以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図11に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の構成を正面からみた説明図である。図2は、図1に示された画像形成装置の本発明の一実施形態にかかる現像装置の断面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。図4は、図3に示された現像装置の現像スリーブの斜視図である。図5は、図2に示された現像装置の現像剤の磁性キャリアの断面図である。図6は、図4に示された現像スリーブの外周面を拡大して示す説明図である。図7は、図6に示された現像スリーブの外周面を模式的に示す説明図である。図8(a)は、図4に示された現像スリーブの外周面に粗面化処理を施す表面処理装置の構成を示す断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示された表面処理装置で用いられる線条材の斜視図である。
画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙7(図1に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。画像形成装置1は、図1に示すように、装置本体2と、給紙ユニット3と、レジストローラ対10と、転写ユニット4と、定着ユニット5と、複数のレーザ書き込みユニット22Y,22M,22C,22Kと、複数のプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kとを少なくとも備えている。
装置本体2は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体2は、給紙ユニット3と、レジストローラ対10と、転写ユニット4と、定着ユニット5と、複数のレーザ書き込みユニット22Y,22M,22C,22Kと、複数のプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを収容している。
給紙ユニット3は、装置本体2の下部に複数設けられている。給紙ユニット3は、前述した記録紙7を重ねて収容するとともに装置本体2に出し入れ自在な給紙カセット23と、給紙ローラ24とを備えている。給紙ローラ24は、給紙カセット23内の一番上の記録紙7に押し当てられている。給紙ローラ24は、前述した一番上の記録紙7を、転写ユニット4の後述する搬送ベルト29と、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの後述する現像装置13の感光体ドラム8との間に送り出す。
レジストローラ対10は、給紙ユニット3から転写ユニット4に搬送される記録紙7の搬送経路に設けられており、一対のローラ10a,10bを備えている。レジストローラ対10は、一対のローラ10a,10b間に記録紙7を挟み込み、該挟み込んだ記録紙7をトナー像を重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット4とプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kとの間に送り出す。
転写ユニット4は、給紙ユニット3の上方に設けられている。転写ユニット4は、駆動ローラ27と、従動ローラ28と、搬送ベルト29と、転写ローラ30Y,30M,30C,30Kとを備えている。駆動ローラ27は、記録紙7の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ28は、装置本体2に回転自在に支持されており、記録紙7の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト29は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ27と従動ローラ28との双方に掛け渡されている。搬送ベルト29は、駆動ローラ27が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ27と従動ローラ28との回りを図中半時計回りに循環(無端走行)する。
転写ローラ30Y,30M,30C,30Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの感光体ドラム8との間に搬送ベルト29と該搬送ベルト29上の記録紙7とを挟む。転写ユニット4は、転写ローラ30Y,30M,30C,30Kが、給紙ユニット3から送り出された記録紙7を各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの感光体ドラム8の外周面に押し付けて、感光体ドラム8上のトナー像を記録紙7に転写する。転写ユニット4は、トナー像を転写した記録紙7を定着ユニット5に向けて送り出す。
定着ユニット5は、転写ユニット4の記録紙7の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙7を挟む一対のローラ5a,5bを備えている。定着ユニット5は、一対のローラ5a,5b間に転写ユニット4から送り出されてきた記録紙7を押圧加熱することで、感光体ドラム8から記録紙7上に転写されたトナー像を、該記録紙7に定着させる。
レーザ書き込みユニット22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ、装置本体2の上部に取り付けられている。レーザ書き込みユニット22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ、一つのプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kに対応している。レーザ書き込みユニット22Y,22M,22C,22Kは、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの後述の帯電ローラ9により一様に帯電された感光体ドラム8の外周面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、それぞれ、転写ユニット4と、レーザ書き込みユニット22Y,22M,22C,22Kとの間に設けられている。プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、装置本体2に着脱自在である。プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、記録紙7の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、図2に示すように、カートリッジケース11と、帯電装置としての帯電ローラ9と、感光体(像担持体ともいう)としての感光体ドラム8と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード12と、現像装置13と、を備えている。このため、画像形成装置1は、帯電ローラ9と、感光体ドラム8と、クリーニングブレード12と、現像装置13と、を少なくとも備えている。
カートリッジケース11は、装置本体2に着脱自在で、かつ帯電ローラ9と、感光体ドラム8と、クリーニングブレード12と、現像装置13と、を収容している。帯電ローラ9は、感光体ドラム8の外周面を一様に帯電する。感光体ドラム8は、現像装置13の後述する現像ローラ15と間隔をあけて配されている。感光体ドラム8は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。感光体ドラム8は、対応するレーザ書き込みユニット22Y,22M,22C,22Kにより、外周面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム8は、外周面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト29との間に位置付けられた記録紙7に転写する。クリーニングブレード12は、記録紙7にトナー像を転写した後に、感光体ドラム8の外周面に残留した転写残トナーを除去する。
