しかしながら上記特許文献1では、覆い焼き処理(DR圧縮)方法については開示されているものの、この覆い焼き処理と別に実行される例えば覆い焼き処理後の処理として行われる階調変換(コントラスト補正)の方法については開示されていない。当該階調変換としては、通常、ガンマ(階調変換特性;γ)を用いた変換処理が行われるが、この場合、主被写体部のコントラストを好適なものにするべく低輝度部のコントラストが高くなるようにガンマを変化させると、高輝度部の階調がつぶれてしまい、高輝度部のコントラストが低下することになる。また、上記特許文献1に開示される技術に限らず、覆い焼き処理では、低周波成分が多く含まれる照明成分を圧縮するため、相対的に高周波成分(エッジ)が強調されてしまい、所謂シャープネスが高い不自然な画像(不自然な解像感を有する画像)となってしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、階調変換によって高輝度部のコントラスト低下を招くといったことなく、覆い焼き特性に応じた好適な階調特性を得ることが可能な、また、覆い焼き処理によって高周波成分が強調された不自然な画像が発生することなく、覆い焼き特性に応じた好適なシャープネス特性を得ることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
本発明に係る撮像装置は、画像を取得する画像取得手段と、前記画像に対する覆い焼き処理を行う覆い焼き処理手段と、前記覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータを設定する覆い焼きパラメータ設定手段と、前記画像に対する階調変換処理を行う階調変換手段と、前記階調変換処理に関する階調変換特性を設定する階調特性設定手段とを備え、前記階調特性設定手段は、前記覆い焼きパラメータ設定手段に設定された覆い焼きパラメータに基づいて前記階調変換特性を決定し、前記階調変換手段は、前記階調特性設定手段により決定された階調変換特性に基づいて階調変換処理を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、画像取得手段によって画像が取得され、覆い焼き処理手段によって画像に対する覆い焼き処理が行われ、覆い焼きパラメータ設定手段によって覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータが設定され、階調変換手段によって画像に対する階調変換処理が行われ、階調特性設定手段によって階調変換処理に関する階調変換特性が設定される。そして、階調特性設定手段によって、覆い焼きパラメータ設定手段に設定された覆い焼きパラメータに基づいて階調変換特性が決定され、階調変換手段によって、階調特性設定手段により決定された階調変換特性に基づいて階調変換処理が行われる。
また、上記構成において、前記覆い焼き処理は、前記画像から抽出された照明成分を圧縮し、該圧縮された照明成分と前記画像から抽出された反射率成分とから新たな画像を生成する処理であり、前記階調特性設定手段は、前記照明成分が圧縮される輝度領域における圧縮の度合いを表すパラメータに基づいて前記階調変換特性を決定するようにしてもよい。
これによれば、覆い焼き処理が、画像から抽出された照明成分を圧縮し、該圧縮された照明成分と画像から抽出された反射率成分とから新たな画像を生成する処理とされ、階調特性設定手段によって、照明成分が圧縮される輝度領域における圧縮の度合いを表すパラメータに基づいて階調変換特性が決定される。
また、上記構成において、前記階調特性設定手段は、前記覆い焼きパラメータとしての、前記照明成分の輝度範囲における所定の圧縮開始レベルである第1輝度レベルと該圧縮開始レベルより大きい第2輝度レベルとの情報に基づいて前記階調変換特性を決定するようにしてもよい。
これによれば、階調特性設定手段によって、覆い焼きパラメータとしての、照明成分の輝度範囲における所定の圧縮開始レベルである第1輝度レベルと該圧縮開始レベルより大きい第2輝度レベルとの情報に基づいて階調変換特性が決定される。
また、上記構成において、前記第1輝度レベルは、主被写体の所定輝度値である主被写体輝度以上の輝度レベルであり、前記階調特性設定手段は、前記第1輝度レベルを階調変換入力値としたときの該階調変換入力値に対する階調変換出力値が、前記照明成分の圧縮度合いが大きい場合に小さく、前記照明成分の圧縮度合いが小さい場合に大きい値となるように前記階調変換特性を決定するようにしてもよい。
これによれば、第1輝度レベルが、主被写体の所定輝度値である主被写体輝度以上の輝度レベルとされ、階調特性設定手段によって、第1輝度レベルを階調変換入力値としたときの該階調変換入力値に対する階調変換出力値が、照明成分の圧縮度合いが大きい場合に小さく、照明成分の圧縮度合いが小さい場合に大きい値となるように階調変換特性が決定される。
また、上記構成において、主被写体の適正階調変換出力値をI0’と定める場合において、前記階調特性設定手段は、主被写体輝度の階調変換入力値がI0であるとするとき、I0をI0’に変換し得る前記階調変換特性を決定するようにしてもよい。
これによれば、階調特性設定手段によって、主被写体輝度の階調変換入力値I0を、主被写体の適正階調変換出力値I0’に変換し得る階調変換特性が決定される。
また、本発明に係る撮像装置は、画像を取得する画像取得手段と、前記画像に対する覆い焼き処理を行う覆い焼き処理手段と、前記覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータを設定する覆い焼きパラメータ設定手段と、前記画像に対するシャープネス補正処理を行うシャープネス補正手段と、前記シャープネス補正処理に関するシャープネス補正量を設定するシャープネス補正量設定手段とを備え、前記覆い焼き処理は、前記画像が分割された複数領域に対して各々局所的に処理を施すことで実現され、前記覆い焼きパラメータは、前記局所的処理の対象となる各領域のサイズであり、前記シャープネス補正量設定手段は、前記覆い焼きパラメータ設定手段に設定された覆い焼きパラメータに基づいて前記シャープネス補正量を決定し、前記シャープネス補正手段は、前記シャープネス補正量設定手段により決定されたシャープネス補正量に基づいてシャープネス補正処理を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、画像取得手段によって画像が取得され、覆い焼き処理手段によって画像に対する覆い焼き処理が行われ、覆い焼きパラメータ設定手段によって覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータが設定され、シャープネス補正手段によって画像に対するシャープネス補正処理が行われ、シャープネス補正量設定手段によってシャープネス補正処理に関するシャープネス補正量が設定される。そして、シャープネス補正量設定手段によって、覆い焼きパラメータ設定手段に設定された覆い焼きパラメータに基づいてシャープネス補正量が決定され、シャープネス補正手段によって、シャープネス補正量設定手段により決定されたシャープネス補正量に基づいてシャープネス補正処理が行われる。また、覆い焼き処理が、画像が分割された複数領域に対して各々局所的に処理を施すことで実現され、覆い焼きパラメータが、局所的処理の対象となる各領域のサイズ(領域サイズ)とされる。
