JP4673966B2 - 炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法及び炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法及び炭化水素油の水素化処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素油の水素化処理触媒及び炭化水素油の水素化処理方法に関し、特に灯軽油留分をはじめとする炭化水素油などの水素化脱硫用触媒として有効な水素化処理触媒及び炭化水素油の水素化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球規模で環境破壊が極めて深刻な問題となっている。特に、石油類や石炭等の化石燃料の燃焼に伴って発生する窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が大気中に放出されると、これらが酸性雨や酸性霧となって森林や湖沼等の環境を著しく破壊する。なかでも、SOxが深刻であり、発生後の後処理によってある程度低減できるが、燃料油中の硫黄分を効率よく除去することも重要である。以上のように環境保護の観点から、軽油の硫黄分の品質規制が強化される中、脱硫のより一層優れた活性を有する水素化処理触媒の開発が望まれている。
【0003】
従来より、軽油の水素化脱硫触媒としては、アルミナ等の耐火性無機酸化物担体にコバルトとモリブデンを担持した触媒が用いられている。その脱硫活性は活性金属であるモリブデンの状態に非常に左右されることが知られており、モリブデンの担持状態を改善するため、アルミナ以外の担体や、アルミナと他の酸化物を複合した担体が検討されている。その中で周期律表第4族金属化合物、特にチタニア成分が脱硫活性を向上させることは知られている。しかし、周期律表第4族金属化合物、特にチタニアは単独では担体として表面積が小さく、また成形性も非常に悪い。さらにアルミナに比べ原料コストが高く経済的に不利である。
【0004】
そこで、▲1▼アルミナとチタニアを共沈させた担体(Applied Catalysis A:General 180(1999))、▲2▼飽和四塩化チタンをガス状に誘導し熱によりアルミナへ化学蒸着させて得られた担体(特開平6−106061号公報)などが検討されている。しかしながら、上記▲1▼の場合、チタニアの添加量を40質量%以上にしないとチタニアの効果は十分発揮されず経済的に不利である。また、▲2▼の場合、通常の溶液を用いた方法とは異なり、ガスとして原料を送り込み、担体を一定の温度に制御したところへ分解担持させるという方法で、温度管理、設備面の管理等複雑で、かつ製造設備面で困難が生じると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたもので、簡便に得ることができ、かつ脱硫活性が一層改良された水素化処理触媒及びその触媒を使用する炭化水素油の水素化処理方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、アルミナヒドロゲルに周期律表第4族金属化合物を含む水溶液を担持し焼成したものを担体として使用することにより上記本発明の目的を効果的に達成しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.アルミナヒドロゲルに、硫酸チタン、過酸化チタン、シュウ酸チタン、酢酸チタンから選ばれる少なくとも一種のチタン化合物を含む水溶液又はチタンペルオキソヒドロキシカルボン酸あるいはチタンペルオキソヒドロキシカルボン酸アンモニウム塩を担持し焼成した担体に、周期律表第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物をそれぞれ少なくとも一種含む水溶液を含浸し担持する炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
2.担体が、アルミナヒドロゲルに硫酸チタンを含む水溶液又はチタンペルオキソクエン酸アンモニムを担持し焼成したものである前記1に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
3.アルミナヒドロゲルがベーマイトゲルである前記1又は2に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
4.チタンの担持量が酸化物基準で、アルミナに対し0.5〜30質量%である前記1〜3のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
