JP4728755B2 - 導電性接合の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性接合の形成方法に関し、特には、二つの金属層を面接合する際、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、導電性接合を形成する方法に関する。
金属ナノ粒子を利用した導電性接着剤としては、有機バインダー成分を利用する導電性金属ペーストにおいて、その導電性媒体として、金属ナノ粒子を利用したものが提案されている。金属ナノ粒子の金属表面では、金属原子の移動は、室温付近でも起こる。従って、この特徴を利用すると、金属ナノ粒子相互の金属面を接触させることで、その接触点でナノ粒子相互の融着を起こすことが可能である。
金属ナノ粒子を導電性接着剤中に配合する場合、金属ナノ粒子相互の融着に起因する凝集を防止するため、金属ナノ粒子の表面を被覆剤分子で被覆する手法が利用されている。また、この被覆剤分子は、金属ナノ粒子自体の分散性を向上する機能を持っている。また、導電性接着剤中の金属ナノ粒子に対して加熱を行い、その表面を被覆している被覆剤分子を除去し、金属ナノ粒子の活性な金属表面を露出させる処理を施した後、各種の導電性層の形成に利用することができる。具体的には、有機バインダー成分を接着に利用する形態では、有機バインダー成分として、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を配合しており、その加熱処理と併行して、被覆剤分子を熱的に除去している(特許文献1を参照)。その後、金属ナノ粒子相互の融着を行い、焼結型の導電性層を形成すると同時に、この焼結型の導電性層を有機バインダー成分の接着力を利用して、二つの金属層に対して、密着させている。
また、金属ナノ粒子の表面を被覆剤分子で被覆した上で、有機溶媒中に分散した分散液を利用することにより、金属ナノ粒子で構成される焼結体層を金属層の表面に形成する手法も提案されている(特許文献2を参照)。この手法では、被覆剤分子の除去を促進するため、加熱状態で、この被覆剤分子と反応可能な化合物を分散液中に添加して、加熱処理を施すことにより、速やかに被覆剤分子の除去を行っている。作製される金属ナノ粒子で構成される焼結体層は、有機バインダー成分を含んでないため、ハンダ接合を適用することも可能であり、メッキ膜の代替として利用可能なものとなっている。
国際公開第2002/35554号パンフレット 特開2002−334618号公報
有機バインダー成分を利用する導電性金属ペースト中に配合する導電性媒体として、金属ナノ粒子を利用した導電性接着剤は、従来の金属粉を利用している導電性接着剤と比較し、その導電性能は格段に向上している。しかし、接合対象の金属層との接着は、有機バインダー成分の接着力を利用しているため、全体として、熱膨張係数に大きな差違を有している。また、低温条件では、有機バインダー成分の接着力が低下するという課題を内在している。
また、メッキ膜の代替可能な金属ナノ粒子で構成される焼結体層を利用して、ハンダ接合を適用する導電性接合法は、適用対象が格段に広がり有用な手法である。但し、ハンダ接合が有している課題、例えば、ハンダ合金自体は酸化を受け易く、接合界面にその酸化膜が生成すると、その部分で剥離を引き起こす点は、本質的に克服されていない。
多くの半導体装置の組み立てで利用されている、ワイア・ボンディング工程では、ボンディング・ワイアとボンディング・パッドとの間の接合に、金属間接合を利用している。すなわち、金属面同士を接触させ、加圧しつつ、加熱を施すことで、金属界面において、金属原子の相互拡散と再配置を起こさせ、金属間接合を形成する、鍛接(welding)の手法が利用されている。この鍛接(welding)の手法では、接合される金属表面が清浄であれば、その界面において、金属原子の相互拡散と再配置に伴って、一体化がなされるため、その界面は実質的に消滅し、強固な接合が達成できる。
ダイ・ボンディング工程においても、金属層相互の導電性接合を鍛接(welding)の手法を応用して形成することが望まれている。
本発明は前記の課題を解決するものであり、本発明の目的は、金属層の面相互の導電性接合を行う際、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互を導電性接合する際、金属層の金属表面と導電性接合層との間の接合を鍛接(welding)の手法を応用して形成する金属間接合によって達成することが可能な導電性接合の形成方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく、鋭意研究を行い、次の知見を得た。金属層の金属膜表面に、有機溶媒中に金属ナノ粒子を分散させた分散液を塗布し、有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理を施し、150℃以下の加熱温度下、高周波プラズマ処理を施すと、金属ナノ粒子からなる焼結体型の導電性層が形成されることを見出した。この焼結体型の導電性層は、金属層の金属膜表面に対して、緻密な金属間接合を形成することで固着されていることも判明した、加えて、焼結体型の導電性層の上面には、金属ナノ粒子がほぼ平坦な面を構成するように露呈している。その上面に、他の金属層の金属膜表面を重ねて、圧力を加えて押し付けつつ、加熱を施すと、上面に露呈している金属ナノ粒子と他の金属層の金属膜表面との間で、金属間接合が形成することを見出した。金属ナノ粒子を利用するため、接触界面に圧力を加え、加熱を施すことで、金属原子の相互拡散と再配置によって、金属間接合を形成するための鍛接(welding)工程は、200℃未満の低い加熱温度で実施することが可能となっている。本発明者らは、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の形態にかかる導電性接合の形成方法の第一の態様は、
二つの金属層の面相互を導電性接合する方法であって、
前記導電性接合は、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互が接合されるものであり、
前記導電性接合の形成プロセスは、
一方の金属層を構成する金属表面に、当該ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなる、金属ナノ粒子分散液を利用して、該金属ナノ粒子分散液の塗布層を形成する工程;
前記金属ナノ粒子分散液の塗布層中に含まれる有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理済の塗布層を形成する工程;
一方の金属層を構成する金属表面に形成した前記乾燥処理済の塗布層を、高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施し、当該ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層を除去し、次いで、前記金属ナノ粒子相互の融着を行って、前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を一方の金属層を構成する金属表面に形成する工程;
前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の表面に、他方の金属層を構成する金属表面を重ね合わせ、圧力を加えて、両者の表面を互いに押し付けつつ、100℃〜200℃の範囲に選択される温度において、加熱処理を施して、前記導電性接合層の表面と他方の金属層を構成する金属表面との間に金属間接合を形成する工程とを有し、
前記ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子は、
平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択されている金属ナノ粒子に対して、
前記金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する有機化合物1種以上を被覆剤分子として、該金属ナノ粒子の表面に被覆してなるナノ粒子である
ことを特徴とする導電性接合の形成方法である。
上記本発明の第一の形態にかかる導電性接合の形成方法の第一の態様においては、
前記金属ナノ粒子を構成する金属種は、金、銀、銅、白金、パラジウム、およびニッケルからなる群から選択される金属であることが好ましい。
また、前記高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施す工程において、
該高周波プラズマ雰囲気は、不活性ガスを用いて生起されているプラズマ雰囲気であることが好ましい。その際、前記不活性ガスとして、アルゴン、ヘリウムまたはその混合物を用いることができる。
本発明の第一の形態にかかる導電性接合の形成方法の第二の態様は、
二つの金属層の面相互を導電性接合する方法であって、
前記導電性接合は、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互が接合されるものであり、
前記導電性接合の形成プロセスは、
一方の金属層を構成する金属表面に、当該ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属酸化物ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなる金属酸化物ナノ粒子分散液を利用して、該金属酸化物ナノ粒子分散液の塗布層を形成する工程;
前記金属酸化物ナノ粒子分散液の塗布層中に含まれる有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理済の塗布層を形成する工程;
一方の金属層を構成する金属表面に形成した前記乾燥処理済の塗布層を、還元性気体の共存下、高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施し、当該ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層を除去し、さらに、該金属酸化物ナノ粒子を還元して金属ナノ粒子を作製し、次いで、前記金属ナノ粒子相互の融着を行って、前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を一方の金属層を構成する金属表面に形成する工程;
前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の表面に、他方の金属層を構成する金属表面を重ね合わせ、圧力を加えて、両者の表面を互いに押し付けつつ、100℃〜200℃の範囲に選択される温度において、加熱処理を施して、前記導電性接合層の表面と他方の金属層を構成する金属表面との間に金属間接合を形成する工程とを有し、
前記ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属酸化物ナノ粒子は、
平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択されている金属酸化物ナノ粒子に対して、
前記金属酸化物ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する有機化合物1種以上を被覆剤分子として、該金属酸化物ナノ粒子の表面に被覆してなるナノ粒子である
ことを特徴とする導電性接合の形成方法である。
上記本発明の第一の形態にかかる導電性接合の形成方法の第二の態様においては、
前記金属酸化物ナノ粒子の構成する金属酸化物は、銀、銅、ニッケルからなる群から選択される金属の酸化物であることが好ましい。
また、還元性気体の共存下、前記高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施す工程において、
該高周波プラズマ雰囲気は、還元性気体と不活性ガスの混合気体を用いて生起されているプラズマ雰囲気であることが好ましい。その際、
前記還元性気体と不活性ガスの混合気体において、
該不活性ガスとして、アルゴン、ヘリウムまたはその混合物を、また
該還元性気体として、水素、アンモニアまたはその混合物を用いることができる。
さらに、本発明の第二の形態にかかる導電性接合の形成方法の第一の態様は、
二つの金属層の面相互を導電性接合する方法であって、
前記導電性接合は、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互が接合されるものであり、
前記導電性接合の形成プロセスは、
前記二つの金属層を構成する金属表面に、それぞれ当該ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなる、金属ナノ粒子分散液を利用して、該金属ナノ粒子分散液の塗布層を形成する工程;