現像装置13は、図2に示すように、現像剤供給部14と、ケース25と、現像剤担持体としての現像ローラ15と、規制部材としての規制ブレード16とを少なくとも備えている。
現像剤供給部14は、収容槽17と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー18と、を備えている。収容槽17は、感光体ドラム8と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽17内には、該収容槽17の長手方向に沿って延びた仕切壁19が設けられている。仕切壁19は、収容槽17内を第1空間20と、第2空間21とに区画している。また、第1空間20と第2空間21とは、両端部が互いに連通している。
収容槽17は、第1空間20と第2空間21との双方に現像剤26を収容する。現像剤26は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいい、図5に断面を示す)35とを含んでいる。トナーは、第1空間20と、第2空間21とのうち現像ローラ15から離れた側の第1空間20の一端部に、適宜供給される。
トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。
磁性キャリア35は、第1空間20と第2空間21との双方に収容されている。磁性キャリア35の平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。磁性キャリア35は、図5に示すように、芯材36と、該芯材36の外表面を被覆した樹脂コート膜37と、樹脂コート膜37に分散されたアルミナ粒子38と、を備えている。
芯材36は、磁性材料としてのフェライトで構成されているとともに、球形に形成されている。樹脂コート膜37は、芯材36の外表面全体を被覆している。樹脂コート膜37は、アクリルなどの熱可塑性樹脂とメラニン樹脂とを架橋させた樹脂成分と、帯電調整剤とを含有している。この樹脂コート膜37は、弾力性と強い接着力を有している。アルミナ粒子38は、外径が樹脂コート膜37の厚みより大きな球形に形成されている。アルミナ粒子38は、樹脂コート膜37の強い接着力で保持されている。アルミナ粒子38は、樹脂コート膜37より磁性キャリア35の外周側に突出している。
攪拌スクリュー18は、第1空間20と第2空間21それぞれに収容されている。攪拌スクリュー18の長手方向は、収容槽17、現像ローラ15及び感光体ドラム8の長手方向と平行である。攪拌スクリュー18は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリア35とを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤26を搬送する。
図示例では、第1空間20内の攪拌スクリュー18は、現像剤26を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間21内の攪拌スクリュー18は、現像剤26を他端部から一端部に向けて搬送する。
前述した構成によれば、現像剤供給部14は、第1空間20の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリア35と攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間21の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部14は、第2空間21内でトナーと磁性キャリア35とを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ15の外周面に供給する。
ケース25は、箱状に形成され、前述した現像剤供給部14の収容槽17に取り付けられて、該収容槽17とともに、現像ローラ15などを覆う。また、ケース25の感光体ド
ラム8と相対する部分には、開口部25aが設けられている。
現像ローラ15は、円柱状に形成され、第2空間21と、感光体ドラム8との間でかつ前述した開口部25aの近傍に設けられている。現像ローラ15は、感光体ドラム8と収容槽17との双方と平行である。現像ローラ15は、感光体ドラム8と間隔をあけて配されている。現像ローラ15と感光体ドラム8との間の空間は、現像剤26のトナーを感光体ドラム8に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域31をなしている。現像領域31では、現像ローラ15と感光体ドラム8とが相対する。
現像ローラ15は、図2及び図3に示すように、芯金34と、円筒状のマグネットローラ(磁石体ともいう)33と、非磁性の円筒体としての円筒状の現像スリーブ32とを備えている。芯金34は、長手方向が感光体ドラム8の長手方向と平行に配され、前述したケース25に回転することなく固定されている。
マグネットローラ33は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が取り付けられている。マグネットローラ33は、芯金34の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。
固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ33に取り付けられている。固定磁極は、マグネットローラ33則ち現像ローラ15の長手方向に沿って延びており、該マグネットローラ33の全長に亘って設けられている。前述した構成のマグネットローラ33は、現像スリーブ32内に収容されている(内包されている)。
一つの固定磁極は、前述した攪拌スクリュー18と相対している。該一つの固定磁極は、汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ32即ち現像ローラ15の外周面上に磁気力を生じて、収容槽17の第2空間21内の現像剤26を現像スリーブ32の外周面に吸着する。
他の一つの固定磁極は、前述した感光体ドラム8と相対している。この固定磁極は、現像磁極をなしており、現像スリーブ32即ち現像ローラ15の外周面上に磁気力を生じて、現像スリーブ32と感光体ドラム8との間に磁界を形成する。この固定磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ32の外周面に吸着された現像剤26のトナーを感光体ドラム8に受け渡すようになっている。
前述した汲み上げ磁極と現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この少なくとも一つの固定磁極は、現像スリーブ32即ち現像ローラ15の外周面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤26を感光体ドラム8に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤26を感光体ドラム8から収容槽17内まで搬送する。
前述した固定磁極は、現像スリーブ32の外周面に現像剤26を吸着すると、現像剤26の磁性キャリア35が該固定磁極が生じる磁力線に沿って複数重ねさせて、該現像スリーブ32の外周面上に立設(穂立ち)させる。このように、磁性キャリア35が磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ32の外周面上に立設する状態を、磁性キャリア35が現像スリーブ32の外周面上に穂立ちするという。すると、この穂立ちした磁性キャリア35に前述したトナーが吸着する。則ち、現像スリーブ32は、マグネットローラ33の磁力により外周面に現像剤26を吸着する。
現像スリーブ32は、図4に示すように、円筒状に形成されている。現像スリーブ32は、マグネットローラ33を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ32は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。現像スリーブ32は、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)などの非磁性材料で構成されている。図示例では、現像スリーブ32は、アルミニウム合金で構成されている。
アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが好ましい。SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが好ましい。
また、現像スリーブ32は、押し出し加工などの抽伸加工が施されて円筒状に形成されたのち、外周面に切削又は研削加工が施される。そして、現像スリーブ32は、図8(a)に示す表面処理装置51によって短線状の線条材86が外周面にランダムに衝突されることによって、粗面化処理が施されて、細かな凹み39(図6および図7に示す)が多数形成されている。
凹み39は、図6及び図7に示すように、平面形状が楕円形状(長円形)に形成されている。凹み39は、現像スリーブ32の外周面にランダムに多数(複数)配置されている。勿論、凹み39は、長手方向が現像スリーブ32の軸方向に沿う凹み39と、長手方向が現像スリーブ32の周方向に沿う凹み39とを含んでいる。長手方向が現像スリーブ32の軸方向に沿う凹み39が、長手方向が現像スリーブ32の周方向に沿う凹み39より多い。さらに、凹み39の長手方向の長さ(長径)は、0.05mm以上でかつ0.3mm以下となっており、幅方向の幅(短径)は、0.02mm以上でかつ0.1mm以下となっている。なお、図6及び図7では、図中の左右方向が現像スリーブ32の軸方向となっている。
また、凹み39は、現像スリーブ32の外周面の面積の50%以上でかつ95%以下となる部分に設けられている。即ち、現像スリーブ32の外周面のうち凹み39が設けられた部分の面積は、現像スリーブ32の外周面の面積の50%以上でかつ95%以下となっている。
現像スリーブ32の外周面に形成された細かな凹み39(図11に示す)は、従来から用いられていた現像スリーブ32の外周面に形成される溝よりも浅く、従来から用いられてきたサンドブラストが施されることで形成された凹み39a(図12に示す)より遙かに滑らかに形成されている。則ち、本実施形態の現像スリーブ32の外周面に形成された凹み39間の間隔は、従来から用いられてきたサンドブラストが施されることで形成された凹み39a間の間隔より遙かに大きい。また、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さ(Rz)は、5μm以上でかつ20μm以下である。また、現像スリーブ32は、感光体ドラム8との距離が、0.1mm以上でかつ0.4mm以下の位置に配置されている。
このように、本実施形態の現像スリーブ32は、外周面に凹み39(図11に示す)を外周面に形成することで、現像剤26を図12に示す従来例より遙かに、太く短く(現像スリーブ32の外周面からの突出量を小さくかつ現像スリーブ32の外周面上の面積を大きく)穂立ちさせる。こうすることで、本実施形態の現像スリーブ32は、現像剤26の吸着量が減少しても、該現像スリーブ32の外周側からみた現像剤26の面積が減少しにくくしている。
規制ブレード16は、現像装置13の感光体ドラム8寄りの端部に設けられている。規制ブレード16は、現像スリーブ32の外周面と間隔をあけた状態で、前述したケース25に取り付けられている。規制ブレード16は、所望の厚さを越える現像スリーブ32の外周面上の現像剤26を収容槽17内にそぎ落として、現像領域31に搬送される現像スリーブ32の外周面上の現像剤26を所望の厚さにする。
前述した構成の現像装置13は、現像剤供給部14でトナーと磁性キャリア35とを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤26を固定磁極により現像スリーブ32の外周面に吸着する。そして、現像装置13は、現像スリーブ32が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤26を現像領域31に向かって搬送する。現像装置13は、規制ブレード16で所望の厚さになった現像剤26を感光体ドラム8に吸着させる。こうして、現像装置13は、現像剤26を現像ローラ15に担持し、現像領域31に搬送して、感光体ドラム8上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
そして、現像装置13は、現像済みの現像剤26を、収容槽17に向かって離脱させる。さらに、収容槽17内に収容された現像済みの現像剤26は、再度、第2空間21内で他の現像剤26と十分に攪拌されて、感光体ドラム8の静電潜像の現像に用いられる。
前述した構成の画像形成装置1は、以下に示すように、記録紙7に画像を形成する。まず、画像形成装置1は、感光体ドラム8を回転して、この感光体ドラム8の外周面を一様に帯電ローラ9により帯電する。感光体ドラム8の外周面にレーザ光を照射して、該感光体ドラム8の外周面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域31に位置付けられると、現像装置13の現像スリーブ32の外周面に吸着した現像剤26が感光体ドラム8の外周面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム8の外周面に形成する。
そして、画像形成装置1は、給紙ユニット3の給紙ローラ24などにより搬送されてきた記録紙7が、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの感光体ドラム8と転写ユニット4の搬送ベルト29との間に位置して、感光体ドラム8の外周面上に形成されたトナー像を記録紙7に転写する。画像形成装置1は、定着ユニット5で、記録紙7にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置1は、記録紙7にカラー画像を形成する。
前述した現像スリーブ32は、図8に示す表面処理装置51によって外周面に粗面化処理が施される。
表面処理装置51は、図8(a)に示すように、ベース53と、固定保持部54と、電磁コイル支持部55と、移動保持部56と、磁場発生部としての電磁コイル58と、収容槽59とを備えている。
ベース53は、平板状に形成されて、工場のフロアやテーブル上等に設置される。ベース53の上面は、水平方向と平行に保たれる。ベース53の平面形状は、矩形状に形成されている。
固定保持部54は、ベース53の長手方向の一端部から立設した複数の支柱62と、保持ベース63と、円筒保持部材65と、従動軸64とを備えている。
支柱62は、ベース53からの突出量が変更自在である。支柱62は、ベース53からの突出量が変更されることで、保持ベース63の高さを変更する。
保持ベース63は、平板状に形成され、支柱62の上端に取り付けられている。円筒保持部材65は、円筒状に形成され、保持ベース63上に設置されている。円筒保持部材65は、その軸芯が水平方向と平行な状態に配置されている。円筒保持部材65は、その軸芯がベース53の長手方向と平行に配されている。円筒保持部材65は、内側に収容槽59の一端部59aを収容する。
従動軸64は、円柱状に形成されている。従動軸64は、その軸芯が水平方向とベース53の長手方向との双方と平行に配されている。従動軸64は、軸受66により円筒保持部材65にその軸芯回りに回転自在に設けられている。従動軸64のベース53の中央部寄りの端部には、該ベース53の中央部に向かうにしたがって徐々に従動軸64を先細とする先細部67が設けられている。また、従動軸64は、円筒保持部材65と同軸に配される。
固定保持部54は、従動軸64と円筒保持部材65とが収容槽59と後述する中空保持部材70と同軸となるように、支柱62により保持ベース63の高さが調整される。そして、固定保持部54は、従動軸64の先細部67が中空保持部材70の一端部70a内に侵入して、該中空保持部材70の一端部70aを支持するとともに、円筒保持部材65内に収容槽59の一端部59aを収容して該収容槽59の一端部59aを支持する。こうして、前述した構成の固定保持部54は、収容槽59の一端部59aと中空保持部材70の一端部70aを保持する。