5.周期律表第6族金属がモリブデンであり、周期律表第8〜10族金属がニッケルである前記1〜4のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
6.周期律表第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物とともにリン化合物を担持する前記1〜5のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
7.前記1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られた炭化水素油の水素化処理触媒を使用することを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
アルミナヒドロゲルに周期律表第4族金属化合物を含む水溶液を担持し焼成した担体に、周期律表第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物をそれぞれ少なくとも一種含む水溶液を含浸し担持してなる炭化水素油の水素化処理触媒である。
【0009】
本発明において、アルミナヒドロゲルとして、ベーマイト,バイヤライト,ジブサイトなどを使用でき、中でもベーマイトが好ましい。また、アルミナヒドロゲルの粒子径は均一なものが好ましい。均一な粒子径のアルミナヒドロゲルを焼成することにより、シャープな細孔分布を有するアルミナが得られる。これにより、反応物である炭化水素油の分子サイズに適した細孔径の範囲での担体の表面積が最大となり、反応物の活性点への拡散が容易となるためである。
【0010】
アルミナヒドロゲルの調製方法については、特に限定されないが、水溶性酸性アルミナ塩の水溶液に塩基を添加するか、水溶性塩基性アルミナ塩の水溶液に酸を添加するか、水溶性酸性アルミナ塩の水溶液と水溶性塩基性アルミナ塩の水溶液を混合して生成するゲルを熟成することにより得られる。
【0011】
その熟成方法としては特に限定されないが、例えば、pH3.3〜9.3の間で、少なくとも10回以上(好ましくは13回以上)pHを変動させるpHスウィング法、pH10以上(好ましくはpH11以上)、温度125℃以上(好ましくは130℃以上)の条件での水熱高温熟成法、あるいはこれらの組み合わせにより行うことができる。
【0012】
次いで、調製したアルミナヒドロゲルに周期律表第4族の金属化合物の水溶液を添加して、アルミナゲル上に担持する。その周期律表第4族金属化合物の水溶液は、水でもよいが、例えば、塩酸水溶液、硫酸水溶液などにより金属化合物を溶解させ、安定に存在させた方が好ましい。
【0013】
周期律表第4族の金属化合物としてはチタン、ジルコニウム等の金属化合物を挙げることができるが、特にチタン化合物が好ましい。
周期律表第4族金属の化合物としては、チタン化合物として、硫酸チタン,塩化チタン,過酸化チタン,シュウ酸チタン,酢酸チタン、ジルコニウム化合物として、オキシ塩化ジルコニウム,硫酸ジルコニウム,硝酸ジルコニウム,酢酸ジルコニウム,炭酸ジルコニルアンモニウムを挙げることができる。
【0014】
さらに、チタンペルオキソヒドロキシカルボン酸や、そのアンモニウム塩である水溶性チタン化合物も好適に用いることができる。そのヒドロカルボン酸として、クエン酸,リンゴ酸,乳酸,酒石酸を挙げることができる。
【0015】
アルミナゲルへの周期律表第4族金属化合物の水溶液の添加方法としては、アルミナヒドロゲルが分散した水溶液中に周期律表第4族の金属化合物の水溶液を添加する方法や、濾過・洗浄した脱水後のアルミナヒドロゲルへ周期律表第4族の金属化合物の水溶液を加えて捏和する混練法等を用いることができる。また、周期律表第4族の金属化合物の水溶液にアルミナヒドロゲルを添加してもよい。添加する温度は、通常室温〜90℃であるが、40〜80℃が好ましい。
【0016】
このように、周期律表第4族の金属化合物は水溶液として安定に溶解した状態として、アルミナヒドロゲルに添加することにより、アルミナヒドロゲル粒子の表面に高分散な状態で周期律表第4族の金属化合物を担持することができる。
【0017】
上記周期律表第4族金属の担持量は、酸化物基準で、アルミナに対して、好ましくは0.5〜30質量%(より好ましくは2〜15質量%)である。担持量が少なすぎると、その金属添加の効果が十分発揮されない場合があり、担持量が多すぎると、担持する金属溶液が高濃度となって不安定となり、該金属のアルミナ担体上への偏積もしくは凝集が生じる場合があり好ましくない。
【0018】
上記周期律表第4族金属化合物の担持後、常圧または減圧で、好ましくは50〜150℃(より好ましくは100〜120℃)の温度で、0.5〜100時間乾燥させることによって水分を調整し、押出成形し、次いで焼成を実施することにより、周期律表第4族の金属酸化物の担持されたアルミナ担体を得ることができる。
