JP4706119B2 - キャンド・リニアモータ電機子およびキャンド・リニアモータ - Google Patents

キャンド・リニアモータ電機子およびキャンド・リニアモータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリーンルーム内で使用される半導体製造装置のリニアステージ等を高精度・微細送りで駆動するリニアモータの電機子に関するもので、特にそのキャン板構造に特徴を有するキャンド・リニアモータ電機子およびそのキャンド・リニアモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造装置に用いられると共に、低温度上昇と一定速送り精度が要求されるキャンド・リニアモータとしては、例えば、特開2000−4572号公報に開示されているようなガラス布をエポキシ樹脂で固めて構成したキャン板構造を有するリニアモータが知られている。
図5はその従来技術を示すキャンド・リニアモータの電機子の正断面図である。
図5において、51は可動子、52はヨーク、53は永久磁石、54は固定子、55はキャン板、56は多相の電機子巻線、57は冷媒通路、58は固定ネジ、59は固定ベースである。このキャンド・リニアモータは、固定子54側に電機子巻線56を配設し、可動子51側にヨーク52および永久磁石53を配したいわゆる可動磁石型のロングストロークタイプのものである。固定子54側には、第1および第2のキャン板55,55が固定ネジ58で互いに結合された状態で固定ベース59に固定配設されている。キャン板55,55は、合成樹脂をシート状の部材に含浸させて積層し押圧して形成された積層材によって形成された板状部材である。積層材としてエポキシ樹脂を含浸させたガラス布を積層させてプレス成形した積層材を用いている。この積層材は、まず紙や太糸布、細糸布、ガラス布などのシート状部材にフェノール樹脂やエポキシ樹脂、シリコン、メラミン樹脂、ポリエステル等の合成樹脂を含浸させる。そして、このシート状部材を多数重ねて積層し、これを多段積層プレス機等により押圧し板状にして形成される。キャン板55,55の対向面(内面側)に設けられた巻線収容溝に電機子巻線56が設けられ、また、冷媒を流通させるための冷媒通路57が設けられて、電機子巻線56の周囲にまんべんなく冷媒がまわり、電機子巻線56から発生した熱を効率よく吸収するようにしている。
一方、可動子51の形状は、想像線で示すように、固定子54の電機子部を挟み込むようにして凹字形を成している。可動子51は、固定子54のキャン板55、55の両外側に磁気的空隙を介して配置された永久磁石53,53と、永久磁石53,53の作る磁束を通すための磁性体で作られた界磁ヨーク52により構成されている。また、永久磁石53は、可動子51の移動方向(紙面と垂直方向)に沿って極ピッチごとに交互に極性が異なるように複数配置されている。
このように構成されたキャンド・リニアモータは、可動子51と固定子54の電気的相対位置に応じた所定の電流を電機子巻線56に流すことにより、可動子51となる永久磁石53の作る磁界と作用して可動子51に推力が発生する。この際、銅損によって発熱した電機子巻線56を冷媒により冷却し、固定子54の表面の温度上昇を低く抑えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来技術のリニアモータでは、図6に示すように樹脂より成るキャン板55の表面が滑らかでなくて細かな凹部があるため、その凹部に直接もしくは溜まった水分を介して0.1μm程度のパーティクルが付着したりすることがあることが判った。
そのため、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動として用いるとき、キャン板表面が露光用光源からのUV(紫外線)により曝露されると、付着力が弱まりキャン板表面からパーティクルが離散し、クリーン度の低下を招くことも判明した。
また、キャン板表面が光源に曝露されると、図7に示す樹脂を組成するCとH、および気中のO2がUVにより励起されCH4、C26、CO2もしくはH2O等となり気中に拡散し、ケミカルクリーン度の低下を招く。ケミカルクリーン度が低下、すなわちCH4、C26、CO2もしくはH2O等が存在すると、シリコンウエハにこれらCH4等が付着し、シリコンチップの製造歩留まりが悪化していた。
以上のように、上述した従来のリニアモータでは露光用光源のUVにより曝露されると、キャン板表面から発塵および発ガスが生じるという問題があった。
また、キャン板内に流す冷媒の種類によっては、樹脂中に冷媒が浸透・拡散しキャン板表面から冷媒がにじみ出ることがあった。更に、樹脂が冷媒によって次第に侵食され、長期間の使用では最悪の場合、樹脂に穴があき、液漏れを起こすことも起こり得た。
