JP4697386B2 - ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4697386B2
JP4697386B2 JP2004122791A JP2004122791A JP4697386B2 JP 4697386 B2 JP4697386 B2 JP 4697386B2 JP 2004122791 A JP2004122791 A JP 2004122791A JP 2004122791 A JP2004122791 A JP 2004122791A JP 4697386 B2 JP4697386 B2 JP 4697386B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
weight
coating composition
film
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004122791A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005306928A (ja
Inventor
文彰 掛谷
透 盆子原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP2004122791A priority Critical patent/JP4697386B2/ja
Publication of JP2005306928A publication Critical patent/JP2005306928A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4697386B2 publication Critical patent/JP4697386B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂シートに透明性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性及び耐折曲げ性に優れ、反りの小さい紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を塗布後、硬化させて、硬化皮膜を形成させてなるポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法に関するものである。
ポリカーボネート樹脂成形品は、軽さや加工のしやすさなどの種々の特性からガラスに代わる材料として、建物の採光材や車両の窓用、計器カバー等に用いられている。しかしながら、ガラスと比較して耐擦傷性、耐薬品性、及び耐候性等の表面特性に劣る。そこで、ポリカーボネート基材の表面を改質する方法として、例えば、(i)溶剤のような非反応性で揮発性の成分をほとんど含まない紫外線硬化コーティング組成物を熱可塑性樹脂基材の表面に塗布し、(ii)未硬化のコーティング組成物と基材表面とを90〜150°Fから選択された温度に加熱して、未硬化のコーティング組成物の一部を熱可塑性樹脂基材の表面下のある領域中に浸透させて表面下に熱可塑性樹脂基材とコーティング組成物の両方を含むコーティング組成物浸透領域を形成させ、(iii)こうして塗布したコーティング組成物を、コーティング組成物と浸透領域中に紫外線を当てることによって紫外線で硬化させることからなる。コーティング組成物の紫外線硬化の際に熱可塑性樹脂基材の表面下の浸透領域は基材と硬化したコーティングとの間の噛み合い結合を提供することが記載されている(特許文献1)。しかしながら、この方法ではコーティング組成物が熱可塑性樹脂基材に浸透しすぎるため、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性や耐折曲げ性が損なわれ、さらには反りが大きくなる。
耐候性、耐擦傷性、及び密着力に優れ、かつ表面欠陥の少ないポリカーボネート樹脂成形品として、(A)1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートの少なくとも一種を必須成分とする、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する架橋重合性化合物(a−1)と、該化合物(a−1)と共重合可能な他の化合物(a−2)とからなる光重合性組成物、(B)365〜400nm増感波長のピークを有する特定の光重合開始剤(b−1)を含む光重合開始剤、および(C)紫外線吸収剤を主成分として含有してなる紫外線硬化型樹脂被覆用組成物で被覆したポリカーボネート樹脂成形品の製法が知られていた(特許文献2)。しかしながら、この文献に開示されている紫外線硬化型樹脂被覆用組成物では、ポリカーボネート樹脂シートの製造時に同時に硬化皮膜で被覆されたポリカーボネート樹脂積層体を製造するには、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物では、高温で粘度が低下するため、均一な硬化皮膜を得ることが困難であるばかりか、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物がポリカーボネート樹脂シートに浸透しすぎるため、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性や耐折曲げ性が損なわれ、反りが大きくなるという問題があり、さらに、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を使用するためには、ポリカーボネートシートを室温近くまで冷却する必要があり、ポリカーボネート樹脂シートを製造する押出機から、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を塗布するまでの距離が十数メートルも必要であった。
特公平7−74282号公報 特許第2798261号公報
ポリカーボネート樹脂シートに被覆用組成物を塗布し、硬化皮膜を形成することにより耐擦傷性を改良した公知のポリカーボネート樹脂積層体の場合、被覆用組成物がポリカーボネート樹脂シートに浸透しすぎるため、硬化皮膜に発生したクラックが樹脂シートに伝播して、該積層体の耐衝撃性や耐折曲げ性が著しく損なわれるという問題があった。例えば、耐擦傷性の改良された厚さ0.5mmのポリカーボネート樹脂積層体からなる試験片を上180°、下180°の折曲げ試験を行うと、2回以下の折曲げで破断するような耐折曲げ性の劣る積層体であった。
