JP2005501078A - 創傷治療のためのハエ幼虫の抽出物の使用 - Google Patents

創傷治療のためのハエ幼虫の抽出物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ハエ幼虫を殺し、冷却条件下で水性媒体中又は溶剤中で抽出し、そして非溶解成分を除いた、ハエ幼虫から得たハエ幼虫抽出物の局所適用に関する。種々のタイプのハエ幼虫抽出物は、あらゆる種類の表面又は深部の慢性及び急性の創傷を治療するのに適している。前記ハエ幼虫抽出物は、創傷治癒効果を有し、例えばSarcophaga 又は Lucilia属から得ることができる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、何らかの病因による表面又は深部の慢性及び急性の創傷を治療するための、例えばSarcophaga又はLucilia属に属する様々な種のハエ幼虫の抽出物の局所適用に関する。
【0002】
創傷治癒は、複合現象であり、複数の標的細胞及び標的構造が、規則正しい順序の工程で互いにかみあわなければならない。これらの工程は、創傷(慢性/急性)のタイプにかかわりなく進行し、それぞれの段階の持続期間は変動する。一般に、3つの主な段階、滲出期、増殖期及び上皮形成又は修復期に区別することができる。滲出期では、急性損傷の止血及び血管収縮反応が優勢である。主な臨床的特徴は、創傷の水腫及び創傷からの疼痛である。生じた血管の損傷は、血小板の作用により閉鎖される。化学走性活性を有する血小板が放出される。マクロファージ、好中球及びリンパ球は、その中で移動する。これにより、組織デブリドマンに非常に有効であるファゴサイトーシス系が準備される。
【0003】
細胞デトリタスが除去された後、繊維芽細胞及び血管内皮細胞の移動に伴い増殖期が始まる。繊維芽細胞及び内皮細胞が中に移動するため細胞内容物が大量に増加する。同時に、サイトカイン及び成長因子の放出が高まり、順に新しい脈管形成及び細胞増殖が刺激される。さらに、この段階でマトリックスの変換が起こる。これは、タイプIIIコラーゲンの形成及びタイプIコラーゲンへの変換のために生じる。その結果、良好な毛管作用を有する、マクロファージ、繊維芽細胞及びマスト細胞が豊富な肉芽組織となる。
【0004】
この増殖期の後に上皮形成及び修復期がくる。この最終段階では、創傷の収縮と周辺ケラチン生成細胞の創傷への移動が起こる。新脈管形成及び毛細血管密度における減少が起こる。対照的に、コラーゲン量が増加する。この工程は、生じた瘢痕組織の機械的強度に関連する。
【0005】
これらの複合的な相互作用が損なわれると、創傷治癒が遅れる可能性がある。障害となる工程の原因によるが、創傷が6〜8週間存在すると、創傷治癒の慢性障害と言われる。これは、多くの免疫学的障害、静脈瘤症、動脈閉塞性疾患に伴い、感染後、そして例えば真性糖尿病において生じる。創傷治癒を促進する手段は、上記一連の工程を促進又は整えるのに役立つ。この点について記載すべき方法は、肉芽形成を促進する手段に加えて、主に創傷洗浄手段である。しかし、上皮形成は最新の創傷ドレッシングによって促進することもできる。創傷治癒が遅れる主な理由の一つは、肉芽組織の不十分な形成である。これは、内因性創傷デブリドマンの減少、又は感染症、血流障害、免疫学的障害により細胞及び組織デトリタスが過剰に形成されることによって生じることがある。
【0006】
これらの場合、治療上、創傷洗浄手段を使用する。洗浄の目的は、清潔な創傷床を作ることである。このため、まず軟膏や外皮の残留物を取り除き、そして存在する壊死をできる限り切除する必要がある。後者は、鋭匙(掻爬)又は鉗子及びはさみのいずれかを用いて外科的に行う。別法の可能性としては、好ましくは変性タンパク質を分解する酵素の軟膏を用いることである。これには、酵素、例えばトリプシン、キモトリプシン、ウシ由来の酵素、例えば膵酵素、又はコラゲナーゼ、フィブロリシン、ストレプトキナーゼ又は仔ウシ血液透析物が含まれる。これと平行して、標準的な消毒を、例えば過マンガン酸カリウム又はRivanol(R)浴で行う。また、消毒手段は、銀又はヨウ素を含む製剤を用いて実施することもできる。
【0007】
しかし、酵素製品は、多くの場合、患者において限定された有効性しか示さない。これは、多くの場合、酵素の用量が非常に低く、知られている酵素製品の半減期が6〜12時間であるためである。このため、毎日、さらには1日数回、ドレッシングを替えなければならない。一部の製品は、局所適用できる抗生物質と組合せた製品である。組合せ製品の欠点は、外皮感作のリスクである。
【0008】
