JP4721078B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は光情報記録媒体に関し、例えば光ビームを用いて情報が記録され、また当該光ビームを用いて当該情報が再生される光情報記録媒体に適用して好適なものである。
従来、光情報記録媒体としては、円盤状の光情報記録媒体が広く普及しており、一般にCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと呼ぶ)等が用いられている。
一方、かかる光情報記録媒体に対応した光情報記録再生装置では、音楽コンテンツや映像コンテンツ等の各種コンテンツ、或いはコンピュータ用の各種データ等のような種々の情報を当該光情報記録媒体に記録するようになされている。特に近年では、映像の高精細化や音楽の高音質化等により情報量が増大し、また1枚の光情報記録媒体に記録するコンテンツ数の増加が要求されているため、当該光情報記録媒体のさらなる大容量化が求められている。
そこで、光情報記録媒体を大容量化する手法の一つとして、2系統の光ビームを干渉させてなる微小なホログラムを記録マークとし、光情報記録媒体の厚さ方向に複数重ねるように形成する光情報記録媒体が提案されている。この光情報記録媒体では、1層の記録層内に複数層に相当する情報を記録するようになされている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の光情報記録媒体は、2系統の光ビームを必要とするため、光学系が複雑になるという欠点を有している。一方光情報記録媒体として、照射された1系統の光ビームによって発生する熱により当該光ビームの焦点近傍に空洞(気泡)を形成し、この空洞を記録マークとすることにより1層の記録層内に複数層に相当する情報を記録する光情報記録媒体も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−71433公報 特開2005−37658公報
特許文献2の光情報記録媒体は、高いピークパワーを持つパルスレーザを必要とし、ドライブとしての実用化には困難が伴う。また、単純に連続発振レーザを使用した場合は、多層化のため高透過率を必要とする点と、焦点近傍における高吸収率が望まれる点が相反してしまう。このため光情報記録媒体では、焦点近傍の吸収率を大きく増大させることができず、記録マークを形成するために光ビームを長時間照射しなければならなかった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、記録速度を向上させ得る光情報記録媒体を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の光情報記録媒体においては、アクリル酸エステル(p−クミルフェノールエチレンオキシド付加アクリル酸エステル、2−エチルヘキシルアクリレートは又はベンジルアクリレート)とジフェニルフルオレンEO(Ethylene Oxide)変性ジアクリレートとの重量比40:60の混合物100重量部に対し気化材料及び重合開始剤として0.8重量部の重合開始剤が加えられてなり、集光された記録光に応じて形成される記録マークが配列されるマーク層のうち、記録光ビームが入射される側から最も奥側にあるマーク層の深さである最奥深さ当たりの記録光吸収量が20.8[%]以下であり、かつ記録光と同一波長の測定光に対する光吸収量を基準としたときの当該記録光よりも10[nm]短波長でなる測定光に対する光吸収量の変化量が、0.30[mm]当たり8.0[%]以上でなる記録層を設けるようにした。
これにより光情報記録媒体は、焦点近傍以外で吸収する記録光を抑制して当該焦点近傍に大きな光強度で記録光を照射すると共に、記録光を効率良く吸収して迅速に焦点近傍の温度を上昇させることができ、短時間で記録マークを形成することができる。
また本発明の光情報記録媒体においては、アクリル酸エステル(p−クミルフェノールエチレンオキシド付加アクリル酸エステル、2−エチルヘキシルアクリレートは又はベンジルアクリレート)とジフェニルフルオレンEO(Ethylene Oxide)変性ジアクリレートとの重量比40:60の混合物100重量部に対し気化材料及び重合開始剤として0.8重量部の重合開始剤が加えられてなり、集光された記録光ビームに応じて形成される記録マークが配列されるマーク層のうち、記録光が入射される側から最も奥側にあるマーク層の深さである最奥深さ当たりの記録光吸収量が20.8[%]以下であり、記録光の波長+5[nm]、−20[nm]の範囲内に長波長側から短波長側に向けて急速に光吸収量を増大させる吸収端が存在する記録層を設けるようにした。
これにより光情報記録媒体は、焦点近傍以外で吸収する記録光を抑制して当該焦点近傍に大きな光強度で記録光を照射すると共に、記録光を効率良く吸収して迅速に焦点近傍の温度を上昇させることができ、短時間で記録マークを形成することができる。
本発明によれば、焦点近傍以外で吸収する記録光を抑制して当該焦点近傍に大きな光強度で記録光を照射すると共に、記録光を効率良く吸収して迅速に焦点近傍の温度を上昇させることができ、短時間で記録マークを形成することができる。かくして本発明は、記録速度を向上させ得る光情報記録媒体を実現できる。
光情報記録媒体の構成を示す略線図である。 光情報記録媒体の初期化の説明に供する略線図である。 気化材料の様子を模式的に示す略線図である。 光ビームの照射の説明に供する略線図である。 記録層におけるマーク層を示す略線図である。 光情報記録再生装置の構成を示す略線図である。 戻り光ビームの検出の説明に供する略線図である。 戻り光の信号強度分布を示す略線図である。 記録マーク断面の写真を示す略線図である。 各層における戻り光の信号強度分布(1)を示す略線図である。 各層における戻り光の信号強度分布(2)を示す略線図である。 気化温度の測定の説明に供する略線図である。 記録光吸収量と短波長吸収変化量の関係を示す略線図である。 光吸収量の比較の説明に供する略線図である。
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
1.〜4. 実施の形態 (記録光吸収量と短波長吸収変化量の関係)
5.他の実施の形態
<実施の形態>
[1.光情報記録媒体の構成]
図1(A)〜(C)に示すように、光情報記録媒体100は、基板102及び103の間に記録層101を形成することにより、全体として情報を記録するメディアとして機能するようになされている。光情報記録媒体100の形状に特に制限はなく、図1のように矩形板状に形成することはもちろん、BD(Blu-ray Disc、登録商標)やDVD(Digital Versatile Disc)などの一般的な光ディスクのように円盤状に形成し、中央部分にチャッキング用の孔を形成することも可能である。
基板102及び103はガラス基板、アクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂など種々の光学材料でなり、光を高い割合で透過させるようになされている。また基板102及び103は、X方向の長さdx及びY方向の長さdyがそれぞれ 約50[mm]〜150[mm]程度、厚さt2及びt3が約0.05〜1.2[mm]でなる正方形板状、長方形板状又は円盤状に構成されている。
記録層101は、0.05[mm]以上、1.2[mm]以下、さらに好ましくは1.0[mm]以下でなることが好ましい。記録層101を薄くすると、記録層101の厚さ方向に記録マークRMを多く配列することができず、光情報記録媒体100としての記憶容量を大きくすることができず、好ましくない。また、記録層101を1.2[mm]以上にすると、記録層101総体としての透過率が低下し、奥側において照射される光ビームの光強度を低下させるため、好ましくない。
因みに光を通過する基板102と記録層101とを加算した厚さは、1.2[mm]以下でなることが好ましい。厚さが1.2[mm]を超えると、光情報記録媒体100の表面が傾いた時に当該光情報記録媒体100内で生じる記録用の光ビーム(以下、これを記録用光ビームL2cと呼ぶ)の非点収差が大きくなるからである。
