JP4677077B2 - 非晶質シリカ微粒子の製造方法 - Google Patents

非晶質シリカ微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、シリカまたはその化合物を含むスラッジを原料とする非晶質シリカ微粒子の製造方法に関し、特に製紙用充填材或いは顔料として好適な非晶質シリカ微粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
古紙リサイクル工程において、古紙懸濁液スラリーからパルプを取り出した後の廃液にはインク粒子に加え、シリカ、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウムなどの無機充填剤および無機顔料粒子をかなりの比率で含んでいる。従来は、これら汚泥を脱水処理して製紙スラッジとし、さらに焼却処理し、セメント原料や炉の保温材として利用するか埋立処理していた。
【0003】
近年、環境保全、リサイクルの観点から、古紙リサイクル過程で排出される製紙スラッジを再利用することが提案されている。例えば特開平11-310732号には、製紙スラッジを焼成した焼成灰(以下、PS灰という)を500℃〜1100℃で再燃焼した後、スラリー化し、湿式分散して白色顔料を製造する方法が提案されている。また特表平11-502877号には、PS灰を生石灰とともにスラリー化し、このスラリーを炭酸化して、灰粒子表面を沈降炭酸カルシウム(PPC)で覆った粒状物質を製造する方法が提案されている。
【0004】
しかし従来のPS灰を再利用する方法には次のような問題がある。製紙スラッジにはシリカ、カオリンクレー、タルクや炭酸カルシウムの他に鉄、マンガンなど重金属に起因する着色成分が含まれているため、製紙スラッジを製紙用にリサイクルするためには着色成分を除去する必要があるが、焼成や粉砕などの処理ではこれら着色成分を完全に除去することができない。このためPS灰を焼成、粉砕処理した粒状物質では大幅な白色度の向上を望むことはできず、これを顔料或いは填料として上質の紙を製造することはできない。
【0005】
またPS灰を焼成する場合に、硬度が高い粒子が生成するという問題がある。製紙スラッジには多く含まれる元素Si、Al、Caは、通常シリカ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウムのような形で存在するが、製紙スラッジを焼成するとケイ酸にカルシウムが結合し例えばゲーレナイト(Ca2Al2Si2O7)のような硬度の高い粒子を生成する。このような硬度の高い粒子は製紙工程において抄紙用のプラスチックワイヤの損傷を早めたり、ブレード塗工の際にブレード刃の損傷を早める原因となる。
【0006】
さらにPS灰と水酸化カルシウムのスラリーからPCCを製造する方法では、必ずしも白色度の高い粒子を得ることができず、また白色度を高めるためには多量の水酸化カルシウムを必要とする。
一方、製紙用の顔料或いは填料としていわゆるホワイトカーボンが用いられている。ホワイトカーボンはシリカ微粒子或いはシリカを主成分としアルミナを含む微粒子で、炭酸カルシウムに比べ比表面積、吸油量が大きく、特に高いインク吸収性を要求される用途、例えばインクジェット記録用紙や新聞用紙に用いられている。しかし一般にシリカは炭酸カルシウムに比べ高価である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、製紙スラッジ等の、シリカやその化合物を含むスラッジを原料として白色度が高く、比表面積の大きい非晶質シリカ微粒子を提供することを目的とする。また本発明は、製紙用顔料或いは填料として、特に高いインク吸収性を必要とする用途に好適な非晶質シリカ微粒子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明者らは、スラッジの焼成について鋭意研究した結果、焼成時にアルカリ金属化合物を加え混合焼成することにより、ケイ酸アルミニウムとカルシウムの結合による高硬度化合物(ケイ酸アルミニウムカルシウム)の生成を防止でき、この焼成物を酸処理によって高効率で非晶質シリカを取り出すことができることを見出し本発明に至ったものである。
【0009】
