JP4661229B2 - ガンドリル用インサート及びインサート式ガンドリル - Google Patents
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Description
特許文献1に記載のガンドリルは、ホルダにロウ付けされた刃部が、切刃、油穴、切屑排出溝等を備えて構成されており、このようないわゆるロウ付けタイプのガンドリルにあっては、使用により刃部が摩耗した場合には、この刃部が再研磨された後に再び使用に供される。
しかしながら、再研磨にはかなりの熟練を要し、この再研磨の良し悪しによって、ガンドリルの切削性能が大きく左右されていたのが実状であった。
また、特許文献2に記載のインサート式ガンドリルにあっては、切刃自体は従来のロウ付けガンドリルと同様の構成であって、回転軸線に平行なすくい面を有しているだけであり、切削抵抗の低減に関しては何らの配慮もされておらず、結果として、大きな切削抵抗に抗するために上述したような複雑な係合構造とせざるを得なかった。
また、本発明のインサート式ガンドリルは、このような本発明のガンドリル用インサートを、六角平板状を為すインサートが着脱自在に取り付け可能とされると共に、軸線方向に伸延する油穴が形成されたガンドリル用ホルダであって、前記軸線を挟んで前記油穴と反対側の先端部には、先端部から前記軸線に平行に延在して形成されたインサート座面と、このインサート座面から立ち上がり形成され、前記インサートの複数の逃げ面と対向して形成される対向壁面とを備えた前記インサートの取り付け領域が設けられ、この取り付け領域に取り付けられる前記インサートの取り付け位置を調整するための調整機構を備えると共に、前記ホルダの外周には周方向に間隔をおいて、前記軸線に直交する断面において外周面が円弧状を為す複数のガイドパットが、前記軸線方向に延在して設けられているガンドリル用ホルダに、前記切刃を前記ホルダの先端側に突出させると共に、前記ランド部を前記ホルダの外周に向けて着脱可能に取り付けたことを特徴とするものである。
また、円弧状のランド部を形成したので、切刃の外周端で強度低下を招くことがない。
また、本発明のインサート式ガンドリルによれば、切屑を確実に分断して切削抵抗を低減できることにより、簡単な構成でインサートとホルダとを着脱自在とすることができると共に、切刃の確実な保持を行うことができる。
また、調整機構により、インサートの取り付け位置の調整を行うことが可能となる。
更に、インサートにはホルダの外周に向けて円弧状のランド部を設けたので、インサート外周端の強度低下を防止できると共に、インサートの取り付け位置の調整を行っても、前記ランド部が為す円弧の径(直径)を前記加工穴径よりも小さくすることにより、ランド部と被削物との接触を確実に避けることができる。
ここで、図1は本実施形態のインサート式ガンドリル1(以下、単に「ガンドリル1」と言う。)の正面図、図2はガンドリル1の要部拡大図、図3は図2におけるX方向矢視図、図4は図2におけるY方向矢視のインサート5の側面図、及び図5は図2におけるZ方向矢視のインサート5の側面図をそれぞれ示すものである。
図1に示すガンドリル1は、ドライバ2の先端にシャンクが設けられたホルダ3と、このホルダ3の先端に取り付けボルト4により螺着された六角平板状を為すインサート5と、このインサート5の取り付け位置を調整して加工穴径を調整するための調整機構6とを備えている。
また、ホルダ3の外周には、このホルダ3の軸線Lに平行に所定長さのガイドパッド7が、外周方向に間隔をおいて4箇所にロウ付けにより取り付けられている。
また、ホルダ3の先端の軸線Lを挟んで油穴3aと反対側の先端部には、円周方向に約90度に亘って切屑排出溝Gが軸線Lと平行に所定長さ形成されている。
また、ホルダ3の先端には、切屑排出溝Gに連設して、六角平板状のインサート5を載置するためのインサート座面3bが軸線Lに平行に延在して形成されていると共に、インサート座面3bから立ち上がる3箇所の対向壁面3c,3d,3eが形成されている。
また、対向壁面3eは対向壁面3dに対して、インサート座面3bに対向する正面方向から見て約120°の角度をもって形成されている。
これらインサート座面3bと3箇所の対向壁面3c,3d,3eとにより、インサート5の取り付け領域Aが形成される。
なお、本実施の形態では、後述するインサート5の形状に合わせて、対向壁面3c,3d,3eは、インサート座面3bから漸次拡開される傾斜面とされている。
また、図3において、取り付け領域Aに隣接して下穴3gが、対向壁面3cに対して約45°の角度をもって形成されており、この下穴3gは、対向壁面3c及びインサート座面3bの一部を切り欠いてホルダ3の外周からネジ穴3fの手前まで形成されている。
また、この下穴3gを山径とする雌ネジ3hが、ホルダ3の外周側から対向壁面3cの手前まで形成されている。
図2及び図3に示されるように、すくい面5aは、本実施の形態においては、前記六角形の互いに反対側に位置する頂点を結ぶ対角線を挟んでその中点回りに180°回転対称に形成されると共に、この対角線を谷底とするV字状に傾斜して形成されており、これにより、すくい面5aには、比較的大きな正のすくい角が与えられている。
すくい面5a及び逃げ面5bにより形成される交差稜線のうち、前記六角形の対角線を挟む二組の三辺のうち残りの一辺には、円筒研削により、この残りの一辺に直交する断面が加工穴径よりも小さな円弧状とされたランド部5eが形成されている。