更に、リニアステージに組みつける際に、キャン板表面がステージ等と接触すると樹脂が傷つき、樹脂表面に一層の凹凸ができるため、樹脂の露出表面積が増え、前記発塵および発ガスが増加するという問題があった。
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、露光用の光源に曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスが少なく、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されて液漏れすることがなく、更にリニアステージに組みつける際に、キャン板表面がステージ等と接触して樹脂が傷つき露光表面積が増えることによる発塵および発ガス発生の抑制が可能なキャン板構造を持つキャンド・モータ電機子およびキャンド・リニアモータを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1記載のキャンド・リニアモータ電機子の発明は、芯金と、前記芯金の長手方向に沿って固定される電機子巻線と、前記芯金を額縁状に囲むように設けた梁と、前記梁の両開口部を密封するキャン板と、前記電機子巻線の周囲に冷媒を流すことができるように前記梁と前記キャン板とで構成される密閉空間内に形成される冷媒通路とを具備してなるキャンド・リニアモータ電機子において、前記キャン板を樹脂板材で構成し、かつ前記樹脂板材の少なくとも外面または内面にコーティングカバーを備えたことを特徴とする。
請求項1記載の構成により、キャン板を構成する樹脂板材の少なくとも外面または内面はコーティングカバーにより覆われることになるので、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用の光源に曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスを少なくし、発塵・発ガスの問題を低減することができ、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されても液漏れを低減することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のキャンド・リニアモータ電機子において、前記コーティングカバーが金属の膜、箔または板であることを特徴とする。
請求項2記載の構成により、前記コーティングカバーを金属の膜、箔または板で構成するため、キャン板を構成する樹脂板材の少なくとも外面または内面は金属の膜、箔または板により覆われることになり、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用の光源に曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスを少なくし、ケミカルクリーンの問題を低減することができ、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食され液漏れを低減することができると共に、機械的衝撃に対しても強固にすることができる。
そのため、リニアステージに組みつける際に、キャン板表面がステージ等と接触することにより生じるキャン板表面の凸凹が生じることによる露出面積の増加を押えることができ、発塵または発ガスの増加を抑制できる。
【0005】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のキャンド・リニアモータ電機子において、前記金属の膜をメッキにより構成したことを特徴とする。
請求項3記載の構成により、請求項2記載のコーティングカバーとして金属のメッキ膜を用いるため、キャン板を構成する樹脂板材の少なくとも外面または内面は機械的衝撃に対しても強固なメッキにより覆われることになり、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用の光源に曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスの問題を低減することができ、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されても液漏れを低減することができると共に、ステンレスはヤング率が高く皺になり難いために接着作業が容易に行え、大掛かりな設備が不要であるので、少量の台数を安価に製作することができる。
