JP4679470B2 - 瓦及び瓦敷設構造 - Google Patents

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Description

本発明は、瓦及び瓦敷設構造に関するものであり、特に、引掛け桟工法で敷設される瓦、及び、該瓦が敷設された瓦敷設構造に関するものである。
屋根瓦の敷設工法として、長尺の瓦桟木の複数を野地板に対して取付け、瓦の裏面に設けられている突起を瓦桟木に引掛けて係止させる「引掛け桟工法」が行われている。
この「引掛け桟工法」で、従来より用いられている瓦及びその瓦敷設構造を、図3を用いて説明する。従来の瓦50は、一方の側端が隣接する瓦と順次重ねられると共に、上段に葺かれる瓦50の下部57は、下段に葺かれた瓦の上部56に重畳するように敷設される。この瓦50には、瓦桟木65に引掛けるための突起55が、瓦50の裏面の上端辺51に沿って設けられており、突起55の近傍に設けられた貫通孔53に挿通したねじ釘等の係止部材69を瓦桟木65に留付けることによって、瓦50が屋根下地60に固定される。その際、貫通孔53及び係止部材69を介した瓦50の取付け部分は、下段側の瓦50が上段側の瓦50によって覆われる部分に位置している。
上記の従来技術は、公然に実施されているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を、本願出願時においては知見していない。
しかしながら、上記のように敷設された瓦は、強風によって生じた負圧によって瓦を浮き上がらせるような力が働いたとき、瓦の一方の端部が屋根下地に固定されているため、一端の固定点を軸として回転するように瓦が持ち上がり易く、てこの原理により、小さな力でも、ねじ釘等の係止部材に大きな力が作用するものであった。そのため、係止部材がゆるんで瓦ががたついたり、係止部材が抜けて瓦が屋根下地から外れたりし易いという問題があった。
また、従来の瓦では、貫通孔及び係止部材を介して瓦桟木への取付けが行われた部分は、上段側の瓦によって被覆されるため、いったん瓦が敷設された後は、係止部材による瓦の取付け作業が正しく行われているか否かを、確認することはできなかった。
加えて、従来の瓦では、一部の瓦が破損した際など瓦を交換したい場合に、上段側の瓦によって被覆された部分に設けられている孔部から係止部材を抜き取ることは困難であった。そのため、取り外す瓦は破砕して除去し、係止部材は屋根下地の表面から露呈した部分で切断しなくてはならず、作業が煩雑であった。
また、新しい瓦を取付けるために、隣接する瓦を外そうとすると、結局は全ての瓦を外さなくてはならないため、新しい瓦は、瓦桟木に引掛ける突起を削り取った上で上段側の瓦の下方に挿入され、瓦桟木や隣接する瓦に対して接着剤で接着することによって屋根下地に固定されていた。そのため、作業に手間がかかると共に、接着剤で接着されただけの新しい瓦は、取付け強度が不十分であるという問題があった。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、強風によって外れ難く、取付け状態の確認を容易に行うことができ、かつ、交換作業が容易であると共に、交換された新しい瓦が充分な取付け強度を有するように敷設可能な瓦、及び、該瓦が屋根下地に敷設された瓦敷設構造の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる瓦は、「勾配を有する屋根の屋根下地に、上段側の瓦の下部が下段側の瓦の上部と重畳するように敷設される瓦であって、上段側の瓦とも下段側の瓦とも重畳しない単層部に貫通して設けられた孔部と、該孔部より上側かつ直近で瓦裏面から突設され、前記屋根下地に略水平に設けられた瓦桟木に引掛けられると共に、前記孔部の前記瓦裏面の開口部を前記瓦桟木の上面に対面させる引掛突部と、該引掛突部より上側で前記瓦裏面に形成され、前記引掛突部が前記瓦桟木に引掛けられた状態で前記屋根下地の表面に当接させられる当接部とを具備し、上段側の瓦と重畳する上重畳部は、上下方向の長さが、瓦の上端辺から下端辺までの長さの1/4〜1/5であり、前記孔部は、前記上重畳部の下端の直近に設けられる」ものである
