JP4726300B2 - 移植用マトリックス・タンパク質組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、移植片を連結するための治療剤又は予防剤としての、エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及び/又はエナメルマトリックスタンパク質もしくはペプチドの使用に関する。
【0002】
発明の背景
エナメルマトリックス中に存在するようなエナメルマトリックスタンパク質は、エナメル質の前駆体として非常によく知られている。特許文献において、エナメルタンパク質及びエナメルマトリックス誘導体が、硬組織の形成(すなわちエナメル質形成、米国特許第4,672,032号、Slavkin)、または硬組織間結合(EP-B-O 337 967及びEP-B-O 263 086)を促進することが記載されている。従って、先行技術は、硬細胞の再生のみに集中し、一方、本発明は、軟組織および硬組織の移植(grafting)または移植(transplantation)における恩典を有する作用に関する。
【0003】
発明の概要
本発明は、エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及び/又はエナメルマトリックスタンパク質(以降、集合的に「活性エナメル物質」と呼ぶ)は、移植片の接着または治癒を向上または改善させるために有効な物質である。本明細書において実験の節で示すように、エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及び/又はエナメルマトリックスタンパク質は、皮膚移植片の治癒において特に有効な作用を及ぼす。
【0004】
また、本発明は、移植片の取り込みを促進するための薬学的組成物または化粧用組成物を調製するための活性なエナメル物質の調製品の使用に関する。それ自体の治癒に加えて、移植片の処置に伴うことが多い瘢痕化の範囲が、そのような使用により減少されうることが期待される。
【0005】
また別の局面では、本発明は移植片の取り込みを促進する方法であって、それらを必要とする哺乳動物に対して予防的または治療的に有効量の活性エナメル物質を投与する段階を含む方法に関する。
【0006】
本明細書において、「移植片の取り込み」という用語は、最初の移植片の接着から繊維芽細胞の増殖、肉芽組織の生成、繊維芽細胞によるコラーゲンの産生、及び再血管新生まで、そして皮膚又は粘膜の移植片のような表面移植片の場合にはケラチノサイトの移植片ベッドへの移動まで、移植過程に含まれる全治癒過程をさすものとする。「哺乳動物」という用語は、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、及びネコのような家畜、又は好ましくはヒトを含む、本発明の方法により有利に処置されうる任意の哺乳動物種のメンバーをさすものとする。
【0007】
発明の詳細な開示
本発明者らの最新の所見に基づくと、活性エナメル物質は、皮膚及び粘膜のような実質的な割合の上皮細胞を含む柔組織のような非鉱化組織の移植片と関連した使用にとって最も有益であると考えられる。しかしながら、骨及び軟骨のような高い再生特性を有するその他の組織の移植片と関連して、又はさらには角膜移植物と関連して、活性エナメル物質を使用することもできる。
【0008】
皮膚及び粘膜の移植
皮膚科学的手術において、皮膚癌除去のような外科的切開の後に発生する損傷、例えば事故による外傷、熱傷(熱、化学、又は電気)、又は病理学的過程、例えば脚もしくは足の潰瘍を修復するため、移植片は最も一般的に使用されている。
【0009】
移植により修復すべき損傷の型、例えば深い損傷であるか、又は比較的表面的な損傷であるか、及び損傷の位置、例えばレシピエント(移植片)ベッドが毛細血管再増殖のための十分な血管供給を含んでいるか、又はレシピエント部位の組織が十分な血管供給を含有しない露出した骨、軟骨、もしくは腱であるかによって、通常、異なる型の移植片が適用されよう。従って、全層皮膚移植片は、審美的に比較的望ましい結果を提供する場合が多いため、伝統的に、顔面の損傷を修復するために使用されている。「全層皮膚移植片」とは、毛包、汗腺、及び神経のような構造を含む、表皮と真皮の全層との両方から構成されている移植片をさすものとする。従って、全層皮膚移植片は、毛髪移植物と関連した使用にとっても好ましい。全層皮膚移植物を実施する場合には、ドナー皮膚を適当な部位から切開し、脱脂する(即ち、移植片から脂肪組織を除去する)。レシピエント・ベッドを抗菌剤で清浄化し、洗浄する。移植片を、レシピエント部位のサイズへと適当に整形し、レシピエント・ベッドの皮下に置く。次いで、縫合により移植片を固定し、適当な包帯又は帯具によりさらに固定化してもよい。全層皮膚移植片は、審美的な観点から最も良好な結果を与える傾向があるが、移植片の再血管新生が必要とされるため移植片取り込みを得ることが比較的困難である場合が多い。
【0010】
もう一つの移植片の型は、表皮の全層と真皮の一部とから構成される分層皮膚移植片である。それらは、再血管新生のため比較的少ない組織を含有するという利点を有し、全層移植片よりも様々な型のレシピエント・ベッドにおいて成功する可能性が比較的高い。分層皮膚移植片は、より広範な損傷を覆うために使用されることが多いが、審美的には全層移植片よりも魅力的でないことが多い。広範な熱傷のような大きな損傷部位を覆うためには、移植片を(ストリップのような)より小さい部分へと分割し、損傷部位に置くことを意味する、種(seed)移植片又は網状移植片として、分層移植片が使用されうる。次いで、損傷部位に移植された皮膚の各部分から、新たな上皮増殖が起こる。
【0011】
より最近、繊維芽細胞及びケラチノサイトのような生体工学的な表皮細胞から、又は無細胞皮膚マトリックスから、多数の皮膚等価物が開発されている。培養表皮細胞の例には、アプリグラフ(Appligraf)なる商標でノバルティス(Novartis)より市販されているヒト繊維芽細胞(新生児***に由来)、並びにダーマグラフト(Dermagraft)及びダーマグラフトTC(Dermafraft TC)なる商標でスミス・アンド・ネフー(Smith & Nephew)より市販されている皮膚組織細胞が含まれる。その他の例には、培養ケラチノサイト移植片、培養同種異系ケラチノサイト移植片、無細胞コラーゲン・マトリックス、及び細胞マトリックスが含まれる(例えば、WH EaglsteinおよびV.Falanga,Cutis 62(1 Suppl.),1998年7月,1-8頁に概説されている)。無細胞生成物の例は、ライフセル社(LifeCell Corp.)により製造されているアロダーム(AlloDerm)である。
【0012】
骨移植片
骨移植片は、典型的には、複雑骨折の治癒を促進するため適用されうる。自己の新鮮な(生存している)海綿質及び皮質骨、並びに増殖因子による刺激により、骨及び軟骨へと分化する骨格幹細胞のような細胞を含有する無機質脱落骨マトリックスを含む、様々な型の骨移植片が既知である。そのような増殖因子には、活性エナメル物質の存在下で産生が刺激されることが観察されているPDGF及びTGF-βが含まれる。従って、そのような移植片への活性エナメル物質の包含、又は骨組織の移植のための外科的手技における活性エナメル物質の同時投与は、移植片の治癒を実質的に促進しうる。
【0013】
無機質脱落凍結乾燥骨同種異系移植片と混合された活性エナメル物質の使用は、歯周組織における骨損傷の治癒に関連して、JT Mellonig,Int.J.Periodontics Restorative Dent.19,1999年,9-19頁により示唆されている。この型の同種異系移植片は、死組織から構成されており、単に、活性エナメル物質のための担体として作用するのであって、骨組織再生過程に積極的には関与しない。
【0014】
本発明により、驚くべきことに、活性エナメル物質が、生存骨組織、又は骨組織へと成熟する能力を有する生存細胞を含む移植片の接着及び治癒を促進する能力を有することが見出された。さらに、歯槽骨以外の型の骨組織、又は歯周組織内のその他の鉱化組織の移植片接着及び治癒を促進するために、本来、歯の発達中の歯周環境にのみ見出される活性エナメル物質を使用することが可能であることが見出された。
【0015】
軟骨移植片
膝及びその他の関節における人工軟骨の欠陥が、アガロースのような担体マトリックスに埋め込まれた軟骨細胞から構成された移植物によって修復されうることが、既に開示されている(B Rahfothら、Osteoarthritis Cartilage 6(1),1998,50-65頁)。そのような移植物における活性エナメル物質の包含は、移植片の治癒を実質的に刺激しうると予想される。