即ち本発明の非晶質シリカ微粒子の製造方法は、シリカまたはその化合物を含むスラッジ又はスラッジを焼成した焼成灰をアルカリ金属化合物と混合焼成する工程と、この混合焼成工程で得られた焼成物を、酸処理する工程とを含むものである。シリカまたはその化合物を含むスラッジとは、古紙のリサイクル工程やその他一般の化学的処理工程から排出される半固体廃棄物及びボーリング等で排出される岩石の破片、残泥、残屑等であって、シリカ及びその化合物のいずれかを含むものである。
本発明の非晶質シリカ微粒子の製造方法において、好適にはアルカリ金属化合物は、焼成灰に対し重量比1:0.01〜1:5の範囲で混合する。
【0010】
また本発明の非晶質シリカ微粒子の製造方法は、好適には酸処理工程は、複数の酸処理工程からなる。複数の工程では、pH、酸の濃度、種類を異ならせることができ、これら条件の異なる複数の酸処理工程を適宜組合せることにより、例えばケイ酸のゾル−ゲル化を防止し、作業性よく非晶質シリカ微粒子を得ることができる。
【0011】
本発明によれば、アルカリ金属化合物との混合焼成によってケイ酸アルミニウムとアルカリ金属が結合した焼成物を生成し、カルシウム含有化合物の生成を防止する。これによって、この焼成物から酸処理によって容易にケイ素を非晶質シリカとして取り出すことができる。また酸処理をすることによって鉄、マンガン、カルシウム等を水溶性の化合物として除去することができ、白色度の高い非晶質シリカ微粒子を得ることができる。特に多段処理することにより、効率よく不要物を除去することができる。
【0012】
本発明の非晶質シリカ微粒子は、このような方法によって製造したものであり、主として非晶質シリカからなり、更に原料であるスラッジに含まれるアルミニウムに起因するケイ酸アルミニウム、アルミナを含んでいてもよい。即ち、ケイ酸アルミニウム、アルミナとの混合物も本発明の非晶質シリカ微粒子に含まれる。
【0013】
また本発明の非晶質シリカ微粒子は、上記方法によって製造した非晶質シリカ微粒子であってkett白色度90%以上、BET比表面積100m2/g以上のものである。このような非晶質シリカ微粒子は、製紙用顔料又は填料として好適であり、吸油量が多いので、高いインク吸収性が求められるインクジェット記録用紙や新聞用紙に好適である。
【0014】
以下、本発明の非晶質シリカ微粒子の製造方法についてさらに詳述する。
本発明の非晶質シリカ微粒子の製造方法において用いられるスラッジとは、一般に化学的処理工程から排出される半固体廃棄物やボーリング等で排出される岩石の破片、残泥、残屑等であってシリカやその化合物(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム等)を含有するものである。具体的には、製紙スラッジ、石炭灰、FRP焼却残渣、汚泥焼却物、砕石微粉末等が挙げられ、これらは単独でも混合物であってもよい。
【0015】
製紙スラッジは、古紙のリサイクル工程で発生する残渣であり、パルプ等の繊維、澱粉や接着剤、コーティング剤等の有機物、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク等の無機填料或いは顔料、残留インク等を含む。さらに工場廃水として排出される余剰汚泥等が含まれていてもよい。
【0016】
本発明の非晶質シリカ微粒子の製造方法では、このようなスラッジを乾燥した後、直接アルカリ金属化合物と混合して焼成してもよいが、スラッジが泥状である場合には、乾燥後、まずスラッジを焼成して焼成灰とすることが好ましい。焼成は、例えばロータリーキルン、流動床、流動、ストーカ、回転炉等通常用いられている汚泥焼却炉を用いることができる。焼成温度は、スラッジ中に含有される有機物等を燃焼するのに十分な温度が好ましい。例えば、製紙スラッジの場合、製紙スラッジ中に残留するインク粒子(主としてカーボン)、繊維およびポリマー等の有機系化合物を燃焼するのに十分な温度として、約800℃かそれ以上であることが好ましい。焼成時間は特に限定されないが、通常1分〜12時間程度とする。
【0017】
