(b)に示したように、その長手方向がX軸に対して垂直(Y軸に対して平行)になるように配列されたスピンバルブ膜SVからなり、この両端部下方に形成されたCoCrPt等の硬質強磁性体であって、高保磁力を有する材質からなるマグネット膜(バイアス磁石膜;硬質強磁性体薄膜層)12a−6,12a−7とを備えている。スピンバルブ膜SVは、図2(c)に膜構成を示したように、基板11の上に順に積層されたフリー層(自由層、自由磁化層)F、膜厚が2.4nm(24Å)のCuからなる導電性のスペーサ層S、ピン層(固着層、固定磁化層)P、及び膜厚が2.5nm(25Å)のチタン(Ti)又はタンタル(Ta)からなるキャッピング層Cからなっている。
フリー層Fは、外部磁界の向きに応じて磁化の向きが変化する層であり、基板11の直上に形成された膜厚が8nm(80Å)のCoZrNbアモルファス磁性層12a−21と、CoZrNbアモルファス磁性層12a−21の上に形成された膜厚が3.3nm(33Å)のNiFe磁性層12a−22と、NiFe磁性層12a−22の上に形成された1〜3nm(10〜30Å)程度の膜厚のCoFe層12a−23とからなっている。CoZrNbアモルファス磁性層12a−21とNiFe磁性層12a−22は軟質強磁性体薄膜層を構成している。CoFe層12a−23はNiFe層12a−22のNi、及びスペーサ層SのCu12a−24の拡散を防止するために設けられている。
ピン層Pは、膜厚が2.2nm(22Å)のCoFe磁性層12a−25と、Ptを45〜55mol%含むPtMn合金から形成した膜厚が24nm(240Å)の反強磁性膜12a−26とを重ね合わせたものである。CoFe磁性層12a−25は、着磁(磁化)された反強磁性膜12a−26に交換結合的に裏打されることにより磁化(磁化ベクトル)の向きがX軸正方向にピン(固着)されるピンド層を構成している。
なお、上述した第1X軸GMR素子12aのバイアス磁石膜12a−5,12a−6,12a−7,12a−8,12a−9は、フリー層Fの一軸異方性を維持するため、このフリー層Fに対して各GMRバーの長手方向に平行な方向(X軸に対して垂直方向)にバイアス磁界を与えている。そして、CoFe磁性層12a−25(他のGMRバー12a−1,12a−3,12a−4についても同様である)は、着磁(磁化)された反強磁性膜12a−26に交換結合的に裏打されることにより磁化(磁化ベクトル)の向きが、X軸正方向(図4(a)の矢印a1方向)にピン(固着)されるようにピンド層が形成されている。同様に、第2X軸GMR素子22は、各GMRバーの長手方向に平行な方向(X軸に対して垂直方向)にバイアス磁界を与えている。そして、磁化(磁化ベクトル)の向きがX軸正方向(図4(a)の矢印b1方向)にピン(固着)されるようにピンド層が形成されている。
これにより、これらの第1X軸GMR素子12aおよび第2X軸GMR素子12bにおいては、磁界の感度方向は、各GMRバーの長手方向に対して垂直な方向、即ち、X軸正方向(図4(a)の矢印a1,b1方向)になり、図4(a)の矢印a1,b1方向に磁界が印加された場合に、第1X軸GMR素子12aおよび第2X軸GMR素子12bの抵抗値は磁界の大きさに比例して減少し、図4(a)の矢印a1,b1方向と反対方向に磁界が印加された場合に、第1X軸GMR素子12aおよび第2X軸GMR素子12bの抵抗値は磁界の大きさに比例して増大することとなる。
一方、第3X軸GMR素子12cおよび第4X軸GMR素子12dにおいては、バイアス磁石膜は、第1X軸GMR素子12aおよび第2X軸GMR素子12bと180°反対方向で各GMRバーの長手方向に平行な方向(X軸に対して垂直方向)にバイアス磁界を与えている。そして、磁化(磁化ベクトル)の向きがX軸負方向(図4(a)の矢印c1,d1方向で、第1X軸GMR素子12aおよび第2X軸GMR素子12bのピンド層の磁化の向きと180°反対の方向)にピン(固着)されるようにピンド層が形成されている。
これにより、磁界の感度方向は、各GMRバーの長手方向に対して垂直な方向、即ち、図4(a)の矢印c1,d1方向(第1X軸GMR素子12aおよび第2X軸GMR素子12bの感度方向と180°反対の方向)になり、図4(a)の矢印c1,d1方向に磁界が印加された場合に、第3X軸GMR素子12cおよび第4X軸GMR素子12dの抵抗値は磁界の大きさに比例して減少し、図4(a)の矢印c1,d1と反対方向に磁界が印加された場合に、第3X軸GMR素子12cおよび第4X軸GMR素子12dの抵抗値は磁界の大きさに比例して増大することとなる。
また、第1Y1軸GMR素子12eおよび第2Y1軸GMR素子12fにおいては、図4(b)に模式的に示すように、バイアス磁石膜(例えば、図4(b)に示す12e−6,12e−7,12e−8および12f−6,12f−7,12f−8など)は、各GMRバー(例えば、図4(b)に示す12e−2,12e−3および12f−2,12f−3など)の長手方向に平行な方向、即ち、突部(堤部)15の第1斜面(傾斜角度はθ)15aの平面上で、その長手方向がX軸に平行な方向(突部(堤部)15の稜線の走行方向)にバイアス磁界を与えている。そして、磁化(磁化ベクトル)の向きが突部(堤部)15の第1斜面15aに沿うY軸正方向かつZ軸負方向(図4(b)の実線矢印e1(f1)方向)にピン(固着)されるようにピンド層が形成されている。
