JP4665463B2 - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、液滴を吐出するインクジェット記録ヘッドに関する。
主走査方向に往復移動するインクジェット記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」という場合がある)の複数のノズルから選択的にインク滴を吐出し、副走査方向へ搬送される記録紙等の記録媒体に文字や画像等を印刷するインクジェット記録装置は従来から知られている。
記録ヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、ノズルと連通しインクが充填されるチャンバ(いわゆる圧力室)と、チャンバの一部を構成する振動板と、振動板を介して圧力室を加減圧する単板ピエゾアクチュエータ(いわゆる圧電部材、以下「PA」という)と、で構成されている。
このPAの駆動部中心がチャンバの中心部に対してズレると、振動板の変位量が異なり、振動板の変形特性が不均一となって、記録ヘッド内でインク吐出量や吐出速度のバラツキが大きくなる。つまり、インクの吐出特性に影響を及ぼし、インクの吐出特性が低下する。
このインクの吐出特性低下を防止するための一般的な解決方法としては、振動板、チャンバを構成するチャンバプレート、ノズルが形成されたノズルプレート等インク流路側の流路プレートユニットとPAを接合する(以下、「PA接合」という)際、チャンバの中心部と、PAの駆動部中心とが一致するように微調整を行いながらPA接合を行う。
一方、インクの吐出特性の向上を得るため、特許文献1では、図12(A)、(B)に示すように、圧電素子200を構成する圧電体層202の幅方向両側の端部を圧力発生室204に対向する領域内に配置し、圧電体層202の少なくとも幅方向両側に、引張り応力を有する引張り膜206を連続的に設け、圧電体層202に引張り膜206の張力を作用させ、圧電特性が維持されるようにしている。
さらに、特許文献2では、図13(A)、(B)に示すように、チャンバ210内に圧電素子駆動部212を配置し、圧電素子駆動部212の外周側面の略全周に対してチャンバ210の内壁との間に隙間を設け、圧電素子駆動部212をチャンバ210内に対向して配置し、振動板214の変形特性を安定させて、インク吐出性能を向上させるようにしている。
しかしながら、特許文献1では、圧電体層202と引張り膜206とを一体に設け、単に引張り膜206の張力を利用するというものである。また、特許文献2では、圧電素子駆動部212と配線部216とが同一平面上で一体に設けられており、電圧入力端子部218へ電圧が印加されると、配線部216の圧電素子駆動部212側が駆動してしまう。
つまり、これらは、あくまでもPA駆動部中心とチャンバ中心とが一致しているという条件の基に、インク吐出性能が向上するというものであり、現状は、PA接合時に接着剤によりPA駆動部中心とチャンバ中心との間でズレが発生し、このズレが大きいと、振動板の変形特性にバラツキが生じ、結果的にインクの吐出特性を低下させる、という問題点がある。
特開2000−141644号公報 特開2001−260352号公報
本発明は上記事実を考慮し、振動板の変形特性のバラツキを抑え、インクの吐出特性のバラツキを防止するインクジェット記録ヘッドを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、マトリックス状に配置され、液滴を吐出する複数のノズルと、前記ノズルと連通し、インクが充填される複数の圧力室と、前記圧力室の一部を構成する振動板と、前記圧力室に対応しない位置に配置され電気基板と接合される電気パッド部と、前記圧力室に対応する位置に配置され、前記電気パッド部に印加された電圧により変形し前記圧力室内で振動板を変位させる変形部とを有する複数の圧電部材と、前記複数の圧電部材の各々の、前記マトリックスの第1の方向における両隣および第1の方向に直交する第2の方向における両隣に、当該圧電部材と隙間を空けて設けられ、互いの形状が同一であると共に、互いに隙間を空けて設けられ、平面視にて投影したときそれぞれの端部が複数の前記圧力室内へ突出する、電圧が印加されない複数のダミー圧電部材と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、マトッリクス状に配置されたノズルと連通する圧力室にはインクが充填されている。この圧力室の一部を構成する振動板の表面には、単板ピエゾアクチュエータ等の圧電部材がマトリックス状に設けられており、圧電部材に電圧が印加されると、圧力室内で振動板が変位する。また、振動板の表面には、圧電部材の周辺に隙間を空けてダミー圧電部材を設けており、平面視にて投影したとき、ダミー圧電部材の端部を圧力室内へ突出させている。