次に、上記焼成によって得られた焼成灰にアルカリ金属化合物を加え、再焼成する。アルカリ金属化合物としては、例えば炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等のナトリウム化合物やこれら化合物のナトリウムをカリウムに置き換えたもの等を用いることができる。特にナトリウムの化合物は、焼成時にスラッジ中のシリカやケイ酸化合物の融点を下げ、カルシウムとの化合物の生成を抑制する効果が最も大きく、好適である。また水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムは、製紙工場や化学処理工程において回収、再生されるものを使用することも可能である。
【0018】
焼成灰とアルカリ金属化合物との混合割合は、重量比で1:0.01〜1:5、好適には1:0.1〜1:3の範囲とする。尚、スラッジを直接アルカリ金属化合物と混合して焼成する場合には、スラッジによって含有される水分量や有機物量(強燃減量)が異なるので、スラッジ重量から水分量及び強燃減量を差引いた値に対し上記混合割合となるようにする。
【0019】
混合したものは、そのまま或いは粉砕した後、焼成する。混合焼成に先立って粉砕することにより焼成灰とアルカリ金属化合物とが均一に混じり合い、より効果的にアルカリ金属化合物を作用させることができる。混合焼成の温度は、好適には800〜1400℃とする。時間は特に限定されないが通常0.1〜12時間程度とする。
【0020】
混合焼成することによって、最初の焼成において完全に燃焼されずに残留するカーボンや繊維等を完全に燃焼、除去することができ、またケイ酸アルミニウムカルシウムの生成が抑制される。これはアルカリ金属が1)融剤のように機能し、融点を下げ、カルシウムとケイ酸(SiO2)或いはケイ酸アルミニウムとの反応を抑制する、2)最初の熱処理でケイ酸アルミニウムカルシウムが生成していた場合でも、アルカリ金属がケイ酸アルミニウムカルシウムのカルシウムと置換し、結果としてケイ酸アルミニウムカルシウムの生成を抑制する、ためと考えられる。この際、融点を下げるには、アルカリ金属のうちナトリウムが最も効果的である。
【0021】
このようにして得られた焼成物を酸処理する。焼成物は酸処理に先立って粉砕しておくことが好ましい。粉砕は、ケージミル、ジェットミル、ディスクミル、振動ミル等を用いる乾式粉砕や、サンドミル、アトライター、振動ミル等を用いる湿式粉砕で行うことができる。さらに必要に応じて分級してもよい。
【0022】
酸処理は、酸の水溶液を焼成物に加え、加熱下攪拌しながら反応させることにより行なうことが好ましい。反応温度は好適には50〜110℃とする。反応時間は反応温度によって異なるが、通常0.1〜5時間程度とする。酸としては、塩酸、硝酸のような一塩基酸や硫酸のような二塩基酸を用いることができるが、複数回処理を行うことが好ましい。これにより重金属等不純物の分離の度合いを高め、白色度の高いシリカを得ることができる。また種類の異なる酸による処理を組合せることが好ましく、これにより、より純度の高いシリカを得ることができる。例えば硫酸で処理した後、塩酸処理することにより、硫酸カルシウムを水相にして除去することができる。最も好ましい酸処理として、硫酸による多段処理とそれに続く塩酸処理が挙げられる。
【0023】
酸処理に用いる酸の量は、焼成物に含まれるケイ酸アルミニウムに対し、1当量以上とすることが好適である。pHは特に限定されないが、pHを2以上とすることにより、シリカのゾル−ゲル化(流動性の低下)を防止することができ、反応液のろ過を容易に行うことができる。また比較的低いpHで反応させる場合には、反応液をそのまま乾燥し、得られた固体を水洗することにより非晶質シリカを回収してもよい。
【0024】
酸処理によって得られた非晶質シリカは、更に必要に応じて乾式又は湿式で粉砕及び/又は分級してもよい。粉砕は酸処理前に行う粉砕と同様に行うことができる。分級は液体サイクロンや振動篩を用いて行うことができる。粉砕或いは分級工程を経ることにより、粒径の大きな粒子を取り除き粒度の揃った非晶質シリカを得ることができる。
【0025】
このような方法によって製造した本発明の非晶質シリカ微粒子は、非晶質のシリカ粒子を80%以上含む粒子であり、平均粒径(二次粒子)は、0.1〜10μm程度である。本発明の非晶質シリカ微粒子は、原料となる焼成灰に含まれるアルミニウムに起因するアルミナ或いはケイ酸アルミニウムを含んでいてもよい。この非晶質シリカ微粒子は白色度が高く、また比表面積が大きい。具体的には白色度はkett白色度約90%以上であり、BET比表面積が100m2/g以上である。また吸油量も大きく、酸処理条件によっては100ml/100g以上となる。
