JP4653961B2 - コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4653961B2
JP4653961B2 JP2004091612A JP2004091612A JP4653961B2 JP 4653961 B2 JP4653961 B2 JP 4653961B2 JP 2004091612 A JP2004091612 A JP 2004091612A JP 2004091612 A JP2004091612 A JP 2004091612A JP 4653961 B2 JP4653961 B2 JP 4653961B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
group
fine particles
layer
titanium dioxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004091612A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005272267A5 (ja
JP2005272267A (ja
Inventor
謙一 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2004091612A priority Critical patent/JP4653961B2/ja
Publication of JP2005272267A publication Critical patent/JP2005272267A/ja
Publication of JP2005272267A5 publication Critical patent/JP2005272267A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4653961B2 publication Critical patent/JP4653961B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

本発明は、コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法に関する。
近年、液晶表示装置(LCD)は大画面化が進み、反射防止フィルムを配置した液晶表示装置が増大している。
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。そのため、反射防止フィルムには高い物理強度(耐擦傷性など)、透明性、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)が要求される。さらにまた、ディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が反射防止フィルムの表面に付着するのを防止する対策が要求される。
反射防止フィルムに用いる反射防止層(高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層など)としては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層膜が従来から普通に用いられている。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法により形成することが通常に行われてきた。しかし、蒸着による金属酸化物の透明薄膜の形成方法は生産性が低く大量生産に適していないため、生産性が高い塗布により形成する方法が提案されている。
反射防止フィルムを塗布で作製する場合、高屈折率層は、高い屈折率を有する無機微粒子をより微細に分散し、皮膜の中に導入して作製することが好ましい。高い屈折率を有する無機微粒子を微細な分散状態を保ったまま、より多く皮膜中に導入することで、より高い屈折率を有する透明な高屈折率層が形成されることが知られている(例えば、特許文献1〜7)。また、高屈折率層に、極めて高い屈折率を有する二酸化チタン微粒子を導入することが非常に有効であるということが知られている(例えば、特許文献3〜7)。
一方、ディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が反射防止フィルムの表面に付着するのを防止するために、反射防止フィルムに帯電防止層を設けることが知られている。
反射防止フィルムを塗布で作製する場合、帯電防止層には、導電性の無機微粒子(例えば、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)など)を導入することが通常行われている(例えば、特許文献8〜12)。ATOやITOなどは比較的高い屈折率(屈折率1.9〜2.1)を有しており、微細な分散状態を保ったまま、より多く皮膜中に導入することで、比較的高い屈折率を有する透明な高屈折率層が形成されることも知られている(例えば、特許文献2〜5)。
しかしながら、上記のように反射防止フィルムに二酸化チタンを用いた場合、二酸化チタン微粒子は光触媒機能を有しているため、太陽光のもとで長時間使用すると、反射防止フィルムに含有される有機化合物を分解し、物理的強度、光学性能などを著しく悪化させるという不具合を生じる。このような現象は二酸化チタン微粒子が微細な分散状態を保って含有されている、透明性が高い高屈折率層に用いた場合には特に顕著に発生し、反射防止フィルムの透明性、耐候性、耐擦傷性を満足させることは極めて難しい。
一方、さらに高い屈折率を有し、かつ、帯電防止性能を有する高屈折率層を作製するためには、ATOやITO(屈折率1.9〜2.1)よりも高い屈折率を有する導電性の微粒子が求められている。
ところで、液晶表示装置において偏光板は不可欠な光学材料であり、一般に、偏光膜が2枚の保護フィルムによって保護されている構造をしている。偏光板に用いる保護フィルムは、偏光膜と貼り合わせるうえで十分な密着性を有していることが必要である。偏光膜との密着性を改良する手法として、保護フィルムを鹸化処理して保護フィルムの表面を親水化処理することが通常行われている。これらの保護フィルムに反射防止機能を付与することが出来れば、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
特開平8−110401号公報 特開平8−179123号公報 特開平11−153703号公報 特開2001−166104号公報 特開2001−188104号公報 特開2002−116323号公報 特開2002−156508号公報 特開平11−42729号公報 特開平11−326602号公報 特開2002−311208号公報 特開2003−39586号公報 特開2003−292826号公報
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであって、その第一の目的は、導電性及び耐候性に優れた導電性の二酸化チタン微粒子を提供することにある。
さらに、防塵性、耐候性に優れ、更には、耐擦傷性など高い物理強度を有し、透明性、耐薬品性にも優れた高屈折率皮膜、及び該高屈折率皮膜を作製するための組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、防塵性、耐候性に優れ、更には、耐擦傷性など高い物理強度を有し、透明性、耐薬品性にも優れた反射防止膜及び反射防止フィルムを提供することにある。
また、上記諸性能に優れた反射防止膜及び反射防止フィルムを安価で大量に製造できる製造方法を提供することにある。
更にまた、本発明の目的は、適切な手段により反射防止処理がされており、上記諸性能に優れた偏光板、画像表示装置を提供することにある。
上記課題は、下記構成のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、反射防止膜、反射防止フィルム、及びそれらの製造方法、並びに偏光板、画像表示装置により達成される。
(1)コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(2)二酸化チタン微粒子の表面が導電性物質で被覆されていることを特徴とするコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(3)前記導電性物質が、スズ、インジウム、アンチモン、亜鉛から選ばれる少なくとも1つの元素を含有する無機化合物であることを特徴とする上記(2)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(4)前記導電性物質が、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、酸化アンチモン、酸化インジウムから選ばれる少なくとも1種類以上の無機化合物であることを特徴とする上記(3)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(5)前記導電性物質の含有量が、コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜50質量%であることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(6)前記導電性物質の含有量が、コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜30質量%であることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(7)前記導電性物質の含有量が、コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、1.0〜20質量%であることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(8)前記コバルトを、チタンに対して0.05〜30質量%含有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(9)前記コバルトを、チタンに対して0.1〜10質量%含有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(10)前記コバルトが粒子の内部に存在することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(11)アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マンガンから選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(12)前記アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マンガンから選ばれる少なくとも1種類の元素を、チタンに対して0.05〜30質量%含有することを特徴とする上記(11)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(13)前記アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マンガンから選ばれる少なくとも1種類の元素を、チタンに対して0.1〜20質量%含有することを特徴とする上記(11)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(14)前記アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マンガンから選ばれる少なくとも1種類の元素が、粒子の内部に存在することを特徴とする上記(11)〜(13)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(15)光触媒活性を低下又は消失させる少なくとも1種類以上の化合物により被覆されていることを特徴とする上記(1)〜(14)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(16)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物が、コバルト、アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有する無機化合物であることを特徴とする上記(15)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(17)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物が、アルミニウム、及び/又は、ジルコニウムを含有する無機化合物であることを特徴とする上記(15)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(18)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物が下記一般式(1)で表される化合物及び/又はその誘導体であることを特徴とする上記(15)〜(17)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
一般式(1)
(R1)m−Si(OR2)n
(式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基、又は、アリール基を表す。R2は置換、又は、無置換のアルキル基、又は、アシル基を表す。mは0〜3の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。mとnの合計は4である。)
(19)前記一般式(1)で表される化合物のR1の置換基がアシルオキシ基、アシルアミノ基、エポキシ基のいずれかであることを特徴とする上記(18)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(20)前記一般式(1)で表される化合物が3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、又は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はそれらの誘導体であることを特徴とする上記(18)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(21)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物がアニオン性基を有する化合物であることを特徴とする上記(15)〜(20)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(22)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物の該アニオン性基が、カルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基であることを特徴とする上記(21)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(23)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物が架橋又は重合性官能基を有することを特徴とする上記(21)又は(22)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(24)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物が、(メタ)アクリロイル基又はアリル基を有することを特徴とする上記(23)に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(25)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物の含有量が、コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜50質量%であることを特徴とする上記(15)〜(24)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(26)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物の含有量が、コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜30質量%であることを特徴とする上記(15)〜(24)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(27)前記光触媒活性を低下又は消失させる化合物の含有量が、コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、1.0〜20質量%であることを特徴とする上記(15)〜(24)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(28)屈折率が1.80〜2.80であることを特徴とする上記(1)〜(27)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(29)屈折率が1.90〜2.60であることを特徴とする上記(1)〜(27)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(30)粉体抵抗が1×105Ω・cm以下であることを特徴とする上記(1)〜(29)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(31)粉体抵抗が1×103Ω・cm以下であることを特徴とする上記(1)〜(29)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(32)平均粒径が1〜200nmであることを特徴とする上記(1)〜(31)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(33)比表面積が1〜400m2/gであることを特徴とする上記(1)〜(32)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(34)反射防止膜に用いることを特徴とする上記(1)〜(33)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
(35)上記(1)〜(34)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子を含有することを特徴とする高屈折率皮膜。
(36)上記(1)〜(34)のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子が、分散剤を用いて分散されていることを特徴とする上記(35)に記載の高屈折率皮膜。
(37)前記分散剤がアニオン性基を有することを特徴とする上記(36)に記載の高屈折率皮膜。
(38)前記アニオン性基が、カルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基であることを特徴とする(37)に記載の高屈折率皮膜。
(39)前記分散剤が架橋又は重合性の官能基を有することを特徴とする上記(36)〜(38)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(40)前記架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤であることを特徴とする上記(39)に記載の高屈折率皮膜。
(41)前記分散剤の架橋又は重合性官能基が(メタ)アクリロイル基又はアリル基であることを特徴とする上記(39)又は(40)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(42)前記分散剤の質量平均分子量(Mw)が1000以上であることを特徴とする上記(36)〜(41)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(43)前記高屈折率皮膜が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物を含有することを特徴とする上記(35)〜(42)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(44)前記高屈折率皮膜が、前記分散剤と架橋又は重合性の官能基を有する化合物とから形成された硬化物を含有することを特徴とする上記(43)に記載の高屈折率皮膜。
(45)前記高屈折率皮膜が、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成された硬化物を含有することを特徴とする上記(43)又は(44)に記載の高屈折率皮膜。
(46)前記電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成される硬化物を含み、該架橋または重合反応における開始剤が光重合開始剤であることを特徴とする上記(43)〜(45)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(47)光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする上記(46)に記載の高屈折率皮膜。
(48)前記硬化物が有機化合物を含有することを特徴とする上記(43)〜(47)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(49)ハードコート処理されていることを特徴とする上記(35)〜(48)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(50)前記高屈折率皮膜が、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(35)〜(49)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(51)前記高屈折率皮膜が、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(35)〜(49)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(52)前記高屈折率皮膜が、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(35)〜(49)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(53)窒素ガス置換により他の気体を除去すること(窒素パージ)により、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気としたことを特徴とする上記(50)〜(52)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(54)表面抵抗が1×1014Ω/□以下であることを特徴とする上記(35)〜(53)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(55)表面抵抗が1×1012Ω/□以下であることを特徴とする上記(35)〜(53)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(56)屈折率が1.55〜2.40であることを特徴とする上記(35)〜(55)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(57)屈折率が1.70〜2.40であることを特徴とする上記(35)〜(55)のいずれかに記載の高屈折率皮膜。
(58)上記(35)〜(57)のいずれかに記載の高屈折率皮膜を形成するための組成物。
(59)上記(35)〜(57)のいずれかに記載の高屈折率皮膜の製造方法。
(60)上記(35)〜(57)のいずれかに記載の高屈折率皮膜を有する反射防止膜。
(61)前記高屈折率皮膜の上に、架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物を含有する最外層を有することを特徴とする上記(60)に記載の反射防止膜。
(62)前記架橋又は重合性の官能基を有する化合物が、該架橋又は重合性の官能基として熱硬化性の官能基を有することを特徴とする上記(61)に記載の反射防止膜。
(63)前記架橋又は重合性の官能基を有する化合物が、該架橋又は重合性の官能基として電離放射線硬化性の官能基を有することを特徴とする上記(61)に記載の反射防止膜。
(64)前記最外層が含有する硬化物が、有機化合物を含有することを特徴とする上記(61)〜(63)いずれかに記載の反射防止膜。
(65)前記最外層が含フッ素化合物を含有することを特徴とする上記(60)〜(64)のいずれかに記載の反射防止膜。
(66)前記最外層が含有する含フッ素化合物が、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰り返し単位と側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰り返し単位からなる共重合体を含有することを特徴とする上記(65)に記載の反射防止膜。
(67)前記共重合体が下記一般式1で表わされることを特徴とする上記(66)に記載の反射防止膜。
Figure 0004653961
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。
(68)前記共重合体が下記一般式2で表されることを特徴とする上記(66)に記載の反射防止膜。
Figure 0004653961
一般式2中、X、x、yはそれぞれ一般式1と同義である。Bは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。z1およびz2はそれぞれの構成成分のモル%を表し、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。nは2≦n≦10を満たす整数を表す。
(69)一般式2で表される共重合体が、40≦x≦60、30≦y≦60、z2=0を満たすことを特徴とする上記(68)に記載の反射防止膜。
(70)前記最外層が下記一般式(A)で表わされるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体を含有することを特徴とする上記(60)〜(69)のいずれかに記載の反射防止膜。
一般式(A)
Figure 0004653961
一般式(A)中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜20の置換基を表し、それぞれの基が複数ある場合それらは互いに同じであっても異なっていてもよく、R1、R3、R4のうち少なくとも一つの基が架橋又は重合性の官能基を表す。pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、rは0≦r≦500を満たす整数を表し、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
(71)一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体が、架橋又は重合性の官能基として、電離放射線硬化性の官能基を有することを特徴とする上記(70)に記載の反射防止膜。
(72)前記最外層が、前記含フッ素化合物、並びに/又は前記ポリシロキサン化合物及び/若しくはその誘導体と架橋又は重合する化合物を含有することを特徴とする上記(65)〜(71)のいずれかに記載の反射防止膜。
(73)前記最外層の硬化物が、
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物、
前記一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び/若しくはその誘導体並びに/又は、
該架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と架橋又は重合する化合物
から形成される硬化物であることを特徴とする上記(65)〜(72)のいずれかに記載の反射防止膜。
(74)前記最外層に微粒子を含有することを特徴とする上記(60)〜(73)のいずれかに記載の反射防止膜。
(75)前記最外層に含有する微粒子の少なくとも1種類が中空の微粒子であることを特徴とする上記(74)に記載の反射防止膜。
(76)前記最外層に含有する微粒子の平均粒径が該最外層の厚みの20〜100%であることを特徴とする上記(74)又は(75)に記載の反射防止膜。
(77)前記最外層に含有する微粒子が二酸化珪素微粒子であることを特徴とする上記(74)〜(76)のいずれかに記載の反射防止膜。
(78)前記最外層が低屈折率層であることを特徴とする上記(60)〜(77)のいずれかに記載の反射防止膜。
(79)前記最外層が、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(60)〜(78)のいずれかに記載の反射防止膜。
(80)前記最外層が、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(60)〜(78)のいずれかに記載の反射防止膜。
(81)前記最外層が、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(60)〜(78)のいずれかに記載の反射防止膜。