焼成温度は、好ましくは400〜700℃(さらに好ましくは500〜650℃)で、焼成時間は、通常0.5〜100時間である。
【0019】
また、周期律表第4族金属化合物の担持後、陰イオンとして硫酸根や塩素根を含む場合、その陰イオンを5質量%以下にすることが、続いて担持する活性金属の分散性の低下による触媒の活性低下を抑制するために望ましい。そのためには、脱イオン水、又はアンモニアや炭酸アンモニアを添加した水で洗浄したり、焼成の際空気に水蒸気を同伴させたりすればよい。
【0020】
最後に、上記の担体に活性金属化合物として周期律表第6族化合物及び第8〜10族金属化合物をそれぞれ少なくとも一種及び、必要によりリン化合物を担持する。
活性金属化合物にリン化合物を添加することにより、助触媒成分であるニッケルやコバルトの担持状態が改善され脱硫活性及び脱窒素活性が向上し好ましい。
【0021】
周期律表第6族金属として、モリブデン,タングステンが好適に挙げられ、特にモリブデンが好ましい。モリブデン化合物としては、三酸化モリブデン,パラモリブデン酸アンモニウム等が使用され、タングステン化合物としては、三酸化タングステン,タングステン酸アンモニウム等が使用される。その担持量は酸化物基準、触媒体基準で好ましくは4〜40質量%、さらに好ましくは8〜30質量%である。
【0022】
周期律表第8〜10族の金属として、通常、コバルト又はニッケルが挙げられる。ニッケル化合物としては、硝酸ニッケル,塩基性炭酸ニッケル等が使用され、コバルト化合物としては、硝酸コバルト,塩基性炭酸コバルト等が使用される。その担持量は酸化物基準、触媒体基準で好ましくは1〜12質量%、さらに好ましくは2〜10質量%である。
【0023】
リン化合物としては、五酸化リン、正リン酸等が使用される。その担持量は酸化物基準、触媒体基準で0.5〜8質量%、好ましくは1〜6質量%である。
上記の活性金属化合物を含浸法により前記周期律表第4族金属酸化物が担持されたアルミナ担体に担持する。以上の周期律表第6族金属化合物、第8〜10族金属化合物、リン化合物の3グループに属する金属化合物は別々に逐次的に含浸してもよいが、同時に行うのが効率的である。上記の金属化合物を、周期律表第6族金属は0.7〜7.0モル/リットル、周期律表第8〜10族の金属は0.3〜3.6モル/リットル、リン化合物は0〜2.2モル/リットルの割合で純水に溶解させ、担体に吸水率と等量になるように調整後含浸する。含浸時のpHは含浸液の安定性を考慮して一般には酸性領域では1〜4、好ましくは1.5〜3.5である。また、アルカリ性領域では9〜12、好ましくは10〜11である。このpHの調整方法は特に限定されないが、硝酸,塩酸,硫酸等の無機酸、リンゴ酸,クエン酸,エチレンジアミン4酢酸等の有機酸、アンモニアなどを使用して行うことができる。
【0024】
また、リン化合物で安定化させた含浸液には水溶性有機化合物を添加することが好ましい。
その水溶性有機化合物として、分子量100以上でかつ水酸基及び/又はエーテル結合を有する水溶性有機化合物(但し、酸は除く)を挙げることができ、具体的には、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ブタントリオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール等のジオール類;5−メチル−1−ヘキサノール、イソアミルアルコール(3−メチル−1−ブタノール)、s−イソアミルアルコール(3−メチル−2−ブタノール)、イソウンデシレンアルコール、イソオクタノール、イソペンタノール、イソゲランオール、イソヘキシルアルコール、2,4−ジメチル−1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール等の炭素数4以上のイソ体のアルコール;2−ヘキサノール、3−ヘキサノール等の炭素数5以上で末端の炭素以外にヒドロキシル基が結合しているアルコール;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のエーテル基含有水溶性高分子;ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;サッカロース、グルコース等の各種糖類;メチルセルロース、水溶性でんぷん等の水溶性多糖類もしくしはその誘導体などを挙げることができ、単独でも二種類以上を混合して使用することもできる。
【0025】
上記の水溶性有機化合物の添加量は、周期律表第4族の金属酸化物が担持されたアルミナ担体の質量に対して、好ましくは2〜20質量%(より好ましくは3〜15質量%)とすればよい。