【0026】
このように本発明の非晶質シリカ微粒子は白色度が高く、製紙用の填料或いは顔料として用いることにより高い品質の紙を製造することができる。また本発明の非晶質シリカ微粒子は表面積、吸油量が大きいので、インクジェット記録用紙や新聞用紙の顔料填料として好適である。本発明の非晶質シリカ微粒子は、製紙用に好適であるが、製紙に限らずゴム、プラスチック、塗料、インキ等のフィラーとして用いることができる。
【0027】
次に本発明の非晶質シリカ微粒子の製紙用填料或いは顔料への適用について説明する。
本発明の非晶質シリカ微粒子は、単独で或いはPCC、カオリンクレー、タルク、二酸化チタン、サチンホワイト等の填料と混合して製紙用の内填料或いは塗被料として用いることができる。
【0028】
本発明の非晶質シリカ微粒子を用いて内填紙を製造する方法は、通常の内填紙の製造方法と同様であり、例えば本発明の非晶質シリカ微粒子と必要に応じて他の填料を含むスラリー中にパルプ原料、紙力増強剤、サイズ剤、歩留り向上剤等の添加剤を加え、抄紙することにより得られる。パルプ原料に対する填料添加率は、1〜50重量%、好適には5〜40重量%とする。
【0029】
紙料スラリーに添加する添加剤としては公知のものを用いることができ、例えば紙力増強剤としては澱粉類、植物性ガム、水性セルロース誘導体、ケイ酸ソーダ等が、サイズ剤としてはロジン、澱粉、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水こはく酸)、中性ロジン等が、また歩留り向上剤としてポリアクリルアミドおよび共重合体、ケイ酸ソーダ等が挙げられる。更に必要に応じて染料、顔料等の色料を添加してもよい。
【0030】
これら添加剤を添加、混合し紙料を公知の抄造器具で抄造することにより内填紙を製造することができる。坪量は特に限定されないが、通常10〜300g/m2程度とする。
【0031】
本発明の非晶質シリカ微粒子を用いて塗工紙を製造する方法は、通常の塗工紙の製造方法と同様であり、例えば本発明の非晶質シリカ微粒子と、必要に応じて他の顔料及び添加剤を分散剤とともに混合して塗被料を調整し、これを中質紙、上質紙等の紙材上に塗布することにより得られる。添加剤および分散剤としては公知のものが用いられ、例えば添加剤としては染料、カゼインや澱粉などの接着剤、植物性或いは動物性ロウなどのつや出し剤、潤滑剤等が挙げられる。分散剤としてはケイ酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。
【0032】
塗工は、塗被量に応じて、エアーナイフ、ブレード、ゲートロール、ロッド、バー、キャスト、グラビア、カーテン等の公知の塗工機(コーター)で行うことができる。塗布量は通常数〜数10g/m2程度である。
上述した本発明の内填紙或いは塗工紙は、内填剤或いは塗工用顔料として通常のホワイトカーボンを用いた紙と比べても遜色のない白色度、印刷適性、特にインク吸収性を有する。また硬度の高い粒子を含まないので抄紙の際にワイヤー摩耗を低減することができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
参考例1
製紙スラッジを約800℃で焼成した焼成灰(PS灰)について、蛍光X線分析法(蛍光X線分析装置VXQ-150、島津製作所社製)により組成を求めた。結果を表1に示す。またkett白色度(JPCS-102-87)及び比表面積(流動式比表面積測定装置フローソープII2300型)を測定するとともに、X線回折法(X線回折装置RAD-B、理学電気社製)により主成分の同定を行った。結果を表2に示す。
【0034】
参考例2
参考例1のPS灰をディスクミルで1分間粉砕したものを電気炉にて十分な空気を送りながら1000℃で30分間再焼成した。得られた焼成灰について参考例1と同様にX線回折法により主成分の同定を行うとともに、kett白色度(JPCS-102-87)及び比表面積を測定した。結果を表2に示す。
【0035】
参考例3
参考例1のPS灰と炭酸ナトリウムを重量比1:1の割合で混合し、ディスクミルで1分間粉砕したものを電気炉にて十分な空気を送りながら1000℃で30分間再焼成した。得られた焼成灰について参考例1と同様にX線回折法により主成分の同定を行うとともに、kett白色度(JPCS-102-87)及び比表面積を測定した。結果を表2に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004677077