そして、これらの各GMRバー(図4(b)に示す12e−2,12e−3および12f−2,12f−3など)がバイアス磁石膜(図4(b)に示す12e−6,12e−7,12e−8および12f−6,12f−7,12f−8など)で直列に接続されている。これにより、磁界の感度方向は、各GMRバーの長手方向に対して垂直な方向で、突部(堤部)15の第1斜面15aに沿うY軸正方向かつZ軸負方向(図4(b)の実線矢印e1(f1)方向)になり、図4(a)の矢印e1(f1)方向に成分を持つ磁界が印加された場合に、第1Y1軸GMR素子12eおよび第2Y1軸GMR素子12fの抵抗値は磁界の大きさに比例して減少し、図4(a)の矢印e1(f1)と反対方向に成分を持つ磁界が印加された場合に、第1Y1軸GMR素子12eおよび第2Y1軸GMR素子12fの抵抗値は磁界の大きさに比例して増大することとなる。
一方、第3Y1軸GMR素子12gおよび第4Y1軸GMR素子12hにおいては、図4(c)に模式的に示すように、バイアス磁石膜(例えば、図4(c)に示す12g−6,12g−7,12g−8および12h−6,12h−7,12h−8など)は、各GMRバー(例えば、図4(c)に示す12g−2,12g−3および12h−2,12h−3など)の長手方向に平行な方向、即ち、突部(堤部)15の第1斜面(傾斜角度はθ)15aの平面上で、その長手方向がX軸に平行な方向(突部(堤部)15の稜線の走行方向)にバイアス磁界を与えている。そして、磁化(磁化ベクトル)の向きが突部(堤部)15の第1斜面15aに沿うY軸負方向かつZ軸負方向(図4(c)の実線矢印g1(h1)方向)にピン(固着)されるようにピンド層が形成されている。
そして、これらの各GMRバー(図4(c)に示す12g−2,12g−3および12h−2,12h−3など)がバイアス磁石膜(図4(c)に示す12g−6,12g−7,12g−8および12h−6,12h−7,12h−8など)で直列に接続されている。これにより、磁界の感度方向は、各GMRバーの長手方向に対して垂直な方向で、突部(堤部)15の第1斜面15aに沿うY軸負方向かつZ軸負方向(図4(c)の実線矢印g1(h1)方向)になり、図4(a)の矢印g1(h1)方向に成分を持つ磁界が印加された場合に、第3Y1軸GMR素子12gおよび第4Y1軸GMR素子12hの抵抗値は磁界の大きさに比例して減少し、図4(a)の矢印g1(h1)と反対方向に成分を持つ磁界が印加された場合に、第3Y1軸GMR素子12gおよび第4Y1軸GMR素子12hの抵抗値は磁界の大きさに比例して増大することとなる。
また、第1Y2軸GMR素子12iおよび第2Y2軸GMR素子12jにおいては、図4(c)に模式的に示すように、バイアス磁石膜(例えば、図4(c)に示す12i−6,12i−7,12i−8および12j−6,12j−7,12j−8など)は、各GMRバー(例えば、図4(c)に示す12i−2,12i−3および12j−2,12j−3など)の長手方向に平行な方向、即ち、突部(堤部)15の第2斜面(傾斜角度はθ)15bの平面上で、その長手方向がX軸に平行な方向(突部(堤部)15の稜線の走行方向)にバイアス磁界を与えている。そして、磁化(磁化ベクトル)の向きが突部(堤部)15の第2斜面15bに沿うY軸負方向かつZ軸正方向(図4(c)の破線矢印i1(j1)方向)にピン(固着)されるようにピンド層が形成されている。
そして、これらの各GMRバー(図4(c)に示す12i−2,12i−3および12j−2,12j−3など)がバイアス磁石膜(図4(c)に示す12i−6,12i−7,12i−8および12j−6,12j−7,12j−8など)で直列に接続されている。これにより、磁界の感度方向は、各GMRバーの長手方向に対して垂直な方向で、突部(堤部)15の第2斜面15bに沿うY軸負方向かつZ軸正方向(図4(c)の破線矢印i1(j1)方向)になり、図4(a)の矢印i1(j1)方向に成分を持つ磁界が印加された場合に、第1Y2軸GMR素子12iおよび第2Y2軸GMR素子12jの抵抗値は磁界の大きさに比例して減少し、図4(a)の矢印i1(j1)と反対方向に成分を持つ磁界が印加された場合に、第1Y2軸GMR素子12iおよび第2Y2軸GMR素子12jの抵抗値は磁界の大きさに比例して増大することとなる。
一方、第3Y2軸GMR素子12kおよび第4Y2軸GMR素子12lにおいては、図4(b)に模式的に示すように、バイアス磁石膜(例えば、図4(b)に示す12k−6,12k−7,12k−8および12l−6,12l−7,12l−8など)は、各GMRバー(例えば、図4(b)に示す12k−2,12k−3および12l−2,12l−3など)の長手方向に平行な方向、即ち、突部(堤部)15の第2斜面(傾斜角度はθ)15bの平面上で、その長手方向がX軸に平行な方向(突部(堤部)15の稜線の走行方向)にバイアス磁界を与えている。そして、磁化(磁化ベクトル)の向きが突部(堤部)15の第2斜面15bに沿うY軸正方向かつZ軸正方向(図4(b)の破線矢印k1(l1)方向)にピン(固着)されるようにピンド層が形成されている。
そして、これらの各GMRバー(図4(b)に示す12k−2,12k−3および12l−2,12l−3など)がバイアス磁石膜(図4(b)に示す12k−6,12k−7,12k−8および12l−6,12l−7,12l−8など)で直列に接続されている。これにより、磁界の感度方向は、各GMRバーの長手方向に対して垂直な方向で、突部(堤部)15の第2斜面15bに沿うY軸正方向かつZ軸正方向(図4(b)の破線矢印k1(l1)方向)になり、図4(a)の矢印k1(l1)方向に成分を持つ磁界が印加された場合に、第3Y2軸GMR素子12kおよび第4Y2軸GMR素子12lの抵抗値は磁界の大きさに比例して減少し、図4(a)の矢印k1(l1)と反対方向に成分を持つ磁界が印加された場合に、第3Y2軸GMR素子12kおよび第4Y2軸GMR素子12lの抵抗値は磁界の大きさに比例して増大することとなる。