また、本発明に係る撮像装置は、画像を取得する画像取得手段と、前記画像に対する覆い焼き処理を行う覆い焼き処理手段と、前記覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータを設定する覆い焼きパラメータ設定手段と、前記画像に対するシャープネス補正処理を行うシャープネス補正手段と、前記シャープネス補正処理に関するシャープネス補正量を設定するシャープネス補正量設定手段とを備え、前記覆い焼き処理は、前記画像から抽出された照明成分を圧縮し、該圧縮された照明成分と前記画像から抽出された反射率成分とから新たな画像を生成する処理であり、前記覆い焼きパラメータは、前記画像から照明成分を抽出するフィルタのサイズであり、前記シャープネス補正量設定手段は、前記シャープネス補正量を前記フィルタのサイズに基づいて決定し、前記シャープネス補正手段は、前記シャープネス補正量設定手段により決定されたシャープネス補正量に基づいてシャープネス補正処理を行うことを特徴とする。
これによれば、覆い焼き処理において、画像から抽出された照明成分が圧縮され、該圧縮された照明成分と画像から抽出された反射率成分とから新たな画像が生成される。また、覆い焼きパラメータが、画像から照明成分を抽出するフィルタのサイズとされ、シャープネス補正量設定手段によって、シャープネス補正量がフィルタのサイズに基づいて決定される。
また、本発明に係る撮像装置は、画像を取得する画像取得手段と、前記画像に対する覆い焼き処理を行う覆い焼き処理手段と、前記覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータを設定する覆い焼きパラメータ設定手段と、前記画像に対するシャープネス補正処理を行うシャープネス補正手段と、前記シャープネス補正処理に関するシャープネス補正量を設定するシャープネス補正量設定手段とを備え、前記覆い焼き処理は、前記画像が分割された複数領域に対して各々局所的コントラスト補正を施すことで実現され、前記覆い焼きパラメータは、前記局所的コントラスト補正の対象となる各領域のサイズであり、前記シャープネス補正量設定手段は、前記覆い焼きパラメータ設定手段に設定された覆い焼きパラメータに基づいて前記シャープネス補正量を決定し、前記シャープネス補正手段は、前記シャープネス補正量設定手段により決定されたシャープネス補正量に基づいてシャープネス補正処理を行うことを特徴とする。
これによれば、覆い焼き処理が、画像が分割された複数領域に対して各々局所的コントラスト補正を施すことで実現され、覆い焼きパラメータが、局所的コントラスト補正の対象となる各領域のサイズ(領域サイズ)とされる。
さらに、上記構成において、前記シャープネス補正量設定手段は、前記局所的処理の対象となる各領域のサイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じて、前記シャープネス補正手段のエッジ抽出周波数特性を変化させるようにしてもよい。
これによれば、シャープネス補正量設定手段によって、局所的処理の対象となる各領域のサイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じて、シャープネス補正手段のエッジ抽出周波数特性が変化される。
また、上記構成において、前記シャープネス補正量設定手段は、前記局所的処理の対象となる各領域のサイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じて、前記シャープネス補正手段のエッジ強調量を変化させるようにしてもよい。
これによれば、シャープネス補正量設定手段によって、局所的処理の対象となる各領域のサイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じてシャープネス補正手段のエッジ強調量が変化(変更)される。
また、上記構成において、前記画像取得手段は、入射光量に対して電気信号が線形的に変換されて出力される線形特性と、入射光量に対して電気信号が対数的に変換されて出力される対数特性とからなる光電変換特性を有する撮像センサであるようにしてもよい。
これによれば、画像取得手段が、入射光量に対して電気信号が線形的に変換されて出力される線形特性と、入射光量に対して電気信号が対数的に変換されて出力される対数特性とからなる光電変換特性を有する撮像センサとされる。
請求項1に係る撮像装置によれば、覆い焼きパラメータに基づいて階調変換特性が決定され、当該決定された階調変換特性に基づいて階調変換処理が行われる構成であるので、階調変換によって高輝度部のコントラスト低下を招くといったことなく、覆い焼き特性に応じた好適な階調特性を得ることができる。
請求項2に係る撮像装置によれば、照明成分が圧縮される輝度領域における圧縮の度合いを表すパラメータに基づいて階調変換特性が決定されるので、覆い焼き特性が適正に反映された階調特性を決定することができる。
請求項3に係る撮像装置によれば、照明成分の輝度範囲における圧縮開始レベルである第1輝度レベルと、圧縮開始レベルより大きい第2輝度レベルとの情報に基づいて階調変換特性が決定されるので、或る覆い焼き特性を代表し得る、例えば主被写体が適正な明るさ(或いはコントラスト)が得られるようなレベル値として設定される第1輝度レベルと、この第1輝度レベルより輝度レベルが大きい第2輝度レベルとの情報を用いて、覆い焼き特性が適正に反映された階調特性を容易に決定することができる。
請求項4に係る撮像装置によれば、第1輝度レベルを階調変換入力値としたときの該階調変換入力値に対する階調変換出力値が、照明成分の圧縮度合いが大きい場合に小さく、照明成分の圧縮度合いが小さい場合に大きい値となるように階調変換特性が決定されるので、照明成分の圧縮度合いが大きい場合には、つまり覆い焼き処理における圧縮輝度範囲(ダイナミックレンジ)が広い場合には、階調変換出力レベルを低く設定して中輝度又は高輝度部で階調変換出力が抑えられるように、また、照明成分の圧縮度合いが小さい場合には、つまり上記圧縮輝度範囲が狭い場合には、階調変換出力レベルを高く設定して中輝度又は高輝度部でより高い階調変換出力が得られるようにすることができ、覆い焼き特性に応じた好適な階調変換を行うことが可能となる。
請求項5に係る撮像装置によれば、主被写体輝度の階調変換入力値I0を、主被写体の適正階調変換出力値I0’に変換し得る階調変換特性が決定されるので、階調変換によって主被写体画像が暗くなることが防止され、より好適な階調変換を行うことが可能となる。
請求項6に係る撮像装置によれば、覆い焼きパラメータに基づいてシャープネス補正量が決定され、当該決定されたシャープネス補正量に基づいてシャープネス補正処理が行われる構成であるので、覆い焼き処理によって高周波成分が強調された不自然な画像が発生することなく、覆い焼き特性に応じた好適なシャープネス特性を得ることができる。また、画像の局所処理における領域サイズが覆い焼きパラメータとして扱われるので、画像に対してフィルタ処理する際のフィルタサイズや、画像を領域分割する際の分割ブロックサイズ等の種々のパラメータを覆い焼きパラメータとして用いることが可能となり、これらパラメータが反映された覆い焼きパラメータに応じて好適なシャープネス特性を得ることが可能となる。
