JP4731979B2 - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents

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Description

本発明は、正極、負極、及び電解質としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備えたリチウムイオンキャパシタに関する。
近年、グラファイト等の炭素材料を負極に用い、正極にLiCoO等のリチウム含有金属酸化物を用いた所謂リチウムイオン二次電池は高容量であり有力な蓄電デバイスとして、主にノート型パソコンや携帯電話の主電源として実用化されている。リチウムイオン二次電池は、電池組立後、充電することにより正極のリチウム含有金属酸化物から負極にリチウムイオンを供給し、更に放電では負極のリチウムイオンを正極に戻すという、いわゆるロッキングチェア型電池であり、高電圧及び高容量、高安全性を有することを特長としている。
一方、環境問題がクローズアップされる中、ガソリン車にかわる電気自動車用又はハイブリッド自動車用の蓄電装置(メイン電源と補助電源)の開発が盛んに行われ、また、自動車用の蓄電装置として、これまでは鉛電池が使用されてきた。しかし、車載用の電気設備や機器の充実により、エネルギー密度、出力密度の点から新しい蓄電装置が求められるようになってきている。
かかる新しい蓄電装置としては、上記のリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタが注目されている。しかし、リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高いものの出力特性、安全性やサイクル寿命には問題を残している。一方、電気二重層キャパシタは、ICやLSIのメモリーバックアップ用電源として利用されているが、一充電当たりの放電容量は電池に比べて小さい。しかし、瞬時の充放電特性に優れ、数万サイクル以上の充放電にも耐えるという、リチウムイオン二次電池にはない高い出力特性とメンテナンスフリー性を備えている。
電気二重層キャパシタはこうした利点を有してはいるが、従来の一般的な電気二重層キャパシタのエネルギー密度は3〜4Wh/l程度で、リチウムイオン二次電池に比べて二桁程度小さい。電気自動車用を考えた場合、実用化には6〜10Wh/l、普及させるには20Wh/lのエネルギー密度が必要であるといわれている。
こうした高エネルギー密度、高出力特性を要する用途に対応する蓄電装置として、近年、リチウムイオン二次電池と電気二重層キャパシタの蓄電原理を組み合わせた、ハイブリットキャパシタとも呼ばれる蓄電装置が注目されている。ハイブリッドキャパシタでは、通常、正極に分極性電極を使用し、負極に非分極性電極を使用するもので、電池の高いエネルギー密度と電気二重層の高い出力特性を兼ね備えた蓄電装置として注目されている。一方、このハイブリッドキャパシタにおいて、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる負極をリチウム金属と接触させて、予め化学的方法又は電気化学的方法でリチウムイオンを吸蔵、担持(以下、ドーピングともいう)させて負極電位を下げることにより、耐電圧を大きくしエネルギー密度を大幅に大きくすることを意図したキャパシタが提案されている。(特許文献1〜特許文献4参照)
この種のハイブリッドキャパシタでは、高性能は期待されるものの、負極にリチウムイオンをドーピングさせる場合、ドーピングに極めて長時間を要することや負極全体に対する均一性のあるドーピングに問題を有し、特に、電極を捲回した円筒型装置や、複数枚の電極を積層した角型電池のような大型の高容量セルでは実用化は困難とされていた。しかし、この問題は、セルを構成する、負極集電体及び正極集電体の表裏に貫通する孔を設け、この貫通孔を通じてリチウムイオンが移動させ、同時にリチウムイオン供給源であるリチウム金属と負極を短絡させることにより、セルの端部にリチウム金属を配置するだけで、セル中の全負極にリチウムイオンをドーピングできることの発明により解決されるに至った(特許文献5参照)。なお、リチウムイオンのドーピングは、通常、負極に対して行なわれるが、負極とともに、又は負極の代わりに正極に行う場合も同様であることが特許文献5に記載されている。
かくして、電極を捲回した円筒型装置や、複数枚の電極を積層した角型電池のような大型のセルでも、装置中の全負極に対して短時間にかつ負極全体に均一にリチウムイオンがドーピングでき、耐電圧が向上したエネルギー密度が飛躍的に増大し、電気二重層キャパシタが本来有する大きい出力密度と相俟って、高容量のキャパシタが実現する見通しが得られた。
しかし、かかる高容量のキャパシタを実用化するためには、さらに、高容量、高エネルギー密度及び高出力密度とすることが要求されている。
特開平8−107048号公報 特開平9−55342号公報 特開平9−232190号公報 特開平11−297578号公報 国際公開WO98/033227号公報
本発明は、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物
質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極及び/又は正極をリチウムイオン供給源と電気化学的に接触させて、充電前に予め負極にリチウムイオンをドーピングする方式のリチウムイオンキャパシタにおいて、更に、エネルギー密度及び出力密度が高く、かつ低温特性に優れたキャパシタを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、正極と負極を短絡させた後の正極及び負極電位が1.0V以下となるように、充電前に、負極及び/又は正極に対してリチウムイオンを予めドーピングさせたリチウムイオンキャパシタにおいては、そこで使用される負極活物質がキャパシタのエネルギー密度や出力密度とともに、その低温特性と密接に関係し、該負極活物質として、遷移金属の塩の存在下でのコークスの熱処理物を使用することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