X軸磁気センサは、図5(a)(なお、図5(a)〜(c)において、各矢印は各GMR素子の固着層がy軸負方向にピンされたときの磁化の向きが上向きとなるように示している。)に等価回路を示したように、第1〜第4X軸GMR素子12a〜12dがフルブリッヂ接続されることにより構成されている。このような構成において、パッド13aおよびパッド13bは定電圧源14の正極,負極に接続され、電位Vxin+(本例では3V)と電位Vxin-(本例では0(V))が付与される。そして、パッド13cとパッド13dの電位がそれぞれ電位Vxout+と電位Vxout-として取り出され、その電位差(Vxout+ − Vxout-)がセンサ出力Vxoutとして取り出される。
Y1軸磁気センサは、図5(b)に等価回路を示したように、第1〜第4Y1軸GMR素子12e〜12hがフルブリッヂ接続されることにより構成されている。そして、パッド13eよびパッド13fは定電圧源14の正極,負極に接続され、電位Vy1in+(本例では3V)と電位Vy1in-(本例では0(V))が付与され、パッド13gとパッド13hの電位差がセンサ出力Vy1outとして取り出される。
Y2軸磁気センサは、図5(c)に等価回路を示したように、第1〜第4Y2軸GMR素子12i〜12lがフルブリッヂ接続されることにより構成されている。そして、パッド13iおよびパッド13jは定電圧源14の正極,負極に接続され、電位Vy2in+(本例では3V)と電位Vy2in-(本例では0(V))が付与され、パッド13kとパッド13lの電位差がセンサ出力Vy2outとして取り出される。
そして、得られた出力Vxout,Vy1outおよびVy2outに基づいて、X軸方向の磁界の成分Hxを下記の(4)式により求めることができる。同様に、Y軸方向の磁界の成分Hyを下記の(5)式により求めることができ、Z軸方向の磁界の成分Hzを下記の(6)式により求めることができる。なお、これらの演算はこの基板11に予め形成されたLSIにより行われることとなる。
Hx=2kx×Vxout・・・(4)
Hy=ky(Vy1out−Vy2out)/cosθ・・・(5)
Hz=kz(Vy1out+Vy2out)/sinθ・・・(6)
ただし、θは突部(堤部)15の各斜面15a,15bの傾斜角度であって、この場合のθは30°<θ<60°の関係を有する。また、kx,ky,kzは比例定数であって、各センサの感度が等しければ、kx=ky=kzとなる。
ついで、上述のような構成となる三軸磁気センサの製造方法について、図6〜図15の断面模式図に基づいて以下に説明する。なお、図6〜図15において、(a)はビア部を示し、(b)はパッド部を示し、(c)はY1軸GMR部およびY2軸GMR部を示している。この場合、上述したように、基板11としては、CMOSプロセスにより予めLSIが作り込まれた基板や、予め配線層のみが作り込まれた基板を用いることが望ましい。
この三軸磁気センサの製造方法では、図6に示すように、まず、配線層11aが形成された基板(石英基板またはシリコン基板)11の上に層間絶縁膜(SOG:Spin On Glass)11bを塗布することにより平坦化した。この後、図7に示すように、ビア部とパッド部の上の層間絶縁膜11bをエッチングで取り除き、開口部11c,11dを作製した。ついで、図8に示すように、これらの表面に、例えばSiO2膜からなる酸化膜(厚み:1500Å)11eと、例えばSi3N4膜からなる窒化膜(厚み:5000Å)11fとをプラズマCVDにより成膜した。ついで、これらの上にレジストを塗布した後、ビア部とパッド部に開口を形成するようなパターンにカットした。
ついで、ビア部上およびパッド部上の窒化膜11fをエッチングにより除去した後、レジストを除去した。これにより、図9に示すように、窒化膜11fにはビア部上およびパッド部上に開口部11g,11hが形成されるが、酸化膜11eはエッチングしきらずに残存させるようにした。この場合、開口部11g,11hの開口幅(径)は開口部11c,11dの開口幅(径)よりも小さくなるようにした。これは、開口部11c,11dで層間絶縁膜11bが露出して、水分が配線層やLSIに浸入するのを防止するためである。
この後、図10に示すように、これらの上に、例えばSiO2膜からなる上層酸化膜(厚み:5μm)11iをプラズマCVDにより成膜した。ついで、これらの上にレジストを塗布してレジスト膜(厚み:5μm)11jを形成した。そして、形成されたレジスト膜(厚み:5μm)11jにビア部とパッド部に開口を形成するためのパターンをカットするとともに、Y1軸GMR素子およびY2軸GMR素子の配列用の突部(堤部)15を形成するためのパターンをカットした。カット後、150℃の温度で10分間の熱処理を行って、図11に示すように、レジスト11jのカド部をテーパー状に形成(テーパ化)した。
この後、上層酸化膜(厚み:5μm)11iとレジスト膜(厚み:5μm)11jとがほぼ同じ比率でエッチングされ、かつエッチング後の上層酸化膜11iの最大厚み部で約5000Åの厚みが残るような条件でドライエッチングを行った。このとき、上層酸化膜11iのビア部およびパッド部での開口幅(径)が、窒化膜11fのビア部およびパッド部での開口幅(径)より大きくならないようにした。ドライエッチングを行った後、残存するレジストを除去した。これにより、図12に示すように、GMR部に上層酸化膜11iからなる突部(堤部)15が形成されることとなる。
ついで、これらの上にレジストを塗布して、このレジストをビア部に開口を形成するためのパターンにカットした後、エッチングを行った。この後、残存するレジストを除去することにより、図13に示すように、ビア部に開口11kを形成して、基板11の最上層の配線層11aを露出させた。ついで、スパッタリング法によって、TiまたはCr(膜厚は300μm)からなる下地膜を形成した。