(82)窒素ガス置換により他の気体を除去すること(窒素パージ)により、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気としたことを特徴とする上記(79)〜(81)のいずれかに記載の反射防止膜。
(83)前記高屈折率皮膜の下に、最外層の屈折率と高屈折率皮膜の屈折率の間の屈折率を有する中屈折率皮膜を有することを特徴とする上記(60)〜(82)のいずれかに記載の反射防止膜。
(84)表面抵抗が1×1014Ω/□以下であることを特徴とする上記(60)〜(83)のいずれかに記載の反射防止膜。
(85)表面抵抗が1×1012Ω/□以下であることを特徴とする上記(60)〜(83)のいずれかに記載の反射防止膜。
(86)表面の動摩擦係数が0.25以下であることを特徴とする上記(60)〜(85)のいずれかに記載の反射防止膜。
(87)表面の水に対する接触角が90゜以上であることを特徴とする上記(60)〜(86)のいずれかに記載の反射防止膜。
(88)上記(60)〜(87)のいずれかに記載の反射防止膜の製造方法。
(89)透明支持体上に上記(60)〜(87)のいずれかに記載の反射防止膜を有することを特徴とする反射防止フィルム。
(90)透明支持体上のいずれかの層に、下記一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体を含有することを特徴とする上記(89)に記載の反射防止フィルム。
一般式(a) (R10)s−Si(Z)4-s
一般式(a)中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。sは1〜3の整数を表す。
(91)一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物の誘導体が、酸触媒の存在下で作製されたオルガノシラン化合物誘導体であることを特徴とする上記(90)に記載の反射防止フィルム。
(92)R10で表される基が、架橋又は重合性の官能基を有することを特徴とする上記(90)又は(91)に記載の反射防止フィルム。
(93)R10で表される基が、アシルオキシ基、アシルアミノ基又はエポキシ基のいずれかを有することを特徴とする上記(90)〜(92)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(94)一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体が、下記一般式(b)で表されることを特徴とする上記(90)〜(93)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
一般式(b)
Figure 0004653961
一般式(b)中、R11は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。Yは単結合、エステル基、アミド基、エーテル基、又はウレア基を表す。L1は2価の連結鎖を表す。tは0または1を表す。R10は置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。
(95)前記オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体を含有する層に、オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体と架橋又は重合反応する化合物を含有することを特徴とする上記(90)〜(94)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(96)前記オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体を含有する層が、前記最外層及び/又は前記最外層の隣接層であることを特徴とする上記(90)〜(95)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(97)透明支持体と最外層の間に、平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層を有することを特徴とする上記(89)〜(96)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(98)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子が、1〜400m2/gの比表面積を有することを特徴とする上記(97)に記載の反射防止フィルム。
(99)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子が、分散剤を用いて分散されていることを特徴とする上記(97)又は(98)に記載の反射防止フィルム。
(100)前記分散剤がアニオン性基を有することを特徴とする上記(99)に記載の反射防止フィルム。
(101)前記アニオン性基が、カルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基であることを特徴とする上記(100)に記載の反射防止フィルム。
(102)前記分散剤が、架橋又は重合性の官能基を有することを特徴とする上記(99)〜(101)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(103)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物を含有することを特徴とする上記(97)〜(102)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(104)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層が、分散剤と架橋又は重合性の官能基を有する化合物とから形成された硬化物を含有することを特徴とする上記(97)〜(103)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(105)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層が、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成された硬化物を含有することを特徴とする上記(97)〜(104)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(106)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層の硬化物が有機化合物を含有することを特徴とする上記(97)〜(105)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(107)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層の屈折率が1.45〜2.40であることを特徴とする上記(97)〜(106)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(108)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層の屈折率が1.65〜2.20であることを特徴とする上記(97)〜(106)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(109)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層がハードコート処理されていることを特徴とする上記(97)〜(108)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(110)前記平均粒径1〜200nmの無機微粒子を含有する層が光学干渉層であることを特徴とする上記(97)〜(109)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(111)平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層を有することを特徴とする上記(89)〜(110)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(112)前記平均粒径が0.2〜10μmの粒子の屈折率と、該粒子を含有する層のマトリックスの屈折率との屈折率の差が0.02以上であることを特徴とする上記(111)に記載の反射防止フィルム。
(113)前記平均粒径が0.2〜10μmの粒子の粒径分布を示す下記S値が2.0以下であることを特徴とする上記(111)又は(112)に記載の反射防止フィルム。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%値、
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%値、
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%値。
(114)前記S値が1.0以下であることを特徴とする上記(113)に記載の反射防止フィルム。
(115)前記平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物を含有することを特徴とする上記(111)〜(114)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(116)前記平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層が、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成された硬化物を含有することを特徴とする上記(111)〜(115)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(117)前記平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層の硬化物が、有機化合物を含有することを特徴とする上記(111)〜(116)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(118)前記平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層が、ハードコート処理されていることを特徴とする上記(111)〜(117)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(119)前記平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層が、前記最外層と隣接する層であることを特徴とする上記(111)〜(118)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(120)前記高屈折率皮膜を有する側の表面に凹と凸が形成されており、防眩性を有することを特徴とする上記(89)〜(119)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(121)反射防止フィルムの表面の1mm2の面積当たりに対し、切断面の面積が1000μm2以上の凹が存在しないことを特徴とする上記(120)に記載の反射防止フィルム。
(122)反射防止フィルムの表面の1mm2の面積当たりに対する平均表面粗さ(Ra)が0.01〜1μmであることを特徴とする上記(120)又は(121)に記載の反射防止フィルム。
(123)前記高屈折率皮膜を有する側の表面の凹と凸が、前記平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層により凹と凸が形成された層の上に該最外層を形成することで形成されたことを特徴とする上記(120)〜(122)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(124)透明支持体上のいずれかの層が、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成される硬化物を含有することを特徴とする上記(89)〜(123)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(125)前記透明支持体上のいずれかの層が含有する電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成される硬化物において、該架橋または重合反応における開始剤が光重合開始剤であることを特徴とする上記(124)に記載の反射防止フィルム。
(126)前記透明支持体上のいずれかの層が、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(124)又は(125)に記載の反射防止フィルム。
(127)前記透明支持体上のいずれかの層が、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(124)又は(125)に記載の反射防止フィルム。
(128)前記透明支持体上のいずれかの層が、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気で形成されていることを特徴とする上記(124)又は(125)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(129)窒素ガス置換により他の気体を除去すること(窒素パージ)により、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気としたことを特徴とする上記(126)〜(128)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(130)透明支持体上のいずれかの層が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物を含む塗料の塗布と同時または塗布後に、該架橋又は重合性の官能基を有する化合物を架橋又は重合反応させることにより形成された層であることを特徴とする上記(89)〜(129)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(131)透明支持体上に、前記高屈折率皮膜を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明支持体上の少なくとも一層を主成分がケトン類、芳香族炭化水素類、又はエステル類である溶媒を含む塗料を塗布して形成することを特徴とする上記(89)〜(130)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(132)前記溶媒の主成分がケトン類又はエステル類であることを特徴とする上記(131)に記載の反射防止フィルム。
(133)透明支持体がトリアセチルセルロース、又はポリエステルから形成されることを特徴とする上記(89)〜(132)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(134)上記(89)〜(133)のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
(135)上記(89)〜(133)のいずれかに記載の反射防止フィルムを鹸化処理することで得られる反射防止フィルム。
(136)前記高屈折率皮膜を有する側とは反対側の透明支持体表面の水に対する接触角が40°以下であることを特徴とする上記(135)に記載の反射防止フィルム。
(137)上記(89)〜(133)のいずれかに記載の反射防止フィルムを鹸化処理することで得られる反射防止フィルムの製造方法。
(138)偏光膜と保護フィルムとを有する偏光板であって、上記(89)〜(133)、(135)、(136)のいずれかに記載の反射防止フィルムを保護フィルムの少なくとも一方として用いたことを特徴とする偏光板。
(139)偏光膜と保護フィルムとを有する偏光板であって、上記(89)〜(133)、(135)、(136)のいずれかに記載の反射防止フィルムを偏光膜の2枚の保護フィルムの一方に有し、他方の保護フィルムに光学異方性層を有する光学補償フィルムを有することを特徴とする偏光板。
(140)前記光学補償フィルムが、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性層を有し、該ディスコティック構造単位の円盤面がフィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面とフィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向において変化していることを特徴とする上記(139)に記載の偏光板。
(141)上記(89)〜(133)、(135)、(136)のいずれかに記載の反射防止フィルムが画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
(142)上記(138)〜(140)のいずれかに記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
(143)液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板のうち、表示側の偏光板として上記(138)〜(140)のいずれかに記載の偏光板を有し、且つ、該偏光板の保護フィルムである反射防止フィルムが偏光膜に対し液晶セルとは反対側に配置されている液晶表示装置であることを特徴とする上記(142)に記載の画像表示装置。
(144)画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA又はOCBモードの、透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする上記(141)〜(143)のいずれかに記載の画像表示装置。
本発明の二酸化チタン微粒子は、コバルトを含有し、さらに触媒活性を抑制する化合物(例えば、無機化合物(例えば、導電性物質など)、有機金属化合物、有機化合物、金属 など)により被覆されているので光触媒活性が抑制されるか又は消失し、かつ、優れた耐候性を有する。また、本発明の二酸化チタン微粒子は、帯電防止性能を有し、かつ、高い屈折率を有する。
この二酸化チタン微粒子を含有させた本発明の高屈折率皮膜、該高屈折率皮膜を用いた反射防止膜及び反射防止フィルム、並びに該反射防止フィルムを用いた偏光板、画像表示装置はいずれも、防塵性、耐候性に優れ、更には、耐擦傷性など高い物理強度を有し、透明性、耐薬品性にも優れる。
以下に本発明の詳細を説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルまたはメタクリロイル、及びこれら両者」の意味を表す。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等の記載も同様である。
(導電性の二酸化チタン微粒子)
本発明の導電性の二酸化チタン微粒子は、二酸化チタンの光触媒活性を低下又は消失させるためにコバルト(Co)を含有する。また、より高い屈折率を有することが好ましく、粒子を構成する成分の中で二酸化チタンの含有量が多いことが好ましい。二酸化チタンの含有量は、導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
導電性の二酸化チタン微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が好ましく、特に、ルチル構造の成分が最も多いことが好ましい。
本発明における導電性の二酸化チタン微粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.60であることがさらに好ましく、2.00〜2.60であることがさらに好ましく、2.10〜2.60であることが最も好ましい。
導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は低いほどよく、好ましくは1×105Ω・cm以下、より好ましくは1×104Ω・cm以下、さらに好ましくは1×103Ω・cm以下、特に好ましくは1×102Ω・cm以下である。粉体抵抗は、例えば試料粉体を100kg/cm2の圧力で成形して、圧粉体とし、その直流抵抗を測定して求めることができる。例えば、特開平6−92636号公報に記載されている。
導電性の二酸化チタン微粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。質量平均径は、それぞれの微粒子の最大径の平均値で表し、例えば紡錘状などの場合、各微粒子の長軸径の平均値を質量粒子径とする。
導電性の二酸化チタン微粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。導電性の二酸化チタン微粒子の比表面積は、1〜400m2/gであることが好ましく、10〜200m2/gであることがさらに好ましく、20〜150m2/gであることが最も好ましい。比表面積は、BET法などにより算出することができる。
導電性の二酸化チタン微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは不定形状、紡錘形状である。
導電性の二酸化チタン微粒子に、コバルト(Co)を含有することで、二酸化チタンが有する光触媒活性を低下、又は消失させることができ、本発明の高屈折率皮膜の耐候性を改良することができる。本明細書及び特許請求の範囲において、二酸化チタン微粒子に含有させるコバルトは単体又はその化合物(例えば、1価〜4価のコバルト化合物など)であってよく、化合物の例としては、コバルト酸化物(CoO、CoO2、Co23、Co34など)、コバルト含有複合酸化物(コバルト-チタン複合酸化物(CoTiO3など)、コバルト−アルミニウム複合酸化物など)、コバルト水酸化物、コバルト含水塩、塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト等が挙げられる。
導電性の二酸化チタン微粒子中のチタン(Ti)に対するCoの含有量は、0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜7質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%、最も好ましくは0.5〜4質量%である。
コバルト(Co)は、導電性の二酸化チタン微粒子の内部に存在する。効果的に光触媒活性を低下、又は消失させる点で、導電性の二酸化チタン微粒子の内部と表面の両方に存在することが好ましい。
Coを導電性の二酸化チタン微粒子の内部に存在させる(例えば、ドープする)には、種々の手法がある。例えば、イオン注入法(表面科学,Vol.18,No.5,pp.262-268,1998;青木 康)や、特開平10−330236号公報、特開平11−263620号公報、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ公開特許第0335773号、特開平5−330825号公報、特開2003−327430号公報に記載されている手法と同様の手法で実施できる。
導電性の二酸化チタン微粒子の粒子形成過程において、Coを導入する手法は、例えば、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ公開特許第0335773号、特開平5−330825号公報、特開平10−330236号公報、特開2003−327430号公報、の手法を用いることが好ましく、特に、特開平10−330236号公報、特開2003−327430号公報、の手法を用いることが好ましく、特開2003−327430号公報、の手法が最も好ましい。Coは、酸化物として存在することも好ましい。
導電性の二酸化チタン微粒子には、適宜にさらに他の元素を含むこともできる。他の元素の例には、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、銅(Cu)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、バナジウム(Ba)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、硫黄(S)などが挙げられる。
特に、Coに加えて、Al、Si、Zr、Mg、ZnおよびMnの群から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することで、さらに効果的に光触媒活性を低下、又は消失させることができる。好ましいのは、Coに加えて、さらにAl、Si、Zr、Znから選ばれる元素を含有することであり、さらに好ましいのはAl、Zr、Znから選ばれる元素を含有することであり、最も好ましいのはAlを含有することである。
また、Al、Siから選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することで、導電性の二酸化チタン微粒子の焼結を防止することができる。従って、Coを二酸化チタンに導入する際、焼成温度をより高くしても二酸化チタン微粒子の成長を抑制できる。また、高温度の焼成によるCoに起因した発色性を抑制することもできる。特に、AlとSiの両方の元素を含有することで、より効果的にCoの含有量を高めることができ、また、Coの発色性を制御することができ、好ましい態様である。
Co以外の上記各元素の含有量は任意に設定することができ、チタン(Ti)に対し0.05〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%、である。上記の元素は2種類以上を併用することも好ましい。また、上記各元素は、本発明の導電性の二酸化チタン微粒子の内部、あるいはまた表面に存在する。効果的に光触媒活性を低下、又は消失させる点で、導電性の二酸化チタン微粒子の内部に存在することがより好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。Co以外の上記各元素を導入する手法は、上記Coの導入法と同様の手法を用いることが好ましい。
また、本発明の導電性の二酸化チタン微粒子は、導電性を付与するために亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、セリウム(Ce)を含有することが好ましい。特に、亜鉛を含有する無機化合物、スズを含有する無機化合物、インジウムを含有する無機化合物、アンチモンを含有する無機化合物、セリウム(Ce)を含有する無機化合物、などを含有することが好ましい。アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、酸化錫(SnO2)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(In23)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン(Sb25)がより好ましく、AZO、ATO、SnO2、In23、ITOが最も好ましい。
導電性を付与するための上記各元素の含有量は任意に設定することができ、チタン(Ti)に対し0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1.0〜20質量%である。上記の元素は2種類以上を併用することも好ましい。また、導電性を付与するための上記各元素は、本発明の導電性の二酸化チタン微粒子の内部、あるいはまた表面に存在する。効果的に導電性を付与する点で、導電性の二酸化チタン微粒子の表面に存在することが好ましく、内部と表面の両方に存在することがより好ましい。導電性を付与するための上記各元素を導入する手法は、上記Coの導入法と同様の手法で実施することができる。
本発明の導電性の二酸化チタン微粒子は、さらに光触媒活性を低下又は消失させる化合物(例えば、無機化合物、有機金属化合物、有機化合物、金属など)により被覆(表面処理)されている。表面処理は2種類以上の化合物により実施されていてもよい。
表面処理に用いる無機化合物の例としては、コバルト(Co)を含有する無機化合物(CoO2,Co23,Co34など)、アルミニウム(Al)を含有する無機化合物(Al23,Al(OH)3など)、ジルコニウム(Zr)を含有する無機化合物(ZrO2,Zr(OH)4など)、ケイ素(Si)を含有する無機化合物(SiO2,Si(OH)4など)、鉄(Fe)を含有する無機化合物(Fe23など)、マンガン(Mn)を含有する化合物(MnO2など)、亜鉛(Zn)を含有する無機化合物(ZnO、AZO、など)、スズ(Sn)を含有する無機化合物(SnO2、ATO、FTOなど)、インジウム(In)を含有する無機化合物(In23、IZO、ITOなど)、アンチモン(Sb)を含有する無機化合物(Sb25など)などの酸化物、及び/又は、含水酸化物などが挙げられる。
導電性の二酸化チタン微粒子の光触媒活性を低下又は消失させ、さらに効果的に導電性を付与する点では、特に亜鉛(Zn)を含有する無機化合物、スズ(Sn)を含有する無機化合物、インジウム(In)を含有する無機化合物、アンチモン(Sb)を含有する無機酸化物例えば、上記酸化物、及び/又は、含水酸化物など)を用いる。なかでも、AZO、SnO2、ATO、FTO、In23、ITO、Sb25がより好ましく、AZO、ATO、In23、ITOが最も好ましい。