本発明のリチウムイオンキャパシタの上記負極活物質は、遷移金属の塩の存在下でのコークスの新規な熱処理物であるが、該熱処理物は、好ましくは、比表面積が0.01〜50m/gであり、全メソ孔容積が0.005〜1.0cc/gであり、かつ細孔直径100〜400Åのメソ孔容積が全メソ孔容積の25%以上を占めるという新規な細孔特性を有することにより、より一層優れた効果が達成されることが判明した。
従来、リチウムイオン二次電池などの負極活物質の炭素材料では、メソ孔の細孔容積とミクロ孔の細孔容積は独立して制御することが不可能であり、仮にメソ孔を発現させようとすると、どうしてもミクロ孔容積も増大し、結果として、炭素材料の比表面積も大きくなり過ぎていた。比表面積が大きいと、充放電効率、クーロン効率が低下してしまう結果を招く。本発明の負極活物質を形成するコークスの熱処理では、メソ孔の細孔容積とミクロ孔の細孔容積を独立して制御できるので、比表面積を特定範囲に有しながら、特定の細孔直径を有するメソ孔容積を特定量だけもたしめることができる。
かくして、本発明は、以下の要旨を有することを特徴とするものである。
(1)正極、負極、及び、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備えるリチウムイオンキャパシタであって、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極の電位が1.0V以下になるように負極及び/又は正極に対してリチウムイオンが充電前にドーピングされており、かつ、上記負極活物質が、遷移金属含有物質の存在下でのコークスの熱処理物であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
(2)前記正極及び/又は負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備えており、負極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンがドーピングされている上記(1)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
(3)負極活物質は、正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物資の重量よりも大きい上記(1)又は(2)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
)遷移金属が、ニッケル及び/又は鉄である上記(1)〜()のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
)炭素材料前駆体の熱処理物が600℃〜1500℃で熱処理物である上記(1)〜()のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
本発明によれば、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングする、特に高容量のリチウムイオンキャパシタであって、高いエネルギー密度と高い出力密度ともに、低温特性に優れたキャパシタが提供される。本発明において、負極活物質として、遷移金属含有物質の存在下でのコークスの熱処理物を使用することにより、得られるキャパシタが何故に上記の特性が改良されるかのメカニズムについては、必ずしも明らかではないが、次のように推定される。
すなわち、リチウムイオンを予め負極及び/又は正極にドーピングするリチウムイオンキャパシタは電解液にリチウムイオン含有の有機溶媒溶液を用いており、該電解液の低温でのイオン伝導性が低いことから低温特性は一般の電気二重層キャパシタに比較し充分でなかった。本発明では、遷移金属含有物質の存在下にコークスを熱処理することにより、炭化物へのメソ孔の付与及び増大が達成される。電気二重層キャパシタの特性、特に低温時での特性は、リチウムイオンのみが出入りする負極の影響を受け易いことが知られているが、メソ孔が増大した本発明の負極活物質の使用する場合には、電解液との界面が増え、低温時にもリチウムイオンの移動が容易になり特性が向上するものと考えられる。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極、負極、及び、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機電解液を備え、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質である。ここで、「正極」とは、放電の際に電流が流れ出る側の極であり、「負極」とは放電の際に電流が流れ込む側の極をいう。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極及び/又は正極に対するリチウムイオンのドーピングにより正極と負極を短絡させた後の正極の電位が1.0V以下にされていることが必要である。負極及び/又は正極に対するリチウムイオンのドーピングされていないキャパシタでは、正極及び負極の電位はいずれも3Vであり、充電前においては、正極と負極を短絡させた後の正極の電位は3Vである。なお、本発明で、正極と負極を短絡させた後の正極の電位が1.0以下とは、以下の(A)又は(B)の2つのいずれかの方法で求められる正極の電位が1.0以下の場合をいう。即ち、(A)リチウムイオンによるドーピングの後、キャパシタセルの正極端子と負極端子を導線で直接結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位、(B)充放電試験機にて12時間以上かけて0Vまで定電流放電させた後に正極端子と負極端子を導線で結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位。
