JP4726242B2 - 性状評価装置及び性状評価方法 - Google Patents
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Description
かくして、本発明はこれら従来の課題に鑑みて創案されたものであり、例えば、トンネル背面空洞の評価などに際し、正確な評価が出来、しかもコストも安価になしえ、また複雑、煩雑な作業を必要としないトンネル背面空洞の評価装置など測定対象物の性状評価装置および性状評価方法を提供することを目的とするものである。
測定対象物を打撃する打撃具と、該打撃具による打撃によって生ずる測定対象物の共振振動及びたわみ振動を検出する検出器と、
検出された振動のうち、最大振動振幅を最大電圧値として設定すると共に、該最大電圧値のしきい値を前記最大電圧値に1未満の数値を乗じた値で複数個設定するしきい値電圧設定器と、
前記振動において、共振振動からたわみ振動へ移行すると思われる時刻を基準時刻として設定する基準時刻設定器と、
前記複数のしきい値電圧を越える全体の振動数を計測すると共に、前記基準時刻前後の複数のしきい値電圧を越える振動数を計測する計測器と、
を備え、
計測された複数のしきい値電圧を越える全体の振動数と前記基準時刻前後の複数のしきい値電圧を越える振動数とにより、前記打撃箇所の性状を評価する、
ことを特徴とし、
または、
前記打撃具は、鋼球により形成され、該鋼球の径は、測定対象物の性状により選択される打撃振動の周波数帯域により決定する、
ことを特徴とし、
または、
前記測定対象物の共振振動及びたわみ振動を検出する検出器は、音を集音する集音器、加速度計あるいはAEセンサである、
ことを特徴とし、
または、
前記基準時刻の設定は、測定対象物の性状を考慮して設定する、
ことを特徴とし、
または、
トンネルの背面空洞の有無を測定すべき測定対象物を打撃し、該打撃によって生ずる打撃信号を検出すると共に、該打撃信号を電圧値に変換し、取得した電圧値のうち最大電圧値を決定すると共に、前記最大電圧値に対するしきい値電圧値を前記最大電圧値に1未満の数値を乗じて複数設定してなり、
打撃してから一定時刻経過する経過時間全体で、前記設定した複数のしきい値電圧値を越える振動の数を計測すると共に、打撃してからの経過時間につき、測定対象物の共振振動からたわみ振動に変化すると思われる時刻を基準時刻と定め、該設定時刻前後に前記設定した複数のしきい値電圧値をこえる振動の数を計測し、
双方の振動数の計測結果からトンネルの背面空洞有無を評価する、
ことを特徴とするものである。
例えば、トンネル背面空洞の評価などに際し、正確な評価が行え、しかもその作業コストも安価になしえ、また複雑、煩雑な作業を必要としないとの優れた効果を奏する。
まず、本発明による性状の評価装置は、図2から理解されるように、例えばトンネル覆工面2の背面に存在する空洞3を検出、評価するために、トンネル覆工面2たる測定対象物1を打撃して、その振動を生じさせる打撃具4を用いる。
ここで、該打撃具4についての種類は、なんら限定されるものではないが、一般的にトンネル覆工面2のような比較的硬い面を継続的に打撃して計測するものであるから、耐久性があり、また変形しない部材で形成するのが好ましい。よって、例えば球状の鋼製部材である鋼球により形成した打撃具4などを使用するのが好ましい。
すなわち、計測、取得したい周波数帯域が低域に関する場合は、比較的大径の鋼球で打撃した方が低域の振動、すなわち低周波の振動が得やすい。これに対し、振動の周波数帯域につき、高域の振動周波数を取得したい場合は、比較的小径の鋼球を使用して打撃するものとされる。
すなわち、前記最大電圧値が、2.3Vと決定されれば、第1のしきい値電圧値はその値に0.01を乗じた0.023vに設定され、第2のしきい値電圧は2.3Vに0.001を乗じた0.0023Vに設定される。
なお、このしきい値電圧値の設定は2個に限定されるものではなく、2個以上設定しても構わない。個数が多いほど、パラメータの比較が多くでき、もって評価の精度が向上する。
また、前記しきい値電圧の設定は、主に低周波数帯域の振動を取得したいときには、最大電圧値に0.01を乗じた値、すなわち最大電圧値の10分の1程度の値とし、また主に、高周波数帯域の振動を取得したいときには、最大電圧値に0.001を乗じた値、すなわち最大電圧値の100分の1程度の値とすれば、いずれの場合にも精度よく計測、評価できる。
さらに、前記振動計測において、いわゆる共振振動からたわみ振動へ移行すると思われる時刻を基準時刻として設定する。例えば、打撃から0.0005sec経過時と設定するがごときである。
すなわち、前記2つの設定されたしきい値電圧、0.023v及び0.0023Vを越える振動の数が各々のしきい値電圧において、全体でいくつかが計測される。
次いで、前記基準時刻、例えば0.0005secの前あるいは後において各々のしきい値電圧を越える振動の数がいくつかが計測される。
そして、計測されたそれぞれの振動数が、パラメータとして使用でき、これらの値を組み合わせたり、あるいは比率計算を行ない、これらの値を求めるだけで簡単にトンネル背面の空洞の評価が行えるものとなる。
次に、複数のしきい値電圧が設定される。この設定条件はすでに前述した通りである。
さらに、前述した基準時刻が設定される。ここで、基準時刻とは、打撃の開始時から一定時間経過したときの時刻を言う。例えば、打撃したときから0.0005sec経過したときの時刻などをいい、基準時刻は0.0005secと設定される。
