JP4652191B2 - 複数音源の分離方法 - Google Patents
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Description
しかし、マイクロフォン数が2個では音波の到来方向θsを精度よく測定することは困難であるため、実際には、図11(b)に示すように、多数のマイクロフォンM1〜Mmを等間隔に配置したマイクロフォンアレーを構築し、基準となるマイクロフォンM1に対する各マイクロフォンMi(i=2〜m)の位相差δm1から音波の到来方向θsを求めるようにしている。具体的には、各マイクロフォンM1〜Mmの後段にそれぞれ遅延器D1〜Dmを設けるとともに、上記遅延器D1〜Dmの出力を加算する加算器Σを設けて遅延和アレーを構成する。これにより、上記各マイクロフォンM1〜Mmの出力信号に、上記M1〜Mmの幾何学的配置から求めた時間差をそれぞれ遅延して与えると、仮定した方向θsからの音波の成分はすべて同期化されるが、仮定した方向以外の方向の成分はキャンセルされて小さくなるので、上記遅延された信号を加算処理することにより、音波の到来方向θsを求めることができる。この時間差による遅延和アレー処理を用いて、ある方向から到来する音の成分を強調して取出す方法は、一般に、ビームフォーマ法(または、ビームフォーカシング法)と呼ばれている(例えば、非特許文献1参照)。
すなわち、図12に示すように、4個のマイクロフォンM1〜M4を、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成するように配置するとともに、第5のマイクロフォンM5を上記マイクロフォンM1〜M4の作る平面上にない位置に配置して、更に4組のマイクロフォン対(M5, M1)〜(M5, M4)を構成した場合、音の入射方向である水平角θと仰角φとは以下の式(1)及び式(2)で表わせる。
なお、上記式(1),(2)は、マイクロフォン間の距離を半波長とする周波数以下の平面波で成立する。また、対象となる音源位置が測定点とほぼ同一平面上にあり、仰角φを必要としない場合には、2組のマイクロフォン対(M1,M3)及び(M2,M4)のみで音源の方向である水平角θを推定することができる。
大賀寿郎,山崎芳男,金田豊;音響システムとディジタル処理,コロナ社,1995 上明戸昇,野上英和,山下恭弘,財満健史,大脇雅直,杉山武,和田浩之;音情報と画像を組込んだ音源探査システムの開発,日本建築学会計画系論文集,第553号,pp17-22,2002.3 大脇雅直,財満健史,和田浩之,山下恭弘;画像に音情報を組込んだ音源探査システムの開発,電力土木、No.308,pp100-104,2003.11
例えば、上記ビームフォーマ法では、音波の到来方向(メインローブ)以外に、一定の方向にサイドローブと呼ばれている弱い指向性が現れることから、音源が多数ある場合には、到来方向の精度が低下してしまっていた。そこで、この他方向からの出力の寄与を最小にするため、目的音の大きさを変化させずに、雑音を最小化するため、各マイクロフォンに重み付けをして、到来方向のパワーの推定値の分散が最小になるようなθを求めることにより、音の到来方向を求める方法(最小分散法)も提案されている(例えば、田中雅史,金田豊,小島順治;音源方向の推定法の室内残響下での性能評価,日本音響学会誌50巻7号,pp540-548,1994 参照)。しかしながら、この場合にも、実音源における直接音と反射音のように、物理的に相関の高い音を対象とした場合には、十分な測定精度を得ることができなかった。
複数のマイクロフォンで観測した観測音の、各マイクロフォン間の位相差をそれぞれ検出する第1のステップと、
基準となるマイクロフォンに入力する観測音に対応する複素ベクトルを、大きさが観測音の大きさを表わしその位相角が0°である基準音ベクトルで表わしたとき、各音源から上記基準マイクロフォンに入力する音に対応する音ベクトルが、それぞれ、その大きさが各音源から到来する音の大きさを表わし、その位相角が上記観測音に対する位相差を表わす複素ベクトルであり、かつ、上記各音源の音ベクトルの和が上記基準音ベクトルになるように上記各音源の音ベクトルを設定する第2のステップと、
上記基準となるマイクロフォン以外の各マイクロフォンについて、上記設定された各音ベクトルと大きさが等しく、かつ、その和が当該マイクロフォンに入力する観測音の音ベクトルになるように、上記各マイクロフォンに入力する各音源の音ベクトルをそれぞれ算出し、全てのマイクロフォンについての各音源からの音ベクトルの組を求める第3のステップと、