請求項7に係る撮像装置によれば、シャープネス補正量が照明成分抽出用のフィルタのサイズに基づいて決定されるので、覆い焼き特性に応じたシャープネス補正処理に際しての、覆い焼きパラメータのシャープネス補正量への反映を容易に行うことができる。
請求項8に係る撮像装置によれば、画像の局所的コントラスト補正処理における領域サイズが覆い焼きパラメータとして扱われるので、このコントラスト補正処理が反映された覆い焼きパラメータに応じて好適なシャープネス特性を得ることが可能となる。
請求項9に係る撮像装置によれば、領域サイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じて、シャープネス補正手段におけるエッジ抽出周波数特性が変化される(当該シャープネス補正量に応じたエッジ抽出周波数特性が用いられる)ので、覆い焼き特性に応じたより適正な、エッジ抽出に基づくシャープネス補正を行うことができる。
請求項10に係る撮像装置によれば、領域サイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じて、シャープネス補正手段におけるエッジ強調量が変化される(当該シャープネス補正量に応じたエッジ強調量が用いられる)ので、覆い焼き特性に応じたより適正な、エッジ強調に基づくシャープネス補正を行うことができる。
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラを示し、このデジタルカメラの主に撮像処理に関する概略的なブロック構成図を示している。図1に示すようにデジタルカメラ1は、画像入力部2、制御部3、画像メモリ4、ユーザI/F部5及び画像処理部6を備えている。
画像入力部2は、デジタルカメラ1に対して画像を入力するものであり、レンズ部21、撮像センサ22、アンプ23及びA/D変換部24等を備えている。レンズ部21は、被写体光像を取り込むレンズ窓として機能するとともに、この被写体光を撮像センサ22へ導くための光学系(被写体光の光軸Lに沿って直列的に配置される例えばズームレンズやフォーカスレンズ、その他の固定レンズブロック)を構成するものである。レンズ部21は、当該レンズの透過光量を調節するための絞り(図略)やシャッタ(図略)を備えており、制御部3によってこの絞りやシャッタの駆動制御がなされる構成とされている。
撮像センサ22は、被写体光像を撮像するものであり、レンズ部21で結像された被写体光像の光量に応じ、R、G、B各成分の画像信号に光電変換して後段のアンプ23へ出力する。本実施形態では、撮像センサ22として、センサ入射輝度が低い場合(暗時)に出力画素信号(光電変換により発生する出力電気信号)が線形的に変換されて出力される線形特性領域と、センサ入射輝度が高い場合(明時)に出力画素信号が対数的に変換されて出力される対数特性領域とからなる光電変換特性、換言すれば低輝度側が線形、高輝度側が対数である異なる複数の光電変換特性を有するイメージセンサ(以降、適宜、リニアログセンサと表現する)が用いられる。このリニアログセンサによる撮影により、広いダイナミックレンジ(DR)を有する広DR画像の取得が可能となる。このように撮像センサ22によって広DR画像を得ることで、後述の図3で示されるような照明圧縮特性を容易に得ることができる。
上記リニアログセンサは、ここでは例えばフォトダイオード等の光電変換素子をマトリクス状に配置してなる固体撮像素子に、P型又はN型のMOSFET等を備えた対数変換回路を付加し、MOSFETのサブスレッショルド特性を利用することで、固体撮像素子の出力特性を入射光量に対して電気信号が対数的に変換されるようにした所謂CMOSイメージセンサが採用される。但し、CMOSイメージセンサに限らず、VMISイメージセンサやCCDイメージセンサ等であってもよい。
なお、上記リニアログセンサから得られる線形特性領域及び対数特性領域を有した画像のことを、適宜、線形/対数画像と表現する。また、上記光電変換特性における線形特性領域と対数特性領域との切り替り点(以降、変曲点という)は、撮像センサ22の各画素回路に対する所定の制御信号により任意に制御可能とされている。撮像センサ22は、当該リニアログセンサに限定されず、傾きの異なる複数の線形領域を有するリニアセンサなど、広DR画像を得ることが可能であるのならばいずれのイメージセンサであってもよい。因みに、上記広DR画像は、例えば一般的なリニアセンサによる異なるシャッタスピードや絞り値で撮影して得られた複数枚の画像から作成された広DR画像であってもよいし、ニー処理された画像から作成された広DR画像であってもよい。
アンプ23は、撮像センサ22から出力された画像信号を増幅するものであり、例えばAGC(オートゲインコントロール)回路を備え、当該出力信号のゲイン(増幅率)調整を行う。A/D変換部24は、アンプ23にて増幅されたアナログ値の画像信号(アナログ信号)をデジタル値の画像信号(デジタル信号)に変換するものであり、撮像センサ22の各画素で受光して得られる画素信号をそれぞれ例えば12ビットの画素データに変換する。
制御部3は、各種制御プログラム等を記憶するROM、一時的にデータを格納するRAM及び制御プログラム等をROMから読み出して実行する中央演算処理装置(CPU)等からなり、デジタルカメラ1全体の動作制御を司るものである。制御部3は、撮像センサ22等の装置各部からの各種信号に基づき装置各部が必要とする制御パラメータ等を算出し、これに基づいて覆い焼き処理部61等の装置各部の動作を制御する。
画像メモリ4は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリからなり、画像入力部2により入力された画像データ或いは画像処理部6において所定の画像処理が施された画像データ等を格納するものである。
ユーザI/F(インターフェース)部5は、ユーザからの各種の操作指示(コマンド)が入力される入力キーとして機能したり、或いは所定の情報を表示するものであり、モニタ部51及び操作部52を備えている。モニタ部51は、画像入力部2により入力された画像や画像メモリ4に保存された画像等、或いは所定の操作情報や設定情報等をモニタ表示するものであり、例えばカラー液晶表示素子からなる液晶表示器(LCD;Liquid Crystal Display)等からなる。操作部52は、デジタルカメラ1に対するユーザによる操作指示入力を行うものであり、レリーズスイッチ、撮影モード設定スイッチ或いはメニュー選択スイッチ等の各種スイッチ群(ボタン群)からなる。例えばレリーズスイッチが押下(オン)されることで、撮像センサ22により被写体光が撮像され、この撮像により得られた撮影画像に対して所要の画像処理が施された後、この画像データが画像メモリ4に記録されるといった一連の撮影動作が実行される。
