ところが、ガイドピンアライメント方式の光デバイス101には、以下の問題がある。即ち、部品支持基板102は熱膨張率や熱収縮率が比較的小さいセラミック材料からなるのに対し、樹脂充填部106は熱膨張率や熱収縮率が比較的大きい樹脂材料からなる。従って、光デバイス101の製造時、使用時に加熱や冷却を行うと、両者の熱膨張率の差、熱収縮率の差に起因して、部品支持基板102と樹脂充填部106との界面付近(特に充填用孔105の開口部付近)に熱応力が集中する。その結果、図25に示されるように、部品支持基板102と樹脂充填部106との間に隙間111が生じて、両者の密着性が悪化する。また、部品支持基板102側または樹脂充填部106側に、クラック121が生じやすくなる。よって、図24に示した従来の光デバイス101よりも高い信頼性を実現するためには、何らかの対策を講じる必要がある。さらに、隙間111やクラック121が生じた光デバイス101では、樹脂充填部106を充填用孔105内に保持する強度が低下する。そのため、ガイドピン103が位置ズレしてしまい、各部品同士の位置合わせ精度が悪化する可能性がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂充填部の密着性がよいため信頼性に優れ、しかも部品同士の高精度位置合わせが可能な部品支持基板を提供することにある。また、本発明の別の目的は、樹脂充填部の密着性がよいため信頼性に優れ、しかも部品同士の高精度光軸合わせが可能なため光伝送効率に優れた光デバイスを提供することにある。
そして上記課題を解決するための第1の手段としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記樹脂充填部は、熱膨張係数が異なる複数の樹脂材料からなり、前記複数の樹脂材料のうち前記基板との熱膨張係数差が最も小さい低熱膨張樹脂材料を、前記充填用孔の内壁面に接触させるべく前記樹脂充填部の外周部に配置する一方で、前記基板との熱膨張係数差が最も大きい高熱膨張樹脂材料を、前記充填用孔の内壁面に対して非接触とさせるべく前記低熱膨張樹脂材料の内側に配置し、前記高熱膨張樹脂材料の中心部に前記嵌合穴を設けたことを特徴とする部品支持基板がある。
基板の熱膨張係数と樹脂材料の熱膨張係数とが異なる場合、温度変化に遭遇すると熱応力が発生する。その際に熱応力は、充填用孔の内壁面から離間した樹脂充填部の中心部よりも、充填用孔の内壁面に近接した樹脂充填部の外周部に集中しやすい。その点、第1の手段によると、基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を樹脂充填部の外周部に配置したことにより、充填用孔の内壁面と樹脂充填部との界面付近に大きな熱応力が集中しにくくなる。よって、熱応力の集中に起因する隙間やクラックの発生率を低減することができ、信頼性が向上する。また、樹脂充填部が充填用孔内に強固に保持される結果、部品支持体の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。
上記の課題を解決するための第2の手段としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記樹脂充填部は、熱膨張係数が異なる複数の樹脂材料からなり、前記複数の樹脂材料のうち前記基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を、前記充填用孔の前記第1開口部寄りに配置したことを特徴とする部品支持基板がある。
基板の熱膨張係数と樹脂材料の熱膨張係数とが異なる場合、温度変化に遭遇すると熱応力が発生する。その際に熱応力は、充填用孔の第1開口部から離間した位置よりも第1開口部寄りの位置に集中しやすい。その点、第2の手段によると、基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を充填用孔の第1開口部寄りに配置したことにより、その位置に大きな熱応力が集中しにくくなる。よって、熱応力の集中に起因する隙間やクラックの発生率を低減することができ、信頼性を向上できる。また、樹脂充填部が充填用孔内に強固に保持される結果、部品支持体の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。
なお、第1及び第2の手段における「他部品」とは、例えば部品支持基板とは別体で構成された部品(例えば後述する光部品など)であって、部品支持基板と位置合わせされる対象物のことを指す。しかし「他部品」は第1及び第2の手段において必須構成要素ではない。
また、上記課題を解決するための第3の手段としては、前述した部品支持基板と、前記部品支持基板上に搭載された光学素子と、前記光学素子と位置合わせした状態で前記部品支持体により支持される光部品とからなることを特徴とする光デバイスがある。
従って、第3の手段によると、特定の部位に大きな熱応力が集中しにくくなるので、熱応力の集中に起因する隙間やクラックの発生率を低減することができ、信頼性を向上できる。また、樹脂充填部が充填用孔内に強固に保持される結果、部品支持体の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の高精度光軸合わせを行うことができる。このため、光伝送効率に優れた光デバイスを実現することができる。
部品支持基板を構成する基板としては、例えば、樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板または金属基板が使用可能であるが、特にセラミック基板が好ましい。樹脂基板に比較して熱伝導性の高いセラミック基板を用いた場合には、発生した熱が効率よく放散される。そのため、例えば光部品を支持するための部品支持基板に適用した場合には、放熱性の悪化に起因する発光波長のズレが回避され、動作安定性・信頼性に優れた部品支持基板を実現することができる。かかるセラミック基板の好適例を挙げると、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ほう素、ベリリア、ムライト、低温焼成ガラスセラミック、ガラスセラミック等からなる基板がある。これらの中でもアルミナや窒化アルミニウムからなる基板を選択することが特に好ましい。