また、本発明において、正極と負極とを短絡させた後の正極電位が1.0V以下というのは、リチウムイオンがドーピングされたすぐ後だけに限られるものではなく、充電状態、放電状態あるいは充放電を繰り返した後に短絡した場合など、いずれかの状態で短絡後の正極電位が1.0V以下となることである。
本発明において、正極と負極とを短絡させた後の正極電位が1.0V以下になるということに関し、以下に詳細に説明する。上述のように活性炭や炭素材は通常3V(Li/Li)前後の電位を有しており、正極、負極ともに活性炭を用いてセルを組んだ場合、いずれの電位も約3Vとなるため、短絡しても正極電位はかわらず約3Vである。また、正極に活性炭、負極にリチウムイオン二次電池にて使用されている黒鉛や難黒鉛化炭素のような炭素材を用いた、いわゆるハイブリットキャパシタの場合も同様であり、いずれの電位も約3Vとなるため、短絡しても正極電位はかわらず約3Vである。正極と負極の重量バランスにもよるが充電すると負極電位が0V近傍まで推移するので、充電電圧を高くすることが可能となるため高電圧、高エネルギー密度を有したキャパシタとなる。一般的に充電電圧の上限は正極電位の上昇による電解液の分解が起こらない電圧に決められるので、正極電位を上限にした場合、負極電位が低下する分、充電電圧を高めることが可能となるのである。しかしながら、短絡時に正極電位が約3Vとなる上述のハイブリットキャパシタでは、正極の上限電位が例えば4.0Vとした場合、放電時の正極電位は3.0Vまでであり、正極の電位変化は1.0V程度と正極の容量を充分利用できていない。更に、負極にリチウムイオンを挿入(充電)、脱離(放電)した場合、初期の充放電効率が低い場合が多く、放電時に脱離できないリチウムイオンが存在していることが知られている。これは、負極表面にて電解液の分解に消費される場合や、炭素材の構造欠陥部にトラップされる等の説明がなされているが、この場合正極の充放電効率に比べ負極の充放電効率が低くなり、充放電を繰り返した後にセルを短絡させると正極電位は3Vよりも高くなり、さらに利用容量は低下する。すなわち、正極は4.0Vから2.0Vまで放電可能であるところ、4.0Vから3.0Vまでしか使えない場合、利用容量として半分しか使っていないこととなり、高電圧にはなるが高容量にはならないのである。
ハイブリットキャパシタを高電圧、高エネルギー密度だけでなく、高容量そして更にエネルギー密度を高めるためには、正極の利用容量を向上させることが必要である。
短絡後の正極電位が3.0Vよりも低下すればそれだけ利用容量が増え、高容量になるということである。1.0V以下になるためには、セルの充放電により充電される量だけでなく、別途リチウム金属などのリチウムイオン供給源から負極にリチウムイオンを充電することが好ましい。正極と負極以外からリチウムイオンが供給されるので、短絡させた時には、正極、負極、リチウム金属の平衡電位になるため、正極電位、負極電位ともに3.0V以下になる。リチウム金属の量が多くなる程に平衡電位は低くなる。負極材、正極材が変われば平衡電位も変わるので、短絡後の正極電位が1.0V以下になるように、負極材、正極材の特性を鑑みて負極に担持させるリチウムイオン量の調整が必要である。
本発明において、キャパシタセルを充電する前に、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングし、正極と負極を短絡させた後の正極の電位を1.0V以下にすることにより、正極の利用容量が高くなるため高容量となり、大きいエネルギー密度が得られる。リチウムイオンの供給量が多くなる程、正極と負極を短絡させた時の正極電位は低くなりエネルギー密度は向上する。正極及び/又は負極に供給されたリチウムイオンの量が少ないと正極と負極を短絡させた時に正極電位が1.0Vよりも高くなり、セルのエネルギー密度は小さくなる。また、正極電位が1.0Vを下回ると正極活物質にもよるが、ガス発生や、リチウムイオンを不可逆に消費してしまう等の不具合が生じるため、正極電位の測定が困難となる。また、正極電位が低くなりすぎる場合、負極重量が過剰ということであり、逆にエネルギー密度は低下する。一般的には0.1V以上であり、好ましくは0.3V以上である。
本発明で、リチウムイオンのドーピングは、負極と正極の片方あるいは両方いずれでもよいが、例えば正極に活性炭を用いた場合、リチウムイオンのドーピング量が多くなり正極電位が低くなると、リチウムイオンを不可逆的に消費してしまい、セルの容量が低下するなどの不具合が生じる場合がある。このため、負極と正極にドーピングするリチウムイオンは、それぞれの電極活物質を考慮し、これらの不具合を生じないようにするのが好ましい。本発明では、正極のドーピング量と負極のドーピング量を制御することは工程上煩雑となるため、リチウムイオンのドーピングは好ましくは負極に対して行われる。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、特に、負極活物質の単位重量当たりの静電容量が正極活物質の単位重量当たりの静電容量の3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物質重量よりも大きくする場合、高電圧且つ高容量のキャパシタが得られるので好ましい。また、それと同時に、正極の単位重量当たりの静電容量に対して大きな単位重量当たりの静電容量を持つ負極を用いる場合には、負極の電位変化量を変えずに負極活物質重量を減らすことが可能となるため、正極活物質の充填量が多くなりセルの静電容量及び容量が大きくなるので好ましい。正極活物質重量は負極活物質重量に対して大きいことが好ましいが、1.1倍〜10倍であることが更に好ましい。1.1倍未満であれば容量差が小さくなり、10倍を超えると逆に容量が小さくなる場合もあり、また正極と負極の厚み差が大きくなり過ぎるのでセル構成上好ましくない。
