以下、本発明の第1の実施形態であるマシニングセンタ1について、図面に基づいて説明する。図1は、マシニングセンタ1の右後方から見た斜視図であり、図2は、マシニングセンタ1の正面図であり、図3は、マシニングセンタ1の平面図であり、図4は、図3に示すA−A線矢視方向断面図であり、図5は、図1に示す継ぎ手40周辺の部分拡大図であり、図6は、図1に示す継ぎ手62周辺の部分拡大図であり、図7は、マシニングセンタ1の右側面図(間座90を配置していない状態:主ホース48,68は省略)であり、図8は、マシニングセンタ1の右側面図(間座90を配置した状態:主ホース48,68は省略)であり、図9は、変形例1であるマシニングセンタにおけるコラム5の貫通穴250周辺の部分拡大図であり、図10は、変形例2であるマシニングセンタにおけるコラム5の貫通穴350周辺の部分拡大図である。
また、以下の説明において、マシニングセンタ1におけるX軸方向とは、マシニングセンタ1の左右方向を指し、Y軸方向とは、マシニングセンタ1の前後方向を指し、Z軸方向とは、マシニングセンタ1の上下方向を指すものとする。さらに、図2の紙面手前側をマシニングセンタ1の前方とし、紙面奥行き側をマシニングセンタ1の後方とし、図3の左側をマシニングセンタ1の前方とし、右側をマシニングセンタ1の後方とし、上側をマシニングセンタ1の左方とし、下側をマシニングセンタ1の右方とする。
なお、本実施形態のマシニングセンタ1では、図1に示すように、スプラッシュカバー3の右背壁3g及び左背壁3hの外側面に、スプラッシュカバー3内のクーラントノズル28,29(図4参照)にクーラントを供給するための継ぎ手40,49(図4参照)が溶接して直接取り付けられている。そして、右背壁3gに取り付けられた継ぎ手40に、クーラントが供給される主ホース48が接続された分岐管41を接続し、当該分岐管41から分岐する分岐ホース50を、コラム5の貫通穴25(又は貫通穴26、又は貫通穴27)に挿通させ、スプラッシュカバー3の左背壁3hに溶接された継ぎ手49(図4参照)に接続している点に特徴を有するものである。
はじめに、マシニングセンタ1の概略構成について説明する。図1,図2に示すマシニングセンタ1は、図示外のワーク(図示外)と工具とを相対移動させて、ワークに所望の機械加工(例えば、「中ぐり」、「フライス削り」、「穴空け」、「切削」等)を施す工作機械である。このマシニングセンタ1は、ワークを加工する機械本体と、該機械本体の基台となる鉄製のベース2と、該ベース2の上部に固定され、機械本体であるコラム5の一部、主軸ヘッド32、主軸32b及び工具交換装置34(図3,図4参照)等を囲繞して保護するボックス型のスプラッシュカバー3とを主体に構成されている。
そして、スプラッシュカバー3の後方には、図1に示すように、このマシニングセンタ1の動作を制御するための制御装置15が配置されている。さらに、ベース2の後方には、クーラントを貯留するための箱状のクーラントタンク20が設置され、そのクーラントタンク20の右側部(図1の紙面手前側)には、タンク内のクーラントを引き上げて、主ホース48,68に供給するためのクーラントポンプ22,23が設けられている。なお、図1に示すクーラントタンク20が、「貯留タンク」に相当し、クーラントポンプ22が、「ポンプ」に相当する。
まず、ベース2について説明する。図1,図2に示すように、ベース2は、マシニングセンタ1のY軸方向に対して平行に延設され、その下部の四隅には、高さ調節が可能な脚部2aが各々設けられている。そして、これら4本の脚部2aが、工場などの床面に設置されることにより、マシニングセンタ1が所定場所に設置される。また、ベース2の上部後方側の両隅部近傍には、柱状のコラム5が載置されるための台座となる一対のコラム座部11(図1では、1個のコラム座部11のみ図示)が各々設けられている。さらに、このコラム座部11の上面と、コラム5の下部との間には、ブロック状の間座90(図8参照)が配置されるようになっている。これにより、コラム5の高さを調節することができる。なお、このようなベース2の芯部は、軽量化、高強度化及び低コスト化のため、所謂、肉抜き成形(リブによる骨組構造)されている。