光触媒活性を低下又は消失させる前記導電性物質の含有量は、導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1.0〜20質量%、特に好ましくは1.0〜15質量%である。
また、さらに導電性の二酸化チタン微粒子の光触媒活性を効果的に低下又は消失させる点で、コバルト(Co)を含有する無機化合物、アルミニウム(Al)を含有する無機化合物、ジルコニウム(Zr)を含有する無機化合物、ケイ素(Si)を含有する無機化合物例えば、酸化物、及び/又は、含水酸化物など)を用いる。なかでも、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)3、Zr(OH)4を用いることがさらに好ましい。特に、アルミニウム(Al)を含有する無機化合物、ジルコニウム(Zr)を含有する無機化合物の両方を用いることが好ましい。
これらの光触媒活性を低下又は消失させる前記化合物の含有量は、上記本発明の導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1.0〜20質量%、特に好ましくは1.0〜15質量%である。
本発明の導電性の二酸化チタン微粒子の表面を上記無機化合物により被覆する手法に関しては、例えば、特公昭40−12166号公報、特公昭47−19514号公報、特開昭56−41603号公報、特開昭56−114215号公報、特開昭56−114218号公報、特開昭56−140028号公報、特開昭56−156604号公報、特開昭57−167357号公報、特開昭61−141616号公報、特開昭61−286221号公報、特開平1−264932、特開平2−137726号公報、特開平3−23221号公報、特開平3−50120号公報、特開平4−154621号公報、特開平6−49387号公報、特開平6−49388号公報、特開平6−279618号公報、などに記載されている。
表面処理に用いる有機金属化合物の例には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及び/又は、それらの誘導体などが挙げられる。特に好ましいのは、下記一般式で表されるシランカップリング剤、及び/又は、その誘導体である。
一般式(1)
(R1)m−Si(OR2)n
一般式(1)式中、R1は置換もしくは無置換のアルキル基もしくはアリール基を表す。R2は置換もしくは無置換のアルキル基もしくはアシル基を表す。mは0〜3の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。mとnの合計は4である。mとして好ましくは0、1、2であり、特に好ましくは1である。
一般式(1)においてR1は置換もしくは無置換のアルキル基もしくはアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
置換基としては特に制限はないが、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アルコキシシリル基(トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、(メタ)アクリロイル等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が好ましい。
これらのうちで更に好ましくは水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基であり、特に好ましくはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイル)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)である。またこれら置換基は更に置換されていても良い。
2は置換もしくは無置換のアルキル基もしくはアシル基を表す。アルキル基、アシル基ならびに置換基の説明はR1と同じである。R2として好ましくは無置換のアルキル基もしくは無置換のアシル基であり、特に好ましくは無置換のアルキル基である。
1もしくはR2が複数存在するとき、複数のR1もしくはR2はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
これらの具体例の中で、(1)、(12)、(18)、(19)等が特に好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製、いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの有機金属化合物の量は、導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜10質量%である。
導電性の二酸化チタン微粒子の表面を上記有機金属化合物により被覆する手法に関しては、例えば、特開平10−324817号公報、特開2001−26423号公報、特開2003−327430号公報、特開2003−335979号公報などに記載されている。
表面処理に用いる有機化合物の例には、シリコーン、レシチン、フッ素化合物、紫外線吸収材、多価アルコール、アミノ酸、脂肪酸、カルボン酸塩、などが挙げられ、特に、フッ素化合物(パーフルオロアルキルリン酸エステルなど)、多価アルコール(アルカノールアミンなど)、カルボン酸塩、脂肪酸(ステアリン酸など)、その他アニオン性基(カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基など)を有する有機化合物、などが好ましい。
ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの有機化合物の表面処理の量は、導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜10質量%である。
導電性の二酸化チタン微粒子の表面を上記有機化合物により被覆する手法に関しては、特開平9−124968号公報、特開2001−106939号公報、特開2003−327430号公報などの手法が挙げられる。
以上に記載した表面処理は、2種類以上を併用することもできる。導電性の無機化合物とアルミニウムを含有する無機化合物、及び/又は、ジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
本発明の導電性の二酸化チタン微粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
上記光触媒活性を低下又は消失させる全化合物の含有量は、本発明の導電性の二酸化チタン微粒子の全質量に対し、0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1.0〜20質量%、特に好ましくは1.0〜15質量%である。
(高屈折率皮膜)
本発明の高屈折率皮膜(以下、高屈折率層と記載する)は、前記コバルト(Co)を含有する導電性の二酸化チタン微粒子を含有することを特徴とする。以下、本発明の高屈折率層について詳述する。
本発明の高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、いわゆる高屈折率層あるいは中屈折率層といわれている層であるが、以下の本明細書では、この層を高屈折率層と総称して呼ぶ。
(分散剤)
本発明の高屈折率層に用いる本発明の導電性の二酸化チタン微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。
分散剤を用いて分散することにより、本発明の導電性の二酸化チタンは極めて微細に分散する事ができ、透明な高屈折率層の作製を可能にする。
本発明の導電性の二酸化チタン微粒子の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。
導電性の二酸化チタン微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
市販の分散剤としては、ホスファノール(PE−510,PE−610,LB−400,EC−6103,RE−410など;東邦化学工業(株)製、いずれも商品名)、Disperbyk(−110,−111,−116,−140,−161,−162,−163,−164,−164,−170,−171など;ビックケミー・ジャパン社製、いずれも商品名)、アジスパー(PA111など;味の素ファインテック(株)製、商品名)などを用いることが好ましい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明の高屈折率層に用いる導電性の二酸化チタン微粒子の分散に用いる分散剤は、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤は、上記アニオン性基を側鎖又は末端に有する。側鎖にアニオン性基を導入する方法としては、例えばアニオン性基含有モノマー(例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、部分エステル化マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、燐酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル等を重合させる方法、水酸基、アミノ基等を有するポリマーに対して酸無水物を作用させる方法等の高分子反応の利用によって合成できる。
側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有重合単位の組成は、全重合単位のうちの10-4〜100モル%の範囲であり、好ましくは1〜50モル%、特に好ましくは5〜20モル%である。
一方、末端にアニオン性基を導入する手法としては、アニオン性基含有連鎖移動剤(例えばチオグリコール酸等)の存在下で重合反応を行なう手法、アニオン性基含有重合開始剤(例えば和光純薬工業製V−501、商品名)を用いて重合反応を行なう手法等によって合成できる。
特に好ましい分散剤は、側鎖にアニオン性基を有する分散剤である。
架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明における好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する重合単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエンおよびポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドの重合単位であって、それに特定の残基(−COORまたは−CONHRのR基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R基)の例としては、-(CH2)n-CR1=CR2R3、-(CH2O)n-CH2CR1=CR2R3、-(CH2CH2O)n-CH2CR1=CR2R3、-(CH2)n-NH-CO-O-CH2CR1=CR2R3、-(CH2)n-O-CO-CR1=CR2R3および-(CH2CH2O)2-X(R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R1とR2またはR3は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。
エステル残基の具体例には、-CH2CH=CH2、-CH2CH2O-CH2CH=CH2、-CH2CH2OCOCH=CH2、-CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、-CH2C(CH3)=CH2、-CH2CH=CH-C6H5、-CH2CH2OCOCH=CH-C6H5、-CH2CH2-NHCOO-CH2CH=CH2および-CH2CH2O-X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基の具体例には、-CH2CH=CH2、-CH2CH2-Y(Yは1−シクロヘキセニル残基)および-CH2CH2-OCO-CH=CH2、-CH2CH2-OCO-C(CH3)=CH2が含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、または重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
側鎖に架橋又は重合性官能基を導入する方法は、例えば特開平3−249653号公報等に記載のごとく架橋又は重合性官能基含有モノマー(例えばアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリアルコキシシリルプロピルメタクリレート等)の共重合、ブタジエンあるいはイソプレンの共重合、3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーの共重合を行なった後に脱塩化水素を行なう方法、高分子反応による架橋又は重合性官能基の導入(例えばカルボキシル基含有ポリマーへのエポキシ基含有ビニルモノマーの高分子反応)等によって合成することができる。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有重合単位以外の全ての重合単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は重合単位のうちの5〜50モル%であり、特に好ましくは5〜30モル%である。
本発明における好ましい分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
本発明における好ましい分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることが好ましく、コストおよび合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
以下に本発明における好ましい分散剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。なお具体例は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、及び、ランダム共重合体の各共重合体において適用できる。
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
分散剤の導電性の二酸化チタン微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
(高屈折率層及びその形成法)
高屈折率層に用いる導電性の二酸化チタン微粒子は、分散物の状態で高屈折率層の形成に使用する。導電性の二酸化チタン微粒子の分散においては、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
導電性の二酸化チタン微粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、ダイノミル、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミル、ダイノミル、および高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
導電性の二酸化チタン微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmであることが好ましい。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
導電性の二酸化チタン微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
本発明に用いる高屈折率層は、上記のようにして分散媒体中に導電性の二酸化チタン微粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層のバインダーは、アニオン性基が導電性の二酸化チタン微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、導電性の二酸化チタン微粒子を含有する高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類、等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S、BP−100、BDMK、CTX、BMS、2−EAQ、ABQ、CPTX、EPD、ITX、QTX、BTC、MCAなど、いずれも商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651、184、500、907、369、1173、2959、4265、4263など、いずれも商品名)、サートマー社製のEsacure(KIP100F、KB1、EB3、BP、X33、KT046、KT37、KIP150、TZT、いずれも商品名)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651、184、907、いずれも商品名)等が挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI、EPA、いずれも商品名)などが挙げられる。
光重合反応は、高屈折率層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
本発明に用いる高屈折率層は、前記一般式(1)で表される化合物、及び/又は、その誘導体化合物を含有することもできる。
これらの具体例の中で、前記一般式(1)の化合物例として記載した(1)、(12)、(18)、(19)等が特に好ましい。
一般式(1)の化合物の含有量は、高屈折率層の全固形分の1〜90質量%が好ましく、より好ましくは2〜80質量%、特に好ましくは5〜50質量%である。
高屈折率層においてバインダーは、さらにシラノール基を有することが好ましい。バインダーがさらにシラノール基を有することで、高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性がさらに改良される。
シラノール基は、例えば架橋又は重合性官能基を有する一般式(1)で表される化合物を上記の高屈折率層形成用の塗布組成物に添加し、塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマー、一般式(1)で表される化合物を架橋反応、又は、重合反応させることによりバインダーに導入することができる。
一般式(1)で表される化合物で特に好ましいのは、架橋又は重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
高屈折率層においてバインダーは、アミノ基または四級アンモニウム基を有することも好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する高屈折率層のバインダーは、例えば架橋又は重合性官能基とアミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーを上記の高屈折率層形成用の塗布組成物に添加し、塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマーと架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布組成物の中で導電性の二酸化チタン微粒子の分散助剤として機能する。さらに、塗布後、分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマーと架橋反応、又は、重合反応させてバインダーとすることで高屈折率層における導電性の二酸化チタン微粒子の良好な分散性を維持し、物理強度、耐薬品性、耐候性に優れた高屈折率層を作製することが出来る。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する好ましいモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアンモニウムクロライドなどがあげられる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーの分散剤に対する使用量は、1〜40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。高屈折率層の塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によってバインダーを形成すれば、高屈折率層の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることができる。
架橋又は重合しているバインダーは、ポリマーの主鎖が架橋又は重合している構造を有する。ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。
ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋又は重合構造を有する。
アニオン性基は、連結基を介してバインダーの側鎖として、主鎖に結合していることが好ましい。
アニオン性基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋又は重合構造は、二つ以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋又は重合構造は、三つ以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋又は重合構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
バインダーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋又は重合構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96モル%であることが好ましく、4〜94モル%であることがさらに好ましく、6〜92モル%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二つ以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋又は重合構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98モル%であることが好ましく、6〜96モル%であることがさらに好ましく、8〜94モル%であることが最も好ましい。
バインダーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋又は重合構造の双方を有していてもよい。バインダーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋又は重合構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、シラノール基、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位が好ましい。
シラノール基を有する繰り返し単位では、シラノール基は、バインダーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。シラノール基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。シラノール基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。バインダーが、シラノール基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、2〜98モル%であることが好ましく、4〜96モル%であることがさらに好ましく、6〜94モル%であることが最も好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、バインダーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。バインダーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.1〜32モル%であることが好ましく、0.5〜30モル%であることがさらに好ましく、1〜28モル%であることが最も好ましい。
なお、シラノール基、及び、アミノ基、四級アンモニウム基は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋又は重合構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
架橋又は重合しているバインダーは、高屈折率層形成用の塗布組成物を透明支持体上に塗布して、塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によって形成することが好ましい。
導電性の二酸化チタン微粒子は高屈折率層の屈折率を制御する効果と共に、硬化収縮を抑える機能がある。
高屈折率層の中において、導電性の二酸化チタン微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmであることが好ましい。高屈折率層中の導電性の二酸化チタン微粒子の質量平均径は、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。
導電性の二酸化チタン微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
高屈折率層における導電性の二酸化チタン微粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。導電性の二酸化チタン微粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.40、さらに好ましくは1.65〜2.40、特に好ましくは1.70〜2.40である。
高屈折率層には、前記の成分(導電性の二酸化チタン微粒子、バインダー、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子などを添加することもできる。
また、高屈折率層は、後述する平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能を付与した防眩層を兼ねることもできる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。高屈折率層がハードコート層を兼ねる場合、0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは1〜7μm、特に好ましくは2〜5μmである。
高屈折率層の形成において、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応は、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。
高屈折率層を酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性、更には、高屈折率層と高屈折率層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
高屈折率層の好ましい塗布溶媒としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
特に好ましい塗布溶媒としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、又は、エステル類であり、最も好ましい溶媒としては、ケトン類である。ケトン類の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
塗布溶媒は、その他の溶媒を含んでいてもよい。例えば、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。
塗布溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗料に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
高屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層の表面抵抗は低いほど、高い防塵効果が得られる。高屈折率層の表面抵抗値は、1×1014Ω/□以下であることが好ましい。より好ましくは1×1012Ω/□以下、更に好ましくは1×1010Ω/□以下、特に好ましくは1×109Ω/□以下、最も好ましくは1×108Ω/□以下である。
このようにして作製した高屈折率層を有する反射防止膜は、高い物理強度(耐擦傷性など)、透明性、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)を有し、さらにまた、表面抵抗が1×1014Ω/□以下の高屈折率層を有する反射防止膜はディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が、反射防止膜の表面に付着するのを防止できる。
本発明の高屈折率層の上に、高屈折率層よりも低い屈折率を有する層を構築することで、反射防止膜を作製できる。
以下、本発明の高屈折率層を有する反射防止膜の各層について詳述する。
(最外層)
高屈折率層の上に、高屈折率層よりも低い屈折率を有する層を構築して反射防止膜を作製する上で、高屈折率層の上の最外層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)、塗布法のどちらで作製してもよいが、低コストで作製できる点で塗布法が好ましい。塗布法で作製する場合、最外層は、架橋又は重合性官能基を有する化合物の硬化物を含有することが好ましい。