ところで、ユーザI/F部5は、例えば図9に示すデジタルカメラ1の背面図のように、コントラスト補正量、彩度補正量及びシャープネス補正量といった画像処理に関する各パラメータ(画像処理パラメータという)を設定(入力)することが可能に構成されている。各画像処理パラメータは、例えば−2〜+2の5段階の調整が可能とされている。実際の入力動作としては、例えば操作部52によるボタン操作等によってモニタ画面上で選択フレーム511を所要の画像処理パラメータの位置まで移動させて、補正しようとする画像処理パラメータを選択した(アクティブにした)後(図9ではシャープネスが選択されている)、ポインタ512をデフォルト位置(ここではゼロ)から、低輝度重視側である−2から高輝度重視側である+2の範囲における所要のレベル位置まで移動させることで、各画像処理パラメータの補正量を設定する(図9ではシャープネス補正量が「+1」のレベルに設定されている)。
画像処理部6は、画像入力部2により入力された撮影画像データ(A/D変換部24により得られたデジタル画像信号)に対する各種画像処理を行うものであり、覆い焼き処理部61、階調変換部62及びシャープネス補正部63を備えている。覆い焼き処理部61は画像に対する覆い焼き処理を行うものである。この覆い焼き処理については後に詳述する。階調変換部62は、制御部3(後述の階調変換特性算出部32)から与えられる階調変換用のテーブル情報を用いて、入力画像(撮影画像)のR、G、B各画素データに対するデータ変換を行うことで階調変換を行うものである。シャープネス補正部63は、制御部3から与えられるシャープネス補正用の所定のフィルタ係数の情報を用いてフィルタ演算を行うことで、入力画像のシャープネス補正を行うものである。なお、画像処理部6には、上記各機能部の他に、色補間処理部や色補正処理部、ホワイトバランス(WB)補正部、或いは、画像信号の固定パターンノイズ(FPN;Fixed Pattern Noise)を除去するFPN補正部や画像の黒レベルを基準の値に補正する黒基準補正部等(いずれも図示略)が備えられていてもよい。
第1の実施形態では、覆い焼き処理に関する各パラメータ(覆い焼きパラメータという)に応じて、階調変換処理に関するパラメータ(階調変換パラメータという)を決定して階調変換処理を行う、すなわち覆い焼きパラメータに応じて階調変換処理を制御することを主な特徴点とするが、これに関し、覆い焼き処理部61や制御部3の各機能部について説明する。
覆い焼き処理部61は、画像入力部2から入力された画像すなわち撮像センサ22により撮像されて得られた画像(線形/対数画像、広DR画像);(基画像Iとする)に対する覆い焼き処理を行うものである。基画像Iは、所謂Retinex理論によれば、該基画像Iにおける照明成分(主に低周波成分からなる)を照明成分L、反射率成分(主に高周波成分からなる)を反射率成分Rとすると、以下の(1)式で表される。
I=L*R ・・・(1)
但し、記号「*」は乗算を示す(以降同様)。
覆い焼き処理部61は、基画像Iに対してメディアンフィルタやイプシロン(ε)フィルタ等の所謂エッジ維持フィルタ(非線形フィルタ;照明抽出フィルタ)を適用することでこの照明成分Lを抽出する(照明成分Lが抽出されることで残りの成分が反射率成分Rとして抽出される)。このエッジ維持フィルタのフィルタサイズ(フィルタサイズSfとする)の情報は制御部3から与えられる。ただし、このフィルタサイズとは、画像のフィルタ処理に際して何画素分の画素に対して平均処理を行うかといったことに関する当該複数画素で構成される画像サイズに相当するものであり、例えばフィルタサイズが10画素、20画素などと与えられる。このことからも、覆い焼き処理は、画像が複数の領域に分割されて当該各領域ごとにつまり局所的に異なる処理(局所処理)を行うものであると言うことができる。ここでは、この各領域のサイズ(領域サイズ)を表すものとして上記エッジ維持フィルタのフィルタサイズを用いているが、これに限らず例えば領域分割のブロックサイズを用いてもよい。従って、フィルタサイズや領域分割のブロックサイズを含め、この“領域サイズ”の情報は、覆い焼きパラメータであると言える。なお、上記局所処理は例えばコントラスト補正処理であってもよく、すなわち覆い焼き処理を、各領域ごとに異なるコントラスト補正(局所的コントラスト補正)を行うための処理としてもよく、この場合、上記領域サイズは、局所的コントラスト補正用の覆い焼きパラメータであると言える。
次に、覆い焼き処理部61は、この抽出した照明成分Lに対して、該照明成分Lが所定の圧縮開始レベルLs以上の領域(L>Ls)について、以下の(2)式による変換(DR圧縮)を行う。照明成分Lが圧縮開始レベルLsより小さい領域(L≦Ls)については、以下の(3)式による変換(この変換もDR圧縮に含む)が行われる。
L’=exp(log(L)*c)*n ・・・(2)
但し、「c」は圧縮率、「n」は正規化項である。
L’=L ・・・(3)
上記(2)、(3)式によるL’は、それぞれ図3のように符号210、符号220で示す照明圧縮特性210、220で表される。照明圧縮特性210は、照明成分Lの所定の圧縮開始レベルLs及びこのLsにおける出力値としての圧縮開始レベルOsの符号211で示す点A(Ls、Os)と、照明成分Lの上限値Lmaxに対する出力が出力最大値Omax(例えば撮像センサ22による出力画像が0〜255階調を有する8ビット画像の場合で、255階調の出力値;階調値)となる符号212で示す点B(Lmax、Omax)との2点を通過するものとして与えられる。したがって、上記(2)式の未知数である圧縮率c及び正規化項nは、これら2点の座標値をそれぞれ代入して得られる連立方程式から算出される。なお、このLs及びLmaxの情報は制御部3から与えられる。
上述の各処理が施された後、さらに覆い焼き処理部61において、このDR圧縮された照明成分L’と反射率成分Rとから、以下の(4)式を用いて画像I’が生成(出力)される。
I’=L’*R ・・・(4)
なお、上記(4)式は、I’=L’/L*Iと考えてもよい。但し、記号「/」は除算を示す(以降同様)。また、照明成分Lが圧縮開始レベルLsより小さい領域(L≦Ls)については、I’=L’/L*Iの代わりにI’=Iと考えてもよい。
制御部3は、図2に示すように覆い焼きパラメータ算出部31及び階調変換特性算出部32を備えている。覆い焼きパラメータ算出部31は、覆い焼き処理における上記LsやLmax、或いはフィルタサイズSf等の覆い焼きパラメータを算出(取得)するものである。Lsは、階調変換部62においてガンマをかける(ガンマによる階調変換処理を行う)と適正な明るさとなる主被写体輝度(後述の図4に示す値I0)の2倍程度の値として与えられる。ただし、このLsの値は、人物や風景等、被写体ごとに予め求めておいた値(固定値)でもよく、また、ユーザによって都度、指定(ユーザI/F部5から指示入力)された値でもよい。