このように、ダミー圧電部材と圧電部材との間に、隙間を設けることで、ダミー圧電部材は圧電部材から完全に独立した状態となっている。このため、ダミー圧電部材は圧電部材の電圧の印加による影響を全く受けない。つまり、ダミー圧電部材が配置された領域において、振動板が変位することはなく、圧電部材に電圧を印加し圧電部材を変位させたとき、振動板が振動したときの振動固定端は、ダミー圧電部材の端部となる。
ここで、平面視にて投影したとき、ダミー圧電部材の端部を圧力室内へ突出させるようにすることで、圧電部材の接合位置が多少ズレたとしても振動固定端は圧力室内となる。従って、振動板の変形特性は一定に保たれ、圧力室内の体積変化率は一定となり、インク吐出特性のバラツキを防止することができる。
また、圧電部材の周辺にダミー圧電部材を設けることで、圧電部材が予めパターニングされた基板(PA基板)を振動板に接合する時、接合時の圧力がダミー圧電部材にも分散され、圧電部材への応力集中が回避される。
このため、圧電部材に応力が集中することによって生じる圧電部材のクラックや割れのような、インクの吐出特性の低下原因を防止することができる。さらに、ダミー圧電部材の端部を、平面視にて投影したとき圧力室内へ突出させるようにすることで、圧力室内には圧電部材が配置されることとなるため、PA基板を振動板に接合する時、接合時の応力はダミー圧電部材で受けることとなり、圧電部材には応力が負荷されない。
また、圧電部材の周囲に隙間を設けることで、PA基板を振動板に接合する時に、圧電部材と振動板との線膨張係数の差を吸収することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記圧電部材の形状が同一であることを特徴としている。
請求項2に記載の発明では、圧電部材の形状を同一とすることで、圧電部材によって変位する振動板の変位量を各ノズルで同一にすることができ、インクの吐出性能を均一化することができる。
本発明は、上記構成としたので、請求項1に記載の発明では、ダミー圧電部材と圧電部材との間に、隙間を設け、平面視にて投影したとき、ダミー圧電部材の端部を圧力室内へ突出させるようにすることで、圧電部材の接合位置が多少ズレたとしても振動固定端は圧力室内となる。従って、振動板の変形特性は一定に保たれ、圧力室内の体積変化率は一定となり、インク吐出特性のバラツキを防止することができる。
また、圧電部材と同一平面上にダミー圧電部材を設けることで、圧電部材が予めパターニングされた基板(PA基板)を振動板に接合する時、接合時の圧力がダミー圧電部材にも分散され、圧電部材への応力集中が回避され、圧電部材のクラックや割れのような、インクの吐出特性の低下原因を防止することができる。
請求項2に記載の発明では、圧電部材によって変位する振動板の変位量を各ノズルで同一にすることができ、インクの吐出性能を均一化することができる。
請求項3に記載の発明では、圧電素子を支持する支持条件を各ノズルで略同一にすることができ、インクの吐出性能をさらに均一化することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドについての説明を行う。まず、最初に図1に示すインクジェット記録装置70の概要を説明する。
なお、記録媒体は記録紙Pとし、記録紙Pのインクジェット記録装置70における搬送方向を副走査方向として矢印Sで表し、その搬送方向と直交する方向を主走査方向として矢印Mで表す。
インクジェット記録装置70は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクジェット記録ユニット72を搭載するキャリッジ76を備えている。このキャリッジ76の記録紙Pの搬送方向上流側には、一対のブラケット78が突設されており、そのブラケット78には円形状の開孔78Aが穿設されている。そして、この開孔78Aに、主走査方向に架設されたシャフト80が挿通されている。
また、主走査方向の両端側には、主走査機構82を構成する駆動プーリー84と従動プーリー86が配設されている。この駆動プーリー84と従動プーリー86にはタイミングベルト88が巻回されており、タイミングベルト88の一部にキャリッジ76に固定され、キャリッジ76が主走査方向に往復移動可能となっている。
また、このインクジェット記録装置70には、搬送ローラー90及び排出ローラー92からなる副走査機構94が設けられており、画像印刷前の記録紙Pを束にして載置する給紙トレイ96から1枚ずつ給紙された記録紙Pを所定のピッチで副走査方向へ搬送する。
さらに、図2に示すように、各色のインクジェット記録ユニット72は、インクジェット記録ヘッド74と、それにインクを供給するインクタンク98とが一体に構成されたものであり、インクジェット記録ヘッド74の下面に形成された複数のノズル10(図4(B)参照)が、記録紙Pと対向するようにキャリッジ76上に搭載されている。
したがって、インクジェット記録ヘッド74が主走査機構82(図1参照)によって主走査方向に移動しながら、記録紙Pに対してノズル10から選択的にインク滴を吐出することにより、所定のバンド領域BEに対して画像データに基づく画像の一部が記録される。