上記音ベクトルの組の中から1つの音源方向の音ベクトルを特定し、この特定された音ベクトルについて、各マイクロフォン間の位相差を求める第4のステップと、
上記第4のステップで求めた位相差から上記特定された音源の方向を推定する第5のステップと、
上記推定された特定音源から到来する音の各マイクロフォン間の位相差を算出する第6のステップと、
各マイクロフォンについて、上記第6のステップで求めた位相差から、上記推定された特定音源からの音の音ベクトルを各マイクロフォン毎に算出する第7のステップと、
各マイクロフォンについて、上記第3のステップで算出された音ベクトルと、上記第7のステップで算出された音ベクトルとの差のベクトルを求める第8のステップと、
上記第2のステップにおいて、各音源からの音ベクトルの大きさと位相角とを変更して、その変更された音ベクトルについて、上記第2のステップから上記第8のステップを繰り返して、上記第2のステップで設定された各音ベクトルのそれぞれについて、上記差のベクトルを求め、例えば、上記求められた差のベクトルの絶対値の和が最小となるような各音源の音ベクトルの組を特定するなど、上記求められた差のベクトルの大きさに基づいて、最も確からしい各音源の音ベクトルの組を特定し、上記特定された音ベクトルの組の各音ベクトルと上記基準音ベクトルとの位相角の差から、上記各音源の方向をそれぞれ推定する第9のステップ、
とを備えたことを特徴とするものである。
なお、上記複数の音源としては、1つの音源と上記音源からの反射音を発生する仮想音源(2次音源)である場合も含むものとする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の複数音源の分離方法において、上記第1のステップで行う観測音の各マイクロフォン間の位相差の検出と、第5のステップで行う音源方向の推定とを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対と上記2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンとから成るマイクロフォン群と、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差、及び、上記第5のマイクロフォンと上記2組のマイクロフォン対を構成する4個のマイクロフォンのそれぞれとで構成される4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差を用いて音源の方向を推定する音源位置推定手段を備えた音源位置推定装置とを用いて行うようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の複数音源の分離方法において、上記推定された音源方向近傍の映像を採取し、上記推定された音源方向と上記採取された映像とから音源の位置を特定するようにしたことを特徴とする。
このとき、上記第1のステップで行う観測音の各マイクロフォン間の位相差の検出と、第5のステップで行う音源方向の推定とを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差を用いて音源の方向を推定する音源位置推定手段を備えた音源位置推定装置、あるいは、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対と上記2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンとから成るマイクロフォン群と、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差、及び、上記第5のマイクロフォンと上記2組のマイクロフォン対を構成する4個のマイクロフォンのそれぞれとで構成される4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差を用いて音源の方向を推定する音源位置推定手段を備えた音源位置推定装置とを用いて行うようにすれば、少ないマイクロフォン数で、効率よくかつ正確に音源の方向を分離することができる。