前記金属ナノ粒子分散液の塗布層中に含まれる有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理済の塗布層を形成する工程;
前記二つの金属層を構成する金属表面に形成した前記乾燥処理済の塗布層を、それぞれ、高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施し、当該ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層を除去し、次いで、前記金属ナノ粒子相互の融着を行って、前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層をそれぞれの金属層を構成する金属表面に形成する工程;
前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の表面を、互いに重ね合わせ、圧力を加えて、両者の表面を互いに押し付けつつ、100℃〜200℃の範囲に選択される温度において、加熱処理を施して、前記二つの導電性接合層の表面の間に金属間接合を形成する工程とを有し、
前記ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子は、
平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択されている金属ナノ粒子に対して、
前記金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する有機化合物1種以上を被覆剤分子として、該金属ナノ粒子の表面に被覆してなるナノ粒子である
ことを特徴とする導電性接合の形成方法である。
本発明の第二の形態にかかる導電性接合の形成方法の第二の態様は、
二つの金属層の面相互を導電性接合する方法であって、
前記導電性接合は、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互が接合されるものであり、
前記導電性接合の形成プロセスは、
前記二つの金属層を構成する金属表面に、それぞれ当該ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属酸化物ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなる、金属酸化物ナノ粒子分散液を利用して、該金属酸化物ナノ粒子分散液の塗布層を形成する工程;
前記金属酸化物ナノ粒子分散液の塗布層中に含まれる有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理済の塗布層を形成する工程;
前記二つの金属層を構成する金属表面に形成した前記乾燥処理済の塗布層を、それぞれ、還元性気体の共存下、高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施し、当該ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層を除去し、さらに、該金属酸化物ナノ粒子を還元して金属ナノ粒子を作製し、次いで、前記金属ナノ粒子相互の融着を行って、前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層をそれぞれの金属層を構成する金属表面に形成する工程;
前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の表面を、互いに重ね合わせ、圧力を加えて、両者の表面を互いに押し付けつつ、100℃〜200℃の範囲に選択される温度において、加熱処理を施して、前記二つの導電性接合層の表面の間に金属間接合を形成する工程とを有し、
前記ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属酸化物ナノ粒子は、
平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択されている金属酸化物ナノ粒子に対して、
前記金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する有機化合物1種以上を被覆剤分子として、該金属ナノ粒子の表面に被覆してなるナノ粒子である
ことを特徴とする導電性接合の形成方法である。
以上に述べた本発明にかかる導電性接合の形成方法は、
前記二つの金属層は、
配線基板表面に形成されている金属配線層と、該配線基板の金属配線層上に接合する電子部品の金属電極層の組み合わせである場合に好適に利用可能である。
すなわち、本発明にかかる導電性接合の形成方法は、配線基板上に電子部品を導電性接合によって、固定する工程に好適に利用できる。
本発明にかかる導電性接合の形成方法を利用すると、従来、バインダー樹脂成分を含む導電性接着剤を利用して、二つの金属層の面相互を導電性接着する工程に代えて、本質的にバインダー樹脂成分を利用せず、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、金属間接合によって、二つの金属層の面相互を導電性接合することが可能となる。特に、この導電性接合の形成を行う際、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を作製する過程において、金属ナノ粒子の表面を被覆している、被覆剤分子層を予め除去する手段として、高周波プラズマ処理を採用しており、その後、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、導電性接合を形成するための鍛接(welding)工程は、200℃未満の低い加熱温度で実施することが可能となっている。加えて、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子(金属酸化物ナノ粒子)に対して、還元性気体の共存下、高周波プラズマ処理を施すことで、表面酸化膜の還元を行い、金属ナノ粒子に復した上で、かかる金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介した導電性接合の形成が可能となる。
以下に、本発明をより詳しく説明する。
本発明の導電性接合の形成方法では、金属ナノ粒子を利用して、導電性接合層を形成している。この導電性接合層中においては、金属ナノ粒子が互いに融着して、低温加熱によって焼結体型の導電体層を構成している。一方、この導電性接合層により接合される金属層との接合界面では、金属層を構成する金属表面に対して、焼結体型の導電性接合層の表面に露呈している金属ナノ粒子が鍛接(welding)されることによって、金属間接合がなされている。従って、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、金属間接合によって、二つの金属層の面相互を導電性接合することが可能となっている。具体的には、金属ナノ粒子が互いに融着して、低温加熱によって焼結体型の導電体層を形成する際、金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子は、予めプラズマ処理を施すことにより、除去されている。そのため、積層されている金属ナノ粒子は、金属表面を互いに接触する結果、低温でも、金属ナノ粒子表面における金属原子の移動が進行するため、速やかに相互融着がなされる。その際、金属層の表面と接している金属ナノ粒子では、金属層の表面との接触部位に存在する、狭い隙間に、そのナノ粒子表面を移動する金属原子が次第に蓄積される。すなわち、金属層の表面と金属ナノ粒子の表面の間では、その狭い隙間を金属ナノ粒子を構成する金属原子が密に埋め込み、その接触部位の接触面積は大幅に拡張される。この金属間接合の形成を促進するため、焼結体型の導電性接合層と金属層との接触面に対して、均一な圧力を付加することで、金属層の表面へ密着する金属ナノ粒子の面密度を高くしている。この状態で、加熱を行うことで、金属ナノ粒子の表面における金属原子の移動を促進する結果、金属層の表面と金属ナノ粒子との接合部位の延べ面積が大きくできる。
一方、金属ナノ粒子の分散液に代えて、金属酸化物ナノ粒子の分散液を利用する際には、一旦、金属酸化物ナノ粒子の分散液を金属層表面に塗布した後、この塗布層に乾燥処理を施して、乾燥済金属酸化物ナノ粒子塗布層を形成する。次いで、利用している金属酸化物ナノ粒子は、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子であり、その表面は、金属ナノ粒子と同様に、被覆剤分子で被覆されている。乾燥済金属酸化物ナノ粒子塗布層に対して、還元性気体の共存下、高周波プラズマ処理を施すことで、まず、金属酸化物ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子の離脱が進み、表面酸化膜が露呈した状態となる。次いで、高周波プラズマ処理を継続すると、共存している還元性気体を利用して、表面酸化膜の還元が進行し、その最表面は金属原子で覆われた状態となる。その状態となると、高周波プラズマから供給されるエネルギーを利用して、内部に残っている金属酸化物層と、最表面に生成した金属原子層との間で、酸素原子の交換反応が進行し、内核部分に金属原子が集積し、最表面は、再び金属酸化物層で覆われる状態となる。この最表面に再生される金属酸化物層に対して、高周波プラズマ処理中、共存している還元性気体による還元反応が起こる。この還元反応、金属原子層と金属酸化物層との間での交換反応とが繰り返される結果、最終的には、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子から、その表面部に存在する表面酸化膜層の全てが還元され、金属ナノ粒子へと復される。
表面酸化膜を有する金属ナノ粒子から、金属ナノ粒子へと復された後には、上記の積層されている金属ナノ粒子における、低温加熱による焼結体型の導電体層の形成過程と全く同様の機構を経て、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層が生成される。一旦、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層が生成されると、その後、金属層を構成する金属表面に対して、焼結体型の導電性接合層の表面に露呈している金属ナノ粒子が鍛接されることによって、金属間接合がなされる。この後段の過程は、金属ナノ粒子の分散液を利用する場合と、金属酸化物ナノ粒子の分散液を利用する場合とで、本質的に同じものである。
本発明の導電性接合の形成方法では、導電性接合層中においては、高周波プラズマ処理を施す過程において、金属ナノ粒子が互いに融着して、低温加熱によって焼結体型の導電体層を構成する必要がある。そのため、利用される金属ナノ粒子の平均粒子径を、少なくとも、1〜100nmの範囲に選択する。好ましくは、利用される金属ナノ粒子の平均粒子径を、1〜20nmの範囲に選択する。
高周波プラズマ処理を施す過程において、金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子は、プラズマ中に存在する荷電粒子(イオン種)から、その荷電粒子の有する励起エネルギーを供与されることで、その分子内振動の励起を受ける。この振動励起は、熱的なエネルギーに因る振動励起と同様に、金属原子に対して、配位的な結合を形成している被覆剤分子の離脱を促進する。加えて、高周波プラズマ処理を施す際、通常、減圧状態となっているため、この被覆剤分子は一旦金属表面から離脱すると、再び、金属表面に結合することなく、系外へ排気される。減圧状態であるため、乾燥済の金属ナノ粒子塗布層の内部においても、狭い隙間を経由して、離脱した被覆剤分子は、金属ナノ粒子塗布層の外へと移動することが可能となっている。従って、乾燥済の金属ナノ粒子塗布層の内部、例えば、金属層との界面に存在している金属ナノ粒子も、その表面を被覆していた被覆剤分子が離脱し、金属ナノ粒子相互が金属面を直接接する状態となり、金属ナノ粒子相互の融着が進行する。また、金属層表面に接している金属ナノ粒子は、その金属表面を金属層の金属膜表面に接触することで、該接触部位では、金属膜表面に金属ナノ粒子が融着する状態となる。
なお、金属層表面が酸化皮膜層で覆われている場合、金属ナノ粒子の金属表面と、金属層の金属膜表面との接触が達成されない。金属層表面が酸化皮膜層で覆われている場合には、高周波プラズマ処理を施す過程で、還元性気体を共存させておき、金属層表面の酸化皮膜層の還元を同時に行う必要がある。
