JP4667776B2 - 燃料電池の排出ガス処理装置 - Google Patents
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Description
この燃料電池では、発電に伴ってカソード側で水が生成され、この生成水の一部は固体高分子電解質膜を透過してアノード側にも浸入する。また、カソードに供給された空気中の窒素は微量ながら固体高分子電解質膜をアノード側に透過して水素ガスに混入する。アノード側におけるこれら水分や窒素等の不純物は、燃料電池の発電を不安定にする虞がある。
そこで、この種の燃料電池では、アノードオフガスが循環するアノードオフガス循環路から定期的に排出弁を開放して前記不純物を含むアノードオフガスを排出し、アノードオフガス中の不純物濃度を低減させている。
特許文献1には従来の排出ガス処理装置の一例が開示されている。この排出ガス処理装置では、略矩形箱形の希釈容器にアノードオフガス導入管を接続し、希釈容器の底部中央に外方へ矩形に張り出す液溜まり部を形成し、カソードオフガス管を前記希釈容器に貫通させるとともに希釈容器内において前記カソードオフガス管の一部を前記液溜まり部内に配置し、カソードオフガス管において液溜まり部内に収容されている部分に排液孔を設け、カソードオフガス管において液溜まり部内に収容されていない部分にガス排出孔を設けている。
また、希釈容器にはアノードオフガスとともに水分(水および蒸気)が導入されるが、水および希釈容器内で蒸気が凝縮して生じた凝縮水は希釈容器の液溜まり部に集水された後、排液孔からカソードオフガス管に吸い込まれ、前記混合ガスとともにカソードオフガス管を下流へと流れていく。
前述した従来の排出ガス処理装置のように、略矩形箱形の希釈容器の底部に矩形に張り出た液溜まり部を有する場合には、角部の耐圧強度を確保するためや、希釈容器の呼吸による変形(繰り返し応力)に対して十分な強度を得るために、希釈容器内に例えばリブなどを縦横に設置するなどの補強しなければならなかった。しかしながら、このような補強構造を採用すると、排出ガス処理装置の構造が複雑になり、製造も困難で、重量も増大するなど、種々の不具合が生じる。
そこで、この発明は、簡単な構造ながら、機械的強度および排液性能に優れた燃料電池の排出ガス処理装置を提供するものである。
軸心を略水平姿勢に設置され軸心方向に対し直交する断面形状が曲線で構成された筒状の希釈容器(例えば、後述する実施例における希釈容器51)と、
前記アノードオフガスを前記希釈容器内に導入するアノードオフガス導入路(例えば、後述する実施例におけるアノードオフガス導入管52)と、
前記希釈ガスが流通する希釈ガス路(例えば、後述する実施例における希釈ガス管57)と、
前記希釈ガス路に連通し、該希釈ガス路を流通する前記希釈ガスを前記希釈容器内に放出する希釈ガス放出孔(例えば、後述する実施例における希釈ガス放出孔58)と、
前記希釈ガス路に連通し、前記希釈容器内で混合された前記アノードオフガスと希釈ガスの混合ガスを前記希釈ガス放出孔との連通部よりも前記希釈ガス路下流側に排出する混合ガス排出孔(例えば、後述する実施例における混合ガス排出孔61)と、
前記希釈ガス路に連通し、前記希釈容器の内底部の近傍に開口して設けられた排液孔(例えば、後述する実施例における排液孔60)と、
を備え、
前記希釈ガス路には、前記希釈ガス放出孔が連通する部位と前記混合ガス排出孔が連通する部位との間に絞り部(例えば、後述する実施例における絞り部59)が設けられ、前記排液孔は前記絞り部よりも前記希釈ガス路下流側に連通していることを特徴とする。
この排出ガス処理装置では、希釈容器の断面形状が曲線で構成されているので、希釈容器は内圧に対しても、あるいは、希釈容器の呼吸による変形(繰り返し応力)に対しても、特別な補強構造なしで機械的強度(耐圧強度)を十分に高くすることができる。
また、希釈容器の断面形状の特性から希釈容器内の液体を希釈容器内の最下部に集めることができる。さらに、集めた液体を排液孔を介して希釈ガス路に排出し、希釈ガスとともに希釈容器の外に排出することができる。
さらに、希釈ガス路において絞り部の上流よりも下流のほうが圧力が低いため、排液孔での液体の吸引力を大きくすることができ、希釈容器51内に溜まった液体を効果的に吸い込むことができる。そのため、液体を速やかに排出することができる。
また、希釈ガス路の絞り部の絞り具合を所定に設定することにより、希釈ガス放出孔から希釈容器内に放出される希釈ガス流量を調整することができる。
このように構成することにより、希釈容器内の鉛直方向最下部に液体を確実に集めることができ、その他の部位に液溜まりが生じないようにすることができる。
このように構成することにより、希釈容器の内壁を伝わって流れ落ちる液体の流速を速めることができる。また、流れ落ちた液体を容易に集合させることができる。
このように構成することにより、排出ガス処理装置の構造が簡単になり、しかも排液孔を希釈容器の内底部に接近させて配置することができる。
また、希釈容器内の液体を希釈容器内の最下部に集めて希釈ガス路内に排出し、希釈ガスとともに希釈容器の外に排出することができるので、希釈容器内の液体を円滑に排出することができ、排液性能が向上する。
さらに、希釈容器内の最下部に集まった液体を吸引する吸引力を大きくすることができるので、排液性能が向上する。