また、樹脂基板の好適例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)等からなる基板を挙げることができる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。金属基板の好適例としては、例えば、銅基板、銅合金からなる基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の合金からなる基板などを挙げることができる。
部品支持基板を構成する基板は、絶縁層と導体層(金属配線層)とを備えた配線基板であることがよく、特には多層配線基板であることがよい。前記導体層は基板表面に形成されていてもよく、基板内部に形成されていてもよい。これらの導体層の層間接続を図るために、基板内部にビアホール導体が形成されていてもよい。なお、かかる導体層やビアホール導体は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などからなる導電性金属ペーストを印刷または充填することにより形成される。そして、このような導体層には電気信号が流れるようになっている。なお、このような配線基板に加えて、例えば、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層を基板上に備えるビルドアップ配線基板を用いることも許容される。
部品支持基板を構成する基板は、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有している。つまり、充填用孔は、第1主面側においてのみ開口する非貫通孔であってもよいほか、第1主面側及び第2主面側の両方において開口する貫通孔であっても構わない。
第3の手段の光デバイスは、部品支持基板上に搭載された光学素子を備えている。光学素子は例えば部品支持基板上に1つまたは2つ以上搭載される。その搭載方法としては、例えば、ワイヤボンディングやフリップチップボンディング等の手法、異方導電性材料を用いた手法などを採用することができる。発光部を有する光学素子(即ち発光素子)としては、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)、半導体レーザダイオード(Laser Diode ;LD)、面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;VCSEL)等を挙げることができる。これらの発光素子は、入力した電気信号を光信号に変換した後、その光信号を所定部位に向けて発光部から出射する機能を備えている。一方、受光部を有する光学素子(即ち受光素子)としては、例えば、pinフォトダイオード(pin Photo Diode;pin PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)等を挙げることができる。これらの受光素子は、光信号を受光部にて入射し、その入射した光信号を電気信号に変換して出力する機能を有している。なお、前記光学素子は発光部及び受光部の両方を有するものであってもよい。前記光学素子に使用する好適な材料としては、例えば、Si、Ge、InGaAs、GaAsP、GaAlAsなどを挙げることができる。このような光学素子(特に発光素子)は、動作回路によって動作される。光学素子及び動作回路は、例えば、部品支持基板に形成された導体層(金属配線層)を介して電気的に接続されている。
第3の手段の光デバイスは、光学素子と位置合わせした状態で部品支持体により支持される光部品を備えている。ここで光部品とは、光伝送機能、集光機能及び光反射機能のうちの少なくとも1つの機能を有する部品を意味する。具体例を挙げると、光伝送機能を有する光部品としては、例えば光導波路や光ファイバなどがある。なお、光導波路を支持する基材も、光伝送機能を有する光部品に該当するものとする。光ファイバと光ファイバを支持する光ファイバコネクタとからなる光部品も、光伝送機能を有する光部品に該当するものとする。集光機能を有する光部品としては、例えばマイクロレンズアレイ等に代表されるレンズ部品などがある。光反射機能を有する光部品としては、例えば光路変換部品などがある。なお、光路変換部が形成された光ファイバコネクタは、光反射機能を有する光部品であるということができる。光路変換部が形成された光導波路は、光伝送機能及び光反射機能を有する光部品であるということができる。なお、部品支持基板上には、1つの光部品のみが支持されていてもよく、2つ以上の光部品が支持されていてもよい。
前記光導波路とは、光信号が伝搬する光路となるコア及びそのコアを取り囲むクラッドを有した板状またはフィルム状の部材を指し、例えば、ポリマ材料等からなる有機系の光導波路、石英ガラスや化合物半導体等からなる無機系の光導波路等がある。前記ポリマ材料としては、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを選択することができ、具体的には、フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが好適である。
前記基板の充填用孔内には、樹脂材料からなる樹脂充填部が配置されている。樹脂材料はセラミック等の無機材料に比べて加工性に優れているので、樹脂充填部に対する高精度穴明けを簡単にかつ低コストで行うことができる。この樹脂充填部は第1主面にて開口する嵌合穴を有している。嵌合穴は第1主面側においてのみ開口する(即ち開口部を1つ有する)非貫通穴であってもよいほか、第1主面及び第2主面の両方において開口する(即ち開口部を2つ有する)貫通穴であってもよい。嵌合穴の形状等については特に限定されず、後述する部品支持体を支持可能な程度であればよい。ただし、嵌合穴は充填用孔よりも小径であることがよい。また、充填用孔の中心線及び嵌合穴の中心線は、合致していることが好ましいが、必ずしも合致していなくてもよい。
前記充填用孔の形状等については特に限定されず、例えば一定の内径を有する断面円形状の孔を充填用孔としてもよい。この場合には、充填用孔を簡単に形成することができる。なお、一定の内径を有しない断面円形状の孔を充填用孔としてもよく、具体的には第1開口部及び第2開口部にて最大径を有し、第1開口部及び第2開口部の中間位置にて最小径を有する断面円形状の孔を充填用孔としてもよい。この場合には、樹脂充填部のさらなる密着性向上を達成できるとともに、樹脂材料の不完全充填の発生率及び樹脂充填部内における気泡の残留率を低減することができる。