ついで、CoCrPt等の材質からなる硬質強磁性体で高保磁力を有するバイアス磁石膜11m(後に、例えば、図2(a)に示す12a−5,12a−6,12a−7,12a−8,12a−9等になる)をスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などによって、下地膜の表面上に形成した。これらの下地膜およびバイアス磁石膜11mの上にレジストを塗布して、このレジストをバイアス磁石膜11mのパターンにカットした後、バイアス磁石膜11mと下地膜のエッチングを行った。この場合、突部(堤部)15の斜面部15a,15bでのエッチングを適切に行い、突部(堤部)15の断面形状を整えるために熱処理を行ってレジストをテーパ化してもよい。この後、残存するレジストを除去した。ついで、スパッタリング法によって、GMR素子をなすGMR多層膜11n(後に、12a〜12d,12e〜12h,12i〜12l等になる)をこれら下地膜およびバイアス磁石膜11mの表面上に形成した。
なお、GMR多層膜11nは、図2(c)に示したように、基板11の上に順に積層されたフリー層(自由層、自由磁化層)F、膜厚が2.4nm(24Å)のCuからなる導電性のスペーサ層S、ピン層(固着層、固定磁化層)P、及び膜厚が2.5nm(25Å)のチタン(Ti)又はタンタル(Ta)からなるキャッピング層Cからなっている。そして、フリー層Fは、基板11の直上に形成された膜厚が8nm(80Å)のCoZrNbアモルファス磁性層12a−21と、膜厚が3.3nm(33Å)のNiFe磁性層12a−22と、1〜3nm(10〜30Å)程度の膜厚のCoFe層12a−23とからなっている。CoZrNbアモルファス磁性層12a−21とNiFe磁性層12a−22は軟質強磁性体薄膜層を構成している。一方、ピン層Pは、膜厚が2.2nm(22Å)のCoFe磁性層12a−25と、膜厚が24nm(240Å)の反強磁性膜12a−26とを重ね合わせたものである。
ついで、得られた積層体の上に永久磁石アレー16を近接させて、後述するように規則化熱処理(ピニング処理)を行い、ピンド層Pの磁化の向きを固定させた。その後、GMR多層膜11nの表面上に、任意の厚さ、例えば平坦部で2μmの厚みとなるようにレジストを塗布し、このレジストの表面にマスクを配置して、焼き付け、現像処理を行って不必要なレジストを取り除き、後に得られるGMR多層膜11nと同じパターンを有するレジスト膜を形成する。その際、突部(堤部)15でのエッチングを適切に行い、突部(堤部)15の断面形状を整えるためにレジストをテーパー化する。この後、レジスト膜で保護されていない部分のGMR多層膜11nを、イオンミリングにより除去し、GMR多層膜11nを所定の形状(例えば、複数の狭幅の帯状体の形状)に形成した。その際、ビア部はGMR多層膜11nとバイアス磁石膜11mの双方が残るようにした。これはビア部の縁での断線を予防するためである。
次に、レジスト膜を除去し、これらの上に膜厚が10000Åの例えばSi3N4膜からなる窒化膜11oをプラズマCVDで成膜した後、これらの上にポリイミド膜11pを成膜して、保護膜を形成した。ついで、パッド部上のポリイミド膜11pをマスクとして、パッド部上の窒化膜11oをエッチングにより除去してパッド部を開口して、各パッドを形成するとともに、これらを接続する配線を形成し、最後に基板11を切断した。以上により、図1に示した実施例1の三軸磁気センサ10が作製される。
ここで、規則化熱処理(ピニング処理)は、図16(なお、図16においては永久棒磁石片を5個だけ図示している)に模式的に示すように、永久棒磁石アレー(マグネットアレー)16を基板11上に配置し、これらを真空中で260℃〜290℃に加熱し、その状態で4時間ほど放置することにより行った。即ち、まず、隣接する永久棒磁石片の上端(下端)の極性が互いに異なるように格子状に配列された永久棒磁石アレー(マグネットアレー)16を用意する。この後、基板11の中心部上で永久棒磁石片16a(下端部がN極となる)が配列され、基板11の外側で永久棒磁石片16aの上下左右の領域上に永久棒磁石片16b,16c,16e(下端部がS極となる)が配列されるように永久棒磁石アレー16を配置した。
これにより、基板11の中心部の上に配置された永久棒磁石片16aのN極から、このN極に隣接する永久棒磁石片16b,16c,16eのS極に向かう90°ずつ方向が異なる磁界(図16の点線矢印)が形成される。かかる磁界を利用して、真空中で260℃〜290℃に加熱し、その状態で4時間ほど放置することにより、固着層P(固着層Pのピンド層)の磁化の向きが固定されることとなる。この結果、図4に示したように、第1X軸GMR素子12aおよび第2X軸GMR素子12bにおいては、図4(a)のa1,b1方向にピンド層の磁化の向きが固定され、第3X軸GMR素子12cおよび第4X軸GMR素子12dにおいては、図4(a)のc1,d1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
一方、第1Y1軸GMR素子12eおよび第2Y1軸GMR素子12fにおいては、突部(堤部)15の第1斜面15aに沿うY軸正方向、即ち、図4(b)の矢印e1(f1)方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y1軸GMR素子12gおよび第4Y1軸GMR素子12hにおいては、突部(堤部)15の第1斜面15aに沿うY軸負方向、即ち、図4(c)の矢印g1(h1)方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。さらに、第1Y2軸GMR素子12iおよび第2Y2軸GMR素子12jにおいては、突部(堤部)15の第2斜面15bに沿うY軸負方向、即ち、図4(c)の矢印i1(j1)方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y2軸GMR素子12kおよび第4Y2軸GMR素子12lにおいては、突部(堤部)15の第2斜面15bに沿うY軸正方向、即ち、図4(b)の矢印k1(l1)方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
