JP4734926B2 - 塗工紙 - Google Patents

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Description

本発明は、塗工紙に関し、特に透気性に優れ、印刷時のブリスターの発生を効果的に抑制することができ、かつ印刷仕上がりの良好な塗工紙に関するものである。
商用印刷に用いられる一形態であるオフセット輪転印刷(以下、「オフ輪印刷」とも称す。)は、印刷用紙が巻取りにて給紙され、用紙上にインキが転移された後、乾燥機でインキが乾燥され、再び巻き取られる。さらに折り機で折り状態となる。いずれの場合にも、乾燥機を出た用紙表面のインキが完全に乾いていないと、用紙表面や印刷機上に汚れを生じたりするために、極めて高温条件に設定された乾燥機が用いられるが、その際に用紙にブリスターと呼ばれる欠陥が生ずる場合がある。
このオフ輪印刷におけるブリスター(ペーパーブリスターと呼ばれる)は、用紙内の水分の急激な気化による蒸気圧の上昇で、用紙に厚さ方向の力がかかり、紙層中に層間剥離による空隙を生じる現象で、用紙中の水分がスムーズに散逸しないことが発生原因であるといわれる。このためブリスターの発生は、特に表裏に透気性の劣る塗被層を有する印刷用紙で発生しやすい。近年の印刷速度の高速化に伴い、乾燥温度はさらに高くなる傾向にあり、ブリスターの抑制は困難になりつつある。中でも、スーパーカレンダによる光沢付与工程を経て得られる高光沢の印刷用紙は、より塗被層が緻密化されているため、透気性の劣る塗被層となり、ブリスターが特に発生しやすい。
オフ輪印刷におけるブリスターの発生抑制については、多くの提案がなされている。大きく分けると二つの方法に分類することができ、一つ目は塗工紙のシート状紙基材(以下、「原紙」と記載することがある。)の層間強度を高め、水蒸気圧による膨張に抗して層間剥離を起こさせない方法、二つ目は塗被層の透気性を良好なものとし、発生する水蒸気を逃がして蒸気圧を低下させる方法である。
原紙の層間強度向上については、種々の提案がなされている。例えば、原紙の層間強度を特定値以上にする方法(例えば、特許文献1参照)、原紙にカチオン化澱粉およびポリアクリルアミドと特定量含有する方法(例えば、特許文献2参照)などが提案され、実用化されているものもある。しかしながら、原紙の層間強度向上の上記手法は、原紙上に形成される塗被層の透気度が高い場合、水蒸気の散逸が該塗被層で大きく阻害されるために原紙の層間強度向上だけではブリスター発生を完全には抑えられない。
また、塗被層の透気性を良好にする方法についても、数々の提案がなされている。例えば、下塗り層と上塗り層のうち、下塗り層に特定のゲル含有率を持つラテックスを使用する方法(例えば、特許文献3参照)、特定の顔料およびバインダーを使用し、疎面化ロールにて表面処理する方法(例えば、特許文献4参照)、ガラス転移温度(以下、「Tg」と記す。)の異なるラテックスを、シート状紙基材もしくは下塗り層上に塗工する方法(例えば、特許文献5参照)、特定のアスペクト比を持つカオリンを使用する方法(例えば、特許文献6参照)、高Tgラテックスを含有する塗被層の乾燥に過熱水蒸気等を用いる方法(例えば、特許文献7参照)等がある。ところが、塗被層が複数層である場合には、塗被層厚みが増すために所期の透気性にはなり難い。また複数回の塗工工程であるために生産コストは高くなる。また疎面化処理する場合は、光沢の高い塗工紙を得ることができない。またTgの異なるラテックスをシート状紙基材、もしくは下塗り層上に塗工する場合には、特定範囲内に乾燥条件をコントロールする必要があり、安定した製造が難しく、またラテックスのみを塗工するために塗工紙としては印刷時の吸水・着肉が劣るという問題点がある。さらに、特定のアスペクト比を持つカオリンの使用は高光沢化に限界があり、また高Tgラテックスを含有する塗被層の乾燥に過熱水蒸気等を用いる方法では、商用印刷の主たる印刷方式の一形態である平判印刷におけるインキセットと呼ばれるインキ乾燥性が極端に遅くなり、印刷工程中に乾燥工程がない場合に印刷作業性が大幅に低下し、印刷物に未乾燥インキに起因する汚れが発生し、印刷仕上がりを低下させるおそれがある。以上のように、いずれの場合にも効果は見られるものの、印刷仕上がりが良好で、近年の印刷速度の高速化に対応できるものとしては必ずしも十分なレベルとはいえず、より一層の改善が望まれていた。
また、近年注目されつつあるオンディマンド印刷の形態の一つであるトナー転写方式による印刷方式(所謂、電子写真方式)でも、やはりブリスター発生が問題となることがある。トナー転写方式のブリスターは二種類あり、一つは、オフ輪印刷におけるブリスターと同様、用紙内水分が蒸発して発生する蒸気圧により、用紙が層間剥離した状態となるペーパーブリスターである。もう一つは、用紙上に転移された固体トナーが熱定着部にて溶融・固化される際に、トナー間に存在する空気が塗被層を通過することができずに平滑化されたトナー層表面から抜けることにより発生するトナーブリスターである。このトナー転写方式特有のトナーブリスターは、オフ輪印刷のブリスター発生抑制方法では解決が難しく、まだ有効な解決方法が見出せていない。
一般の塗工紙の塗被層表面に存在するは空隙としては、顔料粒子間の他成分で埋まらない微細空隙(以下、「細孔A」と称する。)と、塗被層の乾燥工程にて発生する蒸気透過孔(以下、「細孔B」と称する。)と、塗被層の膜の脆さから乾燥時の膜収縮による引張り応力に抗しきれず生じる被膜に破断(以下、「クラック」と称する。)の三種類の細孔があり、印刷時における紙へのインキの固定化(所謂、インキセット)には、その細孔の毛細管現象によるインキ溶剤の吸収が極めて重要な役割を果たしている。この細孔Aの細孔径は、用いられる顔料のサイズによって大きさは異なるが、通常0.02〜0.2μm程度であり、インキセットに大きく寄与している。因みに、最もインキセットに有効な細孔は、細孔径0.12〜0.15μm程度のものという報告がある(例えば、非特許文献1参照)。細孔Bは、発生状況をコントロールするのが非常に難しく、場合によっては白紙もしくは印刷物上で目視にて判別できる大きさで円形状の孔が発生することがあり、一般に、塗工紙生産においては発生の抑制が望まれる。クラックは、通常塗被層の表面強度を低下させるために、極力発生を抑えるよう製造されるものである。ガラス転移温度の異なるラテックスを併用する方法(例えば、特許文献5参照)により塗被層表面にクラックが発生することが知られているが、前述した通り安定的に生産することが難しく、また得られる塗被層表面のクラックサイズは、特許文献5に記述しているようにインキセットを改善できる大きさ、すなわち0.02〜0.20μm程度と推察される。これまで本発明で規定するような0.2μm以上の大きさの空隙を、効果的に、かつ安定的に発生させることは提案されていない。
上記のように、従来技術では、塗被層表面に存在する空隙を、コントロールすることが困難なため、オフ輪印刷におけるブリスターの発生、および電子写真方式におけるペーパーブリスターおよびトナーブリスターの発生を抑制した塗工紙として満足なものが、得られておらず、より一層の改善が望まれていた。