次に、機械本体について説明する。図1,図3及び図4に示すように、機械本体は、前記ベース2の一対のコラム座部11の上面に載置して固定され、Z軸方向に延設された柱状のコラム5と、該コラム5の前面側に沿って昇降可能に設けられた主軸ヘッド32と、該主軸ヘッド32の下部に回転可能に支持された主軸32bと、該主軸32bに装着された工具(図示外)を自動的に交換する工具交換装置34と、ベース2の上部にXY方向に移動可能に設けられたXYテーブル35とを主体に構成されている。
まず、コラム5について説明する。コラム5は、図1に示すように、Z軸方向に延設された柱状に形成され、ベース2の一対のコラム座部11の上面に載置して固定されている。そして、このコラム5の前面側の幅方向中央には、コラム5の後方に向かって凹んだ機構収納部(図示外)がZ軸方向に沿って設けられ、該機構収納部の内側には、主軸ヘッド32を昇降可能に保持する昇降機構が収容されている。さらに、図4に示すように、コラム5の前面側の幅方向両端部には、主軸ヘッド32をZ軸方向にガイドするための一対のガイドレール部31,31が各々設けられている。そして、この一対のガイドレール部31,31にガイドされる主軸ヘッド32の下部には、一枚の金属板であるZ軸カバー33が固定され、該Z軸カバー33は、主軸ヘッド32と一体に昇降移動する。これにより、一対のガイドレール部31,31の間に露出する機構収納部が、Z軸カバー33によって常時覆い隠されるので、機構収納部内に切粉が侵入しないようになっている。
また、主軸ヘッド32の上部には、ケーブルベア(登録商標)17が設けられ、該ケーブルベア17によって、昇降する主軸ヘッド32の配線処理を可能としている。また、コラム5の上部背面側には、コラム5の上部から後方に向かって斜め下方に傾斜する切り欠き部55が設けられている。そして、この切り欠き部55の縁上に、後述する分岐ホース70が配索されるようになっている。
さらに、図1に示すように、このコラム5には、自身の左右両壁を略水平に貫通する貫通穴25,26,27が、コラムの略中段から下方に向かって所定の間隔を空けて各々列設されている。これら3つの貫通穴25,26,27は、後述する分岐ホース50を、コラム5の右側から左側に向かって挿通させるための穴である。また、これら貫通穴25,26,27の径は、分岐ホース50の径よりも大きく調整されている。これにより、例えば、マシニングセンタ1の運搬時において、貫通穴25,26,27の内側で分岐ホース50が振動し、貫通穴25,26,27からズレた場合でも、分岐ホース50が貫通穴25,26,27の内周縁に引っ掛かって損傷したりするのを防止できる。また、貫通穴25,26,27は、コラム5を略水平に貫通しているので、コラム5の右側壁における貫通穴25,26,27の高さ位置と、左側壁における貫通穴25,26,27の高さ位置とは互いに同じである。なお、後述するが、これら3つの貫通穴25,26,27の高さ位置は、後述する間座90によって段階的に高さ位置が変更されるコラム5において、後述する継ぎ手40に相対する各位置に合わせて列設されている。この点については後述する。
次に、工具交換装置34について説明する。工具交換装置34は、図3,図4に示すように、主軸ヘッド32の前方に設けられている。この工具交換装置34は、正面視略円形状の工具マガジン34aと、該工具マガジン34aの周縁に沿って列設され、工具(図示外)を把持するグリップアーム34bと、工具マガジン34aを回転駆動させ、所望の工具を工具交換位置に移動させるマガジンモータ34cとを主体に構成されている。さらに、工具マガジン34aの後部と、コラム5の前側の左右両端部との間には、主軸ヘッド32を介して、一対のアーム状のマガジン支持片39,39が渡設されている。これにより、工具マガジン34aが主軸ヘッド32の前方に支持された状態となっている。
次に、XYテーブル35について説明する。XYテーブル35は、図3,図4に示すように、主軸32bに装着された工具の先端の下方に位置するよう配置されている。このXYテーブル35の下方には移動体38が設けられ、該移動体38の上部には、X軸方向(左右方向)に沿って延設された一対のX軸送りガイド(図示外)が設けられている。これにより、XYテーブル35は、X軸送りガイド上を移動することができる。さらに、移動体38は、ベース2の長手方向に沿って延設された一対のY軸送りガイド上に移動可能に設けられている。これにより、XYテーブル35は、ベース2上に設けられたXモータ(図示外)により、X軸送りガイドに沿ってX軸方向に案内され、同じくベース2上に設けられたYモータ(図示外)により、Y軸送りガイドに沿ってY軸方向に案内される。こうして、XYテーブル35は、サーボモータからなるXモータ(図示外)及びYモータ(図示外)により、X軸方向及びY軸方向に向かって移動制御される。