図1は本発明の最良の形態に係る音源探査システムの概要を示す図で、M1〜M5は図示しない騒音源からの雑音の音圧レベルを測定するための測定用のマイクロフォン、11は音源位置近傍の映像を採取するためのCCDカメラ(以下、カメラという)、12はローパスフィルタを備えていて、上記マイクロフォンM1〜M5で採取された音響情報から所定の周波数以下の成分を取り出し増幅する増幅器、13は上記増幅された音響情報(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/D変換器、14は上記カメラ11の映像情報信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するビデオ入出力ユニットである。また、20は上記各マイクロフォンM1〜M5を所定の位置に配列するためのマイクロフォンフレーム、30は三脚から成る支持部材31と、この支持部材31の上部に配設された回転台32とから成る測定用基台で、この回転台32により、上記マイクロフォンフレーム20を回転でき、上記マイクロフォンM1〜M5を水平面内で回転させることができる。
また、40は入力手段であるキーボード41とマイクロフォン数やサンプリング周波数などの測定パラメータを記憶するとともに、音源位置推定の演算等を行う記憶演算部42と画像表示手段であるディスプレイ43とを備えた音源位置推定装置で、上記記憶・演算部42は、上記測定パラメータを記憶するパラメータファイル42mを備えたデータ記憶手段42aと、上記A/D変換されたマイクロフォンM1〜M5からの音響情報を用いて騒音源の方向を推定する音源位置推定手段42bと、上記カメラ11からの映像に上記推定された音源位置を示す画像を付加した画像を生成して上記ディスプレイ43に送る画像合成手段42cとを備えるとともに、上記騒音源が複数である可能性がある場合、あるいは、上記騒音の反射音の影響が強く、あたかも2音源から音が到来していると考えられる場合に、上記複数の音源の方向、または、直接音の方向と反射音の方向とを分離するための、音源分離手段42dを備えている。これにより、上記騒音源が複数である場合や反射音の影響が強い場合などには、上記騒音源の方向を分離して推定するとともに、上記カメラ11からの映像に、上記推定された複数の音源位置を示す画像を付加した画像を生成して上記ディスプレイ43に表示することができる。
最初に、マイクロフォンM1〜M5の出力から、上記各マイクロフォンM1〜M5に入力される観測音の音源が1個であると仮定したときの上記観測音の音源方向を推定する(ステップS10)。
このとき実際の測定においては、音源の位置がマイクロフォンの位置から十分(例えば、マイクロフォン間隔の10倍以上)離れているので、各マイクロフォンM1〜M5に到達する音を平面波とみなすことが可能である。そこで、本例では、音源位置を求める際に、音源の位置がマイクロフォンM1〜M5の位置から十分離れており、音は平面波として各マイクロフォンM1〜M5に入射すると仮定して音源位置を推定する。
平面波近似においては、マイクロフォンMiとマイクロフォンMj間の時間遅れDijと音源の位置の水平角θ及び仰角φとは、上述した式(1),(2)で表わせるので、各マイクロフォンM1〜M5の出力信号を周波数分析して、対象となる周波数fにおける各マイクロフォンMi,Mj間の時間遅れDijを算出することにより、上記水平角θ及び仰角φを求めることができる。以下、上記式(1),(2)を再掲する。
また、上記音源の位置は、各周波数毎に算出することができる。
但し、この音源位置は、上述したように、観測音の音源が1個であると仮定した場合の音源位置で、本例では、以下に示すように、音源分離手段42dを用いて上記音源位置を音源Aの位置と音源Bの位置とに分離する。
なお、上記観測音の音源方向あるいは音源位置と後に推定する音源A,Bの方向あるいは位置とを比較する必要のない場合には、上記時間遅れDijを算出するだけでよく、上記水平角θ及び仰角φの算出や上記観測音の音源位置の推定については省略してもよい。
上記マイクロフォンM5に入力される観測音は、音源AからマイクロフォンM5に入力される音と音源BからマイクロフォンM5に入力される音との合成音であるので、上記音ベクトルS5は上記音ベクトルA5と上記音ベクトルB5とのベクトル和となる。したがって、上記音ベクトルA5の振幅PAと位相角δAとを設定すれば、音源BからマイクロフォンM5に入力される音の音ベクトルB5の振幅PBと位相角δBとは、上記振幅PAと上記位相角δAとを用いて一義的に求めることができる(ステップS12)。