【0016】
移植片接着の部位においては、移植された組織とレシピエント・ベッドとの界面に形成される新たな組織が、構造的及び化学的に元の組織と等しくない(斑痕組織)という危険が高くなっている。組織修復の初期段階では、ほぼ常時関連する過程に、組織損傷の一帯での一過性結合組織の形成がある。この過程は線維芽細胞による新たな細胞外コラーゲンマトリックスの形成により開始する。この新たなコラーゲンマトリックスはその後、最終治癒過程の間、結合組織の支持体となる。ほとんどの組織で、最終治癒は、結合組織を含む瘢痕組織の形成である。例えば皮膚及び骨のような再生可能な特性を有する組織では、最終治癒は元来の組織の再生を含む。この再生組織はまたしばしば、治癒した骨折のシックニングのような、いくつかの瘢痕的特徴を有する。
【0017】
移植片接着治癒の段階は、通常、炎症(通常1〜3日)、移動(通常1〜6日)、増殖(通常3〜24日)及び成熟(通常1〜12ヶ月)を有する。治癒過程は、様々なタイプ細胞の移動、増殖、分化、及びマトリックス組成物の合成を伴う、複雑でよく編成された生理学的過程である。治癒過程は以下の過程に分けることができる。
【0018】
i)止血及び炎症
血小板が循環系の外側に存在し、トロンビン及びコラーゲンに曝されると、活性化され凝集する。従って、血小板は凝集し、一時的な栓を形成して修復過程を開始し、止血を確かなものとし、細菌の侵略を防ぐ。活性化された血小板は凝固系を開始し、血小板由来増殖因子(PDGF)や上皮増殖因子(EGF)またトランスフォーミング増殖因子(TGF)のような増殖因子を放出する。
【0019】
移植片部位を侵略する最初の細胞は好中球で、マクロファージに活性化される単球が続く。
【0020】
好中球の主な役割は、移植片部位のレシピエント・ベッドを洗浄し、移植片を汚染細菌から防御し、且つ死滅細胞及び血小板を除去して移植片の治癒を向上させることであると考えられる。創傷内に細菌性汚染がないとすると、好中球の湿潤は最初の約48時間以内に終わる。過剰な好中球は血液派生単球の循環プールから補充された組織マクロファージに貪食される。マクロファージは効果的な創傷治癒に不可欠であり、創傷治癒において病原性生物の貪食および細胞残骸の清浄を引き起こすと考えられる。さらにマクロファージは、その後の治癒過程の事象に関連する多くの因子を放出する。マクロファージは、コラーゲンの産生を開始する線維芽細胞を引き付ける。
【0021】
ii)顆粒化細胞の形成
移植片の適用後、48時間以内に線維芽細胞が増殖し、移植片の先端の結合組織から移植片部位へ移動し始める。驚くべきことに、移植片の部位における活性エナメル物質の適用が、移植片と移植片ベッドとの接着に関与するコラーゲン及びグリコサミノグリカンの、繊維芽細胞による産生を刺激することが見出された。特に、移植片における低酸素圧は、上皮細胞の増殖を刺激し、それが新たな毛細血管網を形成させる。本発明により、驚くべきことに、好ましくは移植片の適用前の、レシピエント・ベッドへの活性エナメル物質の適用が、繊維芽細胞の増殖、及びTGF-β、PDGF、及びインターロイキン-6のような多数の増殖因子の産生を刺激することが見出された。従って、活性エナメル物質は、移植片の取り込み、即ちレシピエント・ベッドへの強固な接着を可能にする過程、特に肉芽組織の形成を促進すると結論付けられる。移植片の取り込みを促進するために望ましい繊維芽細胞の刺激を保証するためには、移植片をレシピエント・ベッドへ適用する前に、最大72時間にわたり活性エナメル物質を適用することができる。
【0022】
コラゲナーゼ及びプラスミノーゲンアクチベーターは、ケラチノサイトから分泌される。移植片がが乱されないままで、酸素及び栄養が十分に与えられる場合には、ケラチノサイトは移植片ベッド中を移動する。ケラチノサイトは生結合組織上のみを移動すると考えられ、従って、ケラチノサイトは、移植片の先端の死滅組織及び創傷の痂皮より下部へ移動する。
【0023】
組織の断絶が視覚的に観察されえず、薄い赤色、滲出物、又は離散的な膨潤組織のような離散的な炎症の徴候のみが存在する場合に、移植片の臨床的な治癒が起こったとされる。さらに、移植された組織が弛緩しているか又は影響を受けていない場合には、疼痛の異常が存在しない。
【0024】
前述のように、本発明は、移植片の取り込みを加速、刺激、又は促進する薬剤としての、エナメル・マトリックス、エナメル・マトリックス誘導体、及び/又はエナメル・マトリックス・タンパク質の使用に関する。
【0025】
さらに、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、血小板由来増殖因子(PDGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(α-FGF)及びアルカリ性線維芽細胞増殖因子(β-FGF)を含む線維芽細胞増殖因子(FGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、インスリン様増殖因子(IGF-1及びIGF-2)のような増殖因子は、創傷治癒過程を誘導し、しばしば、移植術にも関連する創傷治癒促進因子として引用されるが、実際かえってそれ自体が治癒の成功を損なう線維症を促進させることが、以前に示唆された。加速した治癒は、瘢痕形成を生じうる感染とその結果おこる炎症の危険を軽減することを最も確実に保証するが、正常な移植片治癒過程を加速させる治療的試みは相対的にほとんど成功していない。これは、おそらく修復過程が、多くの因子の協調関係を有するためであると考えられる。上記参照。
【0026】
このため、本発明者らは線維芽細胞の様々な培養細胞(歯周軟骨、魚類、鳥類に由来する、胚培養物、皮膚培養物)において、培地から得られた試料を例えばELISAで解析した場合、エムドゲイン(EMDOGAIN)(登録商標)で刺激した培養細胞では、刺激しなかった培養細胞に比べ、4倍のTGFβ1が産生されることを観察した。培養24時間後に増加がみられたが、その後の数日(3日目と4日目)により顕著であった。2日目の後、細胞増殖は、エムドゲイン(EMDOGAIN)(登録商標)で刺激した培養細胞で増加した。TGFβ1は皮膚および粘膜移植片の上皮化において最も重要であると考えられるため、これらの所見は本発明の概念を支持するものである。
【0027】
本発明者らは、エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及び/またはエナメルマトリックスタンパク質が移植片治癒の特性を有することを見出した。さらに、移植片部位へのエナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及び/またはエナメルマトリックスタンパク質の使用は、接着および/または治癒を向上させることが示唆された。特に、本発明者らは、エナメルマトリックス誘導体、及び/またはエナメルマトリックスタンパク質の使用後、炎症段階が短期化し、熱っぽさ、赤み、浮腫や痛みのような特徴的兆候が目立たなくなり、新たな組織がより迅速に形成されることを観察した。観察された移植片治癒の期間(例えば皮膚手術後)は、エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及び/またはエナメルマトリックスタンパク質を使用しない場合の手術に比べ顕著に減少する。
【0028】
活性エナメル物質の本発明に係る使用におけるさらなる利点は、感染減少特性を示すことが見出された点である。感染は移植に関連した高頻度の合併症であり、移植片拒絶、又は少なくとも移植片の治癒の障害、及び斑痕形成のリスクの増加を引き起こし得るため、活性エナメル物質の感染減少特性は、活性エナメル物質を使用した際に観察される移植片の接着及び治癒の改善に寄与する。特に、活性エナメル物質は、細菌の増殖を抑制するという意味で抗菌特性を有することが見出されている。本発明の目的にとって特に重要であるのは、創傷感染を引き起こす細菌、特に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のようなブドウ球菌(Staphylococci)の阻害である。
【0029】
活性エナメル物質の治療的及び/または予防的活性は、実験動物(以下の実施例2を参照のこと)またはヒトを使用するインビボでの試験により証明されうる。しかし、活性エナメル物質の効能と活性は、例えば、細胞培養を含む試験のような比較的単純なインビトロでの試験を実施して得ることができる。
【0030】
さらに、移植片治癒作用を評価するために使用できるいくつかのパラメーターがある。これらには以下のパラメーターが含まれる:
−計算機援用面積計(移植片治癒率の評価)
−レーザードップラーイメージング(移植片灌流の評価)
−表面張力計(移植片の強度評価)