特開平11−160906号公報(2頁) 特開平6−25996号公報(2頁) 特開平9−324395号公報(2頁) 特開平5−247891号公報(2頁) 特開昭59−22683号公報(2頁) 特開2000−226791号公報(2頁) 特開平8−158297号公報(2頁)
寺尾知之ら「インキセットに対する塗工紙の塗被層構造の影響」、紙パ技協紙、第51巻第9号、79−85頁(1997年9月)
本発明は、透気性、耐水性に優れ、オフ輪印刷、および電子写真方式での印刷時において、ブリスターの発生を生じない塗工紙の提供を目的とする。且つ、オフ輪ジワが発生し難く、折れ割れ適性に優れた塗工紙の提供を目的とする。
本発明者らはかかる現状に鑑み鋭意検討した結果、塗工紙は少なくとも1層の塗被層を設けてなり、その塗被層中には、特定の構造を有する顔料と、単一構造を有する共重合体及び/又はコア−シェル構造を有する合成高分子化合物と、さらにジルコニウム系化合物、ポリアミド系樹脂及びアミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含有することが、特に有効であることを見出した。
本発明に係る塗工紙は、シート状紙基材と、その少なくとも一面上に、形成され、かつ顔料および接着剤を主成分として含む少なくとも1層の塗被層とを有し、前記顔料が、平均粒子径0.1〜1.5μmであり、かつ下記式(1)を満足するカオリン粒子:
5≦L/W≦50 (1)
〔但し、式(1)中Lはカオリン粒子の長径を表し、Wはカオリン粒子の短径を表す〕
を含み、前記接着剤が、(a)10〜60℃のガラス転移温度を有し、かつ単一構造を有する共重合体、及び(b)コア−シェル構造を有する合成高分子化合物から選ばれた少なくとも1種を含み、さらに前記塗被層中に、ジルコニウム系化合物を塗被層100質量部に対し、0.01〜10質量部含有し、ポリアミド系樹脂及びアミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を顔料100質量部に対し、0.01〜10質量部含有することを特徴とするものである。
また前記塗被層が、少なくとも2層であり、かつ前記シート状紙基材に隣接する内側塗被層中には、針状結晶、紡錘状結晶、柱状結晶および米粒状結晶のいずれか一種の結晶構造を有する顔料を含有し、かつ前記内側塗被層上に形成された最外側塗被層中には、前記顔料が、平均粒子径0.1〜1.5μmであり、かつ下記式(1)を満足するカオリン粒子:
5≦L/W≦50 (1)
〔但し、式(1)中Lはカオリン粒子の長径を表し、Wはカオリン粒子の短径を表す〕
を含み、前記接着剤が、(a)10〜60℃のガラス転移温度を有し、かつ単一構造を有する共重合体、及び(b)コア−シェル構造を有する合成高分子化合物から選ばれた少なくとも1種を含むものが好ましく、前記最外側塗被層中には、ガラス転移温度20〜150℃の熱可塑性有機微粒子を含有することがより好ましい。
さらに前記コア−シェル構造を有する合成高分子化合物(b)のガラス転移温度が、下記式(2)及び(3):
Tg1<Tg2 (2)
−10℃<Tg2<100℃ (3)
〔但し、式(2)及び(3)中、Tg1は、コア−シェル構造を有する合成高分子化合物(b)中のコア部分のガラス転移温度を表し、Tg2はそのシェル部分のガラス転移温度を表す〕を満足するものが好ましい。
また前記塗工紙の表面が、45%以上の光沢度を有することが好ましい。
本発明により、透気性、耐水性に優れ、オフ輪印刷および電子写真方式での印刷時や印画時において、ブリスターが発生せず、印刷仕上がりが良好であり、しかもオフ輪ジワが発生せず、折り割れが起こらない塗工紙が得られる。
本発明者らはかかる現状に鑑み鋭意検討した結果、塗工紙は少なくとも1層の塗被層を設けてなり、その塗被層中には、特定の構造を有する顔料と、単一構造を有する共重合体(以下、「単一構造共重合体」ともいう。)、及び/又はコア−シェル構造を有する合成高分子化合物(以下、「コア−シェル構造高分子化合物」ともいう。)と、さらにジルコニウム系化合物、ポリアミド系樹脂及びアミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含有することが、特に有効であり、他の適性を損なうことなく改善できることを見出した。
塗被層表面の平滑度が高く、従って光沢度が高い方が、塗被層表面と印刷版と密着が良くなるため、インク転移性が高くなる。本発明においては、塗被層中に、(a)10〜60℃のガラス転移温度を有する単一構造共重合体及び/又は(b)コア−シェル構造高分子化合物を含む接着剤を配合すると、塗膜のクッション性が高く、オフセット印刷時のブランケットとの密着性が高く、優れた印刷品質を得ることが認められた。本発明において、コア−シェル構造高分子化合物とは、単一重合体又は共重合体からなる微細ボール形状のコア部と、このコア部を包囲し、かつ単一重合体又は共重合体からなるシェル部とによる複合構造となっている共重合高分子化合物である。また単一構造共重合体とは、2種以上のコモノマーの共重合体からなり、コア−シェル構造などの複合構造を有していない共重合体である。
本発明の塗工紙の塗被層において、接着剤(バインダー)として用いられる、ガラス転移温度が10〜60℃、好ましくは15〜50℃の単一構造共重合体(a)は、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、及びエチレン−酢酸ビニル系共重合体などから選ばれる。ガラス転移温度が10〜60℃、好ましくは15〜50℃の単一構造共重合体(a)は、塗被層100質量部(固形分)に対して、2〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、更に好ましくは3〜25重量部配合される。2重量部未満では塗膜強度が不足し、オフ輪印刷時に、ブランケットが汚れることがある。一方、50重量部を超えると、透気性が著しく低下し、ブリスターが発生することがある。
本発明で用いるコア−シェル構造高分子化合物(b)は、下記式(2)及び(3):
Tg1<Tg2 (2)
−10℃<Tg2<100℃ (3)
〔但し、式(2),(3)中、Tg1はコア−シェル構造高分子化合物(b)中のコア部分のガラス転移温度を表し、Tg2は、そのシェル部分のガラス転移温度を表す。〕を満足するものであることが好ましい。すなわち、この好ましい態様においては、シェル部のガラス転移温度Tg2が、コア部のガラス転移温度Tg1よりも高く、シェル部のガラス転移温度Tg2は−10℃より高く100℃未満の範囲内にある。このため、このコア−シェル構造高分子化合物により形成される皮膜の表面は、ガラス転移温度Tg2のシェル部によって形成される。塗被層が形成された後、低ガラス転移温度の(Tg1)コア部は、高ガラス転移温度(Tg2)のシェル部に囲まれ、常温で高い柔軟性、屈曲性及び弾性を示し、このため、塗膜中の高分子化合物コア部は外圧に対して変形し易く外圧が除かれれば、元の形状に復帰して、高いクッション性を示す。よって、印刷版と塗被層とは印刷の際の押圧によって互に密着し、良好なインク転移性を示す。ちなみにコア−シェル構造高分子化合物(b)のシェル部のガラス転移温度Tg2が100℃以上であると、成膜性が不十分になることがある。