請求項4記載の発明は、請求項2記載のキャンド・リニアモータ電機子において、前記金属の箔または板をステンレスで構成したことを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載のキャンド・リニアモータ電機子において、前記ステンレスの箔または板を前記キャン板に接着により取り付けたことを特徴とする。
請求項4および5記載の構成により、請求項2記載のコーティングカバーとしてステンレスよりなる箔または板を用い、これをキャン板に接着するため、キャン板を構成する樹脂板材の少なくとも外面または内面は機械的衝撃に対しても強固なステンレスにより覆われることになり、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用の光源に曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスの問題を低減することができ、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されても液漏れを低減することができると共に、ステンレスはヤング率が高く皺になり難いために接着作業が容易に行え、大掛かりな設備が不要であるので、少量の台数を安価に製作することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載のキャンド・リニアモータ電機子において、前記樹脂板材をガラス繊維又はカーボン繊維を充填した樹脂で構成したことを特徴とする。
請求項6記載の構成により、冷媒の圧力による可動子に対向する空隙へのキャン板変形を抑えることができるのでキャン板の弾性疲労がなくなり液漏れを低減することができると共に、、冷媒流量の増加が図れ、温度上昇を低減することができる。
【0006】
請求項7記載のキャンド・リニアモータの発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の電機子と、前記電機子と磁気的空隙を介して対向配置されると共に交互に極性が異なる複数の永久磁石を隣り合わせに並べて配置した界磁ヨークとを備え、前記前記電機子と前記界磁ヨークの何れか一方を固定子に、他方を可動子として、前記界磁ヨークと前記電機子を相対的に走行するようにしたことを特徴とする。
請求項7記載の構成により、前記請求項1から4記載のキャン板構造の電機子は、キャン板を構成する樹脂板材の少なくとも外面または内面はコーティングカバーにより覆われることになり、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用の光源に曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスの問題を低減することができ、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されても液漏れを低減することができる。さらに、このようなキャンド・リニアモータにおいて、電機子巻線を有する電気装苛手段を固定子とし、永久磁石により構成される磁気装荷手段を移動子とすると、該固定子を覆うキャン板は直接気中に露出するために、発塵・発ガスの問題を低減する効果は一層大きい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例を図1〜図3を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示すキャンド・リニアモータ(磁束貫通形)の全体斜視図である。図において、10は固定子、11は固定子ベース、12はキャン板、13はヘッダ、14は冷媒供給口、15は冷媒排出口、20は可動子、21は可動子ベース、22は界磁ヨーク、23は永久磁石である。
固定子10は、2枚のキャン板12と、この2枚のキャン板12を上部と下部とで互いに結合する梁19と、2枚のキャン板12と梁19とから成る空間を長さ方向の先端と後端で密封しているヘッダ13と、このキャン板12と梁19とヘッダ13とから成る閉じた空間内に配置される芯金16と、芯金16の長手方向に沿って固定される3相の電機子巻線17と、キャン板12の中を冷媒が通過する冷媒通路18とにより構成されている。
ヘッダ13はステンレス製鋳物で形成され、キャン板12の両端のうち、一方端に冷媒を通すための冷媒供給口14を持ち、他端に冷媒排出口15を各々持っている。キャン板12および梁19とヘッダ13とは接合面で溶接によって接合されている。また、冷媒を冷媒供給口14より供給して、冷媒排出口15より排出することにより、冷媒は電機子巻線17とキャン板12の間にある冷媒通路18を流れる。
