本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
インクを吐出させるための素子を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成回路の特性を実測するステップと、出力すべき前記駆動信号を規定する信号規定情報と、実測した前記特性とに基づいて、前記駆動信号を生成するステップと、を有することを特徴とする駆動信号の生成方法である。
このような駆動信号の生成方法によれば、駆動信号生成回路の実測された特性と、出力すべき駆動信号を規定する信号規定情報とに基づいて駆動信号が生成される。特に、駆動信号生成回路の特性は、実測されたものなので、駆動信号生成回路の特性を正確に認識することが可能である。このため、駆動信号生成回路の正確な特性と信号規定情報に基づいて駆動信号を生成することにより、出力すべき駆動信号に忠実な駆動信号を駆動信号生成回路にて生成することが可能である。すなわち、いずれの駆動信号生成回路であっても、出力すべき駆動信号に忠実な駆動信号を生成することが可能なので、互いに特性の異なる複数の駆動信号生成回路にて、ほぼ同じ駆動信号を生成することが可能である。このため、複数の駆動信号生成回路にて生成される駆動信号は、ばらつきが小さくなり、ほぼ同等の量のインクが吐出されるため、形成される画像における色調等のばらつきを抑えることが可能である。特に、生成される駆動信号は、出力されるべき駆動信号とほぼ同じなので、適正な量のインクが吐出されるため、所望の画像を印刷することが可能である。
かかる駆動信号の生成方法において、前記駆動信号生成回路は、周期的に入力された数値情報に応じて出力電圧を変更することにより駆動信号を生成することが望ましい。
このような駆動信号の生成方法によれば、駆動信号は周期的に入力された数値情報に応じて出力電圧を変更することにより生成されるので、信号を生成するための制御が容易である。
かかる駆動信号の生成方法において、前記特性は、入力された前記数値情報と、当該数値情報により変更された前記出力電圧とを対応付けた入出力情報であることが望ましい。
このような駆動信号の生成方法によれば、駆動信号生成回路の特性は、入力された数値情報と、入力された数値情報により変更された出力電圧とが対応付けられているので、いずれかの数値情報が入力されることにより変更される出力電圧を容易に認識することが可能である。このため、入力する数値情報を変更することにより、所望の出力電圧を容易に得ることが可能である。また、所望の出力電圧を得るために入力すべき数値情報をも容易に認識することが可能である。
かかる駆動信号の生成方法において、前記信号規定情報は、出力すべき駆動信号を規定するための時間情報と、前記時間情報に対応付けられた出力電圧とを示す情報であることが望ましい。
駆動信号のような信号は時間の経過に伴う電圧の変化なので、出力すべき駆動信号を規定するための時間情報と、前記時間情報に対応付けられた出力電圧とを示す信号規定情報に基づいて出力電圧を出力することにより、出力すべき駆動信号を容易に生成することが可能である。特に、駆動信号生成回路の特性として、入力された数値情報と、入力された数値情報により変更された出力電圧とが対応付けられている場合には、信号規定情報に示された出力電圧を出力するための数値情報を、信号規定情報に示された時間に入力することにより、出力すべき駆動信号をさらに容易に生成することが可能である。
かかる駆動信号の生成方法において、前記駆動信号は、前記駆動信号生成回路が有する第1原駆動信号生成部にて生成される第1原駆動信号と、前記駆動信号生成回路が有する第2原駆動信号生成部にて生成される第2原駆動信号とを切り替えて生成され、前記特性は、前記第1原駆動信号生成部及び前記第2原駆動信号生成部にて各々実測されることが望ましい。
このような駆動信号の生成方法によれば、第1原駆動信号生成部及び前記第2原駆動信号生成部の特性が各々実測されるので、第1原駆動信号と、第2原駆動信号とを、信号規定情報に基づいて、出力すべき駆動信号に忠実な原駆動信号として生成することが可能である。このため、第1原駆動信号と、第2原駆動信号とを切り替えて生成された駆動信号も、本来出力されるべき駆動信号とほぼ同等の駆動信号とすることが可能である。
かかる駆動信号の生成方法において、前記第1原駆動信号、前記第2原駆動信号はいずれも、前記素子にインクを吐出させる動作の開始から終了までを規定するための単位信号を有しており、前記第1原駆動信号と第2原駆動信号とは、前記動作の終了後から前記動作の開始までの所定期間に切り替えられて、前記駆動信号が生成されることが望ましい。
このような駆動信号の生成方法によれば、第1原駆動信号と第2原駆動信号とを切り替えて駆動信号を生成する場合には、動作の終了後から前記動作の開始までの所定期間にて切り替えられる。すなわち、素子にインクを吐出させる動作の開始から終了までを規定するための単位信号が出力されるタイミングとは異なるタイミングにて第1原駆動信号と第2原駆動信号とが切り替えられる。このため、第1原駆動信号と第2原駆動信号とを切り替えても素子を駆動させるための単位信号には何ら影響しない。よって、素子を適正に動作させることが可能である。
かかる駆動信号の生成方法において、前記第1原駆動信号と前記第2原駆動信号とは、少なくとも、前記所定期間における出力電圧が揃うように生成されることが望ましい。