樹脂充填部を形成する複数の樹脂としては特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂などを用いることができる。熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等がある。この場合、硬化収縮量が少ない熱硬化性樹脂を選択することが好ましい。熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPES)等がある。
樹脂充填部はフィラーを含んでいてもよい。フィラーの添加は樹脂充填部の熱膨張係数の低減に貢献する。前記フィラーとしては、樹脂などからなる有機フィラーや、セラミック、金属、ガラスなどからなる無機フィラーを挙げることができる。有機フィラーを選択した場合に得られる利点は、嵌合穴の加工が容易になることである。一方、無機フィラーを選択したときに得られる利点は、例えばセラミック基板を用いる場合に、樹脂充填部の熱膨張係数をセラミック基板の熱膨張係数に整合させやすくなることである。さらに、前記フィラーとして導電性フィラーを選択してもよく、この場合には樹脂充填部に導電性を付与することが可能となり、樹脂充填部の一部または全部を導体として利用できるようになる。
前記樹脂充填部は、熱膨張係数が異なる複数の樹脂材料からなる。熱膨張係数が異なる複数の樹脂材料は以下のような手法で作製可能である。具体例を挙げると、例えば、樹脂の主成分を同一とし、樹脂に添加する硬化剤の種類や量を異ならせる手法や、樹脂に添加するフィラーの種類や量を異ならせる手法や、樹脂そのものの種類を異ならせる手法などがある。
より具体的にいうと、基板がセラミック基板である場合における樹脂充填部としては、フィラーを含み、セラミック基板との熱膨張係数差が相対的に大きい高熱膨張樹脂材料と、前記高熱膨張樹脂材料よりも多量のフィラーを含み、セラミック基板との熱膨張係数差が相対的に小さい低熱膨張樹脂材料とからなることが好ましい。この手法によれば、樹脂そのものの種類及び硬化剤の種類や量を特に変えることなく、熱膨張係数に差を設けることができる。
また、基板がセラミック基板である場合における樹脂充填部としては、フィラーを含み、セラミック基板との熱膨張係数差が相対的に大きい高熱膨張樹脂材料と、前記高熱膨張樹脂材料よりも硬質のフィラーを含み、セラミック基板との熱膨張係数差が相対的に小さい低熱膨張樹脂材料とからなることが好ましい。この手法によっても、樹脂そのものの種類及び硬化剤の種類や量を特に変えることなく、熱膨張係数に差を設けることができる。また、樹脂充填部の中心部をドリル加工する際、フィラーの少ない部分を穴あけするため、ドリルの磨耗を抑えることができる。
部品支持基板を構成する部品支持体は、嵌合穴に嵌合されることで固定される。部品支持体の一部は少なくとも第1主面側から突出するとともに、その突出箇所には他部品(具体的には光部品など)が支持可能である。部品支持体の形状については特に限定されないが、例えばピン状のもの(ガイドピン)が好ましく、その材料としてはステンレス等のようにある程度硬質な金属がよい。また、部品支持体の直径(特に前記突出箇所の直径)については、他部品の有する位置合わせ凹部と嵌合できるように、当該位置合わせ凹部とほぼ同径である必要がある。なお、部品支持体の数については特に限定されないが、位置合わせ精度の向上及び固定強度の向上という観点からすると、単数よりは複数であることがよい。
この場合、嵌合穴は精密加工穴であること、具体的には加工要求精度が±0.001mm以内の精密加工穴であることが好ましい。この場合、各部品の位置合わせ精度を向上できるからである。なお、特に光デバイスにおいては精密加工穴を採用することが望ましく、この場合には光学素子及び光部品の光軸合わせを高い精度で行うことが可能となる。
ここで、第1の手段にかかる部品支持基板を製造する好適な方法(第4の手段)としては、充填用孔を有する基板を用意する工程と、前記充填用孔の内壁面に、前記基板との熱膨張係数差が相対的に小さい低熱膨張樹脂材料を付着させた後、その低熱膨張樹脂材料を硬化させる工程と、前記低熱膨張樹脂材料の硬化体が付着している前記充填用孔内に、前記基板との熱膨張係数差が相対的に大きい高熱膨張樹脂材料を充填した後、その高熱膨張樹脂材料を硬化させる工程と、前記高熱膨張樹脂材料の硬化体に前記嵌合穴を形成する工程とを含むことを特徴とする部品支持基板の製造方法、がある。また、第1の手段にかかる部品支持基板を製造する別の好適な方法(第5の手段)としては、充填用孔を有する基板を用意する工程と、前記充填用孔内に、前記基板との熱膨張係数差が相対的に小さい低熱膨張樹脂材料を充填した後、その低熱膨張樹脂材料を硬化させる工程と、前記低熱膨張樹脂材料の硬化体に凹部を形成する工程と、前記凹部内に、前記基板との熱膨張係数差が相対的に大きい高熱膨張樹脂材料を充填した後、その高熱膨張樹脂材料を硬化させる工程と、前記高熱膨張樹脂材料の硬化体に前記嵌合穴を形成する工程とを含むことを特徴とする部品支持基板の製造方法、もある。
そしてこれらの製造方法によると、2つの樹脂材料からなる所定構造の樹脂充填部を比較的簡単に形成できるため、信頼性等に優れる上記の部品支持基板を比較的容易に製造することができる。
さらに、第2の手段にかかる部品支持基板を製造する好適な方法(第6の手段)としては、充填用孔を有する基板を用意する工程と、前記充填用孔において前記第1開口部よりも深い位置に、前記基板との熱膨張係数差が相対的に大きい高熱膨張樹脂材料を充填した後、その高熱膨張樹脂材料を硬化させる工程と、前記充填用孔において前記第1開口部寄りの位置に、前記基板との熱膨張係数差が相対的に小さい低熱膨張樹脂材料を充填した後、その低熱膨張樹脂材料を硬化させて、前記樹脂充填部とする工程と、前記樹脂充填部に前記嵌合穴を形成する工程とを含むことを特徴とする部品支持基板の製造方法、がある。
そしてこの製造方法によると、2つの樹脂材料からなる所定構造の樹脂充填部を比較的簡単に形成できるため、信頼性等に優れる上記の部品支持基板を比較的容易に製造することができる。