【0037】
【表2】
Figure 0004677077
【0038】
表2の結果からもわかるように、PS灰を炭酸ナトリウムと混合焼成することにより、ケイ酸アルミニウムカルシウムの生成が抑制され、代りにケイ酸アルミニウムナトリウムが生成した。またPS灰を単に再焼成したものに比べ、白色度の高い焼成灰が得られた。
【0039】
実施例1
参考例3で得られた焼成灰をディスクミルで1分間粉砕したものを50g採取し、10%硫酸水溶液300mlを添加して、90℃で加熱攪拌しながら30分間反応を行なった。反応物をろ過、洗浄し、ケーキ状物質を得た。このケーキ状物質に、5%塩酸溶液300mlを添加し、90℃で加熱攪拌しながら30分間反応を行なった後、反応物をろ過、洗浄、乾燥し、粉末状物質を得た。この粉末状物質についてX線回折法及び蛍光X線法により同定を行ったところ、非晶質シリカであることが確認された。また蛍光X線法及び熱分析法(MTS9000、真空理工社製)で測定した結果、非晶質シリカの割合は91.9%であった。
【0040】
得られた非晶質シリカ微粒子をディスクミルで1分間粉砕し、325meshの篩で分級したものについてkett白色度、比表面積及び吸油量を測定した。結果を表3に示す。
【0041】
実施例2
参考例3で得られた焼成灰をディスクミルで1分間粉砕したものを50g採取し、5%硫酸水溶液200mlを添加して、90℃で加熱攪拌しながら30分間反応を行なった(第1段の酸処理)。反応物をろ過、洗浄して得られたケーキ状物質に、さらに10%硫酸水溶液300mlを添加し、90℃で加熱攪拌しながら1.5時間反応を行なった(第2段の酸処理)。反応物をろ過、洗浄し、ケーキ状物質を得た。このケーキ状物質に、5%塩酸水溶液300mlを添加し、90℃で加熱攪拌しながら30分間反応を行なった後(第3段の酸処理)、反応物をろ過、洗浄、乾燥し、粉末状物質を得た。この粉末状物質について実施例1と同様に同定を行ったところ、97.2%非晶質シリカであることが確認された。
【0042】
得られた非晶質シリカ微粒子をディスクミルで1分間粉砕し、325meshの篩で分級したものについてkett白色度、比表面積及び吸油量を測定した。結果を表3に示す。
【0043】
実施例3
参考例3で得られた焼成灰50gに、50%硫酸水溶液100mlを添加して、105℃で蒸発乾固させた後、水500mlを添加して攪拌した。この溶液をろ過した後、得られたケーキ状物質に、ろ液100mlを戻して攪拌し、再度105℃で蒸発乾固させた。この操作を3回繰り返してケーキ状物質を得た。このケーキ状物質に、5%塩酸水溶液300mlを添加し、90℃で加熱攪拌しながら30分間反応を行なった後、反応物をろ過、洗浄、乾燥し、粉末状物質を得た。この粉末状物質について実施例1と同様に同定を行ったところ、99.8%非晶質シリカであることが確認された。
【0044】
得られた非晶質シリカ微粒子をディスクミルで1分間粉砕し、325meshの篩で分級したものについてkett白色度、比表面積及び吸油量を測定した。結果を表3に示す。
【0045】
比較例
市販の非晶質シリカ(P-73、水澤化学工業社製)についてkett白色度、比表面積及び吸油量を測定した。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
Figure 0004677077
【0047】
表3の結果からもわかるように、炭酸ナトリウムと混合焼成した焼成灰を酸処理することにより、白色度が高く比表面積の大きい非晶質シリカが得られた。特に硫酸処理を複数の段階に分けて行うことにより、市販の非晶質シリカに劣らない白色度、比表面積、吸油量の非晶質シリカを得ることができた。
【0048】
応用例1〜5
参考例2で得られたPS灰、実施例1〜3で得られた非晶質シリカ及び比較例の非晶質シリカを用いて以下のようにインクジェット記録紙を得た。
まずPS灰或いは非晶質シリカに水を加えてコーレスミキサーで分散し、30重量%の濃度のスラリーを作製した。このスラリー100重量%にポリビニルアルコール(PV-117、クラレ社製)15重量%を加え、固形分濃度20重量%の塗工液を調整した。この塗工液を市販の上質紙にコーティングロッドで手塗りし、105℃で2分間乾燥した後、24時間調湿を行い、カレンダー処理(線圧:100kg/cm、処理温度:55℃、処理速度:8m/min、ニップ回数:1回)してインクジェット記録紙を得た。
