JP4673653B2 - 真空装置における異常放電発生予防方法及び真空装置 - Google Patents

真空装置における異常放電発生予防方法及び真空装置 Download PDF

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本発明は、真空中で発生されるプラズマを利用するPVD装置、CVD装置、あるいはスパッタ装置、又は電子ビーム蒸着装置などの真空装置における異常放電発生予防方法及び真空装置に関する。
従来、真空中で発生されるプラズマを利用する真空負荷と、この真空負荷に電力を供給する電源装置とからなるPVD装置、CVD装置、あるいはスパッタ装置、エッチング装置、又は電子ビーム蒸着装置などの真空装置においては、真空負荷が有する電極の電極間インピーダンスが低下したり、あるいは導電性のゴミなどの異物が電極間を短絡したりすることがある。このような場合には、真空負荷の真空中に発生しているプラズマが一時的に異常放電などの異常放電に移行、あるいは電子ビーム蒸着装置では高電位にあるフィラメントとその周囲に位置する電極との間で異常放電が発生することがある。特に、スパッタ装置では異常放電が発生すると、ターゲットが溶融してスパッタリング中の液晶パネルなどの基板材料に欠陥を与え、製品の歩留まりを低下させるという問題がある。また、電子ビーム蒸着装置では放電エネルギーによりフィラメントを断線させる原因となる。
したがって、このような異常放電の発生を防止しなければならず、既に異常放電防止技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。この特許文献1による異常放電防止方法を実現する代表的な真空装置の回路構成を示す図5を用いて概略を説明する。図5において、直流入力電源1の負極と真空負荷2との間にインダクタ3が直列に接続されており、真空負荷2に逆電圧を印加する逆電圧パルス発生回路4が備えられている。逆電圧パルス発生回路4は、IGBT又はMOSFETのような半導体スイッチ素子5と直流入力電源1の電圧と逆極性、つまり正極性の逆電圧源6と半導体スイッチ素子5を選択的に駆動するゲート信号発生回路7とからなる。かかる構成の真空装置にあっては、異常放電を発生しないときも常時、連続的に数十kHzの繰り返し周波数で半導体スイッチ素子5がオンオフを繰り返すことによって、図6(A)に示すような数十kHzの繰り返し周波数の逆電圧パルスを発生している。この逆電圧パルスは、真空負荷2における異常放電の発生原因となるターゲット(不図示)の帯電を中和し、異常放電の発生を未然に防いでいる。
このような真空装置にあっては、インダクタ3にそれまで流れていた電流をIo、直流入力電源1が出力する直流電圧をV、逆電圧パルスの幅をT、インダクタ3のインダクタンスをLとすると、逆電圧パルスの発生時に、逆電圧源6から、(Io+V×T/L)である電流を供給しなければならず、逆電圧パルスの繰り返し周波数が高いほど逆電圧源6は大電力を必要とする。常時逆電圧パルスを発生して、真空負荷2に繰り返し逆電圧パルスを印加するこの方式は異常放電を未然に防止するという面では優れているが、常時逆電圧パルスを発生しているので、半導体スイッチ素子5の高周波スイッチングによる電力損失、また、図示していないが、半導体スイッチ素子5を過電圧から保護するスナバ回路の電力損失が大きくなるという問題がある。
かかる電力損失を小さくするために、図5には図示しないが、異常放電を検出する異常放電検出回路を備え、図6(B)に示すように、異常放電が検出されたときのみ半導体スイッチ素子5を数μ秒から数十μ秒の時間幅でオンさせ、逆電圧源6から逆電圧パルスを真空負荷2に印加して、異常放電を消滅させる方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかし、この方法は異常放電が発生したときにこれを検出して異常放電を消滅させる方法なので、異常放電の発生防止効果は無く、異常放電が発生する度に最小限の異常放電電流が真空負荷2に流れるので、少なからずその悪影響は真空負荷2に生じる。
特表平8−510504公報 特開8−311647号公報 特開2004−48903公報
このような従来方法の問題点を解決するために、本発明では異常放電の発生の前兆を電圧の変化によって検知し、異常放電の発生の前兆が検出されたときに逆電圧源6から逆電圧パルスを真空負荷に印加することによって、電力損失を低減すると共に、異常放電の発生を未然に防ぐことを課題としている。