【0026】
含浸後、触媒の活性金属を担体に安定化させるために熱処理するが、その温度は、好ましくは70〜500℃である。120〜300℃の範囲が特に好ましい。熱処理温度が高すぎると、担持成分の凝集が生じ十分な活性を得ることができず、低すぎると、担持成分と担体と十分な結合を持つことができず十分な活性を得ることができない場合がある。上記の熱処理は空気中で行うもので、通常3〜16時間である。
【0027】
上記で得られた触媒の平均細孔径は通常40〜140Å、好ましくは60〜130Åであり、比表面積は通常120〜400m2 /g、好ましくは140〜350m2 /gである。また、全細孔容量は通常0.2〜1.0cc/g、好ましくは0.25〜0.9cc/gである。
なお、上記の平均細孔径と全細孔容量は水銀圧入法で測定し、比表面積は窒素吸着法で測定したものである。
【0028】
本発明においては、アルミナヒドロゲルに周期律表第4族金属化合物含有の水溶液を添加して担持するため、周期律表第4族金属酸化物がアルミナの表面に高分散している。そこに活性金属である周期律表第6族及び第8〜10族金属の水溶液を含浸するため、活性金属と周期律第4族金属酸化物との相互作用が強く、活性金属の高活性な状態が少量の周期律表第4族金属酸化物量により形成できると推定される。
【0029】
もう一つの発明は、上記の水素化触媒を使用した炭化水素油の水素化処理方法である。
水素化処理を行う際には、予め安定化処理として予備硫化を行うことが望ましい。この予備硫化処理の条件は特に限定されないが、通常、予備硫化剤として、硫化水素,二硫化炭素,チオフェン,ジメチルジスルフィド又はそれらを含む炭化水素油等を挙げることができ、処理温度は200〜400℃、処理圧力は常圧〜30MPaの範囲で行われる。
【0030】
水素化処理条件については、原料油の種類や目的により異なるが、一般的には反応温度250〜450℃(好ましくは280〜400℃)、水素分圧1〜30MPa(好ましくは2〜25MPa)の範囲で行われる。
【0031】
反応形式は特に限定されないが、通常は、固定床,移動床,沸騰床,懸濁床等の種々のプロセスから選択できるが、固定床が好ましい。また、原料油の流通法については、ダウンフロー、アップフローの両形式を採用することができる。
【0032】
固定床の場合の温度、圧力以外の反応条件としては、液空間速度(LHSV)は0.1〜5hr-1(好ましくは0.2〜3hr-1)、水素/原料油比は50〜1,500Nm3 /kl(好ましくは150〜1,000Nm3 /kl)である。
【0033】
処理する炭化水素油として、全ての石油留分を用いることができるが、具体的には灯油,軽質軽油、重質軽油、分解軽油等から常圧残油,減圧残油,脱蝋減圧残油,アスファルテン油,タールサンド油まで巾広く挙げることができるが、軽油留分の硫黄分を50ppm以下にするのに本発明は特に有効である。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
〔実施例1〕
純水2リットルに水酸化ナトリウム70gを溶解させ、さらに、アルミン酸ナトリウム200gを添加して均一なアルミナ溶液(B1)を得た。また、純水2リットルに硝酸アルミニウム1,000gを溶解させ、アルミナ溶液(A1)を得た。先ず、純水4リットルを70℃に加温し、攪拌しながら、アルミナ溶液(A1)をpH3.6になるまで添加した。次にアルミナ溶液(B1)をpH9.0になるまで添加して、5分間攪拌しながら熟成させた。続いて再びアルミナ溶液(A1)を添加してpHを3.6として、攪拌しながら5分間熟成させた。このように、pHを3.6から9.0の間で変化させる操作を計9回繰り返しベーマイトゲルB水溶液を得た。
【0035】
これに希硫酸を滴下してpH6.0に調整した。そして、硫酸チタン水溶液(硫酸13質量%含有硫酸チタン30質量%水溶液)を脱イオン水で2倍に希釈したものをTiO2 /Al2 3 (質量比)が5/95になるように添加し、5分間攪拌後、10質量%アンモニア水をpH8.0まで添加して、5分間攪拌した。得られた硫酸チタン担持ベーマイトゲルを濾過、脱イオン水で洗浄して、硫酸イオンを除去した。このゲルの水分を乾燥により調節して直径1.5mmの円柱形に押出成形し、このゲルを120℃で16時間乾燥させ、さらに550℃で2時間焼成してチタニア担持アルミナ担体(C1)を得た。
【0036】
次に、炭酸ニッケル69.5g(NiOとして39.7g)、三酸化モリブデン220g、正リン酸31.5g(純度85%:P2 5 として19.5g)を純水250ccに加えて、攪拌しながら80℃で溶解させ、室温に冷却後、再び純水を加えて250ccに定容し、含浸液(S1)を調製した。
【0037】
