JP4670841B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents
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Description
まず、第1の実施形態を説明する。
図1は本発明を、衝突速度低減装置を搭載した後輪駆動車に適用した場合の実施形態を示す概略構成図であり、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。
ここで、制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、走行制御コントローラ20からの制動圧指令値PBRに応じて制動油圧を発生し、これをブレーキアクチュエータ7に出力するように構成されている。また、自動変速機3の出力側に配設された出力軸の回転速度を検出することにより、自車速Vsを検出する車速センサ13が配設されている。
この制動制御作動判断処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、前方物体センサ14で検出した相対距離dr、相対速度Vr、角度範囲θR、θLを読込む。
このステップS3では、前記ステップS2で設定した制動制御禁止フラグFCAが制御禁止を表す“1”にセットされており、且つ自動制動が非作動中であるか否かを判定し、FCA=1且つ自動制動非作動中であるときには、ステップS4に移行して制動制御の作動を禁止してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
ここで、Tdはドライバのブレーキ操作時に減速度が発生するまでの無駄時間、aはドライバのブレーキ操作により発生する減速度である。
次に、ドライバの操舵操作によって前方物体との衝突が回避可能か否かを判断する。先ず、ステップS9で操舵回避に必要な横移動量を算出する。自車両MCと前方物体PCとが図4に示すような関係にあるとき、右側に操舵回避する場合に必要な横移動量YRと、左側に操舵回避する場合に必要な横移動量YLはそれぞれ下記(2)及び(3)式のようになる。
+Wb/2+WS ………(2)
YL=−dr・tanθL+dr・tan{1/2・sin-1(φ/Vs)}
+Wb/2−WS ………(3)
ここで、図2に示すように、θRは前方物体センサ14が検出している前方物体の右端の角度範囲、θLは前方物体センサ14が検出している前方物体の左端の角度範囲、Wbは自車両の幅、WSはセンサ取り付け位置の自車両センタからのオフセット量である。
Y=min(YR,YL) ……… (4)
ここで、min( )は、括弧内の小さい方を選択する関数である。
次いでステップS10に移行して、前記ステップS9で算出した操舵回避に必要な横移動量Yより、図5に示す横移動量Yと横移動にかかる時間Tyとの関係に基づいて操舵回避にかかる時間Tyを算出し、ステップS11に移行する。なお、図5において、横軸は操舵回避に必要な横移動量Y、縦軸は横移動にかかる時間Tyであり、操作回避に必要な横移動量Yが増加するほど、横移動にかかる時間Tyも増加するように設定される。
次いでステップS14で、制動による衝突回避が不可能且つ操舵による衝突回避が不可能であるか否かを判定し、制動衝突回避フラグFBが衝突回避不可能を示す“0”で、且つ操舵衝突回避フラグFSが衝突回避不可能を示す“0”である場合には、ステップS15に移行して自動制動を所定時間、所定の大きさで作動させる。一方、ステップS14の判定結果がFB=1又はFS=1である場合には、ステップS16に移行して自動制動を解除する。
この図3の処理において、ステップS6〜S13の処理が衝突回避判断手段に対応し、ステップS14〜S16の処理が自動制動制御手段に対応している。また、図6の処理において、ステップS207〜S209の処理が作動条件変更手段に対応している。
一方、所定値ΔθTH2以下のわずかな光軸ずれが発生している状態で、自車両が、前方物体との相対距離drが制動制御作動距離dSETを超える制動制御禁止領域を走行中であるとする。この場合には、先ず、図6の衝撃判断処理において、ステップS201でΔθ≦ΔθTH2となる光軸ずれ量Δθが推定される。整備工場や販売店等で光軸調整を施していないため、ステップS202からステップS203に移行して記憶された光軸ずれ量Δθを保持し、光軸ずれ量Δθが光軸ずれ表示閾値ΔθSET以上である場合には、ステップS205の判定によりステップS206に移行して、光軸ずれ表示装置17に光軸ずれ表示を行う。そして、ステップS207からステップS209に移行して、制動制御禁止フラグFCAを、制御許可を表す“0”にリセットすると共に、図8に示すように光軸ずれ量Δθに応じた距離範囲が制動制御作動距離dSETとして設定される。FCA=0且つdr>dSETであるので、図3の制動制御作動判断処理において、ステップS5からステップS4に移行して自動制動を禁止し、運転者のアクセル及びブレーキ操作に応じた走行を行う。
ここで、制動制御作動距離dSETは光軸ずれ量Δθが大きいほど小さい値に設定されるので、ΔθTH1<Δθ≦ΔθTH2であるときには、光軸ずれがない場合と比較して、前方物体との相対位置関係がより近いものに対してのみ制動制御を行うことになる。