基板102及び103の外側表面(記録層101と接触しない面)には、波長が記録用及び再生用でなる光ビームに対して無反射となるような4層無機層(Nb/SiO/Nb/SiO)などのAR(AntiReflection coating)処理を施しても良い。
記録層101は、例えば光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂及び熱可塑性樹脂など、種々の樹脂材料及びこれらの組み合わせによって構成される。
実際上、光情報記録媒体100は、以下のように作製される。基板103の上部に例えば重合によってフォトポリマーを形成する未硬化状態の液状材料M1(詳しくは後述する)が展開された後、当該液状材料M1上に基板102が載置される。これにより、図1における記録層101に相当する部分が未硬化状態の液状材料M1でなる光情報記録媒体100(以下、これを未硬化光情報記録媒体100aと呼ぶ)が形成される。
このように未硬化光情報記録媒体100aは、硬化前のフォトポリマーである液状材料M1を透明な基板102及び103により挟んでおり、全体として薄い板状に構成されている。
液状材料M1は、液状材料M1の一部或いは大部分を構成する光重合型、光架橋型の樹脂材料(以下、これらを光硬化型樹脂と呼ぶ)として、例えばラジカル重合型のモノマー類とラジカル発生型の光重合開始剤、又はカチオン重合型のモノマー類とカチオン発生型の光重合開始剤若しくはこれらの混合物により構成されている。
すなわち液状材料M1は、その内部にモノマー又はオリゴマー、もしくはその両方(以下、これをモノマー類と呼ぶ)が均一に分散している。この液状材料M1は、光が照射されると、照射箇所においてモノマー類が重合する(すなわち光重合する)ことによりフォトポリマーとなり、これに伴い屈折率及び反射率が変化するといった性質を有している。また液状材料M1は、光の照射によりフォトポリマー同士の間に「橋架け」を行い分子量が増加する、いわゆる光架橋が生じることにより、さらに屈折率及び反射率が変化する場合もある。
このモノマー類としては、公知のモノマー類を使用することができる。例えば、ラジカル重合型のモノマー類として、主にアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミドの誘導体やスチレンやビニルナフタレンの誘導体等、ラジカル重合反応に用いられるモノマーがある。また、ウレタン構造物にアクリルモノマーを持つ化合物についても適用することができる。また上述したモノマーとして、水素原子の代わりにハロゲン原子に置き換わった誘導体を用いるようにしても良い。
具体的に、ラジカル重合型のモノマー類としては、例えば、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、1,9ノナンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、アクリル酸エステル、フルオレンアクリレート、ウレタンアクリレート、オクチルフルオレン、ベンジルアクリレートなど公知の化合物を使用することができる。なおこれらの化合物は、単官能であっても多官能であっても良い。
またカチオン重合型のモノマー類としてはエポキシ基やビニル基などの官能基を含有していれば良く、例えば、エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、フルオレンエポキシ、グリシジルアクリレート、ビニルエーテル、オキセタンなど公知の化合物を使用することができる。
ラジカル発生型の光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−オンオン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドオンなど公知の化合物を使用することができる。
カチオン発生型の光重合開始剤としては、例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリ−p−トリスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、クミルトリルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、クミルトリルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素など公知の化合物を使用することができる。
因みにカチオン重合型のモノマー類及びカチオン発生型の光重合開始剤を使用することにより、液状材料M1の硬化収縮率をラジカル重合型のモノマー類及びラジカル発生型の光重合開始剤を使用した場合と比して低減することができる。また光重合型、光架橋型の樹脂材料としてアニオン型のモノマー類及びアニオン型の光重合開始剤を組み合わせて使用することも可能である。
またこの光重合型モノマー類、光架橋型モノマー類及び光重合開始剤、このうち特に光重合開始剤は、その材料が適切に選定されることにより、光重合を生じやすい波長を所望の波長に調整することも可能である。なお液状材料M1は、意図しない光によって反応が開始するのを防止するための重合禁止剤や、重合反応を促進させる重合促進剤などの各種添加剤を適量含有しても良い。
そして未硬化光情報記録媒体100aは図2に示す初期化装置1において、液状材料M1が初期化光源2から照射される初期化光L1により初期化され、記録マークを記録する記録層101として機能するようになされている。
具体的に初期化装置1は、初期化光源2から例えば波長365[nm]の初期化光L1(例えば300[mW/cm]、DC(Direct Current)出力)を出射させ、当該初期化光L1をテーブル3上に載置された板状の光情報記録媒体100に対して照射させるようになされている。この初期化光L1の波長及び光パワーは、液状材料M1に使用される光重合開始剤の種類や記録層101の厚みt1などに応じて最適となるように適宜選択される。
因みに初期化光源2としては、高圧水銀灯、高圧メタハラ灯、固体レーザ、キセノン灯や半導体レーザ等の高い光パワーを照射し得る光源が用いられる。
また初期化光源2は、図示しない駆動部を有しており、X方向(図中の右方向)及びY方向(図の手前方向)に自在に移動する。初期化光源2は、未硬化光情報記録媒体100aに対して適切な位置から初期化光L1を一様に照射し得、未硬化光情報記録媒体100a全体に均一に初期化光L1を照射するようになされている。
このとき液状材料M1は、当該液状材料M1内における光重合開始剤からラジカルやカチオンなどを発生させることによりモノマー類の光重合反応又は光架橋反応、もしくはその両方(以下、これらをまとめて光反応と呼ぶ)を開始させる。この結果液状材料M1は、モノマー類の光重合架橋反応を連鎖的に進行させる。この結果モノマー類が重合してフォトポリマーとなることにより硬化し、記録層101となる。
なおこの液状材料M1では、全体的にほぼ均一に光反応が生じるため、硬化後の記録層101における屈折率は一様となる。すなわち初期化後の光情報記録媒体100では、いずれの箇所に光を照射しても戻り光の光量が一様となるため、情報が一切記録されていない状態となる。
また記録層101として、熱により重合する熱重合型又は熱により架橋又は硬化する熱架橋型の樹脂材料(以下、これを熱硬化型樹脂と呼ぶ)を用いることもできる。この場合硬化前の熱硬化型樹脂である液状材料M1としては、例えばその内部にモノマー類及び硬化剤、又は熱重合開始剤が均一に分散している。この液状材料M1は、高温下又は常温下においてモノマー類が重合又は架橋(以下、これを熱硬化と呼ぶ)することによりポリマーとなり、これに伴い屈折率及び反射率が変化するといった性質を有している。
熱硬化型樹脂に使用されるモノマー類としては、公知のモノマー類を使用することができる。例えば、フェノール樹脂やメラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの材料として使用されるような種々のモノマー類を使用することができる。
また熱硬化型樹脂に使用される硬化剤としては、公知の硬化剤を使用することができる。例えば、アミン類、ポリアミド樹脂、イミダゾール類、ポリスルフィド樹脂、イソシアネートなど、種々の硬化剤を使用することができ、反応温度やモノマー類の特性に応じて適宜選択される。なお硬化反応を促進する硬化補助剤など種々の添加物を添加するようにしても良い。