なお、本発明において、キャパシタセル(以下、単にセルもいう)の静電容量及び容量は次のように定義される。セルの静電容量とは、セルの単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示し、単位はF(ファラッド)である。セルの単位重量当たりの静電容量とはセルの静電容量に対するセル内に充填している正極活物質重量と負極活物質重量の合計重量の除で示され、単位はF/gである。また、正極又は負極の静電容量とは、正極あるいは負極の単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示し、単位はFである。正極あるいは負極の単位重量当たりの静電容量とは正極あるいは負極の静電容量をセル内に充填している正極あるいは負極活物質重量の除で示され、単位はF/gである。
更に、セル容量とは、セルの放電開始電圧と放電終了電圧の差、即ち電圧変化量とセルの静電容量の積であり単位はC(クーロン)であるが、1Cは1秒間に1Aの電流が流れたときの電荷量であるので本特許においては換算してmAh表示する。正極容量とは放電開始時の正極電位と放電終了時の正極電位の差(正極電位変化量)と正極の静電容量の積であり単位はC又はmAh、同様に負極容量とは放電開始時の負極電位と放電終了時の負極電位の差(負極電位変化量)と負極の静電容量の積であり単位はC又はmAhである。これらセル容量と正極容量、負極容量は一致する。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおいて、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドーピングさせる手段は特に限定されない。例えば、リチウムイオンを供給可能な、リチウム金属などのリチウムイオン供給源をリチウム極としてキャパシタセル内に配置できる。リチウムイオン供給源の量(リチウム金属等の重量)は、負極及び/又は正極の所定の容量が得られる量だけあればよい。この場合、負極とリチウム極は物理的な接触(短絡)でもよいし、電気化学的にドーピングさせてもよい。リチウムイオン供給源は、導電性多孔体からなるリチウム極集電体上に形成してもよい。リチウム極集電体となる導電性多孔体としては、ステンレスメッシュ等のリチウムイオン供給源と反応しない金属多孔体が使用できる。
大容量の多層構造のキャパシタセルでは正極及び負極にそれぞれ電気を受配電する正極集電体及び負極集電体が備えられるが、かかる正極集電体及び負極集電体が使用され、かつリチウム極が設けられるセルの場合、リチウム極が負極集電体に対向する位置に設けられ、電気化学的に負極にリチウムイオンを供給することが好ましい。この場合、正極集電体及び負極集電体として、例えばエキスパンドメタルのように表裏面を貫通する孔を備えた材料を用い、リチウム極を負極あるいは正極に対向させて配置する。この貫通孔の形態、数等は特に限定されず、後述する電解液中のリチウムイオンが電極集電体に遮断されることなく電極の表裏間を移動できるように設定することが好ましい。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極及び/又は正極にドーピングするリチウム極をセル中の局所的に配置した場合もリチウムイオンのドーピングが均一に行うことができる。従って、正極及び負極を積層若しくは捲回した大容量のセルの場合も、最外周又は最外側のセルの一部にリチウム極を配置することにより、スムーズにかつ均一に負極にリチウムイオンをドーピングできる。
電極集電体の材質としては、一般にリチウム系電池に提案されている種々の材質を用いることができ、正極集電体にはアルミニウム、ステンレス等、負極集電体にはステンレス、銅、ニッケル等をそれぞれ用いることができる。また、セル内に配置されたリチウムイオン供給源とは、リチウム金属あるいはリチウム−アルミニウム合金のようにリチウムイオンを供給することのできる物質をいう。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおける負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に担持できる物質からなり、遷移金属の塩の存在下でのコークスの熱処理物から形成される。コークスの好ましい物質としては、例えば 石油コークス、石炭ピッチコークス等を挙げることができる。
本発明のキャパシタにおける負極活物質は、遷移金属含有物質の存在下での上記コークスの熱処理物である。遷移金属含有物質の存在下にてコークスを熱処理することにより、炭化物へのメソ孔付与及び増大が確認されている。ここで、遷移金属としては、鉄、ルテニウム、オスミニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、銅などを用いることができるが、特に、ニッケル及び/又は鉄が好適である。上記の遷移金属含有物質としては遷移金属の塩が好ましく、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などが例示される。