最外層に架橋又は重合性官能基を有する化合物の硬化物を含有することで、反射防止膜の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)を改良できる。
架橋又は重合性の官能基としては、特に熱硬化性の官能基と電離放射線硬化性の官能基が好ましい。
最外層の硬化物としては無機化合物(後述するケイ素化合物など)、及び、有機化合物どちらも好ましく用いることが出来るが、特に有機化合物であることが好ましい。中でも電離放射線硬化性の官能基を有する有機化合物が好ましく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の光重合性官能基を有する多官能モノマーが挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基を有する光重合性多官能モノマーを含有する硬化物であることが好ましい。具体例としては、高屈折率層で例示した光重合性多官能モノマーなどが挙げられる。
また、最外層は、反射防止膜の防汚性を改良でき、さらに、屈折率が低い層を作製できる点で含フッ素化合物を含有することが好ましい。
特に、含フッ素化合物を主体とする最外層を構築することが好ましい。含フッ素化合物を主体とする最外層は、低屈折率層、又は、防汚層として機能する。ここで、「含フッ素化合物を主体とする」とは、最外層の中に含まれる最外層の構成成分のうち、含フッ素化合物の質量比が最も大きいことを意味し、含フッ素化合物の含有率が最外層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上含まれることがより好ましい。
最外層の含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物の架橋又は重合反応により形成することが好ましく、該架橋又は重合性の官能基は、熱硬化性の官能基と電離放射線硬化性の官能基であることが好ましい。以下、最外層に好ましく用いられる含フッ素化合物について記載する。
(含フッ素化合物)
最外層に含まれる含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47、さらに好ましくは1.38〜1.45である。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素シラン化合物、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテルなどが挙げられる。
含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの架橋又は重合反応により合成されたものが挙げられる。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例には、フルオロオレフィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが含まれる。
含フッ素ポリマーとしてフッ素原子を含む繰り返し構造単位とフッ素原子を含まない繰り返し構造単位からなる共重合体も用いることができる。
上記共重合体は、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーとフッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることができる。
フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーとしては、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等)、メタクリル酸エステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが挙げられる。
含フッ素シラン化合物としては、パーフルオロアルキル基を含むシラン化合物などが挙げられる。
含フッ素界面活性剤は、疎水性部分を構成する炭化水素の水素原子の一部または全部が、フッ素原子により置換されているもので、その親水性部分はアニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性のいずれであってもよい。
含フッ素エーテルは、一般に潤滑剤として使用されている化合物である。含フッ素エーテルとしては、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
最外層の含フッ素化合物としては、架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーが特に好ましい。架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーは、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物を架橋又は重合させることにより得られる。
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有さない含フッ素化合物に、架橋又は重合性の官能基を側鎖として導入することにより得ることができる。架橋又は重合性の官能基としては、光(好ましくは紫外線照射)、電子ビーム(EB)照射あるいは加熱などにより反応して含フッ素ポリマーが架橋又は重合構造を有するようになる官能基であることが好ましい。架橋又は重合性の官能基としては、(メタ)アクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロールおよび活性メチレン等の基が挙げられる。架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物として、市販品を用いてもよい。
最外層の含フッ素化合物は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体を主成分として含有することが好ましい。該共重合体由来の成分は最外層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。以下に、最外層に用いられるのに好ましい上記共重合体について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業(株)製)やM−2020(商品名、ダイキン工業(株)製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%であり、特に好ましくは30〜50質量%である。
上記共重合体は(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を有する。(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(i)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(ii)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(iii)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(iv)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(v)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(vi)3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(i)または(ii)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位は、上記共重合体中に5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
上記共重合体には、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、透明支持体など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合させることもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、より好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは0〜30モル%である。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
本発明に用いられる含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい形態として、下記一般式1で表されるものが挙げられる。
Figure 0004653961
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖、分岐、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**、*−(CH2)2−NH−**、*−(CH2)4−O−**、*−(CH2)6−O−**、*−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**、*−CONH−(CH2)3−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、透明支持体など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10である。
一般式1で表される共重合体は、ブロック共重合体、グラフト重合体などの規則性のある共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。
さらに上記共重合体の特に好ましい形態として一般式2で表されるものが挙げられる。
Figure 0004653961
一般式2中、X、x、yはそれぞれ一般式1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のモル%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表わす。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式2で表される共重合体としては、40≦x≦60、30≦y≦60、z2=0を満たすものが特に好ましい。
一般式2で表される共重合体は、ブロック共重合体、グラフト重合体などの規則性のある共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。
一般式1又は一般式2で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に、本発明に用いられる含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお具体例は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、及び、ランダム共重合体の各共重合体において適用できる。
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
上記共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行うことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行うことができる。本発明に用いられる一般式1及び一般式2で表される共重合体の合成法は特開2004−045462号公報に詳しく記載されている。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二著「高分子合成方法」改訂版(日刊工業新聞社刊、1971年)や大津隆行・木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、98kPa〜9.8MPa、特に、98kPa〜2.94MPa程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
最外層を作製するのに用いる組成物は、塗料の形態をとることが好ましく、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが0.01〜60質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
最外層は、目的に応じて充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのポリシロキサン化合物等)、オルガノシラン化合物及びその誘導体、バインダー、界面活性剤等の添加剤を含有することができる。特に、充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのポリシロキサン化合物等)を添加することは好ましい。
以下に、最外層に用いる好ましい充填剤、滑り剤等について記載する。
(最外層の好ましい充填剤)
充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)は、最外層の物理強度(耐擦傷性など)を改良する点で、添加することが好ましい。最外層に添加する充填剤としては無機微粒子が好ましく、中でも屈折率が低い二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)などが好ましい。特に好ましいのは二酸化珪素(シリカ)である。
充填剤の一次粒子の質量平均粒径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。最外層において充填剤は、より微細に分散されていることが好ましい。充填剤の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、針状あるいは不定形状であることが好ましい。特に好ましいのは、球形状、不定形状である。充填剤は、結晶質、非晶質のいずれでも良い。
充填剤は、分散液中あるいは塗料中で、分散安定化を図るために、あるいは最外層の構成成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。カップリング剤による表面処理が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシ化合物(例、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。特に、シランカップリング剤処理が有効である。
充填剤の表面処理は、最外層の塗料の調製前にあらかじめ表面処理を実施しておくことが好ましいが、カップリング剤による表面処理の場合、塗料の調製時に塗料中にカップリング剤を添加して実施することも好ましい。
充填剤は、媒体(溶媒など)中に予め分散されていることが好ましい。
充填剤の添加量は、最外層の全質量に対し5〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。少なすぎると物理強度(耐擦傷性など)の改良効果が減り、多すぎると最外層が白濁することがある。
充填剤の平均粒径は、最外層の膜厚に対し20〜100%が好ましく、より好ましくは30〜80%、特に好ましくは30%〜50%である。
最外層に添加する充填剤が二酸化珪素微粒子の場合、中空の二酸化珪素微粒子を用いることが特に好ましい。中空の二酸化珪素微粒子は、屈折率が1.17〜1.45であることが好ましく、より好ましくは1.17〜1.40、さらに好ましくは1.17〜1.37である。ここで、中空の二酸化珪素微粒子の屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空の二酸化珪素微粒子を形成している外殻の二酸化珪素のみの屈折率を表わすものではない。中空の二酸化珪素微粒子を用いることで最外層の屈折率を下げることができる。
この時、粒子内の空洞の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(1)で表される。
数式(1) x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
空隙率xは10〜60%が好ましく、20〜60%がさらに好ましく、30〜60%であることが最も好ましい。
充填剤は、2種類以上を併用して用いることも好ましい。また、平均粒子径が異なる粒子も併用して用いることができる。
(最外層の好ましい滑り剤)
滑り剤は、最外層の物理強度(耐擦傷性など)、防汚性を改良する点で添加することが好ましい。
滑り剤としては、含フッ素エーテル化合物(パーフルオロポリエーテル、及び、その誘導体など)、ポリシロキサン化合物(ジメチルポリシロキサン、及び、その誘導体など)などが挙げられる。ポリシロキサン化合物が好ましい。
ポリシロキサン化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物の末端、及び/又は、側鎖に置換基を有するものが挙げられる。 ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として含む化合物中にはジメチルシリルオキシ単位以外の構造単位(置換基)を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。
好ましい置換基の例としては(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
滑り剤の分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シロキサン化合物のSi原子含有量には特に制限はないが5質量%以上であることが好ましく、10〜60質量%であることが特に好ましく、15〜50質量%であることが最も好ましい。
特に好ましい滑り剤は、下記一般式(A)で表わされる架橋又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及びその誘導体(例えば、一般式(A)で表わされるポリシロキサン化合物の架橋又は重合体、一般式(A)で表わされるポリシロキサン化合物とポリシロキサン化合物以外の架橋又は重合可能な官能基を有する化合物との反応生成物など)である。
一般式(A)
Figure 0004653961
一般式(A)中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜20の置換基を表し、それぞれの基が複数ある場合それらは互いに同じであっても異なっていてもよく、R1、R3、R4のうち少なくとも一つの基が架橋又は重合性の官能基を表す。
pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、rは0≦r≦500を満たす整数を表し、{ }で囲われているポリシロキサン部分はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
最外層は、一般式(A)で表わされる架橋又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体と含フッ素化合物とを含む硬化物を含有することが好ましい。
ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体の含有量は、含フッ素化合物に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体において、好ましい架橋又は重合性の官能基は、最外層の他の構成成分(含フッ素化合物、バインダー、など)と架橋又は重合反応して結合を形成することができる官能基であればよく、例えば、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等)、ラジカル種による架橋または重合が可能な不飽和二重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、アリル基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、酸無水物、イソシアネート基、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
これらの架橋又は重合性官能基は最外層の構成成分に合わせて適宜選択される。好ましくは、電離放射線硬化性の官能基である。
また、一般式(A)の架橋又は重合性の官能基は、含フッ素化合物が有する架橋又は、重合性の官能基と架橋又は重合反応することが好ましく、特に好ましい官能基はカチオン開環重合反応性基(特に、エポキシ基、オキセタニル基など)、ラジカル重合反応性基(特に、(メタ)アクリロイル基)である。
一般式(A)のR2が表す置換基は、炭素数1〜20の置換又は無置換の有機基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基等)、フッ素化アルキル基(トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)または炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、フッ素化アルキル基またはフェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。これらはさらにこれらの基で置換されていてもよい。
一般式(A)のR1、R3、R4が架橋又は重合性の官能基でない場合、上記有機基をとることができる。
pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、好ましくは50≦q≦400であり、特に好ましくは100≦q≦300である。rは0≦r≦500を満たす整数を表わし、好ましくは0≦r≦qであり、特に好ましくは0≦r≦0.5qである。
一般式(A)で表わされる化合物のポリシロキサン構造は、その繰り返し単位(−OSi(R2)2−)が単一の置換基(R2)のみで構成された単独重合体であっても、異なる置換基を有する繰り返し単位の組み合わせによって構成されたランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
一般式(A)で表わされる化合物の質量平均分子量は、103〜106であることが好ましく、より好ましくは5×103〜5×105であり、特に好ましくは104〜105である。
一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物は市販されているもの、例えばKF−100T、X−22−169AS、KF−102、X−22−3701IE、X−22−164B、X−22−164C、X−22−5002、X−22−173B、X−22−174D、X−22−167B、X−22−161AS、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(信越化学工業(株)製、いずれも商品名)、AK−5、AK−30、AK−32(東亜合成化学(株)製、いずれも商品名)、サイラプレーンFM−0275、FM−0721、FM−0725、FM−7725 (チッソ(株)製、いずれも商品名)、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182(Gelest社製、いずれも商品名)等を用いることもできる。また、市販のポリシロキサン化合物が含有する水酸基、アミノ基、メルカプト基等に架橋、又は、重合性官能基を導入することで作製することもできる。
以下に、一般式(A)で表わされる好ましいポリシロキサン化合物の例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
一般式(A)で表わされるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体の添加量は、最外層の全固形分に対し、0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
(最外層及びその形成法)
最外層は、上記含フッ素化合物、さらに必要に応じて、上記充填剤、上記ポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体、その他バインダーなどを溶媒に溶解、又は、分散した塗料を塗布することにより作製することが好ましい。
好ましい溶媒としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
特に好ましい溶媒としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類であり、最も好ましい溶媒としては、ケトン類である。ケトン類の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗料に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
2種類以上の溶剤を併用することもできる。
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物であれば、最外層の塗布と同時または塗布後に、含フッ素化合物を架橋又は重合反応させ、最外層を作製することが好ましい。
含フッ素化合物が、ラジカルで架橋又は重合する官能基を有していれば、ラジカル重合開始剤、特に光ラジカル重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。また、カチオンで架橋又は重合する官能基を有していれば、カチオン重合開始剤、特に光カチオン重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するものが好ましい。特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
熱の作用によりラジカル重合を開始する化合物としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
光の作用によりラジカル重合を開始する化合物を使用する場合は、例えば紫外線など用いる化合物に応じた光の照射によって硬化させ、最外層を作製することができる。
光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
市販の光ラジカル重合開始剤も好ましく用いることができ、高屈折率層で記載した開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤は、最外層に含有される光架橋、又は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
さらには、これらの光重合開始剤と併用して光増感剤も好ましく用いることができ、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
市販の光増感剤も好ましく用いることができ、高屈折率層で記載した増感剤等が挙げられる。
バインダーは、最外層の物理強度(耐擦傷性など)、最外層と隣接する層との密着性を改良する点で、添加することが好ましい。
例えば、含フッ素化合物が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーは含フッ素化合物と架橋又は重合する官能基を有するバインダーであることが好ましい。
特に、含フッ素化合物が、光架橋又は光重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーとして光架橋又は光重合性の官能基を有する多官能モノマーであることが好ましい。光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、高屈折率層で記載したものが挙げられる。多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
最外層の含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と、一般式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び/又はその誘導体、及び/又は、該架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と架橋又は重合するバインダーとから形成される硬化物であることが好ましい。
最外層は、含フッ素化合物、その他最外層の構成成分を溶解あるいは分散させた塗料を、塗布と同時又は塗布後に、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させ、作製することが好ましい。
紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
最外層の作製において、特に最外層を電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成する場合には、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。
最外層を酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で作製することにより、最外層の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性、更には、最外層と最外層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応、又は、重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