上記の特許請求の範囲及び以下の明細書における「上」及び「下」は、勾配を有する屋根に敷設されている状態の瓦における上下の関係によるものである。
本発明の「瓦」の形状は特に限定されず、平型や波型等の瓦を用いることができる。
「勾配を有する屋根」とは、水平面に対して傾斜した屋根面を有する屋根であり、切妻屋根、寄棟屋根、入母屋屋根、片流れ屋根等を例示することができる。また、「屋根下地」とは、屋根の構成を、瓦等の屋根仕上げ材で覆われる屋根仕上げ部分、屋根仕上げ材を載せるための下地部分、屋根全体を支える骨組部分に大別した場合の下地部分であり、一般的には、垂木の上に張り渡した野地板に、防水シートなどの下葺き材が敷かれた構成とされることが多い。更に、「瓦桟木」とは、引掛け桟工法で瓦葺きを行う際に、瓦を引掛けるために屋根下地に取付けられる部材であり、一般的には、長尺の角柱状の木材で構成され、下葺き材を介して野地板に釘等で打ち付けられる。
「引掛突部」が突設される「該孔部より上側かつ直近」とは、引掛突部を瓦桟木に引掛けた際に、孔部の瓦裏面の開口部を、「瓦桟木の上面に対面させる」ことができる位置である。かかる位置に孔部を設けることにより、孔部に挿通したねじ釘等の係止部材を瓦桟木に留付け、係止部材及び瓦桟木を介して瓦を屋根下地に固定することができる。
ここで、孔部と引掛突部との距離は、瓦桟木の幅を考慮して設定することができる。例えば、孔部を瓦桟木の幅のほぼ中心に位置させる設定とする場合、瓦桟木の幅の約1/2だけ孔部の中心より上側に、引掛突部の下端が位置するように、引掛突部を突設させる。なお、本発明の「孔部」は「単層部」に設けられるが、「引掛突部」は「単層部」に設けられるものであっても、上段に敷設される瓦と重畳する部分に設けられるものであっても良い。また、「引掛突部」は、瓦が屋根下地に敷設された際の水平方向(以下、瓦の「幅方向」という)の全幅に亘って設けられるものであっても、瓦裏面から部分的に突設されるものであっても良い。
「当接部」は、引掛突部が瓦桟木に引掛けられた状態で屋根下地の表面に当接させられる構成であれば良く、例えば、瓦裏面から突設された構成とすることができる。或いは、瓦を引掛突部の付け根部分から連続的に厚みが増すように形成し、厚みの増した部分の瓦裏面で当接部を構成させることもできる。また、「当接部」は、「引掛突部より上側」に形成されるが、孔部及び引掛突部からなるべく離れた位置に設けることが望ましく、例えば、上端辺に沿って瓦裏面から突設された構成とすることができる。その場合、瓦の幅方向の全幅に亘って突設されるものであっても、部分的に突設されるものであっても良い。
従って、本発明によれば、上段側の瓦と重畳しない単層部に孔部が設けられるため、従来の瓦より、瓦の重心に近い位置で屋根下地に固定される。これにより、強風によって生じた負圧により瓦を浮き上がらせるような力が働いたときに、瓦を固定している係止部材にかかる負荷の大きさは、てこの原理により、一方の端部で屋根下地に固定されていた従来の瓦に比べて小さなものとなる。そのため、係止部材がゆるんで瓦ががたついたり、係止部材が抜けて瓦が屋根下地から外れたりする恐れを、低減することが可能となる。
また、孔部を瓦の重心に近い位置に設けても、仮に、孔部に挿通したねじ釘等の係止部材が屋根下地に直接留付けられる場合は、係止部材によって瓦が過剰に押下げられて瓦が破損する恐れがある。これに対し、本発明では、引掛突部が孔部の直近に設けられ、引掛突部を瓦桟木に引き掛けると、孔部の開口部が瓦桟木の上面と対面する構成であるため、瓦桟木に支持されている部分で瓦を留付けることができる。これにより、瓦に無理な力が加えられ難いものとなり、屋根下地への取付けに際して瓦が破損する恐れを低減することができる。