なお、基板としてセラミック基板を用いる場合、上記製造方法における「充填用孔を有する基板を用意する工程」では、セラミック未焼結体にあらかじめ充填用孔を形成した後、そのセラミック未焼結体を加熱して焼結させてセラミック基板を作製することが好ましい。セラミック材料は完全に焼結すると極めて硬くなる性質があるため、加工が難しくなり、加工コストも高くなる。しかし、それほど硬くない未焼結状態のセラミック材料を加工対象とすることにより、穴加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。穴あけ工程における穴加工の方法としては周知の技術を採用することができ、具体例としては、ドリル加工、パンチ加工、レーザ加工などがある。ただし、低コストという観点からすると、ドリル加工やパンチ加工といった機械的加工が好ましく、特にはパンチ加工が好ましい。
また、上記課題を解決するための第7の手段としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部とを備え、前記嵌合穴には、他部品を支持可能な部品支持体または前記他部品自身に設けられた突部が嵌合可能であり、前記樹脂充填部は、熱膨張係数が異なる複数の樹脂材料からなり、前記複数の樹脂材料のうち前記基板との熱膨張係数差が最も小さい低熱膨張樹脂材料を、前記充填用孔の内壁面に接触させるべく前記樹脂充填部の外周部に配置する一方で、前記基板との熱膨張係数差が最も大きい高熱膨張樹脂材料を、前記充填用孔の内壁面に対して非接触とさせるべく前記低熱膨張樹脂材料の内側に配置し、前記高熱膨張樹脂材料の中心部に前記嵌合穴を設けたことを特徴とする部品支持基板、がある。
従って、第7の手段によると、基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を樹脂充填部の外周部に配置したことにより、充填用孔の内壁面と樹脂充填部との界面付近に大きな熱応力が集中しにくくなる。よって、熱応力の集中に起因する隙間やクラックの発生率を低減することができ、信頼性が向上する。また、樹脂充填部が充填用孔内に強固に保持される結果、部品支持体または他部品の突部の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。なお、上述した第4,第5の手段にかかる製造方法によれば、第7の手段にかかる部品支持基板を比較的容易に製造することができる。
上記課題を解決するための第8の手段としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部とを備え、前記嵌合穴には、他部品を支持可能な部品支持体または前記他部品自身に設けられた突部が嵌合可能であり、前記樹脂充填部は、熱膨張係数が異なる複数の樹脂材料からなり、前記複数の樹脂材料のうち前記基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を、前記充填用孔の前記第1開口部寄りに配置したことを特徴とする部品支持基板、がある。
従って、第8の手段によると、基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を充填用孔の第1開口部寄りに配置したことにより、その位置に大きな熱応力が集中しにくくなる。よって、熱応力の集中に起因する隙間やクラックの発生率を低減することができ、信頼性を向上できる。また、樹脂充填部が充填用孔内に強固に保持される結果、部品支持体または他部品の突部の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。なお、上述した第4,第5の手段にかかる製造方法によれば、第8の手段にかかる部品支持基板を比較的容易に製造することができる。
なお、第7及び第8の手段における「他部品」とは、例えば部品支持基板とは別体で構成された(例えば光部品など)であって、部品支持基板と位置合わせされる対象物のことを指す。しかし「他部品」は第7及び第8の手段において必須構成要素ではない。「他部品を支持可能な部品支持体」も同様に第7及び第8の手段において必須構成要素ではない。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態の光デバイス及びその製造方法を、図1〜図13に基づき詳細に説明する。
図1,図2に示されるように、本実施形態の光デバイス41は、光学素子(VCSEL14、フォトダイオード16)及び光部品(光導波路31)を部品支持基板10上に搭載した構造を備える。部品支持基板10を構成するセラミック基板11(基板)は、上面12(第1主面)及び下面13(第2主面)を有する略矩形状の板部材である。かかるセラミック基板11は、複数のセラミック層51,52,53,54,55からなる、いわゆるセラミック多層配線基板であって、上面12、下面13、内層に図示しない金属配線層を備えている。このセラミック基板11はビアホール導体(図示略)も備えており、層の異なる金属配線層同士はビアホール導体を介して層間接続されている。なお、本実施形態では、熱膨張係数が約6.5ppm/℃のアルミナ基板を、前記セラミック基板11として用いている。ここで「熱膨張係数」とは、基板厚み方向(Z方向)に対して垂直な方向(XY方向)の熱膨張係数のことを意味し、0℃〜200℃の間のTMA(熱機械分析装置)にて測定した値のことをいう。「TMA」とは、熱機械的分析をいい、例えばJPCA−BU01に規定されるものをいう。
図2においてセラミック基板11の上面12の左端には、発光素子の一種であるVCSEL14が、発光面を上方に向けた状態で搭載されている。このVCSEL14は、一列に並べられた複数(ここでは4つ)の発光部15を発光面内に有している。従って、これらの発光部15は、セラミック基板11の上面12に対して直交する方向(即ち図2の上方向)に、所定波長のレーザ光を出射するようになっている。一方、図2においてセラミック基板11の上面12の右端には、受光素子の一種であるフォトダイオード16が、受光面を上方に向けた状態で搭載されている。このフォトダイオード16は、一列に並べられた複数(ここでは4つ)の受光部17を受光面内に有している。従って、これらの受光部17は、図2の上側から下側に向かうレーザ光を受けやすいような構成となっている。
なお、フォトダイオード16及びVCSEL14の有する端子は、セラミック基板11の上面12の金属配線層に対してそれぞれ接合されている。特にVCSEL14は、セラミック基板11の上面12に搭載された図示しない動作回路用ICに対し、前記金属配線層を介して電気的に接続されている。