さらに、X軸送りガイドには、図3,図4に示すように、XYテーブル35を中央に挟んで、テレスコピックカバー36,37が左右両側に設けられている。このテレスコピックカバー36,37は、XYテーブル35のX軸方向への移動に伴ってテレスコピック式に伸縮するものである。なお、図示しないが、Y軸送りガイド上にも、移動体38の移動に伴って伸縮又は移動する各種カバーが設けられている。これにより、XYテーブル35が移動しても、X軸送りガイド及びY軸送りガイドは各種カバーによって覆われて露出されないので、X軸送りガイド上及びY軸送りガイド上に切粉が付着しないようになっている。
次に、スプラッシュカバー3について説明する。図1乃至図3に示すように、スプラッシュカバー3はボックス型に形成され、ベース2の上部に設けられたカバー取付部(図示外)とコラム5の前面側の幅方向両端部に設けられた一対のカバー取付部(図示外)に各々固定されている。このスプラッシュカバー3は、前壁3aと、右側壁3bと、左側壁3cと、天壁3dと、ベース2上部の右側端部から右斜め側方に張り出した右底壁3e(図2参照)と、ベース2上部の左側端部から左斜め側方に張り出した左底壁3f(図2参照)と、コラム5の前面の右側端部から右側方(図1の紙面手前側)に張り出した右背壁3gと、コラム5の前面の左側端部から左側方(図1の紙面奥行き側)に張り出した左背壁3hとから構成されている。なお、図1に示すスプラッシュカバー3が、「カバー」に相当し、右背壁3g及び左背壁3hが、「背壁」に相当する。
そして、図1,図3に示すように、天壁3dの後方側には長方形状の開口部が形成され、該開口部からは工具交換装置34のマガジンモータ34cの上部や、主軸ヘッド32、該主軸ヘッド32の昇降移動に伴って上下移動するケーブルベア17等が上方に突出している。なお、図示しないが、この開口部には、該開口部から上方に突出する前記各種装置を覆い隠すためのカバーが覆設されるため、スプラッシュカバー3の内側から外側に向かってクーラントの飛沫や切粉が飛散しないようになっている。
また、図2に示すように、前壁3aの略中央には、正面視長方形状の開口部(図示外)が設けられ、該開口部には、左右にスライド移動する一枚の開閉扉6が設けられている。そして、この開閉扉6の右端部の中段よりもやや下部分には取っ手部6aが設けられている。よって、この取っ手部6aを掴んで左方向に開閉扉6をスライドさせることによって、前壁3aの開口部が開口され、作業者によるXYテーブル35上に保持されたワークの着脱作業が可能となる。また、この開閉扉6には、網目状のシール部材で保護された矩形状のガラス窓部6b,6cが左右に並列して設けられている。これにより、機械本体によるワークの加工中に、スプラッシュカバー3内部のワークの加工状況が視認できるようになっている。
さらに、図2に示すように、前壁3aの右側には、マシニングセンタ1の操作を行う正面視略長方形状の操作パネル10が設けられている。この操作パネル10の前面には、自動運転キーや、MIDI運転キー、手動運転キー、コード入力キー、始動キー等の各種キーを備えたキーボード8が設けられ、その上部には、設定画面又は実行動作を表示するためのCRTディスプレイ9が設けられている。そして、この操作パネル10の背面にはリード線(図示外)が接続され、該リード線は、スプラッシュカバー3の外側に引き出されるとともに、スプラッシュカバー3の後方に設置された制御装置15に接続されている。
また、図1に示すように、右側壁3bの略中央には、正面視略長方形状の開口部12が設けられ、該開口部12には、蓋状の点検ハッチ13が着脱可能に取り付けられている。そして、この点検ハッチ13に設けられた一対の取っ手13a,13aを掴み、点検ハッチ13を外すことによって開口部12が開放される。そして、その開放された開口部12を介すことによって、機械本体の各種装置やテーブル装置の保守点検等が行われる。なお、図示しないが、左側壁3cにも、一対の取っ手13a(図2では1つのみ図示)を備えた点検ハッチが設けられ、左側壁3cからでも保守点検等の作業が可能である。