なお、このような規則化熱処理(ピニング処理)において、突部(堤部)15の各斜面15a,15bに対して水平方向に強い磁界を付与することが望ましい。そこで、図17(a)に示すように、永久棒磁石アレー(マグネットアレー)16の各永久棒磁石片16a,16b,16c,16eに対応する位置に窓17aが形成された鉄製のヨーク17を用いて、規則化熱処理を行うのが望ましい。この場合、図17(b)に示すように、上述のように各素子が形成された基板11の上に永久棒磁石アレー(マグネットアレー)16を配置し、この基板11の下にヨーク17を配置して、これらを真空中で260℃〜290℃に加熱し、その状態で4時間ほど放置することにより行った。この場合、ヨーク17を基板11の下に配置するに際しては、永久棒磁石アレー(マグネットアレー)16の各永久棒磁石片16a,16b,16c,16eに対応する位置に窓17aが位置するように配置して行った。これにより、突部(堤部)15の各斜面15a,15bに対して水平方向に強い磁界を付与することができるようになる。
〈変形例〉
上述した実施例1の三軸磁気センサにおいては、各GMR素子の配置関係に種々の変形を加えて変形例とすることが可能である。以下に、実施例1の三軸磁気センサの代表的な変形例について、図18〜図20に基づいて簡単に説明することとする。この場合、図18〜図20においては、図1(a)と同様に、各GMR素子の各基板上への配置状態とともに、規則化熱処理における実施例1と同様の永久棒磁石アレー(マグネットアレー)の配置関係も示している。
〈第1変形例〉
第1変形例の三軸磁気センサ20は、図18に示すように、上述した実施例1と同様に、基板21の平面上に形成されたX軸GMR素子と、この基板に形成された突部(図示せず)の第1斜面に形成されたY1軸GMR素子と、第2斜面に形成されたY2軸GMR素子とから構成される。ここで、X軸GMR素子は第1X軸GMR素子22aと、第2X軸GMR素子22bと、第3X軸GMR素子22cと、第4X軸GMR素子22dとにより構成されている。この場合、それらの各素子を構成するGMRバーの長手方向がX軸(Y軸)に対してそれぞれ45°の角度となるように配置されている。
また、突部の頂部(あるいは谷部)はX軸(Y軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成されていて、これらの突部の第1斜面に第1Y1軸GMR素子22eと、第2Y1軸GMR素子22fと、第3Y1軸GMR素子22gと、第4Y1軸GMR素子22hとが形成されていて、Y1軸GMR素子が構成されている。この場合、突部の頂部(あるいは谷部)はX軸(Y軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成されているので、各素子を構成するGMRバーの長手方向もX軸(Y軸)に対してそれぞれ45°の角度となるように配置されることとなる。
さらに、突部の第2斜面に第1Y2軸GMR素子22iと、第2Y2軸GMR素子22jと、第3Y2軸GMR素子22kと、第4Y2軸GMR素子22lとが形成されてY2軸GMR素子が構成されている。この場合も、突部の頂部(あるいは谷部)はX軸(Y軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成されているので、各素子を構成するGMRバーの長手方向がX軸(Y軸)に対してそれぞれ45°の角度となるように配置されることとなる。
そして、実施例1と同様な永久棒磁石アレー(マグネットアレー)16を、図18に示すように基板21上に配置した後、真空中で260℃〜290℃に加熱し、その状態で4時間ほど放置することにより規則化熱処理を行った。これにより、基板21の中心部の上に配置された永久棒磁石片16aのN極から、このN極に隣接する永久棒磁石片16b,16c,16eのS極に向かう90°ずつ方向が異なる磁界が形成され、固着層P(固着層Pのピンド層)の磁化の向きが固定されることとなる。この結果、第1X軸GMR素子22aおよび第2X軸GMR素子22bにおいては、図18の矢印a1,b1方向にピンド層の磁化の向きが固定され、第3X軸GMR素子22cおよび第4X軸GMR素子22dにおいては、図18の矢印c1,d1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
また、第1Y1軸GMR素子22eおよび第2Y1軸GMR素子22fにおいては、X軸(Y軸)に対してそれぞれ45°傾いた突部(堤部)の第1斜面に沿うY軸正方向かつZ軸負方向、即ち、図18の矢印e1,f1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y1軸GMR素子22gおよび第4Y1軸GMR素子22hにおいては、X軸(Y軸)に対してそれぞれ45°傾いた突部(堤部)の第1斜面に沿うY軸負方向かつZ軸負方向、即ち、図18の矢印g1,h1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