第1の発明は、前記課題を解決するために、真空負荷と、該真空負荷に電力を供給する直流入力電源と、該直流入力電源と前記真空負荷との間に直列に接続されているインダクタと、前記直流入力電源の出力電圧と逆極性のパルス電圧を前記真空負荷に印加する逆極性パルス発生回路とを備える真空装置に発生する異常放電の前兆を検出し、その異常放電の発生を未然に防止する方法であって、前記真空負荷あるいは前記インダクタの電圧の時間に対する変化率(電圧の変化率という)、又はそれらを流れる電流の時間に対する変化率の変化率電流の2次変化率という)を検出し、前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が、前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が実際の異常放電発生時の最小の電圧の変化率又は電流の2次変化率に相当する値よりも小さく、かつ異常放電に至らない微小放電の電圧の変化率又は電流の2次変化率よりも大きい設定値以上であるときには、前記真空負荷に逆極性パルスを印加することによって、アーク放電のような異常放電の発生を未然に防ぐことを特徴とする真空装置における異常放電発生予防方法を提供する。
の発明は、真空負荷と、その真空負荷に電力を供給する直流入力電源と、その直流入力電源と前記真空負荷との間に直列に接続されているインダクタと、前記直流入力電源の出力電圧と逆極性のパルス電圧を前記真空負荷に印加する逆極性パルス発生回路とを備える真空装置において、前記真空負荷あるいは前記インダクタの電圧の時間に対する変化率(電圧の変化率という)、又はそれらを流れる電流の時間に対する変化率の変化率電流の2次変化率という)を検出する変化率検出回路と、その変化率検出回路によって検出された前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が設定値よりも大きいか小さいかを判定し、前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が前記設定値以上であるときに前記逆極性パルス発生回路に出力信号を発生する電圧判定回路とを備え、前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が、前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が実際の異常放電発生時の最小の電圧の変化率又は電流の2次変化率に相当する値よりも小さく、かつ異常放電に至らない微小放電の電圧の変化率又は電流の2次変化率よりも大きい設定値以上であるときには、前記逆極性パルス発生回路が前記真空負荷に逆極性パルスを印加することによって、アーク放電のような異常放電の発生を未然に防ぐことを特徴とする真空装置を提供する。
の発明は、前記第の発明において、前記真空負荷あるいは前記インダクタの電圧の前記変化率を検出する前記変化率検出回路は、前記真空負荷又は前記インダクタに並列接続されたコンデンサと該コンデンサに直列接続された電流検出手段とからなることを特徴とする真空装置を提供する。
の発明は、前記第2又は第3の発明において、前記判定回路は、前記電圧の変化率を示す検出量を充電するコンデンサと、前記設定値に対応する基準電圧を与える基準電圧源と、前記コンデンサの電圧と前記基準電圧源の前記基準電圧とを比較して、前記コンデンサの電圧が前記基準電圧以上になるときに変化する出力信号を出力する比較回路とからなることを特徴とする真空装置を提供する。
の発明は、前記第2から第4のいずれか1つの発明において、前記電圧判定回路は、前記電圧の変化率を示す検出量を充電するコンデンサと、第1の基準電圧を有する第1の基準電圧源と、前記第1の基準電圧と前記コンデンサの充電電圧とを比較して、後者が前者を超えるときに出力信号を生ずる第1の比較回路と、前記第1の基準電圧よりも大きな値の第2の基準電圧を有する第2の基準電圧源と、前記第2の基準電圧と前記コンデンサの充電電圧とを比較して、後者が前者を超えるときに出力信号を生ずる第2の比較回路とからなることを特徴とする真空装置を提供する。
の発明は、前記第2から第5のいずれか1つの発明において、前記異常放電に至らない微小放電の発生時に比べて、前記異常放電の発生時にはパルス幅の広い前記逆電圧パルスを前記真空負荷に印加することを特徴とする真空装置を提供する。
前記第1、第の発明によれば、電力損失を低減すると共に、異常放電の発生を大幅に少なくすることができる。また、真空負荷に逆電圧を印加する回数を大幅に少なくでき、影響を軽減できる。
前記第の発明によれば、前記第の発明で得られる効果の他に、簡単な回路構成の電圧変化率検出回路を提案する。
前記第の発明によれば、前記第の発明で得られる効果の他に、逆電圧パルスの印加による電力損失を低減できる。
前記第の発明によれば、前記第の発明で得られる効果の他に、微小放電の発生と異常放電の発生とを区別できる簡単な回路構成の電圧判定回路を提案する。
前記第の発明によれば、電力損失を更に低減すると共に、異常放電の発生をほとんど防止することができる。また、真空負荷に逆電圧を印加する回数を大幅に少なくできると共にその印加時間を更に短くできるので、より一層影響を軽減できる。
[実施形態1]