高精細の画像をより早く印刷する場合には、所定時間内に素子をより多く動作させる必要があるが、単に素子の駆動周波数を高めるために駆動パルスの発生周期を短くすると、駆動信号生成回路が高温になり回路が正常に動作しなかったり、破損したりする畏れがある。このため、複数の原駆動信号を切り替えて駆動信号を生成することにより、各々の原駆動信号における駆動パルスの発生周期を長く保ちつつ、素子の駆動周波数を高め高精細の画像を高速にて印刷することが可能となる。ところが、例えば、第1原駆動信号と第2原駆動信号とを切り替えた際に、第1原駆動信号と前記第2原駆動信号との電圧が相違していた場合には、切り替えた瞬間に急激に電圧が変化することになる。原駆動信号を切り替えた瞬間に駆動信号の電圧が急激に変化すると、本来吐出されないタイミングで素子からインクが吐出される畏れがあり画質が低下する畏れがある。このため、第1原駆動信号と第2原駆動信号とを切り替える所定期間、すなわち素子の動作終了後から開始までの期間における出力電圧が揃うように第1原駆動信号と第2原駆動信号とを生成すると、原駆動信号を切り替えても駆動信号において急激に電圧が変化することはない。このため、第1原駆動信号と第2原駆動信号とを切り替えた際に素子からインクが吐出されること防ぎ、高精細の画像をより早く印刷することが可能である。この際、第1原駆動信号と第2原駆動信号とは、数値情報が第1及び第2駆動信号生成回路に入力されて出力電圧が変更されるので、所定期間における出力電圧が揃うように第1原駆動信号と第2原駆動信号とを容易に生成することが可能である。
かかる駆動信号の生成方法において、前記第1原駆動信号と前記第2原駆動信号とは、前記所定期間における出力電圧を基準として生成されることが望ましい。
このような駆動信号の生成方法によれば、所定期間における出力電圧を基準とするので、所定期間における出力電圧が変更されることなく、第1原駆動信号と第2原駆動信号とが生成されるので、原駆動信号を切り替えた際に急激に電圧が変化することを避け、適正な駆動信号を生成することが可能である。
また、インクを吐出させるための素子を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成回路の特性を実測するステップと、出力すべき前記駆動信号を規定する信号規定情報と、実測した前記特性とに基づいて、前記駆動信号を生成するステップと、を有し、前記駆動信号生成回路は、周期的に入力された数値情報に応じて出力電圧を変更することにより駆動信号を生成し、前記特性は、入力された前記数値情報と、当該数値情報により変更された前記出力電圧とを対応付けた入出力情報であり、前記信号規定情報は、出力すべき駆動信号を規定するための時間情報と、前記時間情報に対応付けられた出力電圧とを示す情報であり、前記駆動信号は、前記駆動信号生成回路が有する第1原駆動信号生成部にて生成される第1原駆動信号と、前記駆動信号生成回路が有する第2原駆動信号生成部にて生成される第2原駆動信号とを切り替えて生成され、前記特性は、前記第1原駆動信号生成部及び前記第2原駆動信号生成部にて各々実測され、前記第1原駆動信号、前記第2原駆動信号はいずれも、前記素子にインクを吐出させる動作の開始から終了までを規定するための単位信号を有しており、前記第1原駆動信号と第2原駆動信号とは、前記動作の終了後から前記動作の開始までの所定期間に切り替えられて、前記駆動信号が生成され、前記第1原駆動信号と前記第2原駆動信号とは、少なくとも、前記所定期間における出力電圧が揃うように生成され、前記第1原駆動信号と前記第2原駆動信号とは、前記所定期間における出力電圧を基準として生成されることを特徴とする駆動信号の生成方法である。
このような駆動信号の生成方法によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するので、本発明の目的が最も有効に達成される。
また、インクを吐出させるための素子と、前記素子を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成回路とを有する印刷装置に、出力すべき前記駆動信号を規定する信号規定情報と、前記駆動信号生成回路の実測した特性とに基づいて、前記駆動信号を生成させる機能を実現させるためのコンピュータプログラムも実現可能である。
また、インクを吐出させるための素子と、前記素子を駆動するための駆動信号を生成するための駆動信号生成回路と、出力すべき前記駆動信号を規定する信号規定情報と、前記駆動信号生成回路の特性を実測した結果とに基づいて、前記駆動信号を生成させるコントローラと、を有する印刷装置も実現可能である。
また、コンピュータ、及び、前記コンピュータに接続され、インクを吐出させるための素子と、前記素子を駆動するための駆動信号を生成するための駆動信号生成回路と、出力すべき前記駆動信号を規定する信号規定情報と、前記駆動信号生成回路の特性を実測した結果とに基づいて、前記駆動信号を生成させるコントローラと、を有する印刷装置、を有する印刷システムも実現可能である。
===印刷システムの構成===
<全体構成について>
まず、印刷装置を印刷システムとともに説明する。なお、印刷システムとは、印刷装置と、この印刷装置の動作を制御する印刷制御装置とを少なくとも含むシステムのことである。
図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。例示した印刷システム100は、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。
プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する。なお、この媒体に関し、以下の説明では、代表的な媒体である用紙S(図3Aを参照)を例に挙げて説明する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。表示装置120は、ディスプレイを有している。この表示装置120は、例えば、コンピュータプログラムのユーザーインタフェースを表示するためのものである。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132である。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142である。
===コンピュータ===
<コンピュータ110の構成について>
図2は、コンピュータ110、及びプリンタ1の構成を説明するブロック図である。まず、コンピュータ110の構成について簡単に説明する。