そして、主走査方向への1回の移動が終了すると、記録紙Pは、副走査機構94(図1参照)によって副走査方向に所定ピッチ搬送され、再びインクジェット記録ヘッド74(インクジェット記録ユニット72)が主走査方向(前述とは反対方向)に移動しながら、次のバンド領域に対して画像データに基づく画像の一部が記録されるようになっており、このような動作を複数回繰り返すことによって、記録紙Pに画像データに基づく全体画像がフルカラーで記録される。
次に、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの構成について説明する。
図3(A)、(B)に示すように、インクジェット記録ヘッド74には、インクタンク98(図2参照)からインクが供給される共通インク室20が備えられている。この共通インク室20には開口部18が設けられており、インク供給路16を介して圧力室14が連通し、共通インク室20内のインクが供給されるようになっている。
また、インクジェット記録ヘッド74には、マトリックス状に配置された複数のノズル10が備えられており、ノズル連通室12を介して圧力室14と連通している。この圧力室14の上面には上下方向に弾性を有する振動板30が設けられており、圧力室14に対応する振動板30の上面には、図5に示すように、圧電能動部42がマトリックス状に配置されている。
この圧電能動部42は、全て同一形状を成しており、図4(A)に示すように、四隅が円弧で構成され2本の対角線の長さの比が1に近い菱形形状の圧力室14よりも一回り小さく形成され、圧力室14の上方に位置する菱形部42Aと、菱形部42Aの2本の対角線のうち長い方の対角線L上に、菱形部42Aの角部と重なるようにして一体に形成される多角部42Bと、で構成している。
この多角部42Bは、菱形部42Aと繋がる辺m1が、菱形部42Aから離間するに従って互いに離間する方向へ向かって広がっている。また、平面視にて圧力室14内に位置するノズル10と対向する辺m2は、圧力室14から離れた位置で対角線Lに対して直交して形成されている。そして、多角部42Bの辺m1と辺m2を、圧力室14の角部14A側へ向かって突出する曲線部で繋いでいる。
この多角部42Bは電気接続を行う電気パット部となりボール半田34を介して電気基板36が接合される。そして、多角部42Bに電圧が印加されると、圧力室14の上方に位置する菱形部42Aは電歪作用によって変形し、圧力室14内のインクを加圧する駆動部となる。このように、圧力室14内のインクが加圧されると、ノズル10からインク滴が吐出する。
図5に示すように、このような圧電能動部42が2行×2列で配置された領域の中心部には、圧電能動部42と同一平面上にダミー部44を設けており、
圧電能動部42の周辺に同一形状のダミー部44を配置するようにしている。このダミー部44と圧電能動部42との間には、溝部40を設けている。ここで、図4(A)に示すように、ダミー部44の端部(ハッチング部)は、圧力室14の上方に配置されるようにしている。
次に、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法について説明する。
このインクジェット記録ヘッド74は、図6(A)に示すように、ノズル10が形成されるノズルプレート21と、ノズル連通室12と共通インク室20とを形成するインクプールプレート22、インクプールプレート23と、共通インク室20の開口部18とノズル連通室12とを形成するスループレート24と、インク供給路16が形成されたインク供給路プレート26と、圧力室14が形成された圧力室プレート28と、を順番に積層し接合して形成される。
ノズルプレート21の表面には、撥水コート膜を被覆すると共に、図6(B)に示すように、エキシマレーザ50によってノズル10を形成し、図6(C)に示すように、ノズル10の形成後に圧力室プレート28に振動板30を接着する。
尚、ノズルプレート21の材質はポリイミドであり、インクプールプレート22、インクプールプレート23、スループレート24、インク供給路プレート26、圧力室プレート28、振動板30の材質はSUSである。
また、これら、ノズルプレート21、インクプールプレート22、インクプールプレート23、スループレート24、インク供給路プレート26、圧力室プレート28、振動板30が接着されたものを、以後、流路プレートユニット52という。
ここで、別途、図6(D)に示すように、電圧が印加される圧電能動部42と、電圧が印加されないダミー部44と、を備えた圧電ユニット54(以下、「PA基板54」という)を作成する。
先ず後述する圧電プレート58と固定基板56とを接着剤を介して接着する。接着には、剥離可能な接着剤、例えば接着後に所定の温度で加熱すると発泡して接着力が大幅に低下する性質を有する熱発泡性接着フィルムを用いる。
圧電プレート58を固定基板56に接着固定後、後述するサンドブラスト加工を用いて、圧電プレート58に一定幅の溝部40を形成することで、図5に示すように、マトリックス状に配列された圧電能動部42とダミー部44とが形成されたPA基板54が作成される。