一方、シェル部分のガラス転移温度Tg2が−10℃以下であると、得られる塗膜がべとつき、ブロッキングが発生し易くなる。またシェル部のガラス転移温度Tg2は0℃〜75℃の範囲内にあることがより好ましい。特に、シェル部のガラス転移温度Tg2は、コアのガラス転移温度Tg1よりも5℃以上高いことが好ましい。この温度差が5℃未満では、塗被層のクッション性が不十分になり、ミッシングドットの防止効果が不十分になることがある。本発明で用いるコア−シェル構造高分子化合物(b)は、コア−シェル型共重合体ラテックスとして入手可能であり、そのラテックスの粒子径は、40〜300nmであるものが好ましい。それが300nmより大きくなると、塗膜の強度が不十分になることがある。またコア−シェル構造高分子化合物(b)のトルエン不溶分は30%以上であることが好ましい。それが30%未満であると、得られる塗被層内で高分子化合物が、インクの溶媒により膨潤し、塗被層の機械的強度が不十分になることがある。コア−シェル構造高分子化合物(b)は、塗被層100質量部(固形分)に対して、2〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、更に好ましくは3〜25重量部配合される。2重量部未満では塗膜強度が不足し、オフ輪印刷時に、ブランケットが汚れることがある。一方、50重量部を超えると、透気性が著しく低下し、ブリスターが発生することがある。
前記コア−シェル構造高分子化合物(b)ラテックスの製造方法は、特開昭62−117897号公報、特開平7−324112号公報、及び特開平9−31141号公報などに開示されている。
前記コア−シェル構造高分子化合物(b)のラテックスは、同一ラテックス内に、低いガラス転移温度Tg1を有するコア共重合体成分と、高いガラス転移温度Tg2を有するシェル共重合体成分とが存在することによって、目的とする皮膜性能を得ることができる。すなわち、本発明の塗工紙において、前記コア−シェル構造高分子化合物ラテックスが塗被層用接着剤(バインダー)として用いられたとき、塗被層の接着剤(バインダー)成分に含まれる高分子化合物は、そのコア部にガラス転移温度の低い共重合体成分を有するために、印刷時に、塗工紙に付加される印刷押圧に対してクッション性を示し、塗工紙表面が印刷版に対し十分に密着することができる。
本発明者らは、さらにブリスタの発生を防止乃至低減するため、鋭意研究した結果、塗被層に含まれる顔料の主成分として、顔料粒子の短径Wに対する平面長径Lの比として定義されるアスペクト比が5〜50の範囲にあり、好ましくは5〜15の範囲であり、かつ平均粒子径が0.1〜1.5μmの範囲内、好ましくは0.2〜1.2μmの範囲内にあるカオリンを用いること、さらにこのカオリンを全顔料100質量部中、好ましくは30質量部以上、好ましくは35質量部以上の含有量で含有させることにより、高光沢・高平滑並びに低透気度の塗被層が得られ、ブリスタの発生を著しく低減させることに成功した。ちなみに、カオリンの平均粒子径が0.1〜1.5μmであっても、アスペクト比が5未満の場合、得られる塗被層において、十分な光沢度を得ることは難く、平滑度も低下するため、良好な印刷仕上がりを得られないことがある。一方、アスペクト比が50を超える場合は、得られる塗被層の光沢度は十分高くなるが、透気度も高くなるため、ブリスタの発生を防止乃至低減させることができない。
本発明において用いられるカオリンが、高平滑・高光沢、および低透気度を有する塗被層の形成に有効な理由は、カオリンのアスペクト比が5〜50の範囲内にあり、一般に用いられているアスペクト比が50をこえるデラミネートカオリンと比較して、短径の比率が比較的大きな形状であり、かつ平均粒子径が0.1〜1.5μmと小さく、粒度分布が均一な六角板状体であるため、塗被層が平滑化処理された後、積層した顔料間の間隙が密な構造とならず、かつ六角板状カオリンの特徴である高い平面性を備えているからであると推測される。
アスペクト比が5〜50の範囲内にある顔料の平均粒子径が、0.1μmより小さい場合、得られる塗被層に高い光沢は出やすくなるが、透気性が著しく低下する。一方、それが1.5μmを越えて大きくなると、得られる塗被層に高い光沢が出難くなり、所望の光沢度を得ることができない。また粒度分布についても、粒子径0.1〜1.5μmの粒子の分布頻度が65%以上であることが好ましい。
本発明の塗工紙において、その塗被層中の顔料の主成分として用いられるカオリンの含有量は、塗被層中の全顔料100質量部に対し、30質量部以上であることが好ましく、35質量部〜100質量部の範囲内にあることがより好ましい。それが30質量部未満では、得られる塗被層の透気性が不十分になることがある。
また前記内側塗被層には、針状結晶、紡錘状結晶、柱状結晶および米粒状結晶のいずれか一種の結晶構造を有する顔料が、塗工紙に耐折り割れ性を付与し、透気性を有する塗被層が得られやすく、好ましく用いられる。
前記内側塗被層を構成する針状結晶、紡錘状結晶、柱状結晶および米粒状結晶のいずれか一種の結晶構造を有する微粒子顔料を意味し、例えば、リン酸及びその水溶性塩の少なくとも1種の存在下、特定濃度の水酸化カルシウム懸濁液と炭酸ガス含有気体を反応させる方法(特公昭57−30815号)、特定のカルボン酸類及びその水溶性塩の少なくとも1種の存在下で反応させる方法(特公昭57−31530号)、特定の針柱状の結晶核炭酸カルシウムと水酸化カルシウム含有水懸濁液中に炭酸ガス含有気体を特定温度で導入して炭酸化反応を行い、針柱状炭酸カルシウムの結束体を得る方法(特開昭59−232916号)等により製造されるものである。
これらの結晶構造を有する微粒子顔料は、電子顕微鏡による観察で認められる平均寸法が短軸寸法(W)0.005〜0.5μm、長軸寸法(L)0.1〜10μm、アスペクト比(L/W)2〜1000である針状結晶、紡錘状結晶、柱状結晶および米粒状結晶のいずれか一種であり、適宜、選択して使用される。
本発明に係る塗工紙において、ブリスター発生の抑制には、幅0.2〜3.0μm、長さ3〜1000μmであるクラックが、1mmあたり1〜1000個程度存在することが好ましい。このようなクラックを有する塗工紙に印刷した場合、印刷物上で目視にてクラックを確認するのは非常に困難であり、良好な印刷仕上がりとなる。なお、クラックは繋がることなく独立して存在することが好ましい。クラックが繋がると、印刷強度が劣る場合があり、好ましくない。
本発明の塗被層の成分は、前記クラックが得られるものであれば、特に限定されるものではないが、好ましい材料としては熱可塑性有機微粒子を挙げることが出来る。中でも、塗工乾燥条件下で表面或いは全体が軟化状態になる熱可塑性有機微粒子が好ましく、さらに、一般的に塗工紙の接着剤して用いられるラテックスよりも成膜温度の高い、Tg(ガラス転移温度)20〜150℃の範囲の樹脂からなる熱可塑性有機微粒子が、クラック発生の点で優れており、より好ましい。中でも、所望のクラック発生効果と印刷強度のバランス上、Tgが20〜80℃の範囲ものが好ましく、30〜80℃の範囲のものが特に好ましい。Tgが20℃未満の場合、所期のレベルから見てクラックの発生が少なめで透気性の劣るものとなり、ブリスター発生の抑制効果が劣ることがある。Tgが150℃を超えると、通常の乾燥条件では印刷強度の低下を招くことがあり、好ましくない。