熱重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤を使用することができる。例えば、アゾ系開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビス2、4ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩や、過酸化系開始剤である過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、2、4−ジクロル過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなど、種々の熱重合開始剤を使用することができる。
そして未硬化光情報記録媒体100aを所定温度に加熱したオーブンなどを用いて所定の加熱時間(例えば1時間)に亘って加熱することにより、光情報記録媒体100を作製することができる。
さらに記録層101として、熱可塑性の樹脂材料を用いることができる。この場合、基板103上に展開される液状樹脂M1は、例えば所定の希釈溶剤で希釈されたポリマーや、熱により可塑化されたポリマーが使用される。希釈溶剤で希釈されたポリマーを液状材料M1として用いた場合は、熱乾燥により記録層101が形成される。熱により可塑化されたポリマーを用いた場合には、冷却により記録層101が形成される。
なお、熱可塑性の樹脂材料としては、公知の樹脂を用いることができる。例えば、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene Copolymer)樹脂、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ノルボルネン樹脂など、種々の樹脂を使用することができる。
また希釈溶剤は、水、アルコール類、ケトン類、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤などの各種溶剤若しくはこれらの混合物を用いることができる。なお熱可塑性の樹脂の物理特性を変化させる可塑剤など種々の添加物を添加するようにしても良い。
この記録層101は、熱に応じて気化する性質を有する気化材料を含有する。気化材料は、沸騰又は熱分解によって気化し、気化温度が140[℃]〜400[℃](140[℃]以上、400[℃]以下を意味する、以下、同様の意味で「〜」を用いる)でなる。
すなわち光情報記録媒体100では、液状材料M1において、140[℃]〜400[℃]に沸騰又は分解などにより気化する気化温度を有する光重合開始剤、溶剤又はモノマー類などの気化材料を配合する。これにより、光情報記録媒体100では、図3に示すように、初期化後の記録層101に140[℃]〜400[℃]に気化温度を有する気化材料Lを散在させておく。
図4に示すように記録層101に対物レンズOLを介して所定の記録用の光ビームL2(以下、これを記録光ビームL2cと呼ぶ)が照射されると、記録光ビームL2cの焦点Fb近傍の温度が局所的に上昇し、例えば140[℃]以上の高温になる。
このとき記録光ビームL2cは、焦点Fb近傍の記録層101に含まれる気化材料を気化させ、その体積を増大させることにより、焦点Fbに気泡を形成する。このとき気化した気化材料は、そのまま記録層101の内部を透過し、又は記録光ビームL2cが照射されなくなることにより冷却され、体積の小さな液体に戻る。このため記録層101では、気泡により形成された空洞のみが焦点Fb近傍に残ることになる。なお記録層101のような樹脂は、通常一定の速度で空気を透過させることから、いずれ空洞内は空気によって満たされると考えられる。
すなわち光情報記録媒体100では、記録光ビームL2cを照射して記録層101が含有する気化材料を気化させることにより、図4(A)に示すように、焦点Fbに気泡によって形成された空洞でなる記録マークRMを形成することができる。
一般的に記録層101に使用されるフォトポリマーの屈折率n101が1.5程度であり、空気の屈折率nAIRが1.0とその差異が大きい。記録層101は、当該記録マークRMに対して読出用の光ビームL2(以下、これを読出光ビームL2dと呼ぶ)が照射されると、図4(B)に示すように、当該記録マークRMの界面における屈折率の差異により、読出光ビームL2dを反射して比較的光量の大きい戻り光ビームL3を生成する。
一方記録層101は、記録マークRMが記録されていない所定の目標位置に対して読出光ビームL2dが照射されると、図4(C)に示すように、目標位置近傍が一様の屈折率n101でなることにより、読出光ビームL2dを反射させることはない。
すなわち光情報記録媒体100では、記録層101の目標位置に読出光ビームL2dを照射し、光情報記録媒体100によって反射される戻り光ビームL3の光量を検出することにより、記録層101における記録マークRMの有無を検出することができ、記録層101に記録された情報を再生し得るようになされている。
また記録光ビームL2cによって発生する熱により気化材料を気化させており、実際に気化温度の比較的低い気化材料の方が気化温度の高い気化材料よりも記録時間が短い傾向にある。このため、気化材料の気化温度が低ければ低いほど記録マークRMを容易に形成できるとも考えられる。
しかし一般的な気化材料では、気化温度よりも約60[℃]低い温度から徐々に吸熱反応が始まることが確認されている。このことは例えば120[℃]に気化温度を有する気化材料を含有する光情報記録媒体100を約60[℃]の温度下で長時間放置した場合に、気化材料が徐々に揮発する可能性があることを意味する。このため、記録マークRMを形成したいときに気化材料が揮発により残留しておらず、記録光ビームL2cを照射しても記録マークRMを形成できなくなる可能性を示唆している。
一般的に、光情報記録再生装置5のような電子機器は、80[℃]程度の温度下で使用されることが想定されている。従って光情報記録媒体100としての温度安定性を確保するためには、気化温度が80[℃]+60[℃]=140[℃]以上の気化材料を用いることが好ましい。また、140[℃]より5[℃]程度高い気化温度(すなわち145[℃])を有する気化材料を用いることにより、温度安定性をさらに向上させることができると考えられる。
また、気化温度が400[℃]を超えると、記録時間が長くなることが実験において確認されている。
以上のことから、液状材料M1に配合される気化材料の気化温度は、140[℃]〜400[℃](140[℃]以上、400[℃]以下を意味する、以下、同様の意味で「〜」を用いる)であることが好ましく、さらに145[℃]〜300[℃]であることが特に好ましい。
なお記録層101として熱硬化型樹脂を用いる場合には、熱硬化型のモノマー類、硬化剤及び熱重合開始剤として、気化材料が気化しないよう、常温硬化若しくは比較的低温で硬化する材料を使用することが好ましい。また、光重合開始剤の添加前に熱硬化樹脂の一部を加熱して予め硬化させておくことも可能である。熱乾燥により記録層101を形成する場合にも同様であり、比較的低温で乾燥し得る材料を選択することが好ましい。
気化材料としては、低分子量でなる気化材料が記録層101内に存在することによる記録層101の弾性率低下などの弊害を防止するため、モノマー類100重量部に対して0.8重量部〜50.0重量部であることが好ましい。さらに2.5重量部〜40.0重量部であることが特に好ましい。
この気化材料としては、400[nm]以下の紫外線に応じてラジカル、カチオン又はアニオンなどを発生させる、いわゆる光重合開始剤であることが特に好ましい。光重合開始剤は、紫外線に近い波長でなる405[nm]の光を適度に吸収し、自身の発熱により気化し得るからである。
また液状材料M1として光硬化型樹脂を用いる場合には、光重合開始剤を過剰量配合することにより、消費されなかった光重合開始剤(以下、これを光重合開始剤残渣と呼ぶ)をそのまま記録層101における気化材料として含有することができる。この場合、消費される光重合開始剤の量を考慮して光重合開始剤を配合することが好ましい。
なお光情報記録媒体100は、基板103上に形成された固形の記録層101や予め固形シートとして形成された記録層101を、接着剤及び接着シートなどにより基板102又は103に貼り合わせることによっても形成することができる。また光情報記録媒体100は、必ずしも基板102及び103を有する必要はなく、記録層101のみから構成されていても良い。