含浸液S1を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、担体(C1)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥後、120℃で16時間熱処理し、触媒1を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0038】
〔実施例2〕四塩化チタン500g及び純水1リットルを氷にて冷却しておいた。純水を攪拌しておき、そこに冷却しながら徐々に四塩化チタンを滴下して、無色のチタニアゾル塩酸溶液を得た。このチタニアゾル溶液に、1.2倍当量のアンモニア水(濃度:1モル/リットル)を滴下し、1時間攪拌し、水酸化チタンのゲルを得た。そのゲルを吸引濾過で分別し、約1リットルの純水に再分散させ濾過洗浄した。この操作を洗浄液が中性になるまで4回繰り返し、塩素根を取り除いた。
【0039】
得られた水酸化チタンゲルの含水率を測定し、チタニアとして11g採取した。25質量%アンモニア水を50cc添加し、30分間攪拌した。さらに、30質量%過酸化水素水を38ccを徐々に添加し、水酸化チタンゲルを溶解させ、ペルオキソチタン溶液を得た。それにクエン酸第一水和物を29g徐々に添加して、攪拌しながら徐々に昇温させ50℃にて余剰の過酸化水素水を除去した。さらに、80℃にて溶液を全量が117ccになるまで濃縮し、黄橙色透明のチタンペルオキソクエン酸アンモニウム(T1)を得た。
【0040】
一方、実施例1と同様の方法で、アルミナ溶液(A1)とアルミナ溶液(B1)を交互に添加し、pHを3.6から9.0の間で変化させる操作を計8回繰り返しベーマイトゲルの分散溶液を得た。さらに、ベーマイトゲルを濾過、脱イオン水で洗浄して硫酸イオンを除去した。この洗浄後のベーマイトゲルに、チタンペルオキソクエン酸アンモニウム(T1)を添加してニーダーにて1時間捏和し、均一になったゲルの水分を乾燥により調節して直径1.5mmの円柱形に押出成形し、このゲルを120℃で16時間乾燥させ、さらに550℃で2時間焼成してチタニア担持アルミナ担体(C2)を得た。
【0041】
実施例1と同様にして調製した含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、担体(C2)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥後、120℃で16時間熱処理し、触媒2を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0042】
〔比較例1〕
実施例1と同様にして調製した含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、吸水率0.8cc/gのγ−アルミナ担体100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥後、120℃で16時間熱処理し、触媒3を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0043】
〔比較例2〕
加温攪拌器に、60℃の純水15リットル入れ、アルミン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムをそれぞれ、Al2 3 濃度8.0質量%、NaOH濃度3.5質量%になるように添加し、60℃に加温し、溶液Aを調製した。別の加温攪拌器に純水15リットル入れ、硫酸チタン水溶液と硫酸アルミニウム水溶液をそれぞれ、TiO2 濃度0.6質量%、Al2 3 濃度3.0質量%になるように添加し、硫酸チタンと硫酸アルミニウムの混合溶液を調製し、60℃に加温し、溶液Bを調製した。この溶液Bを溶液Aに添加し、pHを7に調整して、チタニア−アルミナの共沈水和物のゲルを得、さらに60℃にて1時間熟成した。その後、フィルターにてゲルに対し70倍量の0.3質量%のアンモニア水で洗浄した。得られた濾過物に固形分が12質量%になるように純水を添加し、さらにアンモニア水でpHを11に調整し、加温攪拌器にて90℃で13時間熟成した。その後、ゲルを再びフィルターで濾過し、濾過物の10倍量の純水で洗浄し、80℃で捏和乾燥させ、押出機で1.58mmの円柱状に成形し、120℃で15時間乾燥させ、500℃で4時間焼成してチタニア−アルミナ担体(C3)を調製した。
【0044】
次に、実施例1と同様にして調製した含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量)6gを添加して、吸水率0.7cc/gのチタニア−アルミナ担体(C3)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥させた後、120℃で16時間熱処理し、触媒4を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0045】