また、図2に示すように、右底壁3eは、ベース2上部のY軸方向に沿った右端部から右斜め上方に張り出して延設されている。一方、左底壁3fも、ベース2上部のY軸方向に沿った左端部から左斜め上方に張り出して延設されている。これにより、スプラッシュカバー3の底部は下方に窄んだ形状となっているため、例えば、スプラッシュカバー3の内側に飛散するクーラントの飛沫や切粉が右底壁3e及び左底壁3fの各内側面上に落下すると、各内側面の傾斜方向に沿って流れ、ベース2上に落下するようになっている。なお、ベース2上に流れ落ちたクーラントや切粉は、ベース2上に形成された排出流路に沿って外部に排出されるようになっている。
さらに、図1,図3及び図4に示すように、右背壁3g及び左背壁3hは縦長の長方形状に形成されている。そして、右背壁3gは、コラム5の前側の右側端部のカバー取付部(図示外)に取り付けられ、コラム5の右側方に向かって張り出して延設されている。一方、左背壁3hも同様に、コラム5の前側の左側端部のカバー取付部(図示外)に取り付けられ、コラム5の左側方に向かって張り出して延設されている。
次に、スプラッシュカバー3の内側に設けられたクーラントの吐出機構について説明する。図4に示すように、XYテーブル35の上方であって、コラム5の左右両側にはフレキシブルパイプで構成された一対のクーラントノズル28,29が設けられている。よって、このクーラントノズル28,29の先端を、XYテーブル35の上面に向けた状態で、クーラントノズル28,29にクーラントが供給されると、クーラントノズル28,29の先端から、XYテーブル35の上面に保持されたワークの被加工部分にクーラントが直接吐出され、被加工部分に付着する切粉を洗い落とすことができる。なお、図4に示すクーラントノズル28,29が、「一対のノズル」に相当する。
さらに、図4に示すように、右背壁3gの上部の右側壁3b側には、1つの固定穴83(図6参照)が穿設され、該固定穴83には、右背壁3gの内側面から前壁3a側に向かって略水平に延設されたクーラント配管18aが溶接して固定されている。そして、このクーラント配管18aの下側には、スプラッシュカバー3の内側に向かってクーラントを吐出させるためのチップシャワー19aが、クーラント配管18aの長手方向に沿って複数列設されている。一方、左背壁3hの上部の左側壁3c側にも、1つの固定穴(図示外)が穿設され、該固定穴には、左背壁3hの内側面から前壁3a側に向かって略水平に延設されたクーラント配管18bが溶接して固定されている。そして、このクーラント配管18bの下部にも、チップシャワー19bが、クーラント配管18bの長手方向に沿って複数列設されている。よって、一対のクーラント配管18a,18bにクーラントが供給されることにより、チップシャワー19a,19bからクーラントが勢いよく吐出され、スプラッシュカバー3の内側面に付着する切粉を洗い落とすことができる。
次に、クーラントノズル28,29へのクーラント供給構造について説明する。まず、図4,図5に示すように、右背壁3gにおけるクーラントノズル28の取り付けの高さ位置には固定穴(図示外)が穿設されている。そして、その固定穴には、パイプ状の継ぎ手40が溶接により固定され、その継ぎ手40の出口側に、クーラントノズル28が接続されている。一方、図4に示すように、左背壁3hにおけるクーラントノズル29の取り付けの高さ位置にも固定穴(図示外)が穿設されている。そして、その固定穴には、同じくパイプ状の継ぎ手49が溶接により固定され、その継ぎ手49の出口側に、クーラントノズル29が接続されている。
さらに、図5に示すように、スプラッシュカバー3の外側において、右背壁3gに固定された継ぎ手40の上流側には、T字型の分岐管41の出口41bが接続されている。この分岐管41は、入口41a、出口41b及び分岐出口41cを備え、入口41aから流入するクーラントを出口41bと分岐出口41cとに分流するものである。なお、図5に示す分岐管41が、「分岐部」に相当する。