また記録層101としては、図5に示すように、記録マークRMが配列される層(以下、これをマーク層と呼ぶ)Yが複数に亘って形成される。なおこのマーク層Yは、記録マークRMが配列されることにより形成されるため、記録マークRMの形成前には仮想で存在することになる。記録層101内に形成されるマーク層Yの数に制限はないが、光情報記録媒体100の記憶容量を向上させるため、好ましくは10層以上、より好ましくは20層以上形成されることが想定されている。
ここで、記録光ビームL2cが入射される基板102から最も遠くに存在するマーク層Yを最奥マーク層Ydとし、基板102の界面から最奥マーク層Ydまでの厚さを最奥深さt1dとする。記録光ビームL2cと同一波長でなる測定光に対する吸収量を記録光吸収量、当該記録光ビームL2cよりも10[nm]短い波長でなる測定光に対する吸収量を短波長光吸収量と呼ぶ。
記録層101は、最奥深さt1d当たりの記録光吸収量が20.8[%]以下であることが好ましい。記録光吸収量が大きくなると、記録光ビームL2cが最奥マーク層Ydに到達するまでの間に当該記録光ビームL2cのかなりの部分が記録層101によって吸収され、目標位置における記録光ビームL2cの光強度を低下させるからである。
記録層101は、厚さが0.30[mm]当たりの記録光吸収量に対する短波長光吸収量の変化量(以下、これを短波長吸収変化量と呼ぶ)が8.0[%]以上でなることが好ましい。
ここで、短波長吸収変化量が大きいと、短波長光吸収量が大きい値でなることを意味する。記録光ビームL2cは、集光され大きな光強度で目標位置(すなわち記録光ビームL2cの焦点位置)に照射される。このとき記録層101は、あたかも記録光ビームL2cよりも僅かに短波長でなる光が照射されたかのように振る舞うことが知られている。すなわち記録層101は光短波長光吸収量が大きいと記録光ビームL2cを多く吸収して迅速に発熱し、短時間で記録マークRMを形成することが可能となる。
これに対して短波長吸収変化量が8.0[%]未満でなると、短波長光吸収量が小さい値でなることを意味する。このとき記録層101は、記録光ビームL2cを多く吸収することができず、記録マークRMを形成するのに時間を要してしまう。
すなわち記録層101は、短波長吸収変化量が大きいことにより、目標位置近傍において記録光ビームL2cの吸収量を増大させる一方、目標位置近傍以外における記録光ビームL2cの吸収量を抑制することができる。
なおこの記録光吸収量は、最奥深さt1dや厚さt1に応じて変化する。以下に、透過率Tを表す一般的な物理公式を示している。(1)式において、kは吸光係数、dは厚さt1、λは照射光の波長を表している。(1)式において、透過率が20[%]となら光吸収量は1−T、すなわちT=0.2と算出することができる。
Figure 0004721078
従って記録層101全体としての記録光ビームL2cの波長に対する光透過率を測定して吸光係数kを算出すると共に、d=最奥深さt1d及びd=0.30[mm]を代入する。これにより、最奥深さt1d当たりの記録光吸収量及び0.30[mm]当たりの記録光吸収量を算出することができる。
また、短波長吸収変化量は光吸収量、すなわち1−Tの変化量を示すものである。ここで厚さt1が変化した場合であっても、光吸収量における吸光係数k、照射光の波長λは変化しないため、記録光吸収量及び短波長吸収変化量は厚さt1に応じてのみ変化することになる。
以下に、記録光ビームL2cと同一波長の測定光に対する光吸収量を1−T、記録光ビームL2cよりも10[nm]短波長でなる測定光に対する光吸収量を1−T、記録光ビームL2cと同一波長の測定光に対する吸光係数をk、記録光ビームL2cよりも10[nm]短波長でなる測定光に対する吸収係数をkとしたときの短波長吸収変化量ΔAbを表している。
Figure 0004721078
従って記録層101の厚さtが0.30[mm]以外の厚さである場合には、記録光ビームL2cと同一波長の光に対する吸光係数kを算出すると共に、記録光ビームL2cよりも10[nm]短波長でなる光に対する吸収係数kを算出する。そして(2)式におけるdの値を0.30[mm]にすることより、0.30[mm]当たりの短波長吸収変化量を算出することができる。
このように記録層101は、最奥深さt1d当たりの記録光吸収量が20.8[%]以下でなるようにした。これにより、記録層101は、目標位置近傍以外での記録光ビームL2cの吸収量を抑制し、当該記録光ビームL2cを大きな光強度のまま最奥マーク層Ydに到達させることができる。
また、記録層101は、0.30[mm]当たりの短波長吸収変化量が8.0[%]以上でなるようにした。これにより、記録層101は、目標位置近傍における記録光ビームL2cの吸収量を増大させ、迅速に発熱して記録マークRMを短時間で形成し得るようになされている。
[2.実施例1]
[2−1.サンプルの作製]
モノマー類としてアクリル酸エステルモノマー(p−クミルフェノールエチレンオキシド付加アクリル酸エステル)とウレタン2官能アクリレートオリゴマーとの混合物(重量比40:60)100重量部に対し、気化材料及び光重合開始剤として0.8重量部の下記に示す光重合開始剤Aを加え、暗室化において混合脱泡することにより液状材料M1を調製した。以下に、液状材料M1の配合を示す。
Figure 0004721078
光重合開始剤A:(ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム
そして液状材料M1を基板103上に展開し、基板102及び103の間に挟み込んで未硬化光情報記録媒体100aを作製した。この未硬化光情報記録媒体100aに対し、高圧水銀灯でなる初期化光源1により初期化光L1(波長365[nm]においてパワー密度250[mW/cm])を10[sec]照射することにより、光情報記録媒体100としてのサンプルS1を作製した。なお、記録層101の厚さt1は0.5[mm]、基板102の厚さt2は0.7[mm]、基板103の厚さt3は0.7[mm]であった。
[2−2.気化温度の測定]
次に、サンプルS1で使用した光重合開始剤Aの気化温度を、TG/DTA(示唆熱・熱重量同時測定)によって測定した。測定条件を以下に示す。
雰囲気 :N(窒素雰囲気下)
昇温速度:20[[℃]/min]
測定温度:40[℃]〜600[℃]
使用装置:TG/DTA300(セイコーインスツルメンツ株式会社製)
TG/DTA測定の結果、重量変化を示すTG曲線において最も激しく重量減少が生じた温度を光重合開始剤Aの気化温度とした。光重合開始剤Aの気化温度は232[℃]であった。因みに測定対象物が複数の気化温度を有する場合には、最も低温において激しく重量減少が生じた温度を測定対象物の気化温度としている。
このように、光重合開始剤Aは、140[℃]〜400[℃]の範囲内に気化温度を有することが確認された。
[2−3.記録マークの形成及び読出]
[2−3−1.光情報記録再生装置の構成]
図6において光情報記録再生装置5は、全体として光情報記録媒体100における記録層101に対して光を照射することにより、記録層101において想定される複数の記録マーク層Yに情報を記録し、また当該情報を再生するようになされている。この記録マーク層Yは、記録マークRMが配列されることによって形成されるものであり、記録マークRMが形成される前段階においては、仮想に存在するものである。
光情報記録再生装置5は、CPU(Central Processing Unit)構成でなる制御部6により全体を統括制御するようになされており、図示しないROM(Read Only Memory)から基本プログラムや情報記録プログラム、情報再生プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAM(Random Access Memory)に展開することにより、情報記録処理や情報再生処理等の各種処理を実行するようになされている。
制御部6は、光ピックアップ7を制御することにより、当該光ピックアップ7から光情報記録媒体100に対して光を照射させ、また当該光情報記録媒体100から戻ってきた光を受光するようになされている。