さらに、第1Y2軸GMR素子22iおよび第2Y2軸GMR素子22jにおいては、X軸(Y軸)に対してそれぞれ45°傾いた突部(堤部)の第2斜面に沿うY軸負方向かつZ軸正方向、即ち、図18の矢印i1,j1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y2軸GMR素子22kおよび第4Y2軸GMR素子22lにおいては、X軸(Y軸)に対してそれぞれ45°傾いた突部(堤部)の第2斜面に沿うY軸正方向かつZ軸正方向、即ち、図18の矢印k1,l1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
なお、このように各GMRバーの長手方向がX軸(Y軸)に対してそれぞれ45°の角度となるように配置されていると、その理由は不明であるが、強磁界に対する安定性が向上することが分かった。
〈第2変形例〉
第2変形例の三軸磁気センサ30は、図19に示すように、平面視で正方形状の基板31の一対の角部に配置されたX軸GMR素子と、もう一対の角部に形成された突部(図示せず)の第1斜面に形成されたY1軸GMR素子と、第2斜面に形成されたY2軸GMR素子とから構成される。ここで、X軸GMR素子は第1X軸GMR素子32aと、第2X軸GMR素子32bと、第3X軸GMR素子32cと、第4X軸GMR素子32dとにより構成されている。この場合、それらの各素子を構成するGMRバーの長手方向が基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度となるように配置されている。
また、突部の頂部(あるいは谷部)は基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成されていて、これらの突部の第1斜面に第1Y1軸GMR素子32eと、第2Y1軸GMR素子32fと、第3Y1軸GMR素子32gと、第4Y1軸GMR素子32hとが形成されていて、Y1軸GMR素子が構成されている。この場合、突部の頂部(あるいは谷部)は基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成されているので、各素子を構成するGMRバーの長手方向も基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度となるように配置されることとなる。
さらに、突部の第2斜面に第1Y2軸GMR素子32iと、第2Y2軸GMR素子32jと、第3Y2軸GMR素子32kと、第4Y2軸GMR素子32lとが形成されてY2軸GMR素子が構成されている。この場合も、突部の頂部(あるいは谷部)は基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成されているので、各素子を構成するGMRバーの長手方向が基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度となるように配置されることとなる。
そして、実施例1と同様な永久棒磁石アレー(マグネットアレー)16を、図19に示すように基板31上に配置した後、真空中で260℃〜290℃に加熱し、その状態で4時間ほど放置することにより規則化熱処理を行った。これにより、基板31の中心部の上に配置された永久棒磁石片16aのN極から、このN極に隣接する永久棒磁石片16b,16c,16eのS極に向かう90°ずつ方向が異なる磁界が形成され、固着層P(固着層Pのピンド層)の磁化の向きが固定されることとなる。この結果、第1X軸GMR素子32aおよび第2X軸GMR素子32bにおいては、基板31のX軸に対して45°正方向に、即ち、図19の矢印a1,b1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3X軸GMR素子32cおよび第4X軸GMR素子32dにおいては、基板31のX軸に対して135°負方向に、即ち、図19の矢印c1,d1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
また、第1Y1軸GMR素子32eおよび第2Y1軸GMR素子32fにおいては、基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成された突部(堤部)の第1斜面の傾斜方向に沿い、基板の中心から基板31のX軸に対して45°負方向の角部へ向かう方向かつZ軸負方向に、即ち、図19の矢印e1,f1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y1軸GMR素子32gおよび第4Y1軸GMR素子32hにおいては、基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成された突部(堤部)の第1斜面の傾斜方向(Z軸負方向)に沿い、基板の中心から基板31のX軸に対して135°正方向の角部へ向かう方向かつZ軸負方向に、即ち、図19の矢印g1,h1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
さらに、第1Y2軸GMR素子32iおよび第2Y2軸GMR素子32jにおいては、基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成された突部(堤部)の第2斜面の傾斜方向(第1斜面の傾斜方向とは逆の方向)に沿い、基板の中心から基板31のX軸に対して135°正方向の角部へ向かう方向かつZ軸正方向に、即ち、図19の矢印i1,j1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y2軸GMR素子32kおよび第4Y2軸GMR素子32lにおいては、基板31の各辺(X軸あるいはY軸)に対してそれぞれ45°の角度になるように形成された突部(堤部)の第2斜面の傾斜方向(第1斜面の傾斜方向とは逆の方向)に沿い、基板の中心から基板31のX軸に対して45°負方向の角部へ向かう方向かつZ軸正方向に、即ち、図19の矢印k1,l1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