本発明は、上記諸問題を解決し、透明性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性のみならず耐折曲げ性に優れ、反りが小さく、高温のポリカーボネート樹脂シートに塗布が可能な紫外線硬化型樹脂組成物を開発し、さらに、ポリカーボネート樹脂シートの製造時に、樹脂シート上に硬化皮膜を形成したポリカーボネート樹脂積層体及び該積層体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、表面温度70〜90℃であるポリカーボネート樹脂シート上に紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を塗布しても、ポリカーボネート樹脂への過度の浸透が起こらない紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を見出し、さらに、該被覆用組成物からなる硬化皮膜で被覆されたポリカーボネート樹脂積層体は、透明性、耐擦傷性、耐候性及び耐薬品性のみならず、耐折曲げ性にも著しく優れ、反りも小さいことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(A)20〜70重量%と、重量平均分子量400以上の2〜4官能のアクリレートオリゴマ−(B)80〜30重量%からなる光重合性組成物(C)100重量部に対し、光重合開始剤(D)を1〜10重量部配合してなる紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)を、ポリカーボネート樹脂シート(F)の少なくとも一方の面に塗布後、硬化させ、硬化皮膜を形成させてなる耐折曲げ性に優れたポリカーボネート樹脂積層体(G)及びその製造方法である。
本発明の光重合性組成物(C)の成分の1つは、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(A)である。
本発明の光重合性組成物(C)の成分のもう1つであるアクリレートオリゴマー(B)は、ポリヒドロキシ含有化合物をアクリル酸および/またはメタアクリル酸と反応させることによって製造される。本発明に使用しうる「ポリオール」とも称されるポリヒドロキシ含有化合物は、3個以上のヒドロキシ基を有する化合物である。一般に、本発明に使用することができるポリオールは、3個〜6個のヒドロキシ基、好ましくは3個〜4個のヒドロキシ基、および2個〜36個の炭素原子を有する化合物である。これらのポリオールは、分岐鎖または直鎖脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、芳香族ポリオール、ポリエーテルポリオール、およびポリエステルポリオールである。脂肪族ポリオールとしては、トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールエタン;テトラオール、例えば、ペンタエリトリトールおよびジ−トリメチロールプロパン;およびヘキサオール、例えば、ジペンタエリトリトールを挙げることができる。さらに、脂肪族および脂環式ポリオールを、種々の量のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと反応させて、エトキシル化および/またはプロポキシル化ポリオールを得ることができる。エトキシル化および/またはプロポキシル化ポポリオールの例としては、エトキシル化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、エトキシル化ペンタエリトリトール、およびプロポキシル化ペンタエリトリトールを挙げることができる。本発明に使用できるポリエーテルポリオールは、芳香族ポリエーテルおよび脂肪族ポリエーテルの両方である。ポリエーテルポリオールの脂肪族基は、直鎖、分岐鎖、または環状であってよい。ポリエーテルポリオールの例としては、トリ−グリコール、例えば、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ならびに混合ポリエーテル、例えば、ポリ(プロピレン−エチレン)グリコールを挙げることができる。ポリエステルポリオールは、エステル結合を有するポリオールである。例えば、過剰のポリオールを二塩基酸無水物と反応させて、約1個〜約6個のエステル結合および反応性ヒドロキシ基を有する低分子量化合物を得る。前記ポリオール単独および混合物のいずれかを使用して、ポリエステルポリオールを製造することができる。ポリエステルポリオールを製造するために使用することができる二塩基酸無水物の例としては、テトラヒドロフタル酸無水物のような脂環式二塩基酸無水物を使用して、ポリエステルポリオールを製造することもできる。最後に、ポリエーテルおよびポリエステルポリオールを、種々の量のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと反応させて、エトキシル化および/またはプロポキシル化ポリオールを得ることができる。
本発明の方法において、ポリヒドロキシ含有化合物を、単一で、または他のポリヒドロキシ含有化合物および/またはモノヒドロキシ含有化合物と組み合わせて、使用することができる。さらに、アクリル酸およびメタクリル酸を、単一で、または相互に組み合わせて、使用することができる。当然のことであるが、ヒドロキシ含有反応物の混合物が本発明の方法に使用される場合には、混合エステル生成物が得られる。アクリル酸およびメタクリル酸の混合物が使用される場合も同様であり、生成物は混合エステル生成物となる。
本発明で好ましく使用されるアクリレートオリゴマー(B)は、テトラヒドロ無水フタル酸及びトリメチロールプロパンと、アクリル酸とを常法によりエステル化反応させることにより得られ、かつ重量平均分子量が400〜2500で2〜4官能のアクリレートオリゴマーである。この範囲以外のアクリレートオリゴマーを用いた場合、光重合性組成物からの紫外線硬化型樹脂被覆用組成物の可撓性や耐折曲げ性が低下するので好ましくない。
本発明に関わる光重合性組成物(C)には、反応性希釈剤(H)をアクリレートオリゴマ−の取扱い上から配合するのが好ましい。反応性希釈剤(H)としては、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは、トリプロピレングリコールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