【0049】
各インクジェット記録紙にインクジェットプリンタ(PM-750C、EPSON社製)を用いて印刷を行い、次の項目についてインクジェット記録適性を評価した。結果を表4に示す。
ベタ均一性:シアン及びマゼンタの2色混合のベタ印字部について目視で印字ムラを観察し、印字ムラが見られなかった場合を○、印字ムラが殆ど見られなかった場合を△、印字ムラが著しい場合を×とした。
インク乾燥性:ベタ印字部を印字直後に指で触れたとき、まったく汚れなかった場合を○、かすかに汚れた場合を△、汚れた場合を×とした。
画質:印字部と非印字部の境界部のインクのにじみを目視で観察し、にじみが認められなかった場合を○、やや認められた場合を△、かなりにじんでいたものを×とした。
【0050】
【表4】
Figure 0004677077
【0051】
表4の結果からも明らかなように、PS灰を再焼成したのみを用いた場合には、インクジェット印刷適性のよい記録用紙を得ることができなかったが、実施例2〜4の非晶質シリカを用いた場合には、評価した全ての項目について市販の非晶質シリカに劣らない印刷適性を有するインクジェット記録用紙が得られた。
【0052】
応用例6〜10
参考例2で得られたPS灰、実施例1〜3で得られた非晶質シリカ及び比較例5の非晶質シリカを用い、下記処方のパルプ原料及び添加剤とともに混合し、紙料スラリーを作製した。これを坪量40g/m2で角形シートマシーンを用いた手抄きにより抄造し、新聞用紙を得た。尚、下記処方において重量部は乾燥重量に基づくものである。
パルプ 100重量部
(DIP:KP:GP=50:20:30)
非晶質シリカ 8重量部
硫酸アルミニウム 0.7重量部
【0053】
得られた新聞用紙について、それぞれ灰分、白色度、不透明度、引張強度を下記のJIS試験方法に準拠して測定した。結果を表5に示す。
灰分:JIS P8128
白色度:JIS P8123
不透明度:JIS P8136
引張強度:JIS P8113
【0054】
【表5】
Figure 0004677077
【0055】
表5からもわかるように、実施例1〜3で得られた非晶質シリカを用いた場合には、白色度、不透明度が高く隠蔽性に優れた新聞用紙が得られた。引張強度も白色度、不透明度と同様に、市販の非晶質シリカに劣らない強度を示した。
【0056】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように本発明によれば、スラッジ又は焼成灰を原料として品質の高い非晶質シリカ微粒子を提供することができる。特に本発明の製造方法によって製造された非晶質シリカは、白色度が高く、比表面積が大きいので製紙用填料或いは顔料として、特に高いインク吸収性が要求される用途に有用であり、通常のホワイトカーボンを用いた内填紙或いは塗工紙と殆ど変らない性能の紙を提供することができる。

Claims (5)

  1. シリカまたはその化合物を含むスラッジ又は前記スラッジを焼成した焼成灰をアルカリ金属化合物と混合焼成する工程と、
    前記混合焼成工程で得られた焼成物を、酸処理する工程とを含み、前記酸処理工程は、複数の酸処理工程からなることを特徴とする非晶質シリカ微粒子の製造方法。
  2. 前記スラッジが製紙スラッジである請求項1記載の非晶質シリカ微粒子の製造方法。
  3. 前記アルカリ金属化合物がナトリウム化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の非晶質シリカ微粒子の製造方法。
  4. 前記ナトリウム化合物が炭酸ナトリウム又は水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項3記載の非晶質シリカ微粒子の製造方法。
  5. 前記アルカリ金属化合物を、焼成灰に対し重量比1:0.01〜1:5の割合で混合することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の非晶質シリカ微粒子の製造方法。
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