このPA基板54の固定基板56が接着された逆の面を、流路プレートユニット52の振動板30と接着する(以下、「PA接合」という)。尚、PA接合時の位置合わせは、流路プレートユニット52に予め形成されたマーク(図示せず)と固定基板56に予め開けられたマーカ孔(図示せず)とを位置合わせして行う。
また、圧電プレート58の両面には、図示はしないが、電極層として第1電極層(下面)及び第2電極層(上面)がスパッタリングなどで予め形成されており、共通電極として兼用する振動板30と接着剤で接着することで、第1電極層を介して圧電能動部42と振動板30とが電気的にも接続される。
そして、固定基板56を加熱して熱発泡性接着フィルムの接着力を低減させ、固定基板56を剥離し(図6(E)参照)、図6(F)に示すように、各圧電能動部42毎にボール半田34を形成して、その上に電気基板36を接合する。
尚、前述したように圧電プレート58の上面には、第2電極層が形成されているため、第2電極層を介して圧電能動部42と電気基板36とが電気的に接続される。また、電気基板36と振動板30とは図示しない接点にて接続されている。
最後に図示しないインク供給部材等を取り付けることにより、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド74が完成する。
このようにして完成したインクジェット記録ヘッド74には、インクタンク98(図2参照)からインクが導入され、図3(B)及び図4(B)に示すように、矢印Yに沿って流動し、共通インク室20、インク供給路16、圧力室14、ノズル連通室12に充填される。
ところで、本実施の形態では、圧電プレート58への圧電能動部42とダミー部44との形成、つまり圧電プレート58への一定幅の溝部40の形成に際し、サンドブラスト加工を用いることにより、このような複雑な圧電能動部42とダミー部44の形状の製造を可能にしている。そこで、サンドブラスト加工について以下に説明する。
図7に示すように(なお、ここでは、圧電能動部42及びダミー部44の形状を簡易的に図示している)、まず図示しない圧電材料ブロックにラップ加工を施し、圧電プレート58を作成する。圧電プレート58の厚さは、圧電能動部42に必要な、たわみ変形量や駆動電圧を基に決められる。本実施の形態では35μmとしている。
この圧電プレート58の両面に、第1電極層(下面)及び第2電極層(上面)をスパッタリング等で形成する。尚、本実施の形態では、電極層材料としてクロム、ニッケル、金を用いている。
続いて、熱発泡性接着フィルムを介し、スパッタリング済みの圧電プレート58を固定基板56に仮固定する。この固定基板56には、流路プレートユニット52(図6(D)参照)との接合位置合わせを行うためのマーカ孔(図示せず)が形成されている。
仮固定した圧電プレート58の上に、感光性を有するフィルムレジスト60を貼り付ける。本実施の形態では、厚さ50μmのウレタン系フィルムレジストを使用した。その後、圧電能動部42及びダミー部44にのみ紫外線(UV)が透過するパターンを有する露光マスク62を別途作成し、上記のフィルムレジスト60に貼り付ける。
露光マスク62は、固定基板56のマーカ孔を基準にしてパターニングされている。この露光マスク62を介してフィルムレジスト60で被覆した圧電プレート58へUV照射を行い、その後エッチングを行う。エッチング液には、UV照射された部分を除去せず、かつ、それ以外の部分を確実に除去できる特性を有するもの、例えば、炭酸ナトリウム水溶液を用いる。
以上のプロセスによって、圧電能動部42及びダミー部44にのみフィルムレジスト60が被覆され、それ以外の部分はフィルムレジスト60が除去される。つまり、除去された部分が一定幅の溝部40となる。
続いて、サンドブラスト加工を行う。このサンドブラスト加工では、圧電プレート58のフィルムレジスト60が除去されて露出した部分(溝部40)は確実に研削除去され、かつ、フィルムレジスト60が残った部分(圧電能動部42とダミー部44)には研削が行われないような条件下で行う。
一般にサンドブラスト加工では、ブラスト砥粒が圧電プレート58の側面に対しても衝突する為、圧電プレート58の厚さ方向に対する加工(垂直加工)の進行と平行して、圧電プレート58の幅方向への加工(水平加工)も進行する。この水平加工の加工速度は、圧電プレート58に形成する溝部40の幅に依存する。つまり、溝部40の幅が大きいほど、ブラスト砥粒が圧電プレート58の側面に衝突しやすくなるため、水平加工の加工速度が大きくなる。
しかし、本実施の形態では、溝部40は一定幅であるのでサイドエッチング量が同一となる。このため、圧電能動部42は均一な寸法とすることができ、高精度の加工が可能となる。そしてサンドブラスト加工後、圧電プレート58の表面に残ったフィルムレジスト60を除去し洗浄を施す。
尚、このように上部のフィルムレジスト60を除去し、前述したように固定基板56と逆の面、すなわち、このフィルムレジスト60を除去した面が振動板30に貼りつけられる。