また、高周波プラズマ処理を行う際、プラズマ自体、ある程度温度上昇しており、表面の被覆剤分子が脱離された金属ナノ粒子相互の融着、ならびに、金属層の金属膜表面に対する金属ナノ粒子の融着は、この温度上昇によっても加速される。この高周波プラズマ処理を行った時点では、乾燥済の金属ナノ粒子塗布層と金属層との界面に存在していた金属ナノ粒子と、金属層の金属膜表面との接触点に、この温度上昇によって、金属ナノ粒子表面を移動する金属原子が集まる。この接触点に集まった金属原子の寄与によって、ある程度の接触面積を有する接合部位が形成される。勿論、乾燥済の金属ナノ粒子塗布層を構成する、積層されている金属ナノ粒子相互は、その接触点で互いに融着する結果、ネットワーク状の焼結体型の導電性接合層を構成しており、この焼結体型の導電性接合層は、金属層の金属膜表面に固着された状態となる。
その際、焼結体型の導電性接合層の下面側では、金属層の金属膜表面上に金属ナノ粒子の分散液を塗布し、乾燥処理を行う段階で、先ず、金属膜表面に金属ナノ粒子が接触し、高密度で覆っている最下層が形成される。その後、その上に次層以降の金属ナノ粒子が積み重なり、全体の積層構造が構成されている。従って、金属ナノ粒子と、金属層の金属膜表面との接触点の面密度は十分に高くなっており、焼結体型の導電性接合層は、金属層の金属膜表面に強固に固着された状態となる。
この焼結体型の導電性接合層全体は、金属ナノ粒子の融着によって構成されたネットワーク状の構造を有するが、その上面には、金属ナノ粒子が高い面密度で露呈している。しかしながら、この上面に露呈されている金属ナノ粒子は、ほぼ平面上に配置されているが、微視的には、凹凸を示す状態となっている。従って、この上面に対して、他の金属層を重ね合わせた場合、上面に存在する金属ナノ粒子のうち、一部が金属層の金属膜表面に接触する。焼結体型の導電性接合層の上面と、他の金属層の金属膜表面とを圧力を加えて押し付けると、焼結体型の導電性接合層全体が押しつぶされる結果、上面に存在する金属ナノ粒子のほとんど全てが、他の金属層の金属膜表面と接触する状態となる。
他の金属層の金属膜表面と接触する金属ナノ粒子の面密度を十分高くした状態で、加熱処理を施すことによって、各接触点に金属ナノ粒子の金属ナノ粒子表面を移動する金属原子が集まる。この接触点に集まった金属原子の寄与によって、ある程度の接触面積を有する接合部位が形成される。加えて、焼結体型の導電性接合層の下面側と金属層の金属膜表面との界面、ネットワーク状の焼結体型の導電性接合層中における金属ナノ粒子相互の融着部位においても、加熱処理を行う間に、その融着がさらに進行する。最終的に、上下の金属層の金属膜表面と焼結体型の導電性接合層との界面では、緻密な金属間接合が形成され、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、金属間接合によって、二つの金属層の面相互が導電性接合される。
本発明の導電性接合の形成方法では、金属ナノ粒子を利用する代わりに、金属酸化物ナノ粒子、具体的には、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子を利用して、その表面酸化膜を還元して、再生される金属ナノ粒子を用いることも可能である。その際、金属層の金属膜表面上に金属酸化物ナノ粒子の分散液を塗布した後、その塗布層に乾燥処理を施し、乾燥済の金属酸化物ナノ粒子塗布層を一旦形成する。この状態で、金属層の金属膜表面上に接している金属酸化物ナノ粒子の面密度を、前記乾燥済の金属ナノ粒子塗布層と同程度とするため、使用する金属酸化物ナノ粒子の平均粒子径は、少なくとも、1〜100nmの範囲に選択する。好ましくは、利用される金属酸化物ナノ粒子の平均粒子径を、1〜20nmの範囲に選択する。
金属自体の比重と比較し、金属酸化物の比重は小さく、同じ粒子径の金属酸化物ナノ粒子と金属ナノ粒子とを比較すると、金属酸化物ナノ粒子中に含まれる金属の含有量は相対的に少なくなる。従って、還元性気体の共存下、高周波プラズマ処理を施すことによって、金属酸化物ナノ粒子を金属ナノ粒子へと変換すると、その粒子径は若干小さくなる。その程度は、金属酸化物ナノ粒子に占める金属酸化物の含有比率に依存しており、全体は金属酸化物で構成される場合と、金属ナノ粒子の表面に薄い表面酸化膜が形成されている場合とでは、明確な差が生じる。
この点を考慮すると、利用する金属酸化物ナノ粒子は、金属ナノ粒子の表面に薄い表面酸化膜が形成されている形態であることが、通常好ましい。特に、還元性気体の共存下、高周波プラズマ処理を施すことによって、表面酸化膜を還元して金属ナノ粒子に変換する過程も、金属ナノ粒子の表面に薄い表面酸化膜が形成されている形態であると、より短時間に完了するため、より好ましい。
本発明の導電性接合の形成方法に関して、接合すべき二つの金属層のうち、その一方の表面に焼結体型の導電性接合層を予め形成した後、この焼結体型の導電性接合層の上面に他の金属層の金属膜表面を押し付け、圧力を加えて押し付けた状態で加熱処理を施す第一の形態を上で説明した。この第一の形態に加えて、接合すべき二つの金属層の双方ともに、その表面に焼結体型の導電性接合層を予め形成した後、この焼結体型の導電性接合層同士を押し付け、圧力を加えて押し付けた状態で加熱処理を施す第二の形態を選択することもできる。この第二の形態では、各金属層の金属膜表面と焼結体型の導電性接合層との界面での金属間接合は、上記の第一の形態における、その表面に焼結体型の導電性接合層を予め形成する界面での金属間接合と同様の過程で形成される。一方、焼結体型の導電性接合層同士が接する界面における金属間接合は、以下の機構で形成される。
焼結体型の導電性接合層上面に露呈されている金属ナノ粒子は、ほぼ平面上に配置されているが、微視的には、凹凸を示す状態となっている。従って、単に、焼結体型の導電性接合層同士を重ね合わせただけでは、二つの上面に露呈されている金属ナノ粒子間において、接触がなされる部分は、その一部のみである。この焼結体型の導電性接合層同士を押し付け、圧力を加えると、微視的な凹凸が平坦化され、二つの上面に露呈されている金属ナノ粒子間で、高い面密度で接触がなされる状態となる。この圧力を加えて押し付けた状態で加熱処理を施すと、金属ナノ粒子相互が接触する点において融着が引き起こされ、焼結体型の導電性接合層同士が、金属ナノ粒子相互の融着によって、緻密に連結された状態となる。換言するならば、二つの焼結体型の導電性接合層は、一体化がなされる。最終的に、上下の金属層の金属膜表面と、この一体化された焼結体型の導電性接合層との界面では、緻密な金属間接合が形成され、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、金属間接合によって、二つの金属層の面相互が導電性接合される。
本発明の導電性接合の形成方法においては、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の上面と、他の金属層の金属膜表面との界面、あるいは、焼結体型の導電性接合層同士の界面においては、圧力を加えて押し付けた状態で加熱処理を施すことで、金属間接合を形成している。従って、この接合を行う焼結体型の導電性接合層同士は、それぞれの層を構成する金属ナノ粒子相互が、その金属表面を接触させた際、200℃以下の加熱温度においても、容易に融着を引き起こすことが必要である。また、他の金属層の金属膜表面に対して、金属ナノ粒子の金属表面を接触させた際、200℃以下の加熱温度においても、容易に融着を引き起こすことが必要である。
金属表面相互を接触させた際、その接触界面において融着が進むためには、局所的には、両者の金属原子が相互拡散し、連続的な金属構造を形成する状態となることが必要である。両者が同じ種類の金属である場合、当然、その界面において、金属原子の相互拡散が進行するので、接触界面における融着に最も適する。両者が異なる種類の金属である場合、二種の金属原子間で相互拡散が、200℃以下の加熱温度においても、容易に進行するためには、二種の金属が完全な固溶体型の合金を形成できることが望ましい。あるいは、二種の金属間において、高い接着性が達成できる組み合わせも、良好な金属間接合の形成に適するものである。
以上の観点からは、接合すべき金属層を構成する金属膜を形成している金属種と、焼結体型の導電性接合層を構成している金属ナノ粒子の金属種は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択することが好ましい。特に、焼結体型の導電性接合層を構成している金属ナノ粒子は、圧力を加えて、接合対象面に押し付けた際、ネットワーク状の焼結体型の導電性接合層自体が押しつぶされ、表面に露呈する金属ナノ粒子が、接合対象面と緻密に接触する形態であることが必要である。その観点では、金属ナノ粒子を構成する金属種は、延性、展性に優れていることが好ましく、この観点でも、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルは、好ましい選択肢である。また、接合すべき金属層を構成する金属膜も、金属ナノ粒子と密な接触を図る上では、延性、展性に優れていることが好ましく、この観点でも、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルは、好ましい選択肢である。
一方、金属ナノ粒子に代えて、金属酸化物ナノ粒子、特には、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子を利用する際にも、還元を施して、得られる金属ナノ粒子の金属種は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択することが好ましい。換言するならば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される金属種の金属ナノ粒子に対して、その表面を表面酸化膜へと変換して得られる、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子が好適である。特に、金属酸化物ナノ粒子の表面に対して、対応する金属ナノ粒子の被覆に利用する被覆剤分子と同種の被覆剤分子で被覆するためには、予め金属ナノ粒子を作製し、その後、表面より酸化を行ない、金属酸化物ナノ粒子としたものが好ましい。金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される金属の酸化物からなる金属酸化物ナノ粒子のうち、銀、銅、ニッケルからなる群から選択される金属の酸化物からなる金属酸化物ナノ粒子は、前記手法を適用して、容易に作製可能である。従って、本発明の導電性接合の形成方法においては、金属酸化物ナノ粒子の分散液を用いる際、銀、銅、ニッケルからなる群から選択される金属の酸化物からなる金属酸化物ナノ粒子の分散液が、より好適に利用できる。
なお、金属酸化物ナノ粒子としては、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子を利用することが好ましいが、目的の平均粒子径を有する、球形形状のナノ粒子であれば、ナノ粒子全体が金属酸化物で構成されるものも利用可能である。一般に、金属酸化物は、種々の結晶系を有しており、直接、ナノサイズの球形形状のナノ粒子を形成することが困難であることも少なくない。本発明においては、金属酸化物ナノ粒子を利用する際には、還元性気体の共存下、高周波プラズマ処理を施すことで、一旦、金属ナノ粒子へ変換するため、外形形状は、概ね球形形状であることが望ましい。すなわち、概ね球形形状であれば、表面から還元を進め、最終的に、金属ナノ粒子へと変換した際、得られる金属ナノ粒子の外形形状も、概ね球形形状とできる。一方、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子を利用する際には、外形形状は、概ね球形形状であるとともに、その表面酸化膜の膜厚は、均一な分布を有することが好ましい。
表面酸化膜の還元を行う際には、例えば、次のような過程を介して、ナノ粒子表面において、還元反応で生成する金属原子が、ナノ粒子の中心部に蓄積されていくと推定される。例えば、表面酸化膜は、M(II)Oで示される、二価の金属カチオン種を含む酸化物(M(II)O)と仮定すると、還元性気体である水素分子(H2)との反応によって、一価の金属カチオン種を含む酸化物(M(I)O)へと部分的に還元される。
2M(II)O+H2 → M(I)2O+H2
加熱状態では、一価の金属カチオン種を含む酸化物(M(I)O)から、二価の金属カチオン種を含む酸化物(M(II)O)と金属原子(M(0))へと、不均一化が進行する。
M(I)2O → M(0)+M(II)O
その結果、ナノ粒子の最表面には、二価の金属カチオン種を含む酸化物(M(II)O)が再生され、ナノ粒子の中心部には金属原子(M(0))が徐々に蓄積する。最終的には、金属酸化物ナノ粒子全体が、金属原子で構成されるナノ粒子へと変換される。
