JP4681756B2 - 露光装置およびデバイス製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置およびデバイス製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、半導体製造用等の露光装置において、急激な需要の増加に対応するための生産性の向上と、高集積化の要求に伴なう高精度化や高機能化が要求されており、より高いスループットと高い転写性能を有する露光装置の開発が望まれている。
【0003】
このような露光装置においてウエハ等基板を保持する基板保持装置は、所定の真空吸着力によって基板であるウエハを吸着するウエハチャック等を備えており、ウエハチャックは、露光装置のフォーカス位置から離れたウエハ供給位置において、搬送ハンドからウエハを受け取り、前記真空吸着力によってウエハを吸着保持してフォーカス位置へ移動し、露光終了後はフォーカス位置からウエハ回収位置に移動してウエハを回収する工程を繰り返し行なう。
【0004】
従来の露光装置では、ウエハチャック上へウエハを吸着するための真空吸着力を発生させる吸着ラインは1系統で、ON/OFFの切換で一定の真空吸着力を発生させるだけであり、そのため、搬送ハンドからウエハを受け取ってフォーカス位置へ運び、露光を終えてウエハ回収位置に移動させるまでの間、どのシーケンスにおいてもウエハチャック上のウエハを吸着する真空吸着力は同じであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術によれば、ウエハチャック上へのウエハの真空吸着力をON/OFFの切換のみによって制御するものであるため、供給されたウエハを露光してウエハ回収位置に搬送する間ずっと大きな真空吸着力を保つことになる。ところが、ウエハ供給位置からフォーカス位置へウエハを運び、露光を終えたウエハをウエハ回収位置に搬送するまでの間の各シーケンスにおける必要真空吸着力には違いがあり、一定の真空吸着力では、特にウエハを搬送ハンドから受け取ってフォーカス位置へ移動する間、およびフォーカス位置からウエハ回収位置へウエハを移す間は、必要以上の真空吸着力でウエハチャックにウエハを吸着してしまう結果となり、ウエハの受け渡し作業においては、吸着確認時間や、真空吸着力を解除してウエハを開放する時の圧力確認時間が長くなり、スループットを低下させる。
【0006】
また、シーケンスにより最適な真空吸着力に制御することができず、装置全体としてのバキューム源にかかる負担が大きく、他のバキューム系に影響を与えていた。
【0007】
本発明は、スループットの点で有利な露光装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の露光装置は、基板を保持する保持面を有する保持盤と、該保持盤の前記保持面に発生する真空吸着力を変化させる可変機構と、前記保持盤を搭載するステージとを有し、前記ステージは、搬送系から供給された基板を前記保持盤上に保持する供給位置と前記保持盤上に保持された基板を露光するフォーカス位置との間を移動する、露光装置であって、
前記供給位置から前記フォーカス位置へ前記ステージが移動する間に前記真空吸着力を前記可変機構により大きくすることを特徴とする。
【0016】
【作用】
ウエハチャック等の保持盤の真空吸着力発生部を、例えば2系統の吸着ラインに選択的に接続できるように構成し、基板であるウエハ等をウエハ供給位置からフォーカス位置へ運ぶ工程や、フォーカス位置からウエハ回収位置へ運ぶ工程では、ウエハチャックからウエハが落ちないだけの弱い真空吸着力でウエハを吸着保持し、フォーカス位置においては、ウエハの平坦化や露光中の安定保持のための強い真空吸着力でウエハを吸着するように、少なくとも2段階に真空吸着力の切り換えを行なう。
【0017】
ウエハの供給時には弱い真空吸着力で吸着するため、吸着保持確認時間が短縮され、フォーカス位置へ移動する間に真空吸着力の切り換えを行なって、ウエハの露光時には強い真空吸着力でウエハの平坦化を行ない、ウエハを安定保持して位置決めを高精度で行なうことができる。
【0018】
また、露光を終えたウエハをフォーカス位置からウエハ回収位置に移動させる間に弱い真空吸着力に切り換えておき、吸着解除のための真空破壊にかかる時間を短縮する。
【0019】
このようにして、真空吸着力のON/OFFに費やす時間を大幅に短縮し、露光装置のスループットを向上させることができる。
【0020】
加えて、強い真空吸着力を保つ時間も短縮されるため、装置全体のバキューム源にかかる負担を低減できるという利点もある。
【0021】