−組織病理学/細胞学(移植片組織及び流体の顕微鏡評価)
−生化学(HPLC/RIA/ELISA)(様々な薬剤と組織治癒の生化学的構成要素の評価)
−電子診断(移植片治癒と神経支配との関係の評価)
−シンチグラフィー(移植片組織の放射性核種イメージング)。
【0031】
移植部位に関連して、移植片ベッドの挫滅組織切除及び清浄は特に重要である。移植前の移植片ベッドの清浄及び/または挫滅組織切除は、移植片および移植片治癒過程の成功した接着の必要条件である。さらに、活性エナメル物質は、新鮮な生体組織、死滅していない組織、または汚染されていない組織において、その効果が発揮されると考えられている。壊死組織の挫滅組織切除は少なくとも4つの異なった方法:(1)鋭利挫滅組織切除(sharp debridement)、(2)物理的挫滅組織切除、(3)酵素的挫滅組織切除、および(4)自己分解挫滅組織切除により行うことができる。
【0032】
従って、壊死組織を含有する移植片ベッドの調製のための本発明に係る活性エナメル物質の使用においては、活性エナメル物質の適用及び移植片の接着の前に、壊死組織切除が好適に実施される。
【0033】
エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及びエナメルマトリックスタンパク質
エナメルマトリックスは偶然に誘導された(actodentally)エナメル質の前駆体であって、任意の適切な天然の供給源、すなわち歯が発達途中の哺乳動物から得ることができる。適切な供給源は、たとえばウシ、ブタ、ヒツジのような屠殺された動物からの発達途中の歯である。他の供給源には例えば魚類の皮膚がある。
【0034】
エナメルマトリックスは以前に記述された通り(EP-B-O 337 967及びEP-B-O 263 086)発達途中の歯から調製できる。エナメルマトリックスを掻き取り、たとえば、緩衝液、希釈した酸もしくはアルカリ、または水/溶媒混合液のような水溶液で抽出し、続いてサイズ排除脱塩、または他の精製段階を行い、次いで凍結乾燥して、エナメルマトリックス誘導体を調製する。酵素は、熱または溶媒で処理し不活性させることができ、この場合該誘導体は凍結乾燥しないで液体の形態で貯蔵できる。
【0035】
本明細書においては、エナメルマトリックス誘導体は、交互スプライシングまたは、プロセッシングにより自然に、または、元来の長さのタンパク質を酵素的または化学的に切断するか、またはインビトロもしくはインビボにおけるポリペプチドの合成(組換えDNA法、または二倍体細胞培養)により産出される、一つもしくは複数のエナメルマトリックスタンパク質、または、このようなタンパク質の一部を含むエナメルマトリックスの誘導体である。エナメルマトリックス誘導体は、また、エナメルマトリックス関連ポリペプチドまたはタンパク質を含む。該ポリペプチドまたはタンパク質は、ポリアミノ酸または多糖類のような適切な生物分解性担体分子、またはそれらの組み合わせに結合することができる。さらにエナメルマトリックス誘導体という用語は合成類似物質を含む。
【0036】
タンパク質はペプチド結合でお互いに連結したアミノ酸残基により構成された生体高分子である。アミノ酸の直鎖ポリマーとして、タンパク質はポリペプチドとも呼ばれる。特徴的に、タンパク質は50〜800アミノ酸残基を有し、従って、約6,000から約数十万Daまたはそれ以上の範囲の分子量を有する。小さなタンパク質はペプチドまたはオリゴペプチドと呼ばれる。
【0037】
エナメルマトリックスタンパク質は、通常、エナメルマトリックス内に存在するタンパク質、すなわちエナメル質の前駆体(Ten Cate: Oral Histology、1994; Robinson: Eur J. Oral Science、Jan. 1998、106 Suppl、1: 282-91)であるか、またはこのようなタンパク質の切断により得られるタンパク質である。一般的にこのようなタンパク質は120,000Da未満の分子量を有し、アメロゲニン、非アメロゲニン、プロリンリッチ非アメロゲニン、アメリン(アメロブラスチン、シースリン)、エナメリン、及びタフテリンを含む。
【0038】
本発明に従い使用するタンパク質の例には、アメロゲニン、プロリンリッチ非アメロゲニン、ツフテリン、房状分岐タンパク質、血清タンパク質、唾液タンパク質、アメリン、アメロブラスチン、エナメリン、シースリン、並びにそれらの誘導体及びそれらの混合物がある。本発明に従い使用する活性エナメル物質を含む調製品はまた、少なくとも二つの先述のタンパク質性物質を含むことができる。さらに、本発明に従って使用する他のタンパク質としては、市販されている製造物、エムドゲイン(EMDOGAIN)(登録商標)(BioraAB)が知られている。
【0039】
一般的に、主要なエナメルマトリックスタンパク質アメロゲニンとして知られている。それらは、マトリックスタンパク質の約90% w/wを構成する。残りの10% w/wは、プロリンリッチ非アメロゲニン、タフテリン、エナメリン、房状分岐タンパク質、血清タンパク質及び少なくとも一つの唾液タンパク質を含むが、例えばエナメルマトリックスと関連して同定されたアメリン(アメロブラスチン、シースリン)のような他のタンパク質が存在することもできる。さらに、種々のタンパク質合成され、及び/または、幾つかの異なった大きさ(すなわち異なった分子量)にプロセシングされることができる。従って、エナメルマトリックス内の優勢なタンパク質である、アメロゲニンは、共に超分子凝集体を形成する幾つかの異なった大きさで存在することが判明している。それらは、生理状況下で不溶性の凝集体を形成する、著しく疎水性物質である。それらは他のタンパク質またはペプチドを運搬する、または他のタンパク質またはペプチドの担体であることができる。
【0040】
他のタンパク質物質は、本発明に係る使用に適することが予想される。例には、プロリンリッチタンパク質及びポリプロリンのようなタンパク質が含まれる。本発明に従う使用に適することが予想される他の例には、このようなタンパク質の凝集体、エナメルマトリックス誘導体、及び/または、エナメルマトリックスタンパク質の凝集体や、エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及びエナメルマトリックスタンパク質の代謝物質がある。該代謝物質はタンパク質から短いペプチドまでの範囲のあらゆる大きさである可能性がある。
【0041】
上記のように、本発明に従い使用するタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、例えばSDS Page電気泳動により決定した、最大で100kDa、90 kDa、80 kDa、70 kDa、または60 kDaのような、最大で約120kDaの分子量を有する。
【0042】
本発明に従い使用するタンパク質は通常調製品の形態で存在し、調製品内の活性エナメル物質のタンパク質の含有量は、例えば約5〜99%w/w、約10〜95%w/w、約15〜90%w/w、約20〜90%w/w、約30〜90%w/w、約40〜85%w/w、約50〜80%w/w、約60〜70%w/w、約70〜90%w/w、または、約80〜90%w/wのような、約0.05%w/wから100%w/wの範囲内である。
【0043】
本発明に従い使用する活性エナメル物質の調製品はまた、異なる分子量のタンパク質の混合物を含むことができる。
【0044】
エナメルマトリックスタンパク質は高分子量部分と低分子量部分とに分けることができ、エナメルマトリックスタンパク質のよく定義された画分は、歯周欠陥(すなわち歯周創)の治療に関して価値のある特質を保持することが判明している。この画分は、通常アメロゲニンと称される酢酸抽出可能タンパク質を含み、エナメルマトリックスの低分子量部分を構成する(EP-B-O 337 967及びEP-B-O 263 086参照)。
【0045】
上記のように、エナメルマトリックスの低分子量部分は、歯周欠陥内の硬組織間の結合の促進に適した活性を有する。本明細書に於いては、しかしながら、活性タンパク質はエナメルマトリックスの低分子量部分に限定されない。現在、好ましいタンパク質は分子量約60,000Da未満(SDS-PAGEでインビトロにて測定)の、アメロゲニン、アメリン、タフテリンのエナメルマトリックスタンパク質を含むが、60,000Daより大きな分子量を有するタンパク質も創傷治癒剤、抗菌剤、及び/または、抗炎症剤の候補としての有望な特性を有する。
【0046】
よって、本発明に従い使用する活性エナメル物質は、例えば分子量約5,000及び約25,000間の分子量のような、約40,000までの分子量を有することが予想される。
【0047】