一方、金属ナノ粒子をその表面から酸化する際には、表面においては、二価の金属カチオン種を含む酸化物(M(II)O)が生成した後、内部の金属原子(M(0))と反応して、一価の金属カチオン種を含む酸化物(M(I)O)が形成される。この一価の金属カチオン種を含む酸化物(M(I)O)が、不均一化を起こし、最表面に金属原子(M(0))が再生され、内部に金属酸化物層が蓄積される。結果、表面に表面酸化膜層を有し、内部は、金属の核粒子を有する状態となる。最終的には、金属酸化物層がナノ粒子の中心まで達すると、完全に金属酸化物へと変換された金属酸化物ナノ粒子となる。
2M(0)+1/2O2 → M(I)2
M(I)2O+1/2O2 → 2M(II)O
M(0)+1/2O2 → M(II)O
M(0)+M(II)O → 2M(I)2
いずれの過程も、価数の異なる金属カチオン種を含む金属酸化物が存在することが、その機構の進行に必須であり、銀、銅、ニッケルからなる群から選択される金属の酸化物は、この条件をも満足している。
本発明にかかる導電性接合の形成方法においては、金属ナノ粒子の分散液、あるいは、金属酸化物ナノ粒子の分散液を利用して、接合すべき金属層の金属膜表面に、所定の膜厚の塗布膜を形成する。金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散させ、また、分散液中において、金属ナノ粒子が、互いに金属表面を接触させ、融着を起こすことを防止するために、金属ナノ粒子の表面を被覆剤分子で被覆した状態としておく。この被覆剤分子には、金属ナノ粒子を構成する金属元素と配位的な結合が可能な基を有する有機化合物が利用される。具体的には、窒素原子、酸素原子、イオウ原子が有する孤立電子対(非共有電子対)を利用して、金属元素に対して、配位的な結合が可能な基を有する有機化合物が利用される。
すなわち、本発明では、金属(M)に対して、M−S−R型の金属チオラート、M−O−R型の金属アルコラートや金属フェノラートのような共有結合に類する安定な結合を形成する化合物ではなく、金属元素と配位的な結合が可能な基を有する有機化合物が利用される。この金属元素と配位的な結合が可能な基としては、アミノ基(−NH2)、ヒドロキシ基(−OH)、スルファニル基(−SH)を挙げることができる。また、場合によっては、イミノ基(−NH−)、エーテル(−O−)、スルフィド(−S−)に存在する孤立電子対(非共有電子対)を利用して、金属元素に対して、配位的な結合が可能な有機化合物を利用することもできる。この被覆剤分子でその表面が被覆された金属ナノ粒子を、分散溶媒中に均一に分散させる際、この被覆剤分子は分散剤としても機能するものを選択する。すなわち、金属元素と配位的な結合が可能な基を有するとともに、例えば、その有機化合物を構成している炭化水素骨格は、分散溶媒と親和性を有するものが好適に利用される。
用いる分散溶媒が、例えば、鎖式炭化水素などの非極性溶媒や、芳香族炭化水素などの低い極性を示す溶媒である際には、鎖式炭化水素骨格と、金属元素と配位的な結合が可能な基として、アミノ基(−NH2)、ヒドロキシ基(−OH)、スルファニル基(−SH)を有している有機化合物が利用可能である。
利用可能なアミノ基を有する有機化合物の代表として、鎖式炭化水素骨格の末端にアミノ基(−NH2)を有する第一アミン化合物、特には、アルキルアミンを挙げることができる。なお、かかるアルキルアミンは、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上の範囲となるものが好ましい。例えば、沸点が150℃以上の範囲となるものも好適に利用可能である。一方、金属ナノ粒子を被覆しているアルキルアミンの離脱は、高周波プラズマ処理を施すことによりなされる。高周波プラズマ処理を施す過程において、金属ナノ粒子の表面を被覆しているアルキルアミン分子は、プラズマ中に存在する荷電粒子(イオン種)から、その荷電粒子の有する励起エネルギーを供与されることで、その分子内振動の励起を受ける。具体的には、末端のアミノ基(−NH2)に固有の振動が励起されると、窒素原子が有する孤立電子対(非共有電子対)を利用している、金属元素に対する配位的な結合は大幅に弱められる。その際、高周波プラズマ処理が、減圧条件下で実施されていると、振動励起されたアルキルアミン分子は、速やかに離脱する。金属ナノ粒子表面から離脱した後、減圧条件下において、蒸散することが可能であることが望ましく、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
また、利用可能なスルファニル基(−SH)を有する化合物の代表として、鎖式炭化水素骨格の末端にスルファニル基(−SH)を有する第一級チオール化合物、特には、アルカンチオールを挙げることができる。なお、かかるアルカンチオールも、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上の範囲となるものが好ましい。例えば、沸点が150℃以上の範囲となるものも好適に利用可能である。一方、金属ナノ粒子を被覆しているアルカンチオールの離脱は、高周波プラズマ処理を施すことによりなされる。高周波プラズマ処理を施す過程において、金属ナノ粒子の表面を被覆しているアルカンチオール分子は、プラズマ中に存在する荷電粒子(イオン種)から、その荷電粒子の有する励起エネルギーを供与されることで、その分子内振動の励起を受ける。具体的には、末端のスルファニル基(−SH)に固有の振動が励起されると、イオウ原子が有する孤立電子対(非共有電子対)を利用している、金属元素に対する配位的な結合は大幅に弱められる。その際、高周波プラズマ処理が、減圧条件下で実施されていると、振動励起されたアルカンチオール分子は、速やかに離脱する。金属ナノ粒子表面から離脱した後、減圧条件下において、蒸散することが可能であることが望ましく、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルカンチオールとして、そのアルキル基は、C8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にスルファニル基を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルカンチオールは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
また、利用可能なヒドロキシ基を有する化合物の代表として、アルカンジオールを挙げることができる。一例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類などを挙げることができる。なお、かかるアルカンジオールも、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、通常、100℃以上の範囲の範囲となるものが好ましい。例えば、沸点が150℃以上の範囲となるものも好適に利用可能である。一方、金属ナノ粒子を被覆しているアルカンジオールの離脱は、高周波プラズマ処理を施すことによりなされる。高周波プラズマ処理を施す過程において、金属ナノ粒子の表面を被覆しているアルカンジオール分子は、プラズマ中に存在する荷電粒子(イオン種)から、その荷電粒子の有する励起エネルギーを供与されることで、その分子内振動の励起を受ける。具体的には、末端のヒドロキシ基(−OH)に固有の振動が励起されると、酸素原子が有する孤立電子対(非共有電子対)を利用している、金属元素に対する配位的な結合は大幅に弱められる。その際、高周波プラズマ処理が、減圧条件下で実施されていると、振動励起されたアルカンジオール分子は、速やかに離脱する。金属ナノ粒子表面から離脱した後、減圧条件下において、蒸散することが可能であることが望ましく、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、1,2−ジオール型などの、二以上のヒドロキシ基が結合に関与するものなども、好適に利用可能である。
一方、金属酸化物ナノ粒子は、分散液中において、ナノ粒子が互いに接触しても、融着を起こすことはない。しかし、金属酸化物ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散させるために、金属酸化物ナノ粒子の表面を被覆剤分子で被覆した状態としておく。この被覆剤分子には、金属酸化物ナノ粒子を構成する金属元素と配位的な結合が可能な基を有する有機化合物が利用される。具体的には、窒素原子、酸素原子、イオウ原子が有する孤立電子対(非共有電子対)を利用して、金属元素に対して、配位的な結合が可能な基を有する有機化合物が利用される。
上で述べた金属ナノ粒子に対する被覆剤分子として利用可能な、窒素原子、酸素原子、イオウ原子が有する孤立電子対(非共有電子対)を利用して、金属元素に対して、配位的な結合が可能な基を有する有機化合物は、金属酸化物ナノ粒子に対しても、同様に利用可能である。
その際、分散溶媒は、前記被覆剤分子を構成する炭化水素骨格部分に対する親和性を示すが、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサンなどの鎖式炭化水素溶媒など、極性を示さない、あるいは、極性の小さな溶媒を利用することが好ましい。被覆剤分子自体は、アミノ基(−NH2)、ヒドロキシ基(−OH)、スルファニル基(−SH)を有している有機化合物であり、前述の炭化水素溶媒に対しては、相対的に低い溶解性を有する。分散液を塗布後、含まれる分散溶媒の蒸散を行い、塗布層に乾燥処理を施す。乾燥処理済の金属ナノ粒子塗布層は、表面を被覆剤分子で覆われている金属ナノ粒子と、分散液中に溶解していた被覆剤分子とを含んでいる。すなわち、分散液中に溶解していた被覆剤分子は、室温、大気圧下では、蒸散しないため、表面を被覆剤分子で覆われている金属ナノ粒子の積層構造の隙間に保持されている。そのため、乾燥処理によって析出する余剰の被覆剤分子がバインダー成分として機能し、表面を被覆剤分子で覆われている金属ナノ粒子の積層構造の保持に部分的に関与する。また、表面を被覆剤分子で覆われている金属酸化物ナノ粒子の塗布層においても、乾燥処理を施した場合、乾燥処理によって析出する余剰の被覆剤分子はバインダー成分として機能する。
分散液中において、被覆剤分子は、分散される金属ナノ粒子、あるいは、金属酸化物ナノ粒子の表面全体を少なくとも一分子層被覆するに必要な量に加えて、前記分散溶媒中において、ほぼ飽和する量を配合することが好ましい。なお、金属ナノ粒子、あるいは、金属酸化物ナノ粒子の表面全体を被覆する量は、金属ナノ粒子、あるいは、金属酸化物ナノ粒子の平均粒子径に応じて、適宜決定される。一方、分散溶媒中において、ほぼ飽和する量は、勿論、被覆剤分子の溶解度と、分散溶媒の液量とに依存する。
例えば、分散液中に含まれる金属ナノ粒子100質量部当たり、被覆剤分子を5質量部〜35質量部の範囲に選択することが望ましい。また、分散液中に含まれる金属酸化物ナノ粒子100質量部当たり、被覆剤分子を5質量部〜25質量部の範囲に選択することが望ましい。より具体的には、平均粒子径が1〜100nmである金属ナノ粒子の表面上に、かかる被覆剤分子層が、少なくとも、0.5nm以上存在する状態とする。平均粒子径が1nmの金属ナノ粒子では、その被覆剤分子層は0.5nm〜1nmの範囲、一方、平均粒子径が100nmの金属ナノ粒子では、その被覆剤分子層は、10nm以内とすることが望ましい。例えば、金属ナノ粒子の平均粒子径を1〜20nmの範囲に選択する際には、被覆剤分子層の厚さは、少なくとも、0.5nm以上であって、金属ナノ粒子の平均粒子径を基準として、2/10〜5/10の範囲に選択することが好ましい。なお、金属酸化物ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層も、前記の範囲内に選択することが望ましい。
本発明にかかる導電性接合の形成方法においては、導電性接合を形成する金属層の表面に、まず、金属ナノ粒子を含有する分散液、あるいは、表面酸化膜層を有する金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含有する分散液を所定の平面形状に塗布し、所望の膜厚を有する塗布膜層を作製する。例えば、配線基板の表面に形成される回路パターン中、所定の部位に、その配線層として利用される金属層の表面に、所定の平面形状を有する塗布膜層を作製する。この塗布膜層の作製は、該塗布膜層の平面形状パターン、その最小線幅、ならびに、目的とする塗布膜層の層厚を考慮した上で、種々の描画手法から、適する手法を選択する。従来から、金属微粒子を含有する分散液の塗布、描画に利用されている、スクリーン印刷、インクジェット印刷、または転写印刷の描画手法から、最小線幅、ならびに、目的とする塗布膜層の層厚を考慮した上で、適合する手法を選択することが好ましい。
