JP4692384B2 - 電磁弁 - Google Patents
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Description
従来より、気中にて使用されて流体(例えば、作動油)の圧力の制御を行う電磁弁は、例えば特許文献1に開示されるようなものがある。この電磁弁は、図5に示すように、スプール弁101と電磁アクチュエータ102とから構成されている。電磁アクチュエータ102は、筒状に形成されるソレノイド117と、ソレノイド117に内包されるコアステータ118とソレノイド117を収容するヨーク119、およびコアステータ118の軸受部125に向って接近・離隔するようコアステータ118内に摺動可能に配置されるプランジャ115とを備えて磁気回路を構成している。コアステータ118の軸受部125の中心には軸受部125内を挿通するシャフト130が装着され、プランジャ115の摺動とともに軸方向に沿って移動し、シャフト130の他方側がスプール103に当接している。
このくびれ構造を有する従来の電磁弁100では、作動油のスプール103にかかる作用力Fを低減させるには、くびれ部140の流入角αと流出角βの角度差を大きくすることが必要となる。しかし、流入側の流入角αを大きくとれば、入力側のポートからの流速主成分が剥離し、渦を生じるので、開弁方向に働く軸方向反力は小さくなって開弁方向に働く軸方向流体反力には限界が生じる。また、くびれ部140の反転後の流出角βを小さくしても、作動油の流速主成分がスプール103の流出側に近い大径弁部112の前端面114に直接作用して動圧を発生させるので、閉弁方向に閉弁力が働き、この流出角βにも制限が生じて、結局流体反力の低減もある限度以下にはできないという問題があった。
請求項1の手段を採用する電磁弁では、周方向の所定位置から作動油を誘導させるための凹形状のノッチが、スプールの異径の段差で構成される封止部の端面に設けられ、弁開口初期時には流入量の大半をノッチから流入させる構成となっている。このため、ノッチから流入する作動油の流速主成分は高速となって、この作動油の流速のもつ運動量、つまり動圧分は無視できないほど大きなものとなり、これがスプールに作用するとスプールを閉弁方向に押し戻すこととなる。しかし、請求項1の手段は、スプールの周方向に、スプール弁開口初期の作動油の流入を誘導するノッチを、作動油の流入方向がスプールの径方向と傾斜を付けて段差部外周に向かうように複数個配設するにあたり、複数のノッチは、流体の流入方向が同一方向に傾斜して、スプールの周方向に等間隔を隔てて配置し、段差部外周に旋回状流れを形成するようにしているので、ノッチを通して流入する作動油の流速主成分がスプールの段差部外周を旋回して流れ、スプールに直接作用することなく、減速して静圧に変換され出力ポートより流出する。これにより、作動油の流入主成分が直接スプールに作用するときと比べ、スプールにはプランジャ推力とは逆向きの反力が小さくなるため、スプールは速やかに変位でき、油圧調整の応答性を改善することができる。
請求項2の手段を採用する電磁弁では、請求項1の手段に加え、複数のノッチは、作動油の流入方向がスプールの軸方向にも同一方向に傾斜して、スプールの周方向に等間隔を隔てて配設されており、段差部外周に螺旋状流れを形成するようにしているので、ノッチを通して流入する作動油の流速主成分がスプールの段差部外周を旋回するとともに軸方向に螺旋状に旋回して流れ、スプールに直接作用することなく、減速して静圧に変換され出力ポートより流出する。これにより、作動油の流入主成分が直接スプールに作用するときと比べ、スプールにはプランジャ推力とは逆向きの反力が小さくなることと相まって、作動油の螺旋状流れの運動量変化に伴う反力が、開弁方向に作用するため、スプールは、より速やかに変位でき、油圧調整の応答性を向上することができる。
以下、具体的な実施の形態を、4つの実施例について図を参照しながら説明する。ただし、実施例1、2は、本発明が適用された例を示すもので、実施例3、4は、本発明が適用されていない参考例を示すものである。
なお、以下の説明では電磁弁のスプール弁側を他方側、または前側もしくは開弁側といい、電磁アクチュエータ側を一方側、または後側もしくは閉弁側という。
図1は、本発明の実施例1における電磁弁の構成を示す断面図である。
