JP5346235B2 - 製紙用填料を含有するコールドオフセット印刷用紙 - Google Patents
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(1) 製紙スラッジ、石炭、紙を含む廃棄物、バイオマス、複合燃料からなる群より選択される1種以上を含んでなる原料を焼却して得られる焼却灰を、平均粒径が0.1〜3.0μmになるまで粉砕して得られる製紙用填料を含有し、紙中灰分が13重量%を超えるコールドオフセット印刷用紙。
(2) 前記焼却灰が、製紙スラッジ焼却灰および/または石炭焼却灰の焼却灰である、(1)に記載のコールドオフセット印刷用紙。
(3) 前記製紙用填料の白色度が10〜60%である、(1)または(2)に記載のコールドオフセット印刷用紙。
本発明の製紙用填料は、原料として焼却灰を使用し、その焼却灰を粉砕処理して平均粒径を0.1〜3.0μmとすることによって得られる。
本発明の製紙用填料を用いてコールドオフセット印刷用紙を製造することができる。本発明の製紙用填料は、抄紙機のワイヤーを摩耗させにくいため、一般的な抄紙機を用いる抄紙に使用することができる。特に、新聞用紙を抄造するために用いられる抄紙機は、両面脱水機構を有しているギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー、オントップフォーマーなどが望ましいが、これに限定されるものではない。
本発明における各特性値は、下記の測定方法により得られた値である。
(1)粒度分布測定(レーザー法):レーザー回折法により粒度分布を測定する。試料スラリーを、分散剤(ヘキサメタリン酸ソーダ)0.2重量%(対試料固形分)を添加した純水中に滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定器(使用機器:マルバーン社製マスターサイザー)を使用して粒度測定する。
(2)ワイヤー磨耗度:リン青銅線円盤(以下ワイヤー)を用いてアインレーナーAT1000磨耗試験機により、ワイヤー摩耗性を測定する。測定に用いるワイヤーは超音波浴中で5分間洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらにアセトンにより洗浄を行った。これを105℃で1時間以上乾燥させ、デシケータ中で放冷した後、0.1mgの精度で重量を測定した。このワイヤーを試験円筒機の底に固定し、撹拌機を下ろしてワイヤーに接しさせた。イオン交換水で10%濃度としたスラリーを測定試料とし、試験円筒機に注入した。この状態で、撹拌機を174000回転させて、ワイヤーを摩耗させた。摩耗試験後のワイヤーを、再び超音波浴中で5分間洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらにアセトンにより洗浄を行った。これを105℃で1時間以上乾燥させ、デシケータ中で放冷した後、0.1mgの精度で重量を測定した。摩耗試験前のワイヤー重量から摩耗試験後のワイヤー重量を差し引き、ワイヤー磨耗度(mg)とした。
(3)白色度:測定光が裏側に透けない程度の厚みを持つよう、試料をリング状の測定器具の中に入れ、約20kg/cm2の圧力をかけてペレット状にした。このペレットについて、村上色彩技術研究所CMS−35SPXを用いて、D65光源、10度視野、紫外光を含む条件で白色度を測定した。
本発明におけるコールドオフセット印刷用紙の紙質は、下記に規定される方法に準じて測定した値である。
(1)坪量:ISO536
(2)紙中灰分:ISO1762
(3)白色度:ISO2470
(4)不透明度:ISO2471
印刷評価
本発明におけるコールドオフセット印刷用紙の印刷評価は、東芝オフセット輪転機にて、CTP出力版(KODAK社製ExThermoTP-Rポジサーマルプレート)を用いて、印刷速度900rpm、湿し水膜厚0.7μmで新聞用インキ(東洋インキ製バンテアンエコーHAS墨)を用いて、墨単色印刷を6万部行ったときの印刷作業性・印刷品質である。
(1)紙粉量の測定:6万部印刷した後のブランケット上に堆積している紙粉をかきとり、その重量を測定し、100cm2あたりの重量で表した。
(2)刷版磨耗評価方法:印刷前および6万部印刷後の刷版の画線部(網点濃度100%)を反射型印刷濃度計(マクベス濃度計RD918)で測定し、印刷前後の濃度差を算出した。濃度差が大きいほど画線部の傷みが大きく、刷版の磨耗が進行していることを示す。
(3)インキ着肉性:インキ着肉性は6万部印刷時の墨ベタ面を目視にて評価した。
(4)裏抜け:裏抜けは6万部印刷時の墨ベタ面を裏面から目視して評価した。
