JP4680910B2 - シール構造、流体機器、集積弁及びシール部材 - Google Patents
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Description
流路ブロック1101と流体機器1102のボディ1121には流路1111,1112が形成され、両流路同士が接続される流路接続部分にはOリング1103を装填するためのスペースをもったシール保持部1130が形成され、流体機器1102を流路ブロック1101に連結する場合にはそこにOリング1103が挟み込まれる。Oリング1103はゴム材によって形成されたものであり、その形状は図27に破線で示すように円形であるが図示するように押し潰されて変形し、流路ブロック1101と流体機器1102のボディ1121に密着する。そのため、流路の接続部分が気密にシールされて流れる液体が漏れ出ないようになる。
(1)流路接続部分に流路内側に開放して形成された環状のシール保持部に挟み込まれて弾性変形し、流路接続部分を気密にシールするシール部材において、前記シール保持部に密着してシール面を形成する第1側面と第2側面を有し、前記第1側面と前記第2側面の内側を接続する内側面に、前記第1側面から前記第2側面へと小径になるテーパが形成され、前記第1側面と前記第2側面の外側を接続する外側面に、係合部が前記第1側面寄りに突設されていることを特徴とする。
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、前記第1側面と前記第2側面の内側面側端部が軸方向に最も張り出していることを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)に記載の発明のいずれか一つにおいて、前記第1側面及び前記第2側面が内側面側端部から所定位置まで平ら状、テーパ状又は円弧状に形成されていることを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)に記載するシール部材のいずれか一つにおいて、
前記係合部にスリットが設けられていることを特徴とするシール部材。
(6)(1)乃至(5)に記載するシール部材のいずれか一つを備えるシール構造において、
前記シール部材を前記シール保持部に挟み込んで前記係合部を押し潰した状態で配設すると、該シール部材が、内側面の第1側面側を内側に押し出し、外側面を外押え面に当接することを特徴とするシール構造。
なお、シール部材とは、流路接続部分をシールする部材であり、ゴム製のパッキンやガスケットのように弾性変形するものと、樹脂製や金属製のパッキンやガスケットのように塑性変形するものを含むものとする。
まず、本発明の第1参考形態について図面を参照して説明する。図1は、シール部材であるリング状のパッキンをシール部分に装着した状態を示した第1参考形態のシール構造の断面図である。このシール構造は、従来例と同様に図25に示す集積弁1001に設けられ、さらには図26に示すように集積弁1001を構成する流路ブロック1101上に流体機器1102を取り付ける場合のシール部分に構成されるものである。なお、この流路ブロック1101や流体機器1102のボディ1121は、四フッ化エチレン樹脂(PFA,PTFE)で形成され、パッキン(特許請求の範囲の「シール部材」に相当。)110は弾性を有する材料(FFKM(パーフロロゴム)等のゴム、未焼成PTFE(未焼成フッ素樹脂))で形成されたものである。この点、従来や第2参考形態のOリング1103も同じゴム(FFKMなど)で形成されたものである。
また、本参考形態のシール構造では、パッキン110が流路ブロック1101側により多くの面積で接触して圧着されているため、流体機器1102を取り外した場合にパッキン110が持って行かれることなく脱落が防止され、流体機器1102の交換などの際に起こり得るパッキン110の付け忘れが防止できる。
次に本発明の第2参考形態について図面を参照して説明する。図3は、本参考形態のシール構造を示した断面図である。このシール構造は、シール部材として従来と同様に断面が円形のOリング1103が使用され、流路ブロック1101と流体機器1102のボディ1121に形成されたOリング1103を保持するシール保持部230の形状に特徴を有する。
先ず、従来のようにOリング1103を単に上下から押しつぶすと、その断面は図27に示すように楕円形になる。そのため、シール保持部230の流路150側開放部分が広いと、楕円形状に弾性変形したOリング1103の先端部分との間が大きく空いた滞留部1150(図27参照)ができてしまう。そこで本参考形態では、上下に押しつぶされるOリング1103の弾性変形形状に対応させてシール保持部230の流路150側を狭くするように、上押え面231と下押え面232には流路ブロック1101とボディ1121との両方にテーパ面235が形成されている。