最外層を低屈折率層として用いる場合、膜厚は30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜150nm、特に好ましくは60〜120nmである。最外層を防汚層として用いる場合、膜厚は3〜50nmが好ましく、より好ましくは5〜35nm、特に好ましくは7〜25nmである。
最外層は反射防止フィルムの物理強度を改良するために、表面の動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
また、最外層の表面の水に対する接触角は後述する鹸化処理の前後で変わらないことが望ましく、鹸化処理の前後で変化量が10°以内であることが好ましく、特に好ましくは5°以内である。
最外層のヘイズは、低いほど好ましい。3%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
最外層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
最外層には、前記の成分(含フッ素化合物、重合開始剤、光増感剤、充填剤、滑り剤、バインダーなど)以外に、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。
(低屈折率層)
低屈折率層は前記の最外層を兼ねてもよいし、最外層の下層に位置していてもよい。
低屈折率層が前記の最外層を兼ねる場合、最外層について既に述べたことを適用することができる。低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は、ケイ素化合物を含むことが好ましい。
また、低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましい。より好ましくは1.30〜1.50、更に好ましくは1.35〜1.48、特に好ましくは1.37〜1.45である。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は塗布法または気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により作製することができる。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層を塗布で作製する場合、下記一般式(I)で表されるケイ素化合物、及び、その誘導体(加水分解物、および該加水分解物が縮合して生成した架橋ケイ素化合物など)からなる群から選ばれた化合物で作製することが好ましく、特に架橋、又は、重合ケイ素化合物で作製することが好ましい。
一般式(I) (X1)a(Y1)bSi(Z1)4-a-b
一般式(I)中:X1は、炭素数1〜12の有機基(例えばアルキル、アリール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、アルケニル、またはエポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基等)を表す。Y1は、炭素数1〜3の炭化水素基である。Z1は、ハロゲン原子またはアルコキシ基(例えば、OCH3、OC25、OC37等)を表す。aおよびbは、同一または異なってもよく、0〜2の整数である。
特に限定されないが、一般式(I)の具体例として、メチルシリケート、エチルシリケート等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシ又はトリアシルオキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、
フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどのジアルコキシ又はジアシルオキシシラン類などが挙げられる。
特に硬度を必要とする場合には、電離放射線硬化性ケイ素化合物、特に、電離放射線によって架橋又は重合反応する複数の官能基を有する分子量5,000以下のケイ素化合物が好ましい。例えば、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。エポキシ基、(メタ)アクリロイル基を含むケイ素化合物が好ましい。これらのケイ素化合物は単独又は2種類以上組み合わせることができる。
これらのケイ素化合物は各種硬化剤、触媒を用いて硬化することが好ましく、例えば、ルイス酸、ルイス塩基を含む各種酸・塩基、及びこれらから作製される中性又は塩基性塩、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン酸、炭酸の金属塩、特にアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、更にアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムのアルコキシド又はこれらの錯化合物などがあげられる。特に、好ましいのはアルミキレート化合物で、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセテートなどである。
また、低屈折率層には、無機微粒子、例えばLiF、MgF2、SiO2等の微粒子を添加することが好ましく、なかでもSiO2が特に好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
低屈折率層のヘイズは低いほど好ましい。3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(反射防止膜)
本発明において反射防止膜は、物理強度(耐擦傷性など)を改良するために、高屈折層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で高屈折率層を有する側の表面を移動させたときの、高屈折率層を有する側の表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、反射防止膜は、防汚性能を改良するために、高屈折率層を有する側の表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
反射防止膜の最外層の表面抵抗は低いほど、高い防塵効果が得られる。最外層の表面抵抗値は、1×1014Ω/□以下であることが好ましい。より好ましくは1×1012Ω/□以下、更に好ましくは1×1011Ω/□以下、特に好ましくは1×109Ω/□以下、最も好ましくは1×108Ω/□以下である。
このようにして作製した反射防止膜は、高い物理強度(耐擦傷性など)、透明性、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)を有し、さらにまた、最外層の表面抵抗値が1×1014Ω/□以下の反射防止膜はディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が、反射防止膜の表面に付着するのを防止できる。
反射防止膜が防眩機能を持たない場合、ヘイズは低いほど好ましい。
反射防止フィルムが防眩機能を有する場合、ヘイズは、0.5〜50%であることが好ましく、1〜40%であることがさらに好ましく、1〜30%であることが最も好ましい。
反射防止フィルムは、前記反射防止膜を透明支持体上に構築することで作製できる。
以下、反射防止フィルムが有する透明支持体および各層について詳述する。
(透明支持体)
透明支持体としては、プラスチックフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムとしてはセルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましく、特に、液晶表示装置に用いる場合、トリアセチルセルロースであることが好ましい。
透明支持体がトリアセチルセルロースフィルムの場合、トリアセチルセルロースを溶剤に溶解することで調整したトリアセチルセルロースドープを単層流延、複数層共流延の何れかの流延方法により作製したトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
特に、環境保全の観点から、トリアセチルセルロースを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶解することで調整したトリアセチルセルロースドープを用いて作製したトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
本発明に好ましく用いられるトリアセチルセルロースフィルムについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745)に例示されている。
上記の透明支持体の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は1〜300μmがよく、好ましくは30〜150μm、特に好ましくは40〜120μm、最も好ましくは40〜100μmである。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。
透明支持体のヘイズは低い方が好ましい。2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
透明支持体の屈折率は、1.40〜1.70であることが好ましい。
透明支持体には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、透明支持体には、滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれる。
透明支持体に、表面処理を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理とコロナ放電処理が特に好ましい。
(ハードコート層)
反射防止フィルムには、物理強度を付与するためにハードコート層を設けることができる。特に、透明支持体と前記最外層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗料を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋又は重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、高屈折率層で例示したものが挙げられ、光重合開始剤、光増感剤を用いて重合することが好ましい。光重合反応は、ハードコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
ハードコート層は、透明支持体の表面に、ハードコート層形成用の塗料を塗布することで構築することが好ましい。
塗布溶媒としては、高屈折率層で例示したケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類であることが好ましい。特に、ケトン系溶媒を用いることで、例えば、透明支持体(特に、トリアセチルセルロース支持体)の表面とハードコート層との接着性がさらに改良する。
特に好ましい塗布溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
塗布溶媒は、高屈折率層で例示したケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。
塗布溶媒は、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
ハードコート層が電離放射線硬化性の化合物の架橋又は重合反応により作製される場合、架橋又は重合反応は酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、物理強度(耐擦傷性など)や耐薬品性に優れたハードコート層を作製することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜7μm、特に好ましくは3〜5μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層には樹脂、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。また、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御するなどの目的で、後述する一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を添加することができる。
さらには、防眩機能、液晶表示装置の視野角拡大機能を付与する目的で後述する平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有することもできる。
(反射防止フィルムの表面の凹凸)
本発明において反射防止フィルムは、最外層を有する側の表面に凹凸を形成し、防眩性を付与することもできる。
防眩性は表面の平均表面粗さ(Ra)と相関している。表面の凹凸は100cm2の面積の中からランダムに1mm2を取り出し、取り出した表面の1mm2の面積当たりに対し、平均表面粗さ(Ra)が0.01〜1μm以下であり、0.01〜0.4μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μm、さらに好ましくは0.05〜0.25μm、特に好ましくは0.07〜0.2μmである。平均表面粗さ(Ra)に関しては、奈良次郎著、テクノコンパクトシリーズ(6)「表面粗さの測定・評価法」((株)総合技術センター)に記載されている。
また、上記表面の1mm2の面積当たりに対し、切断面の面積が1000μm2以上の凹が存在しないことが好ましい。断面積1000μm2以上の凹が存在すると反射防止フィルムを画素のサイズが小さい画像表示装置の表面に配置したとき、画素中に存在する3原色(赤,緑,青)のいずれかの色が強調されて目に見える故障(ギラツキ故障)を引き起こし、著しく画質を悪化させることがある。特に、断面積800μm2以上の凹が存在しないことが好ましい。
本発明において反射防止フィルムの表面のこのような凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することができる。
表面の凹凸の形成法としては公知の手法が用いられる。本発明では、フィルムの表面に高い圧力で凹凸の形状を有する版を押し当てる(例えば、エンボス加工)ことにより形成する手法、また、後述する反射防止フィルム上のいずれかの層に粒子を含有させて防眩層とし、反射防止フィルムの表面に凹凸を形成する手法が好ましい。特に、後述する平均粒径が0.2〜10μmの粒子をいずれかの層に含有させ、該層表面に凹凸を形成し、該層上に最外層を形成することで最外層の表面に凹凸を形成する手法が好ましい。
エンボス加工により表面に凹凸を形成する方法では、公知の手法が適用できるが、特開2000−329905号公報に記載されている手法により凹凸を形成することが特に好ましい。
(平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層)
反射防止フィルムにおいて、透明支持体と最外層の間に平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層(例えば、防眩層、光拡散層)を構築することが好ましい。ここでいう平均粒径は、二次粒子(粒子が凝集していない場合は一次粒子)の質量平均径である。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子は、反射防止フィルムに防眩機能、液晶表示装置の視野角拡大機能を付与する目的で用いられる。
粒子としては、無機粒子と有機粒子が挙げられる。
無機粒子の具体例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリンおよび硫酸カルシウムなどの粒子が挙げられる。二酸化珪素、酸化アルミニウムが好ましい。
有機粒子としては樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子の具体例としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂から作製される粒子などが挙げられる。好ましくは、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂から作製される粒子であり、特に好ましくはポリメチルメタクリレート樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリスチレン樹脂から作製される粒子である。
反射防止フィルムの最外層を有する側の表面に凹凸を形成し防眩機能を付与するための層(防眩層)、液晶表示装置の視野角拡大機能を付与するために粒子とマトリックスとに屈折率差を設け光を拡散させるための層(光拡散層)に用いる粒子としては、樹脂粒子、二酸化珪素粒子である方が好ましい。
粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜7.0μm、更に好ましくは1.0〜5.0μm、特に好ましくは1.5〜4.0μmである。
粒子の屈折率は1.35〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.40〜1.75、さらに好ましくは1.45〜1.75である。
粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で表され、2.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%値、
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%値、
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%値。
また、粒子の屈折率は特に限定されないが、防眩層の場合、層のマトリックスの屈折率(平均粒径が0.2〜10μmの粒子を除いた層の屈折率)とほぼ同じである(屈折率差で0.005以内)か、0.02以上異なっていることが好ましい。
粒子の屈折率と、層のマトリックスの屈折率をほぼ同じにすることで、反射防止フィルムを画像表示面に装着したときのコントラストが改良される。一方、粒子の屈折率と層のマトリックスの屈折率との間に屈折率の差を付けることで、反射防止フィルムを液晶表示面に装着したときの視認性(ギラツキ故障、液晶表示装置の視野角特性など)が改良される。
粒子の屈折率と層のマトリックスの屈折率との間に屈折率の差を付ける場合、その差は0.03〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4、特に好ましくは0.05〜0.3である。
また、光拡散層の場合、粒子の屈折率は層のマトリックスの屈折率と0.02以上異なっていることが好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層は、透明支持体と最外層の間に構築されていればよく、該層が前記のハードコート層、高屈折率層、最外層、低屈折率層、後述する中屈折率層であってもよい。好ましくはハードコート層、高屈折率層、最も好ましくはハードコート層である。また、平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層は最外層と隣接する層であることが好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子は、平均粒径の異なる粒子を複数組み合わせて使用してもよい。また、異なる材質の粒子を複数組み合わせて使用することも好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層は、有機化合物のバインダーを含有することが好ましい。また、上記高屈折率層、ハードコート層と同様に、バインダーが架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層のヘイズは、3〜80%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜60%、特に好ましくは7〜50%、最も好ましくは10〜40%である。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(平均粒径が1〜200nmの無機微粒子)
反射防止フィルムにおいて、透明支持体と最外層の間に一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層を構築することが好ましい。ここでいう平均粒径は質量平均径である。一次粒子の平均粒径を1〜200nmにすることで透明性を損なわない層を作製できる。
一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子は、層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御するなどの目的で用いられる。
無機微粒子としては、高屈折率層、最外層で例示した無機微粒子(導電性微粒子、充填剤など)に加え、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、酸化錫(SnO2)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(In23)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン(Sb25)などの微粒子が挙げられる。好ましくは、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛である。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子は、平均粒径の異なる粒子を複数組み合わせて使用してもよい。また、異なる材質の粒子を複数組み合わせて使用することも好ましい。
無機微粒子の一次粒子の平均粒径は好ましくは5〜200nmであり、より好ましくは10〜150nm、さらに好ましくは20〜100nm、特に好ましくは20〜50nmである。
層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましく、分散剤を用いて分散されていることが好ましい。層の中における無機微粒子の粒子サイズは、好ましくは平均粒径で5〜300nm、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜150nm、特に好ましくは20〜80nmである。特に、光学干渉層に用いる場合は、200nm以下であることが好ましい。
分散剤および分散方法については、前述の高屈折率層で説明した事項を適用できる。
層における無機微粒子の含有量は、層の全質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。
高い屈折率を有する層(例えば、高屈折率層、中屈折率層など)を作製する場合、前記高屈折率層で記載した手法を用いて高い屈折率を有する無機微粒子(例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛など)を微細に分散して層に含有させて作製することが好ましい。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層として好ましいのは、前記ハードコート層、防眩層、光拡散層、後述する光学干渉層(高屈折率層、中屈折率層など)である。また、平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層は最外層と隣接する層であることが好ましい。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層は、有機化合物のバインダーを含有することが好ましい。また、上記高屈折率層、ハードコート層と同様に、バインダーが架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層の屈折率は、1.45〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.65〜2.20、特に好ましくは1.65〜2.00である。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(反射防止フィルムのその他の層)
より優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製するためは、ハードコート層と低屈折率層の間に、低屈折率層より高い屈折率を有する光学干渉層(例えば、本発明の高屈折率層、及び/又は、中屈折率層)を設けることが好ましい。
高屈折率層、中屈折率層は、本発明の高屈折率層の説明であげた無機微粒子以外の粒子(例えば、上記平均粒径が1〜200nmの無機微粒子など)を皮膜中に微細に分散させて作製することも出来る。分散剤および分散方法については、前記高屈折率層で説明した事項を適用できる。
また、高屈折率層、中屈折率層には、芳香環、及び/又は、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br、I、Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S、N、P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。高屈折率層、中屈折率層の屈折率は、適宜制御することができ、高い屈折率を有する微粒子を含有する場合、皮膜中の微粒子の含有率を制御することで屈折率の調整が可能である。高屈折率層、中屈折率層の膜厚も適宜調整できる。ここで、高屈折率層の方が中屈折率層より屈折率が高いことを意味する。
高屈折率層、中屈折率層の好ましい屈折率と膜厚に関しては、後述する反射防止フィルムの構成において説明する。高屈折率層の屈折率は1.65〜2.40が好ましく、より好ましくは1.70〜2.20、さらに好ましくは1.75〜2.10、特に好ましくは1.80〜2.10である。中屈折率層の屈折率は1.55〜1.80が好ましく、より好ましくは1.60〜1.80、さらに好ましくは1.60〜1.75、特に好ましくは1.60〜1.70である。
高屈折率層、中屈折率層は、有機化合物のバインダーを含有することが好ましい。また、上記高屈折率層、ハードコート層と同様に、バインダーが架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。
高屈折率層、中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
高屈折率層、中屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
反射防止フィルムには、以上に述べた以外の層を設けてもよい。例えば、接着層、シールド層などを設けてもよい。シールド層は電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
(オルガノシラン化合物)
本発明において、反射防止フィルムの各層に特に好ましく用いることができるオルガノシラン化合物について記載する。
皮膜の物理強度(耐擦傷性など)、皮膜と皮膜に隣接する層の密着性を改良する点でオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体を透明支持体上のいずれかの層に添加することが好ましい。
オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体としては、下記一般式(a)で表される化合物及び/又はその誘導体を用いることができる。好ましいのは、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基を含有するオルガノシラン化合物であり、特に好ましいのはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイルなど)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノなど)を含有するオルガノシラン化合物である。
一般式(a) (R10)s−Si(Z)4-s
一般式(a)中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6である。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
sは1〜3の整数を表す。好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはZが複数存在するとき、複数のR10あるいはZはそれぞれ異なっていてもよい。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アルコキシシリル基(トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更にこれらの置換基で置換されていてもよい。
これらのうちで更に好ましくは水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基である。特に、架橋又は重合性の官能基が好ましく、エポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイル)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)が好ましい。またこれら置換基は更に上記の置換基で置換されていてもよい。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物及びその誘導体の中でも、下記一般式(b)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体が好ましい。