図1,図2に示されるように、セラミック基板11における複数の箇所(ここでは4箇所)には、充填用孔21が形成されている。この充填用孔21は、セラミック基板11の上面12に上面側開口部61(第1開口部)を有し、下面13に下面側開口部62(下面側開口部)を有している。なお、この充填用孔21は、内径が一定であって、上面12側から見た形状が円形状である。
そして本実施形態では、4つある充填用孔21のうちの2つがVCSEL14に近接して配置され、残りの2つがフォトダイオード16に近接して配置されている。VCSEL14に近接して配置された一対の充填用孔21は、発光部15の列とほぼ同一直線上にあって、発光部15の列をその両端側から挟む位置に配置されている。フォトダイオード16に近接して配置された一対の充填用孔21は、受光部17の列とほぼ同一直線上にあって、受光部17の列をその両端側から挟む位置に配置されている。
これらの充填用孔21の内部には、樹脂充填部20が設けられている。本実施形態の樹脂充填部20は、熱膨張係数が異なる2種類の樹脂材料を用いて構成されている。具体的にいうと、本実施形態の樹脂充填部20は、セラミック基板11との熱膨張係数差が相対的に大きい高熱膨張樹脂材料27の硬化体と、セラミック基板11との熱膨張係数差が相対的に小さい低熱膨張樹脂材料22の硬化体とにより構成されている。高熱膨張樹脂材料27の硬化体は、エポキシ系樹脂100重量部に対して400重量部未満のシリカフィラーを含む。このため、高熱膨張樹脂材料27の硬化体の熱膨張係数は15ppm/℃以上70ppm/℃未満に調整され、セラミック基板11の熱膨張係数との差が相対的に大きくなっている。一方、低熱膨張樹脂材料22の硬化体は、エポキシ系樹脂100重量部に対して150重量部以上500重量部未満のシリカフィラーを含む(ただし、高熱膨張樹脂材料27の硬化体中のシリカフィラー量よりも多い量)。このため、低熱膨張樹脂材料22の硬化体の熱膨張係数は7ppm/℃以上25ppm/℃未満(ただし、高熱膨張樹脂材料27の硬化体の熱膨張係数よりも小さい値)に調整される。その結果、低熱膨張樹脂材料22の硬化体の熱膨張係数は、セラミック基板11との熱膨張係数差が相対的に小さくなっている。低熱膨張樹脂材料22の硬化体は、樹脂充填部20の外周部に配置されているため、充填用孔21の内壁面全体に接触している。高熱膨張樹脂材料27の硬化体は、低熱膨張樹脂材料22の内側に配置されているため、充填用孔21の内壁面には接触していない。
樹脂充填部20を構成する高熱膨張樹脂材料27の硬化体のほぼ中心部には、嵌合穴23が設けられている。嵌合穴23は円形かつ等断面形状であって、セラミック基板11の上面12及び下面13の両方にて開口している。本実施形態の場合、嵌合穴23の直径は上記充填用孔21の最小径よりも小さく、約0.7mmに設定されている。4つある嵌合穴23の内部には、ステンレス鋼からなる断面円形状のガイドピン24(部品支持体)が、上面12側に一端を突出させた状態で嵌合されている。本実施形態において具体的には、JIS C 5981に規定するガイドピン「CNF125A−21」(直径0.699mm)を使用している。
図1,図2に示されるように、セラミック基板11の上面12側には、矩形状の光導波路31が配置されている。この光導波路31は、セラミック基板11よりも外形寸法が一回り小さくなるように形成されている。光導波路31を構成する基材32は、コア33及びそれを上下左右から取り囲むクラッド34を有している。実質的にコア33は光信号が伝搬する光路となる。本実施形態の場合、コア33及びクラッド34は、屈折率等の異なる透明なポリマ材料、具体的には屈折率等の異なるPMMA(ポリメチルメタクリレート)により形成されている。光路となるコア33は発光部15及び受光部17の数と同じく4つであって、それらは直線的にかつ平行に延びるように形成されている。コア33の両端部にはコア33の長手方向に対して45°の角度を持つ傾斜面が形成され、その傾斜面には光を全反射可能な金属からなる薄膜が蒸着されている。よって、各コア33の両端部は、それぞれ光を90°の角度で反射する光路変換用ミラー35,37を備えたものとなっている。光導波路31の四隅には円形状の位置合わせ穴36が貫通形成されている。これらの位置合わせ穴36は、ガイドピン24の大きさに対応して直径約0.7mmに設定されている。そして、光導波路31の有する各位置合わせ穴36(位置合わせ凹部)には、セラミック基板11から突出する各ガイドピン24が嵌合されている。その結果、セラミック基板11の上面12上にて、光導波路31が位置合わせされた状態で固定されている。ここで「位置合わせされた状態」とは、具体的には、図2の左端側に位置する各光路変換用ミラー35が各発光部15の直上にあり各コア33と各発光部15との光軸が合った状態、かつ、図2の右端側に位置する各光路変換用ミラー37が各受光部17の直上にあり各コア33と各受光部17との光軸が合った状態をいう。なお本実施形態では、セラミック基板11及び光導波路31は、位置合わせ穴36とガイドピン24との嵌合関係のみをもって互いに固定されている。
このように構成された光デバイス41の一般的な動作について簡単に述べる。
VCSEL14及びフォトダイオード16は、セラミック基板11の金属配線層を介した電力供給により、動作可能な状態となる。セラミック基板11上の図示しないドライバICからVCSEL14に電気信号が出力されると、VCSEL14は入力した電気信号を光信号(レーザ光)に変換した後、その光信号をコア33の左端にある光路変換用ミラー35に向けて、発光部15から出射する。発光部15から出射したレーザ光は、光導波路31の下面側から入射して、コア33の光路変換用ミラー35に入射する。光路変換用ミラー35に入射したレーザ光は、そこで進行方向を90°変更する。このため、レーザ光はコア33の内部をその長手方向に沿って伝搬する。そして、コア33の右端に到ったレーザ光は、今度は光導波路31の右端に形成されている光路変換用ミラー37に入射する。光路変換用ミラー37に入射したレーザ光は、そこで進行方向を90°変更する。このため、レーザ光は光導波路31の下面側から出射し、さらにフォトダイオード16の受光部17に入射する。フォトダイオード16は受光したレーザ光を電気信号に変換し、変換した電気信号を図示しないレシーバICに出力するようになっている。