次いで、分岐管41の入口41aには、クーラントバルブ43の出口43bが接続されている。このクーラントバルブ43は、空気圧を利用してクーラント流路の開閉を行うバルブである。そして、クーラントバルブ43のバルブ本体には、空気を供給するエアアシスト管45と、空気を排出するエア排気管44とが接続されている。なお、エアアシスト管45は、図示外のエアコンプレッサに接続され、該エアコンプレッサの駆動により、クーラントバルブ43には常時一定の空気圧がかけられている。そして、このクーラントバルブ43は、図示外の配線を介して制御装置15に接続され、該制御装置15の制御指令に基き、クーラントバルブ43のクーラント流路の開閉が制御されている。なお、図5に示すクーラントバルブ43が、「バルブ」に相当する。
さらに、クーラントバルブ43の入口43aには、T字型の洗浄ガン用分岐配管46の出口46bが接続されている。この洗浄ガン用分岐配管46は、工具交換装置34の工具マガジン34aの洗浄に使用される洗浄ガン(図示外)に繋がれたホースを接続するための分岐出口46cを備えている。なお、洗浄ガンを使用しない時は、分岐出口46cは栓47で塞がれている。
そして、その洗浄ガン用分岐配管46の入口46aには、主ホース48の下流側一端部が接続されている。そして、図1,図3に示すように、この主ホース48の上流側一端部が、コラム5の下部近傍を配索され、クーラントポンプ22の取付部22aに接続されている。
一方、図5に示すように、分岐管41の分岐出口41cには、分岐ホース50の上流側一端部が接続されている。そして、この分岐ホース50は、コラム5に設けられた3つの貫通穴25,26,27のうち、クーラントノズル28(図4参照)と同じ高さ位置、即ち、継ぎ手40と同じ高さ位置に相当する貫通穴(図5では、貫通穴25)に対して挿通されている。さらに、貫通穴25に挿通された分岐ホース50の下流側一端部は、図3に示すように、コラム5の左側(図3の上側)から引き出され、左背壁3hに固定された継ぎ手49に接続されている。
このようなクーラント供給構造において、図1,図5に示すように、クーラントポンプ22が駆動すると、クーラントは主ホース48を流れ、洗浄ガン用分岐配管46、クーラントバルブ43、分岐管41の順に流れ込む。さらに、分岐管41の出口41bから流出するクーラントは、継ぎ手40を介してクーラントノズル28に供給される。一方、分岐管41の分岐出口41cから流出するクーラントは、分岐ホース50に流れ込むことによってコラム5内を通過し、コラム5を介して反対側の継ぎ手49を介してクーラントノズル29に供給される。こうして、一対のクーラントノズル28,29の各先端からクーラントが各々吐出されるようになっている。なお、主ホース48が、「主配管」に相当し、分岐ホース50が、「分岐配管」に相当する。
このように、一対の継ぎ手40,49が、スプラッシュカバー3の右背壁3g及び左背壁3hにおける一対のクーラントノズル28,29の高さ位置に各々固定されているので、クーラントを右背壁3g及び左背壁3hの上部まで押し上げる必要がない。これにより、クーラントポンプ22にかかる負荷を軽減できるため省エネを図ることができる。さらに、分岐ホース50を、コラム5の貫通穴25(又は貫通穴26、又は貫通穴27)に挿通させてコラム5内を貫通させるので、コラム5の後方側に分岐ホース50を配索する必要がない。これにより、分岐ホースの長さを余分に設ける必要がなく、無駄のない必要最低限の長さにすることができるので、分岐ホース50にかかる部品コストを節約できる。また、分岐ホース50をコラム5内に貫通させることから、分岐ホース50の一部がコラム5内に隠れるので、コラム5の背面側近傍の美感を向上することができる。
また、右背壁3gに直接固定されている継ぎ手40に対し、分岐管41を直接取り付け、さらにその分岐管41にクーラントバルブ43を直接取り付けているので、分岐管41及びクーラントバルブ43を支持する部材を設ける必要がない。よって、そのような支持部材にかかる部品コストも節約できる。さらに、クーラントバルブ43は、分岐管41よりも上流側に設けているので、クーラントノズル28,29に向かうクーラントの流路をともに開閉することができる。よって、クーラントバルブ43を1個設けるだけで、何れの流路をともに開閉することができるので、さらなる部品コストの節約ができる。