また、希釈ガス路の絞り部の絞り具合を所定に設定することにより、希釈ガス放出孔から希釈容器内に放出される希釈ガス流量を、アノードオフガスの希釈に最適な流量に設定することができ、アノードオフガスを十分に希釈して排出することができる。
請求項3に係る発明によれば、希釈容器の内面を伝わって流れ落ちる液体の流速を高めることができるので、液体を迅速に希釈容器の最下部に集めることができ、迅速な排液が可能になる。また、流れ落ちた液体を容易に集合させることができるので、少量の液体であっても排水ができる。
図1は、この発明に係る排出ガス処理装置を備えた燃料電池システムの概略構成図であり、この実施例では燃料電池車両に搭載されている。
燃料電池1は、反応ガスを電気化学反応させて電力を得るタイプのもので、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜2をアノード3とカソード4とで両側から挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されており(図1では単セルのみを示す)、アノード3に燃料ガスとして水素ガス(反応ガス)を供給し、カソード4に酸化剤ガスとして酸素(反応ガス)を含む空気を供給すると、アノード3で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜2を通過してカソード4まで移動して、カソード4で酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。カソード側で生じた生成水の一部は固体高分子電解質膜2を透過してアノード側に逆拡散するため、アノード側にも生成水が存在する。
また、排出ガス処理装置50は、その上部からも内部のガスを、必要に応じてガス抜き弁31を開くことにより、ガス抜き路32を介して排出可能に構成されている。ガス抜き路32は、ファン34から空気が供給される空気排出路33に接続されており、ガス抜き路32との接続部にはエゼクタ35が設けられている。
また、コンプレッサ7の回転数、圧力制御弁10および流量制御弁23の開度、排出弁21とガス抜き弁31とバイパス弁34の開閉は、電子制御ユニット(以下、ECUと略す)40により制御される。
そのため、この燃料電池システムでは、ECU40により、燃料電池システムが一定時間連続運転したと判断されたとき、あるいは、燃料電池1の発電の安定性が低下したと判断されたときに、不純物排出要求ありと判断して排出弁21を開き、不純物を含むアノードオフガスをアノードオフガス路18からアノードオフガス排出路22を介して排出ガス処理装置50に排出し、燃料電池1のアノード3を流通する水素ガス中の不純物濃度を所定値以下となるように管理して、燃料電池1の発電を安定した状態に保持する。
換言すると、希釈容器51は、その軸心を略水平姿勢に設置されていて、軸心方向に対し直交する断面形状は、その閉断面の全周に亘って外側に凸曲状をなす曲線で構成されている。
仕切板53の切欠部53aは希釈容器51の軸心よりも十分上方に位置しており、アノードオフガス導入管52の軸心延長上にも仕切板53が存在する。したがって、図3に示すように、アノードオフガス放出孔52aから放出されるアノードオフガスの多くは仕切板53に向かって放出されることとなり、一部がアノードオフガス放出孔52aから斜め上方に放出されることとなる。
また、希釈容器51には仕切板53の上方に上部ガス排出孔62が設けられており、この上部ガス排出孔62にガス抜き路32が接続されている。
ここで、アノードオフガス放出孔52aは前述したように斜め上方を指向しており、希釈ガス放出孔58は真上を指向しているので、アノードオフガス放出孔52aと希釈ガス放出孔58は互いに非対向の位置関係にあると言える。これにより、アノードオフガス放出孔52aから放出されたアノードオフガスが、希釈ガス放出孔58を介して希釈ガス管57に逆流するのを防止することができるので、アノードオフガスが希釈不十分なまま排出されるのを防止することができる。
なお、この実施例においては、希釈ガス管57は絞り部59を除き同一管径に形成されている。
なお、この実施例では、排液孔60を希釈ガス管57に直接設けているので、排液孔60自身が排液孔60と希釈ガス管57との連通部を兼ねている。
なお、この実施例では、混合ガス排出孔61を希釈ガス管57に直接設けているので、混合ガス排出孔61自身が混合ガス排出孔61と希釈ガス管57との連通部を兼ねている。
この排出ガス処理装置では、コンプレッサ7から燃料電池1のカソード4に空気を供給している間は常時、燃料電池1のカソード4から排出される排出空気が、空気排出路9および圧力制御弁10を介して排出ガス処理装置50の希釈ガス管57に導入され、該希釈ガス管57を混合ガス排出路30に向かって流通しており、希釈ガス管57を流通する排出空気の一部が希釈ガス放出孔58から上流室54内に放出される。
この実施例では、アノードオフガス導入管52の軸心が水平姿勢に配置され、且つ、アノードオフガス導入管52の先端を斜めにカットしてアノードオフガス放出孔52aを形成しているので、アノードオフガス導入管52の先部に液溜まりが生じるのを防止することができ、アノードオフガス導入管52が液溜まりによって閉塞するのを防止することができる。