先ず、図1と図2とを用いて本発明を実施するための実施形態1の真空装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である真空装置100を示す図である。図2(A)は本発明の放電防止機能を有しない場合の真空装置の電圧状態を説明するための図であり、図2(B)は本発明の放電防止機能を有する真空装置の電圧状態を説明するための図である。図1において、直流入力電源装置1は単相又は三相の商用交流電圧を整流して直流電力に変換する整流装置及びその整流電圧を平滑化する平滑回路などからなる一般的な直流電源である。直流入力電源1と真空負荷2との間にはインダクタ3が直列に接続されている。直流入力電源1はMOSFETなどを用いたいわゆるスイッチングレギュレータ電源でもよい。
真空負荷2は、PVD装置、CVD装置、スパッタ装置、エッチング装置、電子ビーム蒸着装置などの真空装置における真空中でプラズマを生成する真空部であり、インダクタ3は負荷電流を連続させる働きと、アーク放電のような異常放電(以下、異常放電という。)発生時に急激に電流が増大するのを抑制する働きとを行う。また従来と同様に、真空負荷2に跨って逆電圧パルス発生回路4が接続されている。逆電圧パルス発生回路4は、互いに直列接続されたIGBT又はMOSFETのような半導体スイッチ素子5と、直流入力電源1とは逆極性の逆電圧源6と、半導体スイッチ素子5をオンオフ駆動するゲート信号を出力するゲート信号発生回路7とから構成されている。半導体スイッチ素子5がオンする度に、逆電圧パルス発生回路4は逆電圧パルスを真空負荷2に印加する。
この実施形態1では、真空負荷2の電圧降下率を検出する電圧降下率検出回路8が真空負荷2に跨って接続されている。電圧降下率検出回路8は、互いに直列接続されているコンデンサ9と、電流制限抵抗10と、検出抵抗11と、検出抵抗11に並列接続されてその両端の電圧を制限するための定電圧素子12とからなる。なお、後述する実施形態2ではインダクタの電圧の増加率を検出する電圧増加率検出回路を備えるが、電圧降下率検出回路と電圧増加率検出回路の双方を指すときには電圧変化率検出回路という。真空負荷2の電圧降下率を示す検出電圧は、放電防止用ダイオード13を通して電圧判定回路14のコンデンサ15に充電される。電圧判定回路14は、コンデンサ15の他に、基準電圧源16、コンデンサ15の電圧と基準電圧源16の基準電圧とを比較して、前者が後者を越えるときに出力信号を出力する比較回路17、コンデンサ15に並列に接続された放電用抵抗18とからなる。この実施形態1におけるコンデンサ15と放電用抵抗18とで形成される時定数は、比較回路17が安定に比較動作を行える最小の時間が好ましく、例えば5μs程度である。放電用抵抗18は、例えば比較回路17が動作した後に所定時間にオンしてコンデンサ15の充電電荷を放電するFETのような半導体素子と、これを駆動する駆動回路とに替えることもできる。
次に、真空装置100の動作説明を行う。真空負荷2がマグネトロンスパッタである場合、プラズマ運転中において、異常放電が発生しにくい安定状態では、真空負荷2の電圧Vo、つまりプラズマ電圧は磁石の移動に伴う緩やかな電圧変動があるだけである。したがって、電圧降下率検出回路8が検出する真空負荷2の電圧の変化率、この場合には降下率は小さく、基準電圧源16の基準電圧に達しないので、比較回路17はゲート信号発生回路7を駆動し得る出力信号を発生しない。この状態が続く限り、ゲート信号発生回路7は駆動信号を半導体スイッチ素子5に与えないので、真空負荷2に逆電圧パルスは印加されない。したがって、異常放電が発生しにくい安定状態では、半導体スイッチ素子5がスイッチングしないので、スイッチング損失は発生せず、真空負荷2においても不要な逆電力の消費が行われない。
しかし、真空負荷2のターゲットが帯電することなどによって異常放電が発生し易い状態になると、異常放電には移行しない微小放電が発生し、この微小放電で電流が増加しようとすると、インダクタ3が存在するために電流の増加は真空負荷2の電圧Voを短時間降下させる。図2(A)においてA1、A2、A3で示すように、微小放電が発生するときに真空負荷2の電圧Voが短時間降下する。このように微小放電によって真空負荷2の電圧降下が生じる状態は、真空負荷2がプラズマ状態から異常放電状態に移行し易い不安定な状態であり、もしインダクタ3が存在しなければ、異常放電に移行する場合が多い。
図2では、スパッタ電源の出力極性が負のため、−Voと表示している。
本発明では、異常放電状態に移行し易い不安定な状態を、異常放電発生の前兆現象として捉え、実施形態1ではこの前兆現象を真空負荷2の電圧の降下率として電圧降下率検出回路8が検出し、その電圧降下率を示す検出電圧が基準値、つまり設定値よりも高ければ、電圧判定回路14が異常放電に移行する危険性が高いと判定して、逆電圧パルス発生回路4を動作させ、逆電圧パルスを真空負荷2に印加する。真空装置2の図示しないターゲットは、逆電圧パルスによって帯電が中和され、異常放電に移行することが無くなる。また、異常放電に移行してしまった場合にも、真空負荷2の電圧降下率は最大になるので、逆電圧パルス発生回路4が動作し、逆電圧パルスを真空負荷2に印加することによって、異常放電を消滅させる。