このコンピュータ110は、前述した記録再生装置140と、ホスト側コントローラ111とを有している。記録再生装置140は、ホスト側コントローラ111と通信可能に接続されており、例えばコンピュータ110の筐体に取り付けられている。ホスト側コントローラ111は、コンピュータ110における各種の制御を行うものであり、前述した表示装置120や入力装置130も通信可能に接続されている。このホスト側コントローラ111は、インタフェース部112と、CPU113と、メモリ114とを有する。インタフェース部112は、プリンタ1との間に介在され、データの受け渡しを行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置等によって構成される。このメモリ114に格納されるコンピュータプログラムとしては、前述したように、アプリケーションプログラムやプリンタドライバがある。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに基づいて各種の制御を行う。
プリンタドライバは、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能をコンピュータ110に実現させる。そして、プリンタ1は、コンピュータ110からの印刷データを受信することで印刷動作を実行する。言い換えると、コンピュータ110は、印刷データを介してプリンタ1の動作を制御しているといえる。従って、コンピュータ110は、このプリンタドライバによって、印刷制御装置として機能する。そして、プリンタドライバは、画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのコードを有する。
印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと、画素データとを有する。コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータ、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータがある。また、画素データは、印刷される画像の画素に関するデータである。ここで、画素とは、用紙上に仮想的に定められた方眼状の升目にて区画される領域である。この画素には、画素データに基づいてドットが形成可能である。
そして、印刷データにおける画素データは、用紙上の所定の画素に形成されるドットに関するデータ(例えば、ドットの大きさのデータ)に変換される。本実施形態において、画素データは2ビットのデータによって構成されている。すなわち、この画素データには、ドット無しに対応する画素データ「00」と、小ドットに対応する画素データ「01」と、中ドットの形成に対応する画素データ「10」と、大ドットに対応する画素データ「11」とがある。従って、このプリンタ1は4階調でドットの形成ができる。
そして、プリンタドライバは、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理などを行う。また、プリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録された状態で提供される。また、プリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。
===プリンタ===
<プリンタ1の構成について>
次に、プリンタ1の構成について説明する。ここで、図3Aは、本実施形態のプリンタ1の構成を示す図である。図3Bは、本実施形態のプリンタ1の全体構成を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図2のブロック図も参照する。
図2に示すように、プリンタ1は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、検出器群50、プリンタ側コントローラ60、及び駆動信号生成回路70を有する。なお、本実施形態において、プリンタ側コントローラ60及び駆動信号生成回路70は、共通のコントローラ基板CTRに設けられている。また、ヘッドユニット40は、ヘッド制御部HCと、ヘッド41とを有している。
このプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60によって制御対象部、すなわち用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40(ヘッド制御部HC,ヘッド41)、及び駆動信号生成回路70が制御される。これにより、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受け取った印刷データに基づき、用紙Sに画像を印刷させる。また、検出器群50の各検出器は、プリンタ1内の状況を監視している。そして、各検出器は、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。各検出器からの検出結果を受けたプリンタ側コントローラ60は、その検出結果に基づいて制御対象部を制御する。
用紙搬送機構20は、媒体を搬送させる媒体搬送部に相当する。この用紙搬送機構20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだり、この用紙Sを搬送方向に所定の搬送量で搬送させたりするものである。この搬送方向は、次に説明するキャリッジ移動方向と交差する方向である。そして、図3A及び図3Bに示すように、用紙搬送機構20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内に自動的に送るためのローラであり、この例ではD形の断面形状をしている。搬送モータ22は、用紙Sを搬送方向に搬送させるためのモータであり、その動作は、プリンタ側コントローラ60によって制御される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって送られてきた用紙Sを、印刷可能な領域まで搬送するためのローラである。この搬送ローラ23の動作も搬送モータ22によって制御される。プラテン24は、印刷中の用紙Sを、この用紙Sの裏面側から支持する部材である。排紙ローラ25は、印刷が終了した用紙Sを搬送するためのローラである。