一方、塗布に用いる金属ナノ粒子を含有する分散液、あるいは、表面酸化膜層を有する金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含有する分散液は、採用する描画手法に応じて、それぞれ適合する液粘度を有するものに、調製することが望ましい。例えば、目的とする塗布膜層の描画にスクリーン印刷を利用する際には、該金属ナノ粒子を含有する分散液は、その液粘度を、30〜300 Pa・s(25℃)の範囲に選択することが望ましい。また、転写印刷を利用する際には、分散液の液粘度を、3〜300 Pa・s(25℃)の範囲に選択することが望ましい。一方、インクジェット印刷を利用する際には、分散液の液粘度を、1〜100 mPa・s(25℃)の範囲に選択することが望ましい。該金属ナノ粒子を含有する分散液の液粘度は、用いる金属ナノ粒子の平均粒子径、分散濃度、用いている分散溶媒の種類に依存して決まり、前記の三種の因子を適宜選択して、目的とする液粘度に調節することができる。なお、金属酸化物ナノ粒子を含有する分散液に関しても、その液粘度は、用いる金属酸化物ナノ粒子の平均粒子径、分散濃度、用いている分散溶媒の種類に依存して決まり、前記の三種の因子を適宜選択して、目的とする液粘度に調節することができる。
塗布膜層の乾燥処理は、利用されている分散溶媒を蒸散させ、接合すべき金属層の金属膜表面上に、表面を被覆剤分子で覆われている金属ナノ粒子が緻密に積層された乾燥済の塗布層とする。この状態では、金属ナノ粒子の表面は、少なくとも一分子層の被覆剤分子で覆われており、分散溶媒中に溶解している余剰の被覆剤分子も、同時に乾燥済の塗布層中に析出している。金属酸化物ナノ粒子を利用する場合も、その表面は少なくとも一分子層の被覆剤分子で覆われており、分散溶媒中に溶解している余剰の被覆剤分子も、同時に乾燥済の塗布層中に析出している。
次いで、乾燥済の塗布層中に含まれる、被覆剤分子を高周波プラズマ処理を施すことによって除去する。金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子は、金属元素に対して配位的な結合を形成しているが、この配位的な結合は、例えば、該被覆剤分子の沸点以上の温度に加熱することによっても解離される。すなわち、熱的エネルギーを供給し、被覆剤分子全体の振動励起を行うと、金属元素に対する配位的な結合に関与している、アミノ基(−NH2)、ヒドロキシ基(−OH)、スルファニル基(−SH)に固有の振動も励起を受ける。その際、金属元素に対する配位的な結合、例えば、−NH2:M、−SH:M、−OH:Mにおける、金属原子と窒素原子、イオウ原子、酸素原子との距離が伸び、被覆剤分子の離脱が容易となる。
本発明の方法では、熱的エネルギーに代えて、高周波プラズマ中に存在する荷電粒子(イオン種)から、その荷電粒子の有する励起エネルギーを供与されることで、金属ナノ粒子の表面に固定されている被覆剤分子の分子内振動の励起を行っている。具体的には、高周波プラズマ中で生成する荷電粒子(イオン種)は、高い励起エネルギーを保持した状態で、乾燥済の塗布層表面に飛来する。その際、金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子を、直接、荷電粒子(イオン種)が衝撃すると、その過程で、励起エネルギーの供与がなされて、被覆剤分子自体の様々な振動モードが励起される。
加えて、高周波プラズマ処理を施す際、通常、系内は減圧状態となっており、また、気相中には、被覆剤分子は本来存在していないため、振動励起されている被覆剤分子に対して、さらに熱的なエネルギーを付与すると、金属ナノ粒子の表面から離脱する。この被覆剤分子は一旦金属表面から離脱すると、再び、金属表面に結合することなく、系外へ排気される。
この高周波プラズマ中で生成する荷電粒子(イオン種)からの励起エネルギーの供与は、先ず、乾燥済の塗布層表面で生じ、その後、塗布層の内部へと、供与さえた励起エネルギーが伝達される。具体的には、振動励起されている被覆剤分子から、他の被覆剤分子へと、その振動エネルギーが共鳴的に伝達され、塗布層の内部に存在している被覆剤分子も、振動励起を施された状態となる。その後、さらに熱的なエネルギーを付与することで離脱される被覆剤分子は、所望の減圧状態を維持するため、系内の排気が継続されている条件下では、塗布層の内部から、狭い隙間を経由して、塗布層の外部へと移動することが可能となっている。
この高周波プラズマ処理によって促進される、被覆剤分子の離脱過程は、高周波プラズマ発生装置内に、乾燥処理済みの塗布層を配置して、生起される高周波プラズマ雰囲気に、塗布層を曝すことにより行う。なお、高周波プラズマ雰囲気に曝す際、同時に加熱をも施すため、塗布層を配置する部位を、150℃を超えない温度に加熱可能な状態とする。一方、被覆剤分子の離脱を終えた後、高周波プラズマ雰囲気に保持した状態で、金属ナノ粒子相互の融着を行う。
従って、利用する高周波プラズマ雰囲気は、金属ナノ粒子に対して反応性を示す荷電粒子(イオン種)を含まず、同時に、被覆剤分子の振動励起を起こすことができるものとする。具体的には、高周波プラズマ中で生成する荷電粒子(イオン種)は、金属原子に対する反応性を示すことの無い、不活性気体を用いて生起される高周波プラズマを利用する。特には、アルゴン、ヘリウムなどの、不活性な希ガスを用いて生起される高周波プラズマを利用する。高周波プラズマ発生装置内に、空気に由来する酸素分子や窒素分子などが残余することを避けるため、予め、装置内を、内圧が150Pa以下に達するまで排気する。次いで、排気系の排気流量をコントロールするとともに、ガス導入口より、前記希ガスを所定の流量で供給して、系内が所定の圧力に調整された希ガスで満たされる状態とする。
すなわち、高周波プラズマ発生装置内に導入される、プラズマ生起用の気体の流量、分圧は、利用する高周波電力の周波数、電力量に応じて、適正な高周波プラズマの生起が維持できる範囲に選択する。装置内に導入される気体の流量は、例えば、1〜1000ml/min(正規状態換算流量)の範囲内で調整可能な、流量調整機構を使用する。また、装置を構成する排気系に設ける、排気流速調整機能は、一定流量でガスを導入した状態で排気系のバルブ開度を制御し、装置内の内圧を、例えば、1〜20,000Paの範囲、好ましくは1〜1,000Paの範囲で調節可能なものを選択する。例えば、高周波プラズマを生起する際には、アルゴンガスの流量(正規状態換算流量)を10〜500ml/minの範囲に選択し、同時に、装置内のアルゴンガス分圧を1Pa〜1000Paの範囲に選択する減圧状態に維持しつつ、高周波電力を供給する。例えば、高周波電力としては、周波数:13.56 MHzの高周波電源を用いて、供給される電力量を100〜5000 Wの範囲に設定可能とする装置構成とすることができる。
金属酸化物ナノ粒子を利用する場合には、被覆剤分子の除去に加えて、高周波プラズマ中において、金属酸化物ナノ粒子の還元処理を施す必要がある。この高周波プラズマ中における金属酸化物ナノ粒子の還元処理では、高周波プラズマの生起に、被覆剤分子の除去に利用される不活性気体に、金属酸化物の還元に利用される還元性気体を添加した、不活性ガスと還元性気体の混合気体を利用する。前記不活性ガスと還元性気体の混合気体は、不活性ガスとして、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが、還元性気体として、水素、アンモニアなどを利用して、調製する。また、その混合気体の組成は、不活性ガス:還元性気体の比率(体積比)を、50:50〜99.9:0.1の範囲、好ましくは、80:20〜99:1の範囲、より好ましくは、90:10〜98:2の範囲に選択することが好ましい。すなわち、高周波プラズマの生起と維持には、主に不活性ガスを利用し、被覆剤分子の除去では、不活性ガスに由来する荷電粒子(イオン種)を利用して、励起エネルギーを供給する。この被覆剤分子の除去後、金属酸化物ナノ粒子を進める際には、不活性ガスに由来する荷電粒子(イオン種)を利用して、励起エネルギーを供給するとともに、共存している還元性気体を水素原子の供給原として、金属酸化物の還元反応を進める。
還元反応が完了すると、金属酸化物は、金属ナノ粒子となっており、また、表面を被覆する被覆剤分子の除去もなされており、金属ナノ粒子相互が金属面を直接接する状態となり、金属ナノ粒子相互の融着が進行する。また、金属層表面に接している金属ナノ粒子は、その金属表面を金属層の金属膜表面に接触することで、該接触部位では、金属膜表面に金属ナノ粒子が融着する状態となる。
なお、金属ナノ粒子を利用する場合にも、高周波プラズマ処理を行う際、不活性ガスと還元性気体の混合気体を利用してもよい。
高周波プラズマ雰囲気中では、プラズマの生起に起因する温度上昇がある。例えば、接合される金属層が、電子部品の電極層である場合、この電子部品自体は150℃以下の範囲で取り扱う必要があることも少なくない。あるいは、接合される金属層が、配線基板上の電極層である場合、この基板材料自体も200以下の範囲で取り扱うことが望ましいことも少なくない。それらを考慮すると、高周波プラズマ雰囲気に曝す塗布層の温度は、150以下、例えば、50℃〜150℃の範囲に維持可能となるように、温度調節機構を設ける。
高周波プラズマ処理を施す時間は、金属酸化物ナノ粒子を利用する場合には、金属ナノ粒子を利用する場合の所要時間に、金属酸化物の還元反応に要する時間が付加される。この金属酸化物の還元反応に要する時間は、還元すべき表面酸化物層の厚さ、利用される還元性気体を含む高周波プラズマの生成条件に依存する。一方、金属ナノ粒子を利用する場合の所要時間は、表面を被覆する被覆剤分子の除去と、金属ナノ粒子相互の融着とに要する時間の合計である。ナノ粒子表面を覆う被覆剤分子層の厚さと、高周波プラズマ処理を行う際の加熱温度の設定、高周波プラズマの生起条件とに依存して、プラズマ処理の時間を選択することが必要となる。この金属ナノ粒子を利用する場合の所要時間は、1秒間〜1時間の範囲、好ましくは、15秒間〜20分間の範囲に選択することも可能である。
高周波プラズマ処理を施すと、まず、金属ナノ粒子表面の被覆剤分子が離脱する結果、金属層の金属表面と、その表面上に高い面密度で配置されている金属ナノ粒子の金属表面が直接接する状態となる。その段階では、加熱によって、金属ナノ粒子の表面上を金属原子が容易に移動するため、金属層の金属表面と金属ナノ粒子との接触点に移動してきた金属原子が次第に蓄積する。すなわち、金属層の金属表面と金属ナノ粒子との接触は、当初は点接触であるが、その周囲の狭い隙間を移動してきた金属原子が埋め込み、接触面積が拡大する。また、この接触部位では、金属層の金属膜表面に露呈されている金属原子と、金属ナノ粒子に由来する金属原子との間で、熱的な相互拡散と、再配置とが起こり、金属間接合が形成される。同時に、積層されている金属ナノ粒子相互も、その接触点で融着が進行し、乾燥済塗布層を構成していた金属ナノ粒子は、焼結体型の導電性接合層を形成する。
本発明の第一の形態では、接合すべき二つの金属層のうち、その一方の表面に焼結体型の導電性接合層を予め形成した後、この焼結体型の導電性接合層の上面に他の金属層の金属膜表面を押し付け、圧力を加えて押し付けた状態で加熱処理を施す。一方、第二の形態では、接合すべき二つの金属層の双方ともに、その表面に焼結体型の導電性接合層を予め形成した後、この焼結体型の導電性接合層同士を押し付け、圧力を加えて押し付けた状態で加熱処理を施す。
作製された焼結体型の導電性接合層の上面は、巨視的には平坦であるが、微視的には、その上面に露呈している金属ナノ粒子は、同一平面上に位置してなく、ナノスケールの極く微細な凹凸を示している。この導電性接合層の上面と、他の金属層の金属膜表面とを重ね合わせた際、この微細な凹凸のため、両者の接触点の面密度は低い状態となっている。この焼結体型の導電性接合層の上面に他の金属層の金属膜表面を押し付ける際、圧力を加えて押し付けた状態とすることで、焼結体型の導電性接合層自体を構成するネットワーク状の柔構造を変形させる。その結果、焼結体型の導電性接合層の上面に露呈している金属ナノ粒子の殆ど全てが、他の金属層の金属膜表面に接触する状態となる。圧力を加えて押し付けた状態で、加熱を行うことで、他の金属層の金属膜表面上、その接触部位において、金属原子の熱的な相互拡散と、再配置とが起こり、金属間接合が形成される。
第一の形態では、圧力を加えて押し付けることで、所望の変形を起こさせるため、焼結体型の導電性接合層の膜厚は、0.5μm〜40μmの範囲に選択することが好ましい。すなわち、かかる焼結体型の導電性接合層膜厚の1/10程度をつぶれ変形させることで、他の金属層の金属膜表面との緻密な接触が可能となる。また、圧力を加えて押し付ける際、印加される圧力は、焼結体型の導電性接合層を構成する金属ナノ粒子の平均粒子径、ならびに、その金属種に応じて、適宜選択されるものである。すなわち、焼結体型の導電性接合層の上面に存在する金属ナノ粒子の平均的面密度と、各金属ナノ粒子を押し付け、その接触部位を一部平坦に変形するに要する力とを考慮して、印加される圧力を適宜選択する。