さらに、この実施例では、アノードオフガス放出孔52aからアノードオフガスを仕切板53に向かって放出しているので、アノードオフガスに含まれる液体は、仕切板53に衝突して付着し、鉛直姿勢の仕切板53を伝わって落下していく。また、アノードオフガス中の蒸気も仕切板53に衝突することで凝縮を促進され、この凝縮液も鉛直姿勢の仕切板53を伝わって落下していく。つまり、仕切板53はアノードオフガス中の水分を捕捉し、希釈容器51の下方に集合させ易くする。
この実施例では、希釈容器51の軸心が略水平姿勢に設置され、軸心方向に対し直交する断面の形状がその閉断面の全周に亘って外側に凸曲状をなしているので、希釈容器51内の鉛直方向最下部(すなわち、希釈容器51の内底部)に液体を確実に集めることができ、その他の部位に液溜まりが生じることがない。
特にこの実施例では、希釈容器51の前記断面形状が楕円形であり、該楕円の長軸が鉛直方向に配されているので、希釈容器51の内面を伝わって流れ落ちる液体の流速を速めることができ、その結果、液体を迅速に希釈容器51の最下部(すなわち、内底部)に集めることができる。
この実施例では、排液孔60が希釈ガス管57の下半部であって希釈容器の内底部に接近した位置に設けられているので、希釈容器51の底部に溜まった液体を排出し易くでき、排出されずに希釈容器51内に残留する液体を減らすことができるため、排液性能が向上する。
また、この実施例では、排液孔60の直ぐ上流に絞り部59が設けられているので、液体を吸引する吸引力を大きくすることができ、希釈容器51に溜まった液体を効果的に吸い込むことができる。そのため、液体を速やかに排出することができる。吸引力が大きくすることができるのは、絞り部59より上流側よりも下流側の方が圧力が低いためである。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、希釈容器の断面を楕円形にしているが、円形にすることも可能である。
また、希釈ガス放出孔、混合ガス排出孔、排液孔を希釈ガス路に直接設けず、希釈ガス路から分岐した分岐管にこれらの孔を設けることも可能である。
前述した実施例では、希釈ガスとして燃料電池のカソードから排出される排出空気(カソードオフガス)を用いたが、希釈ガスはこれに限られるものではない。
また、本実施例においては、仕切板は1枚のみであったが、これを複数枚にし、たとえば互い違いに配置してもよい。この場合、複数の仕切板のうち一部の仕切板が上流室、下流室を形成し、上流室と下流室を連通する箇所が連通ガス路となる。
また、本実施例においては、仕切板は切欠部を除いて希釈容器内面に密接して固定しているが、仕切板の最下部にスリットを設けてもよい。このようにすることで、希釈容器内部の液体が仕切板を通って移動をすることができるため、たとえば排水孔が上流室、下流室のいずれかのみにしか設置されなかった場合においても排水孔が設置しなかった箇所の排水を行えるため好ましい。
また、連通ガス路を前述した実施例においては切り欠き部であるが、配管によって形成してもよい。
また、前述した実施例では、希釈容器の内部に仕切板を設けたが、仕切板がなくてもこの発明は成立する。
3 アノード
50 排出ガス処理装置
51 希釈容器
52 アノードオフガス導入管(アノードオフガス導入路)
57 希釈ガス管(希釈ガス路)
58 希釈ガス放出孔
59 絞り部
60 排液孔
61 混合ガス排出孔
Claims (4)
- 燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスを希釈ガスと混合して希釈し排出する燃料電池の排出ガス処理装置において、
軸心を略水平姿勢に設置され軸心方向に対し直交する断面形状が曲線で構成された筒状の希釈容器と、
前記アノードオフガスを前記希釈容器内に導入するアノードオフガス導入路と、
前記希釈ガスが流通する希釈ガス路と、
前記希釈ガス路に連通し、該希釈ガス路を流通する前記希釈ガスを前記希釈容器内に放出する希釈ガス放出孔と、
前記希釈ガス路に連通し、前記希釈容器内で混合された前記アノードオフガスと希釈ガスの混合ガスを前記希釈ガス放出孔との連通部よりも前記希釈ガス路下流側に排出する混合ガス排出孔と、
前記希釈ガス路に連通し、前記希釈容器の内底部の近傍に開口して設けられた排液孔と、
を備え、
前記希釈ガス路には、前記希釈ガス放出孔が連通する部位と前記混合ガス排出孔が連通する部位との間に絞り部が設けられ、前記排液孔は前記絞り部よりも前記希釈ガス路下流側に連通していることを特徴とする燃料電池の排出ガス処理装置。 - 前記希釈容器の前記断面形状はその閉断面の全周に亘って外側に凸曲状をなすことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
- 前記希釈容器の前記断面形状は楕円形であり、該楕円の長軸が鉛直方向に配されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
- 前記希釈ガス路は前記希釈容器の内底部に沿って設置され、前記希釈ガス放出孔と前記混合ガス排出孔と前記排液孔はいずれも前記希釈ガス路に直接設けられており、前記排液孔は前記希釈ガス路の下半部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
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