そして、当該打撃による振動信号を、加速度計、AEセンサやマイクロホン等の検出器5により検出し、前記検出した振動信号を電気信号(電圧)に変換する(ステップ103)。
さらに、設定された基準時刻の前または後での数種類(例えば、0.01A、0.1Aなど)のしきい値電圧を超える振動数(Rc:リングダウンカウント)を計数する(ステップ104)。
これら(Rc:リングダウンカウント)を計測した後、前記の各計測数をを利用してトンネル6の背面空洞の有無などが判断されるのである(ステップ105)。
2つのしきい値電圧設定は、以下のようにされた。すなわち、最大振幅値Aを示す電圧値が2.3Vであれば、以下の通りである。
(a) A=2.3V,a=0.1,b=0.01,T1=aA=0.23V,T2=bA=0.023V
2)また、最大振幅値Aを示す電圧値が1.3Vであったときには、以下の通りに設定される。
(b) A=1.3V,a=0.1,b=0.01,T1=aA=0.13V,T2=bA=0.013V
3)次に、基準時間設定は、以下のようにされた。
Tev=0.0005sec(0.5ms)
以上の条件で、検出、計測作業が行われ、そして、その結果、図3,図4のような振動波形が得られたものである。
まず、図3の波形によれば、基準時刻後の各しきい値電圧を超える波形が急速に減少しているのがわかる。従って、トンネルの背面空洞が生じていないことがわかる。
全体時間での各しきい値電圧の振動の計測数は、
Rc (T1) = 5回, Rc(T2) =32回である。
Rc (T1)f =5 回, Rc(T2)f =6回である。
Rc (T1)l = 0回, Rc(T2)l =26回である。
全体時間での各しきい値電圧の振動の計測数は、
Rc (T1) =16回, Rc(T2) =22回である。
Rc (T1)f =4回, Rc(T2)f =4回である。
Rc (T1)l =12回, Rc(T2)l =18回である。
従ってこの様な場合は測定対象箇所に空洞があり、その空洞による振動と理解でき、この結果、図4の例では波形図がなくとも、前記計測されたパラメータを参照するだけでトンネル背面空洞があるとの評価ができるものとなる。
この様に、本発明では、簡易なパラメータのみで評価可能であり、もって安価なアナログ収録装置でも充分に対応出来る。
よって、トンネル覆工工事の施工管理として活用できるし、また、調査箇所を打撃するのみで空洞の有無を検出可能である。したがって、専門の検査員が不要である。
さらに、調査対象毎に設定しきい値電圧やRc算出範囲を決定することで、様々なトンネル構造物の背面空洞や充填性調査に利用できるものとなる。
2 トンネル覆工面
3 空洞
4 打撃具
5 検出器
6 トンネル
Claims (5)
- 測定対象物を打撃する打撃具と、該打撃具による打撃によって生ずる測定対象物の共振振動及びたわみ振動を検出する検出器と、
検出された振動のうち、最大振動振幅を最大電圧値として設定すると共に、該最大電圧値のしきい値を前記最大電圧値に1未満の数値を乗じた値で複数個設定するしきい値電圧設定器と、
前記振動において、共振振動からたわみ振動へ移行すると思われる時刻を基準時刻として設定する基準時刻設定器と、
前記複数のしきい値電圧を越える全体の振動数を計測すると共に、前記基準時刻前後の複数のしきい値電圧を越える振動数を計測する計測器と、
を備え、
計測された複数のしきい値電圧を越える全体の振動数と前記基準時刻前後の複数のしきい値電圧を越える振動数とにより、前記打撃箇所の性状を評価する、
ことを特徴とする性状評価装置。
- 前記打撃具は、鋼球により形成され、該鋼球の径は、測定対象物の性状により選択される打撃振動の周波数帯域により決定する、
ことを特徴とした請求項1記載の性状評価装置。
- 前記測定対象物の共振振動及びたわみ振動を検出する検出器は、音を集音する集音器、加速度計あるいはAEセンサである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の性状評価装置。
- 前記基準時刻の設定は、測定対象物の性状を考慮して設定する、
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の性状評価装置。
- トンネルの背面空洞の有無を測定すべき測定対象物を打撃し、該打撃によって生ずる打撃信号を検出すると共に、該打撃信号を電圧値に変換し、取得した電圧値のうち最大電圧値を決定すると共に、前記最大電圧値に対するしきい値電圧値を前記最大電圧値に1未満の数値を乗じて複数設定してなり、
打撃してから一定時刻経過する経過時間全体で、前記設定した複数のしきい値電圧値を越える振動の数を計測すると共に、打撃してからの経過時間につき、測定対象物の共振振動からたわみ振動に変化すると思われる時刻を基準時刻と定め、該設定時刻前後に前記設定した複数のしきい値電圧値をこえる振動の数を計測し、
双方の振動数の計測結果からトンネルの背面空洞有無を評価する、
ことを特徴とするトンネルの背面空洞有無評価方法。
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JP2007131311A JP4726242B2 (ja) | 2007-05-17 | 2007-05-17 | 性状評価装置及び性状評価方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007131311A JP4726242B2 (ja) | 2007-05-17 | 2007-05-17 | 性状評価装置及び性状評価方法 |
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