電磁コイル支持部55は、固定保持部54とベース53の長手方向に沿って並設されているとともに、固定保持部54よりベース53の中央部寄りに配されている。電磁コイル支持部55は、一対の支持脚68を備えている。支持脚68は、それぞれ、一対の支柱69を備えている。支柱69は、一端部が互いに連結している。支柱69は、ベース53から立設している。支持脚68は、一対の支柱69を備えてV字状をなしている。一対の支持脚68は、ベース53の長手方向に沿って、互いに間隔をあけて配されている。電磁コイル支持部55は、支持脚68それぞれの支柱69の上端に電磁コイル58を支持する。
移動保持部56は、電磁コイル支持部55とベース53の長手方向に沿って並設されているとともに、電磁コイル支持部55よりベース53の他端部寄りに配されている。移動保持部56は、図示しないリニアガイドと、保持ベース71と、アクチュエータ72と、軸受け回転部73とを備えている。
リニアガイドは、レールと、スライダとを備えている。レールは、ベース53上に設置されている。レールは、直線条に形成されているとともに、その長手方向がベース53の長手方向と平行に配されている。スライダは、レールに該レールの長手方向即ちベース53の長手方向に沿って移動自在に支持されている。
保持ベース71は、平板状に形成され、前述した図示しないリニアガイドのスライダ上に取り付けられている。保持ベース71の上面は、水平方向と平行に配されている。アクチュエータ72は、ベース53に取り付けられているとともに、前述した保持ベース71をベース53の長手方向に沿って、スライド移動させる。
軸受け回転部73は、複数の支柱74と、円筒保持部材75と、中空保持部材70と、回転手段としての駆動用モータ76と、図示しないチャック用シリンダとを備えている。
複数の支柱74は、保持ベース71から立設している。円筒保持部材75は、円筒状に形成され、支柱74の上端に取り付けられている。円筒保持部材75は、その軸芯が水平方向とベース53の長手方向との双方と平行な状態で配置されている。円筒保持部材75は、従動軸64と円筒保持部材65との双方と同軸に配置されている。
中空保持部材70は、円筒状に形成されているとともに、軸受77により円筒保持部材75に軸芯回りに回転自在に支持されている。中空保持部材70は、その軸芯が前述したベース53の長手方向即ち固定保持部54の円筒保持部材65の軸芯と同軸に配置されている。中空保持部材70は、一端部70aが収容槽59内に位置するように保持ベース71上から固定保持部54に向かって突出した格好で、かつ、他端部70cが保持ベース71上に位置した状態に配されている。また、中空保持部材70は、従動軸64と同軸に配される。中空保持部材70は、前述した粗面化処理が施される前の現像スリーブ32内に通される。また、中空保持部材70の保持ベース71上に位置付けられた他端部70cには、プーリ78が固定されている。プーリ78は、中空保持部材70と同軸に配置されている。
また、中空保持部材70の収容槽59内に位置付けられる中央部70bには、該中空保持部材70の外径を前記他端部70cから一端部70aに向かって段階的に小さくする段差79が設けられている。
駆動用モータ76は、保持ベース71に設置されているとともに、その出力軸にプーリ80が取り付けられている。駆動用モータ76の出力軸の軸芯は、ベース53の長手方向と平行である。前述したプーリ78,80には、無端状のタイミングベルト81が掛け渡されている。駆動用モータ76は、中空保持部材70を軸芯回りに回転させる。駆動用モータ76は、中空保持部材70を軸芯回りに回転させることで、現像スリーブ32を収容槽59の長手方向と平行な軸芯回りに回転させる。
チャック用シリンダは、保持ベース71に設置されたシリンダ本体と、該シリンダ本体にスライド自在に設けられたチャック軸とを備えている。チャック軸は、円柱状に形成されその長手方向がベース53の長手方向と平行に配されている。チャック軸は、中空保持部材70内に収容されているとともに、該中空保持部材70と同軸に配置されている。チャック軸には、一対のチャック爪82が取り付けられている。
一対のチャック爪82は、チャック軸の外周面から該チャック軸の外周側に突出する格好で、該チャック軸に取り付けられている。また、チャック爪82は、中空保持部材70の外周面から該中空保持部材70の外周に向かって突出している。チャック爪82は、チャック軸及び中空保持部材70からの突出量が変更自在に設けられている。一対のチャック爪82は、チャック用シリンダのチャック軸がシリンダ本体に近づく方向に縮小すると、前述したチャック軸及び中空保持部材70からの突出量が増加する。
前述したチャック用シリンダは、チャック軸がシリンダ本体に縮小することで、チャック爪82をよりチャック軸の外周側に突出させて、該チャック爪82を中空保持部材70の外周面より突出させる。そして、チャック用シリンダは、現像スリーブ32を段差79とチャック爪82との間に挟んで、チャック軸と中空保持部材70と現像スリーブ32とを固定する。このとき、勿論、チャック軸と中空保持部材70と現像スリーブ32と後述の円筒部材88即ち収容槽59は、同軸になる。
前述したチャック用シリンダとチャック爪82は、中空保持部材70と収容槽59と同軸となるように現像スリーブ32を保持する。即ち、チャック用シリンダとチャック爪82は、現像スリーブ32を収容槽59の中心に保持する。前述したチャック用シリンダとチャック爪82は、保持手段をなしている。
前述した構成の移動保持部56は、中空保持部材70などをアクチュエータ72によりベース53の長手方向に沿って移動させるとともに、チャック用シリンダとチャック爪82が中空保持部材70に現像スリーブ32を保持する。
電磁コイル58は、図8(a)に示すように、円筒状に形成された外皮83と該外皮83内に配された複数のコイル部84とを備えて、全体として円環状に形成されている。外皮83と複数のコイル部84とは、磁場発生部としての電磁コイル58の本体部をなしている。
電磁コイル58の内径は、収容槽59の外径より大きい。即ち、電磁コイル58の内周面と収容槽59の外周面との間には、空間が形成されている。本発明では、電磁コイル58の内周面と収容槽59の外周面との間には、これらの径方向に沿って、5mm〜15mm程度の隙間が設けられいているのが望ましい。また、電磁コイル58の軸芯方向の全長は、収容槽59の軸芯方向の全長より若干短い。
外皮83は、アルミニウム合金などの導電性を有し非磁性材料の金属で構成されている。その軸芯即ち電磁コイル58自身の軸芯がベース53の長手方向と平行な状態で前述した電磁コイル支持部55の支持脚68の支柱69の上端に支持されている。また、外皮83即ち電磁コイル58は、前述した中空保持部材70、従動軸64及びチャック軸などと同軸に配置されている。
複数のコイル部84は、外皮83即ち電磁コイル58の周方向に沿って互いに並設されている。コイル部84は、図示例では、24個設けられている。コイル部84は、図示しないヨークと、該ヨークの外周に巻かれたコイルとを備えている。ヨークは、磁性材料で構成され、焼ばめにより外皮83の内周面に固定されている。コイル部84は、互いの間に合成樹脂などが充填されている。各コイル部84のコイルには、図8(a)に示す三相交流電源85により印加される。複数のコイル部84のコイルには互いに移送のずれた電力が印加されて、これらの複数のコイル部84のコイルが互いに位相のずれた磁場を発生する。そして、電磁コイル58は、これらの磁場を合成して形成される該電磁コイル58の軸芯回りの回転方向の磁場(回転磁場)を内側に生じさせる。
前述した電磁コイル58は、三相交流電源85から印加されて、収容槽59内などに回転磁場を発生する。そして、電磁コイル58は、前述した回転磁場内に後述の線条材86を位置付け、該回転磁場により、現像スリーブ32の外周に位置付けられた線条材86を収容槽59及び現像スリーブ32の軸芯回りに回転(移動)させる。そして、電磁コイル58は、前述した回転磁場により線条材86を現像スリーブ32の外周面にランダムに衝突させる。
また、三相交流電源85と電磁コイル58との間には、磁場変更手段としてのインバータ87が設けられている。インバータ87は、三相交流電源85が電磁コイル58に印加する電力の周波数、電流値、電圧値を変更自在である。インバータ87は、電磁コイル58に印加する電力の周波数、電流値、電圧値を変更することで、三相交流電源85が電磁コイル58に印加する電力を増減させて、該電磁コイル58が発生する回転磁場の強さを変更する。
