JP4681414B2 - 車速検出装置及びナビゲーション装置 - Google Patents
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Description
そして、このようなスイッチを用いて生成される車速パルス信号においては、パルス発生前後において信号レベルが不安定にばたつくチャタリングが発生してしまうことがある。なお、このようなチャタリングは、機械式スイッチを用いて車速パルス信号を生成する場合に顕著に表れる。
しかし、このマスク時間の適正値は、車速パルス信号の1パルス当たりの移動距離に応じて異なったものとなる。すなわち、チャタリング発生期間が長い車速パルス信号に合わせてチャタリングを除去できるようにマスク時間を設定すると、このマスク時間以下のパルス幅のパルスを持つ車速パルス信号に対しては、パルス数の計数を行うことができなくなってしまう。また、逆に、短いパルス幅のパルスを持つ車速パルス信号に合わせてチャタリングを除去できるようにマスク時間を設定すると、チャタリング発生期間が長い車速パルス信号に対してはチャタリングを除去することができなくなってしまう。なお、一般的に、車速パルス信号には、一定範囲のDUTY比が求められるので、同車速で比較した場合には、1パルス当たりの移動距離が大きいほど、パルス幅は長くなる。また、1パルス当たりの移動距離が大きいほど、当該車速パルス信号に発生するチャタリングの発生時間長は長くなる傾向がある。たとえば、一般的に言って、機械式スイッチを用いて車速パルス信号を生成する場合には、機械式スイッチの感度上の制限より、1パルス当たりの移動距離は大きく設定されることが多い。そして、機械式スイッチを用いて車速パルス信号を生成する場合には、機械式スイッチの構造上、チャタリング発生時間長は長くなる。
図1に、本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す。
図示するように、ナビゲーション装置1は、自動車に組み込まれた車速センサ2と接続されている。ここで、車速センサ2は、車両が所定距離移動する毎にパルスを発生する車速パルス信号SPLinをナビゲーション装置1に出力する。
次に、ナビゲーション装置1は、車速検出部10と、操作部101と、表示装置102と、GPS受信機103と、ジャイロなどの角加速度センサを用いて車両の進行方位を検出する方位センサ104と、地図を表す地図データを記録したDVD-ROMなどである地図データ記憶部105と、現在状態算出部106と、ルート探索部107と、メモリ108と、制御部109と、案内画像生成部110と、操作部101や表示装置102を用いたGUIをユーザに提供するGUI制御部111とを有する。
すなわち、車速検出部10は、車速センサ2の出力する車速パルス信号SPLinに基づいて自動車の車速を検出する。
現在状態算出部106は、車速検出部10が検出した車速や方位センサ104が検出した進行方位の履歴より推定される現在位置や、GPS受信機103の出力から推定される現在位置に対して、地図データ記憶部105から読み出した地図データが示す、前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ108に設定する。
図1に戻り、車速検出部10は、距離補正係数レジスタ11、マスクレンジレジスタ12、車速変換部13、チャタリング除去部14とを有する。
このような構成において、チャタリング除去部14は、マスクレンジレジスタ12に制御部109によって設定されたマスクレンジよって定まるマスク時間長以内の、車速パルス信号SPLinの信号レベルの変化をマスクすることにより、車速パルス信号SPLinに発生したチャタリングを除去する。そして、車速変換部13は、チャタリングが除去された車速パルス信号SPLout上のパルスの単位時間あたりの発生数を計数し、計数した単位時間当たりのパルス数に、距離補正係数レジスタ11に制御部109によって設定された距離補正係数に定数(0.3925m)を乗じて求まる距離変換係数を乗じて車速を算出し、現在状態算出部106に出力する。なお、距離補正係数に乗じる定数(0.3925m)は、距離変換係数(車速パルス信号の1パルス当たりの車両の移動距離)の代表的な値の一つとなっている。なお、距離変換係数の範囲は、現状、およそ、0.7849m-0.042mとなっている。また、これに伴い、距離補正係数の範囲は、およそ、2.0-0.115の範囲となっている。