延性、展性に優れた、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる金属ナノ粒子を用いる際には、通常、印加される圧力は、0.2×106Pa〜10×106Paの範囲に選択することが好ましい。また、この金属間接合を図る際、加熱温度は、100℃〜200℃の範囲に選択することが好ましい。
第二の形態では、焼結体型の導電性接合層の上面同士を重ねるので、双方ともナノスケールの極く微細な凹凸を示すため、そのままでは、上面に露呈している金属ナノ粒子同士が接触する頻度は低い。そのため、圧力を加えて押し付けた状態とすることで、焼結体型の導電性接合層自体を構成するネットワーク状の柔構造を変形させる。その結果、二つの焼結体型導電性接合層の上面に露呈している金属ナノ粒子の殆ど全てが、互いに接触している状態となる。圧力を加えて押し付けた状態で、加熱を行うことで、金属ナノ粒子相互の接触部位において、金属原子の熱的な相互拡散と、再配置とが起こり、融着が進行する。すなわち、二つの焼結体型導電性接合層の界面では、金属ナノ粒子相互の金属間接合が高い面密度で形成され、結果的に、二つの焼結体型導電性接合層は一体化される。各金属層の金属膜表面と焼結体型の導電性接合層との界面は、緻密な金属間接合が予め形成されている。すなわち、最終的には、一体化された焼結体型導電性接合層を介して、二つの金属層の間に導電性接合が形成された状態となる。
第二の形態では、圧力を加えて押し付けることで、所望の変形を起こさせるため、各焼結体型の導電性接合層の膜厚は、0.25μm〜20μmの範囲に選択することが好ましい。すなわち、かかる焼結体型の導電性接合層膜厚の1/10程度をつぶれ変形させることで、相互の界面において、緻密な接触が可能となる。また、圧力を加えて押し付ける際、印加される圧力は、焼結体型の導電性接合層を構成する金属ナノ粒子の平均粒子径、ならびに、その金属種に応じて、適宜選択されるものである。すなわち、焼結体型の導電性接合層の上面に存在する金属ナノ粒子の平均的面密度と、各金属ナノ粒子を押し付け、その接触部位を一部平坦に変形するに要する力とを考慮して、印加される圧力を適宜選択する。
延性、展性に優れた、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる金属ナノ粒子を用いる際には、通常、印加される圧力は、0.2×106Pa〜10×106Paの範囲に選択することが好ましい。また、この金属間接合を図る際、加熱温度は、100℃〜200℃の範囲に選択することが好ましい。
本発明にかかる導電性接合の形成方法においては、高周波プラズマ処理を行う過程で、金属層の金属膜表面に対して、形成される焼結体型の導電性接合層を金属間接合によって、接合している。そのため、金属ナノ粒子の分散液、あるいは、金属酸化物ナノ粒子の分散液は、有機バインダーとして機能する樹脂成分を添加する必要は無い。但し、高周波プラズマ処理による被覆剤分子の除去、ならびに、金属ナノ粒子相互の融着、金属層の金属膜表面に対する金属ナノ粒子の接合を阻害しない範囲で、有機バインダーとして機能する樹脂成分を添加することも可能である。この有機バインダーとして機能する樹脂成分としては、熱硬化性樹脂、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂などが利用可能である。樹脂成分の添加量は、圧力を加えて、形成された焼結体型の導電性接合層を押し付ける際、その上面を接合対象と密着させるため、所望の変形が可能な範囲に選択する。具体的には、有機バインダーとして機能する樹脂成分を少量、金属層の金属膜表面上への焼結体型の導電性接合層の固定を助ける目的で利用してもよい。金属ナノ粒子の分散液を塗布後、乾燥処理を施す際、樹脂成分は、乾燥処理済の塗布層中、金属層の金属膜表面との界面に近接する範囲に残留する状態とする。加えて、加熱状態において、被覆剤分子の除去を行う作用を有する、有機の酸無水物または有機酸を少量、分散液中に添加することも可能である。
この本発明の導電性接合の形成方法は、プリント配線基板上の金属層の表面に、電子部品の電極部を導電性接着する工程に好適に応用できる。
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これら実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定を受けるものではない。
(第一の形態)
下記の実施例1〜4においては、銀ナノ粒子分散液として、市販されている銀ナノ粒子分散液(商品名:ナノペーストNPS、ハリマ化成(株))を使用している。このナノペーストNPSは、平均粒子径5nmの銀ナノ粒子を、分散溶媒のカルコール1098(1−デカノール、沸点232℃:花王製)中に均一に分散させた分散液である。その際、該銀ナノ粒子の表面は、被覆剤分子ジブチルアミノプロピルアミン(沸点205℃、広栄化学工業製)により被覆された状態としている。銀ナノ粒子分散液中には、平均粒子径5nmの銀ナノ粒子100質量部当たり、被覆剤分子ジブチルアミノプロピルアミンを14.9質量部、分散溶媒1−デカノールを13.7質量部が含まれている。
この銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)の液粘度は、150 Pa・s(25℃)に調整されている。
(実施例1)
二つの基板間の導電性接合を以下の手順で行った。
接合される基板は、銅張積層板であり、その接合される面上には、導電性層として、銅(電解銅箔)で形成される、平均厚さ18μmの金属層が設けられている。この二つの基板間の接合は、両導電性層の間に銀ナノ粒子によって作製する層を介して、導電性接合を形成したものである。
まず、一方の基板表面に、上記銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を10μmの厚さで塗布する。この塗布層中に含まれる分散溶媒を、蒸散・除去するため、100℃、20分間の乾燥処理を施す。なお、乾燥済の銀ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、8μmとなっている。
乾燥処理を終えた後、この基板をプラズマ処理装置に入れ、次の条件で、乾燥済の銀ナノ粒子塗布層にプラズマ処理を施す。プラズマ処理装置内を一旦10Paに減圧した後、ガス導入口からアルゴンガスを流量100ml/min(正規状態換算流量)で導入しつつ、加熱状態(50℃)において、装置内圧を約30〜40Paの減圧状態に調整する。高周波電源(周波数13.56MHz)から、高周波電力500Wを供給し、前記アルゴンガス中に高周波プラズマを生起させる。このアルゴン・プラズマ中、50℃において、基板表面の乾燥済銀ナノ粒子塗布層に5分間プラズマ処理を施す。なお、プラズマ処理後、銀ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、6μmとなっている。
プラズマ処理後、基板を装置から取り出し、その銀ナノ粒子塗布層を形成した面に、他の基板の導電性層を有する面を密着させる。この密着状態の両基板面全体に3.6×106Paの圧力を付加して押し付けながら、150℃、1分間の加熱処理を行う。この加圧下、加熱処理を施す結果、二つの基板の表面に設ける導電性層が、銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層を介して、接合される。
接合後、銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層の平均膜厚は、5μmとなっている。また、この接合界面における剥離強度を評価したところ、対応する部位に熱硬化性エポキシ樹脂を利用する導電性ペーストを使用した際の剥離強度と比較し、少なくとも、遜色のない水準である。なお、接合界面における剥離は、他の基板の導電性層を有する面と銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層との界面で、主に生じている。
(実施例2)
二つの基板間の導電性接合を以下の手順で行った。
接合される基板は、銅張積層板であり、その接合される面上には、導電性層として、銅で形成される、平均厚さ18μm金属層が設けられている。この二つの基板間の接合は、両導電性層の間に銀ナノ粒子によって作製する層を介して、導電性接合を形成したものである。
まず、二つの基板表面に、上記銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を5μmの厚さでそれぞれ塗布する。この塗布層中に含まれる分散溶媒を、蒸散・除去するため、100℃、20分間の、乾燥処理を施す。なお、乾燥済の銀ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、ともに、4μmとなっている。
乾燥処理を終えた後、二つの基板をプラズマ処理装置に入れ、次の条件で、乾燥済の銀ナノ粒子塗布層にプラズマ処理を施す。プラズマ処理装置内を一旦10Paに減圧した後、ガス導入口からアルゴンガスを流量100ml/min(正規状態換算流量)で導入しつつ、加熱状態(50℃)において、装置内圧を約30〜40Paの減圧状態に調整する。高周波電源(周波数13.56MHz)から、高周波電力500Wを供給し、前記アルゴンガス中に高周波プラズマを生起させる。このアルゴン・プラズマ中、50℃において、基板表面の乾燥済銀ナノ粒子塗布層に5分間プラズマ処理を施す。なお、プラズマ処理後、銀ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、ともに、3μmとなっている。
プラズマ処理後、二つの基板を装置から取り出し、その銀ナノ粒子塗布層を形成した面同士を合わせて、密着させる。この密着状態で、両基板面全体に3.6×106Paの圧力を付加して押し付けながら、150℃、1分間の加熱処理を行う。この加圧下、加熱処理を施す結果、二つの基板の表面に設ける導電性層上に形成されている、銀ナノ粒子塗布層相互の界面で融合が進み、融合された二つの銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層を介して、接合がなされている。
接合後、融合された二つの銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層の平均膜厚は、5μmとなっている。また、この接合界面における剥離強度を評価したところ、対応する部位に熱硬化性エポキシ樹脂を利用する導電性ペーストを使用した際の剥離強度と比較し、少なくとも、遜色のない水準である。なお、接合界面における剥離は、二つの銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層相互の界面で、主に生じている。
(実施例3)
基板の表面上への電子デバイスの導電性接合を以下の手順で行った。
電子デバイスが接合される基板は、銅張積層板であり、その接合される面上には、導電性層として、銅で形成される、平均厚さ18μm金属層が設けられている。この基板表面の導電性層上へ電子デバイスの電極部を、銀ナノ粒子によって作製する層を介して、導電性接合するものである。
まず、基板表面に、上記銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を10μmの厚さで塗布する。この塗布層中に含まれる分散溶媒を、蒸散・除去するため、100℃、20分間の、乾燥処理を施す。なお、乾燥済の銀ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、8μmとなっている。
乾燥処理を終えた後、この基板をプラズマ処理装置に入れ、次の条件で、乾燥済の銀ナノ粒子塗布層にプラズマ処理を施す。プラズマ処理装置内を一旦10Paに減圧した後、ガス導入口からアルゴンガスを流量100ml/min(正規状態換算流量)で導入しつつ、加熱状態(50℃)において、装置内圧を約30〜40Paの減圧状態に調整する。高周波電源(周波数13.56MHz)から、高周波電力500Wを供給し、前記アルゴンガス中に高周波プラズマを生起させる。このアルゴン・プラズマ中、50℃において、基板表面の乾燥済銀ナノ粒子塗布層に5分間プラズマ処理を施す。なお、プラズマ処理後、銀ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、6μmとなっている。