キャリッジ移動機構30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジCRをキャリッジ移動方向に移動させるためのものである。キャリッジ移動方向には、一側から他側への移動方向と、他側から一側への移動方向が含まれている。なお、ヘッドユニット40はヘッド41を有するので、キャリッジ移動方向はヘッド41の移動方向に相当し、キャリッジ移動機構30はヘッド41を移動方向に移動させるヘッド移動部に相当する。そして、このキャリッジ移動機構30は、キャリッジモータ31と、ガイド軸32と、タイミングベルト33と、駆動プーリー34と、従動プーリー35とを有する。キャリッジモータ31は、キャリッジCRを移動させるための駆動源に相当する。このキャリッジモータ31は、プリンタ側コントローラ60によって動作が制御される。そして、キャリッジモータ31の回転軸には、駆動プーリー34が取り付けられている。この駆動プーリー34は、キャリッジ移動方向の一端側に配置されている。駆動プーリー34とは反対側のキャリッジ移動方向の他端側には、従動プーリー35が配置されている。タイミングベルト33は、キャリッジCRに接続されているとともに、駆動プーリー34と従動プーリー35に架け渡されている。ガイド軸32は、キャリッジCRを移動可能な状態で支持する。このガイド軸32は、キャリッジ移動方向に沿って取り付けられている。従って、キャリッジモータ31が動作すると、キャリッジCRは、このガイド軸32に沿ってキャリッジ移動方向に移動する。
ヘッドユニット40は、インクを用紙Sに向けて吐出させるためのものである。ここで、図4は、ヘッドユニット40の分解斜視図である。図5Aは、ヘッド41の構造を説明する断面図である。図5Bは、ノズルNzの配置を説明する図である。
このヘッドユニット40は、例えば、図4に示す構造をしている。すなわち、ヘッドユニット40は、ヘッド41と、針側ケース部材42と、ヘッド側ケース部材43を有している。針側ケース部材42は、インクカートリッジIC(図3Aを参照)に挿入されるインク供給針421を有する部材であり、例えば樹脂を成型することで作成される。また、ヘッド側ケース部材43は、ヘッド41が取り付けられる部材であり、例えば樹脂を成型することで作成される。このヘッド側ケース部材43には、基板配置部431が設けられている。基板配置部431は、ヘッド制御基板44が配置される部分であり、略長方形の窪部によって形成されている。そして、ヘッド制御基板44とヘッド41とは、フィルム状のヘッド側配線部材45によって電気的に接続される。すなわち、ヘッド側配線部材45は、一端側の部分がヘッド41のピエゾ素子417(PZT,図5Aを参照。)と電気的に接続され、他端側の部分がヘッド制御基板44と電気的に接続されている。このヘッド制御基板44には、ヘッド41を制御するためのヘッド制御部HC(サブコントローラ)と、コネクタ441とが設けられている。なお、ヘッド制御部HCについては、後で説明する。そして、ヘッド制御基板44とプリンタ側コントローラ60とは、フィルム状のコントローラ側配線基板FC(図3Aを参照)によって電気的に接続されている。
このヘッドユニット40が有するヘッド41は、例えば、図5Aに示す構造を有している。例示したヘッド41は、流路ユニット41Aと、アクチュエータユニット41Bとを有する。流路ユニット41Aは、ノズルNzが設けられたノズルプレート411と、インク貯留室412aとなる開口部が形成された貯留室形成基板412と、インク供給口413aが形成された供給口形成基板413とを有している。そして、貯留室形成基板412の一方の表面にはノズルプレート411が接着され、他方の表面には供給口形成基板413が接着されている。アクチュエータユニット41Bは、圧力室414aとなる開口部が形成された圧力室形成基板414と、圧力室414aの一部を区画する振動板415と、供給側連通口416aとなる開口部が形成された蓋部材416と、振動板415の表面に形成されたピエゾ素子417とを有している。そして、このヘッド41には、インク貯留室412aから圧力室414aを通ってノズルNzに至る一連の流路が形成されている。使用時において、この流路はインクで満たされており、ピエゾ素子417を変形させることで、対応するノズルNzからインクを吐出させることができる。従って、このヘッド41において、ピエゾ素子417は、インクを吐出させるための素子に相当する。
また、図5Bに示すように、各ノズルNzは、吐出させるインクの種類毎にグループ分けされており、各グループによってノズル列が構成されている。例示したヘッド41は、ブラックインクノズル列Nkと、シアンインクノズル列Ncと、マゼンタインクノズル列Nmと、イエローインクノズル列Nyからなる4列のノズル列を有し、4色のインクを吐出可能である。そして、各ノズル列は、n個(本実施形態では、n=180)のノズルNzを有している。これらのノズル列において、各ノズルNzは、所定の配列方向(この例では搬送方向)に沿って一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)で配列されている。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ、つまり、用紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔である。また、kは、最小のドットピッチDとノズルピッチとの関係を表す係数であり、1以上の整数に定められる。
また、このプリンタ1では、前述したように、画素データ「00」に対応するドット無し、画素データ「01」に対応する小ドットの形成、画素データ「10」に対応する中ドットの形成、及び画素データ「11」に対応する大ドットの形成という4種類の制御ができる。このため、各ノズルNzからは、量が異なる複数種類のインクを吐出させることができる。例えば、各ノズルNzからは、大ドットを形成し得る量の大インク滴、中ドットを形成し得る量の中インク滴、及び小ドットを形成し得る量の小インク滴からなる3種類のインクを吐出させることができる。なお、画素データと吐出されるインクの関係については、後で説明する。