次に、上記構成の光デバイス41の製造方法を図3〜図13に基づいて説明する。
まず、従来公知の手法によって光導波路31を作製し(図3参照)、これに対して精密ドリル加工を施すことにより四隅に位置合わせ穴36を形成しておく(図4参照)。
また、以下の手順によりセラミック基板11を作製する。アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行い、所定厚みのグリーンシート56(セラミック未焼結体)を5層分形成する。次に、各グリーンシート56における所定部分にパンチ加工を施し、充填用孔21の一部をなす透孔57と、図示しないビア用孔とをそれぞれ形成する(図5参照)。この段階ではまだ未焼結状態であるので、穴加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。この後、ビア用孔に金属ペーストを充填するとともに、グリーンシート56の表面に金属ペーストを印刷する。続く積層圧着工程では、5枚のグリーンシート56を積層して配置し、プレス装置を用いてそれらを圧着、一体化することにより、充填用孔21を有するセラミック積層体58を作製する。なお、図5のセラミック積層体58においては、上記の金属配線層やビアホール導体は示されず、省略されている。
次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにアルミナが焼結しうる加熱温度(1650℃〜1950℃)にて焼成工程を行う。これにより、セラミック積層体58を焼結させてセラミック基板11とする。この時点でセラミックは硬質化しかつ収縮する(図6参照)。
続く第1次充填工程では、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート807」)80重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート152」)20重量部に対し、硬化剤(四国化成工業社製「2P4MZ−CN」)5重量部、シランカップリング剤(信越化学社製「KBM−403」)で処理したシリカフィラー(龍森製「TSS−6」)300重量部、消泡剤(サンノプコ社製「ベレノールS−4」)を混合する。この混合物を3本ロールにて混練することにより、低熱膨張樹脂材料22を調製しておく。そして、従来周知の印刷装置を用いて印刷することにより、各充填用孔21内に低熱膨張樹脂材料22を充填する。そして、印刷後のセラミック基板11を印刷装置から取り外した後、120℃,1時間の条件で加熱し、低熱膨張樹脂材料22の硬化体とする(図7参照)。
続く凹部形成工程では、ドリル加工を行って低熱膨張樹脂材料22の硬化体のほぼ中心部に凹部28を貫通形成する(図8参照)。
続く第2次充填工程では、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート807」)80重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート152」)20重量部に対し、硬化剤(四国化成工業社製「2P4MZ−CN」)5重量部、シランカップリング剤(信越化学社製「KBM−403」)で処理したシリカフィラー(龍森製「TSS−6」)100重量部、消泡剤(サンノプコ社製「ベレノールS−4」)を混合する。この混合物を3本ロールにて混練することにより、高熱膨張樹脂材料27を調製しておく。そして、従来周知の印刷装置を用いて印刷することにより、低熱膨張樹脂材料22の硬化体が有する各凹部28内に高熱膨張樹脂材料27を充填する。そして、印刷後のセラミック基板11を印刷装置から取り外した後、120℃,1時間の条件で加熱し、高熱膨張樹脂材料27の硬化体とする(図9参照)。その結果、2種類の樹脂材料からなる樹脂充填部20が形成される。
続く嵌合穴形成工程では、精密ドリルを用いた精密穴加工を行って、樹脂充填部20のほぼ中心部(即ち高熱膨張樹脂材料27の硬化体のほぼ中心部)に嵌合穴23を形成する(図10参照)。このような加工法によれば、光軸合わせの際の基準となるガイドピン24を、所望とする正しい位置にて支持可能な嵌合穴23とすることができる。また、樹脂充填部20の中心部には、フィラー量が少ない高熱膨張樹脂材料27の硬化体が位置している。このため、比較的容易にドリル加工することができ、ドリルの磨耗を抑えることができる。そして、前記セラミック基板11を表面研磨装置にセットして、上面12及び下面13を研磨する。この研磨により、充填用孔21の開口部から突出して盛り上がっている余剰の樹脂や、基板表面に付着している樹脂を除去する。この研磨工程を行うと、セラミック基板11の上面12における凹凸が解消されて平坦化する。
次に、前記セラミック基板11を150℃,5時間の条件で加熱する本硬化処理を行って、樹脂充填部20を完全に硬化させる。さらに、周知の手法により仕上げ加工を行って、嵌合穴23の穴径を0.700mmとなるように微調整する。このときの加工に要求される精度は、具体的には±0.001mmである。
次に、平坦化されたセラミック基板11の上面12上に、図示しない異方導電性材料を介してVCSEL14及びフォトダイオード16を搭載する(図11参照)。その結果、セラミック基板11の上面12における金属配線層の一部と、VCSEL14及びフォトダイオード16の接続端子とが電気的に接続される。なお、このとき上面12は凹凸のない平坦面となっているので、VCSEL14及びフォトダイオード16は上面12に対して平行な状態となる。
続く部品支持体取付工程では、専用のピン立て治具などを用いて、嵌合穴23にガイドピン24を圧入するようにして嵌合させる(図12参照)。