以下に示す方法により、焼却灰を原料として製紙用填料を製造した。焼却灰としては、製紙工程由来のスラッジ(古紙リサイクル工程由来のスラッジ約80重量%、製紙白水由来のスラッジ約20重量%)から得られる焼却灰を用いた。なお、焼却灰材料の物性評価(粒径、ワイヤー磨耗度、白色度)は前述した方法で実施した。
出発原料として、製紙工程由来のスラッジを用いた。このスラッジを、流動床炉を用い、酸素濃度7%、滞留時間2秒、830〜860℃という条件下で焼却して焼却灰300kgを得た。この焼却灰を測定したところ、平均粒径は220μm、白色度は47%だった(2008年9月25日採取)。
製紙用填料Aと同様にして、製紙工程からのスラッジから焼却灰300kgを得た(平均粒径315μm、白色度50%、2008年11月13日採取)。この焼却灰を用い、粉砕時間を4時間として粉砕工程後の平均粒径を2.5μmとした以外は、製紙用填料Aと同様に製紙用填料を製造した。
製紙用填料Aと同様にして、製紙工程からのスラッジから焼却灰300kgを得た(平均粒径280μm、白色度52%、2008年11月20日採取)。この焼却灰を用い、これを水2200kgに添加し、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(アロンT−40:東亜合成製)を焼却灰に対して固形分で1%添加し、アジテータにて攪拌を十分行って、固形分濃度12%の焼却灰スラリーを得た。
製紙用填料Cと同様の出発原料を用い、同様の粉砕処理を行ったが、2段目の横型ビーズミルによる粉砕時間をを3時間行って最終的に平均粒径1.6μmの焼却灰材料を得た。それ以外は、製紙用填料Cと同様に製造した。
出発原料として、石炭を用いた。石炭を、バーナー炉を用い、酸素濃度4%、滞留時間2秒、600〜700℃という条件下で石炭ボイラーで焼却して焼却灰310kgを得た。この石炭焼却灰を測定したところ、平均粒径は130μm、白色度は38%だった(2008年12月4日採取)
上記焼却灰310kgに対し、1段目の粉砕として乾式ボールミル(粉砕媒体=1.5mm径アルミナビーズ)を用いてパス方式で連続的に粉砕処理を行った。焼却灰を粉砕機入口から添加して粉砕処理を行い、粉砕後の焼却灰を粉砕機出口から回収して、平均粒径24μmの焼却灰材料300kgを得た。
製紙用填料Aと同一の出発原料を用い、同一の粉砕処理を行ったが、サンドグラインダーによる粉砕時間を3時間に短縮し、最終的に平均粒径3.6μmの焼却灰材料を得た。それ以外は、製紙用填料Aと同様に製造した。
製紙用填料Bと同一の出発原料を用い、同一の粉砕処理を行ったが、サンドグラインダーによる粉砕時間を2時間50分間に短縮し、最終的に平均粒径4.5μmの焼却灰材料を得た。それ以外は、製紙用填料Bと同様に製造した。
製紙用填料Eと同一の出発原料を用い、乾式ボールミル(粉砕媒体=1.5mm径アルミナビーズ)を用いてパス方式で連続して粉砕処理を行った。焼却灰を粉砕機入口から添加して粉砕処理を行い、粉砕後の焼却灰を粉砕機出口から回収して、平均粒径12μmの焼却灰材料300kgを得た。
以下の方法により、本発明の製紙用填料を内添してコールドオフセット印刷用紙を製造した。紙質評価(坪量、灰分、白色度、不透明度)、印刷評価(紙粉量、刷版摩耗性、インキ着肉性、裏抜け)は前述した方法で実施した。
製紙用原料パルプとして、新聞脱墨パルプ(ろ水度200ml、灰分10%、以下DIPと略す。)、サーモメカニカルパルプ(ろ水度100ml、以下TMPと略す。)、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度520ml、以下NKPと略す。)を80:15:5の配合割合で混合したパルプスラリーに、パルプ絶乾重量当たり、硫酸バンドを2%、填料として軽質炭酸カルシウム(粒径2.1μm)を10%、製紙用填料Aを2%、歩留り向上剤を300ppmそれぞれ添加し、ギャップフォーマー型抄紙機、抄速1200m/分で、坪量43g/m2になるように中性抄紙し新聞用紙原紙を抄造した。さらにゲートロールコーターでヒドロキシエチル化澱粉、カチオン性表面サイズ剤(スチレン/アクリル酸エステル共重合体)をそれぞれ塗工量がフェルト面、ワイヤー面ともに0.3g/m2、0.02g/m2となるように塗工し、新聞用紙を得た。
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Bを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Cを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Dを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Eを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