本発明では、塗被層、または最外側塗被層にTgが20〜150℃の温度範囲にある樹脂からなる熱可塑性有機微粒子の1種を単独で用いるよりも、Tgが20〜150℃の温度範囲にある樹脂からなる、成膜条件の異なる二種以上の熱可塑性有機微粒子を併用した系がより好ましい。本発明に用いられる熱可塑性有機微粒子としては、全体が均質な通常の微粒子の他に、コア−シェル型微粒子等の不均質構造微粒子を挙げることが出来る。コア−シェル型微粒子の場合、シェル側の樹脂のTgが重要で、20〜150℃の範囲にあることが好ましい。しかし、得られる塗工紙の性能は劣るが、Tg20℃以下のものも使用可能である。具体的にはバインダーピグメントと呼ばれるものが挙げられる。
前記熱可塑性有機微粒子としては、例えばポリイソプレン、ポリネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス類、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。これらの中から1種あるいは2種以上が適宜選択して用いられる。
前記熱可塑性有機微粒子の、塗工液への配合量としては、塗被層100質量部(固形分)に対して、5〜60質量部の範囲が好ましい。配合量が5質量部未満であると、クラックの発生を促進することができず、透気度の高いものとなり、ブリスター発生の抑制効果が劣ることがある。また配合量が60質量部を超える場合には、塗被層中の樹脂成分が多くなり、インキビヒクル吸収性が劣るため、インキ転移不良が起こりやすくなり、さらに塗工紙としての風合いが低下するため、好ましくない。
本発明の塗被層には、上記の熱可塑性有機微粒子以外に、必要に応じて顔料を配合することが出来る。前記顔料としては、公知の無機顔料及び前記熱可塑性有機微粒子以外の有機顔料を挙げることが出来る。無機顔料としては、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等が挙げられる。有機顔料としては、例えばポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、スチレン−メタアクリル共重合体系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等が挙げられる。有機顔料としては、密実型、中空型、貫通孔型、コア/シェル型のものを挙げることが出来る。これらの中から1種あるいは2種以上が適宜選択して用いられる。中でも、中空有機顔料は、圧力による変形が容易で、スーパーカレンダ等の平滑化工程で光沢を付与する際に、より低い処理圧で所望の光沢が得られ、かつ塗被層の細孔の減少が抑制され、良好な透気性を示すため、好ましく用いられる。なお中空有機顔料の塗工液への配合量としては、塗被層100質量部(固形分)に対して、20質量部以下が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。20質量部を超えると、スーパーカレンダ等の平滑化工程においてカレンダ焼けやブラッキングと呼ばれる不透明度低下現象の起こることがある。
前記無機顔料の塗工液への配合量としては、塗被層100質量部(固形分)に対して、40〜90質量部の範囲が好ましい。配合量が40質量部未満であると、クラックの発生を促進することができず、透気度の高いものとなり、ブリスター発生の抑制効果がかなり劣るものとなる。また配合量が90質量部を超える場合には、表面強度が劣り、安定した印刷が出来ない。
中でも、40〜90質量部の範囲の無機顔料と、5〜60質量部の範囲の熱可塑性有機微粒子とを含む組成からなる塗被層用塗工液を使用した場合、特に良好なクラックが得られるので、好ましい。
本発明に用いられる塗被層用または最外側塗被層用塗工液には、必要に応じて、さらに、接着剤、クラック形成促進粒子が添加される。接着剤は、塗被層の表面強度を高め、良好な印刷適性を付与するために用いられる。またクラック形成促進粒子は、クラックの形成が所望のレベルに達しない場合に配合される。
接着剤としては、水溶性或いは水分散性の高分子化合物を用いることができ、例えばカチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然あるいは半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリイソプレン、ポリネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸系樹脂、メラミン系樹脂等の合成高分子化合物等を挙げることができる。接着剤は、必要に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択される。接着剤の中でも、Tgが20℃以下の接着剤が好ましく、特に好ましくは0℃以下である。接着剤の塗工液への配合量としては、塗被層100質量部(固形分)に対して、15質量部以下が好ましい。配合量が15質量部を超えると、クラックの発生が阻害され、本発明の所望の効果が得難くなる。
本発明に用いられる塗被層用または最外側塗被層用塗工液には、必要に応じてさらに、各種助剤、例えば界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、保水剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、防腐剤、香料等が適宜配合される。
保水剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、またはアルカリ膨潤型アクリル系増粘剤等の合成系保水剤の使用が好ましい。
本発明に用いられるシート状紙基材を形成するパルプについては、製法や種類等について特に限定するものではなく、KP、SPのような化学パルプ、SGP、RGP、BCTMP、CTMP等の機械パルプや、ECFパルプやTCFパルプ等の塩素フリーパルプ、脱墨パルプのような古紙パルプ、あるいはケナフ、バガス、竹、藁、麻等のような非木材パルプ、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリノジック繊維等の有機合成繊維、さらにはガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機質繊維等を挙げることが出来る。
シート状紙基材中には、必要に応じて填料、歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、定着剤、内添サイズ剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を適宜配合することができる。なお、填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられる各種の顔料、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機顔料系の密実型、微小中空型、貫通孔型の粒子を挙げることが出来る。