加えて、本発明では、引掛突部より上側に当接部を具備するため、当接部が屋根下地の表面に当接するように瓦を敷設しておくことにより、強風によって瓦が瓦桟木と引掛突部との接線を軸として回転させられそうになっても、当接部によってその回転が阻止される。これにより、瓦の浮き上がりや剥離をより効果的に防止することが可能となる。なお、当接部は、孔部及び引掛突部が設けられる位置よりなるべく離れた位置に設けることにより、瓦のわずかな浮き上がりによる回転も効果的に阻止することができ、好適である。
また、上段側の瓦と重畳しない単層部に孔部が設けられ、上段側の瓦によって被覆されていないため、瓦の敷設後であっても係止部材を視認することができる。そのため、係止部材の所定の留付け作業が正しく行われているか否かを、容易に確認することができる。
更に、本発明の瓦は、孔部が上段側の瓦と重畳しない単層部に設けられているため、瓦の敷設後であっても、孔部に挿通させたねじ釘等の係止部材を容易に外したり、ゆるめたりすることができる。これにより、瓦が破損した場合等に瓦を容易に屋根下地から取外すことができると共に、隣接する数枚の瓦の係止部材をゆるめることにより、新しく交換する瓦を容易に取付けることが可能となる。そして、新しい瓦は、当初敷設された瓦と同様に、引掛突部を瓦桟木に引掛け、孔部に挿通した係止部材を瓦桟木に留付け、当接部が屋根下地の表面に当接するように敷設することができるため、当初に敷設された瓦に比べて新しい瓦の取付け強度が低下するという、従来の問題を解消することが可能となる。
「上重畳部」は、瓦が屋根下地に敷設された際に、上段側の瓦と重畳することとなる部分である。また、孔部が設けられる「上段側の瓦と重畳する上重畳部の下端の直近」は、孔部に挿通した係止部材を瓦桟木に対して留付けたり、抜き取ったりする作業の際に、上段側に敷設された瓦と作業者の手や道具が干渉しない程度に、なるべく上段側の瓦に近い位置であり、例えば、上重畳部の下端から10〜20mmとすることができる。
ところで、強風によって瓦を上方に持ち上げようとする力や、その力によってねじ釘等の係止部材に作用する力を考慮すれば、引掛突部と瓦桟木とが当接する部分は、なるべく瓦の重心に近く設けられることが望ましい。しかしながら、孔部は、上段側の瓦によって被覆されない単層部の瓦表面に露呈するため、瓦のほぼ中央である重心近くに孔部が存在すると、目につき易くなる可能性がある。そのため、屋根の意匠性を重視する場合は、なるべく孔部は目立たないように設けられることが望ましい。
本発明によれば、瓦が屋根下地に敷設された際、上段側に敷設される瓦の下端辺の直ぐ近くに、孔部が位置することとなる。一般的に、屋根を見上げる人から見て、瓦の輪郭線は瓦の下端辺である。そのため、屋根を見上げる人の視線は瓦の下端辺に集中し、孔部が目立ち難いものとなる。また、瓦の下端辺の直ぐ近くに孔部が位置することにより、下方から屋根を見上げた場合に瓦の輪郭線が孔部と重なって見え、孔部の存在に気付き難いものとなる。これにより、強風が瓦を持ち上げようとする力や係止部材にかかる負荷を従来の瓦より抑制しつつ、屋根の意匠性を損なう恐れの少ない瓦とすることができる。
更に、本発明にかかる瓦は、上記構成に加え、「前記孔部は、瓦表面の開口部の周縁に、瓦表面より高く突設された周縁部を」具備するものとすることができる。
本発明によれば、敷設された瓦では、上段側の瓦によって覆われない位置に孔部が露呈することとなるが、孔部の周縁に沿って瓦表面より高く突設された周縁部が設けられることにより、孔部に雨水が流入し難くなり、孔部を介して瓦の下面へ雨水が流下することを抑制することができる。これにより、雨漏りや野地板等の傷みを防止することができる。