本発明の範囲内には、国際公開公報第97/02730号に記載のペプチド、すなわちテトラペプチドDGEA(Asp-Gly-Glu-Ala)、VTKG(Val-Thr-Lys-Gly)、EKGE(Glu-Lys-Gly-Glu)、及びDKGE(Asp-Lys-Gly-Glu)から成る群より選択される少なくとも一つの配列要素を有する、及び国際公開公報第97/02730号に示される配列番号:1に記載のアミノ酸配列、及び配列番号:1のアミノ酸1から103位、及び配列番号:2のアミノ酸6から324位から成る配列よりなる群より選択される同じ長さのアミノ酸配列と、アミノ酸配列からの20の連続アミノ酸配列が少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有するペプチドもある。
【0048】
「配列同一性」という用語は、ペプチドのアミノ酸の同一性と位置に関して、合致するアミノ酸配列における同一性を意味する。
【0049】
このようなペプチドは、例えば、少なくとも20アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも120アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、または少なくとも200アミノ酸のような、6から300までのアミノ酸を有することができる。
【0050】
エナメルマトリックスタンパク質の単離方法は溶解ヒドロキシアパタイトからの、例えば、ゲル濾過、透析、限外濾過のような適切な方法(例えばJanson、J-C & Ryden、L編、「タンパク質精製(Protein Purification)」、VCH Publishers 1989、及びHarris、ELV & Angal、S.、「タンパク質精製法-実践的方法(Protein purification methods - A practical approach)」、IRL Press、Oxford 1990)による該タンパク質の抽出とカルシウム及びリン酸イオンの除去を含む。
【0051】
典型的な凍結乾燥されたタンパク質調製品は、主に、あるいは、もっぱら、40,000から5,000Da間の分子量(MW)を有するアメロゲニンを70〜90%まで含み、10〜30%小ペプチド、塩、及び残存水から成る。主なタンパク質のバンドは20kDa、12〜14kDa、及び約5kDaである。
【0052】
例えば沈澱、イオン交換クロマトグラフィー、分取電気泳動、ゲル透過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィーで、該タンパク質を分離し、異なった分子量のアメロゲニンを精製できる。
【0053】
アメロゲニンの分子量の組み合わせは様々で、優勢な20kDaの化合物から、40k及び5kDa間の多くの異なった分子量のアメロゲニンの凝集体、及び優勢な5kDaの化合物に及ぶことが可能である。エナメルマトリックス内に通常見られる、アメリンやタフテリンまたはタンパク質分解酵素のような他のエナメルマトリックスタンパク質を添加しアメロゲニン凝集体で運搬できる。
【0054】
エナメルマトリックス誘導体またはタンパク質の別の供給源としては、当業者に周知の一般的に使用可能な合成経路を使用でき、また組換えDNA技術(例えばSambrook、J.ら「分子クローニング(Molecular Cloning)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989参照)で修飾された培養細胞または細菌を使用できる。
【0055】
エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体及びエナメルマトリックスタンパク質の物理化学特性
一般的には、エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体及びエナメルマトリックスタンパク質は疎水性物質で、すなわち特に高温では水に溶けにくい。一般的に、これらのタンパク質は非生理的pH値及び、約4〜20℃のような低温では可溶性で、一方、体温(35〜37℃)及び中性pHでは凝集し沈澱する。
【0056】
本発明に従い使用される少なくとも一部の活性エナメル物質は、凝集体の形態であるか、またはインビボでの使用後に凝集体を形成することができる。凝集体の粒子の大きさは約20nmから約1μmまでの範囲である。
【0057】
活性エナメル物質の溶解度特性は、該物質の予防及び治療活性に関して重要であることが予想される。活性エナメル物質を含む組成物を例えばヒトに投与する場合に、該タンパク質性物質は、生理的状況下で通常優勢なpHにより沈澱する。従って、エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及び/または、エナメルマトリックスタンパク質の層が使用部位で形成され、この層(凝集体が形成する場合に分子層であるかもしれない層)は、生理的状況下では、洗い落とされにくい。さらに、該物質の生体接着性特質により(下記参照)、沈澱した層は、沈澱した層と組織との境目でまた、しっかりと組織に結合する。活性エナメル物質またはそれらの組成物を添加された組織を被い、および活性エナメル物質が長期間インサイチューで保持され、すなわち、短い間隔で活性エナメル物質を投与する必要がない。さらにインサイチューで形成された層は、ほぼ閉鎖包帯に例えられ、すなわち、形成された層は、層がその上に形成された細胞を周囲から保護する。移植された組織の場合、このような層は周囲に存在する微生物のさらなる汚染から組織を保護する。さらに、タンパク質性層は、組織と、または組織内/上に存在する微生物と直接に接触して、その作用を及ぼすことができる。
【0058】
添加後、インサイチューでタンパク質性層を形成させることができるようにするため、活性エナメル物質の薬学的組成物または化粧用組成物内に適切な緩衝物質を取り込むことは有効であり、このような緩衝物質の目的は、使用部分での活性エナメル物質の溶解を避けるためである。
【0059】
活性エナメル物質が、生体接着特性を保持することが(本発明者らによって)観測されており、すなわち、それらは、皮膚表面へ付着する能力を有する。これらの特性は少なくとも次の理由により、治療的、及び/または予防的治療に関して、高い価値がある。
【0060】
- 予防的に及び/または治療的に活性な物質は、長期間使用部位で維持され、すなわち、i)投与頻度が減少し、ii)活性物質の制御された放出作用が得られ、及び/または、iii)使用部位での局所的治療が向上する。
【0061】
- 活性エナメル物質を含む媒介物は、生体接着性媒介物として形成できるので(すなわち、活性エナメル物質の生体接着性特性に基づいた新規な生体接着性薬物送達システム)、該物質はそれ自体、他の予防的または治療的物質のための媒介物として適切である可能性がある。
【0062】
効果のメカニズムに関する学説
エナメルマトリックスは鉱物表面及びタンパク質性表面に付着する細胞外タンパク質マトリックスの一例である。生理的pH及び温度で該タンパク質は、不溶性超分子凝集体を形成し(Finchamら、J. Struct. Biol.、1994、 March-April; 112 (2): 103-9、及びJ. Struct. Biol.、1995、July-August; 115 (1): 50-9)、それは徐々にタンパク質分解酵素により分解される(プロテアーが不活性化されていない条件で、インビボとインビトロの両方で起る)。
【0063】
多くの種で、歯が、口腔へと萌出する時に、エナメルマトリックスの残存物が新たに鉱物化した歯冠内で発見される。新しい歯は、この開始段階の間、元来、保護を有さないかぎりは、一般的な口内細菌の攻撃を非常に受けやすいのかもしれないということが議論されるかもしれない。このことは、エナメル質形成不全症の小児がほとんど虫歯を発症しないという事実によって支持されている。
【0064】
本発明に従えば、活性エナメル物質は、治療目的、及び予防目的に使用できる。さらに、活性エナメル物質を、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、シクロスポリンもしくはアスコマイシンのような免疫抑制剤のような他の活性薬物とともに、または、例えば、TGFβ、PDGF、IGF、FGF、EGF、ケラチノサイト増殖因子のような増殖因子、またはこれらのペプチドアナログ(EGFは、上皮細胞の移動及び細胞***の促進により、治癒を促進し、さらには創傷内の線維芽細胞数を増加させ、より多くのコラーゲン産出につながると考えられている)と組み合わせて使用できる。遺伝的にエナメルマトリックス内に存在するか、またはそれらの調製物、または添加されたもののいずれかである酵素、特にプロテアーゼは、活性エナメル物質と組み合わせて使用できる。
【0065】