また、6箇所の逃げ面5bのそれぞれは、すくい面5aからこのすくい面5aに対向する底面5fにかけて逃げ角が設けられた傾斜面形状とされ、これにより、本実施の形態のインサート5は、ポジティブインサートとされている。
なお、すくい面5aの中心には、インサート5をホルダ3にネジ止めするための取り付け穴5gが穿設されている。
調整部材6aの先端には、図3に示されるように、取り付け状態でインサート5の逃げ面5bの一つに押接可能とされた傾斜状の切り欠き6cが形成されている。
本実施の形態においては、4つのガイドパッド7が、ホルダ3に形成された凹溝に嵌合された上でロウ付けされており、これら4つのガイドパッド7の円弧状を為す外周は、ホルダ3の外周よりも僅かに外方に突出されており、インサート5がホルダ3に位置決めされた状態での加工穴径と略同一径とされている。
これにより、ガイドパッド7は、切削時、加工穴の内面に摺接されてガンドリル1を支持するようにされている。
インサート5は、第1の切刃5cと第2の切刃5dとがホルダ3の先端から突出されると共に、ランド部5eがホルダ3の外周に向けられるようにしてホルダ3に取り付けられ、取り付けボルト4により螺着される。
また、インサート5は、第1の切刃5cと第2の切刃5dとが為す角度の二等分線が、軸線Lとほぼ平行となるようにホルダ3に取り付けられる。
これにより、インサート5は、調整部材6aに押されてホルダ3の径方向外方に移動されて載置位置が調節される。
具体的には、第2の切刃5dの外周端を軸線L回りの回転軌跡において4つのガイドパッド7の外周に一致させて、所望の加工穴径が得られるように調節される。
このバックテーパ角θは、本実施の形態においては、0°30’とされている。
また、図3において、前記対角線に向けて傾斜して形成された第1の切刃5cの谷底側は、ガンドリル1の中心Oよりも底面5f側に位置されるよう、いわゆる先端芯下がりに取り付けられる。
また、本実施の形態のインサート5によれば、円弧状のランド部5eを形成したので、インサート5の外周端の強度低下を防止することができる。
更に、本実施の形態のインサート5によれば、第1の切刃5cと第2の切刃5dとランド部5eとが、前記対角線を挟んでその中点回りに180°回転対称に二組形成されているので、一方の組の切刃が摩耗しても、インサート5のホルダ3への取り付け状態を180°回転させることにより、他方の組の切刃によって切削を行うことができる。
また、本実施の形態のガンドリル1におけるホルダ3によれば、調整機構6を設けることにより、インサート5の取り付け位置を調整して、所望の加工穴径を得ることができる。
従って、ホルダ3にも平坦なインサート座面3bと対向壁面3c乃至3eを形成するだけで良いので、ガンドリル1全体を簡易な構成とすることができる。
また、本実施の形態のガンドリル1によれば、ホルダ3に設けられた調整機構6により、インサート5の取り付け位置を調整して、所望の加工穴径を得ることができる。
また、本実施の形態のガンドリル1によれば、インサート5には、ホルダ3の外周に向けて円弧状のランド部5eを設けたので、インサート5の外周端の強度低下を防止できると共に、インサート5の取り付け位置の調整を行っても、ランド部5eが為す円弧の径(直径)を前記加工穴径よりも小さくすることにより、ランド部5eと被削物との接触を確実に避けることができる。
また、本実施の形態のガンドリル1によれば、インサート5は、バックテーパ角θをもってホルダ3に取り付けられているので、このランド部5eが被削物と接触することを一層確実に防止することができる。
更に、本実施の形態のガンドリル1によれば、インサート5は、いわゆる芯下がりとなるようにホルダ3に取り付けられているので、被削物の中心部分が未加工のまま残されてしまうことはない。
Claims (2)
- 六角平板状のインサートの六角形を為すすくい面と逃げ面との交差稜線に凸V字状の切刃が形成され、ガンドリルのホルダ先端部に着脱自在に取り付けられるガンドリル用インサートであって、
前記インサートのすくい面は、六角形の互いに反対側に位置する頂点を結ぶ1本の対角線を谷底とするV字状に傾斜して形成されており、
前記対角線を挟む二組の前記六角形の三辺のうち少なくとも一方の組の二辺が前記凸V字状の切刃とされ、
前記一方の組の三辺のうち他の一辺には、この他の一辺に直交する断面が円弧状のランド部が形成されたことを特徴とするガンドリル用インサート。 - 請求項1記載のガンドリル用インサートを、
六角平板状を為すインサートが着脱自在に取り付け可能とされると共に、軸線方向に伸延する油穴が形成されたガンドリル用ホルダであって、
前記軸線を挟んで前記油穴と反対側の先端部には、先端部から前記軸線に平行に延在して形成されたインサート座面と、このインサート座面から立ち上がり形成され、前記インサートの複数の逃げ面と対向して形成される対向壁面とを備えた前記インサートの取り付け領域が設けられ、
この取り付け領域に取り付けられる前記インサートの取り付け位置を調整するための調整機構を備えると共に、
前記ホルダの外周には周方向に間隔をおいて、前記軸線に直交する断面において外周面が円弧状を為す複数のガイドパットが、前記軸線方向に延在して設けられているガンドリル用ホルダに、
前記切刃を前記ホルダの先端側に突出させると共に、前記ランド部を前記ホルダの外周に向けて着脱可能に取り付けたことを特徴とするインサート式ガンドリル。
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