次に、本発明にかかる瓦敷設構造は、「勾配を有する屋根の屋根下地と、該屋根下地に略水平に設けられた複数の瓦桟木と、前記屋根下地に上段側の瓦の下部が下段側の瓦の上部と重畳するように敷設され、上段側の瓦とも下段側の瓦とも重畳しない単層部に貫通して設けられた孔部、該孔部より上側かつ直近で瓦裏面から突設された引掛突部、及び、該引掛突部より上側で瓦裏面に形成された当接部を有し、上段側の瓦と重畳する上重畳部は、上下方向の長さが、瓦の上端辺から下端辺までの長さの1/4〜1/5であり、前記孔部が、前記上重畳部の下端の直近に設けられている複数の瓦とを具備し、前記瓦桟木に前記引掛突部が引掛けられると共に、前記孔部の前記瓦裏面の開口部が前記瓦桟木の上面に対面し、前記孔部に挿通した係止部材によって前記瓦が前記瓦桟木に対して取付けられており、前記当接部が前記屋根下地の表面に当接している」ものである。
「係止部材」は、孔部に挿通して瓦桟木に留付けることにより、瓦を屋根下地に固定するための部材であり、ねじ釘、ビス、ボルト等を例示することができる。また、孔部の防水性を高めるために、樹脂製のシーリング部材が取付けられているものであっても良い。
従って、本発明によれば、上記に述べた構成及びその作用により、強風によって瓦が浮き上がったり、係止部材が抜けて瓦が外れたりし難く、強風に抗し得る取付け強度の大きな瓦敷設構造となる。また、重畳する瓦によって孔部が覆われない瓦敷設構造であるため、係止部材の所定の留付け作業が正しく行われているか否かを、容易に確認することができる。加えて、瓦が破損した際等の瓦の交換が容易であり、新しい瓦も当初に敷設される瓦と同様な取付け構造で屋根下地に取付けることができるため、交換された新しい瓦も含めて、取付け強度の大きな瓦敷設構造とすることができる。
以上のように、本発明の効果として、強風によって外れ難く、取付け状態の確認を容易に行うことができ、かつ、交換作業が容易であると共に、交換された新しい瓦が充分な取付け強度を有するように敷設可能な瓦、及び、該瓦が屋根下地に敷設された瓦敷設構造を提供することができる。
以下、本発明の最良の一実施形態である瓦、及び、該瓦が屋根下地に敷設された瓦敷設構造について、図1及び図2に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の瓦の構成を示す(a)平面図及び(b)側面図であり、図2は図1の瓦が屋根下地に敷設された瓦敷設構造を示す説明図である。
本実施形態の瓦敷設構造は、図2に示すように、勾配を有する屋根の屋根下地40と、屋根下地に略水平に設けられた複数の瓦桟木46と、上段側の瓦の下部が下段側の瓦の上部と重畳するように屋根下地40に敷設される複数の瓦1とを具備している。より詳細に説明すると、屋根下地40は、野地板41と、野地板41の上に敷設された防水性を有する下葺き材42とを備えており、長尺の角柱状の木材で構成された瓦桟木46の複数が、下葺き材42を介して野地板41に固定されると共に、略平行かつ略水平に屋根下地40に取付けられている。なお、本実施形態の瓦桟木46は、幅約30mm高さ約15mmの一般的な寸法のものを用いている。
また、本実施形態の瓦1は、図1及び図2に示すように、屋根下地40に敷設された際に上段側に敷設される瓦1と重畳する上重畳部11と、下段側に敷設される瓦1と重畳する下重畳部12と、その間で上段側の瓦1とも下段側の瓦1とも重畳しない単層部13と、単層部13において貫通して設けられた孔部21と、孔部21より上側かつ直近で瓦裏面から突設された引掛突部23と、引掛突部23より上側で瓦裏面に形成された当接部25とを具備している。
より詳細に説明すると、瓦1は、一辺が約350mmの平面視略正方形で、厚さが約27mmの平板状の平型瓦である。そして、上端辺11aから下端辺12aまでの長さの1/4〜1/5の長さで、上端辺11aに沿うように、上段側に敷設される瓦1と重畳する上重畳部11が構成されている。また、同じく上端辺11aから下端辺12aまでの1/4〜1/5程度の長さで、下端辺12aに沿うように、下段側に敷設される瓦1と重畳する下重畳部12が構成されている。そして、上重畳部11と下重畳部12の間の部分が、上段側の瓦1とも下段側の瓦1とも重畳しない単層部13である。なお、本実施形態の瓦1は、図1(b)に示されるように、下端辺12aに沿って瓦表面側から瓦裏面側に向かって湾曲して突出した形状となっており、上重畳部11は、このように突出した下重畳部12に対応させて、凹状に形成されている。