シート状紙基材の抄紙方法については特に限定するものではなく、例えば抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙法、また中性サイズ剤および/または炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み、抄紙pH約6の弱酸性から抄紙pH約9の弱アルカリ性の中性抄紙法等、全ての抄紙方法に適用することができ、抄紙機も長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機等の、公知の抄紙機を適宜使用することができる。
本発明に用いられるシート状紙基材の坪量は、特に限定されるものではないが、通常30〜300g/mの範囲のものが好ましく用いられる。
シート状紙基材の抄紙方法については特に制限されないが、塗被層の透気性が良好であっても、シート状紙基材の透気性が極端に劣るものでは、ブリスターの発生を抑制する効果が得られないことがある。そのため、シート状紙基材のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に基づく透気度としては、30秒以下が好ましく、より好ましくは20秒以下である。
本発明の塗被層の合計塗工量は、特に限定されるものではないが、シート状紙基材の片面に対し乾燥質量で2〜25g/m、好ましくは5〜20g/mである。塗工量が2g/mに満たない場合、シート状紙基材上に塗被層を均一に形成するのは困難になることがあり、一方、25g/mを超えると、透気性が高くなることがあり、また塗被層収縮によるクラックの発生が起きにくくなることがある。
本発明の内側塗被層は、無機顔料と水溶性接着剤を成分として含有する水性系塗工液をシート状紙基材に塗工して形成されるが、無機顔料としては、結晶構造を有する顔料のほかに、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等が挙げられ、これらの中から適宜選択され、1種あるいは2種以上併用して用いられる。
内側塗被層用塗工液には、他の顔料として有機顔料を配合してよい。かかる有機顔料としては、例えばポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、スチレン−メタアクリル共重合体系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等が挙げられ、これらの中から適宜選択され、1種あるいは2種以上併用して用いられる。
無機顔料の内側塗被層用塗工液への配合量としては、塗被層100質量部(固形分)に対して、35〜95質量部の範囲が好ましい。配合量が35質量部未満の場合、透気性の面で劣ったものになり易い。また配合量が95質量部を超える場合には、層間強度の面で劣ったものになり易い。また有機顔料の内側塗被層用塗工液への配合量としては、塗被層100質量部(固形分)に対して、30質量部以下が好ましい。塗工液コストの点で30質量部を超えることは好ましくない。
内側塗被層中の接着剤としては、例えば澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉などの澱粉類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、大豆蛋白質などのタンパク質類、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、オレフィン−無水マレイン酸樹脂などの水溶性接着剤が挙げられ、これらの中から適宜選択され、1種あるいは2種以上を併用して用いられる。水溶性接着剤の中でも、澱粉類は、剛度が付与し易く、また安価であり、特に好ましい。
内側塗被層中の接着剤としては、他に水分散性接着剤を配合してもよい。かかる水分散性接着剤としては、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルニトリル−ブタジエンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエンラテックスなどの共役ジエン系共重合ラテックス、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニルエマルジョンなどの酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−アクリル系エマルジョン、塩化ビニリデン系エマルジョン、ポリエステル系エマルジョン、ポリウレタン系エマルジョン、ポリアミド系エマルジョンなどが挙げられ、これらの中から適宜選択され、1種あるいは2種以上を併用して用いられる。
水溶性接着剤の内側塗被層用塗工液への配合量としては、塗被層100質量部(固形分)に対して、2〜25質量部の範囲が好ましい。配合量が2質量部未満の場合、層間強度の劣ったものになり易く、剛度が小さいものになり易い。また配合量が25質量部を超える場合には、透気度の高いものになり易い。水分散性接着剤の内側塗被層用塗工液への配合量としては、塗被層100質量部(固形分)に対して、20質量部以下が好ましい。20質量部を超える場合には、透気度の高いものになり易い。
耐水化剤の1種類もしくは複数を併用して添加することにより、塗被層の耐水性が向上し、オフセット印刷の工程において湿し水が付着して塗工紙表面が濡れた際の塗被層の表面強度の低下を抑制する。したがって画線部にインクが転移される際にも、塗被層が剥離してブランケットに付着してできる画線部の印刷欠陥の発生やブランケットの汚れを効果的に抑制することができる。耐水化剤としては公知のものから適宜選択して使用することができる。なかでも架橋反応により耐水性を付与する材料が好ましい。ジルコニウム系化合物は、塗工工程で素早く反応し、耐水性を発現するため好ましく使用できる。ジルコニウム系化合物としては、例えば炭酸ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムアンモニウム、硝酸ジルコニウムアンモニウム、ヨウ化ジルコニウムアンモニウム、フッ化ジルコニウムアンモニウム、オキシ塩化ジルコニウムアンモニウム、オキシヨウ化ジルコニウムアンモニウム等が使用されるが、これらのうち、炭酸ジルコニウムアンモニウムが取扱い面および耐水性改良の点で優れているため、好ましく用いられる。因みにジルコニウム系化合物は、カルボン酸やエステル基等と高い反応性を示し、特にオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アルキド系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂などと共に、好ましく用いることができる。
ジルコニウム系化合物の配合量は、所望の効果が発現されれば制限はないが、概ね塗被層100質量部中に、0.01〜10質量部のジルコニウム系化合物を含有することにより効果が発揮される。0.01質量部より少ないと、耐水性の効果を発揮することができないことがある。一方、10質量部を超えると、塗工液の流動性が乏しくなり、塗工性に難点が生じ、あるいは効果が飽和して、それ以上の耐水性の効果が発揮されず、コスト高となる。