活性エナメル物質の調製剤は、通常、薬学的組成物または化粧用組成物として製剤化される。このような組成物はもちろんタンパク質性調製剤から構成でき、さらに、薬学的に許容される賦形剤を有することができる。特に、薬学的組成物または化粧用組成物において使用する適切な賦形剤は、アルギン酸プロピレングリコール、ヒアルロン酸、またはそれらの塩もしくは誘導体である。
【0066】
薬学的組成物または化粧用組成物
次に、活性エナメル物質を含む適切な組成物の例をあげる。活性エナメル物質の使用次第で、組成物は薬学的組成物または化粧用組成物とすることができる。下記の、「薬学的組成物」という用語はまた、化粧用組成物、及び医薬品と化粧品との間の灰色の地帯に属する組成物、すなわち薬用化粧品(cosmeceutical)を含むことが意図される。
【0067】
個体(動物またはヒト)に投与するため、活性エナメル物質及び/またはそれらの調製品は、好ましくは、活性エナメル物質と、任意に一つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的組成物に製剤化される。
【0068】
該組成物は、例えば固体、半固体、または流体の形態であり、次のような例がある:
生体接着性絆創膏、飲薬、包帯剤、ヒドロゲル包帯、ヒドロコロイド包帯、フィルム、泡、シート、包帯、ギブス、運搬装置、移植組織、
粉末、顆粒、顆粒状物(granulates)、カプセル、アガロースまたはキトサンビーズ、錠剤、ピル、ペレット、小カプセル、ミクロスフェア、小粒子、
ゲル、ヒドロゲル、ペースト、軟膏、クリーム、石鹸、
溶液、分散液、懸濁液、乳濁物、混合液、ローション、
例えば二つの別々の容器を含むキットであって、一つ目の容器は、任意に別の活性薬物及び/または薬学的に許容される賦形剤とを混合した、例えば粉末または凍結乾燥した形態の活性エナメル物質を含み、二つめの容器は、すぐに使える組成物を得るために、使用前に最初の容器に加えることが意図された適切な培地を含むキット。
【0069】
皮膚または粘膜に適用するための組成物は本発明に関して非常に重要だと考えられる。従って、投与される活性エナメル物質を含む組成物は、例えば、局所(皮膚)への投与による任意の適切な経路による投与に適応できる。さらに、組成物は、例えば骨移植片または軟骨移植片のような内部組織創傷の治癒を促進するための、体内の切開に関するような、手術に関する投与にも適応できる。
【0070】
該組成物は、従来の薬学の実践に従い調製でき、例えば「レミントンの薬科学(Remington's Phasmaceutical Sciences)」及び、「薬学技術百科(Encyclopedia of Pharmaceutical Technolohgy)」、Swarbrick、J. & J. C. Boylan編集、Marcel Dekker、Inc.、New York、1988参照されたい。
【0071】
活性エナメル物質を含む薬学的組成物は薬物送達システムとしての役割を果す。本分脈においては「薬物送達システム」という用語は、投与がヒトまたは動物の身体へ活性物質を与える薬学的組成物(薬物製剤、または投与形態)を意味する。従って、「薬物送達システム」という用語は、例えばクリームや軟膏、液体、粉末等の簡素な薬学的組成物、及び、例えばスプレーやギブス、包帯、包帯剤、装置等のより洗練された製剤を含む。
【0072】
活性エナメル物質は別として、本発明に従い使用される薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤を有することができる。
【0073】
薬学的に許容される賦形剤は、該組成物が投与される個体に実質的に無害な物質である。このような賦形剤は、通常国家の健康官庁により与えられた必要条件を満たす。例えば、イギリス薬局方、米国薬局方、欧州薬局方、のような公共の薬局方は、薬学的に許容される賦形剤の基準を設けている。
【0074】
薬学的に許容される賦形剤が薬学的組成物内での使用に適切であるかは、一般的にどのような種類の投与形態が特定の創傷への使用に選択されるかに左右される。次に、本発明に従い使用される異なった種類の組成物における使用のための薬学的に許容される賦形剤の例をあげる。
【0075】
次に、本発明に従い使用される適切な薬学的組成物の総説をあげる。該総説は、特殊な投与経路に基づく。しかしながら、薬学的に許容される賦形剤が異なった投与形態または組成物で使用される場合は、薬学的に許容される特殊な賦形剤の使用は、特殊な投与形態、または、該賦形剤の特殊な機能に限定されないことが理解される。
【0076】
本発明に従い使用される組成物内の、薬学的に許容される賦形剤、及びそれらの最適な濃度の選択は、一般的には予想できず、最終組成物の実験評価に基づいて決定されなければならない。しかしながら、薬剤調合業者は、例えば「レミントンの薬科学(Remington's Pharmaceutical Science)」、第18版、Mack Publishing Company、Easton、1990中のガイダンスを見つけることができる。
【0077】
局所的組成物
粘膜または皮膚への使用のため、本発明に従い使用される組成物は、ミクロスフェア及びリポソームを含む、従来的に無毒で薬学的または美容学的に許容される担体及び賦形剤を含むことができる。
【0078】
本発明に従い使用される組成物は、全ての種類の固体、半固体、流体成分を含む。特に適切な成分は、例えば、ペースト、軟膏、親水性軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、溶液、乳濁液、懸濁液、ローション、湿布剤、シャンプー、ゼリー、石鹸、棒、スプレイ、粉末、フィルム、泡、パッド、スポンジ(例えば、コラーゲンスポンジ)、パッド、包帯剤(例えば、吸着性創包帯)、飲薬、包帯、およびギブスである。
【0079】
薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、緩衝剤、保存料、湿潤剤、キレ−ト剤、酸化防止剤、安定剤、乳化剤、懸濁剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、浸透促進剤、香料、及び皮膚保護剤を含むことができる。
【0080】
溶媒の例には、例えば、水、アルコール、植物油または海産油(例えば、アーモンド油、ヒマシ油、カカオ油、カカオバター、ココナッツオイル、コ−ン油、綿実油、亜麻仁油、オリ−ブ油、やし油、ピーナッツ油、けしの実油、菜種油、ごま油、大豆油、ひまわり油、茶実油(teaseed)のような可食油)、ミネラルオイル、脂肪油、液体パラフイン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、液体ポリアルキルシロキサン及びそれらの混合物がある。
【0081】
緩衝剤の例には、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リン酸水素塩、ジメチルアミン等がある。
【0082】
組成物中に使用される保存料の適切な例には、メチル、エチル、プロピルp-ヒドロキシ安息香酸、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸、安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ブロノポル、ブロニドックス、MDMヒダントイン、ヨウ化プロピニルブチルカルバメート、EDTA、塩化ベンザルコニウム、及びベンジルアルコール、または保存料の混合物がある。
【0083】
湿潤剤の例は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、乳酸、尿素、及びそれらの混合物である。
【0084】
キレート剤の例はEDTAナトリウム及びクエン酸である。
【0085】
酸化防止剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、及びそれらの誘導体、トコフェノール、及びそれらの誘導体、システイン、及びそれらの混合物がある。
【0086】
乳化剤の例は、例えばアカシアガムまたはトラガカントガムのような自然発生するガム、例えば大豆レクチンのような自然発生するホスファチド、ソルビタンモノオレエート誘導体、ラノリン、羊毛アルコール、ソルビタンエステル、モノグリセリド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル(例えば脂肪酸のトリセリド)及びそれらの混合物がある。
【0087】
懸濁剤の例には、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カラゲナン、アカシアガム、アラビアガム、トラガカントのような例えばセルロ−ス及びセルロース誘導体、及びそれらの混合物がある。