プラズマ処理後、基板を装置から取り出し、その銀ナノ粒子塗布層を形成した面の所定位置に、電子デバイスの電極部を位置合わせした後、密着させる。この密着状態において、電子デバイス電極部の面全体に3.0×106Paの圧力を付加して押し付けながら、150℃、1分間の加熱処理を行う。この加圧下、加熱処理を施す結果、基板の表面に設ける導電性層上に、電子デバイスの電極部が、銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層を介して、接合される。
接合後、銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層の平均膜厚は、5μmとなっている。また、この接合界面における剥離強度を評価したところ、対応する部位に熱硬化性エポキシ樹脂を利用する導電性ペーストを使用した際の剥離強度と比較し、少なくとも、遜色のない水準である。なお、接合界面における剥離は、電子デバイスの電極部と銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層との界面で、主に生じている。
(実施例4)
基板の表面上への電子デバイスの導電性接合を以下の手順で行った。
電子デバイスが接合される基板は、銅張積層板であり、その接合される面上には、導電性層として、銅で形成される、平均厚さ18μm金属層が設けられている。この基板表面の導電性層上へ電子デバイスの電極部を、銀ナノ粒子によって作製する層を介して、導電性接合するものである。
まず、基板表面に、上記銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を5μmの厚さで塗布する。電子デバイスの電極部表面にも、上記銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を5μmの厚さで塗布する。この塗布層中に含まれる分散溶媒を、蒸散・除去するため、100℃、20分間の、乾燥処理を施す。なお、乾燥済の銀ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、いずれも4μmとなっている。
乾燥処理を終えた後、この基板と電子デバイスをプラズマ処理装置に入れ、次の条件で、乾燥済の銀ナノ粒子塗布層にプラズマ処理を施す。プラズマ処理装置内を一旦10Paに減圧した後、ガス導入口からアルゴンガスを流量100ml/min(正規状態換算流量)で導入しつつ、加熱状態(50℃)において、装置内圧を約30〜40Paの減圧状態に調整する。高周波電源(周波数13.56MHz)から、高周波電力500Wを供給し、前記アルゴンガス中に高周波プラズマを生起させる。このアルゴン・プラズマ中、50℃において、電子デバイスの電極部表面の乾燥済銀ナノ粒子塗布層と、基板表面の乾燥済銀ナノ粒子塗布層に同時に5分間プラズマ処理を施す。なお、プラズマ処理後、銀ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、いずれも3μmとなっている。
プラズマ処理後、電子デバイスと基板を装置から取り出し、基板表面の銀ナノ粒子塗布層を形成した面の所定位置に、電子デバイスの電極部表面の乾燥済銀ナノ粒子塗布層を位置合わせした後、銀ナノ粒子塗布層同士を合わせて、密着させる。この密着状態において、電子デバイス電極部の面全体に3.0×106Paの圧力を付加して押し付けながら、150℃、1分間の加熱処理を行う。この加圧下、加熱処理を施す結果、銀ナノ粒子塗布層相互の界面で融合が進み、基板の表面に設ける導電性層上に、電子デバイスの電極部が、融合された二つの銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層を介して、接合される。
接合後、融合された二つの銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層の平均膜厚(合計膜厚)は、5μmとなっている。また、この接合界面における剥離強度を評価したところ、対応する部位に熱硬化性エポキシ樹脂を利用する導電性ペーストを使用した際の剥離強度と比較し、少なくとも、遜色のない水準である。なお、接合界面における剥離は、二つの銀ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層相互の界面で、主に生じている。
(第二の形態)
下記の実施例5、6においては、表面酸化膜層を有する銅ナノ粒子分散液として、市販されている銅ナノ粒子分散液(商品名:ナノペーストNPC、ハリマ化成(株))を使用している。このナノペーストNPCは、平均粒子径5nmの銅ナノ粒子を、分散溶媒のN14(テトラデカン、沸点254℃:日鉱石油化学製)中に均一に分散させた分散液である。すなわち、該銅ナノ粒子は、その表面には、表面酸化膜が存在し、核部分は、銅で構成される、表面酸化膜層を有する銅ナノ粒子(酸化銅ナノ粒子)となっている。一方、該銅ナノ粒子の表面は、被覆剤分子ドデシルアミン(沸点248℃)により被覆された状態としている。該銅ナノ粒子分散液中には、平均粒子径5nmの銅ナノ粒子100質量部当たり、被覆剤分子ドデシルアミンを15.0質量部、分散溶媒テトラデカンを25.0質量部が含まれている。
この銅ナノ粒子分散液(ナノペーストNPC)の液粘度は、100 Pa・s(25℃)に調整されている。
(実施例5)
基板の表面上への電子デバイスの導電性接合を以下の手順で行った。
電子デバイスが接合される基板は、銅張積層板であり、その接合される面上には、導電性層として、銅で形成される、平均厚さ18μm金属層が設けられている。この基板表面の導電性層上へ電子デバイスの電極部を、銅ナノ粒子によって作製する層を介して、導電性接合するものである。
まず、基板表面に、上記銅ナノ粒子分散液(ナノペーストNPC)を12μmの厚さで塗布する。この塗布層中に含まれる分散溶媒を、蒸散・除去するため、100℃、20分間の、乾燥処理を施す。なお、乾燥済の銅ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、9μmとなっている。
乾燥処理を終えた後、この基板をプラズマ処理装置に入れ、次の条件で、乾燥済の銅ナノ粒子塗布層にプラズマ処理を施す。このプラズマ処理では、アルゴン(Ar)中に水素(H2)を体積比率Ar:H2=95:5で混合した混合ガスを利用して、高周波プラズマ中において、酸化銅が金属銅へと還元可能な条件を選択している。プラズマ処理装置内を一旦10Paに減圧した後、ガス導入口から、前記アルゴン(Ar)/水素(H2)混合ガスを流量100ml/min(正規状態換算流量)で導入しつつ、加熱状態(50℃)において、装置内圧を約30〜40Paの減圧状態に調整する。高周波電源(周波数13.56MHz)から、高周波電力500Wを供給し、前記混合ガス中に高周波プラズマを生起させる。このプラズマ中、50℃において、基板表面の乾燥済銅ナノ粒子塗布層に5分間プラズマ処理を施す。なお、上記のプラズマ処理後、銅ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、7μmとなっている。
加えて、上記のプラズマ処理において、該銅ナノ粒子の表面に存在していた表面酸化膜は、プラズマ中に存在するアルゴンイオン種からエネルギーの供給を受け、共存している水素によって、酸化銅から、金属銅へと還元がなされている。結果的に、このプラズマ処理を終えた時点では、前記銅ナノ粒子塗布層は、表面酸化膜の無い銅ナノ粒子で構成されている。
プラズマ処理後、基板を装置から取り出し、その銅ナノ粒子塗布層を形成した面の所定位置に、電子デバイスの電極部を位置合わせした後、密着させる。この密着状態において、電子デバイス電極部の面全体に4.0×106Paの圧力を付加して押し付けながら、150℃、1分間の加熱処理を行う。この加圧下、加熱処理を施す結果、基板の表面に設ける導電性層上に、電子デバイスの電極部が、銅ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層を介して、接合される。
接合後、銅ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層の平均膜厚は、5μmとなっている。また、この接合界面における剥離強度を評価したところ、対応する部位に熱硬化性エポキシ樹脂を利用する導電性ペーストを使用した際の剥離強度と比較し、少なくとも、遜色のない水準である。なお、接合界面における剥離は、電子デバイスの電極部と銅ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層との界面で、主に生じている。
(実施例6)
基板の表面上への電子デバイスの導電性接合を以下の手順で行った。
電子デバイスが接合される基板は、銅張積層板であり、その接合される面上には、導電性層として、銅で形成される、平均厚さ18μm金属層が設けられている。この基板表面の導電性層上へ電子デバイスの電極部を、銅ナノ粒子によって作製する層を介して、導電性接合するものである。
まず、基板表面に、上記銅ナノ粒子分散液(ナノペーストNPC)を6μmの厚さで塗布する。電子デバイスの電極部表面にも、上記銅ナノ粒子分散液(ナノペーストNPC)を6μmの厚さで塗布する。この塗布層中に含まれる分散溶媒を、蒸散・除去するため、100℃、20分間の、乾燥処理を施す。なお、乾燥済の銅ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、いずれも5μmとなっている。
乾燥処理を終えた後、この電子デバイスと基板をプラズマ処理装置に入れ、次の条件で、乾燥済の銅ナノ粒子塗布層にプラズマ処理を施す。このプラズマ処理では、アルゴン(Ar)中に水素(H2)を体積比率Ar:H2=95:5で混合した混合ガスを利用して、高周波プラズマ中において、酸化銅が金属銅へと還元可能な条件を選択している。プラズマ処理装置内を一旦10Paに減圧した後、ガス導入口から、前記アルゴン(Ar)/水素(H2)混合ガスを流量100ml/min(正規状態換算流量)で導入しつつ、加熱状態(50℃)において、装置内圧を約30〜40Paの減圧状態に調整する。高周波電源(周波数13.56MHz)から、高周波電力500Wを供給し、前記混合ガス中に高周波プラズマを生起させる。このプラズマ中、50℃において、電子デバイスの電極部表面の乾燥済銅ナノ粒子塗布層と、基板表面の乾燥済銅ナノ粒子塗布層に、同時に5分間プラズマ処理を施す。なお、上記のプラズマ処理後、銅ナノ粒子塗布層の平均膜厚は、いずれも3μmとなっている。
加えて、上記のプラズマ処理において、該銅ナノ粒子の表面に存在していた表面酸化膜は、プラズマ中に存在するアルゴンイオン種からエネルギーの供給を受け、共存している水素によって、酸化銅から、金属銅へと還元がなされている。結果的に、このプラズマ処理を終えた時点では、前記銅ナノ粒子塗布層は、表面酸化膜の無い銅ナノ粒子で構成されている。
プラズマ処理後、電子デバイスと基板を装置から取り出し、基板表面の銅ナノ粒子塗布層を形成した面の所定位置に、電子デバイスの電極部表面の乾燥済銅ナノ粒子塗布層を位置合わせした後、銅ナノ粒子塗布層同士を合わせて、密着させる。この密着状態において、電子デバイス電極部の面全体に4.0×106Paの圧力を付加して押し付けながら、150℃、1分間の加熱処理を行う。この加圧下、加熱処理を施す結果、銅ナノ粒子塗布層相互の界面で融合が進み、基板の表面に設ける導電性層上に、電子デバイスの電極部が、融合された二つの銅ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層を介して、接合される。
接合後、融合された二つの銅ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層の平均膜厚(合計膜厚)は、5μmとなっている。また、この接合界面における剥離強度を評価したところ、対応する部位に熱硬化性エポキシ樹脂を利用する導電性ペーストを使用した際の剥離強度と比較し、少なくとも、遜色のない水準である。なお、接合界面における剥離は、二つの銅ナノ粒子塗布層からなる導電性接合層相互の界面で、主に生じている。
本発明にかかる導電性接合の形成方法を利用すると、従来のバインダー樹脂成分を含む導電性接着剤を利用して、基板上の金属層表面に、電子デバイスの裏面に設ける電極部を導電性接着する工程に代えて、本質的にバインダー樹脂成分を利用せず、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、金属間接合によって、基板上の金属層表面に電子デバイスの裏面に設ける電極部を接合することが可能となる。特に、この導電性接合の形成を行う際、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を作製する過程において、金属ナノ粒子の表面を被覆している、被覆剤分子層を予め除去する手段として、高周波プラズマ処理を採用しており、その後、導電性接合を形成するための鍛接(welding)工程は、200℃未満の低い加熱温度で実施することが可能となっている。加えて、表面酸化膜を有する金属ナノ粒子(金属酸化物ナノ粒子)に対して、還元性気体の共存下、高周波プラズマ処理を施すことで、表面酸化膜の還元を行い、金属ナノ粒子に復した上で、かかる金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介した導電性接合の形成が可能となる。