上記コークスの熱処理物を得る方法としては、例えば、上記遷移金属の塩を溶解又は分散させた水系、又はエタノールなどのアルコールなどの有機溶媒系液にコークスを浸漬し、均一に含浸させた後で、充分にゆっくりと時間をかけて乾燥し、それを熱処理する方法が挙げられる。或いは、コークスに直接、遷移金属の塩を混ぜ込みボールミルなどでメカニカルアロイングを施したものを熱処理する方法などが挙げられる。上記の水系又は有機溶媒系などの媒体の種類については、炭素材料前駆体と媒体との相性によって異なるので、均一に溶解又は分散できる溶媒を選ぶことが好ましい。含浸後の媒体の乾燥はできるだけ時間をかけてゆっくり行うことが好ましい。これは、媒体が蒸発する際に、溶解又は分散している溶質の塩を同時に蒸発面付近まで引っ張って行かないようにするためである。ゆっくりと攪拌しながら媒体を加熱蒸発させるのが好ましい。
遷移金属含有物質の使用量は特に限定するものでなく、好ましくは媒体に溶ける塩の飽和量範囲内で添加することが効率的であり、コークス100重量部に対し、通常1〜30重量部程度使用される。また、使用量が30重量部を超えると、遷移金属含有物質の種類にも依るが、遷移金属含有物質が溶解出来ずに析出したり、熱処理途中で遷移金属含有物質が析出しやすくなり不均一な反応になってしまうので好ましくない。
上記の熱処理の温度は600℃〜1500℃である。最適な処理温度は遷移金属の種類や使用量によって変わるが、600℃より低い温度ではメソ孔賦与の効果が小さく、また、1500℃以上の温度は高温専用の電気炉の選定が必要となるのと同時に、遷移金属の塩のメソ孔賦与効果は、ある温度以上では頭打ちしてしまうので効率的でなくなるので好ましくない。熱処理の温度は好ましくは800〜1200℃である。熱処理後の炭素材料は酸洗浄をするのが好ましい。酸洗浄の条件については特に限定するものではないが、通常、60〜80℃の2N−HClで数回洗浄する。また、本発明では、酸洗浄をせずにそのまま負極活物質として用いることも可能である。
本発明におけるコークスの熱処理物からなる負極活物質の比表面積は好ましくは0.01〜50m/gである。比表面積が50m/gを超えるとリチウムイオンの充放電効率が低下してしまうので好ましくない。また、0.01m/gより小さい場合は、電解液の保液量が少なくなり、抵抗が大きくなるので好ましくない。なかでも、比表面積は好ましくは、0.1〜20m/gである。
また、負極活物質は、全メソ孔容積が0.005〜1.0cc/gである。全メソ孔容積が0.005cc/gより小さいと、溶媒和したリチウムイオンの易動度が低下するので、高出力時や低温時には、負極活物質界面付近のリチウムイオン濃度が追随しにくくなり好ましくない。逆に、1.0cc/gより大きいと、活物質の真密度が低下して、電極体積当りの容量が小さくなり好ましくない。全メソ孔容積は、好ましくは0.006〜0.8cc/gが好適である。また、細孔直径100〜400Åのメソ孔容積が全メソ孔容積の25%以上を占める。該細孔直径のメソ孔容積が全メソ孔容積の25%より小さい場合には、溶媒和したリチウムイオンの易動度が低下するので、高出力時や低温時には、負極活物質界面付近のリチウムイオン濃度が追随しにくくなり好ましくない。該細孔直径のメソ孔容積の全メソ孔容積に対する上限は必ずしもないが、400〜500Åのメソ孔容積との連続性を考慮すると、通常90%以下程度となる。本発明では、なかでも、上記細孔直径のメソ孔容積が全メソ孔容積の30〜85%であるのが好適である。
なお、本発明において、負極活物資のミクロ孔、メソ孔、マクロ孔はIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)の分類に従い、細孔直径が2nm以下をミクロ孔、2〜50nmをメソ孔、50nmを超えるものをマクロ孔とする。なお、メソ孔の細孔容積は、脱着等温線のDH法(Dollimore−Heal法)による解析により求めた。
本発明の負極用炭素材料の平均粒子径については特に限定するものではないが、通常0.5〜30μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.5〜2μmである。平均粒子径が30μmより大きくなると、負活物質粒子の内部まで溶媒和したリチウムイオンが拡散して出入りする際の速度が遅くなってしまうので好ましくない。また、0.5μmより小さくなると電極密度が小さくなることから単位容積当たりのエネルギー密度が低下する傾向になる。更には粒子同士を結着させるために必要なバインダー量が多く必要となるために内部抵抗が上昇することもある。なお、本発明におけるかかる平均粒子径はレーザー回折散乱法により求めたものである。
本発明において上記の負極活物質から負極を形成する手段は、既存のものが使用できる。即ち、負極活物質粉末、バインダー、必要に応じて、導電性剤及び増粘剤(CMCなど)を水系又は有機溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを上記した集電体に塗布するか、又は上記スラリーを予めシート状に成形し、これを集電体に貼り付けてもよい。ここで使用されるバインダーとしては、例えば、SBR等のゴム系バインダーやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。バインダーの使用量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2〜40重量%の割合で加えることが適当である。
また、上記で必要に応じて使用される導電剤としては、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。導電剤の使用量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2〜40%の割合で加えることが適当である。