【0088】
創傷からの侵出物を取り去ることができる、ゲル基剤、粘性増加剤、または成分は、液体パラフィン、ポリエチレン、脂肪油、コロイドシリカ、またはアルミニウム、亜鉛石鹸、グリセロール、プロピレングリコール、トラガカント、カルボキシビニルポリマー、マグネシウムーアルニウム珪酸塩、Carbopol(登録商標)、例えば澱粉のような親水性ポリマー、または、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及び他のセルロース誘導体のようなセルロース誘導体、水分膨張性ヒドロコロイド、カラゲナン、ヒアルロン酸塩(例えば、任意に塩化ナトリウムを含むヒアルロン酸塩ゲル)、及び、アルギン酸プロピレングリコールを含むアルギン酸塩がある。
【0089】
軟膏基剤の例には、例えば蜜蝋、パラフィン、セタノール、セチルパルミテート、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル(Span)、ポリエチレングリコール、及び、脂肪酸のソルビタンエステルと酸化エチレンの間の縮合製品、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween)がある。
【0090】
疎水性または水性乳化軟膏基剤の例は、パラフィン、植物油、動物性脂肪、合成グリセリド、ワックス、ラノリン、及び液体ポリアルキルシロキサンがある。
【0091】
親水性軟膏基剤の例には、固体マクロゴル(ポリエチレングリコール)がある。
【0092】
軟膏基剤の他の例には、トリエタノールアミン石鹸、硫酸化脂肪アルコール、及びポリソルベートがある。
【0093】
粉末成分の例には、アルギン酸塩、コラーゲン、ラクトース、移植片に適用する際に泡を形成できる粉末(液体/創傷侵出物を吸収)がある。通常、移植片への使用を意図する粉末は無菌で、存在する粒子は微小化されなければならない。
【0094】
別の賦形剤の例には、カルメローズ、カルメローズナトリウム、ヒドロキシポリメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、キサンタンガム、いなごまめガム、アカシアガム、カルボマーのようなポリマー、ビタミンE、ステアリン酸グリセリル、セタニルグルコシド、コラーゲン、カラゲナン、ヒアルロン酸塩、及びアルギン酸塩、及びキトサンのような乳化剤がある。
【0095】
包帯剤及び/または包帯も、活性エナメル物質の運搬システムとして使用されうる。包帯剤を投与形態として使用する場合に、活性エナメル物質は、包帯剤の製造前または製造中に、他の原料と混合でき、または、活性エナメル物質を、いくつかの方法により、例えば、活性エナメル物質の溶液または懸濁液にちょっと浸す、活性エナメル物質の溶液または懸濁液を包帯剤上にスプレーする等して、包帯剤上にコーティングできる。また、活性エナメル物質を粉末の形態で包帯剤に添加できる。包帯剤は、侵出創へ添加するために吸収性創傷包帯剤の形態であることができる。包帯剤はまた、ヒドロゲルの形態(例えば、カルボキシメチルセルロース、プロピレングリコール、または多糖類、二糖類、及びタンパク質を含むIntrasite(登録商標)等の橋かけされたポリマー)、または、例えばアルギン酸塩、キトサン、親水性ポリウレタンフィルム、コラーゲンシート、板、粉末、泡、または、スポンジ、泡(例えばポリウレタンまたはシリコン)、ヒドロコロイド(例えばカルボキシメチルセルロース、CMC)、及びこれらの組み合わせを含むヒアルロン酸塩に基づく包帯剤のような閉鎖包帯剤の形態であることもできる。
【0096】
アルギン酸塩、キトサン、ヒドロコロイド包帯剤は、移植片上に置くと、創傷侵出物を取る。その際に、それらは移植片表面上に水溶性ゲルを産出し、このゲルが移植片部位の水分を保持するため、移植片治癒に有効であると考えられている。
【0097】
局所的使用に関して重要であることが判明している組成物は、揺変性特性を有する組成物であり、すなわち、例えば、組成物の粘性を投与時に低下させ、該組成物が適用されると、該組成物が適用部位にとどまるように粘性が高まるように震盪または撹拌して、組成物の粘性に影響を及ぼす。
【0098】
エナメルマトリックス、エナメルマトリックス誘導体、及びエナメルマトリックスタンパク質の投与量
本発明に従い皮膚または粘膜に使用される薬学的組成物において、活性エナメル物質は一般的に約0.01%から99.9%w/wの範囲の濃度で存在する。添加される組成物の量は通常、例えば約0.1mg/cm2から約15mg/cm2のような、約0.01mg/cm2から約20mg/cm2に対応する、レシピエント・ベッド面積cm2当たりの総タンパク質量となる。
【0099】
組成物の使用量は、組成物内の活性エナメル物質の濃度、組成物からの活性エナメル物質の放出率によるが、しかし一般的に最大で約15〜20mg/cm cm2に対応する範囲内である。液体組成物の形態で活性エナメル物質を投与する場合、組成物中の活性エナメル物質濃度は約0.1から約50mg/mlに対応する範囲である。さらに高い濃度が望ましい場合もあり、例えば少なくとも約100mg/mlのような濃度を得ることもできる。
【0100】
薬学的組成物内の活性エナメル物質濃度は、特異的エナメル物質、その効力、予防または治療される疾病の重さ、及び患者の年齢及び状態に左右される。薬学的組成物内の活性エナメル物質の適切な濃度決定に応用できる方法は、当業者に周知で、例えば、国際基準ISO/DIS 14155 医療装置の医療的研究(Clinical investigation of medical devices)、1994及びICH (International Committee for Harmonisation) 中の優良臨床規範(good clinical Practice:GCP)の確立されたガイドラインまたは新薬臨床試験免除(Investigational New Drug Exemption:「IND」)規定、優良臨床規範のための三者の一致(Harmonised tripartite for good clinical practice)、Brookwood Medical Publications、Ltd、Surrey、UK、1996に従い実践できる。上記の一般的な教科書、ガイドライン、規定内に記載の方法、及びこの分野内での通常の一般的知識を用い、当業者は非常に日常的な実験方法により、いずれの活性エナメル物質、及び/または、選択された別の活性物質及び投与形態について、実行される正確な投薬方式を選択できる。
【0101】
添付の図面を参照しつつ、以下に本発明をさらに説明する。以下の実施例において、本発明をさらに説明するが、実施例は、決して、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するものではない。
【0102】
実験の節
材料及び方法
タンパク質と溶媒が別々に試験されない限りは使用前に混合される、30mgの凍結乾燥したエナメルマトリックスタンパク質(以下EMDと略す)、1mlの溶媒液(アルギン酸プロピレングリコール)を含む、BIORA AB、S-205 12 Malmo、Sweden製のエナメルマトリックス誘導体エムドゲイン(EMDOGAIN)(登録商標)それぞれ約20、14、及び5 kDaにおける主要タンパク質ピーク間の重量比は約85/5/10である
【0103】
実施例1
材料及び方法
バイオウィッテーカー(BioWhittaker)より、正常なヒト皮膚繊維芽細胞(CC-2511、NHDF、単一ドナー、成人男性、バッチ番号NHDF-4196、ロット番号16503)を入手した。10%胎児ウシ血清が補足されたダルベッコ改変イーグル培地中で、細胞を増殖させた。EMDは、0.5mg/ml EMDを含む0.1%Hac溶液を含む表面コーティング培養皿によっても、培地1ml当たり100μgのEMDを含む培地を補足することによっても提供された。全ての実験を、培養培地1ml当たり50,000細胞という細胞密度で開始した。
【0104】
(a)EMDでコーティングされた培養皿の表面上で、30分間、60分間、120分間、又は240分間、NHDF細胞を増殖させた後、未接着細胞を除去するため培養物をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄した。未コーティング培養皿で増殖させた細胞を対照として用いた。次いで、接着細胞を、トリプシン処理により剥離し、バーカー(Burker)チャンバーで計数した(各時点でn=3)。図1から明らかなように、EMDの存在により、NHDF細胞の最初の接着は有意に増加する。
【0105】