本例では、図3(b)に示すように、上記ステップS11において設定される音ベクトルA5の振幅PAを0.4〜4.0の範囲で、ΔPA=0.1ずつ変化させるとともに、位相角δAを0°〜360°の範囲で、ΔδA=1°ずつ変化させて、上記ステップS11から以下に記載するステップS18までを繰り返し、上記振幅PAと上記位相角δAとの全ての組について音源A及び音源Bの方向を推定する。そして、この推定された音源Aからの音と音源Bからの音との合成音が上記観察音に最も近い振幅PAと位相角δAとを有する音ベクトルA5を求めて上記音源Aの方向と音源Bの方向とを特定する。
図4(a)に示すように、マイクロフォンM1の観測音ベクトルS1の振幅は上記観測音基準ベクトルS5の振幅と等しく1であり、観測音基準ベクトルS5と観測音ベクトルS1との角度差Δ51は、上記ステップS10で実際に検出された時間遅れD51に等しい。また、上記観測音ベクトルS1は上記音源AからマイクロフォンM1に入力される音の音ベクトルA1と、上記音源BからマイクロフォンM1に入力される音の音ベクトルB1との和となっており、かつ、上記音ベクトルA1,B1の振幅PA1,PB1は、それぞれ上記音ベクトルA5,B5の振幅PA,PBと等しい。したがって、そのベクトル和が上記観測音ベクトルS1となる音ベクトルA1,B1としては、図4(a)に示すように、[A11,B11],[A12,B12]の2通りが考えられる。
同様に、マイクロフォンM2〜M4に入力される音源A及び音源Bからの音の音ベクトルA2〜A4,B2〜B4についても、図4(b)〜(d)に示すように、それぞれ2組の音ベクトル[Ai1,Bi1],[Ai2,Bi2]のいずれかになる(i=2〜4)。したがって、基準となるマイクロフォンM5の音ベクトルA5,B5に対してそれぞれ時間遅れがD5iである観測音が入力されるマイクロフォンMiに入力される音源A及び音源Bからの音の音ベクトルの組[Aik,Bik]の数は、1つの音ベクトルA5を設定すると、i=1〜4,k=1,2であるので、16通りあることになる(ステップS13)。
上記各マイクロフォンM1〜M4の音ベクトルAi(i=1〜4)の角度δAiと基準マイクロフォンM5の音ベクトルA5の位相角δAとの角度差δA5iは、図5(a)〜(d)に示すように、音源AからマイクロフォンMiへ入力した音の位相と基準マイクロフォンM5へ入力した音の位相との差である。したがって、上記角度差δA5iと、上記角度差δA5iを用いて算出した角度差δA13及び角度差δA24とをそれぞれ時間遅れD13,D24及び時間遅れD51〜D54として、上記式(1),(2)に代入すれば、音源Aの方向(水平角θAと仰角φA)を推定することができる。また、音源Bについても、同様に、上記音ベクトルBiの角度δBiからδB5i及びδB13及びδB24を求めることにより、音源Bの方向(水平角θBと仰角φB)を推定することができる(ステップS14)。
音源A,Bの方向の推定が完了した後には、上記推定した1つの音源Aから平面波が到来してきたと仮定して、上記各マイクロフォンM1〜M5へ入力する平面波の、上記基準となるマイクロフォンM5に対する各マイクロフォンMiの時間遅れD5i(A)をそれぞれ算出する(ステップS15)。上記時間遅れD5i(A)は、上記ステップS12で仮定した基準マイクロフォンM5の音ベクトルA5を用いて推定した音源Aの方向から上記マイクロフォンM5に入力される音の音ベクトルである新たな音ベクトルa5と各マイクロフォンM1〜M4の新たな音ベクトルai(i=1〜4)との位相差に相当する。また、上記音ベクトルaiの振幅が上記音ベクトルA5の振幅PAに等しい。
ここで、上記新たな音ベクトルa5を、上記ステップS12で仮定した音ベクトルA5に等しいとして、上記新たな音ベクトルa1〜a4と上記ステップS13で求めた音ベクトルA1〜A4とを比較する。すなわち、上記新たな音ベクトルa1〜a4と上記ステップS13で求めた音ベクトルA1〜A4とがほぼ一致すれば、上記音ベクトルA5の設定が実際の音源Aからの音ベクトルであると考えられる。