なお、上記第1の実施形態においては、加速度検出手段として加速度センサを適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車速センサで検出した自車両の車速から加速度を算出するようにしてもよい。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において、前方物体センサ14の検出範囲が変化する衝撃の判断を、ヨーレートセンサ16の信号を用いて行うようにしたものである。
図9は、第2の実施形態において、走行制御コントローラ20において実行される衝撃判断処理の処理手順を示すフローチャートであって、図6に示す第1の実施形態における衝撃判断処理において、ステップS201の処理が、ヨーレートセンサ16で検出したヨーレートφの変化率により、光軸ずれが発生する大きさの衝撃を検出して光軸ずれ量Δθを推定するステップS221の処理に置換されていることを除いては図6と同様の処理を行い、図6と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図10は、第3の実施形態において、走行制御コントローラ20において実行される衝撃判断処理の処理手順を示すフローチャートであって、図6に示す第1の実施形態における衝撃判断処理において、ステップS201の処理が、車速センサ13で検出した自車速Vsの変化率により、光軸ずれが発生する大きさの衝撃を検出して光軸ずれ量Δθを推定するステップS231の処理に置換されていることを除いては図6と同様の処理を行い、図6と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図11は、第4の実施形態において、走行制御コントローラ20において実行される衝撃判断処理の処理手順を示すフローチャートであって、図6に示す第1の実施形態における衝撃判断処理において、ステップS201の処理が、前方物体センサ14で検出した相対距離dr及び相対速度Vrにより、光軸ずれが発生する大きさの衝撃を検出して光軸ずれ量Δθを推定するステップS241の処理に置換されていることを除いては図6と同様の処理を行い、図6と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
なお、上記第4の実施形態においては、前方物体との相対距離が所定値以下であるときに、光軸ずれが発生するような衝撃が発生したと判断する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステップS14で制動による衝突回避及び操舵による衝突回避が不可能、且つ自動制動中であるときに、自動制動終了後に前方物体を認識するためのセンサに衝撃が発生したと判断するようにしてもよい。この場合には、相対速度が接近方向に所定値以上であるときに、光軸ずれが発生するような衝撃が発生したと判断し、接近方向の相対速度が大きいほど光軸ずれが大きいと判断すればよい。これにより、衝突回避が不可能な状態を検出した後に、前方物体を検出できない状態となった場合であっても、衝突が発生したことを推定可能であるため、光軸ずれが発生するような衝撃の発生をより確実に検出することができる。
この第5の実施形態は、本発明を、車間距離制御装置を搭載した後輪駆動車に適用したものである。
すなわち、第5の実施形態における概略構成を図12に示すように、エンジン出力を制御するエンジン出力制御装置11を設け、前述した第1の実施形態におけるスキャニング式の構成を有する前方物体センサ14の代わりに、レーダ方式の構成を有する前方物体センサ18を設け、走行制御コントローラ20の代わりに、自車両前方の車両を捕捉しているときに車間距離が目標車間距離となるように目標車速を設定して自車速を制御し、自車両前方の車両を捕捉していないときに自車速Vsを運転者が設定した設定車速VSET に制御する追従制御コントローラ30を設けたことを除いては、図1と同様の構成を有するため、図1との対応部分には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
この前方物体センサ18は、通常、その光軸方向が自車両の前後軸線から許容誤差範囲内(例えば、±0.5°)の高精度で締結具等により車両前部に取り付けられているが、車両に何らかの衝撃が加わること等により、センサの光軸方向が自車両の前後軸線方向から許容誤差範囲を超えて左右にずれると、隣接車線を走行している斜め前方の車両を自車走行車線前方の車両と誤認識し、上下にずれると先行車両を認識できないなど、先行車両との相対位置関係を正確に検出することができない。
この制御ブロックは、前方物体センサ18でレーザ光を掃射してから先行車両の反射光を受光するまでの時間を計測し、先行車両との車間距離Dを演算する測距信号処理部21と、測距信号処理部21で演算された車間距離D、自車速Vs及び相対速度ΔVに基づいて車間距離Dを目標車間距離D* に維持する目標車速VL *を演算する車間距離制御部40と、この車間距離制御部40で演算した目標車速VL *に基づいて目標駆動軸トルクTW *を演算する車速制御部50と、この車速制御部50で演算した目標駆動軸トルクTW *に基づいてスロットルアクチュエータ12及びブレーキアクチュエータ7に対するスロットル開度指令値θR及び制動圧指令値PBRを演算し、これらをスロットルアクチュエータ12及びブレーキアクチュエータ7に出力する駆動軸トルク制御部60とを備えている。
D* =Vt×Th ………(6)
ここで、Vtは先行車速、Thは車間時間である。
VL *=KL(D−D*)+KV(ΔV−ΔV*)+Vt ………(7)
ここで、KLは車間距離制御ゲイン、KVは相対速度制御ゲインである。