異常放電の発生を予防する詳細な動作説明を行う。図2(A)に示すように、A1、A2、A3で示す微小放電の発生によって、真空負荷2の電圧Voが短時間降下すると、直流入力電源1の電圧によって図示極性に充電されていたコンデンサ9の電圧は、電流制限抵抗10、検出抵抗11及び真空負荷2を通して放電される。この放電電流のピーク値は真空負荷2の電圧Voの電圧降下率に比例する。図2(A)の微小放電A1、A3では、真空負荷2の電圧Voの電圧降下率が大きく、これに伴いコンデンサ9の放電電流のピーク値が大きいために、電圧判定回路14のコンデンサ15の充電電圧が基準電圧源16の基準電圧よりも高くなり、比較回路17が逆電圧パルス発生回路4のゲート信号発生回路7に出力信号を与えることによって、半導体スイッチ素子5が所定時間オンし、図2(B)に示すような逆電圧パルスPを真空負荷2に印加する。
しかし、図2(A)の微小放電A2では、真空負荷2の電圧Voの電圧降下率が小さく、これに伴いコンデンサ9の放電電流のピーク値が微小放電A1、A3に比べて小さく、電圧判定回路14のコンデンサ15の充電電圧が基準電圧源16の基準電圧に達しないために、比較回路17が逆電圧パルス発生回路4のゲート信号発生回路7に出力信号を与えない。したがって、半導体スイッチ素子5はオンせず、図2(B)に示すように逆電圧パルスが発生しないので、逆電圧パルスは真空負荷2に印加されない。基準電圧源16の基準電圧、つまり設定値は、種々の実験結果から求めた値であって、実際の異常放電発生時における最小の電圧降下率に相当する電圧値よりも小さな電圧値に設定されている。
次に具体例について説明する。図1において、電圧降下率検出回路8のコンデンサ9の容量Cが1nF、検出抵抗11の抵抗値が100Ωであるとし、微小放電A1、A3の場合には、真空負荷2の電圧が500Vから5μsの期間tに400Vまで降下したとすると、電圧降下率による検出電流iは、i=C(V1−V2)/tの式から、0.02Aとなる。ここで電流制限抵抗10を1kΩとすれば、真空負荷2の電圧が500Vのときに、電流制限抵抗10で決まる最大の放電電流は0.5Aであり、0.02Aの電流よりも25倍と大きくなるから、検出電圧を考えるときに電流制限抵抗10の存在を無視することができる。検出電流iによる検出抵抗11の検出電圧Vsは、Vs=0.02×100から、2Vとなる。この検出電圧は放電防止用ダイオード13を通して電圧判定回路14のコンデンサ15をピーク充電する。簡単のためにダイオード13の順方向電圧降下を無視すれば充電電圧は2Vとなる。その充電電圧は、コンデンサ15と放電用抵抗18とで決まる時定数で数μs程度(例えば5μs)の時間保持される。比較回路17はその保持された検出電圧と基準電圧源16の基準電圧とを比較する。ここで、基準電圧源16の基準電圧は、前述したように、実際の異常放電発生時の最小の電圧降下率に相当する電圧値よりも小さな値に設定されている。
基準電圧源16の基準電圧が、例えば1.9Vに設定されているとすれば、検出電圧(2V)は基準電圧(1.9V)を越えるので、比較回路17は出力信号を逆電圧パルス発生回路4のゲート信号発生回路7に与える。つまり、電圧判定回路14は異常放電発生の前兆であると判定して、逆電圧パルス発生回路4を動作させるための信号を与える。この場合、ゲート信号発生回路7は、例えば半導体スイッチ素子5を10μsの時間オンさせる。したがって、10μsのパルス幅をもつ逆電圧パルスが真空負荷2に印加される。電圧判定回路14のコンデンサ15の電圧は、放電用抵抗18により放電され、次の電圧降下率の検出に備える。
次に、微小放電A2の場合には、真空負荷2の電圧が500Vから5μsの期間tに450Vまで降下したとすると、検出電流iは、i=C(V1−V2)/tの式から、0.01Aとなる。この検出電流iによる検出抵抗11の検出電圧Vsは、Vs=0.01×100から、1Vとなる。したがって、電圧判定回路14のコンデンサ15の充電電圧のピーク値はほぼ1Vになり、この電圧は基準電圧源16の基準電圧(1.9V)よりも低いので、比較回路17は出力信号を逆電圧パルス発生回路4のゲート信号発生回路7に与えない。つまり、電圧判定回路14は異常放電発生の危険性がないと判定して、逆電圧パルス発生回路4を動作させない。したがって、微小放電A2の発生時には真空負荷2に逆電圧パルスは印加されない。
前述のような異常放電の発生予防を行っていても、基準電圧源16の基準電圧は異常放電の発生予防と異常放電への移行との兼ね合いで決められるので、異常放電に移行する場合も起こり得る。図2(A)で、異常放電の発生をA4で示す。異常放電の発生時には、異常放電を短絡と見做せるから、電圧降下率は微小放電の場合よりも急峻になる。この場合は、電圧降下率検出回路8のコンデンサ9の放電電流iは、電流制限用抵抗10で決まる。異常放電A4の発生時には、真空負荷2の最初の電圧(V1)が500Vから1μsの時間tでほぼ0Vの電圧(V2)まで降下したとすると、前述から電流制限用抵抗10の抵抗値(R1)は1kΩであるので、検出電流iは、V1/R1から0.5Aとなる。電圧降下率で算出すると、検出電流iは、i=C(V1−V2)/tの式から0.5Aとなる。したがって、検出電圧Vsは、Vs=0.5×100となり、この式から50Vとなる。