そこで、図6(a)〜(d)に示すように、上記推定された音源Aからの音の音ベクトルaiと、上記ステップS13において上記音ベクトルA5に基づいて求めたベクトルAi(i=1〜4)との差のベクトルΔAiを求めた後、この差のベクトルΔAiの大きさの和を算出して保存する(ステップS16)。上記新たな音ベクトルa1〜a4と上記ステップS13で求めた音ベクトルA1〜A4との差が小さいほど上記設定された音ベクトルA5が実際の音源Aからの音ベクトルに近いことから、上記差のベクトルΔAiの大きさの和を、上記設定された音ベクトルA5が実際の音源Aの音ベクトルに近いかどうかの判定基準とすれば、実際の音源Aの方向を精度よく推定することができる。
1つの音ベクトルA5についての差のベクトルΔAiの大きさの和の算出が終了したら、ステップS11に戻って、上記音ベクトルA5の振幅PAまたは位相差δAを変化させて上記ステップS12からステップS17までの操作を繰り返し、上記音ベクトルA5の振幅PAを0.4〜4.0の範囲でΔPA=0.1ずつ変化させ、位相差δAを0°〜360°の範囲で、ΔδA=1°ずつ変化させた全ての場合について、上記差のベクトルΔAiの大きさの和を算出して保存する操作を行う(ステップS18)。
そして、上記差のベクトルΔAiの大きさの和を比較し、上記絶対値の和が最小値をとるような音ベクトルA5,及びB5を特定し、この特定された音ベクトルA5,及びB5から得られる音源A及び音源Bの方向を、観測音を分離して得られた音源A及び音源Bの方向とする(ステップS19)。
すなわち、ステップS14,S15において、音ベクトルA5,及びB5が上記特定された音ベクトルA5,及びB5である場合の音源Aの方向(水平角θAと仰角φA)及び音源Bの方向(水平角θBと仰角φB)が観測音を分離して得られた音源A及び音源Bの方向となる。そして、上記推定された音源Aの方向と音源Bの方向とを含む映像をカメラ11により採取し、音源位置推定装置40のディスプレイ43上に表示された映像上に上記音源A,Bの方向をそれぞれ表示することにより、上記音源Aの位置と音源Bの位置を決定する(ステップS20)。
また、上記例では、音源が2個である場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、音源が3個以上の場合でも、図8に示すように、観測音基準ベクトルS5に対して各音ベクトルA5,B5,C5,‥‥を想定することにより、各音源A,B,C‥‥からの音の到来の方向を推定することができる。例えば、音源が3個である場合には、音ベクトルA5,B5の大きさと位相角となる4つのパラメータを設定するか、音ベクトルA5の大きさと位相角と、音ベクトルB5,C5の位相角となる4つのパラメータを設定するなどすれば、音ベクトルの組(Ai,Bi,Ci)を求めることができる。その後は、音源が2つの場合と同様に、上記音ベクトルA5から音源Aの方向を推定して新たな音ベクトルの組(ai,bi,ci)を求めて、上記音ベクトルの組(Ai,Bi,Ci)と比較して、最も確からしい(Ai,Bi,Ci)の組、すなわち、実際の音源A,B,Cの音ベクトルに近い(Ai,Bi,Ci)の組を求めて、上記音源A,B,Cの方向を推定するようにすればよい。
また、音源A及び音源Bの方向特定の判定基準を、上述した差のベクトルΔAiの絶対値の和に代えて、差のベクトルΔAiの積を用いても良い。あるいは、上記差のベクトルΔAiの二乗の和の平方根を用いても良い。
また、音源が1個である場合でも、反射音の影響が強い場合には、音源Aを直接音を発生する音源とし、音源Bを上記音源Aからの反射音を発生する仮想音源(2次音源)とすれば、反射の起こる箇所の特定や反射音の影響を正確に把握することができる。
また、左のスピーカと測定箇所との間に床(反射板)を設置し、左のスピーカのみから出力される1000Hzの正弦波を採取したところ、分離処理前には、図10(a)に示すように、音源の推定位置が左のスピーカの右下側であったのに対して、分離処理後には、図10(b)に示すように、音源位置を左のスピーカのほぼ中心部と床面の2箇所に分離することができるとともに、反射位置についても推定できることが確認された。
13 A/D変換器、14 ビデオ入出力ユニット、20 マイクロフォンフレーム、
30 基台、31 支持部材、32 回転台、40 音源位置推定装置、
41 キーボード、42 記憶・演算部、42a データ記憶手段、
42b 音源位置推定手段、42c 画像合成手段、42d 音源分離手段、
42m パラメータファイル、43 ディスプレイ。
Claims (4)