図示するように、チャタリング除去部14は、ラッチ141、カウンタ142、コンパレータ143を用いて構成される。ラッチ141は、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinの周波数に比べ充分に高い周波数を持つシステムクロックSYSCLKで、車速パルス信号SPLoutをラッチする。コンパレータ143は、マスクレンジレジスタ12に設定されたマスクレンジMSKRとカウンタ142の出力するカウント値COを比較し、両者が不一致の期間は出力をLベルとし、両者が一致する期間は出力をHレベルとする。ここで、このコンパレータ143の出力が、チャタリングを除去した車速パルス信号SPLoutとなる。
図示した例は、マスクレンジレジスタ12にマスクレンジMSKRとしてn+1が設定されている場合の例である。
図示するように、このようなチャタリング除去部14によれば、期間T1に示すように、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinがLレベルであり、これをラッチするラッチ141の出力LOもLレベルであるときには、カウンタ142のカウント値COが0にリセットされ続け、これにより、カウント値COとマスクレンジMSKRの不一致を検出するコンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutもLレベルとなる。
まず、制御部109の距離補正係数レジスタ11への距離補正係数の設定動作について説明する。
制御部109は、距離補正係数レジスタ11への距離補正係数の設定のために距離補正係数更新処理を行う。そして、この距離補正係数更新処理では、距離補正係数の適正値を推定し、推定した適正値に、距離補正係数レジスタ11の距離補正係数を更新する処理を繰り返し行う。ただし、距離補正係数更新処理では、距離補正係数の適正値の推定を繰り返し行いつつ、適正値を推定した各回のうちの、推定した適正値と、現在、距離離補正係数レジスタに設定している距離補正係数との差のレベルが所定レベル以上大きかった回においてのみ、推定した適正値への、距離補正係数レジスタ11の距離補正係数の更新を行うようにしてもよい。
学習レベルは、100%を最大値として、{(現在までに行った距離補正係数の適正値の推定回数×100)/所定回数}%として管理する。
さて、次に、制御部109によるマスクレンジレジスタ12へのマスクレンジ設定動作について説明する。
制御部109は、マスクレンジレジスタ12へのマスクレンジ設定のために、図4に示すマスクレンジ更新処理を行う。
ここで、このマスクレンジ更新処理は、ナビゲーション装置1が起動されると開始される。
さて、図示するように、このスクレンジ更新処理では、処理を開始すると、まず、マスクレンジレジスタ12にマスクレンジMSKRとして100μsを設定する(ステップ402)。そして、現在の学習レベルが50%を超えているかどうかを調べ(ステップ404)、現在の学習レベルが50%を超えていない場合には、ステップ406に進む。
ここで、車速パルス検出エラーは、自動車が走行しているにもかかわらず、車速変換部13が出力する車速が0である場合に、車速パルス検出エラーが発生したと判定することにより検出する。また、自動車が走行しているかどうかは、たとえば、GPS受信機103の測位した現在位置の変化や、GPS受信機103が測定した車速より判定する。
なお、以上のマスクレンジ更新処理において、学習レベルが50%を超えていない場合には(ステップ404、412)、マスクレンジレジスタ12のマスクレンジMSKRの更新を行わないようにしたのは、学習レベルが50%を超えていない場合には、距離補正係数が適正値に収束していない蓋然性が少なからず存在するために、この距離補正係数に従って、マスクレンジレジスタ12のマスクレンジMSKRの更新を行うと、不適切なマスクレンジMSKRを設定してしまう可能性があるためである。
そして、図5に、各距離変換係数に対して本実施形態において設定されるマスク時間と、車速パルス信号のパルスのDUTY比が50±15%とした場合の時速250km/sにおけるパルス幅の最小値との関係を示すように、約0.05以上の範囲においてマスク時間は、パルス幅の最小値よりも大きい値をとる。したがって、おおよそありえる全速度域において、本実施形態によるマスク時間の設定によって、車速パルス信号の計数すべきパルスがマスクされてしまうことが抑止されることになる。
以上のように、本実施形態によれば、車速パルス信号の1パルス当たりの移動距離の如何に関わらずに、チャタリングの除去とパルスの計数を適正に行うことができる。
Claims (9)
- 自動車が一定距離走行する毎にパルスが出現する車速パルス信号に基づいて、当該自動車の車速を検出する、自動車に搭載される車速検出装置であって、