慢性下肢潰瘍のほとんど60〜70%の患者は、軟膏基剤又は局所製剤の他の成分に対する1またはそれ以上の感作で苦しんでいる。
従って、局所性抗生物質の使用は避けられており、その理由として一つは耐性が発生するためであり、そしてもう一つは感作率が高いためである。
【0009】
また、創傷にLucilia sericata種の幼虫(ウジ)を置くことは知られている。この治療は、長年の民間療法に基づき、そして部分的には戦争による創傷にハエウジが混成するという軍医官による所見及び観察に基づく。この種のウジは、壊死組織でのみ養われる。これには、この物質が唾液の分泌によってほとんど予め消化されており、ウジによって摂取されるのみであるということが含まれている。咀嚼又は噛む作用という意味においてL. sericataのウジによる食物の積極的な摂取があるわけではない。このため、ウジが、他の身体領域又は影響を受けてない体腔に入りこむことはできないことは確実である。ウジ治療は、非常に高い治療上の有効性を示す。しかし、現在の治療方法は、極めて複雑で、費用がかかり、そして大きな業務上の努力を必要とする。ヒトに使用するためのウジは、管理された条件下で成長させなければならない。養殖及び実験室から患者への運搬に際して確実に無菌状態にしなければならない。治療上の有効性は、計測することができない。創傷に適用するウジの数を決定することはできるが、それによって得られる酵素活性の測定はできない。ウジは、幼虫からさなぎに、次いで最終的にハエに変態する生物学的発育過程に従う。このため、幼虫の適用は、短い間隔で繰り返されなければならない。治療を実施するには、患者及び医療業務の提供者に、高度なコンプライアンスが必要であり、これは心理的に文化及び文明的な境界を越えることが必要だからである。さらに、幼虫の口鉤の挿入は、非常に痛みを伴う可能性がある。
【0010】
特許出願WO 01/31033は、Lucilia sericata種の生きているウジによって外部に分泌された、創傷治癒性を有すると考えられるタンパク質を記載している。しかし、この仮定を支持する創傷の生理学的な実験を欠いている。出願WO 01/31033は、分泌されたタンパク質の極少量の単離を記載しているが、しかし、商業的な量のタンパク質を得るための経済的な工程を開発する必要がある。また、油中の乾燥ハエ幼虫粉末の油性製剤が知られており、これは中国において創傷治療のために存在し、使用されてきた。(Yang Zheng.: China-Science: House fly yields medicine, expert say. In: Inter Press Service; 03.09. 1997, 97:314231NLDB)。油の欠点は、それによって副作用としてアレルギーが生じる可能性があることである。中国製品の油性製剤は、西洋の医薬品における創傷治療の現状技術と対照的である。現在の一般的な見解では、最新の創傷ドレッシングは、親水性環境を有すべきであり、これにより創傷を被覆する疎水性製剤の使用よりも良好な治癒が観察される(Pontieri-Lewis V. (1999) Principles for selecting the right wound dressing. Medsurg Nurs 8:267-70; Casey G (2001) Wound dressings. Paediatr Nurs 13:39-42; Casey G (2000) Modern wound dressings. Nurs Stand 15:47-51; Ruszczak Z, Schwarz RA (2000) Modern aspects of wound healing: an update. Dermatol Surg 26:219-229; Probst W (2000) Lokale Behandlung chronischer Wunden. Pharm Ztg 145:3907-3920; Strobel H-G (2000) Wundfibel; Qualitasstandards zur Wundbehandlung an der Universitatsklinik Essen. Krankenhauspharmazie 21:350-361)。油性製剤の欠点は、特に免疫細胞の移動及び機能を阻害し、新しく形成される細胞の増殖を妨害することである。
【発明の開示】
【0011】
ここで、何らかの病因による表面、深部、慢性又は急性の創傷を治療するための有効な方法を見いだす試みにおいて、さまざまな種、例えばSarcophaga又はLucilia属の新鮮なハエ幼虫からの本発明の抽出物は、記載した欠点を取り除くことができることが見出された。