- 複数個の音源から到来した音の合成音である観測音を複数のマイクロフォンで採取し、上記観測音の各マイクロフォン間の位相差のデータを用いて上記各音源の方向を分離して特定する複数音源の分離方法であって、
複数のマイクロフォンで観測した観測音の、各マイクロフォン間の位相差をそれぞれ検出する第1のステップと、
基準となるマイクロフォンに入力する観測音に対応する複素ベクトルを、大きさが観測音の大きさを表わしその位相角が0°である基準音ベクトルで表わしたとき、各音源から上記基準マイクロフォンに入力する音に対応する音ベクトルが、それぞれ、その大きさが各音源から到来する音の大きさを表わし、その位相角が上記観測音に対する位相差を表わす複素ベクトルであり、かつ、上記各音源の音ベクトルの和が上記基準音ベクトルになるように上記各音源の音ベクトルを設定する第2のステップと、
上記基準となるマイクロフォン以外の各マイクロフォンについて、上記設定された各音ベクトルと大きさが等しく、かつ、その和が当該マイクロフォンに入力する観測音の音ベクトルになるように、上記各マイクロフォンに入力する各音源の音ベクトルをそれぞれ算出し、全てのマイクロフォンについての各音源からの音ベクトルの組を求める第3のステップと、
上記音ベクトルの組の中から1つの音源方向の音ベクトルを特定し、この特定された音ベクトルについて、各マイクロフォン間の位相差を求める第4のステップと、
上記第4のステップで求めた位相差から上記特定された音源の方向を推定する第5のステップと、
上記推定された特定音源から到来する音の各マイクロフォン間の位相差を算出する第6のステップと、
各マイクロフォンについて、上記第6のステップで求めた位相差から、上記推定された特定音源の音ベクトルを各マイクロフォン毎に算出する第7のステップと、
各マイクロフォンについて、上記第3のステップで算出された音ベクトルと、上記第7のステップで算出された音ベクトルとの差のベクトルを求める第8のステップと、
上記第2のステップにおいて、各音源からの音ベクトルの大きさと位相角とを変更して、その変更された音ベクトルについて、上記第2のステップから上記第8のステップを繰り返して、上記第2のステップで設定された各音ベクトルのそれぞれについて、上記差のベクトルを求め、上記求められた差のベクトルの大きさに基づいて、最も確からしい各音源の音ベクトルの組を特定し、上記特定された音ベクトルの組の各音ベクトルと上記基準音ベクトルとの位相角の差から、上記各音源の方向をそれぞれ推定する第9のステップ、
とを備えたことを特徴とする複数音源の分離方法。 - 上記第1のステップで行う観測音の各マイクロフォン間の位相差の検出と、第5のステップで行う音源方向の推定とを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差を用いて音源の方向を推定する音源位置推定手段を備えた音源位置推定装置を用いて行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の複数音源の分離方法。
- 上記第1のステップで行う観測音の各マイクロフォン間の位相差の検出と、第5のステップで行う音源方向の推定とを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対と上記2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンとから成るマイクロフォン群と、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差、及び、上記第5のマイクロフォンと上記2組のマイクロフォン対を構成する4個のマイクロフォンのそれぞれとで構成される4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差とを用いて音源の方向を推定する音源位置推定手段を備えた音源位置推定装置とを用いて行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の複数音源の分離方法。
- 上記推定された音源方向近傍の映像を採取し、上記推定された音源方向と上記採取された映像とから音源の位置を特定するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の複数音源の分離方法。
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