また、Lmaxは、いずれの明るさまで覆い焼き処理を行うか、つまり圧縮する照明成分Lとしてどこまでの範囲を入れるかを決めるための所定の上限値として与えられる。通常、このLmaxとして、基画像I(広DR画像)のR、G、Bの輝度最大値が用いられるが、これに限らず、照明成分Lの最大値又はこの最大値のY%(コントラストを上げるためにLmaxを照明成分の最大値よりも小さい値に設定することもあり得る)、前記R、G、B輝度最大値のX%値等を用いてもよい。なお、このLmaxの値は都度算出されてもよいし、予め求めておいた値(固定値)でもよいし、ユーザI/F部5からの指示入力等によって都度、ユーザにより指定された値でもよい。また、フィルタサイズSfは、所定の値、或いは画像に依存する値(例えば画像サイズのZ%値や画像の空間周波数に依存する値)として与えられる。覆い焼きパラメータ算出部31は、これらLs、Lmax及びSfの情報を覆い焼き処理部61に送信して該覆い焼き処理部61に設定する。なお、上記予め求めておいた値等の情報は、制御部3における例えばパラメータ記憶部(図示略)に保存される構成でもよい。
階調変換特性算出部32は、覆い焼きパラメータ算出部31で求められた各覆い焼きパラメータに基づいて、階調変換部62での階調変換処理において用いる階調変換特性を算出し、この階調変換特性が記述された、すなわち階調変換特性による階調変換が反映された変換テーブル(例えばLUT;ルックアップテーブル)を作成するものである。階調変換特性算出部32は、当該作成した変換テーブルの情報を階調変換部62に送信して該階調変換部62に設定する。階調変換特性算出部32で算出される階調変換特性は、例えば図4、5に示す階調変換特性310、320となる。各図の横軸は階調変換入力、縦軸は階調変換出力を示している。各階調変換特性310、320は、符号311及び符号312で示す(0、0)及び(Omax、Omax)の2点を通り、且つ、符号313で示す点C(I0、I0’)及び符号314で示す(図5の方は符号315で示す)点D(Ls、Ls’)の2点を通る曲線で表される。特に、階調変換特性310、320は、点C、Dの2点の位置を変化させることで制御される(この意味で点C、Dのことをそれぞれ第1、第2制御点と表現する)。
第1制御点C(I0、I0’)は、ガンマをかけると適正な明るさとなる所定のレベルを示す点である。この第1制御点Cにおける入力値I0は、例えば主被写体(例えば人物の顔)の輝度に相当する値(主被写体輝度I0とする)であり、出力値I0’は例えば8ビット画像の場合で128階調程度の出力値である。
第2制御点D(Ls、Ls’)は、図3に示す照明圧縮特性210、220の傾き(特性グラフの傾斜度)、特に、上記(2)式で示される照明圧縮特性210(圧縮領域、圧縮特性)の“傾き”に応じて、すなわち照明圧縮特性の“傾きを表すパラメータ”に応じて、設定される圧縮開始レベルを示す点である。この照明圧縮特性の傾きを表すパラメータは、当該図3の照明圧縮特性を用いた照明成分の圧縮を行う覆い焼き処理でのパラメータ、つまり“覆い焼きパラメータ”にあたる。
ところで、上記圧縮領域の傾きが小さいということは、図3における横軸を入力、縦軸を出力と見た場合に、出力範囲に対して入力範囲がより大きくなっているということであり、つまりこの場合は、圧縮の度合い(圧縮率)が大きいと言える。逆に、圧縮領域の傾きが大きい場合には、圧縮の度合いが小さいと言える。この圧縮領域の傾きは、上記点A(Ls、Os)と、もう1つの点、すなわち符号213で示す点E(Le、Oe)との2つの点で決定される。
第2制御点D(Ls、Ls’)は、上述したように圧縮領域の傾きを表すパラメータに応じて決定されるが、具体的には、この傾きを表すパラメータとしての当該2つの点の情報を用いて決定する。本実施形態では、点Eの代わりに、この点Eが上記点Bである(或いは点Eが点Bの位置にきている)と考えた場合の当該点Bと、上記点Aとの2点の情報を用いて第2制御点Dを決定するようにしている。これはすなわち、ここでは点A、点Bの情報を用いているが、これに限定されず、要は、圧縮領域の傾きを決定することが可能な、点Aと、点Aよりもレベルが大きいもう1つの任意の点との、少なくとも2点を用いるということである。ただし、この点A、Bの情報とは、具体的には図3の横軸の照明成分の値であるそれぞれLs、Lmax(上記覆い焼きパラメータLs、Lmax)であり、この覆い焼きパラメータLs、Lmaxの値に応じて第2制御点Dが決定される。
すなわち、第2制御点D(Ls、Ls’)における入力値Lsは、図3に示す照明成分Lの圧縮開始レベルLs(覆い焼きパラメータLs)に相当する。一方、出力値Ls’は、図3に示す照明成分Lの上限値Lmaxの大きさに応じて設定される、すなわちLs’はLmaxに依存し、Ls’=f(Lmax)によって与えられる値である(“f”は単調減少関数を示す。ただし「単調減少」とは、直線的に減少せずともよく要は増加しなければよいことを示している)。このことから、図4はLmaxが小さい場合を、図5はLmaxが大きい場合を表している。つまり、Lmaxが小さい場合つまり覆い焼き処理におけるDR(圧縮輝度範囲)が狭い場合(この場合は圧縮領域の傾きが大きい)には、図4に示すようにLs’の出力レベルを高く設定して、点Cレベル以上の中輝度又は高輝度部においてより高い階調変換出力が得られるようにする。Lmaxが大きい場合つまり覆い焼き処理におけるDRが広い場合(この場合は圧縮領域の傾きが小さい)には、図5に示すようにLs’の出力レベルを低く設定して、同様に中、高輝度部において階調変換出力が抑えられるようにする。このように、覆い焼き処理における圧縮開始レベルLsと、圧縮開始レベルLsよりも大きい輝度レベル(Le;ここではLmax)との情報(覆い焼きパラメータ)に基づいて階調変換特性が決定される。
なお、上記第2制御点D(Ls、Ls’)やこれに基づく階調変換特性、或いは変換テーブルが階調変換パラメータに該当する。図4、5に示す特性曲線330は、通常のガンマ特性(ガンマ特性330)を示しており、第1及び第2制御点C、Dは、このガンマ特性330各部のレベルを超えて大きくならないように制御(設定)される。また、本実施形態では、覆い焼きパラメータに応じて階調変換パラメータを設定するという観点から、第2制御点Dによる階調変換特性の制御は必須であるが、第1制御点Cによる制御は、より好適な画像を得るべく実施されることが好ましいものであると言える。
図6は、第1の実施形態における覆い焼きパラメータに応じた階調変換処理に関する動作の一例を示すフローチャートである。先ず、レリーズスイッチが押下されるなどして撮像センサ22によって撮影画像が取得され、この撮影画像データが制御部3に入力される(例えば画像メモリ4に保存される)(ステップS1)。次に、制御部3の覆い焼きパラメータ算出部31によって、覆い焼きパラメータ、すなわち圧縮開始レベルLs及び上限値Lmaxの情報(図3参照)並びにフィルタサイズSfの情報が覆い焼き処理部61に送信されて設定される(ステップS2)。そして、覆い焼き処理部61によって、当該設定された覆い焼きパラメータに基づいて、覆い焼き処理(基画像Iから照明成分Lを抽出してこれにDR圧縮を行い、照明成分L’と反射率成分Rとから新たな画像I’を生成する処理)が行われる(ステップS3)。一方、制御部3の階調変換特性算出部32によって、覆い焼きパラメータ算出部31で求められた各覆い焼きパラメータに基づいて、第2制御点D(Ls、Ls’)等の算出により階調変換特性(図4、5参照)が算出されて当該階調変換特性の変換テーブル(LUT)が作成され、この作成された変換テーブル情報が階調変換部62に送信されて設定される(ステップS4)。そして、階調変換部62によって、この変換テーブルに基づいて階調変換処理が行われ(ステップS5)、この階調変換処理により得られた画像データが画像メモリ4に記憶される(ステップS6)。