テーパ面235の先端部分とOリング1103との僅かな隙間は流路150の一部となるため、本来ならば流路面152と面一なることが望ましいが、断面が円形のOリング1103であるため僅かに凹みができてしまう。しかしながら本参考形態のシール構造によれば、その凹みに液体が入り込んだとしても液体の流れによって押し流されて滞留してしまうことはない。
次に本発明の第3参考形態について図面を参照して説明する。
本参考形態のシール構造及びシール部材は、第1参考形態のシール構造及びパッキン110を改良したものである。第1参考形態のシール構造及びパッキン110の耐圧性を出願人らが測定したところ、流体圧が例えば、0.1MPa以上の高圧になると、流体漏れを生じることが判明した。これは、パッキン110が段差部111aと溝部112aを形成され、内側面114に高圧流体の圧力が作用すると、パッキン110が径方向外側に向かって歪んでシール保持部120内に入り込み、シール面を位置ずれさせるためと考えられる。内側面114の加圧を繰り返すと、シール面が内径方向及び外径方向の移動を繰り返し、流体をシール面の外部に掻き出して流体漏れを生じさせるおそれがある。また、シール面が外径方向へ移動すると、流路面151上に段差が生じて滞留部を発生させ、シール性能を低下させるおそれがある。そこで、本参考形態は、ゴム部材312の外周に樹脂製の芯部材を一体成形したガスケット(「シール部材」に相当。)310を流路シール構造(「シール構造」に相当。)301に用いた点に特徴を有する。
本参考形態の流路シール構造301は、従来例と同様に図25に示した集積弁1001に設けられ、さらには図26に示すように、集積弁1001を構成する流路ブロック1101上に流体機器1102を取り付ける場合のシール部分に構成されるものである。流路シール構造301は、第1流路ブロック302と第2流路ブロック303との間でガスケット310を狭持して、流体漏れを防止する構造をなす。なお、本参考形態では、第1流路ブロック302が流体機器1102のボディ1121(図26参照)に相当し、第2流路ブロック303が流路ブロック1101(図26参照)に相当するものとする。
ガスケット310は、樹脂製の芯部材311と、芯部材311の内周にインサート成形によって成形されたゴム部材312とを備える。芯部材311の内周にゴム部材312を設けるのは、接液面に弾性力のあるゴム部材312を配置して、シール性を確保するためである。ガスケット310は、環状をなし、第1,第2流路304,306(図4参照)の位置合わせをするために、外径が第1,第2ガスケット凹部305,307の直径と略同径に設定される一方、ゴム部材312が第1,第2ガスケット凹部305,307の間で狭持されたときに第1,第2流路304,306側にはみ出すことを防止するために、ゴム部材312の潰し量を考慮して、内径が第1,第2流路304,306より大きく設定されている。
図7に示すように、第1流路ブロック302の第1ガスケット凹部305にガスケット310を嵌め合わせてから、第1流路ブロック302を第2流路ブロック303に取り付ける。すなわち、係合部323を第1ガスケット凹部305との間で撓ませながら、外周位置決め部313を第1ガスケット凹部305に嵌め合わせ、ガスケット310を第1ガスケット凹部305内に挿入する。ガスケット310は、外周位置決め部313の外周面を第1ガスケット凹部305の外側面305aに当接させて位置決めされた後、ゴム部材312の上側面316を第1ガスケット凹部305の所定位置に当接させ、その後、係止突起314を第1ガスケット凹部305の底面に突き当てるように押し込まれてゴム部材312を変形させる。この場合、ゴム部材312は、係止突起314によって係止突起314の外側と内側とに力を伝え難くなっているため、第1ガスケット凹部305から上側面316に伝わる力は、係止突起314に遮られて、内側面318側に作用し、図8に示すように、ゴム部材312が内側面318側に膨らむように変形する。ただし、この時点ではまだ、内側面318は第1流路304の流路面と連続しておらず、第1ガスケット凹部305とガスケット310との間に段差がある。
また、ガスケット310の芯部材311が、外周に第1ガスケット凹部305と第2ガスケット凹部307と嵌合することにより、第1流路304と第2流路306を位置決めする外周位置決め部313を備えたことにより、樹脂成形品である芯部材311、第1,第2流路ブロック302,303を互いに当接させて位置決めするため、第1流路304、第2流路306、ガスケット310のシール面、第1ガスケット凹部305の外側面305a、第2ガスケット凹部307の外側面307a、外周位置決め部313の外周面の精度を出しやすく、製品間のシール信頼性を向上させることができる。しかも、第1,第2流路ブロック302,303がガスケット310の外周位置決め部313に位置決めされるので、軸ズレによってガスケット310のシール面の一部を第1,第2流路304,306側にはみ出させて滞留部や乱流などを発生させたり、シール面積の減少によってシール性能を低下させることがない。