反応性希釈剤(H)の配合量は、アクリレートオリゴマ−(B)100重量部に対して、15〜70重量部である。反応性希釈剤(H)の配合量が15重量部未満では、紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)の粘度が高すぎ、70重量部を越えると硬化皮膜の反りが悪くなったり耐折曲げ性が低下する。
反応性希釈剤を光重合性組成物(C)に配合する場合は、アクリレートオリゴマー(B)の一部として取り扱う。
本発明に使用される光重合開始剤(D)としては、一般に知られているものが使用できる。具体的には、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド等が挙げられる。
また、下記一般式(1)で表されるアシロフォスフィンオキサイド系化合物を光重合開始剤(D)として併用することは好ましい態様である。
Figure 0004697386
(式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基若しくはオキシアルキル基、フェニル基、置換フェニル基、ベンジル基または置換ベンジル基を示す。)
特に好ましい具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
本発明に係わる光重合性組成物(C)は、前記(A)20〜70重量%と、重量平均分子量400以上の2〜4官能のアクリレートオリゴマー(B)80〜30重量%との混合物である。光重合性組成物(C)中で(A)成分が20重量%未満では、光重合性組成物(C)の粘度が高くなりすぎ塗膜の密着性が低下する。また、光重合性組成物(C)中で(A)成分が70重量%を越えると光重合性組成物(C)の粘度が低くなり過ぎて光学歪みが発生し易くなるので好ましくない。また、光重合開始剤(D)の使用量は、光重合性組成物(C)100重量部に対し、1〜10重量部、好ましくは3〜6重量部である。10重量部よりも多いと硬化被膜が着色し、1重量部より少ないと十分な硬化被膜が得られない。
光重合性組成物(C)に光重合開始剤(D)を配合してなる紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)には、さらに紫外線吸収剤(I)を配合することが好ましい。紫外線吸収剤(I)としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、フェニルサルチレート、2−4−ジターシャリーブチルフェニル−3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ド
デシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、上記以外に紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを、熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用で効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。
紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)中の紫外線吸収剤(I)の配合量は、光重合性組成物(C)100重量部に対し、2〜15重量部、好ましくは3〜10重量部である。15重量部よりも多いと密着性が悪くなり、2重量部より少ないとポリカーボネート樹脂に対する耐候性改良効果が小さい。
本発明の紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)の粘度は、JIS K6364の回転式粘度計にて測定した場合、作業性及び得られた樹脂積層体の表面平滑性の点から、70〜90℃における粘度が、好ましくは12〜120mPa・s、より好ましくは15〜90mPa・s、最も好ましくは20〜70mPa・sである。粘度が12mPa・s未満の場合、硬化皮膜の膜厚が均一にならず、光学歪みが生じ、120mPa・sを越えるとポリカーボネート樹脂に対する硬化皮膜の密着性が低下する。
また、粘度調整のために有機溶媒を用いることもでき、この他に必要に応じてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子、架橋重合体また橋共重合体よりなる有機微粒子、酸化防止剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、帯電防止剤、防曇剤、艶消剤、艶出剤など適宜添加してもよい。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジハロゲノフェニル)アルカンで代表されるビスフェノール化合物から周知の方法で製造された重合体が用いられ、その重合体骨格に脂肪酸ジオールに由来する構造単位が含まれるエステル結合を持つ構造単位が含まれても良い。好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂である。分子量についても特に制限はないが、成形性や機械的強度の観点から粘度平均分子量で17,000〜40,000、より好ましくは20,000〜30,000のものである。そして、このポリカーボネート樹脂を使用して、シートを押出法によって、製造する際に、本発明は実施される。ポリカーボネート樹脂シートの厚さは0.1〜20mm、好ましくは0.2〜10mm、さらに好ましくは0.3〜5mmである。
本発明において、上記紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)を被覆したポリカーボネート樹脂積層体(G)を得るには、スプレー、浸漬、カーテンフロー、ロールコーティング等公知の方法を用いて塗布した後、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ等の紫外線を照射することによって速やかに硬化させることもできるが、次のような方法が好ましい。すなわち、本発明の紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)を70〜90℃の表面温度のポリカーボネート樹脂シート(F)と合成樹脂フィルム(J)との間に挟み込み、圧着後、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)に紫外線を照射し、硬化後、合成樹脂フィルム(J)を硬化皮膜から剥離させる方法である。