本発明の負極活物質の対極として使用される正極活物質は、リチウムイオンと、例えばテトラフルオロボレートのようなアニオンを可逆的に担持できる物質が使用される。かかる正極活物質としては、既知の活性炭粒子も使用できる。活性炭の粒度は一般的に使用される広い範囲のものが使用できる。例えば、その50%体積累積径(D50ともいう)が2μm以上であり好ましくは、2〜50μm、特に2〜20μmが好適である。また、平均細孔径が好ましくは10nm以下であり、比表面積が好ましくは600〜3000m/g、特には1300〜2500m/gであるのが好適である。
正極は、例えば上記の活性炭粉末から形成されるが、その手段は既存のものが使用できる。即ち、活性炭粉末、バインダー、必要に応じて導電剤及び増粘剤(CMCなど)を水系又は有機溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを必要に応じて使用される集電体に塗布するか、又は上記スラリーを予めシート状に成形し、これを集電体に貼り付けてもよい。ここで使用されるバインダーとしては、例えば、SBR等のゴム系バインダーやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂を用いることができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおける、電解液である非プロトン性有機溶媒電解質溶液を形成する有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられる。更に、これら非プロトン性有機溶媒の二種以上を混合した混合液を用いることもできる。
また、上記の単一あるいは混合の溶媒に溶解させる電解質は、リチウムイオンを生成しうる電解質であれば、あらゆるものを用いることができる。このような電解質としては、例えばLiClO、LiAsF、LiBF、LiPF等が挙げられる。上記の電解質及び溶媒は、充分に脱水された状態で混合され、電解質溶液とするのであるが、電解液中の電解質の濃度は、電解液による内部抵抗を小さくするため少なくとも0.1モル/l以上とすることが好ましく、0.5〜1.5モル/lの範囲内とすることが更に好ましい。
また、上記のリチウムイオンキャパシタとしては、特に、帯状の正極と負極とをセパレータを介して捲回させる円筒型セル、板状の正極と負極とをセパレータを介して各3層以上積層された角型セル、あるいは、板状の正極と負極とをセパレータを介した各3層以上積層物を外装フィルム内に封入したフィルム型セルなどの大容量のセルに適する。これらのセルの構造は、国際公開WO00/07255号公報、国際公開WO03/003395号公報、特開2004−266091号公報などにより既に知られており、本発明でもかかる既存のセルと同様な構成とすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。
(実施例1)
(負極活物質の作製)
平均粒子径(D50)14μmのコークス原料を選び、部分的な熱履歴のばらつきを無くすために、最初に780℃で2時間、窒素雰囲気中で熱処理を行った。この熱処理コークスをボールミルで平均粒子径(D50)7.0μmまで粉砕を行い、負極活物質前駆体1を得た。
100重量部の負極活物質前駆体1に対し、ニッケル金属換算で5重量部となるように硝酸ニッケル六水和物塩を溶解したエタノール溶液に、該負極活物質前駆体を投入し、スラリー化した。充分に均一になるように攪拌した後、浴槽内の温度を70℃に保ちながらゆっくりと攪拌し、加熱してエタノールを揮発、除去した。その後更に70℃の恒温槽で24時間乾燥し、充分エタノールを蒸発させて乾燥を行った。これを静置式電気炉内に入れ、窒素雰囲気中で1000℃まで3時間で昇温し、その到達温度で2時間保持した。放冷冷却後取り出した試料からニッケルを取り除くために、80℃、2N−HClで3時間酸洗浄を2回繰り返した。再度、水分を充分に乾燥した後に、粒径をD50%=7.0μmに揃えるために再度ボールミルにかけて粉砕を行った。こうして負極活物質試料1を得た。
92重量部の試料1に対し、アセチレンブラック粉体6重量部、アクリレート系共重合体バインダー5重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)4重量部、イオン交換水200重量部を加えて混合攪拌機にて充分混合することにより負極スラリー1を得た。
得られた負極スラリー1を、厚さ18μmの銅箔片面に対し、固形分目付量にして2.5mg/cmになるよう塗工し、150℃で20時間真空乾燥して負極を得た。この負極を2.4×3.8cmサイズに切り出して負極箔電極1を作製した。
上記負極箔電極1を、同サイズで厚み250μmの金属リチウムを対極として、厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレータとして介し模擬ラミネートセルを2セル組み立てた。また、参照極にはリチウム金属を用いた。電解液としては、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を用いた。
この模擬ラミネートセル1セルに対し、25℃において30mAの定電流で負極電位が25mVになるまで充電し、その後25mVの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を12時間行った。次いで、3mAの定電流にて負極電位が1.5Vになるまで放電し、初期放電容量を測定した。結果を表1に示す。