製紙用填料Aを用いずに、軽質炭酸カルシウム(粒径2.1μm)をパルプ絶乾重量当たり12重量%添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Fを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Gを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Hを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
製紙用原料パルプとして、新聞脱墨パルプ(ろ水度200ml、灰分10%、以下DIPと略す。)、サーモメカニカルパルプ(ろ水度100ml、以下TMPと略す。)、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度520ml、以下NKPと略す。)を80:15:5の配合割合で混合したパルプスラリーに、パルプ絶乾重量当たり、硫酸バンドを2%、填料として軽質炭酸カルシウム(粒径2.1μm)を7%、製紙用填料Fを2%、歩留り向上剤を200ppmそれぞれ添加し、ギャップフォーマー型抄紙機、抄速1200m/分で、坪量43g/m2になるように中性抄紙し新聞用紙原紙を抄造した。さらにゲートロールコーターでヒドロキシエチル化澱粉、カチオン性表面サイズ剤(スチレン/アクリル酸エステル共重合体)をそれぞれ塗工量がフェルト面、ワイヤー面ともに0.3g/m2、0.02g/m2となるように塗工し、新聞用紙を得た。
(1)製紙用填料A〜Eは、製紙用填料F〜Hと比較して、粉砕処理によって粒径を3μm以下に調整しており、それによってワイヤー磨耗度を大幅に改善できていた。特に製紙用填料Aと製紙用填料Fとを比較すると、両者は出発原料が同じで、粉砕後の平均粒径も実施例1では2.8μm、比較例1では3.6μmと約30%しか変わらないのに対して、ワイヤー磨耗度は約2.6倍の開きがあった。このことから、平均粒径がおよそ3μmを境にして、ワイヤー磨耗度が著しく変化することがわかる。
(2)製紙用填料の白色度に関しては、製紙用填料A〜Eでは白色度を上げるための特別な工程による処理を行っていないが、問題はなかった。
(3)本発明の製紙用填料A〜Eを使用した場合(実施例1〜5)、焼却灰材料を製紙用填料として使用しなかった場合(比較例1)と同様に、新聞用紙を問題なく製造することができた。填料の全量に炭酸カルシウムを使用している比較例1に比べ、その一部を焼却灰材料で置き換えた実施例1〜5でも、白色度、不透明度とも特に低くなることはなく、新聞用紙としての品質が維持されているといえる。
(4)6万部印刷したとき、実施例1〜5と平均粒径が3.0μmより大きい製紙用填料F〜Hを使用した場合(比較例2〜4)とを比べると、比較例2〜4では紙粉量、刷版の磨耗が著しく悪化し、インキ着肉性も劣っていた。
(5)実施例1と比較例2の印刷評価結果を比べると、両者の製紙用填料は出発原料が同じで、粉砕後の平均粒径も実施例1では2.8μm、比較例1では3.6μmと約30%しか変わらないのに対して、紙粉量、刷版の摩耗性、インキ着肉性に大きな差が見られた。但し、粉砕後の平均粒径が3.6μmの製紙用填料であっても、紙中灰分が13%である場合(比較例5)には、紙粉量、刷版の磨耗、インキ着肉性にそれほど問題はなかった。このことから、13%を超える高灰分の紙では、平均粒径がおよそ3μmを境にして、紙粉量、刷版の磨耗、インキ着肉性が著しく変化することがわかる。
Claims (3)
- 製紙スラッジ、石炭、紙を含む廃棄物、バイオマス、複合燃料からなる群より選択される1種以上を含んでなる原料から得られる焼却灰を分散してスラリー化し、この焼却灰スラリーに硫酸および/または硫酸塩を添加してpHを7〜10に調整しながら湿式粉砕処理を行って平均粒径を0.1〜3.0μmとすることによって得られる白色度が10%〜60%である製紙用填料を含有し、紙中灰分が13重量%を超えるコールドオフセット印刷用紙。
- 前記焼却灰が、製紙スラッジ焼却灰および/または石炭焼却灰である、請求項1に記載のコールドオフセット印刷用紙。
- 前記焼却灰スラリーの固形分濃度が1〜50%である、請求項1または2に記載のコールドオフセット印刷用紙。
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