一方、可動子20の形状は、固定子10の電機子部を挟み込むようにして逆凹字形を成している。可動子20は、固定子10のキャン板12の両側に磁気的空隙を介して配置された永久磁石23、永久磁石23の作る磁束を通すための磁性体で作られた界磁ヨーク22、それらを支持する可動子ベース21により構成されている。また、永久磁石23は、可動子の移動方向(図の矢印方向)に沿って、極ピッチごとに交互に極性が異なるように複数配置されている。
可動子20は、図示しないリニアガイド等によって固定子10に対して支持されている。
このように構成されたキャンド・リニアモータは、可動子20と固定子10の電気的相対位置に応じた所定の電流を電機子巻線17に流すことにより、可動子20となる永久磁石23の作る磁界と作用して可動子20に推力が発生し、可動子20は矢印で示す進行方向に移動する。その際、銅損によって発熱した電機子巻線17を冷媒により冷却することによって、固定子10の表面の温度上昇を低く抑えている。
【0008】
図2は図1のA−A線に沿うキャンド・リニアモータの正断面図である。
図2において、10は固定子、12はキャン板、16は芯金、17は電機子巻線、18は冷媒通路、19は梁である。
キャン板12は、基材として樹脂板材122を用い、樹脂板材122としてはガラス布をエポキシ樹脂で固めた板状のGFRP、もしくは、カーボン繊維をエポキシ樹脂で固めた板状のCFRPを用いることができる。これらは流通性が良く比較的安価に入手できるものである。
芯金16はそれ自身の強度を要求されるため、ステンレスが使われている。
電機子巻線17は、例えば複数の集中巻コイルを3相分用意したもので構成され、芯金16の左右両側に貼り付けられている。
梁19は固定子10のたわみに対する強度材となっており、本実施例の場合には、ステンレス材の機械加工、もしくはアルミ材の機械加工もしくはダイカスト成形により構成でき、本実施例では、アルミ材の機械加工により構成した。
このように、芯金16には長手方向に沿って両面を挟むように電機子巻線17が貼り付けられ、芯金16は上下の梁19間に固定されている。また、梁19には、電機子巻線17の表面と所望の隙間を保ちながらこれらの電機子巻線17を覆うようにキャン板12を取りつけている。そして、電機子巻線17とキャン板12の隙間には、電機子巻線17を冷却するための冷媒が流れるようになっており、そのため梁19とキャン板12とは図示していないOリング等を用いて密閉するように固定した。冷媒は、近年オゾン層破壊の問題から、フロリナートに代わりHFE−7200等が用いられるようになってきており、樹脂の溶解性は無視できない。本発明の実施例では、冷媒にHFE−7200を用いた。
そして、121が本発明により設けられるコーティングカバー(後述)で、キャン板12の基材である樹脂板材122を覆って、樹脂板材122の表面から塵やガスの離反を低減している。
【0009】
図3は図2のキャン板12の構成を説明する拡大正断面図である。
図3において、10は固定子、12はキャン板、121は本発明により設けられたコーティングカバー、122はキャン板材(樹脂板材)、19は梁である。
図3に示すように、キャン板12は、永久磁石3(図2)と対向する樹脂板材122の外面および電機子巻線17(図2)と対向する内面に、樹脂板材122を覆うコーティングカバー121を設けるように構成した。
以上のようなキャン板の構造によれば、キャン板材12を構成する樹脂板材122の少なくとも外面または内面にコーティングカバー121を備えたことにより、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用光源のUVに曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスを少なくし、ケミカルクリーンの問題を低減することができ、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されても液漏れを低減することができる。
表1に、コーティングカバーの有無によるパーティクル数を表面にUVを照射してカウントした結果を示す。
【0010】
【表1】
Figure 0004706119
本実施例では樹脂板材に板状のCFRPを用い、コーティングカバー121は下記の第2の実施例に示すニッケルメッキにより構成した。
表1に示すように、コーティングカバーなしの場合だとパーティクルの発生がクラス15であったものが、コーティングカバー121を設けるとクラス3と激減した。このように、コーティングカバー121を付けることにより、樹脂板材55の表面の凹凸が少なくなるのでその凹部に直接もしくは水分を介してパーティクルが樹脂板材55の表面に付きにくくなるため、発塵は激減した。すなわち、コーティングカバーがあるリニアモータは、光源に曝露されても殆ど発塵しないことが確認できた。