異常放電A4の発生時には、異常放電の発生の前兆を示す微小放電の場合に比べて、このように大幅に大きな検出電圧又はこの前後の高い検出電圧を呈するので、検出電圧の最大値を定電圧素子12によって例えば15V程度に制限する。前述したように、基準電圧源16の基準電圧は1.9Vに設定されているから、この制限された検出電圧15Vは基準電圧1.9Vよりも当然に高いので、比較回路17は出力信号を逆電圧パルス発生回路4のゲート信号発生回路7に与える。したがって、異常放電A4の発生時にも、微小放電A1、A3と同様に、半導体スイッチ素子5がオンして逆電圧パルスPを真空負荷2に印加し、異常放電A4を消弧させる。前述から明らかなように、実施形態1では異常放電に移行する可能性のある微小放電が発生したときと異常放電が発生したときだけ、逆電圧パルスを発生させているので、異常放電の発生に至る可能性を最小限に抑え、しかも逆電圧パルスの発生を最小限に抑制できるので、電力損失を低減することができる。
[実施形態2]
図2、図3によって本発明にかかる第2の実施形態について説明する。図3は第2の真空装置200の回路図を示す。図3において、図1で示された記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。この実施形態2の真空装置200が第1の真空装置100と異なる点は、インダクタ3の両端に、電圧降下率検出回路8とほぼ同一の回路構成を有する電圧増加率検出回路8’を備えているところにあり、他は真空装置1の構成と同じであり、動作も同様であるので、主として真空装置100と異なる点について説明する。
図2(A)に示すように、A1、A2、A3で示す微小放電の発生することにより、インダクタ3を流れる電流が微小放電A1、A2、A3の大きさに従って増大する。インダクタ3を流れる電流の増加率に従ってインダクタ3の電圧の増加率も上昇する。これに伴って、電圧増加率検出回路8’のコンデンサ9、電流制限抵抗10、検出抵抗11を流れる電流の増加率も大きくなり、検出抵抗11の両端にはインダクタ3を流れる電流の増加率に相当する増加率で上昇する電圧が検出される。その検出電圧は放電防止用ダイオード13を通して電圧判定回路14のコンデンサ15に充電される。
以後は前述した真空装置100の場合と同様に、コンデンサ15の充電電圧が基準電圧源16の基準電圧以上になるときだけ、比較回路17が出力信号を逆電圧パルス発生回路4のゲート信号発生回路7に与えることによって、半導体スイッチ素子5が所定時間オンし、図2(B)に示すような逆電圧パルスPを真空負荷2に印加する。異常放電に移行してしまった場合も、真空装置100と同様な動作を行うので、説明を省略する。この実施形態でも、異常放電に移行する可能性のある微小放電が発生したとき、及び異常放電が発生したときだけ、逆電圧パルスを発生させているので、異常放電の発生に至る可能性を最小限に抑え、しかも逆電圧パルスの発生も最小限に抑制できるので、電力損失を低減することができる。なお、実施形態2におけるゲート信号発生回路7は電位が浮いているので、図示しないが、パルストランス又はホトカプラのような絶縁手段を備えている。
[実施形態3]
図2、図4によって本発明にかかる第3の実施形態について説明する。図4は第3の真空装置300の回路図を示す。図4において、図1、図3で示された記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。この実施形態3の真空装置300の特徴は、微小放電と異常放電とを区別して、微小放電の場合には異常放電の場合に比べてパルス幅の小さい逆電圧パルスを真空負荷に印加して、小さな逆電力で異常放電に移行するのを防止するところにある。
電圧降下率検出回路8は図1で述べたものと同様であるので特に説明はしない。実施形態3の真空装置300が真空装置100と異なる主な点は、電圧判定回路14と逆電圧パルス発生回路4とにある。電圧判定回路14は、電圧降下率検出回路8により検出された電圧変化率が微小放電によるものか、あるいは異常放電によるものかを判定する。そして、逆電圧パルス発生回路4は、電圧降下率検出回路8により検出された電圧変化率が微小放電によるものであるときにはパルス幅の狭い逆電圧パルスを発生し、電圧降下率検出回路8により検出された電圧変化率が異常放電によるものであるときには微小放電の場合に比べてパルス幅の広い逆電圧パルスを発生する。