(実施形態2)
上記第1の実施形態では、覆い焼きパラメータに応じて階調変換処理を制御する場合について説明したが、第2の実施形態では、覆い焼きパラメータに応じてシャープネス補正に関するパラメータ(シャープネスパラメータという)、例えばシャープネス補正量を決定してシャープネス補正処理を行う、すなわち覆い焼きパラメータに応じてシャープネス補正処理を制御する場合について説明する。本実施形態におけるデジタルカメラのブロック構成は図1と同じである。ただし、図7に示すように、制御部3’(図1の制御部3に相当)には、さらにシャープネスパラメータ算出部33が備えられている。
シャープネスパラメータ算出部33は、上記実施形態1で説明した領域毎の局所処理(局所処理として局所的コントラスト補正を行う場合等も含む)を行う場合の「領域サイズ」に応じてシャープネスパラメータを算出するものである。本実施形態の場合も同様、この領域サイズは、フィルタサイズや領域分割のブロックサイズを示すが、ここでは領域サイズの情報として、前者のフィルタサイズを用いる。シャープネスパラメータ算出部33は、上記覆い焼きパラメータ算出部31によって算出された照明成分抽出用フィルタのフィルタサイズSfに応じて、シャープネスパラメータを算出する。具体的には、シャープネスパラメータ算出部33は、図9に示すようにユーザI/F部5において入力された所定のシャープネス補正レベル(シャープネス補正量Shとする)を、フィルタサイズSfに応じて修正し、この修正により得られたシャープネス補正量に応じてシャープネス補正用のフィルタを切り替える(選択する)。
上記フィルタサイズSfに応じたシャープネス補正量Shの修正は、以下の(5)式によって行われる。
Sh’=Sh+ΔSh ・・・(5)
但し、Sh’はShの修正後の値であり、ΔShは、図8に示すようにフィルタサイズSfの増加に対する負の単調減少(直線的な減少でなくともよく、要は減少すればよい)の関係で与えられる値(修正量)である。つまり、Sf値がゼロから大きくなるのに応じて、ΔShの値がゼロから小さくなっていく。
シャープネスパラメータ算出部33は、上記(5)式から求めたShの情報に基づいて、Sh’が正の値となる場合には、例えばSh’に比例して先鋭性が高くなるシャープネス補正用のハイパスフィルタを選択し、Sh’が負の値となる場合には、例えばSh’に反比例して平滑性が高くなるシャープネス補正用のローパスフィルタを選択する。これを換言すれば、シャープネスパラメータ算出部33は、フィルタサイズSfつまり局所処理の対象となる領域サイズに基づいて決定されたシャープネス補正量Shに応じて、シャープネス補正部63でのシャープネス補正処理におけるエッジ抽出周波数特性を変化させると言える。
なお、上記(5)式においてSh’の値がゼロとなる場合は、当該シャープネス補正用のフィルタ処理はなされない(いずれのフィルタも選択されない)。これらハイパスフィルタやローパスフィルタの情報はシャープネスパラメータ算出部33等に予め記憶されていてもよい。シャープネスパラメータ算出部33は、当該選択したフィルタの情報をシャープネス補正部63に送信して該シャープネス補正部63に設定する。なお、シャープネス補正部63では、当該設定されたフィルタ情報(ハイパスフィルタ及びローパスフィルタのいずれかのフィルタ)に基づいてシャープネス補正処理が行われる。また、シャープネス補正量Sh’や、これに基づき選択されたフィルタがここでのシャープネスパラメータに該当する。
図10は、第2の実施形態における覆い焼きパラメータに応じたシャープネス補正処理に関する動作の一例を示すフローチャートである。先ず、ユーザI/F部5から指示入力されたシャープネス補正量Shの情報がシャープネスパラメータ算出部33に設定される(ステップS11)。次に、レリーズスイッチが押下されるなどして撮像センサ22によって撮影画像が取得され、この撮影画像データが制御部3’に入力される(例えば画像メモリ4に保存される)(ステップS12)。次に、制御部3’の覆い焼きパラメータ算出部31によって、覆い焼きパラメータ、すなわち圧縮開始レベルLs及び上限値Lmaxの情報(図3参照)並びにフィルタサイズSfの情報が覆い焼き処理部61に送信されて設定される(ステップS13)。そして、覆い焼き処理部61によって、当該設定された覆い焼きパラメータに基づいて、覆い焼き処理(基画像Iから照明成分Lを抽出してこれにDR圧縮を行い、照明成分L’と反射率成分Rとから新たな画像I’を生成する処理)が行われる(ステップS14)。
一方、制御部3’の階調変換特性算出部32によって、覆い焼きパラメータ算出部31で求められた各覆い焼きパラメータに基づいて、第2制御点D(Ls、Ls’)等の算出により階調変換特性(図4、5参照)が算出されて当該階調変換特性の変換テーブル(LUT)が作成される。そして、この作成された変換テーブル情報が階調変換部62に送信されて設定され(ステップS15)、階調変換部62によって、この変換テーブルに基づいて階調変換処理が行われる(ステップS16)。次に、制御部3’のシャープネスパラメータ算出部33によって、上記ステップS1において入力されたシャープネス補正量Shが上記覆い焼きパラメータ算出部31で得られたフィルタサイズSfに応じて修正される((5)式参照)。そして、当該修正後のシャープネス補正量Sh’に応じてシャープネス補正用のフィルタが選択され、この選択されたフィルタがシャープネス補正部63に設定され(ステップS17)、当該設定されたフィルタに基づきシャープネス補正部63によってシャープネス補正処理が行われる(ステップS18)。このシャープネス補正処理により得られた画像データは画像メモリ4に記憶される(ステップS19)。なお、上記ステップS15、S16における階調変換処理は必ずしも上述のように覆い焼きパラメータに応じて行わなずともよく、通常のガンマを用いた階調変換処理であってもよいし、当該階調変換処理自体を行わない構成(ステップS14の次にステップS17に進む構成)であってもよい。なお、上記ステップS15、S16及びステップS17、S18の順序は上述したものに限られず、例えばステップS17、S18→ステップS15、S16の順番に入れ替えられたものでも構わない。
以上のように、第1の実施形態に係る撮像装置(デジタルカメラ1)によれば、画像入力部2(又は撮像センサ22)(画像取得手段)によって画像が取得され、覆い焼き処理部61(覆い焼き処理手段)によって画像に対する覆い焼き処理が行われ、覆い焼きパラメータ算出部31(覆い焼きパラメータ設定手段)によって覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータが設定され、階調変換部62(階調変換手段)によって画像に対する階調変換処理が行われ、階調変換特性算出部32(階調特性設定手段)によって階調変換処理に関する階調変換特性が設定される。そして、階調変換特性算出部32によって、覆い焼きパラメータ算出部31に設定された覆い焼きパラメータに基づいて階調変換特性が決定され、階調変換部62によって、階調変換特性算出部32により決定された階調変換特性に基づいて階調変換処理が行われる。