以上の工程により、固定基板56の上に熱発泡性接着フィルムで貼り付けられ、両面に電極層を有する圧電能動部42とダミー部44を有するPA基板54が得られる(図7参照)。
このようにサンドブラスト加工によれば、本実施の形態のような複雑な形状の圧電能動部42及びダミー部44であっても、簡易的かつ短時間で精密に加工を行うことができ、また、そのため低コスト化することができる。
次に、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの作用について説明する。
本発明では、図4(A)、(B)に示すように、圧電能動部42を菱形部42Aと多角部42Bとで構成し、多角部42Bにボール半田34を介して電気基板36を接合し、菱形部42Aを電歪作用によって変形させ、圧力室14内のインクを加圧する駆動部としている。
そして、図5に示すように、圧電能動部42をマトリックス状に配置し、この圧電能動部42が2行×2列で配置された領域の中心部には、圧電能動部42と同一平面上にダミー部44を設け、図4(A)に示すように、ダミー部44の端部(ハッチング部)を圧力室14の上方に位置する(圧力室14内へ突出させる)ようにしている。そして、圧電能動部42とダミー部44との間には、溝部40を設けている。
このように、ダミー部44と圧電能動部42との間に、溝部40を設けることで、ダミー部44は圧電能動部42から完全に独立した状態となっている。このため、ダミー部44は圧電能動部42の電圧の印加による影響を全く受けない。
つまり、図8(A)に示すように、ダミー部44が配置された領域において、振動板30が変位することはなく、圧電能動部42に電圧を印加し圧電能動部42の菱形部42Aを変位させたとき、振動板30が振動したときの振動固定端Pは、ダミー部44の端部となる。
このダミー部44の端部を平面視にて投影したとき圧力室14内へ突出させるようにすることで、圧電能動部42の接合位置が多少ズレたとしても、振動固定端Pは圧力室14内となり、振動板30は常に圧力室14内で変位することとなる。従って、振動板30の変形特性が一定に保たれ、インク吐出特性のバラツキを防止することができる。
また、例えば、図9(A)、(B)に示すように、圧電能動部42の周辺にダミー部44が設けられていない場合、PA基板54の固定基板56と流路プレートユニット52の振動板30とを接着する、PA接合時において、圧電能動部42に応力が集中してしまう。
一方、図10(A)、(B)に示すように、圧電能動部42の周辺にダミー部44を設けることで、PA基板54を振動板30に接合する時、接合時の応力がダミー部44にも分散され、圧電能動部42への応力集中が回避される。このため、圧電能動部42に応力が集中することによる菱形部42Aのクラックや割れのような、インクの吐出特性低下原因の発生を防止することができる。
また、ダミー部44の端部を、平面視にて投影したとき圧力室14内へ突出させるようにすることで、圧力室14内には圧電能動部42の菱形部42Aが配置されることとなる。このため、PA基板54を振動板30に接合する時、接合時の応力はダミー部44で受けることとなり、菱形部42Aには応力が負荷されない。
さらに、圧電能動部42の周囲に溝部40を設けることで、PA接合時に、PA基板54と振動板30との線膨張係数の差を吸収することができる。
また、振動板30の上面にマトリックス状に配置された圧電能動部42を同一形状とすることで、圧電能動部42によって変位する振動板30の変位量を各ノズル10で同一にすることができ、インクの吐出性能を均一化することができる。さらに、ダミー部44の形状を同一とすることで、圧電能動部42を支持する支持条件を各ノズル10で略同一にすることができ、インクの吐出性能をさらに均一化することができる。
ここで、図8(A)、(B)に示すように、ダミー部44の端部の圧力室14への突出量L1を、PA基板54と振動板30とを接合するときのPA基板54の位置ズレ量L2よりも大きくしている。例えば、図11(A)、(B)に示すように、圧電能動部220の中心部と圧力室222の中心部とがズレた場合、振動板224の変形特性が変わってしまう。
しかし、図9(A)、(B)に示すように、ダミー部44の端部の圧力室14への突出量L1を、PA基板54と振動板30とを接合するときの位置ズレ量L2よりも大きくすることで、菱形部42Aの中心部と圧力室14の中心部とがズレたとしても、振動固定端Pは、常に圧力室14内に位置することとなる。
具体的には、圧電能動部42側端面とダミー部44側端面とのクリアランス(溝部40の幅)はインクジェット記録ヘッド74内で全て一定値とすると、クリアランス最適値は、ブラスト加工でクリアランスを作製することを考えると50〜120μmの間である。このため、ダミー部44の端部の圧力室14への突出量L1は、PA接合位置ズレの実績から10〜50μmの間が最適値である。