また、係合部323にスリット325が設けられているので、ガスケット310と第1,第2シール保持凹部305,307との間に形成される隙間がスリット325を介して連通し、隙間に溜まった空気を第1,第2流路ブロック302,303の接合面から外部に逃がすため、空気溜まりの空気が流路側に回って流体に気泡を発生させることがない。
次に本発明の第4参考形態について図面を参照して説明する。図10は、ガスケット410の平面図である。図11は、図10のB−B断面図である。
本参考形態のシール構造は、芯部材411に係合部430を設けたガスケット410を使用する点で、ゴム部材312に係合部323を設けた第3参考形態のシール構造301と相違し、その他の点は第3参考形態と共通している。よって、ここでは、第3参考形態と相違する点を詳細に説明し、共通する点については、図面に第3参考形態と同一符号を付し、適宜説明を省略する。
また、ゴム部材412は、上側面316、下側面317、内側面318、段差部319,320、環状溝321,322が設けられている。ゴム部材412は、芯部材411に係止突起314が設けられていないため、外周面が芯部材411の外周位置決め部313により外向きに変形できないようになっている。
次に本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態のシール構造501は、第3参考形態のシール構造301を改良したものである。第3参考形態のシール構造301に使用されるガスケット310は、内側面318に高圧が作用した場合でも、芯部材311がその圧力を受けてゴム部材312の変形を抑えるため、シール面が位置ずれせず、優れたシール性能を発揮する利点があるものの、ガスケット310の材料費や加工費が嵩み、コスト高になる欠点があった。そこで、本実施形態のシール構造501は、単一材料のみからなるガスケット(特許請求の範囲の「シール部材」に相当。)510の形状を工夫して耐圧性を確保している点に特徴を有する。
シール構造501は、従来例と同様に図25に示す集積弁1001に設けられ、さらには、図26に示すように集積弁1001を構成する流路ブロック1101上に流体機器1102を取り付ける場合のシール部分に構成されるものである。ガスケット510が装填されるシール保持部120は、図12に示すようにその断面は、シール保持溝が上下に重ね合わされた矩形形状をして、上押え面(特許請求の範囲の「第1押え面」に相当。)121と下押え面(特許請求の範囲の「第2押え面」に相当。)122との平行な2面と直交する奥行き方向にある外押え面123がある。ガスケット510は、シール保持部120に挟み込まれて弾性変形し、流路接続部分をシールしている。
ガスケット510は、弾性を有する材料(FFKM(パーフロロゴム)等のゴムや、未焼成PTFE(未焼成フッ素樹脂))を射出成形により図13及び図14に示す特殊形状に形成したものである。ガスケット510は、図13に示すように環状をなす。ガスケット510は、図14に示すように、断面が略矩形状をなし、上押え面121に当接してシール面を形成する上側面511(特許請求の範囲の「第1側面」に相当。)と、下押え面122に当接してシール面を形成する下側面512(特許請求の範囲の「第2側面」に相当。)と、上下側面511,512の内側を接続する内側面513と、上下側面511,512の外側を接続する外側面514とを備える。
例えば、図15に示す第1比較例510Aのように、内側面517を同一幅の円筒形状にした場合には、係合部515をシール保持部120に挿入すると、内側面517の図中上側面側開口部が内側に膨らむように変形する。そのため、第1比較例510Aは、シール面の外側に段差部518を設け、変形の一部を外側に逃がすように構成している。ところが、段差部518を設けるだけでは、第1比較例510Aをシール保持部120に挟み込んだときに、内側面513の図中上側面側端部が流路側にはみ出し、シール部分に滞留部や乱流部を発生した。
そこで、図16に示す第2比較例510Bのように、段差部518上に環状溝519を設け、変形の吸収率を向上させることも考えられる。ところが、第2比較例510Bをシール保持部120に挟み込んで装着した後、高圧流体を流したところ、流体が外部に漏れることがわかった。これは、環状溝519を形成したことにより外向きの圧力に対する耐圧性が低くなり、シール面が位置ずれしやすくなったためと考えられる。
従って、外向きの圧力に対する耐圧性を確保しつつ、ガスケット510をシール保持部120に挟み込んだときに、内側面513が流路側に飛び出さないようにする形状を考える必要がある。
この耐久試験では、第1流路ブロック551と第2流路ブロック552との間に形成したシール保持部553に試供品となるガスケット510又はOリング1103をセットし、第1,第2流路ブロック551,552の両側にエンドブロック554,555を取り付けて治具556で固定することにより、試験装置を構成した。試験は、入口ポート557から浸透性の高い試験流体を供給して流路558内を繰り返し加圧し、一定回数加圧する毎に、外部への漏れをチェックした。これを1サイクルとして規定サイクル数の試験を行った後、治具556を取り外してシール面より外部への漏れをチェックした。