また、本発明のようにコーティングカバーを用いると、仮に冷媒によって樹脂が侵食され、樹脂に穴が開いてもコーティングカバーで防止できる。
更に樹脂の侵食は、樹脂とコーティングカバーの間を毛細管現象を伴って徐々に進行するため、急激かつ突然の大量の液漏れは防止できる。
【0011】
次に、本発明のコーティングカバーの具体例について説明する。
図4は、コーティングカバーの具体例を表すキャン板の拡大正断面図で、図4(A)はコーティングカバーの一具体例、図4(B)は別の具体例を示している。
まず、図4(A)において、10は固定子、12はキャン板、121aは本実施例による金属の膜、122はキャン板材(樹脂板材)、19は梁である。キャン板材122および梁19は図3で示したものと同じであり、キャン板121は図示していないOリング等を用いて密閉するよう固定した。図3で示した樹脂板材122の外面および内面のコーティングカバー121として、金属の膜121aが形成されている。そして、この金属の膜121aはメッキにより設ける構成としている。本実施例ではニッケルメッキで行ったが、その他、亜鉛メッキ、銅メッキまたはアルミメッキにより行っても良く、その厚さは3〜20μm程度が良い。
以上のキャン板構造によれば、キャン板材12を構成する樹脂板材122の少なくとも外面または内面にメッキで構成された金属の膜121aによるコーティングカバーを備えたことにより、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用光源のUVに曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスの問題を低減することができ、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されても液漏れを低減することができると共に、樹脂より成るキャン板をメッキにより構成した金属で覆うために機械的衝撃に対しても強固にすることができる。そのため、リニアステージに組みつける際に、キャン板表面がステージ等と接触することにより生じるキャン板表面の凸凹が生じることによる露出面積の増加を押えることができ、発塵または発ガスの増加を抑制できる。また、コーティングカバーをメッキにより構成するため、コーティングカバーを樹脂板材の表面に設ける作業が大幅に簡素化でき、大量の台数を安価に製作することができる。
【0012】
次に、図4(B)について説明する。
図4(B)において、10は固定子、12はキャン板、121bは本実施例による金属の箔、122はキャン板材(樹脂板材)、19は梁である。
キャン板材122および梁19は図3で示したものと同じであり、キャン板121は図示していないOリング等を用いて密閉するよう固定した。図3で示した樹脂板材122の外面および内面のコーティングカバー121として、金属の箔121bが形成されている。本実施例では金属の箔121bを、厚さ5〜20μm程度のステンレスにより構成し、これを接着によってキャン板材122に貼り付けた。
以上のキャン板構造によれば、キャン板材12を構成する樹脂板材122の少なくとも外面または内面に機械的衝撃に対しても強固なステンレスよりなるコーティングカバー121bを備えたことにより、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用光源のUVに曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスを少なくし、ケミカルクリーンの問題を低減することができ、また、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されても液漏れ低減することができると共に、ステンレスよりなる箔は、ヤング率が高く皺になり難いため、金属箔としてステンレスを用いることは接着作業が容易に行え、少量の台数を製作する際は大掛かりな設備が不要という利点を有する。
なお、本実施例ではコーティングカバーとして金属の箔を用いているが、他に金属の板でもかまわない。
金属の箔を用いたコーティングカバーの有無によるパーティクル数を表面にUVを照射して、カウントした結果、表1と同じような結果が得られた。すなわち、コーティングカバーなしの場合だとパーティクルの発生がクラス15であったものが、金属の箔を用いたコーティングカバー121を設けるとクラス3にまで激減した。
なお、以上の実施例では、固定子に電機子巻線、可動子に界磁とした永久磁石を持つ構造で説明したが、可動子に電機子巻線を、固定子に永久磁石を持つ逆の構造としても良い。
【0013】
【発明の効果】
以上説明した本発明の実施例におけるキャン板構造のキャンド・リニアモータ電機子により、以下のような効果がある。