なお、上述した車間距離制御部40、車速制御部50及び駆動軸トルク制御部60で走行制御手段を構成している。
この目標車速設定処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS101で、車速センサ13で検出した自車速Vs、前方物体センサ18で検出した先行車両との車間距離Dを読込み、次いでステップS102に移行して、後述する衝撃判断処理で前方物体センサ18への検出範囲が変化する衝撃を検知して車間距離制御の禁止判断及び車間距離検出限界DMAXの設定を行う。
ここで、min( )は、括弧内の小さい方を選択する関数である。
一方、ステップS103の判定結果が、FCA=1又はD>DMAXであるときには、車間距離制御禁止状態であるか先行車両を検出していないと判断してステップS106に移行し、予め運転者が設定した設定車速VSET を目標車速V*として設定してから前記ステップS105に移行する。
一方、前方物体センサ18に所定値ΔθTH2以下のわずかな光軸ずれが発生している状態で走行中であるとする。この場合には、図15の衝撃判断処理において、ステップS201でΔθ≦ΔθTH2となる光軸ずれ量Δθが推定される。整備工場や販売店等で光軸調整を施していないため、ステップS202からステップS203に移行して記憶された光軸ずれ量Δθを保持し、光軸ずれ量Δθが光軸ずれ表示閾値ΔθSET以上であるときには、ステップS205の判定によりステップS206に移行して、光軸ずれ表示装置17に光軸ずれ表示を行う。そして、ステップS207からステップS209に移行して、図16に示すように光軸ずれ量Δθに応じた車間距離が車間距離検出限界DMAXとして設定される。
このように、上記第5の実施形態では、自車両に何らかの衝撃が加わって先行車両を認識するためのセンサの取り付け位置がずれるなどにより、センサに検出範囲の変化が生じた場合には、直ちにそれを検出して車間距離制御を禁止するので、センサの検出範囲が変化したまま追従走行制御が作動してしまうことを確実に防止できると共に、検出範囲の変化が発生していない場合には、通常通りの追従走行制御を行うので、運転者に違和感のない走行制御を行うことができる。
なお、上記第5の実施形態においては、加速度検出手段として加速度センサを適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車速センサで検出した自車両の車速から加速度を算出するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、前輪駆動車に本発明を適用することもでき、また回転駆動源としてエンジン2を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動モータを適用することもでき、さらには、エンジンと電動モータとを使用するハイブリッド仕様車にも本発明を適用することができる。
3 自動変速機
7 ディスクブレーキ
8 制動制御装置
11 エンジン出力制御装置
13 車速センサ
14 前方物体センサ
15 加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
17 光軸ずれ表示装置
20 走行制御コントローラ
30 追従制御コントローラ
50 車速制御部
51 目標車速設定部
53 目標駆動軸トルク演算部
60 駆動軸トルク制御部
Claims (4)
- 自車両前方の物体を検出する前方物体検出手段と、該前方物体検出手段で検出した前方物体と自車両との相対位置関係に基づいて、前方物体への衝突回避が不可能であることを判断する衝突回避判断手段と、該衝突回避判断手段が衝突回避不可能と判断し、且つ所定の作動条件が満たされた場合に自車両を自動制動制御する自動制動制御手段と、該自動制動制御の終了後であって、前記衝突回避判断手段が衝突回避不可能と判断した衝突により前記前方物体検出手段の検出範囲が変化した場合に、前記自動制動制御手段による自動制動制御が作動され難くなるように当該自動制動制御の前記作動条件を変更する作動条件変更手段と、を備えていることを特徴とする車両用走行制御装置。
- 前記作動条件変更手段は、前記自動制動制御手段による自動制動制御の作動を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行制御装置。
- 自車両前方の物体を検出する前方物体検出手段と、該前方物体検出手段で検出した前方物体と自車両との相対位置関係に基づいて、前記相対位置関係が所定の関係となるように自車両の走行を制御する走行制御手段と、前記前方物体検出手段で検出した前方物体と自車両との相対位置関係に基づいて、前方物体への衝突回避が不可能であることを判断する衝突回避判断手段と、該衝突回避判断手段が衝突回避不可能と判断し、且つ所定の作動条件が満たされた場合に自車両を自動制動制御する自動制動制御手段と、該自動制動制御の終了後であって、前記衝突回避判断手段が衝突回避不可能と判断した衝突により前記前方物体検出手段の検出範囲が変化した場合に、前記走行制御手段による走行制御が作動され難くなるように当該走行制御の前記作動条件を変更する作動条件変更手段と、を備えていることを特徴とする車両用走行制御装置。
- 前記作動条件変更手段は、前記走行制御手段による走行制御の作動を禁止することを特徴とする請求項3に記載の車両用走行制御装置。
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