続く位置合わせ工程では、セラミック基板11の有する各ガイドピン24を光導波路31の有する各位置合わせ穴36に対して嵌合させる(図13参照)。これにより、光導波路31及びVCSEL14の光軸合わせと、光導波路31及びフォトダイオード16の光軸合わせと同時に行いつつ、光導波路31をセラミック基板11に支持させかつ固定する。以上のようにして図1,図2に示す本実施形態の光デバイス41が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)この光デバイス41では、セラミック基板11との熱膨張係数差が小さい低熱膨張樹脂材料22の硬化体を樹脂充填部20の外周部に配置し、セラミック基板11との熱膨張係数差が大きい高熱膨張樹脂材料27の硬化体をその内側に配置している。その結果、充填用孔21の内壁面と樹脂充填部20との界面付近に大きな熱応力が集中しにくくなる。よって、熱応力の集中に起因する隙間やクラックの発生率を確実に低減できて、樹脂充填部20の密着性向上が図られる結果、信頼性に優れた光デバイス41を実現することができる。また、樹脂充填部20が充填用孔21内に強固に保持される結果、ガイドピン24の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士を高い精度で光軸合わせすることができる。このため、光伝送効率に優れた光デバイス41を実現することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明に属するものではないが、参考例として第2実施形態の光デバイス41及びその製造方法を図14〜図19に基づいて説明する。
図14に示されるように、本実施形態の部品支持基板70においても、樹脂充填部20は、熱膨張係数が異なる2種類の樹脂材料(高熱膨張樹脂材料27の硬化体、低熱膨張樹脂材料22の硬化体)によって構成されている。ただし、ここでは高熱膨張樹脂材料27の硬化体及び低熱膨張樹脂材料22の硬化体の配置位置が、第1実施形態のものと異なっている。即ち、高熱膨張樹脂材料27の硬化体は、第2層めのセラミック層52、第3層めのセラミック層53及び第4層めのセラミック層54が有する透孔57内に配置されている。言い換えると、高熱膨張樹脂材料27の硬化体は、充填用孔21において上面側開口部61及び下面側開口部62から離間した深い位置に配置されている。一方、低熱膨張樹脂材料22の硬化体は、第1層めのセラミック層51及び第5層めのセラミック層55が有する透孔57内に配置されている。言い換えると、低熱膨張樹脂材料22の硬化体は、充填用孔21の上面側開口部61寄りの位置及び下面側開口部62寄りの位置にそれぞれ配置されている。
上記構成の樹脂充填部20は下記の手順で形成可能である。充填用孔21をあらかじめ形成したセラミック基板11を用意し、このセラミック基板11の片側面に所定の樹脂充填用治具81を配置する(図15参照)。この治具81は、各充填用孔21に対応する位置に突起82を備えている。突起82の高さは、セラミック層51〜55の1層分の厚さに相当する。
この状態で印刷装置を用いて第1次充填工程を行い、各充填用孔21内に高熱膨張樹脂材料27を充填する。このとき、第1層めのセラミック層51に、高熱膨張樹脂材料27を充填しないようにする。そして、印刷後のセラミック基板11を印刷装置から取り外した後、120℃,1時間の条件で加熱し、高熱膨張樹脂材料27の硬化体とする(図16参照)。
続いて第2次充填工程を行い、各充填用孔21の上面側開口部61がある位置に低熱膨張樹脂材料22を充填する(図17参照)。片側面への印刷後、治具81を取り外して反対側面への印刷を行い、各充填用孔21の下面側開口部62がある位置に低熱膨張樹脂材料22を充填する。そして、印刷後のセラミック基板11を印刷装置から取り外した後、120℃,1時間の条件で加熱し、低熱膨張樹脂材料22の硬化体とする(図18参照)。その結果、2種類の樹脂材料からなる樹脂充填部20が形成される。
続く嵌合穴形成工程では、精密ドリルを用いた精密穴加工を行って、樹脂充填部20のほぼ中心部に嵌合穴23を形成する(図19参照)。そして、セラミック基板11を150℃,5時間の条件で加熱する本硬化処理を行って、樹脂充填部20を完全に硬化させる。
このようなプロセスを経て製造される本実施形態の光デバイス41も、第1実施形態と同じく、特定の部分に大きな熱応力が集中しにくい構造となっている。よって、熱応力の集中に起因する隙間やクラックの発生率を低減することができ、信頼性に優れた光デバイス41を実現することができる。また、樹脂充填部20が充填用孔21内に強固に保持される結果、ガイドピン24の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の光軸合わせ精度が高くなる。よって、光伝送効率に優れた光デバイス41を実現することができる。
なお、本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において任意に変更することが可能である。
・例えば、図20に示す別の実施形態の光デバイス41のような構成を採用してもよい。この光デバイス41では、部品支持基板90に形成された充填用孔91の形状が、上記第1及び第2実施形態の充填用孔21とは異なっている。即ち、この充填用孔91は、上面側開口部61及び下面側開口部62にて最大径を有し、上面側開口部61及び下面側開口部62の中間位置にて最小径を有している。従って、この構成によれば、樹脂充填部20のさらなる密着性向上を達成できるとともに、樹脂材料の不完全充填の発生率及び樹脂充填部20内における気泡の残留率を低減することができる。
・また、図20の光デバイス41において、例えば、低熱膨張樹脂材料22に含まれるシリカフィラーを銅フィラーに代えてもよい。この場合には樹脂充填部20の外周部を導体として利用できるようになる。つまり、セラミック基板11の上面12側と下面13側とを導通したり、セラミック基板11の内層導体同士を導通したりすること等が可能となる。それゆえ、光デバイス41の高機能化、高付加価値化を図ることができる。なお、銅フィラー以外の導電性フィラー(例えば銀フィラー、ニッケルフィラーなど)を用いても勿論構わない。また、高熱膨張樹脂材料27に導電性を付与してもよく、低熱膨張樹脂材料22及び高熱膨張樹脂材料27の両方に導電性を付与してもよい。
・上記実施形態では、半硬化状態の樹脂充填部20をドリルで穴加工した後に樹脂充填部20を本硬化(本キュア)する方法を採用したが、ドリルで穴加工する前に本キュアする方法を採用することが好ましい。この方法によれば、本キュアの熱による嵌合穴23の径の変化を防止できるため、部品同士をよりいっそう高精度に位置合わせすることが可能となる。また、本キュア工程の実施前には、被加工面である樹脂充填部20の端面を平滑にする研磨工程を実施しておくことが好適である。研磨によって樹脂充填部20の端面を平滑にしておくと、ドリルでの精密加工が行いやすくなるからである。