これにより、圧力室14の中心部に対するPA基板54のズレに起因して不安定だった振動板30の変形特性が、該ズレに左右されない安定した特性となり、振動板30の変位量は一定に保たれる。従って、圧力室14内の体積変化率は一定となり、インク吐出特性のバラツキを防止することができる。
また、上記実施例のインクジェット記録装置70では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ユニット72がそれぞれキャリッジ76に搭載され、それら各色のインクジェット記録ヘッド74から画像データに基づいて選択的にインク滴が吐出されてフルカラーの画像が記録紙Pに記録されるようになっているが、本発明におけるインクジェット記録は、記録紙P上への文字や画像の記録に限定されるものではない。
すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成するなど、工業的に用いられる液滴噴射装置全般に対して、本発明に係るインクジェット記録ヘッド74を適用することができる。
また、上記実施例のインクジェット記録装置70では、主走査機構82と副走査機構94を有するPartial Width Array(PWA)の例で説明したが、本発明におけるインクジェット記録は、これに限定されず、紙幅対応のいわゆるFull Width Array(FWA)であってもよい。むしろ、本発明は、高密度ノズル配列を実現するのに有効なものであるため、1パス印字を必要とするFWAには好適である。
本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドが適用されたインクジェット記録装置を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドが適用されたインクジェット記録ユニット示す斜視図である。 (A)は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの構成を示す斜視図であり、(B)は(A)の部分拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電能動部を示す拡大図であり、(B)は(A)のA−A断面図である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの圧電能動部及びダミー部を示す平面図である。 (A)〜(F)は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造工程を模式的に表す工程図である。 本実施の形態のインクジェット記録ヘッドの圧電プレートへのサンドブラスト加工の工程を模式的に表す工程図である。 (A)、(B)は、図4(A)のB−B断面図であり、振動板の振動固定端を示す説明図である。 (A)、(B)は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの比較例を示す断面図である。 (A)、(B)は、図4(A)のB−B断面図であり、図9に対応する説明図である。 (A)、(B)は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの比較例を示す断面図であり、図8に対応する説明図である。 (A)、(B)は、従来のインクジェット記録ヘッドを示す断面図である(特許文献1)。 従来のインクジェット記録ヘッドを示す、(A)は平面図であり、(B)は断面図である(特許文献2)。
符号の説明
10 ノズル
14 圧力室
30 振動板
40 溝部(隙間)
42 圧電能動部(圧電部材)
44 ダミー部(ダミー圧電部材)
70 インクジェット記録装置
72 インクジェット記録ユニット
74 インクジェット記録ヘッド

Claims (2)

  1. マトリックス状に配置され、液滴を吐出する複数のノズルと、
    前記ノズルと連通し、インクが充填される複数の圧力室と、
    前記圧力室の一部を構成する振動板と、
    前記圧力室に対応しない位置に配置され電気基板と接合される電気パッド部と、前記圧力室に対応する位置に配置され、前記電気パッド部に印加された電圧により変形し前記圧力室内で振動板を変位させる変形部とを有する複数の圧電部材と、
    前記複数の圧電部材の各々の、前記マトリックスの第1の方向における両隣および第1の方向に直交する第2の方向における両隣に、当該圧電部材と隙間を空けて設けられ、互いの形状が同一であると共に、互いに隙間を空けて設けられ、平面視にて投影したときそれぞれの端部が複数の前記圧力室内へ突出する、電圧が印加されない複数のダミー圧電部材と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記圧電部材の形状が同一であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
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