Claims (11)

  1. 二つの金属層の面相互を導電性接合する方法であって、
    前記導電性接合は、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互が接合されるものであり、
    前記導電性接合の形成プロセスは、
    一方の金属層を構成する金属表面に、当該ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなる、金属ナノ粒子分散液を利用して、該金属ナノ粒子分散液の塗布層を形成する工程;
    前記金属ナノ粒子分散液の塗布層中に含まれる有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理済の塗布層を形成する工程;
    一方の金属層を構成する金属表面に形成した前記乾燥処理済の塗布層を、高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施し、当該ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層を除去し、次いで、前記金属ナノ粒子相互の融着を行って、前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を一方の金属層を構成する金属表面に形成する工程;
    前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の表面に、他方の金属層を構成する金属表面を重ね合わせ、圧力を加えて、両者の表面を互いに押し付けつつ、100℃〜200℃の範囲に選択される温度において、加熱処理を施して、前記導電性接合層の表面と他方の金属層を構成する金属表面との間に金属間接合を形成する工程とを有し、
    前記圧力は、0.2×10 6 Pa〜10×10 6 Paの範囲に選択され
    前記ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子は、
    平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択されている金属ナノ粒子に対して、
    前記金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する有機化合物1種以上を被覆剤分子として、該金属ナノ粒子の表面に被覆してなるナノ粒子である
    ことを特徴とする導電性接合の形成方法。
  2. 二つの金属層の面相互を導電性接合する方法であって、
    前記導電性接合は、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互が接合されるものであり、
    前記導電性接合の形成プロセスは、
    一方の金属層を構成する金属表面に、当該ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属酸化物ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなる金属酸化物ナノ粒子分散液を利用して、該金属酸化物ナノ粒子分散液の塗布層を形成する工程;
    前記金属酸化物ナノ粒子分散液の塗布層中に含まれる有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理済の塗布層を形成する工程;
    一方の金属層を構成する金属表面に形成した前記乾燥処理済の塗布層を、還元性気体の共存下、高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施し、当該ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層を除去し、さらに、該金属酸化物ナノ粒子を還元して金属ナノ粒子を作製し、次いで、前記金属ナノ粒子相互の融着を行って、前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を一方の金属層を構成する金属表面に形成する工程;
    前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の表面に、他方の金属層を構成する金属表面を重ね合わせ、圧力を加えて、両者の表面を互いに押し付けつつ、100℃〜200℃の範囲に選択される温度において、加熱処理を施して、前記導電性接合層の表面と他方の金属層を構成する金属表面との間に金属間接合を形成する工程とを有し、
    前記圧力は、0.2×10 6 Pa〜10×10 6 Paの範囲に選択され
    前記ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属酸化物ナノ粒子は、
    平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択されている金属酸化物ナノ粒子に対して、
    前記金属酸化物ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する有機化合物1種以上を被覆剤分子として、該金属酸化物ナノ粒子の表面に被覆してなるナノ粒子である
    ことを特徴とする導電性接合の形成方法。
  3. 前記金属ナノ粒子を構成する金属種は、金、銀、銅、白金、パラジウム、およびニッケルからなる群から選択される金属である
    ことを特徴とする請求項1に記載の導電性接合の形成方法。
  4. 前記金属酸化物ナノ粒子の構成する金属酸化物は、銀、銅、ニッケルからなる群から選択される金属の酸化物である
    ことを特徴とする請求項2に記載の導電性接合の形成方法。
  5. 前記高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施す工程において、
    該高周波プラズマ雰囲気は、不活性ガスを用いて生起されているプラズマ雰囲気である
    ことを特徴とする請求項1に記載の導電性接合の形成方法。
  6. 還元性気体の共存下、前記高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施す工程において、
    該高周波プラズマ雰囲気は、還元性気体と不活性ガスの混合気体を用いて生起されているプラズマ雰囲気である
    ことを特徴とする請求項2に記載の導電性接合の形成方法。
  7. 前記不活性ガスとして、アルゴン、ヘリウムまたはその混合物を用いる
    ことを特徴とする請求項5に記載の導電性接合の形成方法。
  8. 前記還元性気体と不活性ガスの混合気体において、
    該不活性ガスとして、アルゴン、ヘリウムまたはその混合物を、また
    該還元性気体として、水素、アンモニアまたはその混合物を用いる
    ことを特徴とする請求項6に記載の導電性接合の形成方法。
  9. 二つの金属層の面相互を導電性接合する方法であって、
    前記導電性接合は、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互が接合されるものであり、
    前記導電性接合の形成プロセスは、
    前記二つの金属層を構成する金属表面に、それぞれ当該ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなる、金属ナノ粒子分散液を利用して、該金属ナノ粒子分散液の塗布層を形成する工程;
    前記金属ナノ粒子分散液の塗布層中に含まれる有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理済の塗布層を形成する工程;
    前記二つの金属層を構成する金属表面に形成した前記乾燥処理済の塗布層を、それぞれ、高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施し、当該ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層を除去し、次いで、前記金属ナノ粒子相互の融着を行って、前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層をそれぞれの金属層を構成する金属表面に形成する工程;
    前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の表面を、互いに重ね合わせ、圧力を加えて、両者の表面を互いに押し付けつつ、100℃〜200℃の範囲に選択される温度において、加熱処理を施して、前記二つの導電性接合層の表面の間に金属間接合を形成する工程とを有し、
    前記圧力は、0.2×10 6 Pa〜10×10 6 Paの範囲に選択され
    前記ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子は、
    平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択されている金属ナノ粒子に対して、
    前記金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する有機化合物1種以上を被覆剤分子として、該金属ナノ粒子の表面に被覆してなるナノ粒子である
    ことを特徴とする導電性接合の形成方法。
  10. 二つの金属層の面相互を導電性接合する方法であって、
    前記導電性接合は、金属ナノ粒子で構成される導電性接合層を介して、二つの金属層の面相互が接合されるものであり、
    前記導電性接合の形成プロセスは、
    前記二つの金属層を構成する金属表面に、それぞれ当該ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属酸化物ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなる、金属酸化物ナノ粒子分散液を利用して、該金属酸化物ナノ粒子分散液の塗布層を形成する工程;
    前記金属酸化物ナノ粒子分散液の塗布層中に含まれる有機溶媒を蒸散させ、乾燥処理済の塗布層を形成する工程;
    前記二つの金属層を構成する金属表面に形成した前記乾燥処理済の塗布層を、それぞれ、還元性気体の共存下、高周波プラズマ雰囲気中において、150℃以下の加熱温度で処理を施し、当該ナノ粒子の表面に設ける被覆剤分子層を除去し、さらに、該金属酸化物ナノ粒子を還元して金属ナノ粒子を作製し、次いで、前記金属ナノ粒子相互の融着を行って、前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層をそれぞれの金属層を構成する金属表面に形成する工程;
    前記金属ナノ粒子で構成される導電性接合層の表面を、互いに重ね合わせ、圧力を加えて、両者の表面を互いに押し付けつつ、100℃〜200℃の範囲に選択される温度において、加熱処理を施して、前記二つの導電性接合層の表面の間に金属間接合を形成する工程とを有し、
    前記圧力は、0.2×10 6 Pa〜10×10 6 Paの範囲に選択され
    前記ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を有する金属酸化物ナノ粒子は、
    平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択されている金属酸化物ナノ粒子に対して、
    前記金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する有機化合物1種以上を被覆剤分子として、該金属ナノ粒子の表面に被覆してなるナノ粒子である
    ことを特徴とする導電性接合の形成方法。
  11. 前記二つの金属層は、
    配線基板表面に形成されている金属配線層と、該配線基板の金属配線層上に接合する電子部品の金属電極層の組み合わせである
    ことを特徴とする請求項1、2、9または10の何れかに記載の導電性接合の形成方法。
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