電圧判定回路14は、前述実施形態と同様のコンデンサ15と放電用抵抗18の他に、第1の基準電圧源16A、第1の比較回路17A、第2の基準電圧源16B、第2の比較回路17Bからなる。第1の基準電圧源16Aは、真空装置100の基準電圧源16と同様に設定された基準電圧V1を有し、基準電圧V1は実際の異常放電発生時の電圧降下率に相当する電圧値よりも小さな電圧に設定されている。第2の基準電圧源16Bは、実際のアーク電圧発生時の最小の電圧降下率に相当する電圧値又はその電圧値よりも小さな値であって、基準電圧V1よりも大きな基準電圧V2を有する。前にも述べたように、異常放電の発生時には、異常放電の発生の前兆を示す微小放電の場合に比べて、大幅に大きな検出電圧又はこの前後の高い検出電圧を呈する、逆に言えば、異常放電の発生の前兆を示す微小放電の発生時には、異常放電の発生時の場合に比べて、大幅に小さな検出電圧を呈するだけであるので、基準電圧V2と基準電圧V1との間には異常放電と微小放電とを区別するのに十分な電圧差を設けることができる。この実施形態では、例えば、基準電圧V1は1.9Vであり、基準電圧V2は10Vであるとする。
逆電圧パルス発生回路4は、半導体スイッチ素子5と逆電圧源6との他に、第1の比較回路17Aからの出力信号を受けて駆動信号を発生する第1のゲート信号発生回路7A、第2の比較回路17Bからの出力信号を受けて駆動信号を発生する第2のゲート信号発生回路7B、及び第1のゲート信号発生回路7Aと第2のゲート信号発生回路7Bとの出力信号をOR論理して一方の駆動信号を半導体スイッチ素子5に印加するORゲート回路19とからなる。ただし、このORゲート回路19は省略しても構わない。
次に、真空装置300の動作説明を行う。電圧降下率検出回路8の動作は真空装置100と同じであるので説明を省略する。図2で示したように、異常放電発生の前兆を示す微小放電A1、A3が発生し、真空負荷2の電圧降下率を示すコンデンサ15の充電電圧が2Vまで上昇したとすると、その充電電圧2Vは第1の基準電圧源16Aの基準電圧V1(例えば1.9V)を越えるので、第1の比較回路17Aは出力信号を第1のゲート信号発生回路7Aに与える。これに伴い、第1のゲート信号発生回路7Aは予め決められているパルス幅の駆動信号を発生する。第1のゲート信号発生回路7Aが発生する駆動信号のパルス幅は、実施形態1における真空装置100のゲート信号発生回路7が発生する駆動信号のパルス幅よりも狭く設定されている。第1のゲート信号発生回路7Aが発生するパルス幅の駆動信号によって、半導体スイッチ素子5がオンし、図2(B)の鎖線で示すように、狭いパルス幅の逆電圧パルスを真空負荷2に印加する。この逆電圧パルスは微小放電が異常放電に移行しないように、微小放電の段階で消滅させることができる程度の逆電力を有すればよいので、発生した異常放電を消滅させる逆電圧パルスに比べてパルス幅が狭くても良い。
他方、異常放電発生の前兆を示す微小放電A1、A3の発生時には、真空負荷2の電圧降下率を示すコンデンサ15の充電電圧が、例えば2Vまで上昇するだけであり、この電圧は第2の基準電圧源16Bの基準電圧V2(例えば10V)に達することがないので、第2の比較回路17Bは出力信号を発生せず、したがって、第2のゲート信号発生回路7Bは駆動信号を発生しない。
次に、図2(A)で示すように、異常放電(A4)が発生すると、前述したように異常放電を短絡と見做せるから、電圧降下率は微小放電の場合よりも急峻になる。この場合は、電圧降下率検出回路8のコンデンサ9の放電電流iは、電流制限用抵抗10で決まり、真空装置100の例を適用すると、異常放電A4の発生時には、検出抵抗11の両端に現出する検出電圧Vsは約50Vとなる。この電圧は定電圧素子12によって15V程度に制限されるものの、電圧判定回路14のコンデンサ15はピーク充電されるので、コンデンサ15の充電電圧は15V程度まで上昇する。したがって、先ず、コンデンサ15の充電電圧が第1の基準電圧源16Aの基準電圧V1(例えば1.9V)を越えた時点で、第1の比較回路17Aが出力信号を第1のゲート信号発生回路7Aに与え、次に、コンデンサ15の充電電圧が第2の基準電圧源16Bの基準電圧V2(例えば10V)を越えた時点で第2の比較回路17Bが出力信号を第2のゲート信号発生回路7Bに与える。
第2のゲート信号発生回路7Bは、図示しないが、第1のゲート信号発生回路7Aが発生する駆動信号のパルス幅に比べて大きなパルス幅を有する駆動信号を発生する。この駆動信号のパルス幅は、図2(B)において実線で示す逆電圧パルスのパルス幅に相当し、異常放電を確実に消弧できる逆電力を与えることのできる値以上である。ORゲート回路19は、先ず、第1のゲート信号発生回路7Aからの駆動信号を通過させ、少し遅れて第2のゲート信号発生回路7Bからの駆動信号を通過させる。例えば、ORゲート回路19が2個のダイオードからなるOR回路であっても、第2のゲート信号発生回路7Bからの駆動信号の電圧レベルを第1のゲート信号発生回路7Aからの駆動信号よりも高く設定しておけば、第1のゲート信号発生回路7Aからの駆動信号よりも第2のゲート信号発生回路7Bからの駆動信号が優先して半導体スイッチ5のゲートに印加される。