一方、Oリング1103は、第1流路ブロック551と第2流路ブロック552のいずれも、シール面より外部に試験流体が付着し、流体漏れが確認された。また、Oリング1103は、シール面より内部にも試験流体が付着していた。
この試験により、ガスケット510は浸透性の高い流体でもシールすることができ、Oリング1103と比べてシール信頼性が高いことが判明した。また、ガスケット510は、Oリング1103より内径側でシールでき、滞留部や堆積部が発生しにくいことが判明した。
また、本測定結果より、ガスケット510は、内側面513の極近傍位置とその外側位置との2カ所でダブルシールするのに対して、Oリング1103は、頂部付近の1カ所でシールすることが判明した。そのため、Oリング1103は、ガスケット510より最大面圧が大きくても、何らかの要因で流体漏れが生じると、その流体が外部に漏れてしまうが、ガスケット510は、たとえ、内径側のシール面から外部に流体が漏れたとしても、その外側のシール面で流体漏れを防止するので、流体が外部に漏れにくいと考えられる。
図20に示すように、ガスケット510の上側面511をボディ1121のシール保持溝に挿入すると、図21に示すように、係合部515が押し潰される。ガスケット510は、係合部515の反発力を受けて、上側面511側を内側に傾かせるように回転を与えられる。テーパの傾斜幅H1と係合部515の突出幅H2は略同一幅であるため、係合部515の弾性変形に伴って、内側面513の上側面511側開口部の位置が下側面512側開口部の位置に対応する位置に合わせられる。つまり、ガスケット510は、内側面513がテーパを解消して、略円筒状になる。この時点では、上側面511は、シール面511aと傾斜面511bとの接続部分が上押え面121に押し付けられて位置決めされ、内側面側端部が上押え面121から離れている。
例えば、上記第1実施形態では、スリット516を円弧状に切り欠いて形成した。これに対して、係合部を打ち抜いて貫通穴を形成し、スリットを設けてもよい。
例えば、上記第1実施形態では、シール部材として弾性変形するゴム製や塑性変形する樹脂製のパッキンやガスケットを用いたが、金属製のパッキンやガスケットを用いてもよい。
111 上側面
112 下側面
113 外側面
114 内側面
120 シール保持部
121 上押え面
122 下押え面
123 外押え面
150 流路
151 流路面
301 シール構造
302 第1流路ブロック
303 第2流路ブロック
304 第1流路
305 第1ガスケット凹部
306 第2流路
307 第2ガスケット凹部
310,410 ガスケット
311,411 芯部材
312,412 ゴム部材
313 外周位置決め部
315 中央支持部
323,430 係合部
325 スリット
501 シール構造
510 ガスケット
511 上側面
511a シール面
512 下側面
512a シール面
513 内側面
514 外側面
515 係合部
516 スリット
1001 集積弁
1102 流体機器
1101 流路ブロック
1121 ボディ
Claims (6)
- 流路接続部分に流路内側に開放して形成された環状のシール保持部に
挟み込まれて弾性変形し、流路接続部分を気密にシールするシール部材に
おいて、
前記シール保持部に密着してシール面を形成する第1側面と第2側面を有し、
前記第1側面と前記第2側面の内側を接続する内側面に、前記第1側面から前記第2側面へと小径になるテーパが形成され、
前記第1側面と前記第2側面の外側を接続する外側面に、係合部が前記第1側面寄りに突設されていることを特徴とするシール部材。 - 請求項1に記載するシール部材において、
前記テーパの傾斜幅が、前記係合部の突出幅とほぼ同じ幅に設定されていることを特徴とするシール部材。 - 請求項1又は請求項2に記載するシール部材において、
前記第1側面と前記第2側面の内側面側端部が軸方向に最も張り出していることを特徴とするシール部材。 - 請求項1乃至請求項3に記載するシール部材のいずれか一つにおいて、
前記第1側面及び前記第2側面が内側面側端部から所定位置まで平ら状、テーパ状又は円弧状に形成されていることを特徴とするシール部材。 - 請求項1乃至請求項4に記載するシール部材のいずれか一つにおいて、
前記係合部にスリットが設けられていることを特徴とするシール部材。 - 請求項1乃至請求項5に記載するシール部材のいずれか一つを備えるシール構造において、
前記シール部材を前記シール保持部に挟み込んで前記係合部を押し潰した状態で配設すると、該シール部材が、内側面の第1側面側を内側に押し出し、外側面を外押え面に当接することを特徴とするシール構造。
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