前記車速パルス信号の、設定されたマスク時間内の信号レベルの変化をマスクするマスク手段と、
前記マスク手段が前記マスク時間内の信号レベルの変化をマスクした前記車速パルス信号に単位時間当たりに出現したパルス数に、設定された距離変換係数を乗じて、前記車速を算出する車速変換手段と、
前記車速変換手段が算出した車速が、実際の自動車の車速に整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新する距離変換係数更新手段と、
前記距離変換係数更新手段が更新した距離変換係数に応じて、距離変換係数が大きいほど長くなるように更新後マスク時間を算出し、算出した更新後マスク時間に、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を更新するマスク時間更新手段とを有することを特徴とする車速検出装置。 - 請求項1記載の車速検出装置であって、
前記マスク時間更新手段は、算出する前記更新後マスク時間の最大値を予め定めた第1の時間に制限し、算出する更新後マスク時間の最小値を前記第1の時間より小さい予め定めた第2の時間に制限しつつ、前記更新後マスク時間を算出することを特徴とする車速検出装置。 - 請求項1または2記載の車速検出装置であって、
前記マスク時間更新手段は、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間と、前記更新後マスク時間との差が、所定のしきい値より小さくなる場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間の更新を行わないことを特徴とする車速検出装置。 - 請求項1、2または3記載の車速検出装置であって、
前記マスク時間更新手段は、前記距離変換係数更新手段が更新した距離変換係数が、当該更新前の距離変換係数から予め定めたレベル以上、減少方向に変化している場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を、マスク時間の最小時間として予め定めた時間に更新することを特徴とする車速検出装置。 - 請求項1、2、3または4記載の車速検出装置であって、
前記車速変換手段における、前記マスク手段が前記マスク時間内の信号レベルの変化をマスクした前記車速パルス信号に出現するパルスの検出不能エラーを検出するパルスレスエラー検出手段を有し、
前記マスク時間更新手段は、前記パルスレスエラー検出手段が前記検出不能エラーを検出した場合に、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を、マスク時間の最小時間として予め定めた時間に更新することを特徴とする車速検出装置。 - 請求項1、2、3、4または5記載の車速検出装置であって、
前記距離変換係数更新手段が更新した前記距離変換係数の確からしさのレベルを算定する尤度算定手段を有し、
前記マスク時間更新手段は、前記尤度算定手段が算定した確からしさのレベルが所定のレベル以下であった場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間の更新を行わないことを特徴とする車速検出装置。 - 請求項1、2、3、4、5または6記載の車速検出装置であって、
現在位置の測位を行う測位手段を有し、
前記距離変換係数更新手段は、前記測位手段が測位した現在位置の変化より推定される実際の自動車の車速に、前記車速変換手段が算出した車速が整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新することを特徴とする車速検出装置。 - 請求項1、2、3、4、5または6記載の車速検出装置であって、
受信電波を利用して前記自動車の車速の測定を行う車速測定手段を有し、
前記距離変換係数更新手段は、前記車速測定手段が測定した車速に、前記車速変換手段が算出した車速が整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新することを特徴とする車速検出装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の車速検出装置と、
前記車速検出装置が検出した車速を参照して、前記自動車の現在位置を推定する現在位置算出手段と、
地図上に、前記現在位置算出手段が算出した現在位置を表した案内画像を表示する案内手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
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