〈第3変形例〉
第3変形例の三軸磁気センサ40は、図20に示すように、平面視で正方形状の基板41の一対の角部に配置されたX軸GMR素子と、もう一対の角部に形成された突部(図示せず)の第1斜面に形成されたY1軸GMR素子と、第2斜面に形成されたY2軸GMR素子とから構成される。ここで、X軸GMR素子は第1X軸GMR素子42aと、第2X軸GMR素子42bと、第3X軸GMR素子42cと、第4X軸GMR素子42dとにより構成されている。この場合、それらの各素子を構成するGMRバーの長手方向が基板41のX軸に垂直(Y軸に平行)になるように配置されている。
また、突部の頂部(あるいは谷部)は基板41のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように形成されていて、これらの突部の第1斜面に第1Y1軸GMR素子42eと、第2Y1軸GMR素子42fと、第3Y1軸GMR素子42gと、第4Y1軸GMR素子42hとが形成されていて、Y1軸GMR素子が構成されている。この場合、突部の頂部(あるいは谷部)は基板41のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように形成されているので、各素子を構成するGMRバーの長手方向も基板41のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように配置されることとなる。
さらに、突部の第2斜面に第1Y2軸GMR素子42iと、第2Y2軸GMR素子42jと、第3Y2軸GMR素子42kと、第4Y2軸GMR素子42lとが形成されてY2軸GMR素子が構成されている。この場合も、突部の頂部(あるいは谷部)は基板41のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように形成されているので、各素子を構成するGMRバーの長手方向が基板41のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように配置されることとなる。
そして、実施例1と同様な永久棒磁石アレー(マグネットアレー)16を、図20に示すように基板41上に配置した後、真空中で260℃〜290℃に加熱し、その状態で4時間ほど放置することにより規則化熱処理を行った。これにより、基板41の中心部の上に配置された永久棒磁石片16aのN極から、このN極に隣接する永久棒磁石片16b,16c,16eのS極に向かう90°ずつ方向が異なる磁界が形成され、固着層P(固着層Pのピンド層)の磁化の向きが固定されることとなる。この結果、第1X軸GMR素子42aおよび第2X軸GMR素子42bにおいては、基板41のX軸に対して45°正方向に、即ち、図20の矢印a1,b1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3X軸GMR素子42cおよび第4X軸GMR素子42dにおいては、基板41のX軸に対して135°負方向に、即ち、図20の矢印c1,d1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
また、第1Y1軸GMR素子42eおよび第2Y1軸GMR素子42fにおいては、基板31のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように形成された突部(堤部)の第1斜面に沿い、基板の中心から基板31のX軸に対して45°負方向の角部へ向かう方向かつZ軸負方向に、即ち、図20の矢印e1,f1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y1軸GMR素子42gおよび第4Y1軸GMR素子42hにおいては、基板41のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように形成された突部(堤部)の第1斜面に沿い、基板の中心から基板31のX軸に対して135°正方向の角部へ向かう方向かつZ軸負方向に、即ち、図20の矢印g1,h1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
さらに、第1Y2軸GMR素子42iおよび第2Y2軸GMR素子42jにおいては、基板41のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように形成された突部(堤部)の第2斜面に沿い、基板の中心から基板31のX軸に対して45°負方向の角部へ向かう方向かつZ軸正方向に、即ち、図20の矢印i1,j1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y2軸GMR素子42kおよび第4Y2軸GMR素子42lにおいては、基板41のX軸に平行(Y軸に垂直)になるように形成された突部(堤部)の第2斜面に沿い、基板の中心から基板31のX軸に対して135°正方向の角部へ向かう方向かつZ軸正方向で、即ち、図20の矢印k1,l1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
〈第4変形例〉