このような露光装置を用いることで、半導体デバイス等の生産性向上に貢献できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は第1の実施の形態を説明するもので、同図の(a)に示すように、露光装置のXYステージ等のウエハステージに搭載された保持盤であるウエハチャック1と、その保持面である吸着面1aに、基板であるウエハを吸着するための真空吸着力を発生する真空吸着力発生部である配管2a、2bと、配管内の圧力を検出する圧力センサ3を有する吸着部10を備えている。
【0024】
ウエハチャック1の吸着面1aに真空吸着力を発生させる配管2a、2bの負圧は、図1の(b)に示す吸着力可変機構20を介して供給される。吸着力可変機構20は、装置のバキューム源4から供給される真空圧を2系統の吸着ライン21a、21bに分けて、コントローラ5によりどちらかのラインを、切換手段である電磁弁22を操作することで選択して、ウエハチャック1上の真空吸着力を2段階に変化させる。各吸着ライン21a、21bによる真空吸着力は、レギュレータ23a、23bによって所定の2段階の真空吸着力に調整される。
【0025】
露光装置において、ウエハステージ上のウエハチャック1にウエハを搬送系から供給する際は、ウエハチャック1上に搬送されたウエハを第1の吸着ライン21aによって弱い真空吸着力で吸着させる。このとき、圧力センサ3によって真空吸着力を監視しながらウエハチャック1にウエハが吸着しているかどうか判断し、次のシーケンスに進む。この間、ウエハチャック1上のウエハを吸着する真空吸着力は、ウエハステージの駆動に耐え得る力さえあればよいので、吸着力可変機構20の第1の吸着ライン21aに設定されている弱い真空吸着力を用いる。
【0026】
このようにウエハチャック1上にウエハがステージの駆動に耐え得るだけの吸着力で吸着したら、ウエハステージは駆動を開始し、ウエハ供給位置からフォーカス位置まで移動する。その間に、ウエハチャック1上でウエハを吸着している真空吸着力を吸着力可変機構20の第2の吸着ライン21bの強い真空吸着力に切り換えるように電磁弁22を作動させる。露光時吸着力に設定されている第2の吸着ライン21bによる真空吸着力は、ウエハの平面度矯正も考えて、ウエハ供給回収時に設定されている吸着力よりも大きいものに設定しておく。
【0027】
露光を終了後、ウエハ回収位置へ移動する間に、再び吸着力可変機構20の第1の吸着ライン21aに切り換える。
【0028】
このように、吸着力可変機構20の内部でバキューム源4からの真空圧を、レギュレータ23a、23bにより2系統の吸着ライン21a、21bに必要な値に設定しておき、この2系統を電磁弁22によって切り換えるものであるため、瞬時に真空吸着力を変更できる。すなわち、余分なタイムラグが発生することなく真空吸着力を適切な値に変更することが可能である。
【0029】
本実施の形態によれば、ウエハ供給位置およびウエハ回収位置においてウエハの受け渡しを行なうときは、フォーカス位置における真空吸着力より低い真空吸着力でウエハが吸着されているため、真空吸着力の発生および解除の確認までに必要な時間を大幅に短縮することができる。すなわち、ウエハの供給時には低い真空吸着力を発生させればよいから、真空吸着力発生に要する時間が短くてすみ、またウエハの回収時にも同様に真空破壊に要する時間が短くてすむ。
【0030】
フォーカス位置に移動する間に吸着ラインの切り換えを行なうことで、露光装置のスループットを大きく改善できる。また、高い真空圧を必要とする時間が短縮されることで、バキューム源の負担軽減にも貢献できる。
【0031】
図2は第2の実施の形態を示すもので、吸着力可変機構30は、装置外部のバキューム源4から供給される真空圧をまず電磁弁32によって2系統の吸着ライン31a、31bに分けて、どちらかのラインを電磁弁32の操作によって選択することにより、ウエハチャック1の吸着部10の真空吸着力を変化させる。各吸着ライン31a、31bによる真空吸着力は、レギュレータ33a、33bによって2段階の真空吸着力に調整される。吸着ライン31a、31bの切り換えによる真空吸着力の制御は、第1の実施の形態と同様である。
【0032】
このように、吸着力可変機構30の内部でバキューム源4からの真空圧をレギュレータ33a、33bによる2系統の吸着ライン31a、31bに必要な値に設定し、2系統を電磁弁32によって切り換えるものであるため、瞬時に真空吸着力を変更できる。すなわち、余分なタイムラグが発生することなく真空吸着力を任意に変更することが可能である。
【0033】
図3は第3の実施の形態を示すもので、ウエハチャック1上への真空吸着力である負圧は、装置外部のバキューム源4から供給され、吸着力可変機構を構成するサーボバルブ40を介して圧力値を変更し、ウエハチャック1上のウエハを吸着する真空吸着力を無段階に変化させることが可能である。
【0034】