これによれば、覆い焼きパラメータに基づいて階調変換特性が決定され、当該決定された階調変換特性に基づいて階調変換処理が行われる構成であるので、階調変換によって高輝度部のコントラスト低下を招くといったことなく、覆い焼き特性に応じた好適な階調特性を得ることができる。
また、覆い焼き処理が、基画像Iから抽出された照明成分Lを圧縮し、該圧縮された照明成分L’と画像から抽出された反射率成分Rとから新たな画像I’を生成する処理とされ、階調変換特性算出部32によって、照明成分Lが圧縮される輝度領域における圧縮の度合いを表すパラメータに基づいて階調変換特性310(320)が決定される。
これによれば、照明成分Lが圧縮される輝度領域における圧縮の度合いを表すパラメータに基づいて階調変換特性が決定されるので、覆い焼き特性が適正に反映された階調変換特性310(320)を決定することができる。
また、階調変換特性算出部32によって、覆い焼きパラメータとしての、照明成分Lの輝度範囲における所定の圧縮開始レベルLsである第1輝度レベルと該圧縮開始レベルLsより大きい第2輝度レベルとの情報に基づいて階調変換特性310(320)が決定される。
これによれば、照明成分の輝度範囲における圧縮開始レベルLsである第1輝度レベルと、圧縮開始レベルより大きい第2輝度レベルとの情報に基づいて階調変換特性が決定されるので、或る覆い焼き特性を代表し得る、例えば主被写体が適正な明るさ(或いはコントラスト)が得られるようなレベル値として設定される第1輝度レベルと、この第1輝度レベルより輝度レベルが大きい第2輝度レベルとの情報を用いて、覆い焼き特性が適正に反映された階調特性310(320)を容易に決定することができる。
また、第1輝度レベルは主被写体の所定輝度値である主被写体輝度(図4、5に示す階調変換入力値I0)以上の輝度レベルとされ、階調変換特性算出部32によって、第1輝度レベルを階調変換入力値Lsとしたときの該階調変換入力値Lsに対する階調変換出力値Ls’が照明成分Lの圧縮度合いが大きい場合に小さく、照明成分Lの圧縮度合いが小さい場合に大きい値となるように階調変換特性310(320)が決定される。
これによれば、第1輝度レベルを階調変換入力値Lsとしたときの該階調変換入力値Lsに対する階調変換出力値Ls’が、照明成分の圧縮度合いが大きい場合に小さく、照明成分の圧縮度合いが小さい場合に大きい値となるように階調変換特性310(320)が決定されるので、照明成分Lの圧縮度合いが大きい場合には、つまり覆い焼き処理における圧縮輝度範囲(DR)が広い場合には、階調変換出力レベルを低く設定して中輝度又は高輝度部で階調変換出力が抑えられるように(図5に示す場合)、また、照明成分Lの圧縮度合いが小さい場合には、つまり上記圧縮輝度範囲が狭い場合には、階調変換出力レベルを高く設定して中輝度又は高輝度部でより高い階調変換出力が得られるように(図4に示す場合)することができ、覆い焼き特性に応じた好適な階調変換を行うことが可能となる。
また、階調変換特性算出部32によって、主被写体輝度の階調変換入力値I0を、主被写体の所要の明るさが得られる出力レベルである適正階調変換出力値I0’に変換し得る階調変換特性310(320)が決定されるので、階調変換によって主被写体画像が暗くなることが防止され、より好適な階調変換を行うことが可能となる。
さらに、第2の実施形態に係る撮像装置(デジタルカメラ1)は、画像入力部2(又は撮像センサ22)(画像取得手段)によって画像が取得され、覆い焼き処理部61(覆い焼き処理手段)によって画像に対する覆い焼き処理が行われ、覆い焼きパラメータ算出部31(覆い焼きパラメータ設定手段)によって覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータが設定され、シャープネス補正部63(シャープネス補正手段)によって画像に対するシャープネス補正処理が行われ、シャープネスパラメータ算出部33(シャープネス補正量設定手段)によってシャープネス補正処理に関するシャープネス補正量Shが設定される。そして、シャープネスパラメータ算出部33によって、覆い焼きパラメータ算出部31に設定された覆い焼きパラメータに基づいてシャープネス補正量Shが決定され、シャープネス補正部63によって、シャープネスパラメータ算出部33により決定されたシャープネス補正量Shに基づいてシャープネス補正処理が行われる。
これによれば、覆い焼きパラメータに基づいてシャープネス補正量Shが決定され、当該決定されたシャープネス補正量Shに基づいてシャープネス補正処理が行われる構成であるので、覆い焼き処理によって高周波成分が強調された不自然な画像が発生することなく、覆い焼き特性に応じた好適なシャープネス特性を得ることができる。
また、覆い焼き処理が、画像(基画像I)が分割された複数領域に対して各々局所的に処理を施すことで実現され、覆い焼きパラメータが、局所的処理の対象となる各領域のサイズ(領域サイズ)とされる。これによれば、画像の局所処理における領域サイズが覆い焼きパラメータとして扱われるので、画像に対してフィルタ処理する際のフィルタサイズや、画像を領域分割する際の分割ブロックサイズ等の種々のパラメータを覆い焼きパラメータとして用いることが可能となり、これらパラメータが反映された覆い焼きパラメータに応じて好適なシャープネス特性を得ることが可能となる。
また、覆い焼きパラメータが、画像から照明成分Lを抽出するフィルタ(エッジ維持フィルタ)のサイズ(フィルタサイズSf)とされ、シャープネスパラメータ算出部33によって、シャープネス補正量ShがこのフィルタサイズSfに基づいて決定される((5)式参照)。これによれば、シャープネス補正量がフィルタサイズSfに基づいて決定されるので、覆い焼き特性に応じたシャープネス補正処理に際しての、覆い焼きパラメータのシャープネス補正量への反映を容易に行うことができる。
また、覆い焼き処理が、画像(基画像I)が分割された複数領域に対して各々局所的コントラスト補正を施すことで実現され、覆い焼きパラメータが、局所的コントラスト補正の対象となる各領域のサイズ(領域サイズ)とされる。これによれば、画像の局所的コントラスト補正処理における領域サイズが覆い焼きパラメータとして扱われるので、このコントラスト補正処理が反映された覆い焼きパラメータに応じて好適なシャープネス特性を得ることが可能となる。
また、シャープネスパラメータ算出部33によって、局所的処理の対象となる各領域のサイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じて、シャープネス補正部63のエッジ抽出周波数特性が変化される。これによれば、領域サイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じて、シャープネス補正部63におけるエッジ抽出周波数特性が変化される(当該シャープネス補正量に応じたエッジ抽出周波数特性が用いられる)ので、覆い焼き特性に応じたより適正な、エッジ抽出に基づくシャープネス補正を行うことができる。