このようにして被覆される硬化塗膜の厚みは1〜15μm、好ましくは2〜10μmである。硬化皮膜の厚さが1μm未満では十分な耐候性や耐擦傷性を得るのが難しく、15μmを越えると密着性やコストの点から好ましくない。
紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)をポリカーボネート樹脂シート(F)と合成樹脂フィルム(J)との間に挟み込む際に使用される合成樹脂フィルム(J)は、紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)と親和性のないことが必須条件であり、合成樹脂フィルム(J)の表面が被膜の表面を形成するため、表面の微細な平滑性が要求される場合などには、特にフィルムの選択には注意を要する。一般的にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。合成樹脂フィルムの厚さは、10〜200μmが好ましく、10μm未満では合成樹脂フィルムにしわがよりやすく、200μmを越えると硬化皮膜の厚み調整が困難になる。
合成樹脂フィルム(J)とポリカーボネート樹脂シート(F)の間に被覆用組成物をはさみ込み圧着させる方法としては、プレスロール、しごき棒、ハケ、ヘラなどを用いて被膜の膜厚が均一になるように圧着できれば、いかなる方法を用いてもよい。
本発明で使用される紫外線硬化型樹脂被覆用組成物は、ポリカーボネート樹脂シートへの過度の浸透が起こらないので、該被覆用組成物からなる硬化皮膜で被覆されたポリカーボネート樹脂積層体は、透明性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性のみならず耐折曲げ性にも著しく優れ、反りも小さいので、曲げ加工の施される用途や長時間曲げ歪みの加わる用途、高度の寸法精度の要求される用途に好適に使用できる。
次に実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は重量基準を表す。
実施例および比較例に用いた紫外線硬化型樹脂被覆用組成物の原材料と略号は次の通りである。
A;R−2402:4官能ポリエステルアクリレートオリゴマー、重量平均分子量600のテトラヒドロ無水フタル酸・トリメチロールプロパン・アクリル酸の重縮合物で、反応希釈剤としてトリメチロールプロパントリアクリレートを30重量%含有(第一工業製薬(株)製)。
B:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
C;NA−305:プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(三洋化成(株)製)
D;TAS:コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1/2/4の縮合物で、重量平均分子量が538であり、20℃での粘度3000〜5000mPa・s。
E;U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマーで、重量平均分子量が1200(新中村化学工業(株)製)。
F;TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−・エ−・エス・エフ ジャパン(株)製)
G;Irgacure184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製)
H:紫外線吸収剤:チヌビン−PS(2−(ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール チバ・スペシャリティケミカルス(株)製)
実施例および比較例中の各種物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
1)耐候性試験:JIS K5400に準拠し、カーボンアーク式サンシャインウエザオメーターにて促進試験を行って、1000時間処理前後の黄変度と処理後の密着性を調べ、黄変度7以下で密着性良好なものを合格とした。
2)耐擦傷性試験:ASTM D1044に準拠し、テーバー摩耗試験機にて摩耗輪CS−10Fを装着し、荷重500g下で100回転後の曇価を測定した。テーバー摩耗性(%)は(試験後の曇価)−(試験前の曇価)で示した。
3)硬化塗膜の密着性試験:JIS K5400に準拠し、サンプルをカミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつ切れ目を入れて100個の碁盤目をつくり、市販セロハンテープを良く密着させた後、90゜手前方向に急激に剥がした時、塗膜が剥離せずに残存した升目数(X)をX/100で表示した。
4)反り試験:厚さ0.5mmで、310×390mm試験片を定盤の上に置き、反りを測定した。
5)耐折曲げ試験:厚さ0.5mmで、幅10mmの試験片を一方の側に180°、反対側に180°の折曲げ試験を行い、破断する折曲げ回数を求めた。なお、破断する折曲げ回数は試験片厚さに依存するので、試験片厚さは(0.5±0.05)mmとした。
実施例1〜2、及び比較例1〜2
スクリュー径65mm、シリンダー設定温度290℃、Tダイ設定温度260℃の押出機に、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンE−2000)を供給し、0.5mm厚シートを押出し、3本ロールの最終端部から4mのところで、表面温度80℃のポリカーボネートシートと100μm厚のPETフィルムの間に、表1に示した配合比率にて混合した紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を硬化後の塗膜が3〜5μmになるように挟み込み、圧着後、出力密度80W/cmの高圧水銀灯を用い、光源下12cmの位置でコンベアスピード3.0m/分の条件で紫外線を照射して硬化し、硬化後PETフィルムを剥離し、ポリカーボネート樹脂積層体を得た。製造された積層体の評価結果を表1に示した。
Figure 0004697386