収容槽59は、外壁が一重構造(外壁が一枚の壁からなること)の円筒部材88と、一対の封止板89とを備えている。
円筒部材88は、円筒状に形成されており、収容槽59の外殻を構成している。このため、収容槽59は、円筒部材88が一重構造に形成されていることで、外壁が一重構造に形成されているとともに、円筒状に形成されている。円筒部材88即ち収容槽59の外径は、電磁コイル58の内径より小さく、円筒部材88即ち収容槽59の外径は、中空保持部材70の外径より大きい。円筒部材88は、非磁性材料で構成されている。
一対の封止板89は、円環状に形成されている。一方の封止板89は、円筒部材88の一端部59aの内周に嵌合するなどして該円筒部材88に取り付けられている。一方の封止板89は、内側に従動軸64を通す。他方の封止板89は、円筒部材88の他端部59bの内周に嵌合するなどして該円筒部材88に取り付けられている。他方の封止板89は、内側に中空保持部材70を通す。封止板89は、線条材86の円筒部材88即ち収容槽59の外部への流出を規制する。なお、一端部59aは円筒部材88の一端部をなしており、他端部59bは円筒部材88の他端部をなしている。
前述した構成の収容槽59は、円筒部材88内に磁性材料で構成される線条材(図8(b)に示す)86を収容するとともに、中空保持部材70に取り付けられた現像スリーブ32を円筒部材88内に収容する。即ち、収容槽59は、現像スリーブ32と線条材86との双方を収容する。また、線条材86は、前述した回転磁場により現像スリーブ32の外周を回転(移動)するなどして、現像スリーブ32の外周面にランダムに衝突する。線条材86は、現像スリーブ32の外周面に衝突して、現像スリーブ32の外周面から該現像スリーブ32の一部を削り取り、該現像スリーブ32の外周面を粗面化処理する。
線条材86は、例えば、オーステナイト系のステンレス鋼又はマルチンサイト系のステンレス鋼などの磁性材料で構成されている。線条材86は、図8(b)に示すように、短線状の円柱状に形成されている。線条材86は、その外径Dが0.5mm以上でかつ1.4mm以下に形成されている。線条材86は、その全長Lが3.0mm以上でかつ14.0mm以下に形成されている。
前述した線条材86は、図9に示すように、前述した回転磁場によりその長手方向の中央を中心に回転(自転)されながら、前述した収容槽59と現像スリーブ32の周方向に回転(公転)される。このように、本発明は、外形Dと全長Lが前述した寸法でかつサンドブラスト加工で用いられる砥粒よりも遙かに大きな線条材86を現像スリーブ32の外周面にランダムに衝突させることで、サンドブラスト加工などに比較して遙かになだらかな凹み39を現像スリーブ32の外周面に形成して、表面粗さとしての十点平均粗さ(Rz)が5μm以上でかつ20μm以下となるように、現像スリーブ32の外周面に粗面化処理が施している。
また、前述した収容槽59は、一端部59aが円筒保持部材65内に収容されて該固定保持部54に支持され、他端部59bがベース53から立設した支柱90により支持されている。収容槽59即ち円筒部材88は、固定保持部54と支柱90により、従動軸64と中空保持部材70と電磁コイル58などと同軸に配されている。
次に、前述した構成の表面処理装置51は、以下のように現像スリーブ32の外周面に粗面化処理を施す。
まず、支柱62を調整して、中空保持部材70と同軸になるように、固定保持部54の従動軸64を位置決めする。そして、アクチュエータ72で収容槽59の円筒部材88の外部に中空保持部材70を位置付ける。そして、中空保持部材70の一端部70a側から中空保持部材70内に粗面化処理が施される前の現像スリーブ32を挿入する。そして、粗面化処理が施される前の現像スリーブ32を段差79に当接させる。
その後、チャックシリンダを動作させてチャック軸を該チャックシリンダのシリンダ本体に向けてスライドさせる。すると、チャック爪82が中空保持部材70の外周面より突出する。そして、段差79とチャック爪82との間に現像スリーブ32を挟んで、該現像スリーブ32を中空保持部材70に位置決めする(固定する)。すると、中空保持部材70と現像スリーブ32と電磁コイル58とが、同軸になる。
その後、アクチュエータ72で収容槽59の円筒部材88内に現像スリーブ32を取り付けた中空保持部材70を挿入する。そして、先細部67が中空保持部材70の一端部70aに侵入して、該中空保持部材70の一端部70aが位置決めされる。即ち、中空保持部材70の一端部70aが固定保持部54に保持される。そして、アクチュエータ72を停止する。
そして、駆動用モータ76で中空保持部材70とともに現像スリーブ32を軸芯回りに回転させる。その後、電磁コイル58に三相交流電源85からの電力を印加して、電磁コイル58に回転磁場を発生させる。すると、電磁コイル58の内側に位置する線条材86が自転しながら軸芯回りに公転(回転即ち移動)して、該線条材86が現像スリーブ32の外周面にランダムに衝突して、該現像スリーブ32の外周面を粗面化処理する。
また、前述した回転磁場によって、図9に示すように、線条材86が、長手方向が収容槽59及び現像スリーブ32の径方向などに沿う状態で長手方向の中央部を中心として自転しながら、現像スリーブ32の外周を公転する。このため、図10中実線で示すように、現像スリーブ32の外周面に線条材86の外縁部86aが衝突する。そして、図6及び図7に示すように、現像スリーブ32の外周面に略楕円(長円)形状の凹み39が、ランダムに多数形成される。そして、現像スリーブ32の外周面に形成された略楕円(長円)形状の凹み39は、長手方向が現像スリーブ32の軸方向に沿うものが該現像スリーブ32の周方向に沿うものより多い。
さらに、電磁コイル58に予め定められた所定の時間電力を印加すると、現像スリーブ32の外周面の粗面化処理が終了する。こうして、前述した構成の現像スリーブ32が得られる。
本実施形態によれば、凹み39が現像スリーブ32の外周面の面積の50%以上となる部分に設けられており、凹み39が設けられている部分に現像剤26が吸着し凹み39が設けられていない部分には現像剤26が吸着しないので、現像スリーブ32の外周面の半分以上の部分に現像剤26が吸着することとなり、該現像スリーブ32の外周面に現像剤26を汲み上げて、該現像剤26を感光体ドラム8に確実に搬送できる。
また、凹み39が現像スリーブ32の外周面の面積の95%以下となる部分に設けられ、凹み39が設けられていない部分には現像剤26が吸着しないので、該現像スリーブ32の外周面に汲み上げられた現像剤26が必要以上に密になることを防止でき、現像剤26の磁性キャリア35相互間の摩擦や磁性キャリア35と現像スリーブ32との間の摩擦を抑制できる。よって、経時変化に伴う現像剤26のトナーや磁性キャリア35の劣化を抑制でき、該トナーや磁性キャリア35の劣化に伴う現像剤26の汲み上げ量の低下を抑制できる。したがって、長期間に亘って、適正な量の現像剤26を感光体ドラム8に搬送することができる。さらに、本発明では、凹み39を現像スリーブ32の外周面の面積の65%以上でかつ95%以下となる部分に設けたり、凹み39を現像スリーブ32の外周面の面積の80%以上でかつ95%以下となる部分に設けることが望ましい。こうすることで、長期間に亘って、適正な量の現像剤26を感光体ドラム8により確実に搬送することができる。
現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さが5μm以上であるので、該現像スリーブ32の外周面に現像剤26を確実に汲み上げることができる。現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さが5μm未満であると、該現像スリーブ32の外周面に現像剤26を吸着しておくことが困難となり、現像スリーブ32の回転中に該現像スリーブ32の外周面から現像剤26が脱落してしまうためである。