本発明の塗被層には、透気性を高める材料としてポリアミド系樹脂又はアミン系樹脂を配合することが好ましく、アミン系樹脂として、変性アミン系樹脂である住化ケムテック社製のスミレツレジンSPI−102A、およびポリアミド系樹脂としては住化ケムテック社製のスミレツレジン633や、変性ポリアミド系樹脂であるスミレツレジンSPI−106N等を例示することができる。
ここで、透気性が向上する機構については明確ではないが、ポリアミド系樹脂又はアミン系樹脂は、微カチオン性であり、乾燥時、塗被層の濃度が低くても増粘作用が大きく、塗被層の不動化が早くなり、乾燥によって脱水される部分が通気性に寄与すると推定している。
前記ポリアミド系樹脂又はアミン系樹脂の配合量は、顔料100質量部に対し、0.01〜10質量部が好ましい。因みに、ポリアミド系樹脂又はアミン系樹脂の配合量が0.01質量部未満では、透気性の向上は見られないことがある。一方、10質量部を超えると塗料が不安定になり、ストリークの発生等の操業性の問題が出てくることがある。
内側塗被層用塗工液には、必要に応じて、さらに、各種助剤、例えば界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、保水剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、防腐剤、香料等が適宜配合される。
内側塗被層及び最外層塗被層の塗工量は、特に限定されるものではないが、内側塗被層の場合、片面当たり乾燥質量で通常0.1〜10g/m、好ましくは0.5〜5g/mである。0.1g/mに満たない場合、2層化による効果が極めて小さいものとなり、一方、10g/mを越えると、透気性の劣ったものとなり易い。尚、本発明においては、内側塗被層は、シート状紙基材の片面あるいは両面に設けられる。また、片面当たりの内側塗被層の数は、通常1層であるが、2層以上の積層とすることもできる。その際の内側塗被層を形成する各塗工液は必ずしも同一である必要はなく、所望の要求性能に合せ、異なるものであってもよい。
本発明の塗被層用塗工液の塗工方法としては、一般に公知の塗工装置、例えばブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、スロットダイコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、ブラシコータ、スライドビードコータ、ダイコータ、ツーロールあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコータ、ビルブレードコータ、ショートドウェルコータ、ゲートロールコータ等が用いられる。原紙上に均一厚みを塗工する輪郭塗工方式よりも、原紙表面の繊維による凹凸を被覆して平坦化する平坦塗工方式が好ましい。塗工液に熱可塑性有機微粒子を配合する場合の乾燥は、紙面温度が熱可塑性有機微粒子のTgより高くなる条件下で行うことが好ましい。
本発明の塗工紙は、通常、平滑化処理が施される。平滑化処理は、スーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトカレンダ等の公知の装置を用いてオンマシンやオフマシンにて行われる。加圧装置の圧力、加熱温度、ニップ数等の処理条件は適宜調節される。本発明においては、発生したクラックが、一般の印刷用塗工紙で通常観られるクラックの大きさと比較してかなり大きく、かつ多数であることから、スーパーカレンダ等の光沢処理によってもクラックが閉塞されること無く、良好な透気性を持たせることが出来る。
電子写真方式でのペーパーブリスター及びトナーブリスターは、塗工紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に基づく王研式透気度を7000秒以下にすることで、所期のレベルにすることが出来る。なかでも、5000秒以下が好ましく、より好ましくは3000秒以下、さらに好ましくは2000秒以下である。
本発明においては、塗工紙の風合いの点で、JIS Z 8741に基づく入射・受光角75度の白紙光沢度が45%以上、また50〜85%の範囲のものが好ましく、より好ましくは55〜85%である。
JIS Z 8741に基づく入射・受光角75度の白紙光沢度が高い塗工紙を得るためには、強圧条件での平滑化処理が必要であり、一般の印刷用塗工紙では、処理によって細孔が塞がれ、透気性の劣ったものしか得られないが、本発明に係る塗工紙は、クラックが寄与して強圧条件での平滑化処理を行っても透気性が確保でき、ブリスターの発生を抑制することができる。
またシート状紙基材の片面に上記塗被層を設けた場合、裏面にカール防止、印刷適性付与、給排紙適性付与、帯電防止性付与等のための塗被層を設けることが出来る。また、裏面には、粘着、感熱記録、磁気記録、難燃、耐熱、耐水、耐油、防滑等の性質を付与するための後加工を行うことが出来る。他に、熱転写受容層、インクジェット記録層等の後加工を施すことも出来る。
本発明の塗工紙の水分は、通常3〜10%の範囲に調整される。更に好ましくは4〜8%の範囲である。水分が3%未満の場合は、塗工紙にカールが発生し安定した印刷が出来ない。水分が10%を超えると、ブリスターが極めて発生しやすくなる。
本発明で得られた塗工紙は、オフセット印刷用や、電子写真方式の用紙として極めて良好な性能を有するが、他に熱転写方式、インクジェット方式等の画像記録用紙として用いることも出来る。
特に、5〜7μm程度のトナー粒子によって画像が形成される電子写真方式では、上述の塗工紙を用いることによって極めて高品位な画像を得ることができる。例えば、ISO−13660ドラフトスタンダード・QEA(Quality Engineering Assosiates,Inc.)に準拠した方法に基づいて、電子写真方式プリンターを用いて画像を形成、評価すると、タイルサイズ40μmにおけるモトルが、10GSV(Grey Scale Value)以下、ラインのラジェドネス(ギザギザ度)が10μm以下、ブラリネス(ぼやけ度)が11μm以下であり、極めて良好な画像を得ることが出来る。
本発明の塗工紙は、更にオフ輪ジワの防止や耐折り割れ適性に大きな効果があることが判った。オフ輪ジワとは、オフ輪印刷中に発生する紙への皺であり、耐折り割れ適性とは、オフ輪印刷後の折り機加工での、折り山部或いは谷部のインキ層の耐亀裂性である。オフ輪ジワに大きな効果がある理由としては、紙の透気度が低いために、オフ輪印刷の乾燥工程で含有する水分の蒸発が均一に起こり、そのために紙水分のバラツキを生じないので、紙に歪がかからず、皺が発生し難いことが考えられる。また、耐折り割れ適性に大きな効果がある理由としては、塗工紙が低透気度の割に塗被層の表面強度が強く、折ることによって力が加わっても、塗被層が破壊されることがなく、その結果、インク層に亀裂を生じ難いことが考えられる。なおオフ輪ジワや耐折り割れ適性に対しては、更にバインダーとバインダーピグメントを配合する系が特に良好な結果を示す。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが,本発明はそれらの範囲に限定されるものでない。なお、例中の「部」及び「%」は特に断わらない限り、「質量部(固型分)」及び「質量%」を示す。また、測定されたTgが単一ピークでない場合は、主たるピーク温度、あるいはモノマー組成から計算されるTgを「Tg代表値」として示し、測定されたTgが単一ピークである場合は、その測定値、あるいはモノマー組成から計算されるTgを「Tg値」として示す。