光ピックアップ7は、制御部6の制御に基づき、レーザダイオードでなる記録再生光源10から例えば波長405[nm]の光ビームL2をDC出力で出射させ、当該光ビームL2をコリメータレンズ11により発散光から平行光に変換した上でビームスプリッタ12に入射させるようになされている。
因みに記録再生光源10は、制御部6の制御に従い、光ビームL2の光量を調整し得るようになされている。
ビームスプリッタ12は、反射透過面12Sにより光ビームL2の一部を透過させ、対物レンズ13へ入射させる。対物レンズ13は、光ビームL2を集光することにより、光情報記録媒体100内の任意の箇所に合焦させるようになされている。
また対物レンズ13は、光情報記録媒体100から戻り光ビームL3が戻ってきた場合、当該戻り光ビームL3を平行光に変換し、ビームスプリッタ12へ入射させる。このときビームスプリッタ12は、戻り光ビームL3の一部を反射透過面12Sにより反射し、集光レンズ14へ入射させる。
集光レンズ14は、戻り光ビームL3を集光して受光素子15に照射する。これに応じて受光素子15は、戻り光ビームL3の光量を検出し、当該光量に応じた検出信号を生成して制御部6へ送出する。これにより制御部6は、検出信号を基に戻り光ビームL3の検出状態を認識し得るようになされている。
ところで光ピックアップ7は、図示しない駆動部が設けられており、制御部6の制御により、X方向、Y方向及びZ方向の3軸方向に自在に移動し得るようになされている。実際上、制御部6は、当該光ピックアップ7の位置を制御することにより、光ビームL2の焦点位置を所望の位置に合わせ得るようになされている。
このように光情報記録再生装置5は、光情報記録媒体100内の任意の箇所に対して光ビームL2を集光し、また当該光情報記録媒体100から戻ってくる戻り光ビームL3を検出し得るようになされている。
[2−3−2.記録マークの形状]
実際上、受光素子15によって実際に検出された戻り光ビームL3の様子を図6に示している。図7(A)は、読出光ビームL2cの焦点位置に記録マークRMが形成されていた場合を、図7(B)は読出光ビームL2cの焦点位置に記録マークRMが形成されていなかった場合を示している。
さらに、読出光ビームL2dがサンプルS1に形成された記録マークRMにより反射されてなる戻り光ビームL3の光強度の分布をx方向、y方向及びz方向についてそれぞれ測定したところ、図8(A)及び(B)に示すような結果が得られた。ここで特性曲線Sx、Sy及びSzは、目標位置を中心に読出光ビームL2dの焦点をそれぞれx方向、y方向及びz方向に関して変位させたときに、受光素子15により得られた信号強度(すなわち光強度)の分布を示している。
この場合、光情報記録再生装置5は、サンプルS1に対して、当該記録層101と基板102との境界面からz方向に0.1[mm]となる位置を目標位置として、対物レンズ13のNAを0.35とし、記録光ビームL2cの波長を405[nm]、光パワー20[mW]、記録時間1.5[sec]として記録マークRMを記録した。また光情報記録再生装置5は、読出光ビームL2dの波長を405[nm]、光パワーを0.1[mW]とした。
図8(A)及び(B)の分布特性から、記録マークRMは、全体的に楕円体に近似した形状に形成されており、xy平面における直径が約1[μm]、z方向に関する高さが約10[μm]程度となっていることがわかる。
また、記録マークRMが形成されたサンプル1を切断した断面のSEM(Scanning Electron Microscopic)写真を図9に示している。図9の写真から、記録マークRMとして空洞が形成されていることがわかる。
なお、記録層101の屈折率n101を1.5とし、記録マークRM(空洞)の内部の屈折率nRMを1.0とした場合のシミュレーションでは、受光素子15によって読出光ビームL2dの光強度に対して0.16%の光強度でなる戻り光ビームL3を受光できることがわかった。
[2−4.多層記録の再生]
次に、サンプルS1に対して、目標位置のz方向の位置を段階的に変化させることにより多層記録(いわゆる体積型記録)を行い、このときの各記録マークRMからの戻り光ビームL3(すなわち再生光)を測定した。
具体的には、まず光情報記録再生装置5によって、光ピックアップ7のx方向、y方向及びz方向における位置を変化させることにより記録層101内の目標位置を3次元方向に変化させながら、17層に渡って記録マークRMを層状に記録した。この場合、各層(以下、それぞれをマーク記録層と呼ぶ)におけるxy平面上の記録マークRMの間隔を3[μm]、マーク記録層同士の間隔を22.5[μm]とした。
次に、光情報記録再生装置5によって、光情報記録媒体100の各マーク記録層に読出光ビームL2dをそれぞれ合焦させるよう照射し、戻り光ビームL3を検出した。このときの2層目(基板102に近い側)、5層目、8層目及び11層目における戻り光ビームL3の検出結果を、図10(A)及び(B)、並びに図11(A)及び(B)にそれぞれ示す。
因みに図10(A)及び(B)並びに図11(A)及び(B)では、縦軸方向に信号強度を示し、横軸方向にx方向の位置を示しており、各マーク記録層において読出光ビームL2dの焦点位置をx方向に移動させたときの信号強度の測定結果をそれぞれ表している。
これらの図10(A)及び(B)並びに図11(A)及び(B)から明らかなように、光情報記録媒体100における1層目から11層目までのいずれのマーク記録層についても、記録マークRMが形成された箇所と当該信号マークRMが形成されていない箇所(初期化されただけの箇所)との信号強度の差が顕著に現れている。
すなわち光情報記録再生装置5は、多層記録により少なくとも11層に渡ってマーク記録層を構成した場合において、各層に記録された記録マークRMを必要充分な信号強度の戻り光ビームL3として検出することにより良好な再生信号を得ることができ、各記録マークRMの有無、すなわち情報として値「0」又は値「1」のいずれが記録されているかを高い精度で読み出すことができる。
因みに図10及び図11は、光情報記録媒体100への情報の記録及び再生に用いた記録光ビームL2c及び読出光ビームL2dの波長を405[nm]とし、記録光ビームL2cの光パワーを10[mW]、記録時間を2〜5[sec]とし、また読出光ビームL2dの光パワーを1[mW]として、さらに対物レンズ23のNAを0.35としたときの受光結果である。
このように、光情報記録媒体100では、複数のマーク層Yに対して実際に記録マークRMを記録すると共に、当該記録マークRMから反射される戻り光ビームL3を受光することにより、記録マークRMの有無を検出し得ることが確認された。
[3.実施例2]
[3−1.サンプルの作製]
以下の条件により、光情報記録媒体100としてのサンプルS11〜S15を作製した。また比較用サンプルとして、光情報記録媒体100としての比較サンプルR1〜R4も併せて作製した。
なお本実施例2において使用した光重合開始剤(以下に示す)をそれぞれ光重合開始剤A〜E、及びGと表し、熱重合開始剤を熱重合開始剤Fと表し、これらをまとめて重合開始剤A〜Gと呼ぶ。なお光重合開始剤Aは、実施例1において使用した光重合開始剤Aと同一である。各重合開始剤は、市販されているものを使用している。これらの重合開始剤は、市販品のため下記に示す化合物の他に各種助剤が含有されている場合もある。
光重合開始剤B:クミルトリルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
光重合開始剤C:(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
光重合開始剤D:トリ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素
光重合開始剤E:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
熱重合開始剤F:フェニルカルバゾール
光重合開始剤G:[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン
モノマー類100重量部に対し、重合開始剤A〜Gを加え、暗室化において混合脱泡することにより液状材料M1を調製した。