本実施例の電磁弁1の作用を説明する。
ソレノイド21への通電が行われると、磁気回路を構成するプランジャ20の他方側とコアステータ22の軸受部26の一方側の磁気吸引面にて磁気吸引力が発生する。そして、プランジャ20はこの磁気吸引力によって軸方向他方側に吸引され、変位する。このとき生じる推力は、シャフト30を介してスプール4に直接伝達される。この推力により、スプール4はスプリング15の付勢力に抗して軸方向他方側、つまり開弁方向へ変位される。
本実施例の電磁弁1において、周方向の所定位置から作動油を誘導流入させるための凹形状のノッチ50が、スプール4の異径の段差で構成される封止部8の大径部後端面12Aに複数個設けられ、弁開口初期時には流入量の大半をノッチ50から流入させる。スプール4の周方向に、スプール弁開口初期の作動油の流入を誘導するノッチ50を、作動油の流入方向がスプール4の径方向と傾斜角をもって段差部外周に向かうように複数個配設しているので、ノッチ50を通して流入する作動油の流速主成分がスプール4の段差部外周を旋回して流れ、スプール4に直接作用することなく、減速して静圧に変換され出力ポート9Bより流出する。これにより、作動油の流入主成分が直接スプールに作用するときと比べ、スプール4にはプランジャ推力とは逆向きの反力が小さくなるため、スプール4は速やかに変位でき、油圧調整の応答性を改善することができる。
図2は、本発明の実施例2における電磁弁の構成を示す断面図である。
実施例2の電磁弁1には、実施例1の電磁弁1と同様に入力ポート9Aと封止部8を形成する大径部12の一方側の大径部後端面12Aに、スプール弁3の開口初期時に作動油の流入を誘導し、滑らかな流量特性を得るためのノッチ50が設けられている。ノッチ50はスプール弁3の開口初期時に作動油の流入を誘導するために断面形状がV字形状のへこみであり、ノッチ50の流入方向はスプール4の径方向と所定の傾斜角を有して、また、スプール4の軸方向にも所定の傾斜角をもって形成され、スプール弁開口初期の作動油の流入方向がスプール4の段差部外周を螺旋状に旋回するようにスプール4の周方向に複数個配置されている(図2(c)では2個対をなした場合を示す)。
本実施例の電磁弁1において、周方向の所定位置から作動油を誘導して流入させるためのV字形状のノッチ50が、スプール4の異径の段差で構成される封止部8の大径部後端面12Aに複数個設けられ、弁開口初期時には流入量の大半をノッチ50から流入させ、流入する作動油の流速主成分が、スプール4の段差部外周を軸方向に螺旋状流れを形成して出力ポート9Bより流出する。これにより、作動油の流速主成分は段差部7の外周部に直接作用することなく減速し、静圧に変換して出力ポート9Bより流出するので、作動油の流入主成分が直接スプールに作用するときと比べ、スプール4にはプランジャ推力とは逆向きの反力が小さくなり、加えて、ノッチ50からの作動油の流入は剥離の発生が抑制されるので、乱れのない螺旋状流れが得られ、螺旋状流れを形成する流速主成分の反力が、スプール4の開弁方向に良好に作用するため、スプール4はより速やかに変位でき、油圧調整の応答性を向上することができる。
図3は、本発明の実施例3における電磁弁の構成を示す断面図である。
実施例3の電磁弁1には、実施例1の電磁弁1と同様にスプール4の異径の段差で構成される封止部8の入力ポート9Aの開口量を調整する大径部12の一方側の大径部後端面12Aに、スプール弁3の開口初期時に作動油の流入を誘導し、滑らかな流量特性をえるためのノッチ50が設けられている。ノッチ50はスプール弁3の開口初期時には流入量の大半をノッチ50から流入させる断面形状が凹形状のへこみであり、ノッチ50の流入方向はスプール4の径方向であり、スプール弁開口初期の作動油の流入方向がスプール4の段差部7の中心軸に向かうように、スプール4の径方向に互いに対向して対をなして複数個形成されている(図3(c)では2個対をなした場合を示す)。