【0012】
本発明のハエ幼虫の抽出物は、適用及び用量に関してウジ治療における顕著なさらなる改善を示す。また、抽出物では、最新の親水性創傷ドレッシングに用いることができる。製造方法の標準化により、治療をよりよく制御することが可能となる。最終製品として、ハエ幼虫の抽出物は、ウジの発育周期に左右されない連続的な効率性を有する。
【0013】
従って、本発明は、ハエ幼虫をまず冷却し、次いで均質化し、そして最後に得られたホモジネートからハエ幼虫の未溶解成分を除く、ハエ幼虫から入手可能なハエ幼虫の抽出物に関する。
【0014】
必要に応じて、均質化の前に抽出媒体を加えることができる。抽出媒体は、水を含むか又は有機溶媒である。可溶性成分は、さらに保存することもできるし、又は直ちに創傷に局所適用することもできる。本発明の抽出物は、局所適用において、何らかの病因による表面、深部、慢性又は急性の創傷における創傷治癒効果を有する。
【0015】
適切なハエ幼虫は、例えばSarcophaga、Lucilia、Musca、Calliphora 及び Stomoxys属由来のものである。また、本発明の方法において前記属からのハエ幼虫混合物を使用することもできる。例えば、前記属からの適切な種類は、Lucilia sericata、Lucilia caesar、Lucilia cuprina、Sarcophaga carnaria、Sarcophaga agyrostoma、Musca domestica、Calliphora erythrocephala、Calliphora vicina又はStomoxys calcitransである。例えばSarcophaga 及び Lucilia属はいたるところにいて、当業者は、例えば餌として新鮮な肉を用いることによりこれらの昆虫を容易に見いだすことができる。
【0016】
本発明のハエ幼虫の抽出物は、例えば新鮮な肉上でLucilia sericata 及び/又は Sarcophaga carnaria種の卵又は幼虫を養うことによって製造する。幼虫は、肉上で成長及び成育して、蛹化段階に入る直前に採集される。これに関して、卵から孵化した後、5日〜8日の期間に幼虫を採集することが好都合である。
【0017】
各場合、卵から幼虫が孵化した後、約5〜8日、蛹化前に幼虫を殺して処理した。さらに処理してハエ幼虫の抽出物にする前及びその間は殺した幼虫を冷却しておく。可能な冷却温度は、0℃より下の温度であり、すなわち冷凍状態、例えば0℃〜−80℃の温度である。しかし、0℃〜15℃、好ましくは0℃〜10℃、特に2℃〜6℃の温度で作業することもできる。また、幼虫を、均質化のためもしくはさらなる処理のため凍結することもでき、又はすでに冷凍状態で粉砕して均質化することもできる。
【0018】
この目的では、幼虫をまず最初に外的に実質的に殺菌し、ウジの体に付着すると考えられるすべての分泌物及び排出物(SE)を除く。これは、濃度が減少する防腐剤溶液(aseptic solution)中で複数の洗浄工程によって実施する。滅菌NaCl溶液を最後の洗浄工程で使用して幼虫を外的に実質的に殺菌する。また、これによりウジの全ての分泌物及び排出物を洗浄し、ウジを氷上に保存する。
【0019】
幼虫は、例えば機械的粉砕又は超音波によって均質化する。ハエ幼虫は、このようにして均質化することもできるし、又は好ましくは抽出媒体を添加して均質化することもできる。ハエ幼虫のグラム湿潤重量当たり0.1ml〜500mlの抽出液、好ましくは0.5ml〜100ml、非常に好ましくは1〜5mlの抽出液を加える。滅菌抽出液は、特に適切であり、例えば純水、生理的食塩水、緩衝液、電解液、砂糖又はタンパク質溶液及び水性乳濁液、並びに有機溶媒である。また、抽出媒体の添加を完全に省いて、単に圧力下でウジの液体成分を取り出すこともできる。また、抽出物は、有機溶媒の添加によって活性物質を沈殿させ、続いてそれを抽出することによって製造することができる。ホモジネートを固体と可溶性成分へ分離することは、例えば濾過又は遠心分離によって行う。ハエ幼虫の抽出物は、必要に応じて冷凍又は凍結乾燥によって保存する。また、活性分子を安定化するため、他の知られている薬剤、例えばプロテアーゼインヒビター、トレハロース、エクトイン又は緩衝液を使用することもできる。
【0020】
均質の液体を得た後、抽出物を濾過、例えば0.1μm〜0.4μmの細孔径を有するフィルタを用いて滅菌濾過する。最終工程において、抽出物を等分し、液体窒素中で凍結する。恒常的な貯蔵は、約−21℃〜−80℃の温度又は液体窒素中で行う。また、濾過により滅菌して得られた抽出物は、凍結乾燥することができる。