なお、上述した実施例1においては、突部15の斜面に形成されたY1軸GMR素子およびY2軸GMR素子を構成する各GMRバーはバイアス磁石膜(例えば、図3(a)(b)に示す12e−5,12e−6,12e−7,12e−8,12e−9および12k−5,12k−6,12k−7,12k−8,12k−9など)により接続されており、突部15の頂部においてもバイアス磁石膜が形成されている。
そこで、本第4変形例においては、図21(この図21において、図3と同一符号は同一名称を表している)に示すように、バイアス磁石膜の内、突部15の頂部に形成されるバイアス磁石膜(例えば、12e−5,12e−6,12e−7,12e−8,12e−9および12k−5,12k−6,12k−7,12k−8,12k−9など)の突部15の頂部に位置する部分(接続部分)を非磁性膜(例えば、ポリシリコンなどの非磁性体からなる)を形成するようにした。例えば、図21に示すように、バイアス磁石膜12e−6(12k−6)の突部15の頂部に位置する部分(接続部分)に非磁性膜12e−61(12k−61)を形成し、バイアス磁石膜12e−7(12k−7)の突部15の頂部に位置する部分(接続部分)に非磁性膜12e−71(12k−71)を形成し、バイアス磁石膜12e−8(12k−8)の突部15の頂部に位置する部分(接続部分)に非磁性膜12e−81(12k−81)を形成した。
この場合、突部15の頂部に非磁性膜(例えば、図21に示す12e−61(12k−61)、12e−71(12k−71)、12e−81(12k−81)など)を形成するに際しては、図13の工程の後、非磁性膜(例えば、12e−61(12k−61)、12e−71(12k−71)、12e−81(12k−81)など)を形成する工程を設ける必要がある。そして、非磁性膜を形成した後に、図14に示すように、バイアス磁石膜を形成するようにすればよい。
2.実施例2
ついで、実施例2の三軸磁気センサを図22〜図23に基づいて以下に説明する。なお、図22は、実施例2の三軸磁気センサの概略構成を示す平面図である。図23は、図22のF部,G部を拡大して示す図であり、図23(a)はF部のH−H’断面を拡大して示す断面図であり、図23(b)はG部を拡大した平面図であり、図23(c)はG部のH−H’断面を拡大して示す断面図であり、図23(d)はG部を拡大した平面図である。
上述した実施例1およびその変形例においては、突部15の第1斜面にY1軸GMR素子を配置し、突部15の第2斜面にY2軸GMR素子を配置するようにしたが、本実施例2においては、突部55の第1斜面のみにY1軸GMR素子を配置し、突部55とは異なる別の突部であって、突部55と同一の形状を有する突部56の第2斜面のみにY2軸GMR素子を配置するようにしている。
ここで、本実施例2の三軸磁気センサ50は、図22に示すように、X軸GMR素子52a〜52d、Y1軸GMR素子52e〜52h、Y2軸GMR素子52i〜52lが、正方形状の基板51の周縁部で各辺の中央部に形成されている。この場合、X軸GMR素子52a〜52dは上述した実施例1のX軸GMR素子12a〜12dと同様であるので、その説明は省略する。
Y1軸GMR素子52e〜52hは、図23(a)に示すように、基板51に形成された突部55の第1斜面のみにGMRバー52e−1,52e−2,52e−3,52e−4(52f,52g,52hについても同様である)が形成されている。そして、これらのGMRバーが、図23(b)に示すように、バイアス磁石膜52e−5,52e−6,52e−7,52e−8,52e−9(52f,52g,52hについても同様である)で直列接続されている。一方、Y2軸GMR素子52i〜52lは、図23(c)に示すように、基板51に形成された突部55とは異なる別の突部56の第2斜面のみにGMRバー52のk−1,52k−2,52k−3,52k−4(52i,52j,52lについても同様である)が形成されている。そして、図23(d)に示すように、これらのGMRバーがバイアス磁石膜52k−5,52k−6,52k−7,52k−8,52k−9(52i,52j,52lについても同様である)で直列接続されている。
そして、実施例1と同様の永久棒磁石アレー16を用いて、規則化熱処理が施されている。これにより、第1X軸GMR素子52aおよび第2X軸GMR素子52bにおいては、図22の矢印a1,b1方向にピンド層の磁化の向きが固定され、第3X軸GMR素子52cおよび第4X軸GMR素子52dにおいては、図22の矢印c1,d1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
また、第1Y1軸GMR素子52eおよび第2Y1軸GMR素子52fにおいては、突部(堤部)55の第1斜面に沿うY軸正方向でZ軸負方向に、即ち、図22の矢印e1,f1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y1軸GMR素子52gおよび第4Y1軸GMR素子52hにおいては、突部(堤部)55の第1斜面に沿うY軸負方向でZ軸負方向に、即ち、図22線矢印g1,h1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
さらに、第1Y2軸GMR素子52iおよび第2Y2軸GMR素子52jにおいては、突部(堤部)56の第2斜面に沿うY軸負方向でZ軸正方向に、即ち、図22の矢印i1,j1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。また、第3Y2軸GMR素子52kおよび第4Y2軸GMR素子52lにおいては、突部(堤部)56の斜面に沿うY軸正方向でZ軸正方向に、即ち、図22の矢印k1,l1方向にピンド層の磁化の向きが固定されることとなる。
なお、この実施例2においては、素子の形成された斜面側においてのみ磁界を最適化するように配置すればよい。