Claims (4)

  1. プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(A)20〜70重量%と、テトラヒドロ無水フタル酸・トリメチロールプロパン・アクリル酸の重量平均分子量が400〜2500の2〜4官能である重縮合物(B)80〜30重量%からなる光重合性組成物(C)100重量部に対し、光重合開始剤(D)を1〜10重量部配合してなる紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)を、ポリカーボネート樹脂シート(F)の少なくとも一方の面に塗布後、硬化させ、硬化皮膜を形成させてなる耐折り曲げ性に優れたポリカーボネート樹脂積層体(G)。
  2. 重縮合物(B)100重量部に対して、反応性希釈剤(H)を10〜70重量%配合した紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)を、ポリカーボネート樹脂シート(F)の少なくとも一方の面に塗布後、硬化させ、硬化皮膜を形成させてなる請求項1に記載のポリカーボネート樹脂積層体(G)。
  3. 光重合性組成物(C)100重量部に対し、紫外線吸収剤(I)を2〜15重量部配合した紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)を、ポリカーボネート樹脂シート(F)の少なくとも一方の面に塗布後、硬化させ、硬化皮膜を形成させてなる請求項1〜2のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂積層体(G)。
  4. 紫外線硬化型樹脂被覆用組成物(E)を表面温度70〜90℃のポリカーボネート樹脂シート(F)の少なくとも一方の面と合成樹脂フィルム(J)との間に挟み込み、圧着後、該被覆用組成物(E)に紫外線を照射し、硬化後、合成樹脂フィルム(J)を硬化皮膜から剥離させる請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂積層体(G)の製造方法。
JP2004122791A 2004-04-19 2004-04-19 ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4697386B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004122791A JP4697386B2 (ja) 2004-04-19 2004-04-19 ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004122791A JP4697386B2 (ja) 2004-04-19 2004-04-19 ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005306928A JP2005306928A (ja) 2005-11-04
JP4697386B2 true JP4697386B2 (ja) 2011-06-08