【0021】
また、本発明の抽出物は、慣用の精製法によってさらに精製することができ、又は例えば選択的沈殿工程もしくはクロマトグラフィもしくは電気泳動法によって分画することができる。
【0022】
また、本発明は、有効含量の本発明のハエ幼虫抽出物を、医薬上適切な生理学上許容される担体、添加剤及び/又は他の活性物質及び賦形剤と共に有する医薬に関する。
【0023】
本発明のハエ幼虫の抽出物は、薬理学的性質のため、何らかの病因による表面又は深部の慢性及び急性の創傷治療に適切である。
【0024】
用語「何らかの病因による慢性及び急性の創傷」は、例えば創傷、例えば二次的過程によって意図的に又は意図せずに回復する外科的創傷、切り傷、刺傷、擦過傷、咬傷、熱傷又は射撃損傷、及び主に外科縫合又は一次的な創傷閉鎖によって治療することができない他の創傷を意味する。また、急性創傷なる用語は、重複感染のために一次癒合を受けることができない全ての創傷、そして4週間及びそれより短い間、顕在する全ての創傷を意味する。慢性創傷は、上皮の整合性の損失に関連する全ての損傷であり、4週間よりも長い間、顕在する。これは、特に真性糖尿病、静脈瘤症もしくは静脈血栓症、リウマチ性障害、脈管炎、動脈閉塞性疾患、リンパ管の障害、血液学的障害に基づく、そして創傷の感染症の間又は後に十分に回復しない創傷を意味する。
【0025】
また、本発明は、本発明のハエ幼虫の抽出物を、医薬上適切なそして生理学上許容される担体及び必要に応じて他の適切な活性物質、添加剤又は賦形剤と共に適切な剤形に変換することからなる医薬の製造方法に関する。
【0026】
また本発明は、何らかの病因による表面又は深部の慢性及び急性の創傷を治療する医薬を製造するため本発明のハエ幼虫抽出物の使用に関する。
【0027】
本発明の医薬は、通常、局所的に適用される。
皮膚への局所使用に適した医薬組成物は、好ましくは液剤、懸濁剤、粉剤、リポソーム製剤、ゲル剤、ローション剤、ペースト剤、スプレー剤又はエアゾル剤である。また、使用できる担体は、ポリエチレングリコール、アルコール及びこれらの物質のうちの2つまたはそれ以上の組合せである。これらのリストは決して限定するものとしてみなされるわけではない。本発明のハエ幼虫の抽出物は、抽出条件に左右されるが組成物の0.1重量%〜100重量%、例えば1.0重量%〜60重量%の濃度で存在する。
【0028】
また、経皮的投与も可能である。経皮的使用に適した医薬組成物は、患者の表皮と長期的に緊密に接触するのに適した個々の硬膏剤の形態をとることができる。このタイプの硬膏剤は、場合により緩衝化された水溶液中の本発明のハエ幼虫抽出物を、接着剤中に溶解及び/又は分散して、又はポリマー中に分散して含むことに適している。適切な活性物質の濃度は、約0.1重量%〜75重量%、好ましくは1重量%〜70重量%である。例えば、Pharmaceutical Research, 2(6): 318 (1986)に記載されているような電気輸送又はイオントフォレーゼによって放出される活性物質については、特別な可能性がある。
【0029】
また、本発明のハエ幼虫の抽出物は、ガーゼ、アルギネート、親水コロイド物質、発泡体及びシリコーン被覆材でできた創傷被覆材を通して創傷に適用することができ、それらは、これらのハエ幼虫の抽出物で被覆、含浸又は処理されており、これにより創傷中に又は創傷面上にハエ幼虫の抽出物を供給することができる。
【0030】
適切な固体又は医薬形態は、例えば顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤又は滴剤及び活性物質の遅延放出製品であり、これらの製造においては慣用の賦形剤又は担体が用いられる。
【0031】
頻繁に使用され、記載することができる賦形剤は、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及び他の糖、タルク、乳タンパク質、ゼラチン、デンプン、セルロース及びその誘導体、ポリエチレングリコール並びに溶媒、例えば滅菌水及び一価又は多価アルコール、例えばグリセロールである。
【0032】
また、本発明のハエ幼虫の抽出物は、不活性形態でハエ幼虫の抽出物を含み、次いで創傷中に又は創傷上に適用され、特定の物質を添加することによって活性化される医薬形態で使用することができる。単純な例は、生理学的な溶液(例えば0.9%NaCl)中に溶解される粉末又は凍結乾燥物の使用である。また、医薬製剤は、安定性が十分な場合、溶液であることができる。
【0033】