〔比較例3〕
実施例1と同様にして調製したベーマイトゲルB水溶液を濾過、脱イオン水で洗浄して、硫酸イオンを除去した。このゲルにアナターゼ型チタニア微粒子(比表面積;73m2 /g、粒径;0.2μm)を固形分比率に対して、5/95(TiO2 /Al2 3 )になるように添加した。さらに、ニーダーにて1時間捏和し、水分を乾燥により調節して直径1.5mmの円柱形に押出成形し、このゲルを120℃で16時間乾燥させ、さらに550℃で2時間焼成してチタニア担持アルミナ担体(C4)を得た。
【0046】
次に、実施例1と同様にして調製した含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量)6gを添加して、吸水率0.7cc/gのチタニア−アルミナ担体(C4)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥させた後、120℃で16時間熱処理し、触媒5を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004673966
【0048】
軽油留分の水素化処理
固定床流通反応装置の反応管に各触媒1〜5を100cc充填した。原料油は水素ガスと共に反応管の下段から導入するアップフロー形式で流通させて反応性を評価した。前処理として第2表に示す性状の原料油[中東系直留軽油(LGO)]にジメチルジスルフィドを加えて硫黄濃度を2.5質量%にしたものを水素ガスと共に290℃、24時間流通させることにより該触媒を予備硫化した。予備硫化後、上記の原料油[中東系直留軽油(LGO)]を水素ガスと共に流通させて水素化処理を行った。反応温度;320〜350℃、水素分圧;5MPa、水素/原料油比;250Nm3 /kl、LHSV;2.0hr-1の条件で実施した。第3表に320〜350℃で評価した脱硫速度定数の平均値を用いて、比較例1(触媒3)の脱硫速度定数の平均値を100とした相対脱硫活性を示す。
【0049】
【表2】
Figure 0004673966
【0050】
【表3】
Figure 0004673966
【0051】
【発明の効果】
本発明の水素化処理触媒は、簡便に得ることができ、かつ従来の触媒よりも水素化脱硫が一層改良されでおり、炭化水素油、特に軽油の水素化処理に有効に利用される。

Claims (7)

  1. アルミナヒドロゲルに、硫酸チタン、過酸化チタン、シュウ酸チタン、酢酸チタンから選ばれる少なくとも一種のチタン化合物を含む水溶液又はチタンペルオキソヒドロキシカルボン酸あるいはチタンペルオキソヒドロキシカルボン酸アンモニウム塩を担持し焼成した担体に、周期律表第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物をそれぞれ少なくとも一種含む水溶液を含浸し担持する炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  2. 担体が、アルミナヒドロゲルに硫酸チタンを含む水溶液又はチタンペルオキソクエン酸アンモニムを担持し焼成したものである請求項1に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  3. アルミナヒドロゲルがベーマイトゲルである請求項1又は2に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  4. チタンの担持量が酸化物基準で、アルミナに対し0.5〜30質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  5. 周期律表第6族金属がモリブデンであり、周期律表第8〜10族金属がニッケルである請求項1〜4のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  6. 周期律表第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物とともにリン化合物を担持する請求項1〜5のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られた炭化水素油の水素化処理触媒を使用することを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
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