以下に、サンプルS11〜S15及び比較サンプルR1〜R4に使用した液状材料M1におけるモノマー類及び重合開始剤の配合量の一覧を示す。なお光重合開始剤A〜E、及びGは、モノマー類を重合させる重合開始剤及び気化材料として配合されている。
Figure 0004721078
なおアクリル酸エステルXは、p−クミルフェノールエチレンオキシド付加アクリル酸エステルであり、フルオレン2官能アクリレートは、ジフェニルフルオレンEO(Ethylene Oxide)変性ジアクリレートである。またアクリル酸エステルYは、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸エステルZは、ベンジルアクリレートである。
液状材料M1を基板103上に展開し、基板102及び103の間に挟み込んで未硬化光情報記録媒体100aを作製した。サンプルS11〜S13及び比較サンプルR1〜R3については、光重合により液状材料M1を硬化させた。未硬化光情報記録媒体100aに対し、高圧水銀灯でなる第1初期化光源1により初期化光L1(波長365[nm]においてパワー密度42[mW/cm])を60[sec]照射することにより、光情報記録媒体100としてのサンプルS11〜S13及び比較サンプルR1〜R3を作製した。
サンプルS14及びS15、並びに比較サンプルR4については熱重合により液状材料を硬化させた。未硬化光情報記録媒体100aに対し、100[℃]の恒温槽内で1時間加熱することにより、光情報記録媒体100としてのサンプルS14及びS15、並びに比較サンプルR4を作製した。
このサンプルS11〜S15及び比較サンプルR1〜R4における記録層101の厚さt1はいずれも0.30[mm]であった。なお記録層101の厚さt1は、レーザを走査させる変位計(キーエンス社、LT9000シリーズのLT9030Mヘッド)を用い、記録層101全体としての平均値として測定している。
[3−2.気化温度の測定]
実施例1と同様にして、光重合開始剤B、C及びDの気化温度を測定した。以下に、各光重合開始剤の気化温度を示している。また、図12に、光重合開始剤BのTG/DTA曲線を示している。
Figure 0004721078
このように、光重合開始剤B、C及びDは、140[℃]〜400[℃]の範囲内に気化温度を有することが確認された。
[3−3.記録速度の測定]
光情報記録再生装置5は、サンプルS11〜S15、比較サンプルR1〜R4の記録層101において、基板102との界面から深さ25〜250[μm]でなる目標位置に対し、記録光ビームL2cを照射した。このとき光情報記録再生装置5は、波長が405[nm]、光パワー55[mW]でなる記録光ビームL2cを、開口数NAが0.5の対物レンズ13を介して照射した。
光情報記録再生装置5は、最短で記録可能な記録時間を測定するため、記録光ビームL2cを30[μsec]から1[μsec]刻みで増大させて照射した。
実施例1と同様に、受光素子15によって十分な光量でなる戻り光ビームL3を検出したときの最短記録時間を記録時間とした。以下に、サンプルS11〜S15及び比較サンプルR1〜R4の記録時間を示している。
Figure 0004721078
表からわかるように、サンプルS11〜S15では、記録時間がいずれも90[μsec]以下と、100[μsec]未満の小さい値を示した。これに対して比較サンプルR1〜R4では、記録時間がいずれも100[μsec]以上の大きい値を示した。
[3−4.光吸収量の測定]
次に、上述した光情報記録媒体100としてのサンプルS11〜S15及び比較サンプルR1〜R4につい光吸収量の測定を行った。
光情報記録媒体100の光吸収量を分光光度計により測定した。具体的には、まず光情報記録媒体100を分光光度計(日本分光株式会社製、V560)の光出射方向から5度傾けて設置し、当該光情報記録媒体100に対して測定光を照射すると共に、当該光情報記録媒体100に対する測定光の反射率及び透過率を波長ごとに測定し、100[%]から反射率及び透過率を減算した値を光吸収量とした。なお、415[nm]〜395[nm]における測定光の光強度はいずれも0.3[μW/cm]であった。
表5に、415[nm]、405[nm]及び395[nm]の測定光に対する光吸収量を示している。また表5には、記録光ビームL2cと同一波長でなる405[nm]の測定光に対する光吸収量を基準としたときの、それぞれ10[nm]短波長及び長波長でなる測定光に対する光吸収量の変化を表す短波長吸収変化量及び長波長吸収変化量を示している。
Figure 0004721078
図13に、横軸を405[nm]でなる測定光に対する記録光吸収量、縦軸を短波長吸収変化量として、記録光吸収量と短波長吸収変化量との関係を示している。図13からわかるように、記録時間が小さい時間を示したサンプルS11〜S15では、いずれも記録光吸収量が25.0[%]以下であり、かつ短波長吸収変化量が8.0[%]以上であった。
これに対して、表5から分かるように、サンプルS11〜S15では、長波長吸収変化量の値がばらついており、比較サンプルR1〜R4と比して格段の差異は認められなかった。
記録層101では、記録光吸収量が25.0[%]を超えると、記録層101内部における記録光ビームL2cの焦点近傍以外の領域において当該記録光ビームL2cの多くが吸収される。この結果、記録光吸収量が25.0[%]を超えると、記録光ビームL2cの焦点における当該記録光ビームL2cの光強度を弱めてしまい、記録時間が大きくなったものと考えられる。
従って、記録層101は、記録光ビームL2cと同一波長でなる光に対する記録光吸収量が25.0[%]以下でなることが好ましいといえる。
なお実施例2における記録光吸収量は、記録層101の厚さt1が0.30[mm]のときの値である。実験では、基板102との界面から0.25[mm]の距離まで記録を行っていることから、このときの最奥厚さt1dは、0.25[mm]となる。従って、最奥厚さt1d当たりの記録光吸収量((1)式によって算出)は、20.8[%]以下でなることが好ましいといえる。
図14に、横軸を波長、縦軸を光吸収量とし、サンプルS11、S14及びS15、並びに比較サンプルR2及びR4についての波長ごとの光吸収量を示している。ここで各サンプルでは、305[nm]〜420[nm]において光吸収量が大きく変化している。
ここで、光吸収量が大きく変化している部分では、小さな条件の変化によりその光吸収量が左右されることになる。上述したように、測定光の光強度は小さいことから、記録光ビームL2cの焦点以外の領域における光吸収量を表す数値といえる。
記録光ビームL2cの焦点近傍では、集光されることにより当該記録光ビームL2cの光強度が非常に大きくなり、記録光ビームL2cが実際よりも短波長でなるように振る舞う。すなわち、図14に示すグラフが僅かに長波長側にシフトしたような状態となる。
従って、記録層101は、短波長吸収変化量が8.0[%]以上と大きい場合には、表5における記録光吸収量が小さくても、記録光ビームL2cを効果的に吸収して迅速に発熱し、短時間で記録マークRMを形成できたものと考えられる。従って、短波長光吸収変化量は、8.0[%]以上でなることが好ましいといえる。
ここで、光吸収量が大きく変化している領域に対する接線と、光吸収量の変化が小さい領域に対する接線との交点を吸収端と呼ぶ。以下に、サンプルS11、S14及びS15、並びに比較サンプルR2及びR4についての吸収端を示す。
Figure 0004721078
表からわかるように、サンプルS11、S14及びS15では、吸収端が385[nm]〜410[nm]にある。記録層101は、吸収端が記録光ビームL2cの波長である405[nm]から+5[nm]−20[nm]の範囲内、より好ましくは405[nm]から+2[nm]−17[nm]の範囲内にあることが好ましいといえる。
この吸収端は、長波長側から短波長側へ向けて、急速に光吸収量を増大させる、いわば変曲点を表しており、当該吸収端より僅かに(5〜20[nm]程度)長波長側から短波長側に向けて光吸収量の大幅な増大が見られる。すなわち、吸収端の前後においては、光吸収量が大きく変化する。
このため吸収端の前後においては、光強度の小さい光に対する吸収量を抑制しつつ、光強度の大きい光の吸収量を増大させることができる。すなわち吸収端の前後においては、記録光ビームL2cにおいて光強度の小さい焦点近傍以外の領域の吸収を抑制しつつ、光強度の大きい焦点近傍において記録光ビームL2cを効果的に吸収することができる。