(b)NHDF細胞を、EMDの存在下又は非存在下(対照)において、24時間、48時間、72時間、又は96時間、培養した後、5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU)の取り込みを測定する細胞増殖イムノアッセイ法にかけた。4時間にわたり、増殖細胞の新たに合成されたDNAに、チミジンの代わりにBrdUを取り込ませた。標識後、細胞を洗浄し、固定し、変性させ、取り込まれたBrdUの量を、製造業者の指示に従い、抗BrdUペルオキシダーゼ結合抗体を使用した比色ELISAにより測定した(Boehringer Mannheim、カタログ番号1647 229)(各時点でn=6)。図2より明らかなように、EMDの存在下で増殖させた細胞は、24時間目を除き、対照細胞と比較して、DNA合成の増加を示した。
【0106】
(c)NHDF細胞を、EMDの存在下又は非存在下(対照)において、24時間、48時間、72時間、96時間、又は120時間、培養物中で増殖させた。次いで、PBSで培養物を洗浄し、固定グリッドを使用した顕微鏡下で細胞を計数した。6つの平行培養物の各々において、各時点において、5つの異なる視野を計数した。72時間目に、EMDの存在下で増殖させた培養細胞は、未処理対照と比較して、細胞密度の急速な増加を示した(図3)。
【0107】
(d)NHDF細胞を24時間又は120時間、培養し、PBSで2回洗浄し、遠心分離した。次いで、各培養物からの細胞100μl(各時点/実験でn=6)を溶解させ、放出された細胞内cAMPを、製造業者の指示に従い、アマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)の「バイオトラック(Biotrak)cAMP EIA」キット(カタログ番号RPN225)を使用した競合酵素イムノアッセイ(EIA)法により測定した。EMDの非存在下で増殖させた対照と比較して、EMDの存在下では、NHDF細胞は、24時間の増殖後に、細胞内cAMPの顕著な増加を示す(図4)。この増加は、120時間の培養後にも依然として観察され得た。細胞内cAMPの増加は、EMDの存在下で増殖させた細胞が、増殖制御及び分化のための経路の一部となりうる(一つ又は複数の)内部シグナルを生成させることを示唆している。
【0108】
(e)24時間目、48時間目、72時間目、96時間目、又は120時間目に培養物からNHDF細胞を収集し(各時点/実験でn=5)、PBSで洗浄し、遠心分離した。200μlの細胞を溶解させ、アポトーシス特異的核酸分解産物(ヒストン関連DNA断片)のレベルを、製造業者の指示に従い、ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)の「細胞死検出(Cell Death Detection)ELISA」キット(カタログ番号1 774 425)を使用したサンドイッチELISAにより定量した。結果はEMD処理細胞と未処理細胞との比率として表されている。従って、1を越える値は、細胞死が誘導されたことを示し、1未満の値は、細胞の生存が延長されたことを反映している。図5から明らかなように、培養物中にEMDが存在する場合、NHDF細胞は、生存率の増加(1未満の値)を示した。
【0109】
(f)NHDF細胞を、EMDの存在下又は非存在下(対照)において、24時間、48時間、72時間、又は96時間、培養し、PBSで洗浄し、固定グリッドを使用した顕微鏡下で多層コロニーの数を計数した。9つの平行培養物の各々において、各時点において、5つの異なる視野を計数した。次いで、トリプシン処理により細胞を収集し、バーカー・チャンバーで計数し、1000細胞当たりの多層コロニーの数を計算した。図6から明らかなように、細胞をEMDの存在下で増殖させた場合、NHDF培養細胞中の多層コロニーの数が増加した。多層コロニー形成は、72時間の培養後に観察され、cAMPの増加(図4)より遅く、TGF-β産生の開始(示していない)と同時期であった。
【0110】
これらの結果に基づき、EMDの存在下で培養されたNHDF細胞は、より迅速な複製、より高い代謝活性、増加した接着率、及びより多数の多層コロニーの発達を示したことが結論付けられた。
【0111】
実施例15
ブタを用いた試験的な傷の回復研究
導入
目的
この試験的研究の目的は、移植されたブタにおける分層創傷が治癒する工程を評価すること、またこれらの創傷に対してEMDの効果を評価することであった。
【0112】
材料及び方法
動物
この実験は4匹の雌のSPFブタ(デンマーク国産のヨークシャーとデュロックを掛け合わせた)で行った。新環境に順応する期間の開始時にはその動物の体重は約35kgであった。
【0113】
1週間の新環境順応期間は、不健康な状態を示している動物を拒絶するためにその動物を日常的に観察できる期間となりえた。全ての観察を記録した。
【0114】
ハウジング
この研究は、温度が21℃±3℃、相対湿度が55%±15%、そして空気の入れ替えが10回/時間にて濾過した空気を用いて提供された動物ルームで行った。このルームでは12時間は明るくそして12時間は暗くなるサイクルができるように照明が用いられた。動物は、畜舎の中で個別にハウジングされた。
【0115】
寝所
寝所は軟材のおがくず「LIGNOCEL H 3/4」を、Hahn & Co, D-24796 Bredenbek-Kronsburgから入手して用いた。関連のありうる汚染菌について一般的な分析が行われた。
【0116】
食餌
商業的に入手できるブタの餌「アルトロミン9033(Altromin 9033)」を、Chr. Petersen A/S, DK-4100 Ringstedから入手して与えた(約800gを1日2回)。主要な栄養成分と関連のありうる汚染菌の分析が一般的に行われた。
【0117】
飲料水
1日に2回、家庭用の品質の飲料水を与えた。関連のありうる汚染菌についての分析が一般的に行われた。
【0118】
創傷の形成および移植
創傷は1日目に形成した。動物をStresnil(登録商標)Vet. Janssen, Belgium(40mgのアザペロン/ml、1ml/10kg)を用いて麻酔し、Atropin DAK, Denmark(1mgのアトロピン/ml、0.5ml/10kg)を1回筋肉内注射し、続いてHypnodil(登録商標)Janssen, Belgium(50mgのメトミデート/ml、約2ml)を静脈注射した。
【0119】
その動物の背中の一方の側の背面領域を剃り、石鹸と水で洗ってから70%のエタノールで消毒し、それを滅菌性の塩水で洗い流して最後に滅菌ガーゼで乾燥した。
【0120】
分層創傷(25×25×0.4mm)を8箇所、ACCU−Dermatom(GA 630, Aesculap(登録商標))を用いて背骨のそれぞれの側に4箇所ずつ準備した領域に形成した。その創傷は、動物の左側では1(最も頭の方)から4(最も尻尾の方)と番号をつけ、またその動物の右側では5(最も頭の方)から8(最も尻尾の方)と番号をつけた。創傷形成およびホメオスタシスの直後、処理CおよびDの切除された創傷上皮が、創傷表面に置き換えられた。凝固した血は滅菌したガーゼで除去した。
【0121】
外科的手術を行う直前、手術を終わってから約8時間後、さらにその後は必要に応じてその動物にAnorfin(登録商標)A/S GEA, Denmark(0.3mgのブプレノルフィン/ml、0.04ml/kg)を筋肉内注射して投与した。
【0122】
投与量
傷を形成後、その傷には次のような治療が行われた。
Figure 0004726300
C=移植片
D=移植片+EMD
【0123】
投与する約15分前に、業者が提供した説明書に従ってEMD製剤を調製した。そのEMD製剤は調製後2時間以内に使用した。処理Dの創傷に対してはEMDは置き換えられ切除された上皮および創傷表面の間に薄い層として適用した。1本のEMDバイアルを4箇所の創傷に用いた。
【0124】
包帯剤
創傷はTegaderm(登録商標)を用いて覆った。この包帯剤はFixomul(登録商標)によって固定されたガーゼの包帯で被覆した。この包帯剤、ガーゼ、及びFixomul(登録商標)はネット状のボデー用ストッキング、Bend-a-rete(登録商標)(Tesval, Italy)で保持した。この包帯剤は基本的に毎日観察した。この包帯剤は2日(全ての動物)また3日(ナンバー3と4の動物)で交換した。
【0125】
それぞれの交換の前に動物は、Zoletil 50(登録商標)Vet., Virbac, France(5mlの溶媒に入れた125mgのタイレットアミンと125mgのゾルアゼピン、5ml)、Rompun(登録商標)Vet., Bayer, Germany(20mgのキシラジン/ml、6.5ml)及びMethadon(登録商標)DAK, Nycomed DAK, Denmark(10mgのメサドン/ml、2.5ml)の混合物を首に筋肉内注射する(1.0ml/10kg体重)ことで麻酔した。