孔部21は、上重畳部11と単層部13との境界15の直近の単層部13において、瓦1の幅方向のほぼ中央に、一つ設けられている。ここで、本実施形態での上重畳部11と単層部13との境界15の「直近」は、境界15より約15mmの位置に設定されている。また、本実施形態の孔部21は、瓦表面より高く突設された周縁部21aを備え、孔部21及び周縁部21aとで略円筒形状を構成している。
引掛突部23は、瓦1の幅方向の全幅に亘る略直方体形状に形成され、上端辺11a及び下端辺12aと略平行に設けられている。ここで、本実施形態で引掛突部23が設けられる「孔部21の直近」は、瓦桟木46の幅約30mmの略1/2の長さ、すなわち約15mm分だけ、孔部21の中心から上端辺11a側に寄った位置に設定されている。また、当接部25は、瓦1の幅方向の全幅に亘る略直方体形状に形成され、瓦裏面において上端辺11aに沿って突設されている。なお、本実施形態の引掛突部23及び当接部25が瓦裏面から突出する高さは、共に約10mmに設定されている。
なお、本実施形態の瓦1には、上端辺11a及び下端辺12aと直交する一対の側辺の一方に沿って、隣接する瓦の下方に挿し込まれる挿込部18が設けられている。
次に、瓦1の屋根下地40への敷設方法、及び、瓦1が屋根下地40に敷設された瓦敷設構造について、主に図2を用いて説明する。
瓦1を屋根下地40に敷設する際は、まず、引掛突部23を瓦桟木46に引掛ける。このとき、上記のように、引掛突部23は孔部21の直近に設けられているため、孔部21の瓦裏面の開口部は瓦桟木46の上面に対面する。また、本実施形態では、孔部21の中心と引掛突部23との距離は、瓦桟木46の幅の略1/2に設定されているので、孔部21の瓦裏面の開口部は、瓦桟木46の幅のほぼ中央に位置する。
この孔部21に係止部材30を挿通し、これを瓦桟木46に留付けることによって、瓦1を屋根下地40に固定する。このとき、当接部25が屋根下地40の表面に当接する状態となるように、係止部材30の瓦桟木46への留付けを行う。なお、本実施形態では、係止部材30として樹脂パッキン付きステンレス製ねじ釘を使用し、防水性を高めているが、係止部材30にコーキング剤を塗布した上で瓦桟木46に留付け、或いは係止部材30を瓦桟木46に留付けた後に孔部21にコーキング剤を充填することによっても、防水性を高めることができる。
そして、挿込部18が隣接する瓦1の側端に挿し込まれるように、複数の瓦1を同一の瓦桟木46に対して順次取付けて行くことにより、一段の瓦葺きが行われる。このとき、瓦1を一枚ずつ留付けて行っても、ある程度の枚数を仮置きして位置調整をした後に、係止部材30による留付けまとめて行っても良い。その後、更に一つ上の段において、既に敷設された瓦1の上重畳部11を下重畳部12で被覆するように、上記と同様に、瓦1を瓦桟木46に対して取付けることにより、図2に示すような瓦敷設構造が形成される。
上記のような瓦1及び瓦敷設構造によれば、強風により発生する負圧によって瓦1を上方に持ち上げるような力が働いても、従来の瓦に比べ瓦1の重心に近い位置で屋根下地40に固定されているため、瓦1を固定している係止部材30にかかる負荷の大きさは、てこの原理により、一方の端部で屋根下地に固定されていた従来の瓦より小さなものとなる。これにより、係止部材30がゆるんで瓦1ががたついたり、係止部材30が抜けて瓦1が屋根下地40から外れたりする恐れを、低減することが可能となる。