検出器群50は、プリンタ1の状況を監視するためのものである。この検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出器53、及び紙幅検出器54等が含まれている。リニア式エンコーダ51は、キャリッジCR(ヘッド41,ノズルNz)のキャリッジ移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出器53は、印刷される用紙Sの先端位置を検出するためのものである。紙幅検出器54は、印刷される用紙Sの幅を検出するためのセンサである。
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うものである。このプリンタ側コントローラ60は、駆動信号COMを、ピエゾ素子417に印加させるコントローラに相当する。駆動信号COMについては後述する。プリンタ側コントローラ60は、図2に示すように、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、制御ユニット64とを有する。インタフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110との間で、データの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に格納されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、制御ユニット64を介して用紙搬送機構20やキャリッジ移動機構30を制御する。また、CPU62は、ヘッド41の動作を制御するためのヘッド制御信号(クロック信号CLK,画素データSI,ラッチ信号LAT,第1チェンジ信号CH_A,第2チェンジ信号CH_B,図13を参照)をヘッド制御部HCに出力する。さらに、CPU62は、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路70に出力したりする。
駆動信号生成回路70は、各ノズル列にて共通に使用される駆動信号COMを生成する。本実施形態の駆動信号COMは、一つのノズル列が有する全てのピエゾ素子417に対して共通に使用される。ここで、図6は、駆動信号生成回路70の構成を説明するブロック図である。
この駆動信号生成回路70は、複数種類の駆動信号COMを同時に生成できる。本実施形態では、駆動信号生成回路70が、第1原駆動信号COM_Aを生成する第1原駆動信号生成部70Aと、第2原駆動信号COM_Bを生成する第2原駆動信号生成部70Bとの2つの原駆動信号生成部を有している例について説明する。そして、第1原駆動信号生成部70Aは、第1波形生成回路71Aと第1電流増幅回路72Aとを有し、第2原駆動信号生成部70Bは、第2波形生成回路71Bと第2電流増幅回路72Bとを有する。なお、第1波形生成回路71Aと第2波形生成回路71Bは同じ構成であり、第1電流増幅回路72Aと第2電流増幅回路72Bは同じ構成である。このため、以下の説明は、主として、第1波形生成回路71Aと第1電流増幅回路72Aについて行う。
図7は、第1波形生成回路71A及び第2波形生成回路71Bの構成を説明するためのブロック図である。なお、第2波形生成回路71Bの構成は、括弧付きの符号で示している。第1波形生成回路71Aは、デジタルアナログ変換器(D/A変換器)715Aと、電圧増幅回路716Aとを有する。
デジタルアナログ変換器715Aは、CPU62の制御により周期的に入力される数値情報としてのDAC値のデータをアナログ信号に変換する。電圧増幅回路716Aは、デジタルアナログ変換器715Aの出力端子と電気的に接続されている。この電圧増幅回路716Aは、デジタルアナログ変換器715Aから出力されたアナログ信号の電圧を、ピエゾ素子417が動作可能な電圧に増幅する。すなわち、本実施形態の第1波形生成回路71A及び第2波形生成回路71Bは、所定の周期のクロック信号CLKが入力される毎に、入力されたDAC値に対応するアナログ信号に変換し、変換されたアナログ信号の電圧及び電流を増幅して原駆動信号を生成している。このため、メモリ63には、DAC値が増える毎に出力電圧が所定量ずつ変化するように設定された複数種類のDAC値のデータが、アドレスに対応付けられて記憶されている。
図8は、メモリ63に記憶されているDAC値の概念を説明するための図である。図示するように、ここでは、アドレス「0000」には出力電圧が最小値の1.4VとなるようなDAC値「0h(16進数表記)」が記憶されており、アドレス「1023」には出力電圧が最大値の42.32VとなるようなDAC値「3FFh(16進数表記)」が記憶されている。以下、DAC値は末尾に「h」を付して16進数表記する。アドレス「0000」〜「1023」間の各アドレスには、出力電圧が所定量(ここでは0.04V)ずつ異なるようなDAC値が順次記憶されている。図8に示す出力電圧は、設計上の理想的な第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70BにDAC値が入力された際の出力電圧であって、実際にその出力電圧が得られるとは限らない。
図9は、原駆動信号においてインクを吐出するために生成される理想的な単位信号の一例を説明するための図であり、図10は、図9に示す単位信号を生成するための情報として、メモリ63に記憶されている情報の概念を説明するための図である。