適切な医薬組成物は、創傷を機械的洗浄した後、適用する。創傷の機械的洗浄は、例えばリンガーラクテートの浴によって又はリンガーラクテートで創傷をすすぐことによって実施する。本発明のハエ幼虫抽出物の適用後、創傷を、場合により親水コロイド創傷ドレッシング又は接触粘着性の外科用被膜によって被覆する。ドレッシングは、毎日、本発明のハエ幼虫の抽出物を新しく投与する度に替える。
【実施例1】
【0034】
本発明のハエ幼虫抽出物の製造
Lucilia sericata 及び/又はSarcophaga carnaria種の幼虫を、ほとんど又は全く汚染することなく新鮮な馬肉上で養い、蛹化段階に入る直前に採集した。いくつかの洗浄工程において、濃度が減少する防腐剤溶液中で、そして最終洗浄工程では滅菌NaCl溶液中で、実質的な外的無菌状態の幼虫を製造した。次いで、幼虫の頭部を切り落とした、すなわち前方三分の一を幼虫の身体の残りから分離した。幼虫の両方の部分を、直ちに氷上の担体媒体中で別々に保存した。次いで、幼虫を均質化した。これは、機械的粉砕及び超音波を用いた均質化によっていくつかの工程で実施した。約4℃まで注意深く連続的に冷却した。均質の液体を得た後、抽出物を滅菌濾過した(Milliporeフィルタ)。最終処理工程において、抽出物を等分し、液体窒素中で凍結した。恒常的貯蔵は、−21℃〜−80℃で行った。
【実施例2】
【0035】
創傷治療
実施例1のようにして、等しい重量比率のウジ及び生理食塩水から製造したハエ幼虫の抽出物2ml部分を、慢性再発性下肢潰瘍で数年間苦しんでいる82歳の女性患者に適用した。潰瘍は静脈由来のものであり、脈管炎という意味で鎮痛剤の摂取によっても影響を受けていた。治療の開始時に両下肢に数個の潰瘍があり、いくつかはフィブリン沈着物があった。患者を診察した後、ステロイドの全身の投与で治療を開始し、実施例1のように製造したハエ幼虫の抽出物を同時に局所適用してデブリドマンを促進した。Fibrolan(R)軟膏及び本発明の抽出物の水溶液を比較に使用した。Fibrolan(R)軟膏はRote Liste中に含まれており、活性物質としてウシ血漿からのプラスミン及びウシ膵臓からのデオキシリボヌクレアーゼを含む製品である。幼虫からの抽出物について、幼虫の前方部分と後方部分からの抽出物で区別した。治療開始時に貼付を行い、治療を通して維持した。本発明抽出物の閉塞性適用は、鮮創効果及び創傷閉鎖の速度に関してFibrolan(R)軟膏の使用よりも明らかに優れていることがわかった。治療結果をカラー写真で記録した。
【0036】
実施例1のように製造したハエ幼虫の抽出物を、脈管炎に由来する下肢潰瘍で数年間苦しんでいる87歳の女性患者に使用した。ステロイドを全身摂取した後、さらなる潰瘍は生じなかった。局所治療では、Fibrolan(R)軟膏と本発明の抽出物とを比較した。最初に本発明の抽出物で治療した潰瘍は、Fibrolan(R)軟膏で治療した比較潰瘍よりも多くの顕著な壊死及びフィブリン沈着物を有した。8日間治療した後、本発明の抽出物で治療した潰瘍のデブリドマンは、Fibrolan(R)軟膏と比較して明らかに速いことがわかった。治療結果をカラー写真で記録した。

Claims (25)

  1. ハエ幼虫を冷却し、次いで均質化し、そして最後に得られたホモジネートからハエ幼虫の未溶解成分を除去する、ハエ幼虫から入手可能なハエ幼虫の抽出物。
  2. 抽出媒体を均質化前に加える請求項1記載のハエ幼虫の抽出物。
  3. Sarcophaga、Lucilia、Musca、Calliphora 及び/又は Stomoxys属のハエ幼虫又はこれらの属の代表的なものの混合物から、又はLucilia sericata、Lucilia caesar、Lucilia cuprina、Sarcophaga carnaria、Sarcophaga agyrostoma、Musca domestica、Calliphora
    erythrocephala、Calliphora vicina もしくはStomoxys calcitrans種から入手可能である請求項1又は2記載のハエ幼虫の抽出物。
  4. ハエ幼虫は5〜8日齢である請求項1〜3のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物
  5. ハエ幼虫の均質化を0℃より低い温度で冷凍状態で行う、又は均質化及び不溶性成分の除去を0℃〜15℃、好ましくは0℃〜10℃、特に2℃〜6℃の温度で行う請求項1〜4のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物。
  6. 均質化を機械的粉砕又は超音波によって実施する請求項1〜5のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物。