▲1▼ コーティングカバーを備えたことにより、クリーンルーム内で半導体露光装置のリニアステージ駆動用として用いるとき、キャン板表面が露光用の光源に曝露されても、キャン板表面からの発塵および発ガスの問題を低減することができる。
▲2▼ また、コーティングカバーを備えたことにより、キャン板内に流す冷媒によりキャン板の樹脂が侵食されても液漏れを低減することができる。
▲3▼ コーティングカバーを金属の膜・箔・板で構成するため、上記▲1▼、▲2▼の他に、機械的衝撃に対しても強固にすることができる。そのため、リニアステージに組みつける際に、キャン板表面がステージ等と接触することにより生じるキャン板表面の凸凹が生じることによる露出面積の増加を押えることができ、発塵または発ガスの増加を抑制できる。
▲4▼ 金属の膜・箔・板よりなるコーティングカバーをメッキにより構成するため、上記▲1▼、▲2▼、▲3▼の他に、大量の台数を安価に製作することができる。
▲5▼ コーティングカバーとしてステンレスの箔・板を樹脂板材に接着しているため、ステンレスはヤング率が高く皺になり難いことから、接着作業が容易に行え、大掛かりな設備が不要であるので、少量の台数を安価に製作することができる。
▲6▼ キャンド・リニアモータにおいて、電機子巻線を有する電気装苛手段を固定子とし、永久磁石により構成される磁気装荷手段を移動子とすると、固定子を覆うキャン板は直接気中に露出するために、ケミカルクリーンの問題を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すキャンド・リニアモータの全体斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿うキャンド・リニアモータの正断面図である。
【図3】図2のキャン板12の構成を説明する拡大正断面図である。
【図4】本発明のコーティングカバーの具体的実施例を表すキャン板の拡大正断面図で、(A)はコーティングカバーの一具体例、(B)は別の具体例を示している。
【図5】従来のキャン板の構成を示す構成説明図である。
【図6】樹脂表面と発塵の説明図である。
【図7】樹脂組成と発ガスの説明図である。
【符号の説明】
10 固定子
11 固定子ベース
12 キャン板
121 コーティングカバー
121a 金属膜
121b 金属箔
122 キャン板材(樹脂板材)
13 ヘッダ
14 冷媒供給口
15 冷媒排出口
16 芯金
17 電機子巻線
18 冷媒通路
19 梁
20 可動子
21 可動子ベース
22 界磁ヨーク
23 永久磁石

Claims (7)

  1. 芯金と、前記芯金の長手方向に沿って固定される電機子巻線と、前記芯金を額縁状に囲むように設けた梁と、前記梁の両開口部を密封するキャン板と、前記電機子巻線の周囲に冷媒を流すことができるように前記梁と前記キャン板とで構成される密閉空間内に形成される冷媒通路とを具備してなるキャンド・リニアモータ電機子において、
    前記キャン板は樹脂板材で構成し、かつ前記樹脂板材の少なくとも外面または内面にコーティングカバーを備えたことを特徴とするキャンド・リニアモータ電機子。
  2. 前記コーティングカバーが金属の膜、箔または板であることを特徴とする請求項1記載のキャンド・リニアモータ電機子。
  3. 前記金属の膜をメッキにより構成したことを特徴とする請求項2記載のキャンド・リニアモータ電機子。
  4. 前記金属の箔または板がステンレスで構成したことを特徴とする請求項2記載のキャンド・リニアモータ電機子。
  5. 前記ステンレスの箔または板を前記キャン板に接着により取り付けたことを特徴とする請求項4記載のキャンド・リニアモータ電機子。
  6. 前記樹脂板材がガラス繊維又はカーボン繊維を充填した樹脂で構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のキャンド・リニアモータ電機子。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の電機子と、前記電機子と磁気的空隙を介して対向配置されると共に交互に極性が異なる複数の永久磁石を隣り合わせに並べて配置した界磁ヨークとを備え、前記前記電機子と前記界磁ヨークの何れか一方を固定子に、他方を可動子として、前記界磁ヨークと前記電機子を相対的に走行するようにしたことを特徴とするキャンド・リニアモータ。
JP2001122973A 2001-04-09 2001-04-20 キャンド・リニアモータ電機子およびキャンド・リニアモータ Expired - Fee Related JP4706119B2 (ja)

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