【0126】
移植片の観察
それぞれの移植片は2日(全ての動物)、3日(全ての動物)及び4日(ナンバー3と4の動物)後に観察し、写真を撮った。浸出作用及び炎症の程度を評価した。
【0127】
臨床的な兆候
不健康と行動の変化の目に見える兆候はすべて毎日記録した。正常との偏差を、開始時、持続時間、及び強度に関して記録した。
【0128】
体重
動物は、到着時、創傷を受けた時、及び研究が終了した時に体重を測った。
【0129】
最後の観察
3日後(創傷を受けてから約56時間後)にナンバー1と2の動物を、ボルトピストルで気絶させた後で鎖骨下の静脈と動脈を切断して殺した。
【0130】
4日後(創傷を受けてから約72時間後)にナンバー3と4の動物を、ボルトピストルで気絶させた後で鎖骨下の静脈と動脈を切断して殺した。
【0131】
組織のサンプリング
それぞれの創傷は、骨格筋組織から分離したブロックとして切り取って自由にした。それぞれのブロックを燐酸緩衝化した中性の4%ホルムアルデヒドに固定化した。
【0132】
組織構造の調製
固定化した後で全ての創傷から得られた4つの標本サンプルをパラフィンに埋め込み、計画どおりの5μmの厚みに切断してからヘマトキシリンとエオシンで染色した。染色した後、そのスライドを格子を用いた光学顕微鏡で観察した。これによって移植片ベットの全長と上皮化した表面の長さの測定が可能になった。この比率は、スライド1枚あたりで上皮細胞によって被覆された移植片ベットのパーセントで表された。それぞれの創傷から得られる平均値をとり、その後、そのグループの平均値が算出された。
【0133】
統計
データを処理することによって、適切なところでグループ平均値と標準偏差を得る。ありうるアウトライヤーも確認するとよい。その後でそれぞれの連続的変数を、Bartlettのテストによって分散の同次性についてテストする。分散が同次である場合、分散の分析はその変数に対して行えばよい。何らかの有意差が検出された場合には、グループ内にありうる違いをDunnettのテストで評価できる。かりに分散が異次であると、それぞれの変数はShapiro-Wilkの方法によって平均値に対してテストすればよい。正規分布の場合、グループ内のありうる違いはStudentのt検定で同定できる。他の場合とりうるグループ内の違いは、Kruskai-Wallesのテストによって評価できる。何らかの有意のグループ内の違いが検出された場合、このグループの次の確認法はWilcoxon Rank-Surnテストで行うとよい。
【0134】
統計的な分析は、「SAS/STAT(登録商標)User's Guide, Version 6, Fourth Edition, Vol. 1+2」, 1989, SAS Institute Inc., Cary. North Carolina 27513, USAに記載されたSAS(登録商標)法(バージョン6.12)で行うことができる。
【0135】
結果
予備研究における臨床的観察は、EMD処理された移植創傷の上皮形成が、未処理の対照と比較して迅速であることを示している。また、移植片からの滲出物が少ないことも観察された。組織診からの結果は、より少ない炎症の指標である、より少ない滲出物、及びより少ない遊出血球を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒト皮膚繊維芽細胞(NHDF)細胞の、対照として使用された未コーティング培養皿への接着と比較された、EMDでコーティングされた培養皿の表面への接着を示すグラフである。
【図2】 増殖細胞の新たに合成されたDNAへの5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU)の取り込みにより測定された、EMDの存在下又は非存在下で増殖させたNHDF細胞によるDNA合成を示すグラフである。
【図3】 EMDの存在下又は非存在下で増殖させたNHDF細胞の72時間後の密度を示すグラフである。
【図4】 EMDの存在下又は非存在下で増殖させたNHDF細胞における細胞内cAMPの量を示すグラフである。
【図5】 アポトーシス特異的な核酸分解産物のレベルにより測定された、EMDの存在下又は非存在下で増殖させたNHDF細胞の生存率を示すグラフである。
【図6】 EMDの存在下又は非存在下での72時間後及び96時間後のNHDF細胞の多層コロニーの形成を示すグラフである。

Claims (23)

  1. 非鉱化組織における、移植片の取り込みを促進するための薬学的又は化粧用の組成物の調製のための、少なくとも90% w/wのアメロゲニンを含み、かつ、20kDa、12〜14kDaおよび5kDaにおける主要タンパク質ピークの重量比がそれぞれ約85:5:10であるエナメルマトリックスタンパク質の調製物の使用。
  2. 実質的な割合の上皮細胞を含む組織における適用のための、請求項1記載の使用。
  3. 移植片が皮膚移植片又は粘膜移植片である、請求項1記載の使用。
  4. 移植片が自己皮膚移植片である、請求項3記載の使用。
  5. 移植片が、全層移植片、分層移植片、複合移植片、種(seed)移植片、又は網状移植片である、請求項3又は4記載の使用。
  6. 移植片が、ケラチノサイトもしくは繊維芽細胞のような培養表皮細胞、又は無細胞組織から作出された皮膚マトリックス材料を含む、請求項3記載の使用。
  7. 移植片が角膜移植物である、請求項1記載の使用。
  8. 移植片が毛髪移植物である、請求項1記載の使用。
  9. 移植片が軟骨移植片である、請求項1記載の使用。
  10. 移植片が、担体に埋め込まれた培養軟骨細胞を含む、請求項9記載の使用。
  11. エナメルマトリックスタンパク質の調製物が、異なる分子量を有する活性エナメル物質の混合物を含有する、請求項1から10のいずれか一項記載の使用。
  12. エナメルマトリックスタンパク質の調製物が、アメロゲニン、エナメリン、ツフテリン、房状分岐(tuft)タンパク質、血清タンパク質、唾液タンパク質、アメリン、アメロブラスチン、シースリン、及びそれらの誘導体より選択される、少なくとも2つの物質を含む、請求項1から11のいずれか一項記載の使用。
  13. エナメルマトリックスタンパク質が最大40,000の分子量を有する、請求項1から12のいずれか一項記載の使用。
  14. エナメルマトリックスタンパク質が5,000と25,000の間の分子量を有する、請求項1から13のいずれか一項記載の使用。
  15. エナメルマトリックスタンパク質の大部分が20kDaの分子量を有する、請求項1から14のいずれか一項記載の使用。
  16. 少なくとも一部のエナメルマトリックスタンパク質が、凝集物の形態であるか、又はインビボ適用後に凝集物を形成する能力を有する、請求項1から15のいずれか一項記載の使用。
  17. 凝集物が20nmから1μmの粒子サイズを有する、請求項16記載の使用。
  18. 調製物中のエナメルマトリックスタンパク質のタンパク質含量が、0.05%w/wから100%w/w、5〜99%w/w、10〜95%w/w、15〜90%w/w、20〜90%w/w、30〜90%w/w、40〜85%w/w、50〜80%w/w、60〜70%w/w、70〜90%w/w、又は80〜90%w/wの範囲である、請求項1から17のいずれか一項記載の使用。
  19. 薬学的又は化粧用の組成物が、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1から18のいずれか一項記載の使用。
  20. 薬学的又は化粧用に許容される賦形剤が、アルギニン酸プロピレングリコールである、請求項19記載の使用。
  21. 薬学的又は化粧用に許容される賦形剤が、ヒアルロン酸、又はその塩もしくは誘導体である、請求項19記載の使用。
  22. エナメルマトリックスタンパク質の調製物が、それぞれ20kDa、14kDa、及び5kDaにおける主要なタンパク質ピーク間での重量比が約85/5/10であり、添加の前に混合される、30mgのエナメルマトリックスタンパク質及び、1mlのアルギニン酸プロピレングリコールからなる溶媒液を含む、請求項1から21のいずれか一項記載の使用。
  23. 哺乳動物の非鉱化組織における移植片の取り込みを促進するための組成物であって、少なくとも90% w/wのアメロゲニンを含み、かつ、20kDa、12〜14kDaおよび5kDaにおける主要タンパク質ピークの重量比がそれぞれ約85:5:10であるエナメルマトリックスタンパク質の調製物を含む組成物。
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