図10に示すようにメモリ63には単位信号を生成するための情報として、図9に示す単位信号を示す波形におけるA―B点間、C―D点間、E―F点間、G―H点間の電圧値と、A点―B点間、B点―C点間、C点―D点間、D点―E点間、E点―F点間、F点―G点間の各時間と、最大振幅Vhと、最小電圧VLが記憶されている。このとき、A―B点間、C―D点間点、E―F点間点、G―H点間の電圧値は最大振幅Vhを基準とする関数にて示されている。例えば、A―B点間及びG−H点間の電圧は「Vh×0.4+VL」C−D点間の電圧は「Vh×0+VL」E−F点間の電圧は「Vh×1+VL」として示されている。また、時間情報としての各時点間の時間は、各時点間にカウントされるクロック数にて示されている。すなわち、最大振幅Vhとして「36V」、最小電圧VLとして「1.4V」が記憶されている場合には、A―B点間では電圧が「15.8V」に4クロック分保持され、B―C点間では電圧が「15.8V」から「1.4V」に4クロックで変更され、C―D点間では電圧が「1.4V」に2クロック分保持され、D―E点間では電圧が「1.4V」から「37.4V」に3クロックで変更され、E―F点間では電圧が「37.4V」に3クロック分保持され、F―G点間では電圧が「37.4V」から「15.8V」に6クロックで変更され、G時点以降はCH信号が入力されるまで「15.8V」に保持されることになる。すなわち、H時点は、CH_A(CH_B)信号が入力される時点を示している。図9に示した理想的な単位信号は、所定量のインクを吐出するために設計された信号であり、この単位信号を含む駆動信号が「出力すべき駆動信号」に相当し、図10に示す単位信号を生成するための情報が「出力すべき駆動信号を規定する信号規定情報」に相当する。
プリンタ側コントローラ60のCPU62は、図9に示すような単位信号を生成するための信号規定情報(図10)に基づいて、クロック信号に同期させてデジタルアナログ変換器715A(715B)に入力するDAC値を示すデータテーブルを生成する。すなわち、このDAC値が「周期的に入力される数値情報」に相当する。図11は、単位信号を生成するためにクロック信号CLKに同期させて入力されるDAC値とアドレスとを対応付けたデータテーブルの一例を示す図であり、図12は、第1波形生成回路71Aの動作を説明するための図である。
すなわち、メモリ63の所定の領域には、クロック信号に応じて順次出力されるDAC値がアドレスに対応付けられて記憶されている。例えば、図12に示す原駆動信号のA点―B点間は、後述するラッチ信号LATをトリガとして、ラッチ信号LATを含む4クロック目まで、出力電圧「15.8V」に対応付けられたDAC値「168h」がクロック信号CLKに同期して出力される。このため、アドレス0〜3には「168h」が記憶されている。次の5クロック目から8クロック目までの4クロックにて出力電圧が「1.4V」になるように段階的に電圧を変化させる。すなわち、ラッチ信号LATから5クロック目は、出力電圧「12.2V」に対応付けられたDAC値「010Eh」が出力され、6クロック目は、出力電圧「8.6V」に対応付けられたDAC値「0B4h」が出力され、7クロック目は、出力電圧「5V」に対応付けられたDAC値「05Ah」」が出力され、8クロック目は、出力電圧「1.4V」に対応付けられたDAC値「000h」が出力されるようなDAC値が設定される。このように、クロック信号CLKが入力される毎に出力されるべきDAC値がアドレスに対応付けられて、メモリ63に順次記憶されてデータテーブルが形成される。
そして、プリンタ側コントローラ60のCPU62は、メモリ63のアドレスを示すポインタを、まずラッチ信号LATに基づいてデータテーブルのアドレス0に移動させ、アドレス0に記憶されているDAC値をデジタルアナログ変換器715Aに出力させる。その後、クロック信号CLKが入力される毎にポインタが示すアドレスに順次移動させるとともに、ポインタにて示されたアドレスに記憶されているDAC値を第1波形生成回路71Aのデジタルアナログ変換器715Aに出力する。そして設定されたDAC値に基づいて第1波形生成回路71Aが動作されて生成された信号が、電圧増幅回路716A及び第1電流増幅回路72Aにて増幅されて第1原駆動信号波形が生成される。
次に、ヘッド制御部HCについて説明する。ここで、図13は、ヘッド制御部HCの構成を説明するブロック図である。図13に示すように、ヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダ83と、制御ロジック84と、防止回路85と、第1レベルシフタ86Aと、第2レベルシフタ86Bと、第1スイッチ87Aと、第2スイッチ87Bとを備えている。制御ロジック84を除いた各部、すなわち、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダ83と、防止回路85と、第1レベルシフタ86Aと、第2レベルシフタ86Bと、第1スイッチ87Aと、第2スイッチ87Bとは、それぞれピエゾ素子417毎に設けられている。そして、ピエゾ素子417はインクが吐出されるノズルNz毎に設けられるので、これらの各部もノズルNz毎に設けられる。
ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ60からの印刷データ(画素データSI)に基づき、インクを吐出させるための制御を行う。本実施形態では、画素データが2ビットで構成されており、クロック信号CLKに同期して、この画素データが記録ヘッド41へ送られてくる。この画素データは、上位ビット群から下位ビット群の順で送られる。例えば、ノズルNz(#1)の上位ビット、ノズルNz(#2)の上位ビット、…、ノズルNz(#179)の上位ビット、ノズルNz(#180)の上位ビット、ノズルNz(#1)の下位ビット、ノズルNz(#2)の下位ビット、…、ノズルNz(#179)の下位ビット、ノズルNz(#180)の下位ビットの順で送られてくる。このため、まず、画素データの上位ビット群が第2シフトレジスタ81Bにセットされる。全てのノズルNzについて画素データの上位ビット群が第2シフトレジスタ81Bにセットされると、続いて画素データの下位ビット群が第2シフトレジスタ81Bにセットされる。この画素データの下位ビット群のセットに伴い、画素データの上位ビット群はシフトして第1シフトレジスタ81Aにセットされる。