・上記実施形態では基板厚みを1.20mmとしているが、基板厚みが0.3mm以上であれば部品を支持するための基板として十分機能しうる。そして、特に基板厚みが1.0mm以上のときに、本実施形態の構成を採用すれば、より信頼性に優れた部品支持基板とすることが可能である。
・上記実施形態では、部品支持体(ガイドピン24)を嵌合穴23に嵌合固定した構造の部品支持基板10,70,90を示したが、部品支持基板10,70,90は必ずしも部品支持体を有していなくてもよい。別の言い方をすると、部品支持体は、部品支持基板10,70,90側の要素ではなく、部品支持基板10,70,90とは別体で構成された他部品側の要素であってもよい。図21に示す別の実施形態の光デバイス141は、基本的に光ファイバコネクタ86と、部品支持基板150とにより構成されている。光ファイバコネクタ86は光ファイバ88の先端に取り付けられている。光ファイバコネクタ86の左端側下部には約45°の傾斜面を有する切欠部85が設けられ、その傾斜面上には光路変換ミラー84が形成されている。従って、この光ファイバコネクタ86は、光反射機能を有する光部品であると把握できる。図21の光ファイバコネクタ86は、表裏を貫通するように形成された位置合わせ穴83を有している。この位置合わせ穴83には、部品支持体であるガイドピン24が嵌合固定されている。ガイドピン24の一端は光ファイバコネクタ86の下面側に所定量だけ突出している。一方、部品支持基板150を構成するセラミック基板11の上面12側には、VCSEL14が搭載されている。セラミック基板11は2層構造の樹脂充填部20を有し、そのほぼ中心部には嵌合穴23が設けられている。そして、この嵌合穴23にガイドピン24を嵌合固定することにより、部品支持基板150と光ファイバコネクタ86とが位置合わせされ、光デバイス141が完成する。
図22に示す別の実施形態の光デバイス151の場合、光ファイバコネクタ86に位置合わせ穴83が形成されていない。その代わりに、位置合わせ用の突部124が光ファイバコネクタ86の下面に対し接着剤等を用いて接合されている。そして、嵌合穴23に突部124を嵌合固定することにより、部品支持基板150と光ファイバコネクタ86とが位置合わせされ、光デバイス151が完成する。また、図23に示す別の実施形態の光デバイス161においても、光ファイバコネクタ86に位置合わせ穴83が形成されていない。その代わりに、光ファイバコネクタ86自身の下面に位置合わせ用の突部224が一体形成されている。そして、嵌合穴23に突部224を嵌合固定することにより、部品支持基板150と光ファイバコネクタ86とが位置合わせされ、光デバイス161が完成する。なお、図21,図22,図23のものにおいては部品支持基板150を使用したが、これに代えて図2に示した部品支持基板10、図14に示した部品支持基板70、または図20に示した部品支持基板90を採用しても勿論よい。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面にて開口する第1開口部及び前記第2主面にて開口する第2開口部を持つ充填用孔を有するセラミック基板と、前記充填用孔内に配置され、前記充填用孔よりも小径かつ前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記樹脂充填部は、前記セラミック基板との熱膨張係数差が異なる複数の樹脂材料からなり、前記複数の樹脂材料のうち前記セラミック基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を、前記貫通孔の内壁面に接触させるべく前記樹脂充填部の外周部に配置したことを特徴とする部品支持基板。
(2)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面にて開口する第1開口部及び前記第2主面にて開口する第2開口部を持つ充填用孔を有するセラミック基板と、前記充填用孔内に配置され、前記充填用孔よりも小径かつ前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記樹脂充填部は、前記セラミック基板との熱膨張係数差が異なる複数の樹脂材料からなり、前記複数の樹脂材料のうち前記セラミック基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を、前記充填用孔の前記第1開口部寄りの位置及び前記第2開口部寄りの位置に配置したことを特徴とする部品支持基板。
(3)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面にて開口する第1開口部及び前記第2主面にて開口する第2開口部を持つ充填用孔を有するセラミック基板と、前記充填用孔内に配置され、前記充填用孔よりも小径かつ前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部とを備え、前記嵌合穴には、他部品を支持可能な部品支持体または前記他部品自身に設けられた突部が嵌合可能であり、前記樹脂充填部は、前記セラミック基板との熱膨張係数差が異なる複数の樹脂材料からなり、前記複数の樹脂材料のうち前記セラミック基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を、前記貫通孔の内壁面に接触させるべく前記樹脂充填部の外周部に配置したことを特徴とする部品支持基板。
(4)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面にて開口する第1開口部及び前記第2主面にて開口する第2開口部を持つ充填用孔を有するセラミック基板と、前記充填用孔内に配置され、前記充填用孔よりも小径かつ前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部とを備え、前記嵌合穴には、他部品を支持可能な部品支持体または前記他部品自身に設けられた突部が嵌合可能であり、前記樹脂充填部は、前記セラミック基板との熱膨張係数差が異なる複数の樹脂材料からなり、前記複数の樹脂材料のうち前記セラミック基板との熱膨張係数差が最も小さい樹脂材料を、前記充填用孔の前記第1開口部寄りの位置及び前記第2開口部寄りの位置に配置したことを特徴とする部品支持基板。