一般式(b)
Figure 0004653961
一般式(b)において、R11は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合、*−COO−**、*−CONH−**、*−O−**、又は*−NH−CO−NH−**を表し、単結合、*−COO−**、*−CONH−**が好ましく、単結合、*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。ここで、*は=C(R11)−に結合する位置を、**はL1に結合する位置を表す。
L1は2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
tは0または1を表す。tとして好ましくは0である。
10は一般式(a)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Zは一般式(a)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Zが複数存在するとき、複数のZはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
一般式(a)、一般式(b)の化合物、及びその誘導体は、2種類以上を併用してもよい。
以下に、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
Figure 0004653961
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
本発明において、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の誘導体とは、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物、部分縮合物などを意味する。以下、本発明で用いるオルガノシラン化合物の好ましい誘導体(加水分解物及び/又は部分縮合物)について説明する。
オルガノシラン化合物の加水分解反応及び/又は縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒を塗料あるいは塗料の一部として用いることが好ましく、その他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90%の範囲であり、好ましくは20%〜70%の範囲である。
オルガノシラン化合物の加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明では、一般式R13OH(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R14COCH2COR15(式中、R14は炭素数1〜10のアルキル基、R15は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti及びAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
金属キレート化合物は、一般式R13OH(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R14COCH2COR15(式中、R14は炭素数1〜10のアルキル基、R15は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式Zr(OR13)p1(R14COCHCOR15)p2、Ti(OR13)q1(R14COCHCOR15)q2、およびAl(OR13)r1(R14COCHCOR15)r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR13およびR14は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R15は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1およびr2は、それぞれ、p1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。0.01質量%未満では、オルガノシラン化合物の縮合反応が遅く、塗膜の耐久性が低下するおそれがあり、一方50質量%を超えると、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が低下するおそれがあり好ましくない。
上記オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体(加水分解物、部分縮合物)、さらに必要に応じて添加される金属キレート化合物などを含む組成物に、β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加することが好ましい。
本発明では、一般式R14COCH2COR15で表されるβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物が好ましく用いられ、組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウム及び/又はアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の誘導体(加水分解物、部分縮合物等)などの縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。
β−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物を構成するR14及びR15は、前記金属キレート化合物を構成するR14及びR15と同様である。
このβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
上記オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体の添加量は、添加する層により適宜調整される。添加量は層の全固形分に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。
オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体は、これらを含有する層の他の成分と架橋又は重合反応することが、皮膜の物理強度(耐擦傷性など)を極めて向上させることが可能となるので、好ましい。このため、オルガノシラン化合物が架橋又は重合する官能基を有したり、無機微粒子やバインダーなどにオルガノシラン化合物と架橋又は重合する官能基を有する化合物を用いたりすることが好ましい。
例えば、電離放射線硬化性の架橋又は重合性の官能基を有するオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体は、さらに、皮膜中の電離放射線硬化性の架橋又は重合性の官能基を有する他の化合物と架橋又は重合反応して硬化物を生成する。
オルガノシラン化合物を添加するのに好ましい層は、ハードコート層、防眩層、光拡散層、高屈折率層、低屈折率層、最外層であり、より好ましくは、高屈折率層、防眩層、光拡散層、低屈折率層、最外層であり、特に好ましくは最外層及び/又は該最外層の隣接層である。
(反射防止フィルムの形成法等)
本発明において反射防止フィルムを構成する各層は、塗布法により作製したものが好ましい。塗布で形成する場合、各層はディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2,681,294号明細書記載)により作製することができる。2層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2,761,791号、同2,941,898号、同3,508,947号、同3,526,528号の各明細書および原崎勇次著、「コーティング工学」、253頁、朝倉書店(1973年)に記載がある。ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法が好ましい。特に、マイクログラビアコート法が好ましい。
マイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を支持体に転写させて塗工することを特徴とする塗布法である。
マイクログラビアコート法では、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、より好ましくは100〜300本/インチである。グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、より好ましくは5〜200μmである。グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、より好ましくは5〜200rpmである。支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、より好ましくは1〜50m/分である。
また、反射防止フィルムの各層には、前述した微粒子、重合開始剤、光増感剤の他に、樹脂、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、なども添加することができる。
(反射防止フィルム)
反射防止フィルムは、物理強度(耐擦傷性など)を改良するために、最外層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で最外層を有する側の表面を移動させたときの、最外層を有する側の表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、反射防止フィルムは、防汚性能を改良するために、高屈折率層を有する側の表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
さらに、本発明において反射防止フィルムは、前述の通り、最外層の表面に塵埃(埃など)が付着するのを防止するために、最外層を有する側の表面の表面抵抗値が1×1014Ω/□以下であることが好ましい。
反射防止フィルムが防眩機能を持たない場合、ヘイズは低いほど好ましい。
反射防止フィルムが防眩機能を有する場合、ヘイズは、0.5〜50%であることが好ましく、1〜40%であることがさらに好ましく、1〜30%であることが最も好ましい。
(反射防止フィルムの構成)
反射防止フィルムの好ましい一実施態様について図面を引用しながら説明する。なお、各図の説明において同一の要素には同一の符号を付す。
図1は、優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムの層構成を模式的に示す断面図である。
図1(a)に示す態様は、透明支持体1、ハードコート層2、高屈折率層3、低屈折率層(最外層)4の順序の層構成を有する。透明支持体1と高屈折率層3と低屈折率層4は以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図1(a)のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、高屈折率層が下記数式(1)、低屈折率層が下記数式(2)をそれぞれ満足することがさらに優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
数式(1)(mλ/4)×0.7<n1d1<(mλ/4)×1.3
数式(1)中、mは正の整数(一般に1、2または3)であり、n1は高屈折率層の屈折率であり、そして、d1は高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
数式(2)(nλ/4)×0.7<n2d2<(nλ/4)×1.3
数式(2)中、nは正の奇数(一般に1)であり、n2は低屈折率層の屈折率であり、そして、d2は低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
なお、上記数式(1)および数式(2)を満たすとは、上記各波長の範囲において数式(1)を満たすm(正の整数、一般に1、2または3である)、及び、数式(2)を満たすn(正の奇数、一般に1である)が存在することを意味している。以下、数式(3)〜(8)についても同様である。
図1(b)に示す態様は、透明支持体1、ハードコート層2、中屈折率層5、高屈折率層3、低屈折率層(最外層)4の順序の層構成を有する。透明支持体1、中屈折率層5、高屈折率層3および低屈折率層4は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図1(b)のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(3)、高屈折率層が下記数式(4)、低屈折率層が下記数式(5)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
数式(3)(hλ/4)×0.7<n3d3<(hλ/4)×1.3
数式(3)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
数式(4)(iλ/4)×0.7<n4d4<(iλ/4)×1.3
数式(4)中、iは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4は高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
数式(5)(jλ/4)×0.7<n5d5<(jλ/4)×1.3
数式(5)中、jは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
図1(b)のような層構成では、中屈折率層が下記数式(6)、高屈折率層が下記数式(7)、低屈折率層が下記数式(8)をそれぞれ満足することが、特に好ましい。
ここで、λは500nm、hは1、iは2、jは1である。
数式(6)(hλ/4)×0.80<n3d3<(hλ/4)×1.00
数式(7)(iλ/4)×0.75<n4d4<(iλ/4)×0.95
数式(8)(jλ/4)×0.95<n5d5<(jλ/4)×1.05
なお、ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。また、図1(a)〜(b)では、高屈折率層を光干渉層として用いており、極めて優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる。
ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層に、平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有させて、防眩機能を有する反射防止フィルムを作製することも好ましい。
図2(a)に示す態様は、透明支持体1、防眩層(高屈折率層)6、そして低屈折率層(最外層)4の順序の層構成を有する。防眩層に含まれる粒子7は、平均粒径が0.2〜10μmの粒子である。
図2(a)に示す態様では透明支持体1、低屈折率層4は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図2(b)に示す態様は、透明支持体1、ハードコート層2、防眩層(高屈折率層)6、そして低屈折率層(最外層)4の順序の層構成を有する。防眩層6に含まれる粒子7は、平均粒径が0.2〜10μmの粒子である。
図2(a)〜(b)に示す態様では透明支持体1、防眩層(高屈折率層)6、低屈折率層4は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
防眩層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図2(a)〜(b)のような層構成では、低屈折率層4が下記数式(9)を満足することが優れた反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
数式(9)(kλ/4)×0.7<n6d6<(kλ/4)×1.3
数式(9)中、kは正の奇数(一般に1)であり、n6は低屈折率層の屈折率であり、そして、d6は低屈折率層の層厚(nm)である。また、λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
なお、上記数式(9)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(9)を満たすk(正の奇数、一般に1)が存在することを意味している。
なお、図2(a)〜(b)に示した態様は、高屈折率層にハードコート性を付与する場合に好ましく用いられ、極めて物理強度(耐擦傷性など)に優れた反射防止フィルムを作製できる。
(偏光板用保護フィルム)
反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いることができる。この場合、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。さらに好ましくは30°以下であり、特に好ましくは25°以下である。接触角を40°以下にすることは、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。この接触角は下記の鹸化処理の処理条件により調整することができる。
偏光板用保護フィルムとして用いる反射防止フィルムの透明支持体としては、トリアセチルセルロースフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明における偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、下記2つの手法が挙げられる。
(1)鹸化処理した透明支持体の一方の面に上記の各層(例、ハードコート層、低屈折率層、高屈折率層、最外層など)を塗設する手法。
(2)透明支持体の一方の面に上記の各層(例、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層、最外層など)を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理する手法。
上記(1)の手法において、透明支持体の一方の面のみが鹸化処理されている場合、各層は鹸化処理されていない側に塗設する。透明支持体の両方の面が鹸化処理されている場合、各層を塗設する側の鹸化処理した透明支持体の表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、火焔処理などの手法により表面処理し、その後、各層を塗設することが好ましい。
上記(2)の手法において、反射防止フィルム全体を鹸化液に浸漬することが好ましい。この場合、反射防止フィルムは各層を有する側の表面を保護フィルムで保護して鹸化液に浸せきし、偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面を鹸化処理することもできる。
さらにまた、反射防止フィルムの偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面に鹸化処理液を塗布して、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理することもできる。
鹸化処理は、保護フィルムの上に反射防止性能を付与した後に実施することで、よりコストを削減でき、特に(2)の手法が、偏光板用保護フィルムを安価に製造できる点で好ましい。
偏光板用保護フィルムは、光学性能(反射防止性能、防眩性能、光拡散性能など)、物理性能(耐擦傷性など)、耐薬品性、防汚性能(耐汚染性など)、耐候性(耐湿熱性、耐光性)、防塵性能において、反射防止フィルムで記載した性能を満足することが好ましい。
従って、高屈折率層を有する側の表面の表面抵抗値が1×1014Ω/□以下であることが好ましい。より好ましくは1×1012Ω/□以下、更に好ましくは1×1011Ω/□以下、特に好ましくは1×109Ω/□以下、最も好ましくは1×108Ω/□以下である。
高屈折率層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、高屈折率層を有する側の表面の水に対する接触角は90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
(鹸化処理)
上記の鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に透明支持体、又は、反射防止フィルムを適切な時間浸漬して実施するのが好ましい。
アルカリ液は、水酸化カリウム水溶液、及び/又は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3規定であり、特に好ましくは1〜2規定である。好ましいアルカリ液の液温は30〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは25゜以下である。
(偏光板)
偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方に、反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、上記のように、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。
反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、反射防止フィルムを2枚の保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムをもう一方に用いた偏光板は、さらに、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角を非常に広げることができるので、好ましい。
(光学補償フィルム)
上記光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性層を有し、該ディスコティック化合物とフィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向で変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。すなわち、ディスコティック構造単位を有する化合物の配向状態としては、例えば、ハイブリッド配向、ベント配向、ツイスト配向、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向等であることが好ましく、ハイブリッド配向であることが特に好ましい。該角度は、光学異方性層中で光学補償フィルムの支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
また、光学異方性層が更にセルロースエステルを含んでいる態様、光学異方性層と光学補償フィルムの透明支持体との間に配向層が形成されている態様、該光学異方性層を有する光学補償フィルムの透明支持体が、光学的に負の一軸性を有し、且つ該透明支持体面の法線方向に光軸を有する態様、更に下記の条件を満足する態様も好ましい。
20≦{(nx+ny)/2−nz}×d≦400
式中、nxは面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nyは面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、nzは面に垂直方向の屈折率である。また、dは光学異方性層の厚さ(nm)である。
(画像表示装置)
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。反射防止フィルムは、反射防止フィルムの透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
図3及び図4は反射防止フィルムの画像表示装置に適用する様々な態様を模式的に示す概略断面図である。
図3(a)は、反射防止フィルムを画像表示装置、特に、PDP、ELD、CRTに適用する好ましい態様である。この反射防止フィルムは、透明支持体1を、粘着剤層8を介して画像表示装置の画像表示面に接着することができる。
図3(b)と図4(c)及び(d)は、反射防止フィルムをLCDに適用する好ましい態様である。
図3(b)では、反射防止フィルムの透明支持体1が粘着剤層8を介して偏光膜11の保護フィルム9に接着している。もう一方の偏光膜の保護フィルム10側を粘着剤層8を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。
図4(c)では、反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の透明支持体1が粘着剤層8を介して偏光膜11に接着しており、偏光膜11のもう一方の保護フィルム10側を粘着剤層8を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。
図4(d)では、反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)は透明支持体1が直接偏光膜11に接着しており、偏光膜11のもう一方の保護フィルム10側を粘着剤層8を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。粘着剤層8には、粒子、染料などの添加剤を添加してもよい。
本発明において反射防止フィルム及び偏光板は、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、上記の光学補償フィルムと反射防止フィルムを保護フィルムとして有する偏光板を用いることで、視野角特性と反射防止特性を大幅に改良できる。
また、さらに市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEF(商品名)など)と併せて用いることにより、透過型または半透過型の液晶表示装置において、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによって限定して解釈されるものではない。
参考例1
(ハードコート層用塗布液の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製、商品名)45質量部に、メチルエチルケトン25.7質量部、シクロヘキサノン27.5質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)1.8質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
公知の手法(特開2003−327430号公報の実施例)を参考にして、コバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子を作製し、さらに、公知の手法(特開平6−279618号公報の実施例)を参考にして、二酸化チタン微粒子の表面をアンチモンドープ酸化錫(ATO)で被覆して、導電性の二酸化チタン微粒子(比表面積40m2/g)を作製した。導電性の二酸化チタン微粒子は、Coが二酸化チタン微粒子の内部に存在し、Ti/Coの質量比が96.2/3.8であった。上記導電性の二酸化チタン微粒子は、二酸化チタン微粒子の作製課程で、粒子内に微量のAl(質量比でTi/Al=100/1)を含有している。
コバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子の質量に対するATOの質量比は90/10であった。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、50Ω・cmであった。尚、粉体抵抗(Ω・cm)は、試料粉末を100kg/cm2の圧力で成形して円柱状の圧粉体(直径18mm、厚さ3mm)とし、その直流抵抗を測定して、下記の式によって求めた。
粉体抵抗(Ω・cm)=測定値(Ω)×[2.54(cm2)/0.3(cm)]
(導電性の二酸化チタン微粒子分散液(A)の調製)
上記粒子25.71質量部に、下記分散剤4.11質量部、およびシクロヘキサノン70.18質量部を添加してディスパーで撹拌した。
メディア分散機(直径0.1mmのジルコニアビーズ使用)を用いて上記液中の導電性の二酸化チタン微粒子を分散した。光散乱法で分散液中の導電性の二酸化チタン微粒子の質量平均粒径を評価した結果、70nmであった。このようにして、導電性の二酸化チタン微粒子分散液(A)を作製した。
(分散剤1)
Figure 0004653961
(二酸化チタン微粒子分散液(B)の調製)
コバルト(Co)を含有し、二酸化チタン微粒子の表面がアルミニウム化合物とジルコニウム化合物で被覆された二酸化チタン微粒子(MPT−129C、比表面積40m2/g、石原産業(株)製、商品名)を上記導電性の二酸化チタン微粒子と全く同様に分散して、二酸化チタン微粒子分散液(B)(質量平均粒径70nm)を作製した。MPT−129Cの粉体抵抗は、1×105Ω・cmより高かった。