半導体露光装置において、ウエハステージのウエハチャック1上にウエハを搬送系から供給する際、ウエハチャック1上にウエハを吸着させるための真空吸着力を監視しながらウエハチャック1にウエハが吸着しているかどうか判断し、次のシーケンスに進む。この時ウエハチャック1の真空吸着力はウエハステージの駆動に絶え得る力さえあればよいので低い真空吸着力にサーボバルブ40を制御する。
【0035】
ウエハチャック1上にウエハがステージの駆動に絶え得るだけの真空吸着力で吸着したら、ウエハステージは駆動を開始し、フォーカス位置まで移動する。その間に、サーボバルブ40の制御によって露光時吸着力に設定されている真空吸着力に変更する。露光時の真空吸着力は、ウエハの平面度矯正も考えてウエハ供給回収時に設定されている真空吸着力よりも大きいものに設定しておく。
【0036】
本実施の形態によれば、任意のレベルに制御可能なサーボバルブを設置することにより、シーケンス上で自由に真空吸着力を制御することが可能となり、バキューム源4の圧力が変動した時の対応が容易である。
【0037】
次に上記説明した露光装置を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図4は半導体デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、あるいは液晶パネルやCCD等)の製造フローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形成した原版であるマスクを製作する。ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組立)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0038】
図5は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を成膜する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置の露光手段である投影レンズ系によってマスクの回路パターンを縮小し、ウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成される。本実施例の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを製造することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、スループットの点で有利な露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による露光装置の基板保持装置を示すもので、(a)は吸着部であるウエハチャックの構成を示す図、(b)は吸着力可変機構を説明する図である。
【図2】第2の実施の形態を示す図である。
【図3】第3の実施の形態を示す図である。
【図4】半導体製造プロセスを示すフローチャートである。
【図5】ウエハプロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ウエハチャック
2a、2b 配管
3 圧力センサ
4 バキューム源
5 コントローラ
20、30 吸着力可変機構
21a、21b、31a、31b 吸着ライン
22、32 電磁弁
23a、23b、33a、33b レギュレータ
40 サーボバルブ
Claims (3)
- 基板を保持する保持面を有する保持盤と、該保持盤の前記保持面に発生する真空吸着力を変化させる可変機構と、前記保持盤を搭載するステージとを有し、前記ステージは、搬送系から供給された基板を前記保持盤上に保持する供給位置と前記保持盤上に保持された基板を露光するフォーカス位置との間を移動する、露光装置であって、
前記供給位置から前記フォーカス位置へ前記ステージが移動する間に前記真空吸着力を前記可変機構により大きくする、ことを特徴とする露光装置。 - 基板を保持する保持面を有する保持盤と、該保持盤の前記保持面に発生する真空吸着力を変化させる可変機構と、前記保持盤を搭載するステージとを有し、前記ステージは、搬送系から供給された基板を前記保持盤上に保持する供給位置と前記保持盤上に保持された基板を露光するフォーカス位置との間を移動する、露光装置であって、
前記フォーカス位置から前記供給位置へ前記ステージが移動する間に前記真空吸着力を前記可変機構により小さくする、ことを特徴とする露光装置。 - 請求項1または請求項2に記載の露光装置によって基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、を有することを特徴とするデバイス製造方法。
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