なお比較サンプルR2では、吸収端が385[nm]〜410[nm]にあるものの、記録光吸収量が0.30[mm]当たり25.0[%](すなわち最奥深さt1d当たり20.8[%])より大きい。このため、比較サンプルR2では、記録時間が100[μsec]を超えてしまっている。
従って、記録層101は、吸収端が385[nm]〜410[nm]にあり、かつ記録光吸収量が0.30[mm]当たり25.0[%]以下(すなわち最奥深さt1d当たり20.8[%]以下)であることが好ましいといえる。
因みに、記録光吸収量が25.0[%]以下でなるサンプルS11〜S15並びに比較サンプルR3及びR4では、基板102と記録層101との界面からの距離(20[μm]〜250[μm])に拘らず、記録時間に殆ど差異はみられなかった。これに対して記録光吸収量が25.0[%]を超える比較用サンプルR1及びR2では、基板102と記録層101との界面からの距離に応じて変化し、総体的に記録時間も長くなることが確認された。
このように、記録層101では、記録光吸収量が25.0[%]以下であり、かつ短波長吸収変化量が8.0[%]以上でなる。これにより記録層101は、焦点近傍以外の光強度の弱い部分における記録光ビームL2cの光吸収量を抑制し、焦点における記録光ビームL2cの光強度を高めることができる。
この結果記録層101は、短波長吸収変化量が大きいことに伴う光吸収量の増大効果を存分に発揮させることができ、記録光ビームL2cを効果的に吸収して迅速に記録マークRMを形成し得るようになされている。
[4.動作及び効果]
以上の構成において、光情報記録媒体100の記録層101は、集光された記録光である記録光ビームL2cに応じて形成される記録マークRMが配列され、マーク層Yが形成される。記録層101は、記録光ビームL2cが入射される側(すなわち基板102との界面)から最も奥側にあるマーク層Yの深さである最奥深さt1d当たりの光吸収量である記録光吸収量が20.8[%]以下である。記録層101は、記録光ビームL2c(405[nm])と同一波長の測定光に対する記録光吸収量を基準としたときの当該記録光ビームL2cよりも10[nm]短波長でなる測定光に対する短波長光吸収量の変化量が、0.30[mm]当たり8.0[%]以上でなる。
記録層101は、400[nm]〜500[nm]の青紫光ビームである記録光ビームL2cに応じて記録マークRMを形成する。
これにより、記録層101は、記録光ビームL2cとして500[nm]よりも大きい赤色光ビームなどを使用する場合と比較してスポット径を小さくできるため、効果的に記録光ビームL2cを集光して短時間で記録マークRMを形成することができる。
記録層101は、最奥深さt1d当たりの記録光吸収量が20.8[%]以下であり、記録光ビームL2cの波長+5[nm]、−20[nm]の範囲内に長波長側から短波長側に向けて急速に光吸収量を増大させる吸収端が存在する。
これにより、記録層101は、記録光ビームL2cの波長からわずかに短波長側の光吸収量の変化を急峻にすることができるため、集光された記録光ビームL2cの吸収量を増大させて記録時間を短縮することができる。
以上の構成によれば、光情報記録媒体100の記録層101は、記録光ビームL2cの焦点近傍に照射される光強度よりも遙かに小さい(例えば1/10以下でなる)測定光を用いて記録層101の光吸収量が測定される。このとき記録層101は、記録光ビームL2cと同一波長に対する記録光吸収量が20.8[%]以下であり、記録光ビームL2cより10[nm]短波長側の測定光における短波長光吸収量が記録光吸収量に対して最奥深さt1d当たり8.0[%]以上である。
これにより、記録層101は、光強度の小さい記録光ビームL2c近傍における光吸収量を抑制して大きい光強度でなる記録光ビームL2cを焦点に集光させると共に、当該焦点近傍において記録光ビームL2cを効率良く吸収することができる。かくして本発明は、記録速度を短縮し得る光情報記録媒体を形成できる。
[5.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、記録層101が気泡(すなわち空洞)でなる記録マークRMを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記録光ビームL2cに応じた化学変化により焦点Fb近傍の屈折率が変化されてなる記録マークを形成するようにしても良い。要は、記録マークによって読出光ビームL2dを反射して検出可能な光量の戻り光ビームL3を発生させればよい。
また上述した実施の形態においては、記録マークRMに対して読出光ビームL2dを照射し、当該記録マークRMによって反射されてなる戻り光ビームL3によって記録マークRMの有無を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。例えば読出光ビームL2dを透過させた透過光ビームを受光し、読出光ビームL2dの光量の増減を検出することにより記録マークRMの有無を検出するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、液状材料M1がモノマー類と光重合開始剤とから構成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、液状材料M1の構成材料としては、熱硬化性のモノマーやこれを硬化させるための硬化剤、バインダポリマーやオリゴマー、光重合を行うための開始剤、さらには必要に応じて増感色素などを加える等しても良く、要は硬化後の記録層101に光重合開始剤が含有されていれば良い。
なお、必要に応じて添加されるバインダ成分としては、エチレングリコール、グリセリンとその誘導体や多価のアルコール類、フタル酸エステルとその誘導体やナフタレンジカルボン酸エステルとその誘導体、リン酸エステルとその誘導体、脂肪酸ジエステルとその誘導体のような、可塑剤として用いることが可能な化合物が挙げられる。このとき用いられる光重合開始剤としては、情報の記録後に、後処理により適宜分解される化合物が望ましい。また増感色素としては、シアニン系、クマリン系、キノリン系色素などが挙げられる。
さらに上述した実施の形態においては、405[nm]における熱吸収変化量及び光吸収変化量を測定する際、分光光度計によって350[nm]から800[nm]までの各波長における光吸収量を測定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。例えば光強度が0.3[μW/cm]でなる405[nm]及び395[nm]の光を照射して記録光吸収量及び短波長吸収量をそれぞれ測定するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、記録層が含有する光重合開始剤及び硬化樹脂が記録光ビームL2cを吸収して発熱するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光重合開始剤又は硬化樹脂のいずれかが記録光ビームL2cを吸収して発熱するようにしても良い。また、記録層が含有する硬化樹脂や必要に応じて添加される添加剤などの光重合開始剤以外の化合物が記録光ビームL2cに応じて化学反応(例えば光又は熱に応じた化合・分解反応など)を生じて発熱することにより、焦点Fb近傍の温度を上昇させるようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、記録層101が光硬化型樹脂の硬化した硬化樹脂でなるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば熱硬化型樹脂でなる記録層に対し、気化することにより気泡を形成する光重合開始剤残渣に相当する気化材料が含有されており、この記録層が初期化光L1によって化学変化を生じた場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに上述した実施の形態においては、初期化処理(図2)において平行光でなる初期化光L1を光情報記録媒体100に照射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば拡散光や収束光でなる初期化光L1を光情報記録媒体100に照射するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光情報記録媒体100の初期化処理を行うための初期化光L1、当該光情報記録媒体100に情報を記録するための記録光ビームL2c、及び当該光情報記録媒体100から情報を再生するための読出光ビームL2dの波長を統一するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば記録光ビームL2c及び読出光ビームL2dの波長を統一する一方で初期化光L1の波長を両者と異なるようにし、或いは初期化光L1、記録光ビームL2c及び読出光ビームL2dの波長を互いに異なるようにしても良い。