この実施形態3では、異常放電の前兆とされる大きさの微小放電の発生に対してはパルス幅の小さな逆電圧パルスを真空負荷2に印加し、また、異常放電の発生時には異常放電の発生と判定される前に、コンデンサ15の充電電圧が第1の基準電圧源16Aの基準電圧V1(例えば1.9V)を越えた時点で、第1の比較回路17Aが出力信号を第1のゲート信号発生回路7Aに与え、第1のゲート信号発生回路7Aはその時点で駆動信号を半導体スイッチ素子5に印加して駆動を始め、その後で第2のゲート信号発生回路7Bからの駆動信号が半導体スイッチ素子5に印加されるので、異常放電の発生に瞬時に対応でき、異常放電を最短の時点で消弧することができる。この真空装置300では、真空装置100、200に比べてより電力損失を低減することができる。
なお、以上の実施形態では、電圧降下率検出回路8又は電圧増加率検出回路8’のような電圧変化率検出回路として簡単な回路構成のものを例示したが、電圧変化率検出回路は真空負荷2の電圧又はインダクタ3の電圧をある時間幅、例えば5μs毎にサンプリングし、直ぐ前のサンプリング電圧と直ぐ後のサンプリング電圧との差をとって、その差の電圧をサンプリング時間(5μs)で除算することにより、1μs当たりの電圧変化率を求めてもよい。更に、直ぐ前のサンプリングで得られた電圧変化率と直ぐ後のサンプリングで得られた電圧変化率との差を求め、サンプリング時間で除算して求めた2次の変化率に相当する電圧を検出値とすれば、より高速で微小放電の消滅、異常放電の消弧が可能となる。電流制限用抵抗10は必ずしも必要でない。
また、切り替え回路17、17A、17Bとスイッチ5の制御極間の電位が異なるため、ゲート信号発生回路7、7A、7B、もしくはORゲート回路19の内部にパルストランス、ホトカプラなどの信号絶縁手段を必要とすることは言うまでもない。
[実施形態4]
次に図示しないが、真空負荷、インダクタを通して流れる電流を検出して、異常放電の前兆を検出する例について説明する。図1に示す回路において、インダクタ3を流れる電流の変化によってインダクタ3の電圧が変化し、真空負荷2の電圧が変化することについては前述した。したがって、インダクタ3のインダクタンスをL、インダクタ3の電圧をv、流れる電流をiとすると、v=L・di/dtで表され、インダクタ3の電圧vの変化率は、dv/dt=L・(di/dt)となる。この式から明かなように、インダクタ3の電圧vの変化率は、インダクタ3を流れる電流の変化率の変化率、つまり2次変化率(2次微分)となる。前記実施形態では、電流の変化率を用いて異常放電の前兆を検出すると、前兆の検出が遅れ、好ましくないと述べたが、電流の2次変化率(2次微分)を用いれば、電圧の変化率で異常放電の前兆を検出する場合と同様な速度で検出を行うことが可能である。
電流の2次変化率(2次微分)は、図示しない簡単な構成のマイクロコンピュータを用いて電流検出値を処理することにより容易に求められる。電流検出値をある時間幅、例えば5μs毎にサンプリングし、直ぐ前のサンプリング電流検出値と直ぐ後のサンプリング電流検出値との差をとって、その差の電流検出値をサンプリング時間(5μs)で除算することにより、単位時間当たりの電流変化率を求め、さらにサンプリング時間(5μs)で除算することにより、単位時間当たりの電流の2次変化率(2次微分)を求めることができる。あるいは微分回路とその微分出力信号を微分する微分回路からなる2次微分回路によっても2次変化率(2次微分)を求めることができる。電流の2次変化率が求められたら、その電流の2次変化率を比較手段で基準値と比較して、電流の2次変化率が予め決めた設定値を超えた時点で、図1における逆電圧パルス発生回路4を動作させ、逆電圧パルスを真空負荷2に印加することによって、異常放電の発生を予防することができる。ここで、前記設定値は、前記2次変化率が実際の異常放電発生時の最小の2次変化率に相当する値よりも小さく、かつ異常放電に至らない微小放電の2次変化率よりも大きくなるように設定されている。なお、マイクロコンピュータを用いることによって、装置の起動後における真空負荷の状態の変化などに対応して、予め設定値をプログラミングしておくことができるので、より一層、好ましい異常放電の発生予防を行うことが可能である。
本発明の1実施形態である真空装置100を示す図である。 本発明の真空装置を説明するための波形図である。 本発明の他の1実施形態である放電用電源装置200を示す図である。 本発明の他の1実施形態である放電用電源装置300を示す図である。 従来の真空装置の一例を示す図である。 従来の真空装置の一例を説明するための図である。
符号の説明
1・・・入力直流電源
2・・・真空負荷
3・・・インダクタ
4・・・逆電圧パルス発生回路
5・・・半導体スイッチ素子
6・・・逆電圧源
7・・・ゲート信号発生回路
8・・・電圧降下率検出回路(電圧変化率検出回路)
8’・・・電圧増加率検出回路(電圧変化率検出回路)