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン微粒子分散液(B)6.60質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製、商品名)4.53質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)0.24質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製、商品名)0.08質量部、メチルエチルケトン18.64質量部、およびシクロヘキサノン69.91質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用の塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の導電性の二酸化チタン微粒子分散液(A)31.29質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製、商品名)2.67質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)0.22質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製、商品名)0.08質量部、メチルエチルケトン35.08質量部、およびシクロヘキサノン30.66質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(パーフルオロオレフィン共重合体の合成)
Figure 0004653961
ステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40質量部、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7質量部、及び過酸化ジラウロイル0.55質量部を仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25質量部をオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は529.2kPaであった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が313.6kPaに達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。
得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー生成物28質量部を得た。
次に該ポリマー生成物の20質量部をN,N−ジメチルアセトアミド100質量部に溶解、氷冷下で、アクリル酸クロライド11.4質量部を滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加えて水洗し、有機層を抽出後、濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより上記パーフルオロオレフィン共重合体19質量部を得た。得られたパーフルオロオレフィン共重合体の屈折率は1.421であった。
上記パーフルオロオレフィン共重合体をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度30%の溶液を得た。
(低屈折率層用塗布液の調製)
上記パーフルオロオレフィン共重合体の溶液(固形分濃度30%)15.0質量部に、アクリロイル基を有するポリシロキサン化合物(X−22−164C,信越化学工業(株)製、商品名)0.15質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)0.23質量部、及び、メチルエチルケトン81.82質量部、シクロヘキサノン2.8質量部を添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用の塗布液を調製した。
(反射防止フィルムの作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製、商品名)上に、ハードコート層用塗布液を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度20m/分の条件で塗布した。100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度1.0%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ3.5μmのハードコート層を作製した。
上記ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度10m/分の条件で塗布した。100℃で60秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.63、膜厚67nm)を作製した。
上記中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度10m/分の条件で塗布した。100℃で60秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.90、膜厚107nm)を作製した。
上記高屈折率層の上に、低屈折率層用塗布液を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度10m/分の条件で塗布した。
120℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、低屈折率層(最外層)(屈折率1.43、膜厚87nm)を作製した。このようにして長さ1000mの反射防止フィルムを作製した。
[比較例1−A]
(反射防止フィルムの作製)
参考例1で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、コバルト(Co)を含有していない二酸化チタン微粒子(TTO−55N、石原産業(株)製、商品名)を用いた。それ以外は、参考例1と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。なお、TTO−55Nの粉体抵抗は1×105Ω・cmより高かった。
[比較例1−B]
(反射防止フィルムの作製)
参考例1で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、参考例1で作製した導電性の二酸化チタン微粒子の途中生成物である、アンチモンドープ酸化錫(ATO)で表面を被覆する前のコバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例1と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。なお、上記粒子の粉体抵抗は1×105Ω・cmより高かった。
参考例2
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
公知の手法(特開2003−327430号公報の実施例)を参考にして、コバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子を作製し、さらに、公知の手法(特開平6−279618号公報の実施例)を参考にして、二酸化チタン微粒子の表面をスズドープ酸化インジウム(ITO)で被覆して、導電性の二酸化チタン微粒子(比表面積42m2/g)を作製した。上記導電性の二酸化チタン微粒子は、Coが二酸化チタン微粒子の内部に存在し、Ti/Coの質量比が95.1/4.9であった。上記導電性の二酸化チタン微粒子は、二酸化チタン微粒子の作製課程で、粒子内に微量のAl(質量比でTi/Al=100/1)を含有している。
また、コバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子の質量に対するITOの質量比は90/10であった。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、5Ω・cmであった。尚、粉体抵抗は、参考例1と全く同様にして評価した。
(反射防止フィルムの作製)
参考例1で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例1と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.90であった。
参考例3
(反射防止フィルムの作製)
参考例1で作製したハードコート層の上に、参考例1と全く同様にして高屈折率層、及び、低屈折率層(最外層)を作製した。このようにして、反射防止フィルムを作製した。
参考例4
(高屈折率層用塗布液の調製)
参考例1で作製した導電性の二酸化チタン微粒子分散液34.64質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製、商品名)1.67質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)0.22質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製、商品名)0.08質量部、メチルエチルケトン35.13質量部、およびシクロヘキサノン28.26質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(反射防止フィルムの作製)
参考例1で用いた高屈折率層用の塗布液のかわりに、上記高屈折率層用の塗布液を用いた。それ以外は、参考例1と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.91であった。
[比較例1−C]
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、比較例1−Aで用いたコバルト(Co)を含有しない二酸化チタン微粒子(TTO−55N、石原産業(株)製、商品名)を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。
[比較例1−D]
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、比較例1−Bで用いたコバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。
参考例5
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、参考例2で用いた導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.91であった。
参考例6
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
公知の手法(特開2003−327430号公報の実施例)を参考にして、コバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子を作製し、さらに、公知の手法(特開平6−279618号公報の実施例)を参考にして、二酸化チタン微粒子の表面をアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)で被覆して、導電性の二酸化チタン微粒子(比表面積41m2/g)を作製した。上記導電性の二酸化チタン微粒子は、Coが二酸化チタン微粒子の内部に存在し、Ti/Coの質量比が96.5/3.5であった。上記導電性の二酸化チタン微粒子は、二酸化チタン微粒子の作製課程で、粒子内に微量のAl(質量比でTi/Al=100/1)を含有している。
また、コバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子の質量に対するAZOの質量比は90/10であった。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、600Ω・cmであった。尚、粉体抵抗は、参考例1と全く同様にして評価した。
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.91であった。
実施例1−1
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
参考例1で作製した導電性の二酸化チタン微粒子の表面を、さらに、公知の手法(特開平6−49388号公報の実施例)を参考にして、アルミニウム化合物(水酸化アルミニウムと酸化アルミニウムの混合体)、及び、ジルコニウム化合物(水酸化ジルコニウムと酸化ジルコニウムの混合体)で被覆した、導電性の二酸化チタン微粒子(比表面積43m2/g)を作製した。Ti/Al/Zrの質量比は95.5/3.8/0.7であった。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、100Ω・cmであった。
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.89であった。
[比較例1−E]
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、比較例1−Bで用いたコバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子の表面を、実施例1−1と全く同様にして、アルミニウム化合物(水酸化アルミニウムと酸化アルミニウムの混合体)、及び、ジルコニウム化合物(水酸化ジルコニウムと酸化ジルコニウムの混合体)で被覆した、二酸化チタン微粒子を用いた。二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、1×105Ω・cmより高かった。
それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。
実施例1−2
(オルガノシラン化合物A溶液の調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120質量部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製、商品名)100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加えて混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させた。室温まで冷却し、オルガノシラン化合物Aの溶液(固形分濃度29%)を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料の3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランは殆ど残存していなかった。
(高屈折率層用塗布液の調製)
実施例1−1で用いた導電性の二酸化チタン微粒子分散液34.64質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製、商品名)0.84質量部、上記オルガノシラン化合物A溶液2.88質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)0.22質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製、商品名)0.08質量部、メチルエチルケトン33.08質量部、およびシクロヘキサノン28.26質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(反射防止フィルムの作製)
上記の高屈折率層用塗布液を用いた以外は、実施例1−1と全く同様にして、反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.89であった。
実施例1−3
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
参考例1で作製した導電性の二酸化チタン微粒子の表面を、さらに、公知の手法(特開平6−49388号公報の実施例)を参考にして、アルミニウム化合物(水酸化アルミニウムと酸化アルミニウムの混合体)で被覆した、導電性の二酸化チタン微粒子(比表面積42m2/g)を作製した。Ti/Alの質量比は95.5/4.5であった。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、90Ω・cmであった。
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.89であった。
実施例1−4
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
参考例1で作製した導電性の二酸化チタン微粒子の表面を、さらに、公知の手法(特開平6−49388号公報の実施例)を参考にして、ケイ素化合物(二酸化珪素とその水酸化物の混合体)で被覆した、導電性の二酸化チタン微粒子(比表面積45m2/g)を作製した。Ti/Siの質量比は96.0/4.0であった。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、120Ω・cmであった。
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.89であった。
参考例7
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
参考例1で作製した導電性の二酸化チタン微粒子の表面を、公知の手法(特開2001−26423号公報の実施例)を参考にして、シランカップリング剤(KBM−503、信越化学工業(株)製、商品名)で表面処理した。シランカップリング剤は、導電性の二酸化チタン微粒子に対し5質量%使用した。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、60Ω・cmであった。
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.89であった。
参考例8
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
参考例1で作製した導電性の二酸化チタン微粒子の表面を、公知の手法(特開平2001−106939号公報の実施例)を参考にして、ステアリン酸で表面処理した。ステアリン酸は、導電性の二酸化チタン微粒子に対し5質量%使用した。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、100Ω・cmであった。
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.89であった。
参考例9
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
Ti/Coの質量比を92.0/8.0に調整した以外は、参考例1と全く同様にして導電性の二酸化チタン微粒子(比表面積41m2/g)を作製した。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、45Ω・cmであった。
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.90であった。
実施例1−5
(導電性の二酸化チタン微粒子の作製)
参考例9で作製した導電性の二酸化チタン微粒子の表面を、さらに実施例1−1と全く同様にしてアルミニウム化合物(水酸化アルミニウムと酸化アルミニウムの混合体)、及び、ジルコニウム化合物(水酸化ジルコニウムと酸化ジルコニウムの混合体)で被覆した、導電性の二酸化チタン微粒子(比表面積42m2/g)を作製した。導電性の二酸化チタン微粒子の粉体抵抗は、110Ω・cmであった。
(反射防止フィルムの作製)
参考例4で用いた導電性の二酸化チタン微粒子のかわりに、上記導電性の二酸化チタン微粒子を用いた。それ以外は、参考例4と全く同様にして反射防止フィルムを作製した。尚、高屈折率層の屈折率は1.88であった。
(反射防止フィルムの評価)
作製した反射防止フィルム(実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、比較例1−A〜1−E)において、分光光度計(V−550、ARV−474、商品名、日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域における入射角5°の分光反射率を測定し、450〜650nmの波長範囲における平均反射率を求めたところ、すべての反射防止フィルムにおいて平均反射率が1.0%以下であり、ガラス板の平均反射率約4%、トリアセチルセルロースフィルム(TD80U)の平均反射率約4%、よりも極めて低い反射率を示した。
以上で作製した反射防止フィルム(実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、比較例1−A〜1−E)について、以下の項目の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)耐候性の評価
耐候性試験機(スーパーキセノンSX−75、商品名、スガ試験機(株)製)を用いて、温度63℃、相対湿度50%の雰囲気下で、耐候性試験を行った。
露光後の反射防止フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。
反射防止フィルムの高屈折率層を有する側の表面において、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B、商品名)による密着試験を同じ場所で繰り返し2回行なった。塗布膜の剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階で評価した。
◎;100升において剥がれが全く認められなかったもの
○;100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの
△;100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの
×;100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの
(2)表面抵抗の評価
反射防止フィルムにおいて、低屈折率層を塗設する前の高屈折率層の表面と低屈折率層(最外層)を塗設した後の低屈折率層を有する側の表面の表面抵抗を、超絶縁抵抗/微小電流計TR8601((株)アドバンテスト製、商品名)を用いて、25℃、相対湿度60%の条件下で測定した。
(3)防塵性の評価
反射防止フィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(衣服の繊維屑)を振りかけた。クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃の除去性を調べ、下記の4段階で評価した。
◎;塵埃が完全に取り除けたもの
○;塵埃が極めて僅かに残ったもの
△;塵埃が若干残ったもの
×;塵埃がかなり残ったもの
(4)動摩擦係数の評価
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面の滑り性の指標として動摩擦係数を評価した。動摩擦係数は試料を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、動摩擦測定機(HEIDON−14、商品名、新東科学(株)製)で、直径5mmのステンレス剛球を用い、荷重0.98N、速度60cm/分で測定した。
(5)耐擦傷性の評価
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面において、ラビングテスターを用いてスチールウールによる擦りテストを実施した。
こすり材としてスチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNO.0000)を用い、移動距離(片道)13cm、こすり速度13cm/秒、荷重1.96N/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数2往復の条件で実施した。表面についた傷について目視観察して、下記の4段階で評価した。
◎;注意深く見ても、全く傷が見えない。
○;注意深く見ると、僅かに弱い傷が見える。
△;弱い傷が見える。
×;一目見ただけで目立つ傷が見える。
(6)接触角の評価
反射防止フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面における水の接触角を評価した。
(7)防汚性の評価
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面に手の指紋跡を付着させて、それをクリーニングクロスで拭き取った時の状態を観察して、下記の4段階で評価した。
◎:指紋跡が軽く拭く程度で完全に拭き取れたもの
○:指紋跡が強く拭くと完全に拭き取れたもの
△:指紋跡が強く拭いても一部が拭き取れずに残ったもの
×:指紋跡が強く拭いても大部分が拭き取れずに残ったもの
(8)耐薬品性の評価
反射防止フィルムの低屈折率層(最外層)を有する側の表面に油性マジック(ZEBRAマッキー(商品名)、赤)を付着させて、それをクリーニングクロスで拭き取った時の状態を観察して、下記の4段階で評価した。
◎:マジックが軽く拭く程度で完全に拭き取れたもの
○:マジックが強く拭くと完全に拭き取れたもの
△:マジックが強く拭いても一部が拭き取れずに残ったもの
×:マジックが強く拭いても大部分が拭き取れずに残ったもの
Figure 0004653961
表1の結果から明らかなように、導電性を有さない二酸化チタン微粒子を用いた比較例1−A〜1−Eはいずれも、表面抵抗が大きく防塵性に劣るものであった。中でも、コバルトを含有しない比較例1−A及び1−Cは耐候性が非常に悪いものであった。
これに対し、本発明のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子を用いた実施例1−1〜1−5はいずれも、耐候性および防塵性に優れ、耐擦傷性、防汚性、耐薬品性にも優れるものであった。特に、導電性の二酸化チタン微粒子をさらにアルミニウム化合物及びジルコニウム化合物で被覆した実施例1−11−3及び実施例1−5は、400時間経過後においても耐候性に優れるものであった。
また、本発明における反射防止フィルムにおいて、高屈折率層を、窒素パージ(酸素濃度1.5%)、窒素パージ(酸素濃度6.0%)、大気雰囲気(酸素濃度21%)の条件で作製しても全く同様の結果が得られた。
さらにまた、透明支持体のトリアセチルセルロースフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムに変更しても全く同様の結果が得られた。
[実施例2]
参考例1〜9及び実施例1−1〜1−5において、導電性の二酸化チタン微粒子、及び/又は、二酸化チタンの分散剤として、下記分散剤を用い、それ以外は全く同様にして反射防止フィルムを作製して評価した結果、参考例1〜9及び実施例1−1〜1−5と全く同様の結果が得られた。
また、本発明の二酸化チタン微粒子を含有する反射防止フィルムにおいて、高屈折率層を、窒素パージ(酸素濃度1.5%)、窒素パージ(酸素濃度6.0%)、大気雰囲気(酸素濃度21%)条件で作製しても全く同様の結果が得られた。
さらにまた、透明支持体のトリアセチルセルロースフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムに変更しても全く同様の結果が得られた。
また、導電性の二酸化チタン微粒子の分散において分散剤を用いなかった反射防止フィルムは、分散剤を用いた反射防止フィルムと比較し、反射防止フィルムが若干白濁し、反射率が若干高かった。
(分散剤2)
Figure 0004653961
(分散剤3)
CH2=CHCOO-(CH2CH2COO)-H : CH2=CHCOO-(CH2CH2COO)2-H : CH2=CHCOOCH2CH2N(CH3)2
=9:6:1 (質量比)
(分散剤4)
Figure 0004653961
(分散剤5)
Figure 0004653961
(分散剤6)
Figure 0004653961
(分散剤7)
アジスパー PA111 (味の素ファインテクノ(株)製、商品名)
[実施例3−1]
(ハードコート層用塗布液の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製、商品名)55.0質量部に、重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)2.0質量部、オルガノシラン化合物(KBM−5103、信越化学工業(株)製、商品名)5.0質量部、メチルイソブチルケトン30.0質量部、メチルエチルケトン8.0質量部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)のメチルイソブチルケトン分散液(固形分濃度30%)7.4質量部、及び、ポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径1.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)のメチルイソブチルケトン分散液(固形分濃度30%)15.0質量部を添加して撹拌した。
尚、平均粒径3μmの架橋ポリスチレン粒子の前記S値は0.5であり、平均粒径1.5μmの架橋ポリスチレン粒子の前記S値は1.5であった。
孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液を調製した。