また、シャープネスパラメータ算出部33によって、局所的処理の対象となる各領域のサイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じてシャープネス補正部63のエッジ強調量が変化(変更)される。これによれば、領域サイズに基づき決定されたシャープネス補正量に応じて、シャープネス補正部63におけるエッジ強調量が変化される(当該シャープネス補正量に応じたエッジ強調量が用いられる)ので、覆い焼き特性に応じたより適正な、エッジ強調に基づくシャープネス補正を行うことができる。
さらに、画像取得手段が、入射光量に対して電気信号が線形的に変換されて出力される線形特性と、入射光量に対して電気信号が対数的に変換されて出力される対数特性とからなる光電変換特性を有する撮像センサ22(リニアログセンサ)とされる。これによれば、撮像センサ22による撮影によって広DR画像を容易に得ることができ、覆い焼きパラメータに基づいた階調変換処理において、当該広DR画像から、主被写体(低輝度部)の明るさやコントラストが確保され且つ高輝度部が好適に調整された画像を容易に得ることが可能となる。
なお、上記実施形態1における、覆い焼きパラメータに基づいて階調変換特性を決定して当該決定した階調変換特性に基づいて階調変換処理を行うといった構成、及び実施形態2における、覆い焼きパラメータに基づいてシャープネス補正量を決定して当該決定したシャープネス補正量に基づいてシャープネス補正処理を行うといった構成は、それぞれ以下の画像処理方法或いは画像処理プログラムにより実現させるものであると言うことができる。
すなわち、画像データに対して覆い焼き処理を行う覆い焼き処理段階と、前記覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータを設定する覆い焼きパラメータ設定段階と、前記設定された覆い焼きパラメータに基づいて階調変換特性を決定する階調変換特性決定段階と、前記決定された階調変換特性に基づいて階調変換処理を行う階調変換処理段階とを有することを特徴とする画像処理方法。
画像データに対する覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータを設定する第1の手順と、該第1の手順で設定された覆い焼きパラメータに基づいて階調変換特性を決定する第2の手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
このような画像処理方法或いは画像処理プログラムを用いることで、覆い焼きパラメータに基づいて階調変換特性が決定され、当該決定された階調変換特性に基づいて階調変換処理が行われるので、階調変換によって高輝度部のコントラスト低下を招くといったことなく、覆い焼き特性に応じた好適な階調特性を得ることができる。
また、すなわち、画像データに対して覆い焼き処理を行う覆い焼き処理段階と、前記覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータを設定する覆い焼きパラメータ設定段階と、前記設定された覆い焼きパラメータに基づいてシャープネス補正量を決定するシャープネス補正量決定段階と、前記決定されたシャープネス補正量に基づいてシャープネス補正処理を行うシャープネス補正処理段階とを有することを特徴とする画像処理方法。
画像データに対する覆い焼き処理に関する覆い焼きパラメータを設定する第1の手順と、該第1の手順で設定された覆い焼きパラメータに基づいてシャープネス補正量を決定する第2の手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
このような画像処理方法或いは画像処理プログラムを用いることで、覆い焼きパラメータに基づいてシャープネス補正量が決定され、当該決定されたシャープネス補正量に基づいてシャープネス補正処理が行われるので、覆い焼き処理によって高周波成分が強調された不自然な画像が発生することなく、覆い焼き特性に応じた好適なシャープネス特性を得ることができる。
なお、本発明は、以下の変形態様をとることができる。
(A)上記実施形態1、2においては、覆い焼きパラメータに応じた階調変換処理やシャープネス補正処理を、デジタルカメラ1内(制御部3及び覆い焼き処理部61)で行う構成としているが、これに限らず、デジタルカメラ1外の所定の処理部において実行する構成としてもよい。具体的には、例えばUSB等を用いてデジタルカメラ1と直接接続(有線)又は無線LAN等によるネットワーク接続がなされた、或いはメモリカードといったストレージメディア等を用いて情報伝達可能に構成されたユーザーインターフェイスを備える所定のホスト(例えばPC(Personal Computer)やPDA(Personal Digital Assistant)等のコンピュータ内蔵機器)において当該処理をホスト内のコンピュータに実行させる構成としてもよい。
(B)上記実施形態2では、シャープネス補正において、照明成分抽出用フィルタのフィルタサイズSf(領域サイズ)に応じて、シャープネス補正量Shを修正することでシャープネスパラメータを算出するようにしているが、これに限らず、例えば、フィルタサイズSf(領域サイズ)に応じて、コアリング処理により得られる画像に対する輪郭強調量(エッジ強調量)を変化させるようにしてもよい。具体的には、シャープネス補正部63に、例えば図11に示すようなフィルタ処理部641、加算部642、コアリング処理部643、輪郭強調量設定部644、乗算部645及び加算部646等を有する輪郭強調処理部64を備え、コアリング処理部643によるコアリング結果(後述のエッジ画像654)に対し、輪郭強調量設定部644においてフィルタサイズSfに応じて設定したゲイン(輪郭強調量)を乗算部645によって乗算することで輪郭強調を行う構成とする。ただし、ここでは、輪郭強調量はフィルタサイズSfに比例させた値に設定するものとする。
なお、上記フィルタ処理部641は、例えば入力画像651(元画像)に対し、M×Nすなわち例えばサイズ5×5の対称型フィルタを用いた2次元LPF(ローパスフィルタ)処理を行い、低周波成分であるLPF画像652を出力する。加算部642は、入力画像651とLPF画像652との差分計算を行い、エッジ成分とノイズ成分とが混在した高周波成分(差分画像653)を抽出する。コアリング処理部643は、差分画像653に対してコアリング係数(画像信号のノイズ成分のみを除去してエッジ成分を抽出する係数)を用いてコアリング処理つまりノイズ成分の除去を行い、エッジ画像654を出力する。輪郭強調量設定部644は、覆い焼きパラメータ算出部31によって算出されたフィルタサイズSfに応じて輪郭強調量を設定する。乗算部645は、輪郭強調量設定部644に設定された輪郭強調量(ここでは約6倍の強調量としている)をエッジ画像654に乗算することで、エッジ強調画像655を出力する。加算部646は、このエッジ強調画像655とフィルタ処理部641からのLPF画像652とを乗算(合成)し、出力画像656を出力する。このように輪郭強調処理部64によって、入力画像651がノイズ除去されて且つエッジ強調された出力画像656が得られる。