また、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さが20μm以下であるので、該現像スリーブ32の外周面の凹み39に現像剤26の磁性キャリア35が詰まってしまうことを防止できる。現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さが20μmを越えると、凹み39内に磁性キャリア35などが詰まってしまい、該磁性キャリア35などが詰まった凹み39が現像剤26を搬送できなくなって、該磁性キャリア35などが詰まった凹み39が対応する部分が画像上で印刷されなくなる。このように、画像に印刷されない部分が生じるためである。また、表面粗さとしての十点平均粗さが20μmを越えると、経年変化によって現像スリーブ32の外周面の凹み39の外縁部などが摩耗してしまい、現像剤26の搬送力が低下するためである。
線条材86をランダムに外周面に衝突させて凹み39を形成するので、現像スリーブ32の軸芯が湾曲したり内外径が変化したり断面形状が楕円形状になることを防止できる。則ち、現像スリーブ32の振れ精度を高精度に保つことができる。よって、振れ精度の低下に伴う画像の濃度ムラが生じることを防止できる。
さらに、現像スリーブ32にランダムな凹みが形成されるので、感光体ドラム8に供給される現像剤26の量にムラが生じることを防止でき、形成した画像に濃度のムラが生じることを防止できる。
回転磁場内に位置付けられた線条材86を現像スリーブ32の外周面に衝突させるので、よりランダムに線条材86を現像スリーブ32の外周面に衝突させることとなり、よって、より一様な凹み39を現像スリーブ32の外周面に形成でき、より一様な画像を得ることができる。
また、回転磁場内に線条材86を位置付けることで現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成できるので、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成する際にかかる工程が増加することを防止でき、よって、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成するための工程が煩雑になることを防止でき、加工にかかるコストが高騰することを防止できる。
現像スリーブ32が線条材86とともに収容槽59内に収容されるので、該現像スリーブ32の外周面に線条材86が確実に衝突し、よって、現像スリーブ32の外周面に確実に粗面化処理を施すことができる。
収容槽59内で回転中の現像スリーブ32の外周面に線条材86が衝突するので、より一層ランダムに線条材86が現像スリーブ32の外周面に衝突し、よって、より高精度に保ちながらより一様に凹み39を形成でき、ムラの少ない画像を得ることができる。
線条材86の外径Dが0.5mm以上でかつ1.4mm以下であるので、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さを確実に5μm以上にすることができ、該現像スリーブ32の外周面に現像剤26を確実に汲み上げることができる。
線条材86の全長Lが3.0mm以上でかつ14.0mm以下であるので、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さを確実に5μm以上にすることができ、該現像スリーブ32の外周面に現像剤を確実に汲み上げることができる。
前述した構成の現像装置13は、前述した現像ローラ15を備えているので、経年変化による現像剤26の搬送量の低下を抑制できるとともに、長期間に亘って、適正な量の現像剤を感光体ドラム8に搬送することができる。
また、磁性キャリア35の平均粒径が20μm以上でかつ50μm以下の現像剤26を用いているので、粒状度に優れ、ムラの少ない優れた画像を得ることができる。磁性キャリア35の平均粒径が20μm未満であると、磁性キャリア35一つ一つの磁化の大きさが小さくなるために、磁性キャリア35の現像ローラ15からの磁気的拘束力が弱くなり、該磁性キャリア35が感光体ドラム8に吸着しやすくため、望ましくない。磁性キャリア35の平均粒径が50μmを越えると、磁性キャリア35と感光体ドラム8上の静電潜像との間の電界が疎になるため、均一な画像を得ることができない(画質が劣化する)ため、望ましくない。
また、芯材36の表面を熱可塑性樹脂とメラニン樹脂とを架橋させた樹脂成分に帯電調整剤を含有させた樹脂コート膜37で被覆した磁性キャリア35を有した現像剤26を用いている。このように、芯材36を弾力性を有した樹脂コート膜37で被覆した磁性キャリア35を用いているため、樹脂コート膜37が弾力性を有するので衝撃を吸収して、磁性キャリア35が削られることを防止する。このため、従来の磁性キャリアより長寿命化を図ることができる。
さらに、前述した樹脂コート膜37に、該樹脂コート膜37の厚みより大きなアルミナ粒子38を分散している。このように、樹脂コート膜37の外表面より突出したアルミナ粒子38を設けた磁性キャリア35を有した現像剤26を用いている。このため、該アルミナ粒子38が、樹脂コート膜37への衝突を阻止し、しかもスペント物のクリーニングを行うことができる。
したがって、樹脂コート膜37の削れスペント化を阻止できるので、従来の磁性キャリアに比べ、より長寿命化を図ることができる。したがって、長期間に亘って、トナーの汲み上げ量の安定化則ち高画質化を得ることができる。
トナーが乳化重合法又は懸濁重合法によるものに選定されたことにより、トナーの球形度が良好であるので、画像上に残留する濃度ムラが視認的に改善されるという効果が奏される。
また、前述した現像装置13を有しているため、長期間に亘って高品質な画像が得られるプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6K及び画像形成装置1を提供することができる。
また、図12に示す従来から用いられてきたサンドブラストを施して形成された凹み39aに比べ、本実施形態は、図11に示すように、前述した線条材86を衝突させることで凹み39を滑らかに形成している。
図12に示すサンドブラストを施して形成された凹み39aでは、凹み39a間の間隔が狭いため、磁性キャリア35が、該細かい凹み39a上に乗っかっている状態となる。このため、磁性キャリア35が、凹み39a上を滑り易く、一つ一つの穂がマグネットローラ106からの磁界により磁気モーメントを有しており、同方向の磁気モーメントを有した穂が互いに隣り合った状態となる。このため、穂同士が反発して、互いに離れようとする。この結果、図12に示すサンドブラストを施して形成された凹み39aでは、磁性キャリア35則ち現像剤は、細く長く(現像スリーブ105の外周面上では細く、現像スリーブ105からの突出量が長く)穂立ちする。
このため、図12に示された現像スリーブ105では、汲み上げた現像剤26の量が減少すると、前述した現像スリーブ105の外周側からみた穂立ちした現像剤26の幅則ち面積が著しく小さくなる。
これに対して、本実施形態の前述した線条材86を衝突させることで形成した凹み39間の間隔は、図11に示すように、図12に示す凹み39a間の間隔より遙かに大きいため、本実施形態の凹み39は、図112示す凹み39aより遙かに滑らかである。このため、本実施形態では、一つ一つの凹み39を根として穂立ち形状が形成される。則ち、一つ一つの凹み39上に穂立ちが形成される。
このため、本実施形態では、図12に示された場合より、磁性キャリア35則ち現像剤26は、太く短く(現像スリーブ32の外周面上では太く、現像スリーブ32からの突出量が短く)穂立ちする。このため、本実施形態の現像スリーブ32では、汲み上げた現像剤26の量が減少しても、前述した現像スリーブ32の外周側からみた穂立ちした現像剤26の幅則ち面積が殆ど小さくならない。
このため、本実施形態の現像装置13は、経年変化によって、現像スリーブ32の外周面の凹み39が摩耗して、現像剤26の汲み上げ量が減少しても、現像スリーブ32の外周面に吸着した現像剤26の外周側からみた面積の減少量を抑制できる。したがって、経年変化によって画像のムラが発生することなどを抑制して、長期間に亘って高品質な画像を得ることができる。
さらに、現像スリーブ32と感光体ドラム8との間隔が、0.1mm以上でかつ0.4mm以下であるので、現像スリーブ32に穂立ちした現像剤26からトナーを確実に感光体ドラム8に供給でき、高品質な画像を得ることができる。現像スリーブ32と感光体ドラム8との間隔が、0.1mm未満であると、現像スリーブ32と感光体ドラム8との間の電界が強くなりすぎて、感光体ドラム8上に磁性キャリア35が移動してしまい、望ましくない。現像スリーブ32と感光体ドラム8との間隔が、0.4mmを越えると、現像スリーブ32と感光体ドラム8との間の電界が弱くなりすぎて、感光体ドラム8に供給できるトナーの量が現像して、現像効率が低下するとともに、画像のエッジにおいて電界のエッジ効果が大きくなり均一な画像を得ることができないため、望ましくない。