この場合、初期化光L1としては、記録層101を構成する光重合光硬化型樹脂における光化学反応の感度に適した波長であり、記録光ビームL2cとしては、物質の熱伝導により温度を上昇させるような波長又は吸収されやすいような波長であり、読出光ビームL2dとしては、最も高い解像度が得られるような波長であることが望ましい。このとき、記録光ビームL2c及び読出光ビームL2dの波長等に応じて対物レンズ13(図6)のNA等についても適宜調整すれば良く、さらには情報の記録時と再生時とで記録光ビームL2c及び読出光ビームL2dにそれぞれ最適化された2つの対物レンズを切り換えて用いるようにしても良い。
また、記録層101を構成するフォトポリマーに関しては、初期化光L1、記録光ビームL2c及び読出光ビームL2dのそれぞれの波長との組み合わせにおいて最も良好な特性が得られるよう、その成分等を適宜調整すれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、光情報記録媒体100の基板102側の面から初期化光L1、記録光ビームL2c及び読出光ビームL2dをそれぞれ照射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば初期化光L1を基板103側の面から照射するようにする等、各光又は光ビームをそれぞれいずれの面、もしくは両面から照射するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、記録光ビームL2cの波長を405[nm]にするようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、記録光ビームL2cの波長に制限はない。記録光ビームL2cの波長は、記録層101の特性に応じて適宜選択することが可能である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光情報記録媒体100をテーブル4に固定し、光ピックアップ7をX方向、Y方向及びZ方向に変位させることにより、記録層101内における任意の位置を目標位置として記録マークRMを形成し得るようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光情報記録媒体100をCDやDVD等のような光情報記録媒体として構成し、当該光情報記録媒体を回転駆動すると共に光ピックアップ7をX方向及びZ方向に変位させて情報の記録及び再生を行うようにしても良い。この場合、例えば基板102と記録層101との境界面などに溝状やピットによるトラックを形成してトラッキング制御やフォーカス制御等を行えば良い。
さらに上述した実施の形態においては、光情報記録媒体100の記録層101を一辺約50[mm]、厚さt1を約0.05〜1.2[mm]の円盤状に形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の任意の寸法とするようにし、或いは様々な寸法でなる正方形板状又は長方形板状、直方体状等、種々の形状としても良い。この場合、Z方向の厚さt1に関しては、記録光ビームL2c及び読出光ビームL2dの透過率等を考慮した上で定めることが望ましい。
さらに上述した実施の形態においては、記録層101が単層でなるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、複数層によって構成されていても良い。また、記録層101単体で所望の強度が得られる場合等に、光情報記録媒体100から当該基板102及び103を省略しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、記録層101にマーク層Yが複数形成されるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、マーク層Yは1層のみ形成されても良い。
さらに上述した実施の形態においては、記録層としての記録層101によって光情報記録媒体としての光情報記録媒体100を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる記録層によって光情報記録媒体を構成するようにしても良い。
本発明は、例えば映像コンテンツや音声コンテンツ等のような大容量の情報を光情報記録媒体等の記録媒体に記録し又は再生する光情報記録再生装置等でも利用できる。
2……初期化光源、5……情報記録再生装置、6……制御部、7……光ピックアップ、13……対物レンズ、15……受光素子、100……光情報記録媒体、100a……未硬化光情報記録媒体、101……記録層、102、103……基板、t1、t2、t3……厚さ、L1……初期化光、L2c……記録光ビーム、L2d……読出光ビーム、L3……戻り光ビーム、M1……液状材料。

Claims (8)

  1. アクリル酸エステル(p−クミルフェノールエチレンオキシド付加アクリル酸エステル、2−エチルヘキシルアクリレートは又はベンジルアクリレート)とジフェニルフルオレンEO(Ethylene Oxide)変性ジアクリレートとの重量比40:60の混合物100重量部に対し気化材料及び重合開始剤として0.8重量部の重合開始剤が加えられてなり、集光された記録光に応じて形成される記録マークが配列されるマーク層のうち、上記記録光が入射される側から最も奥側にあるマーク層の深さである最奥深さ当たりの記録光吸収量が20.8[%]以下であり、かつ上記記録光と同一波長の測定光に対する光吸収量を基準としたときの当該記録光よりも10[nm]短波長でなる測定光に対する光吸収量の変化量が、0.30[mm]当たり8.0[%]以上でなる記録層
    を有する光情報記録媒体。
  2. 上記記録光は、
    青紫光ビームである
    請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 上記記録層は、
    空洞でなる上記記録マークを形成する
    請求項2に記載の光情報記録媒体。
  4. 上記記録層は、
    140[℃]以上、400[℃]以下でなる気化材料を含有する
    請求項3に記載の光情報記録媒体。
  5. 上記記録層は、
    複数の上記マーク層を有する
    請求項4に記載の光情報記録媒体。
  6. 上記記録層は、
    厚さが0.05[mm]以上、1.0[mm]以下でなる
    請求項5に記載の光情報記録媒体。
  7. アクリル酸エステル(p−クミルフェノールエチレンオキシド付加アクリル酸エステル、2−エチルヘキシルアクリレートは又はベンジルアクリレート)とジフェニルフルオレンEO(Ethylene Oxide)変性ジアクリレートとの重量比40:60の混合物100重量部に対し気化材料及び重合開始剤として0.8重量部の重合開始剤が加えられてなり、集光された記録光に応じて形成される記録マークが配列されるマーク層のうち、上記記録光が入射される側から最も奥側にあるマーク層の深さである最奥深さ当たりの記録光吸収量が20.8[%]以下であり、上記記録光の波長+5[nm]、−20[nm]の範囲内に長波長側から短波長側に向けて急速に光吸収量を増大させる吸収端が存在する記録層
    を有する光情報記録媒体。
  8. 上記記録層は、上記記録光の波長+2[nm]、−17[nm]の範囲内に上記吸収端を有する
    請求項7に記載の光情報記録媒体。
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