  7. 水、生理的食塩水、緩衝液、電解液、砂糖もしくはタンパク質溶液、乳濁液又は有機溶媒を抽出媒体として使用する請求項1〜6のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物。
  8. 活性物質の沈殿及びその後の抽出のための抽出媒体として有機溶媒を使用する請求項1〜6のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物。
  9. ハエ幼虫のグラム湿潤重量当たり0.1ml〜500mlの抽出媒体、好ましくは0.5ml〜100ml、非常に好ましくは1〜5mlの抽出媒体を加える請求項2〜8のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物。
  10. ホモジネート中の不溶性成分の分離を遠心分離又は濾過によって行う請求項1〜9のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物。
  11. ハエ幼虫の抽出物を冷凍又は凍結乾燥によって保存する請求項1〜10のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物。
  12. 蛹化前にハエ幼虫を殺し、冷却して均質化し、得られたホモジネートから未溶解成分を除去することからなる請求項1〜11のいずれか一項に記載のハエ幼虫抽出物の製造方法。
  13. Sarcophaga、Lucilia、Musca、Calliphora 及び/又はStomoxys属のハエ幼虫又はこれらの属のハエ幼虫の混合物を使用する、又はLucilia sericata、Lucilia caesar、Lucilia cuprina、Sarcophaga carnaria、Sarcophaga agyrostoma、Musca domestica、Calliphora erythrocephala、Calliphora vicinaもしくはStomoxys calcitrans種を使用する請求項12に記載の方法。
  14. ハエ幼虫を均質化前に洗浄することによって、放出された幼虫の分泌物及び排出物を除く請求項12又は13記載の方法。
  15. 抽出媒体を均質化前に加え、均質化を機械的に又は超音波によって実施する請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 水、生理的食塩水、緩衝液、電解液、糖もしくはタンパク質溶液、乳濁液又は有機溶媒を抽出媒体として使用する請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 均質化を0℃より低い温度、又は0℃〜15℃、好ましくは0℃〜10℃、特に2℃〜6℃の温度で行う請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 不溶性成分の分離を遠心分離又は濾過によって行う請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 有効含量の請求項1〜11のいずれか一項に記載のハエ幼虫抽出物を、医薬上適切で生理学上許容される担体と共に有する医薬。
  20. 何らかの病因による表面又は深部の慢性及び急性の創傷を治療する医薬を製造するため請求項1〜11のいずれか一項に記載のハエ幼虫抽出物の使用。
  21. 医薬組成物を、例えば液剤、懸濁剤、粉剤、クリーム、リポソーム製剤、ゲル剤、ローション剤、ペースト剤、スプレー剤又はエアゾル剤として皮膚上の局所使用に用いる請求項20記載の使用。
  22. 医薬組成物中0.1重量%〜100重量%の濃度でハエ幼虫の抽出物を使用する請求項20又は21記載の使用。
  23. 医薬組成物が経皮的使用のための硬膏剤の形態である請求項21記載の使用。
  24. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物は、ガーゼ、アルギネート、親水コロイド物質、発泡体又はシリコーン被覆材でできている創傷被覆材中に存在し、これらはそれぞれ、前記ハエ幼虫の抽出物で被覆又は含浸されている請求項21記載の使用。
  25. ハエ幼虫の抽出物が、不活性形態であり、続いて製剤を創傷に適用し、そして特定の物質を添加することによってハエ幼虫の抽出物を活性化する医薬製剤に、請求項1〜11のいずれか一項に記載のハエ幼虫の抽出物を使用する請求項21記載の使用。
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