次に、本発明者らは、前述した構成の線条材86と表面処理装置51とを用いて外周面を粗面化した現像スリーブ32(以下、本発明品と呼ぶ)と、サンドブラスト加工を施して外周面を粗面化した現像スリーブ32(以下、比較例と呼ぶ)との断面曲線を測定した。測定した結果を図11及び図12に示す。図11には本発明品の断面曲線を示し、図12には比較例の断面曲線を示す。図11及び図12によれば、図11に示す本発明品が、図12に示す比較例より表面がなだらかであることが明らかとなった。
また、本発明者らは、前述した構成の線条材86と表面処理装置51とを用いて、加工率が異なる現像スリーブ32を製造し、該現像スリーブ32を用いた際の1枚目の記録紙7を印刷する際の現像剤26の搬送量と、経年変化による現像剤26の搬送量の低下率を測定し、画像を評価した結果を表1に示す。
加工率とは、現像スリーブ32の外周面の面積に対する前述した凹み39が形成された部分の面積の割合を示している。現像剤26の搬送量の低下率とは、1枚目の記録紙7を印刷する際の現像剤26の搬送量に対する例えば100K(京)枚目の記録紙7を印刷する際の現像剤26の搬送量の割合を算出し、該算出した割合を100%から引いた数値を示している。即ち、低下率が大きい程、例えば100K(京)枚目の記録紙7を印刷する際の現像剤26の搬送量が少なくなって、該100K(京)枚目の記録紙7に形成された画像が薄くなることを示している。
この測定の結果によれば、加工率が大きくなる程、1枚目の現像剤26の搬送量が多くなる傾向であることが明らかとなった。加工率が50%以上でかつ95%以下であると低下率が殆ど変化しないことが明らかとなった。また、加工率が95%を越えると、低下率が著しく増加することが明らかとなった。これは、現像剤26が現像スリーブ32の外周面に密に付着するために、現像剤26同士の摩擦によって該現像剤26が劣化するためであると考えられる。
また、この測定の結果によれば、加工率が小さくなる程、1枚目の現像剤26の搬送量が少なくなる傾向であることが明らかとなった。加工率が50%未満であると、1枚目の現像剤26の搬送量が極端に減少してしまうことが明らかとなった。
よって、この測定の結果によれば、加工率を50%以上でかつ95%以下とすることで、1枚目の記録紙7に画像を形成する際にも十分な量の現像剤26を搬送できるとともに、経年変化によっても現像剤26の搬送量が極端に減少してしまうことを防止できることが明らかとなった。即ち、この測定の結果によれば、加工率を50%以上でかつ95%以下とすることで、長期間に亘って、適正な量の現像剤26を感光体ドラム8に搬送できる現像ローラ15及び現像装置13、かかる現像装置13を有するプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6K及び画像形成装置1を提供できることが明らかとなった。さらに、この測定の結果によれば、凹み39を現像スリーブ32の外周面の面積の65%以上でかつ95%以下となる部分に設けたり、凹み39を現像スリーブ32の外周面の面積の80%以上でかつ95%以下となる部分に設けることで、長期間に亘って、適正な量の現像剤26を感光体ドラム8により確実に搬送することができることが明らかとなった。
(比較例1)
比較例1では、現像スリーブ32の外周面の全体に凹凸を形成した。
(比較例2)
比較例2では、前述した線条材86を用いて、現像スリーブ32の外周面の全体に凹み39を形成した。
(比較例3)
比較例3では、前述した線条材86を用いて、加工率が96%となるように、現像スリーブ32の外周面の面積の96%の部分に凹み39を形成した。
(比較例10)
比較例10では、前述した線条材86を用いて、加工率が49%となるように、現像スリーブ32の外周面の面積の49%の部分に凹み39を形成した。
(本発明品1)
本発明品1では、前述した線条材86を用いて、加工率が95%となるように、現像スリーブ32の外周面の面積の95%の部分に凹み39を形成した。
(本発明品2)
本発明品2では、前述した線条材86を用いて、加工率が80%となるように、現像スリーブ32の外周面の面積の80%の部分に凹み39を形成した。
(本発明品10)
本発明品10では、前述した線条材86を用いて、加工率が70%となるように、現像スリーブ32の外周面の面積の70%の部分に凹み39を形成した。
(本発明品11)
本発明品11では、前述した線条材86を用いて、加工率が50%となるように、現像スリーブ32の外周面の面積の50%の部分に凹み39を形成した。
また、表1中の評価基準は、非常に優れるものを◎、実用に耐え得る優れたものを○、実用に耐え得るとともに許容限度内であるが劣るものを△とする。実用に耐えない著しく劣るものを×とする。また、初期画像は、1枚目の記録紙7に形成した画像を示し、50K後画像は、50K(京)枚目の記録紙7に形成した画像を示し、100K後画像は、100K(京)枚目の記録紙7に形成した画像を示している。
表1によれば、初期画像では、いずれの場合も非常に優れるか優れるであることが明らかとなった。また、比較例1ないし3及び10は、100K後画像で劣るか著しく劣ることが明らかとなった。これに対し、本発明品1、2、10及び11は、100K後画像でも優れていることが明らかとなった。このように、現像スリーブ32の外周面の面積の50%以上でかつ95%以下となる部分に凹み39を形成することで、経年変化によっても十分な量の現像剤26を汲み上げる(搬送できる)ことが明らかとなった。
さらに、本発明者らは、前述した構成の線条材86と表面処理装置51とを用いて、表面粗さとしての十点平均粗さが異なる現像スリーブ32を製造し、該現像スリーブ32を用いた際の画像を評価した。結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例4では、前述した線条材86を用いて、表面粗さとしての十点平均粗さが4μmとなるように、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
(比較例11)
比較例11では、前述した線条材86を用いて、表面粗さとしての十点平均粗さが21μmとなるように、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
(本発明品3)
本発明品3では、前述した線条材86を用いて、表面粗さとしての十点平均粗さが8μmとなるように、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
(本発明品4)
本発明品4では、前述した線条材86を用いて、表面粗さとしての十点平均粗さが5μmとなるように、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
(本発明品12)
本発明品12では、前述した線条材86を用いて、表面粗さとしての十点平均粗さが15μmとなるように、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
(本発明品13)
本発明品13では、前述した線条材86を用いて、表面粗さとしての十点平均粗さが20μmとなるように、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
また、表2中の評価基準及び評価項目は、表1と同じである。
表2によれば、比較例4及び11では、いずれの場合も劣るか著しく劣ることが明らかとなった。特に、50K及び100K後画像では、著しく劣ることが明らかとなった。
これに対し、本発明品3、4、12及び13では、いずれの場合も非常に優れるか優れるであることが明らかとなった。このように、現像スリーブ32の外周面に、表面粗さとしての十点平均粗さが5μm以上でかつ20μm以下となるように凹み39を形成することで、経年変化によっても十分な量の現像剤26を汲み上げることができる(搬送できる)現像スリーブ32を得ることができることが明らかとなった。