第1シフトレジスタ81Aには第1ラッチ回路82Aが電気的に接続され、第2シフトレジスタ81Bには第2ラッチ回路82Bが電気的に接続されている。そして、プリンタ側コントローラ60からのラッチ信号LATがHレベルになると、つまり、ラッチパルスが第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bに入力されると、第1ラッチ回路82Aは画素データの上位ビットをラッチし、第2ラッチ回路82Bは画素データの下位ビットをラッチする。第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bでラッチされた画素データ(上位ビットと下位ビットの組)はそれぞれ、デコーダ83に入力される。ここで説明したラッチ信号LATは、原駆動生成時にトリガとして用いられるラッチ信号LATでもある。
デコーダ83は、画素データの上位ビット及び下位ビットに基づいてデコードを行い、第1駆動信号COM_A及び第2駆動信号COM_Bを構成し、単位信号を含む波形部SS11〜SS16,SS21〜SS26(図14を参照。後述する。)を選択するための選択データを生成する。ここで、波形部SS11〜SS26はT1〜T6の各々の時間内に発生している波形全体を示しており、単位信号は、ピエゾ素子417にインクを吐出させる動作を実行させるために電圧が変化する部位、すなわち、ピエゾ素子417の動作開始から動作終了までを規定している、図9に示すB点からG点までの間の信号を示している。
本実施形態における選択データは、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとに分けて生成される。すなわち、第1原駆動信号COM_Aに対応する第1選択データは、第1波形部SS11から第6波形部SS16のそれぞれに対応する6ビットのデータによって構成される。同様に、第2原駆動信号COM_Bに対応する第2選択データもまた、第1波形部SS21から第6波形部SS26のそれぞれに対応する6ビットのデータによって構成される。このような動作をするデコーダ83は、選択データ生成部に相当し、2ビットの画素データ(階調データ)から6ビットの選択データを、原駆動信号COM_Nの数だけ生成する。
また、デコーダ83には、制御ロジック84からのタイミング信号も入力されている。この制御ロジック84は、プリンタ側コントローラ60と共にタイミング信号生成部として機能しており、ラッチ信号LATやチェンジ信号CH_A,CH_Bに基づいてタイミング信号生成する。このタイミング信号も原駆動信号COM_N毎に生成される。すなわち、第1原駆動信号COM_A用の第1タイミング信号TIM_Aと、第2原駆動信号COM_B用の第2タイミング信号TIM_Bが生成される。そして、図14に示すように、第1タイミング信号TIM_Aでは、ラッチパルスと、第1原駆動信号COM_A用のチェンジパルスの発生タイミングに同期してタイミングパルスが発生される。また、第2タイミング信号TIM_Bは、ラッチパルスと、第2原駆動信号COM_B用のチェンジパルスに同期してタイミングパルスが発生される。
デコーダ83によって生成された6ビットの選択データは、タイミングパルスによって規定されるタイミングで、上位ビット側から順に出力される。出力された選択データは、防止回路85を通った後に、第1レベルシフタ86Aや第2レベルシフタ86Bに入力される。すなわち、第1タイミング信号TIM_Aが有するタイミングパルスの立ち上がりタイミングに同期して、第1選択データが第1レベルシフタ86Aに入力される。また、第2タイミング信号TIM_Bが有するタイミングパルスの立ち上がりタイミングに同期して、第2選択データが第2レベルシフタ86Bに入力される。
第1レベルシフタ86A及び第2レベルシフタ86Bは、電圧増幅器として機能する。すなわち、これらの第1レベルシフタ86A及び第2レベルシフタ86Bは、選択データが[1]の場合に、対応するスイッチ(第1スイッチ87A,第2スイッチ87B)を駆動な程度の電圧まで昇圧されたオン信号を出力する。例えば、第1選択データが[1]の場合には、数十ボルトに昇圧されたオン信号が第1スイッチ87Aに出力される。同様に、第2選択データが[1]の場合には、数十ボルトに昇圧されたオン信号が第2スイッチ87Bに出力される。
なお、本実施形態では、デコーダ83と、第1レベルシフタ86A及び第2レベルシフタ86Bの間に、防止回路85が配置されている。この防止回路85は、一つのピエゾ素子417に対して、第1原駆動信号COM_A及び第2原駆動信号COM_Bが同時に印加されることを防止するためのものである。この防止回路85は、例えば、ロジック回路によって構成される。
そして、第1スイッチ87Aの入力側には駆動信号生成回路70からの第1原駆動信号COM_Aが印加されており、第2スイッチ87Bの入力側には第2原駆動信号COM_Bが印加されている。また、第1スイッチ87Aと第2スイッチ87Bの共通の出力側にはピエゾ素子417が電気的に接続されている。これらの第1スイッチ87A及び第2スイッチ87Bは、発生される原駆動信号COM_N毎に設けられるスイッチである。そして、第1駆動信号COM_Aを構成する波形部SS11〜SS16と、第2駆動信号COM_Bを構成する波形部SS21〜SS26を、ピエゾ素子417へ選択的に印加させる。
選択データは、第1スイッチ87A及び第2スイッチ87Bの動作を制御する。すなわち、第1スイッチ87Aに入力された選択データが[1]である期間には、この第1スイッチ87Aが接続状態になり、第1駆動信号COM_Aがピエゾ素子417に印加される。同様に、第2スイッチ87Bに入力された選択データが[1]である期間には、第2駆動信号COM_Bがピエゾ素子417に印加される。そして、ピエゾ素子417の電圧は、印加された第1駆動信号COM_A若しくは第2駆動信号COM_Bに応じて定まる。一方、第1スイッチ87Aに入力された選択データ及び第2スイッチ87Bに入力された選択データが共に[0]の期間において、第1レベルシフタ86A及び第2レベルシフタ86Bからは、第1スイッチ87A及び第2スイッチ87Bを動作させるための電気信号は出力されない。すなわち、第1スイッチ87A及び第2スイッチ87Bのうち、いずれか一方のスイッチからオン信号が出力されるか、又は、いずれもからオン信号が出力されないことにより、第1原駆動信号COM_Aと、第2原駆動信号COM_Bとが、それらの単位信号以外のタイミングにて切り替えられて1つの駆動信号COMが生成される。このとき、ピエゾ素子417はコンデンサの様に振る舞い、駆動信号COMの印加が停止された場合において停止直前の電圧を維持する。従って、駆動信号COMの印加が停止されている期間において、ピエゾ素子417は、駆動信号COMの印加が停止される直前の変形状態を維持する。なお、選択データの内容については、後で詳しく説明する。