9・・・電圧変化率検出用のコンデンサ
10・・・電流制限抵抗
11・・・検出抵抗(検出手段)
12・・・定電圧素子
13・・・放電防止用ダイオード
14・・・電圧判定回路
15・・・コンデンサ
16・・・基準電圧源
17・・・比較回路
18・・・放電用抵抗
19・・・ORゲート回路

Claims (6)

  1. 真空負荷と、該真空負荷に電力を供給する直流入力電源と、該直流入力電源と前記真空負荷との間に直列に接続されているインダクタと、前記直流入力電源の出力電圧と逆極性のパルス電圧を前記真空負荷に印加する逆極性パルス発生回路とを備える真空装置に発生する異常放電の前兆を検出し、その異常放電の発生を未然に防止する方法であって、
    前記真空負荷あるいは前記インダクタの電圧の時間に対する変化率(電圧の変化率という)、又はそれらを流れる電流の時間に対する変化率の変化率電流の2次変化率という)を検出し、
    前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が、前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が実際の異常放電発生時の最小の電圧の変化率又は電流の2次変化率に相当する値よりも小さく、かつ異常放電に至らない微小放電の電圧の変化率又は電流の2次変化率よりも大きい設定値以上であるときには、前記真空負荷に逆極性パルスを印加することによって、アーク放電のような異常放電の発生を未然に防ぐことを特徴とする真空装置における異常放電発生予防方法。
  2. 真空負荷と、該真空負荷に電力を供給する直流入力電源と、該直流入力電源と前記真空負荷との間に直列に接続されているインダクタと、前記直流入力電源の出力電圧と逆極性のパルス電圧を前記真空負荷に印加する逆極性パルス発生回路とを備える真空装置において、
    前記真空負荷あるいは前記インダクタの電圧の時間に対する変化率(電圧の変化率という)、又はそれらを流れる電流の時間に対する変化率の変化率電流の2次変化率という)を検出する変化率検出回路と、
    該変化率検出回路によって検出された前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が設定値よりも大きいか小さいかを判定し、前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が前記設定値以上であるときに前記逆極性パルス発生回路に出力信号を発生する電圧判定回路と、
    を備え、
    前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が、前記電圧の変化率又は前記電流の2次変化率が実際の異常放電発生時の最小の電圧の変化率又は電流の2次変化率に相当する値よりも小さく、かつ異常放電に至らない微小放電の電圧の変化率又は電流の2次変化率よりも大きい設定値以上であるときには、前記逆極性パルス発生回路が前記真空負荷に逆極性パルスを印加することによって、アーク放電のような異常放電の発生を未然に防ぐことを特徴とする真空装置。
  3. 請求項において、
    前記真空負荷あるいは前記インダクタの電圧の前記変化率を検出する前記変化率検出回路は、前記真空負荷又は前記インダクタに並列接続されたコンデンサと該コンデンサに直列接続された電流検出手段とからなることを特徴とする真空装置。
  4. 請求項2又は請求項3において、
    前記判定回路は、
    前記電圧の変化率を示す検出量を充電するコンデンサと、
    前記設定値に対応する基準電圧を与える基準電圧源と、
    前記コンデンサの電圧と前記基準電圧源の前記基準電圧とを比較して、前記コンデンサの電圧が前記基準電圧以上になるときに変化する出力信号を出力する比較回路と、
    からなることを特徴とする真空装置。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか1項において、
    前記電圧判定回路は、
    前記電圧の変化率を示す検出量を充電するコンデンサと、
    第1の基準電圧を有する第1の基準電圧源と、
    前記第1の基準電圧と前記コンデンサの充電電圧とを比較して、後者が前者を超えるときに出力信号を生ずる第1の比較回路と、
    前記第1の基準電圧よりも大きな値の第2の基準電圧を有する第2の基準電圧源と、
    前記第2の基準電圧と前記コンデンサの充電電圧とを比較して、後者が前者を超えるときに出力信号を生ずる第2の比較回路と、
    からなることを特徴とする真空装置。
  6. 請求項2から請求項5のいずれか1項において、
    前記異常放電に至らない微小放電の発生時に比べて、前記異常放電の発生時にはパルス幅の広い前記逆電圧パルスを前記真空負荷に印加することを特徴とする真空装置。
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