また、残り1セルに対し、充電電流3mAにて負極活物質量に対して190mAh/g分のリチウムイオンを充電し、その後3mAにて1.5Vまで放電を行った。放電開始後1分後の負極の電位から0.2V電位変化する間の放電時間より負極活物質試料1の単位重量当たりの静電容量を求めたところ675F/gであった。
(比較例1)
実施例1におけるニッケル添加熱処理をしていない負極活物質前駆体1を負極活物質試料2として用いる以外は実施例1と同様に負極スラリー2、負極箔電極2を得て、模擬ラミネートセルを2セル組み立てた。
この模擬ラミネートセル1セルに対し、25℃において30mAの定電流で負極電位が25mVになるまで充電し、その後25mVの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を12時間行った。次いで、3mAの定電流にて負極電位が1.5Vになるまで放電し、初期放電容量を測定した。結果を表1に示す。
また、残り1セルに対し、充電電流3mAにて負極活物質量に対して220mAh/g分のリチウムイオンを充電し、その後3mAにて1.5Vまで放電を行った。放電開始後1分後の負極の電位から0.2V電位変化する間の放電時間より負極活物質試料2の単位重量当たりの静電容量を求めたところ672F/gであった。
Figure 0004731979
表1からわかるように、負極活物質として、ニッケル添加熱処理を施した負極活物質試料1の方が、初期特性の充放電効率が高くなり、かつ放電容量を大きくとれることがわかる。すなわち、少ない充電量(少ないリチウムイオン量)で大きな放電容量が得られることがわかる。
(実施例2)
(正極活性炭スラリーの製造法)
おが屑を原料とし、電気炉中に入れ窒素気流下で50℃/時間の昇温速度で950℃まで昇温した後、窒素/水蒸気1:1の混合ガスにより12時間水蒸気賦活することにより、比表面積2450m/gの活性炭を製造した。該活性炭をアルミナ製ボールミル粉砕機で5時間粉砕して平均粒子径(D50)が7μmの活性炭粉末を得た。
上記正極用活性炭粉末92重量部、アセチレンブラック粉体6重量部、アクリレート系共重合体バインダー7重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)4重量部及びイオン交換水200重量部を混合攪拌機にて充分混合することにより正極スラリー1を得た。得られた正極スラリー1を、カーボン系導電塗料を塗工した厚さ20μmのアルミ箔片面に対し、固形分目付量にして2.5mg/cmになるよう塗工し、200℃で20時間真空乾燥して正極を得た。この正極を2.4×3.8cmサイズに切り出して正極箔電極1を作製した。
上記正極箔電極1を、同サイズで厚み250μmの金属リチウムを対極として、厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレータとして介し模擬ラミネートセルを組み立てた。また、参照極には金属リチウムを用いた。電解液としては、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を用いた。
この模擬ラミネートセルに対し、30mAの定電流で正極電位が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を1時間行った。次いで、3mAの定電流で正極電位が2.5Vになるまで放電した。3.5V〜2.5V間の放電時間より正極箔電極1の単位重量当たりの静電容量を求めたところ88F/gであった。
(負極エキスパンドメタル電極の製造法)
厚さ32μm(開口率57%)の銅製エキスパンドメタル(日本金属工業社製)に対し、上記実施例1の負極スラリー1を縦型両面同時ダイコーターにて両面同時塗工し、乾燥することにより、総厚み141μmの負極エキスパンドメタル電極1を得た。
(正極エキスパンドメタル電極の製造法)
厚さ38μm(開口率45%)のアルミニウム製エキスパンドメタル(日本金属工業社製)の両面に水系のカーボン系導電塗料を縦型両面同時ダイコーターにて両面同時塗工し、乾燥することにより導電層が形成された正極用集電体を得た。総厚み(集電体厚みと導電層厚みの合計)は52μmであり貫通孔はほぼ導電塗料により閉塞された。上記正極スラリーをコンマコーターにて該正極集電体の両面に片面ずつ塗工、乾燥することにより、厚み266μmの正極エキスパンドメタル電極1を得た。
(積層セルの作製)
厚さ141μmの負極エキスパンドメタル電極1及び厚さ266μmの正極エキスパンドメタル電極1をそれぞれ2.4cm×3.8cmにカットし、セパレータとして厚さ35μmのセルロース/レーヨンの混合不織布を用いて、負極集電体、正極集電体の接続端子との溶接部(以下、接続端子溶接部という)がそれぞれ交互に反対側になるよう配置し、それぞれ負極6枚、正極5枚を積層したセルを作製した。
最上部と最下部はセパレータを配置させて、4辺をテープ止めすることにより電極積層ユニットを得た。負極活物質重量に対して負極容量が670F/g以上の静電容量を得るために、厚さ45μmのリチウム金属箔を厚さ80μmのステンレス網に圧着したものを作製し、これを負極と対向するように電極積層ユニットの最外部に1枚配置した。負極(6枚)とリチウム金属を圧着したステンレス網はそれぞれ溶接し、接触させ、負極とリチウム金属箔がショートした形の三極積層ユニットを得た。
次に、上記三極積層ユニットの正極集電体の端子溶接部(5枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾10mm、長さ30mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製正極端子を重ねて超音波溶接した。同様に負極集電体の端子溶接部(6枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾10mm、長さ30mm、厚さ0.2mmのニッケル製負極端子を重ねて抵抗溶接し、縦102mm、横52mm、深さ1.3mmに深絞りした外装フィルム2枚の内部へ設置した。