次に、クーラント配管18a,18bへのクーラント供給構造について説明する。まず、図4に示すように、このクーラント配管18aの上流側端部は、上記したように、右背壁3gの上部の右側壁3b側に穿設された固定穴83(図6参照)に溶接して固定されている。そして、図6に示すように、そのクーラント配管18aの上流側一端部は右背壁3gの外側面から突出し、その突出する一端部にはパイプ状の継ぎ手62の出口62bが接続されている。この継ぎ手62には、内部のクーラント流路の開閉を手動でできるレバー63が設けられている。さらに、継ぎ手62の入口62aには、T字型の分岐管64の出口64bが接続されている。この分岐管64は、前記分岐管41と同様のものであり、入口64a、出口64b及び分岐出口64cを備え、入口64aから流入するクーラントを出口64bと分岐出口64cとに分流するものである。
そして、この分岐管64の入口64aには主ホース68の下流側一端部が接続されている。さらに、図1,図3に示すように、この主ホース68の上流側一端部がクーラントポンプ23の取付部23aに接続されている。
一方、図6に示すように、分岐管64の分岐出口64cには、分岐ホース70の上流側一端部が接続されている。そして、この分岐ホース70は、コラム5の上部背面側に設けられた切り欠き部55の縁上に接触して、コラム5の左側に配索されている。さらに、コラム5の左側に配索された分岐ホース70の下流側一端部は、図3に示すように、左背壁3hに固定された継ぎ手66に接続されている。
このようなクーラント供給構造において、図1,図6に示すように、クーラントポンプ23が駆動すると、クーラントは主ホース68を流れ、分岐管64に流れ込む。さらに、分岐管64の出口64bから流出するクーラントは、継ぎ手62を介してクーラント配管18aに供給される。一方、分岐管64の分岐出口64cから流出するクーラントは、分岐ホース70に流れ込むことによってコラム5の切り欠き部55を介し、反対側の継ぎ手66を介してクーラント配管18bに供給される。こうして、一対のクーラント配管18a,18bにクーラントが供給され、チップシャワー19a,19bからクーラントが吐出されるようになっている。
なお、クーラントポンプ23の駆動は、制御装置15によって制御されているので、チップシャワー19a,19bからのクーラントの供給を操作パネル10で操作することができる。また、この他にも、継ぎ手62に設けられたレバー63を操作して、チップシャワー19a,19bからのクーラントの供給を調節してもよい。
次に、間座90によるコラム5の高さ調節について説明する。図7に示すように、コラム5は、ベース2の上部後方側に設けられた一対のコラム座部11の上面に載置して固定されている。そして、コラム座部11の上面に直接コラム5の下部が載った状態が、コラム5の最低位置となっている。一方、図8に示すように、コラム座部11とコラム5の下部との間にブロック状の金属製の間座90を配置させることによって、コラム5の位置を高くすることができる。この間座90は、厚さの異なる2種類の間座(例えば、150mm用と200mm用)が用意されている。よって、このような間座90によって、コラム5の高さを3段階に調節することができる。
次に、コラム5の高さ調節にともなう分岐ホース50の配索方法について説明する。上記したように、2種類の間座90によってコラム5の高さは3段階に調整される。したがって、コラム5の高さが変わると、貫通穴25の高さ位置と、図5及び図7に示す継ぎ手40の高さ位置とがズレてしまう。即ち、継ぎ手40に接続された分岐管41と、貫通穴25との間がズレて離れてしまうため、分岐管41から分岐する分岐ホース50を予め長く設けなければならない不都合が生じる。
そこで、本実施形態では、3つの貫通穴25,26,27がコラム5に配置されている。例えば、コラム5が最低位置にある場合は、図7に示すように、継ぎ手40と同じ高さ位置にあるのは貫通穴25である。よって、継ぎ手40と同じ高さ位置に位置する分岐ホース50を貫通穴25に挿通させる。また、コラム座部11とコラム5の下部との間に、150mm用の間座90が配置された場合は、コラム5は一段階高くなるので、図8に示すように、継ぎ手40と同じ高さ位置にあるのは貫通穴26となる。よって、分岐ホース50を貫通穴26に挿通させる。さらに、図示しないが、コラム座部11とコラム5の下部との間に、200mm用の間座90が配置された場合は、コラム5はさらに一段階高くなるので、継ぎ手40と同じ高さ位置にあるのは貫通穴27となる。よって、分岐ホース50を貫通穴27に挿通させる。