Family

ID=35436068

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004122791A Expired - Lifetime JP4697386B2 (ja) 2004-04-19 2004-04-19 ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4697386B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5040274B2 (ja) * 2006-11-28 2012-10-03 凸版印刷株式会社 ハードコート層形成用組成物の製造方法
JP5418321B2 (ja) * 2010-03-12 2014-02-19 株式会社豊田自動織機 車両用部材及びその製造方法
JP6417936B2 (ja) * 2014-12-26 2018-11-07 三菱ケミカル株式会社 積層体及び表示体カバー

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005215640A (ja) * 2004-02-02 2005-08-11 Mitsubishi Gas Chem Co Inc フォトクロミックレンズおよびその製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005215640A (ja) * 2004-02-02 2005-08-11 Mitsubishi Gas Chem Co Inc フォトクロミックレンズおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005306928A (ja) 2005-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4929624B2 (ja) 硬化性組成物、その硬化物及び積層体
JP2020111715A (ja) 硬化物
JP6836732B2 (ja) 樹脂組成物、硬化物及び積層体
JP5731817B2 (ja) 吸水性樹脂組成物およびこれを用いた積層体
JP2008546872A (ja) 耐磨耗コーティング
JP5092907B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、活性エネルギー線硬化型ハードコート剤、これらを用いた硬化被膜および硬化被膜を有する物品
KR102190726B1 (ko) 열성형성 하드코트 용도의 uv-경화성 아크릴계 수지
JP6642737B2 (ja) 水性樹脂組成物、それを用いた積層体、光学フィルム及び画像表示装置
JP2018203887A (ja) 環状オレフィン系樹脂基材上に硬化被膜を形成するための活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコートフィルムの製造方法
JP6865645B2 (ja) 光硬化性樹脂組成物およびシート
JP4697386B2 (ja) ポリカーボネート樹脂積層体及びその製造方法
US20230312904A1 (en) Photocurable resin composition, cured film, and molded article with cured film
JP2009096813A (ja) 硬化性組成物、その硬化物
JP4161182B2 (ja) 硬化被膜を有するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
JP2015038173A (ja) 光硬化性樹脂組成物、積層シート、積層成形品及び積層成形品の製造方法
JP2020042199A (ja) 成形用反射防止ハードコートフィルム
JP4299513B2 (ja) 被覆材組成物および物品
JP4429199B2 (ja) 複層塗膜形成方法およびこれに用いる塗料
JP6859874B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び積層体
JP2022055398A (ja) アフターキュア型成形用反射防止ハードコートフィルム
JP4449551B2 (ja) ポリカーボネート樹脂積層体の製造方法
JP2023040446A (ja) 光硬化性樹脂組成物、ハードコートフィルム及びそれを用いたプラスチック成形品
JP7385784B1 (ja) 光硬化性樹脂組成物、成形用ハードコートフィルム及びそれを用いた成形品
JP6217135B2 (ja) インモールド成形用耐指紋フィルム
WO2021070632A1 (ja) 湾曲部材の製造方法、及び、熱曲げ用ハードコート層付ポリカーボネート樹脂積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070417

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100721

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110202

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110215

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4697386

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151