参考例1
〔シート状紙基材の調製〕
LBKP(フリーネス(CSF)=450ml)90部、NBKP(フリーネス(CSF)=450ml)10部のパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウム(PC:白石カルシウム社製)を5部となるように添加し、対パルプ100部当り澱粉1.5部、アルケニル無水コハク酸0.1部、および硫酸バンド0.6部を添加した紙料を用いて長網抄紙機で抄紙し、その抄紙工程中で澱粉の塗工量が乾燥重量で1g/m2となるようにサイズプレス装置で塗布・乾燥させ、マシンキャレンダでベック平滑度30秒になるように平滑化処理して、坪量が60g/m2のシート状紙基材を得た。
[塗工液の調製]
ハイドラグロス90(成分;カオリン、平均粒子径0.26μm、アスペクト比6、ヒューバー社製)35部に、水および分散剤(商品名;アロンA−9、東亞合成社製)0.01部を加え、コーレス分散機にて分散し、固形分72%のカオリン分散液を得た。この分散液に固形分75%のFMT−97(成分;重質炭酸カルシウム、ファイマテック社製)を固形分として35部を加え、顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーにカルボキシメチルセルロース(商品名;AGガムHE No.2、第一工業製薬社製)0.3部、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスとしてP0T−7092(Tg;35℃、日本ゼオン社製)10部および合成樹脂0640(Tg;55℃、JSR社製)20部、反応性の耐水化剤として炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)を0.05質量部を添加・撹拌し、さらに水を加えて、固形分濃度が55%の塗工液を調製した。
[シート状紙基材表面への塗被層の形成]
上記により得られた塗工液を、シート状紙基材の片面当たり乾燥重量で12g/mとなるようにブレードコータを用いて500m/minにて両面塗工後、160℃で熱風乾燥し、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップで白紙光沢が50%となるように通紙して、坪量が84g/mの塗工紙を得た。
参考例2
[内側塗被層用塗工液の調製]
紡錘状軽質炭酸カルシウム(商品名;TP221GS、奥多摩工業社製)85部に、水溶性接着剤である酸化デンプン(商品名;エースA、王子コンスターチ社製)10部、スチレン−ブタジエン系コアシェル構造高分子化合物T−2540A(Tg1/Tg2:−22℃/0℃ JSR社製)5部、反応性の耐水化剤として炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)を0.05質量部を加え、さらに水を加えて固形濃度が45%の塗工液を調整した。
[内側塗被層の形成]
上記塗工液を、片面当たりの乾燥塗工量が2.0g/m2となるように、ゲートロールコータを用いて塗工速度500m/minで、実施例1で得たシート状紙基材の両面に塗工して、内側塗被層形成紙を得た。
[最外側塗被層用塗工液の調製]
水に、カオリン(商品名;ハイドラグロス90、平均粒子径0.26μm、アスペクト比6、ヒューバー社製)50部、分散剤(商品名;アロンA−9、東亞合成社製)0.01部を加え、コーレス分散機で分散して、固形分濃度72%のカオリン分散液を得た。この分散液に、固形分濃度75%の重質炭酸カルシウム(商品名;FMT−97、ファイマテック社製)を固形分で15部加え、顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、カルボキシメチルセルロース(商品名;AGガムHE No.2、第一工業製薬社製)0.3部、スチレン−ブタジエン系共重合体からなるTg55℃の熱可塑性有機微粒子(商品名;0640、JSR社製)30部、スチレン−ブタジエン系コアシェル構造高分子化合物T−2540A(Tg1/Tg2:−22℃/0℃ JSR社製)5部、 反応性の耐水化剤として炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)を0.05質量部を添加・撹拌し、さらに水を加えて、固形分濃度が55%の塗工液を調製した。
[積層塗工紙の作成]
上記最外塗被層用塗工液を、片面当たりの乾燥塗工量が9.0g/mとなるように、
ブレードコータを用いて塗工速度500m/minで上記内側塗被層形成紙の両面に塗
工し、その後に、金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップで処理して、白紙光沢
が70%で坪量が82g/mの塗工紙を得た。
参考例3
参考例1において、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)を3質量部に増やし、撥水剤としてスチレン−アクリル系樹脂(商品名;ポリマロン1308、荒川化学工業社製)を2質量部加えたこと以外は、参考例1と同様にして塗工紙を得た。
参考例4
参考例2において、内側塗被層用塗工液および最外側塗被層用塗工液の炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)を3質量部に増やし、撥水剤としてスチレン−アクリル系樹脂(商品名;ポリマロン1308、荒川化学工業社製)を2質量部加えたこと以外は、参考例2と同様にして塗工紙を得た。
実施例1
参考例1において、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)を3質量部に増やし、透気性向上助剤として変性アミン系樹脂(商品名:スミレツレジンSPI−102A、住化ケムテック社製)を1質量部加えたこと以外は、参考例1と同様にして塗工紙を得た。
実施例2
参考例2において、内側塗被層用塗工液および最外側塗被層用塗工液の炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)を3質量部に増やし、透気性向上剤としてポリアミド樹脂(商品名:スミレツレジン633、住化ケムテック社製)を1質量部加えたこと以外は、参考例2と同様にして塗工紙を得た。
参考例5
参考例2において、内側塗被層用塗工液に炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)を配合しなかったこと以外は、参考例2と同様にして塗工紙を得た。
比較例1
実施例1において、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
比較例2
実施例2において、内側塗被層用塗工液にも最外側塗被層用塗工液にも炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(商品名;ベイコート20、日本軽金属社製)添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして塗工紙を得た。