本実施例の電磁弁1は、スプール4の封止部8の大径部後端面12Aに、スプール弁3の開口初期時に作動油の流入を誘導し、滑らかな流量特性を得るためのノッチ50が設けられている。ノッチ50はスプール弁3の開口初期時には流入量の大半をノッチ50から流入させる断面形状が凹形状のへこみであり、ノッチ50の流入方向はスプール4の径方向であり、スプール弁開口初期の作動油の流入方向がスプール4の段差部7の中心軸に向かうように、スプール4の周方向に互いに対向して対をなして複数個形成されている。そして、スプール4の段差部7に、ノッチ50の流入方向に貫通するスリット51を形成して逃し部を構成しているので、ノッチ50から流入する作動油の流速主成分はスプール4に直接作用することなく、スリット51内で互いにぶつかり合って減速し、静圧に変換されて、出力ポート9Bへ供給される。従って、作動油の流入主成分が直接スプールに作用するときと比べ、スプール4にはプランジャ推力とは逆向きの反力が小さいため、スプール4は速やかに変位でき、油圧調整の応答性を改善することができる。
図4は、本発明の実施例4における電磁弁の構成を示す断面図である。
実施例4の電磁弁1には、実施例3のように、スプール4の径方向に互いに対向して対をなして周方向に複数個設けられたノッチ50の流入方向に、段差部7を貫通するスリット51を設けたスプール4に、さらにスリット51のノッチ50に近いスリット底面にノッチ50の流入方向に勾配を有するテーパ面54を設け、ノッチ50を通して流入する作動油の流速主成分がスプール4に直接作用しないように構成する(図4(c)では2個対をなした場合を示す)。テーパ面54は、図4(d)に示すように、ノッチ50が形成される大径部後端面12Aのスリット底面に、対向して対をなすノッチ50と連続して互いに向い合った勾配を設けたもので、各ノッチ50からの流れが剥離を起こさずに、滑らかな流入をさせるためのものである。
本実施例の電磁弁1において、周方向の所定位置から作動油を誘導させるための凹形状のノッチ50が、スプール4の異径の段差で構成される封止部8の大径部後端面12Aに設けられ、弁開口初期時には流入量の大半をノッチ50から流入させる構成となっている。ノッチ50の流入方向に形成された、スプール4の段差部7のスリット51のノッチ50に近いスリット底面に、ノッチ50の流入方向に適度な勾配を有するテーパ面54を設けているので、入力ポート9Aのノッチ50から流入する作動油流れの剥離を生じさせることなく、良好に作動油の流速主成分の軸方向反力をテーパ面54に作用させることができ、このテーパ面54に作用する反力は開弁方向であるため、作動油の流入主成分が直接スプールに作用するときと比べ、スプール4にはプランジャ推力とは逆向きの反力が小さくなることと相まって、スプール4はより速やかに変位でき、油圧調整の応答性を向上することができる。
2 電磁アクチュエータ
3 スプール弁
4 スプール
5 スリーブ
6 流動部
7 段差部
8 封止部
9 ポート
9A 入力ポート
9B 出力ポート
9C 制御室ドレンポート
11 小径部
12 大径部
12A 大径部後端面
20 プランジャ
21 ソレノイド
22 コアステータ
23 ヨーク
30 シャフト
50 ノッチ
51 スリット(逃し部)
52 構成壁
54 テーパ面
Claims (2)
- 流体の入出力ポートを備えたスリーブ、および該スリーブ内に摺動自在に収容され、軸方向に異径の段差を備えて封止部と段差部を形成し、軸方向に変位することにより前記入出力ポートの開口量を変えるスプールを備えて、流体の流量を調整するスプール弁と、
ソレノイドの磁力により、磁気回路を構成するコアステータ、および該コアステータとの間に生じる磁気吸引力により軸方向に駆動され、推力を生じるプランジャを備える電磁アクチュエータと、
前記スプールと前記プランジャとの間に設けられ、前記プランジャが生じる前記推力を前記スプールに伝達し、前記スプールを軸方向に変位させるシャフトとを備えた電磁弁において、
前記スプールの封止部端面に、前記スプール弁開口初期の流体の流入を誘導するノッチを、流体の流入方向が前記スプールの径方向と傾斜し、前記段差部外周に向かうように前記スプールの周方向に複数形成するにあたり、前記複数のノッチは、流体の流入方向が同一方向に傾斜して、前記スプールの周方向に等間隔を隔てて配設されており、前記段差部外周に旋回状流れを形成することを特徴とする電磁弁。 - 請求項1に記載の電磁弁において、
前記複数のノッチは、流体の流入方向が前記スプールの軸方向にも同一方向に傾斜して、前記スプールの周方向に等間隔を隔てて配設されており、前記段差部外周に螺旋状流れを形成することを特徴とする電磁弁。
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