また、引掛突部23が孔部21の直近に設けられ、引掛突部23を瓦桟木46に引き掛けると、孔部21の開口部が瓦桟木46の上面に対面する構成であるため、瓦桟木46に支持されている部分で、瓦1を留付けることができる。これにより、係止部材30の留付けの際に瓦1に無理な力が加えられ難いものとなり、屋根下地40への取付けに際して瓦1が破損する恐れを低減することができる。特に、本実施形態では、孔部21が瓦桟木46の幅方向におけるほぼ中央に位置するように、孔部21と引掛突部23との位置関係が設定されているため、係止部材30の留付け作業がし易いものとなっている。
加えて、強風によって瓦1が瓦桟木46と引掛突部23との接線を軸として回転させられそうになっても、当接部25が屋根下地40の表面に当接しているため、瓦1の回転が阻止され、瓦1の浮き上がりや剥離が防止される。特に、本実施形態の当接部25は、瓦裏面において上端辺11aに沿って突設され、孔部21及び引掛突部23から最も離れた位置に設けられているため、瓦1のわずかな浮き上がりによる回転も効果的に阻止することができる。
ここで、本実施形態の瓦1及び瓦敷設構造について、強風に対する耐性を調べるために引き上げ試験を行った結果を示す。試験では、木製の架台に瓦を横五列縦五列敷設し、測定対象の瓦と、測定対象の瓦と同一段でそれぞれ両側から接する二枚の瓦と、測定対象の瓦の上段または下段の瓦で、それぞれ測定対象の瓦に接する上段二枚、下段二枚の瓦にアイナットを取付けて均一の力で引き上げ、その内の一枚が20mm浮上するまでに測定対象の瓦に負荷された最大荷重を測定した。
その結果、本実施形態の瓦1では、測定対象の瓦1枚当たり、負荷された最大荷重は約300Nであった。一方、耐風性や耐震性を高めるために、隣接する瓦を噛み合わせて固定する特殊な構造、いわゆる「合体構造」を備えた従来の瓦を用いて同様の試験を行ったところ、測定対象の瓦一枚当たりに負荷された最大荷重は約308Nであった。以上の結果より、本実施形態の瓦1は、複雑な合体構造を有さない簡易な構成であるため瓦自体の製造が容易であり、しかも、隣接する瓦を合体させるような作業を要さず簡易に敷設できるにも関わらず、耐風性や耐震性を高めるための特殊な合体構造を備えた従来の瓦及びその敷設構造に匹敵する、高い取付け強度を有することが示された。
更に、本実施形態の瓦1及び瓦敷設構造によれば、上段側の瓦1によって被覆されない単層部13において、孔部21及び係止部材30を介した瓦桟木46に対する瓦1の取付けが行われているため、瓦1の敷設後であっても係止部材30を視認でき、係止部材30の所定の留付け作業が正しく行われているか否かを容易に確認することができる。
加えて、孔部21を介した係止部材30の留付け部分が上段側の瓦1によって被覆されていないため、瓦1の敷設後であっても、係止部材30を抜き取って容易に瓦1を取外すことができる。また、隣接する数枚の瓦1の係止部材30をゆるめることにより、新しい瓦1を容易に取付けることができる。その際、新しい瓦1は、当初敷設された瓦と同様に、引掛突部23を瓦桟木46に引掛け、孔部21に挿通した係止部材30を瓦桟木46に留付け、当接部25が屋根下地40の表面に当接するように敷設することができるため、瓦の敷設後に交換した瓦の取付け強度が、当初に敷設された瓦に比べて低下するという、従来の問題を解消することができる。
また、上段に敷設された瓦1の下端辺12aの直近に孔部21が位置するように設けられているため、孔部21が目立たち難く、上段側の瓦によって被覆されない単層部13に孔部21を設けても、屋根の意匠性を損なう恐れの少ないものとなっている。