(反射防止フィルムの作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製、商品名)上に、ハードコート層用塗布液を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度20m/分の条件で塗布した。100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度1.0%)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ4μmのハードコート層を作製した。
ハードコート層の上に、実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2と全く同様にして、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を作製した。このようにして反射防止フィルムを作製した。
[実施例3−2]
(ハードコート層用塗布液の調製)
酸化ジルコニウム微粒子を含有する透明高屈折率ハードコート材料(デソライトZ7404(商品名)、JSR(株)製;固形分濃度:60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含量:70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径:約20nm、溶剤組成:MIBK/MEK=9/1)60.0質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製、商品名)17.9質量部、オルガノシラン化合物(KBM−5103、信越化学工業(株)製、商品名)5.89質量部、メチルイソブチルケトン12.6質量部、メチルエチルケトン3.61質量部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.0μmの架橋PMMA粒子(屈折率1.49)のメチルイソブチルケトン分散液(固形分濃度30%)7.4質量部、ポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径1.5μmのシリカ粒子(屈折率1.46)のメチルエチルケトン分散液(固形分濃度30%)18.9質量部を添加して撹拌した。
孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液を調製した。
尚、平均粒径3μmの架橋PMMA粒子の前記S値は0.6であり、平均粒径1.5μmのシリカ粒子の前記S値は1.2であった。
(反射防止フィルムの作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製、商品名)上に、ハードコート層用塗布液を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度20m/分の条件で塗布した。100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度1.0%)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ4μmのハードコート層を作製した。
ハードコート層の上に、実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2と全く同様にして、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を作製した。このようにして反射防止フィルムを作製した。
(反射防止フィルムの評価)
実施例3−1、3−2で作製した反射防止フィルムについて、実施例1−1と同様に評価を行った結果、実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2と全く同様の結果が得られた。
また、本発明における反射防止フィルムにおいて、高屈折率層を、窒素パージ(酸素濃度1.5%)、窒素パージ(酸素濃度6.0%)、大気雰囲気(酸素濃度21%)条件で作製しても全く同様の結果が得られた。
さらにまた、透明支持体のトリアセチルセルロースフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムに変更しても全く同様の結果が得られた。
[実施例4−1]
(反射防止フィルムの作製)
実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2、実施例3−1〜3−2で作製した反射防止フィルムにおいて、特開2000−329905号公報に記載されている手法を用いて、エンボス加工を実施し、防眩性を有する反射防止フィルムを作製した。
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて低屈折率層(最外層)を有する側の平均表面粗さ(Ra)を評価したところ0.10であった。
[実施例4−2]
(ハードコート層用塗布液の調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET−30、日本化薬(株)製、商品名)50.0質量部に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名)2.0質量部、オルガノシラン化合物(KBM−5103、信越化学工業(株)製、商品名)10.0質量部、トルエン38.0質量部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)のトルエン分散液(固形分濃度30%)1.7質量部、及び、ポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.55)のトルエン分散液(固形分濃度30%)13.3質量部を添加して撹拌した。
尚、平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子の前記S値は0.4であり、平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.55)の前記S値は0.5であった。
孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩ハードコート層用塗布液を調製した。
(反射防止フィルムの作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製、商品名)上に、防眩ハードコート層用塗布液を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度20m/分の条件で塗布した。100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.5%)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ4μmの防眩性を有するハードコート層を作製した。
ハードコート層の上に、実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2と全く同様にして、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を作製した。このようにして反射防止フィルムを作製した。
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて低屈折率層(最外層)を有する側の平均表面粗さ(Ra)を評価したところ0.14であった。
(反射防止フィルムの評価)
実施例4−1、4−2で作製した反射防止フィルムについて、実施例1−1と同様に評価を行った結果、実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2、実施例3−1〜3−2と全く同様の結果が得られた。さらにまた、外光の映り込み防止性(防眩性)に優れていた。
また、本発明における反射防止フィルムにおいて、高屈折率層を、窒素パージ(酸素濃度1.5%)、窒素パージ(酸素濃度6.0%)、大気雰囲気(酸素濃度21%)条件で作製しても全く同様の結果が得られた。
さらにまた、透明支持体のトリアセチルセルロースフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムに変更しても全く同様の結果が得られた。
[実施例5]
(画像表示装置の評価)
実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2、実施例3−1〜3−2、実施例4−1〜4−2で作製した反射防止フィルムを、画像表示装置(TN、STN、IPS、VA、又はOCBのモードの、透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置、及び、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT))のディスプレイ面に装着した。本発明の二酸化チタン微粒子を含有する反射防止フィルムを用いた画像表示装置は、防塵性、及び、反射防止性能に優れ、極めて視認性が良好であった。また、耐候性、耐擦傷性、透明性、耐薬品性にも優れていた。
また、実施例3−1〜3−2で作製した反射防止フィルムは、ハードコート層中に含まれる0.2μm以上の粒子による透過光の光散乱効果により、特に、液晶表示装置の上下左右の視野角が広く、視認性が優れていた。
また、実施例4−1〜4−2で作製した反射防止フィルムは、外光の映り込み防止性(防眩性)が改良され、視認性が優れていた。さらにまた、実施例4−2で作製した反射防止フィルムは、表面の1mm2の面積当たりに対し、切断面の面積が1000μm2以上の凹は存在せず、画素サイズが100ppi(100ピクセル/インチ:1インチ角に100画素がある)における画像表示装置におけるギラツキ故障の発生も無かった。
[実施例6]
(偏光板用保護フィルムの作製)
1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を50℃に保温した鹸化液を調整した。さらに、0.01Nの希硫酸水溶液を調製した。
実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2、実施例3−1〜3−2、実施例4−1〜4−2で作製した反射防止フィルムにおいて、本発明の高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。
鹸化処理した透明支持体表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄し、100℃で十分に乾燥させた。
反射防止フィルムの高屈折率層を有する側とは反対側の、鹸化処理した透明支持体の表面の水に対する接触角を評価したところ、40度以下であった。このようにして、反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)を作製した。
(偏光板の作製)
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に本発明のチタン微粒子を含有する反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルムを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
さらにまた、鹸化処理の時間を短くして、偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角を41〜45°に調整した偏光板用保護フィルムを同様に作製した。鹸化処理した透明支持体の表面の水に対する接触角が40度以下の場合と比較して、密着性が若干劣っていたものの、実用性は問題なかった。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明のチタン微粒子を含有する偏光板を装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、防塵性、及び、反射防止性能に優れ、極めて視認性が良好であった。また、耐候性、耐擦傷性、透明性、耐薬品性にも優れていた。
また、実施例3−1〜3−2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板は、ハードコート層中に含まれる0.2μm以上の粒子による透過光の光散乱効果により、特に、上下左右の視野角が広く、視認性が優れていた。
また、実施例4−1〜4−2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板は、外光の映り込み防止性(防眩性)が改良され、視認性が優れていた。さらにまた、実施例4−2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板は、表面の1mm2の面積当たりに対し、切断面の面積が1000μm2以上の凹は存在せず、画素サイズが100ppi(100ピクセル/インチ:1インチ角に100画素がある)における画像表示装置におけるギラツキ故障の発生も無かった。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
[実施例7]
(偏光板の作製)
ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、透明支持体からの距離に伴って変化している光学補償層を有する光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA−12B、富士写真フイルム(株)製、商品名)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例6と同様の条件で鹸化処理した。
実施例6で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例6で作製した反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明のチタン微粒子を含有する偏光板を装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、さらに、防塵性、反射防止性、耐候性、耐擦傷性、透明性、防汚性に優れていた。
特に、実施例3−1〜3−2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板は、ハードコート層中に含まれる0.2μm以上の粒子による透過光の光散乱効果により、特に下方向の視野角が顕著に広がり、左右方向の黄色味が改善されていた。
また、実施例4−1〜4−2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板は、外光の映り込み防止性(防眩性)が改良され、視認性が優れていた。さらにまた、実施例4−2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板は、画素サイズが100ppi(100ピクセル/インチ:1インチ角に100画素がある)における画像表示装置におけるギラツキ故障の発生も無かった。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
[実施例8]
(画像表示装置の評価)
実施例1−1〜1−5、参考例1〜9、実施例2、実施例3−1〜3−2、実施例4−1〜4−2で作製した反射防止フィルムを、有機EL表示装置に装着したところ、防塵性、及び、反射防止性能に優れ、極めて視認性が良好であった。また、耐候性、耐擦傷性、透明性、耐薬品性にも優れていた。
また、偏光膜の一方の面に実施例6で作製した反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)、もう一方の面にλ/4板を有する偏光板を実施例6と同様にして作製した。上記の偏光板を有機EL表示装置に装着したところ、偏光板を貼ったガラス表面からの光の反射もカットされ、極めて視認性の高い表示装置が得られた。
また、実施例4−1〜4−2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板は、外光の映り込み防止性(防眩性)が改良され、視認性が優れていた。さらにまた、実施例4−2で作製した反射防止フィルムを有する偏光板は、画素サイズが100ppi(100ピクセル/インチ:1インチ角に100画素がある)における画像表示装置におけるギラツキ故障の発生も無かった。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
図1は、反射防止性能に優れた反射防止フィルムの層構成を模式的に示す概略断面図である。 図2は、防眩性能を有する反射防止フィルムの層構成を模式的に示す概略断面図である。 図3(a)及び(b)はそれぞれ、反射防止フィルムを画像表示装置、及び、液晶表示装置に適用する好ましい一実施態様を模式的に示す概略断面図である。 図4(c)及び(d)はそれぞれ、反射防止フィルムを液晶表示装置に適用する好ましい一実施態様を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
1 透明支持体
2 ハードコート層
3 高屈折率層
4 低屈折率層(最外層)
5 中屈折率層
6 防眩層
7 平均粒径が0.2〜10μmの粒子
8 粘着剤層
9 偏光膜の保護フィルム
10 偏光膜の保護フィルム
11 偏光膜

Claims (11)

  1. 二酸化チタン微粒子の内部にコバルトを含有し、当該二酸化チタン微粒子の表面がスズ、インジウム、アンチモン及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含有する導電性無機化合物で被覆され、さらにコバルト、アルミニウム、ジルコニウム及びケイ素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有する光触媒活性を低下又は消失させる無機化合物により被覆されていることを特徴とするコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
  2. 前記微粒子内部のコバルトを、チタンに対し0.05〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
  3. アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マンガンから選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
  4. 屈折率が1.80〜2.80であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
  5. 粉体抵抗が1×105Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
  6. 平均粒径が1〜200nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のコバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子を含有することを特徴とする高屈折率皮膜形成用組成物。
  8. さらに分散剤を含有することを特徴とする請求項に記載の高屈折率皮膜形成用組成物。
  9. さらに架橋又は重合性の官能基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項7又は8に記載の高屈折率皮膜形成用組成物。
  10. 屈折率が1.55〜2.40である皮膜を形成することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の高屈折率皮膜形成用組成物。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の高屈折率皮膜形成用組成物を硬化してなる高屈折率皮膜。
JP2004091612A 2004-03-26 2004-03-26 コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法 Expired - Lifetime JP4653961B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004091612A JP4653961B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004091612A JP4653961B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005272267A JP2005272267A (ja) 2005-10-06
JP2005272267A5 JP2005272267A5 (ja) 2007-05-17
JP4653961B2 true JP4653961B2 (ja) 2011-03-16

Family

ID=35172319

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004091612A Expired - Lifetime JP4653961B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4653961B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012220556A (ja) * 2011-04-05 2012-11-12 Jsr Corp 反射防止膜、該反射防止膜の高屈折層形成用組成物および屋外設置用ディスプレイ
JP6001041B2 (ja) * 2014-10-03 2016-10-05 富士フイルム株式会社 シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子
JP6013422B2 (ja) * 2014-10-03 2016-10-25 富士フイルム株式会社 シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子
WO2016121263A1 (ja) * 2015-01-29 2016-08-04 富士フイルム株式会社 シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002277609A (ja) * 2001-01-15 2002-09-25 Dainippon Printing Co Ltd 反射防止膜、反射防止フィルム、画像表示装置、及び、それらの製造方法
JP2002275430A (ja) * 2001-01-15 2002-09-25 Dainippon Printing Co Ltd コーティング組成物、及び、その塗膜
JP2003292826A (ja) * 2002-03-29 2003-10-15 Dainippon Printing Co Ltd 複合体、コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、反射防止フィルム、及び、画像表示装置
JP2003327430A (ja) * 2002-03-06 2003-11-19 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd ルチル型二酸化チタン微粒子およびその製造方法
WO2005087884A1 (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Dai Nippon Printing Co., Ltd. コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、及び画像表示装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3305405B2 (ja) * 1993-03-25 2002-07-22 石原産業株式会社 棒状微粒子導電性酸化チタンおよびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002277609A (ja) * 2001-01-15 2002-09-25 Dainippon Printing Co Ltd 反射防止膜、反射防止フィルム、画像表示装置、及び、それらの製造方法
JP2002275430A (ja) * 2001-01-15 2002-09-25 Dainippon Printing Co Ltd コーティング組成物、及び、その塗膜
JP2003327430A (ja) * 2002-03-06 2003-11-19 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd ルチル型二酸化チタン微粒子およびその製造方法
JP2003292826A (ja) * 2002-03-29 2003-10-15 Dainippon Printing Co Ltd 複合体、コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、反射防止フィルム、及び、画像表示装置
WO2005087884A1 (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Dai Nippon Printing Co., Ltd. コーティング組成物、その塗膜、反射防止膜、及び画像表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005272267A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5114438B2 (ja) 光学フィルム、その製造方法、偏光板および画像表示装置
JP4404769B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP4836316B2 (ja) 反射防止膜、偏光板、及び画像表示装置
JP5102958B2 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP2005186568A (ja) 反射防止フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2005196122A (ja) 反射防止フィルム、偏光板用保護フィルム及びそれらの製造方法、並びに偏光板、画像表示装置
JP2006079067A (ja) 反射防止フィルム
JP2006330705A (ja) 光拡散フィルム、反射防止フィルム、並びにそのような光拡散フィルムまたは反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置
JP2011039332A (ja) 光学フィルム、その製造方法、偏光板及び画像表示装置
JP2007133162A (ja) 防眩性フィルム、その製造方法、これを用いた偏光板および画像表示装置
JP4878778B2 (ja) 導電性ハードコートフィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2010061044A (ja) 反射防止フィルム、偏光板および画像表示装置
JP2007034213A (ja) 反射防止フィルム、それを用いた偏光板及びディスプレイ装置
JP4393232B2 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP2005272270A (ja) 導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法
JP4178023B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板用保護フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2009251190A (ja) 光学フィルム、偏光板、画像表示装置
JP2005275391A (ja) 反射防止フィルムおよび製造方法、並びに偏光板およびそれを用いた液晶表示装置
JP2005301245A (ja) 反射防止膜、反射防止フィルム、偏光板およびそれらを用いた液晶表示装置
JP2005275214A (ja) 反射防止膜、反射防止フィルム、及びそれらの製造方法、並びに偏光板、画像表示装置
JP2006154770A (ja) 防眩性反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置
JP2007102206A (ja) 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板およびそれらを用いた画像表示装置
JP4653961B2 (ja) コバルトを含有する導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法
JP2006075698A (ja) 光学機能フィルムの製造方法、光学機能フィルム、偏光板用保護フィルム及び偏光板、画像表示装置
JP2006206775A (ja) 光拡散層用塗布組成物、反射防止フィルム及びその製造方法、並びに反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070326

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091029

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4653961

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250