さらに、本発明者らは、線条材86の外径Dと全長Lとを変化させて、現像スリーブ32を製造し、該現像スリーブ32を用いた際の画像を評価した結果を表3に示す。さらに、線条材86の外径Dと全長Lとを変化させて、現像スリーブ32を製造し、該現像スリーブ32の表面粗さと、線条材86の外径D及び全長Lの関係を測定した。結果を図13及び図14に示す。
(比較例5)
比較例5では、外径Dが0.5mmでかつ全長Lが2mmの線条材86を用いて、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
(比較例6)
比較例6では、外径Dが0.4mmでかつ全長Lが3mmの線条材86を用いて、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
(本発明品5)
本発明品5では、外径Dが0.5mmでかつ全長Lが5mmの線条材86を用いて、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
(本発明品6)
本発明品6では、外径Dが0.5mmでかつ全長Lが3mmの線条材86を用いて、現像スリーブ32の外周面に凹み39を形成した。
また、表3中の評価基準及び評価項目は、表1及び表2と同じである。
表3によれば、比較例5の表面粗さとしての十点平均粗さが3μmとなり、比較例6の表面粗さとしての十点平均粗さが4μmとなった。これに対し、本発明品5の表面粗さとしての十点平均粗さが8μmとなり、本発明品6の表面粗さとしての十点平均粗さが5μmとなった。このため、比較例5及び6は100K後画像が著しく劣るのに対し、本発明品5及び6は100K後画像が非常に優れる又は優れている。このように、線条材86の外径Dを0.5mm以上とし全長を3mm以上とすることで経年変化によっても、優れた画像を得ることができることが明らかとなった。
また、図13では、全長Lが3mmの線条材86の外径Dの変化に対する現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さの変化を測定した。図13によれば、外径Dが0.5mm以上でかつ1.4mm以下の線条材86を用いることで、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さを5μm以上とすることができることが明らかとなった。即ち、外径Dが0.5mm以上でかつ1.4mm以下の線条材86を用いることで、経年変化によっても十分な量の現像剤26を汲み上げることができる(搬送できる)現像スリーブ32を得ることができることが明らかとなった。
さらに、図13によれば、外径Dが0.8mm以上でかつ1.1mm以下の線条材86を用いることで、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さを8μm以上とすることができることが明らかとなった。即ち、外径Dが0.8mm以上でかつ1.1mm以下の線条材86を用いることで、経年変化によっても十分な量の現像剤26を確実に汲み上げることができる(搬送できる)現像スリーブ32を得ることができることが明らかとなった。
また、図14では、外径Dが0.5mmの線条材86の全長Lの変化に対する現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さの変化を測定した。図14によれば、全長が3.0mm以上でかつ14.0mm以下の線条材86を用いることで、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さを5μm以上とすることができることが明らかとなった。即ち、全長Lが3.0mm以上でかつ14.0mm以下の線条材86を用いることで、経年変化によっても十分な量の現像剤26を汲み上げることができる(搬送できる)現像スリーブ32を得ることができることが明らかとなった。
さらに、図13によれば、全長Lが5.0mm以上でかつ11.5mm以下の線条材86を用いることで、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さを8μm以上とすることができることが明らかとなった。即ち、全長Lが5.0mm以上でかつ11.5mm以下の線条材86を用いることで、経年変化によっても十分な量の現像剤26を確実に汲み上げることができる(搬送できる)現像スリーブ32を得ることができることが明らかとなった。
さらに、図13によれば、全長Lが7.0mm以上でかつ9.0mm以下の線条材86を用いることで、現像スリーブ32の外周面の表面粗さとしての十点平均粗さを12μm以上とすることができることが明らかとなった。即ち、全長Lが7.0mm以上でかつ9.0mm以下の線条材86を用いることで、経年変化によっても十分な量の現像剤26をより一層確実に汲み上げることができる(搬送できる)現像スリーブ32を得ることができることが明らかとなった。
また、本発明者らは、磁性キャリア35の平均粒径の異なる現像剤26を用いて画像を形成した結果を表4に示す。
(比較例7)
比較例7では、前述した表1中の本発明品1の現像スリーブ32と、磁性キャリア35の平均粒径が52μmの現像剤26を用いて画像を形成した。
(比較例8)
比較例8では、前述した表1中の比較例1の現像スリーブ32と、磁性キャリア35の平均粒径が30μmの現像剤26を用いて画像を形成した。
(比較例9)
比較例9では、前述した表1中の本発明品1の現像スリーブ32と、磁性キャリア35の平均粒径が19μmの現像剤26を用いて画像を形成した。
(本発明品7)
本発明品7では、前述した表1中の本発明品1の現像スリーブ32と、磁性キャリア35の平均粒径が49μmの現像剤26を用いて画像を形成した。
(本発明品8)
本発明品8では、前述した表1中の本発明品1の現像スリーブ32と、磁性キャリア35の平均粒径が30μmの現像剤26を用いて画像を形成した。
(本発明品9)
本発明品9では、前述した表1中の本発明品1の現像スリーブ32と、磁性キャリア35の平均粒径が21μmの現像剤26を用いて画像を形成した。
また、表4中の評価基準及び評価項目は、表1ないし表3と同じである。
表4によれば、比較例7ないし9が劣る又は著しく劣るのに対し、本発明品7ないし9が非常に優れる又は優れることが明らかとなった。このように、平均粒径が、20μm以上でかつ50μm以下の磁性キャリア35を含んだ現像剤26を用いることが良好な画像を得ることができることが明らかとなった。
なお、本発明では平均粒径が3μm以上でかつ7μm以下のトナーを用いる。トナーの粒径が7μmを越えると画質が劣化し、トナーの粒径が3μm未満であると、磁性キャリアからトナーが離脱しやすくなり、トナー飛散と呼ばれる現象が発生しやすくなるためである。
また、本発明では、図8(a)に示された回転磁場を発生させる表面処理装置51を用いている。しかしながら、本発明では、回転磁場を発生させる表面処理装置51の他に種々の表面処理装置を用いても良い。要するに、本発明では、前述した体積の線条材86を現像スリーブ32の外周面に衝突させて粗面化処理を施せば良い。
前述した実施形態では、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kはカートリッジケース11と帯電ローラ9と感光体ドラム8とクリーニングブレード12と現像装置13とを備えている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは少なくとも現像装置13を備えていれば良く、カートリッジケース11と帯電ローラ9と感光体ドラム8とクリーニングブレード12を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施形態では画像形成装置1は装置本体2に着脱自在なプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置1は現像装置13を備えていれば良く、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを必ずしも備えていなくても良い。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。