外装ラミネートフィルムの端子部2辺と他の1辺を熱融着した後、電解液としてエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を真空含浸させた後、残り1辺を減圧下にて熱融着し、真空封止を行うことによりフィルム型キャパシタを3セル組立てた。
(セルの特性評価)
14日間室温にて放置後1セルを分解したところ、リチウム金属はいずれも完全に無くなっていたことから、負極活物質の単位重量当たりに670F/g以上の静電容量を得るためのリチウムイオンが予備充電されたと判断した。
残ったフィルム型キャパシタの2セルを、25℃及び20℃でそれぞれ24時間放置した後に、200mAの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を1時間行った。次いで、20mAの定電流でセル電圧が1.9Vになるまで放電した。この3.8V−1.9Vのサイクルを繰り返し、3回目の放電容量を測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例1と同様に、負極活物質としてニッケル添加熱処理をしていない負極活物質試料2を用いて作製した負極スラリー2を用いて、実施例2の負極エキスパンドメタル電極作製と同じ方法で厚さ144μmの負極エキスパンドメタル電極2を作製した。この負極エキスパンドメタル電極2と、実施例2の正極エキスパンドメタル電極1を用いて、実施例2と同じ構成の積層フィルム型キャパシタを3セル組立てた。尚、負極活物質重量に対して670F/g以上の静電容量を得るためのリチウム金属箔の厚さを55μmとした。
(セルの特性評価)
14日間室温にて放置後1セルを分解したところ、リチウム金属は完全に無くなっていたことから、負極活物質の単位重量当たりに670F/g以上の静電容量を得るためのリチウムイオンが予備充電されたと判断した。
残ったフィルム型キャパシタの2セルを、25℃及び20℃でそれぞれ24時間放置した後に、実施例2と同様に、200mAの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を1時間行った。次いで、20mAの定電流でセル電圧が1.9Vになるまで放電した。この3.8V−1.9Vのサイクルを繰り返し、3回目の放電容量を測定した。実施例2の結果と合わせて表2に結果を示す。
Figure 0004731979
また、各1セルずつ、正極と負極を短絡させ正極の電位を測定したところ、いずれの正極電位も0.80〜0.95Vの範囲であり、1.0V以下であった。
表2に示すように、正極と負極を短絡させた後の正極電位が1.0V以下であることから、高いエネルギー密度を有した積層フィルム型キャパシタが得られたが、中でも、ニッケル添加熱処理したコークスを負極活物質として用いた方が、コークスを負極活物質として用いた場合よりも−20℃の低温での放電容量が高く、低温特性に優れていることがわかる。また、少ないリチウム金属箔で同等のエネルギー密度が得られることから材料費が安価であり、工業的にも優れる。


本発明のリチウムイオンキャパシタは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの駆動用又は補助用蓄電源として極めて有効である。また、電動自転車、電動車椅子などの駆動用蓄電源、ソーラーエネルギーや風力発電などの各種エネルギーの蓄電装置、あるいは家庭用電気器具の蓄電源などとして好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 正極、負極、及び、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備えるリチウムイオンキャパシタであって、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極の電位が1.0V以下になるように負極及び/又は正極に対してリチウムイオンが充電前にドーピングされており、かつ、上記負極活物質が、遷移金属含有物質の存在下でのコークスの熱処理物であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  2. 前記正極及び/又は負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備えており、負極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンがドーピングされている請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  3. 負極活物質は、正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物資の重量よりも大きい請求項1又は2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  4. 遷移金属が、ニッケル及び/又は鉄である請求項1〜のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
  5. 炭素材料前駆体の熱処理物が600℃〜1500℃での熱処理物である請求項1〜のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
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