実施例1及び2、参考例1〜5、比較例1及び2で得られた塗工紙、並びにそのオフ輪印刷物、カラーコピー印刷物を下記評価方法で評価した。
[塗被層表面クラック個数]
100倍もしくは500倍の倍率で塗工紙の表面を電子顕微鏡観察して100mm2に存在するクラック個数を調べ、1mm2あたりのクラック個数を算出した。
[白紙光沢度の評価]
JIS Z 8741に基づき、入射角と受光角が75度の条件で白紙光沢度を測定した。測定には、村上色彩研究所社製GLOSS METER MODEL GM−26Dを用いた。
[透気度の評価]
JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に基づき、旭精工社製全自動デジタル型王研式透気度・平滑度試験機EYOを用いて用紙の透気度を測定した。透気度数値(秒)が小さいほど、透気性を有することを表す。
[塗工紙の印刷]
[オフ輪印刷]
オフセット輪転印刷機(三菱リソピアL−BT3−1100/三菱重工製)を用いて、両面が4色ベタ図柄で印刷速度600rpm、乾燥機出口での紙面温度は120℃とし、乾燥機通過後の冷却ロールには10℃の冷却水を通して印刷と連続して折り加工した。
[ブランケット汚れの評価]
耐水性の評価として、上記オフ輪印刷後、印刷ブランケットの汚れ状態を目視判定し、1〜5の5段階で評価した。
5:ブランケットに汚れが全く観察されず、極めて優れているレベル。
4:ブランケットに汚れは殆ど観察されず、優れているレベル。
3:ブランケットに塗被層の剥がれが少量観察されるが、実用上問題ないレベル。
2:ブランケットに塗被層の剥がれが多量に観察され、実用上問題ありのレベル。
1:ブランケットに塗被層の剥がれが著しく観察され、実用上問題ありのレベル。
[オフ輪ブリスターの評価]
上記オフ輪印刷物のブリスター発生状況を目視判定し、1〜5の5段階で評価した。
5:ブリスターは全く観察されず、極めて優れているレベル。
4:ブリスターは殆ど観察されず、優れているレベル。
3:細かなブリスターが少量観察されるが、実用上問題ないレベル。
2:細かなブリスターが多量に観察され、実用上問題ありのレベル。
1:大きなブリスターが多量に観察され、実用上問題ありのレベル。
[カラーコピーブリスターの評価]
RICOH社製カラーコピー機IPSiO Color2100を用いて、A4判サイズの塗工紙に連続100枚カラー印画し、ブリスター発生状況を目視判定し、1〜5の5段階で評価した。
5:ブリスターは全く観察されず、極めて優れているレベル。
4:ブリスターは殆ど観察されず、優れているレベル。
3:細かなブリスターが少量観察されるが、実用上問題ないレベル。
2:細かなブリスターが多量に観察され、実用上問題ありのレベル。
1:大きなブリスターが多量に観察され、実用上問題ありのレベル。
[印刷仕上がりの評価]
上記オフ輪印刷物の印刷仕上がり状態を、目視判定し1〜5の5段階で評価した。
5:極めて優れているレベル。
4:かなり優れているレベル。
3:やや劣るが、実用上問題ないレベル。
2:かなり劣り、実用上問題ありのレベル。
1:大幅に劣り、実用上問題ありのレベル。
[オフ輪ジワの評価]
両面4色ベタ印刷部のオフ輪ジワ発生状況を目視判定し、1〜5の5段階で評価した。
5:皺の発生が全く認められず、極めて優れているレベル。
4:皺の発生が殆ど認められず、優れているレベル。
3:軽度の皺の発生は認められるが、実用上問題ないレベル。
2:皺の発生が認められ、実用上問題ありのレベル。
1:きつい皺が認められ、実用上問題ありのレベル。
[耐折れ割れ性の評価]
印刷された塗工紙をA4サイズに断裁して、温度23℃、湿度50%RHの環境で、紙折り機(ホリゾン社製)で2つ折りして、その屈曲部を拡大ルーペで観察して、1〜5の5段階で評価した。
5:屈曲部の塗被層に全く亀裂や裂けがなく、良好なもの。
4:屈曲部の塗被層に殆ど亀裂や裂けがなく、実用上問題がないもの。
3:屈曲部の塗被層に若干の亀裂が見られるが、実用上問題がないもの。
2:屈曲部の塗被層に亀裂と裂けが見られ、実用上問題があるもの。
1:屈曲部の塗被層に亀裂と裂けが見られ、紙基体のパルプ繊維が露出し、著しく劣るも
の。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 0004734926


以上、詳細に説明したように、本発明に係る塗工紙は、透気性、耐水性に優れ、オフ輪印刷および電子写真方式での印画時において、ブリスターが発生せず、印刷仕上がりが良好であり、しかもオフ輪ジワが発生せず、折り割れが起こらず、実用上、極めて有用なものである。

Claims (5)

  1. シート状紙基材と、その少なくとも一面上に、形成され、かつ顔料および接着剤を主成分として含む少なくとも1層の塗被層とを有している塗工紙において、前記顔料が、平均粒子径0.1〜1.5μmであり、かつ下記式(1)を満足するカオリン粒子:
    5≦L/W≦50 (1)
    〔但し、式(1)中Lはカオリン粒子の長径を表し、Wはカオリン粒子の短径を表す〕
    を含み、前記接着剤が、(a)10〜60℃のガラス転移温度を有し、かつ単一構造を有する共重合体、及び(b)コア−シェル構造を有する合成高分子化合物から選ばれた少なくとも1種を含み、さらに前記塗被層中に、ジルコニウム系化合物を塗被層100質量部に対し、0.01〜10質量部含有し、ポリアミド系樹脂及びアミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を顔料100質量部に対し、0.01〜10質量部含有することを特徴とする塗工紙。
  2. 前記塗被層が、少なくとも2層であり、かつ前記シート状紙基材に隣接する内側塗被層中には、針状結晶、紡錘状結晶、柱状結晶および米粒状結晶のいずれか一種の結晶構造を有する顔料を含有し、かつ前記内側塗被層上に形成された最外側塗被層中には、前記顔料が、平均粒子径0.1〜1.5μmであり、かつ下記式(1)を満足するカオリン粒子:
    5≦L/W≦50 (1)
    〔但し、式(1)中Lはカオリン粒子の長径を表し、Wはカオリン粒子の短径を表す〕
    を含み、前記接着剤が、(a)10〜60℃のガラス転移温度を有し、かつ単一構造を有する共重合体、及び(b)コア−シェル構造を有する合成高分子化合物から選ばれた少なくとも1種を含む請求項1記載の塗工紙。
  3. 前記最外側塗被層中には、ガラス転移温度20〜150℃の熱可塑性有機微粒子を含有する請求項2記載の塗工紙。
  4. 前記コア−シェル構造を有する合成高分子化合物(b)のガラス転移温度が、下記式(2)及び(3):
    Tg1<Tg2 (2)
    −10℃<Tg2<100℃ (3)
    〔但し、式(2)及び(3)中、Tg1は、コア−シェル構造を有する合成高分子化合物(b)中のコア部分のガラス転移温度を表し、Tg2はそのシェル部分のガラス転移温度を表す〕を満足する、請求項1又は請求項2記載の塗工紙。
  5. 前記塗工紙の表面が、45%以上の光沢度を有する請求項1項記載の塗工紙。
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