このようにして、間座90の配置によって段階的に調整されるコラム5の高さに合わせ、分岐ホース50をコラム5内に挿通させるために最適な貫通穴(25,26,27)を選択できる。したがって、分岐ホース50の長さを変更する必要がない。なお、本実施形態では、間座90を2種類用意したが、間座90の高さは150mm,200mmに限定されず変更可能である。さらに、貫通穴の数は3つに限定されず、2個でも4個以上でもよい。ただし、コラム5の強度を保持するうえで多数設けることは好ましくない。
以上説明したように、本実施形態のマシニングセンタ1では、一対の継ぎ手40,49が、スプラッシュカバー3の右背壁3g及び左背壁3hにおける一対のクーラントノズル28,29の高さ位置に各々固定されているので、クーラントを右背壁3g及び左背壁3hの上部まで押し上げる必要がない。これにより、クーラントポンプ22にかかる負荷を軽減できるため省エネを図ることができる。また、右背壁3gに溶接された継ぎ手40に、クーラントが供給される主ホース48が接続された分岐管41を接続し、当該分岐管41から分岐する分岐ホース50を、コラム5の貫通穴25(又は貫通穴26、又は貫通穴27)に挿通させ、スプラッシュカバー3の左背壁3hに溶接された継ぎ手49に接続している。これにより、分岐ホース50を、コラム5の貫通穴25(又は貫通穴26、又は貫通穴27)に挿通させてコラム5内を貫通させることができるので、コラム5の後方側に分岐ホース50を配索する必要がない。さらに、分岐ホース50の長さを余分に設ける必要がなく、無駄のない必要最低限の長さにすることができるので、分岐ホース50にかかる部品コストを節約できる。また、分岐ホース50をコラム5内に貫通させることから、分岐ホース50がコラム5内に隠れるので、コラム5の背面側近傍の美感を向上できる。
さらに、コラム5には3つの貫通穴25,26,27が設けられている。これにより、高さ位置が変更されるコラム5に設けられた貫通穴25,26,27の中から、継ぎ手40の高さ位置に相当する貫通穴を選択できるので、分岐ホース50の長さを変更する必要がない。よって、分岐ホース50の部品コストを節約できる。
なお、本発明の工作機械は、上記実施形態に限らず、各種変形が可能なことはいうまでもない。例えば、本実施形態では、3段階に調節されるコラム5の高さ位置に合わせ、継ぎ手40の高さ位置に相対する3つの貫通穴25,26,27をコラム5に設けたが、図9に示す変形例1のように、コラム5に左右に貫通する縦長の貫通穴250を設けてもよい。
図9に示すように、この貫通穴250は、間座90によるコラム5の高さ調整によって段階的に変更される継ぎ手40の最上位置と最低位置との間の何れの高さ位置にも相対するように、コラム5の高さ方向に沿って延設された開口部として形成されている。これにより、コラム5の高さが変更されても、分岐ホースは、貫通穴250の長手方向に沿って移動するので、分岐ホース50の長さを余分に設ける必要がない。さらに、この変形例では、貫通穴250に分岐ホース50を挿通させたままの状態でも、コラム5の高さを変更することができる。
また、本実施形態では、コラム5に設ける貫通穴25,26,27を、間座90によって変更されるコラム5の高さ位置において、一対の継ぎ手40,49に相対する位置に配置した(図5参照)が、例えば、図10に示す変形例2のように、貫通穴350(図5に示す貫通穴25に相当)を、一対の継ぎ手40,49(継ぎ手49は図4参照)に相対する位置よりも低く配置させてもよい。さらに、貫通穴360(図5に示す貫通穴26に相当),370(図5に示す貫通穴27に相当)もこれと同様に、一対の継ぎ手40,49に相対する位置よりも低く配置させてもよい。
この場合、図10に示すように、分岐管41から分岐する分岐ホース50は、コラム5の貫通穴350において、一対の継ぎ手40,49に接続された各クーラントノズル28,29(図4参照)の高さ位置よりも低くなる。これにより、一対の継ぎ手40,49を介して接続される一対のクーラントノズル28,29からのクーラント吐出終了時に、分岐ホース50内に残存するクーラントが、クーラント吐出終了後にクーラントノズル28,29から流れ出てしまうのを防止することができる。