更に、係止部材30が防水性を有する樹脂パッキン付きであることに加え、孔部21の周縁部21aは瓦1の瓦表面より高く突設されているため、孔部21を介しての瓦1の下方への雨水の流入を防止することができる。なお、本実施形態の瓦1は平型瓦であるが、波型瓦の場合は、波の頂上に相当する高い部分に孔部を設けることにより、より効果的に雨水の流入を防止することができる。なお、上記の実施形態では具体的な寸法を例示して説明したが、もちろん例示した寸法に限定されるものではない。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、本発明は、屋根の隅棟、谷、或いは袖の部分に配されることにより、敷設される際に部分的に切断される瓦及びその瓦敷設構造にも適用することができる。
また、上記の実施形態では、当接部25を上端辺11aに沿って瓦1の全幅に亘って設ける場合を例示したが、全幅に亘らず部分的に突出させることにより屋根下地の表面に当接する構成であっても良い。また、屋根下地の表面と面的に広く当接するよう、当接部の当接面を屋根下地の傾斜に合わせて傾斜させても良い。或いは、引掛突部の付け根部分から上端辺に向って徐々に厚みが増すように瓦を形成することにより、厚みが増した部分で当接部を構成させることもできる。
加えて、本発明の瓦敷設構造は、屋根面の全てに同一の構成の瓦を敷設する場合に限定されない。例えば、屋根面の一部に、太陽電池モジュール等の取付けが可能な構成を有する屋根部材を敷設した瓦敷設構造とすることができる。この際、本実施形態の瓦及び瓦敷設構造では、上述のように、瓦の交換が容易であるため、既に敷設された瓦の一部を取外して、上記のような特殊な屋根部材に付け替えることも、問題なく容易に行うことができる。
本実施形態の瓦の構成を示す(a)平面図及び(b)側面図である。 図1の瓦が屋根下地に敷設された瓦敷設構造を示す説明図である。 従来の瓦及び瓦敷設構造を示す説明図である。
符号の説明
1 瓦
11 上重畳部
11a 上端辺
12 下重畳部
12a 下端辺
13 単層部
15 上重畳部と単層部との境界
18 挿込部
21 孔部
21a 周縁部
23 引掛突部
25 当接部
30 係止部材
40 屋根下地
41 野地板
42 下葺き材
46 瓦桟木

Claims (3)

  1. 勾配を有する屋根の屋根下地に、上段側の瓦の下部が下段側の瓦の上部と重畳するように敷設される瓦であって、
    上段側の瓦とも下段側の瓦とも重畳しない単層部に貫通して設けられた孔部と、
    該孔部より上側かつ直近で瓦裏面から突設され、前記屋根下地に略水平に設けられた瓦桟木に引掛けられると共に、前記孔部の前記瓦裏面の開口部を前記瓦桟木の上面に対面させる引掛突部と、
    該引掛突部より上側で前記瓦裏面に形成され、前記引掛突部が前記瓦桟木に引掛けられた状態で前記屋根下地の表面に当接させられる当接部と
    を具備し、
    上段側の瓦と重畳する上重畳部は、上下方向の長さが、瓦の上端辺から下端辺までの長さの1/4〜1/5であり、
    前記孔部は、前記上重畳部の下端の直近に設けられる
    ことを特徴とする瓦。
  2. 前記孔部は、瓦表面の開口部の周縁に、瓦表面より高く突設された周縁部を具備することを特徴とする請求項1に記載の瓦。
  3. 勾配を有する屋根の屋根下地と、
    該屋根下地に略水平に設けられた複数の瓦桟木と、
    前記屋根下地に上段側の瓦の下部が下段側の瓦の上部と重畳するように敷設され、上段側の瓦とも下段側の瓦とも重畳しない単層部に貫通して設けられた孔部、該孔部より上側かつ直近で瓦裏面から突設された引掛突部、及び、該引掛突部より上側で瓦裏面に形成された当接部を有し、上段側の瓦と重畳する上重畳部は、上下方向の長さが、瓦の上端辺から下端辺までの長さの1/4〜1/5であり、前記孔部が、前記上重畳部の下端の直近に設けられている複数の瓦とを具備し、
    前記瓦桟木に前記引掛突部が引掛けられると共に、前記孔部の前記瓦裏面の開口部が前記瓦桟木の上面に対面し、前記孔部に挿通した係止部材によって前記瓦が前記瓦桟木に対して取付けられており、前記当接部が前記屋根下地の表面に当接していることを特徴とする瓦敷設構造
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