===ドット形成時の具体的制御===
<駆動信号COMについて>
図14は、第1原駆動信号COM_Aと、第2原駆動信号COM_Bと、必要な制御信号を説明する図である。
例示した第1原駆動信号COM_Aは、期間T1で発生される第1波形部SS11と、期間T2で発生される第2波形部SS12と、期間T3で発生される第3波形部SS13と、期間T4で発生される第4波形部SS14と、期間T5で発生される第5波形部SS15と、期間T6で発生される第6波形部SS16とを有する。これらの波形部の中で、第1波形部SS11と、第3波形部SS13と、第5波形部SS15は、駆動パルスPSを有している。この駆動パルスPSは、図9に示された駆動パルスPSと同じ波形であり、単位信号に相当する。また、第2波形部SS12と、第4波形部SS14と、第6波形部SS16は、駆動パルスPSの最大電圧と最低電圧との間に位置し、基準となる基準電圧VCで一定となっている。この基準電圧VCは、駆動パルスPSの開始電圧及び終了電圧に相当する。従って、本実施形態の例では、第1原駆動信号COM_Aにおいて、期間T1にて駆動パルスPSが発生され、期間T2にて基準電圧VCで一定の信号(定電圧信号)が発生される。また、期間T3及び期間T5にて駆動パルスPSが発生され、期間T4及び期間T6にて定電圧信号が発生される。要するに、この第1原駆動信号COM_Aは、駆動パルスPSと定電圧信号とが交互に発生される信号である。
例示した第2原駆動信号COM_Bは、期間T1で発生される第1波形部SS21と、期間T2で発生される第2波形部SS22と、期間T3で発生される第3波形部SS23と、期間T4で発生される第4波形部SS24と、期間T5で発生される第5波形部SS25と、期間T6で発生される第6波形部SS26とを有する。本実施形態において、第2原駆動信号COM_Bの第1波形部SS21〜第6波形部SS26は、対応する第1原駆動信号COM_Aの第1波形部SS11〜第6波形部SS16と同じ時間幅に定められている。これに伴い、第1原駆動信号COM_A用の第1チェンジ信号CH_Aと、第2原駆動信号COM_B用の第2チェンジ信号CH_Bは、Hレベルになるタイミングが揃えられている。言い換えれば、パルスが同期して発生されている。
この第2原駆動信号COM_Bでは、第1波形部SS21と、第3波形部SS23と、第5波形部SS25は、基準電圧VCで一定の定電圧信号である。また、第2波形部SS22と、第4波形部SS24と、第6波形部SS26は、駆動パルスPSを有している。この駆動パルスPSは、第1原駆動信号COM_Aが有する駆動パルスPSと同じ波形であり、他の単位信号に相当する。そして、この第2原駆動信号COM_Bは、定電圧信号と駆動パルスPSとが交互に発生される信号であるといえる。
なお、第1原駆動信号COM_Aとの関係で表現すると、第2原駆動信号COM_Bは、第1原駆動信号COM_Aにおける駆動パルスPSの発生終了から次の駆動パルスPSの発生開始までの期間(つまり、定電圧信号の発生期間T2,T4,T6)に、駆動パルスPSを発生するものであるといえる。同様に、第1原駆動信号COM_Aを、第2原駆動信号COM_Bとの関係で表現すると、第1原駆動信号COM_Aは、第2原駆動信号COM_Bにおける駆動パルスPSの発生終了から次の駆動パルスPSの発生開始までの期間に、駆動パルスPSを発生する信号といえる。
要するに、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bは、互いに他方の駆動信号COMにおける駆動パルスPSの非発生期間に、駆動パルスPSを発生させる信号ということができる。
<階調制御について>
次に、このプリンタ1における階調制御について説明する。ここで、図15Aは、小ドットの形成時、中ドットの形成時、及び大ドットの形成時において、ピエゾ素子417に印加される波形部を説明する図である。また、図15Bは、画素データ(階調値)と、波形部の選択パターンと、選択データを説明する図である。この多階調の制御において、第1スイッチ87A及び第2スイッチ87Bは、デコーダ83が生成した選択データに基づき、動作が制御される。
まず、ドットの非形成(画素データ[00])の場合について説明する。この場合には、図15Bに示すようにデコーダ83は、非記録を示す画素データ[00]に基づき、第1選択データ[000000]及び第2選択データ[000000]を生成する。これらの第1選択データ[000000]及び第2選択データ[000000]は、タイミング信号がHレベルになるタイミング(立ち上がりタイミング)で、上位ビット側から順に、第1スイッチ87A及び第2スイッチ87Bへ出力される。ここで、第1選択データは[000000]であり、第2選択データも[000000]である。このため、第1原駆動信号COM_Aの波形部SS11〜SS16によって、ピエゾ素子417に電圧が印加されない。同様に、第2原駆動信号COM_Bの波形部SS21〜SS26によっても、ピエゾ素子417に電圧は印加されない。その結果、ピエゾ素子417には電圧が印加されずノズルNzからはインクが吐出されない。
次に、小ドットの形成(画素データ[01])の場合について説明する。この場合には、図15Bに示すようにデコーダ83は、小ドットの形成を示す画素データ[01]に基づき、第1選択データ[001000]及び第2選択データ[000000]を生成する。これらの第1選択データ[001000]及び第2選択データ[000000]は、前述したように、タイミング信号がHレベルになるタイミングで、上位ビット側から順に、第1スイッチ87A及び第2スイッチ87Bへ出力される。ここで、第1選択データは[001000]である。このため、第1原駆動信号COM_Aは、図15Aに示すように、T3の期間において、ピエゾ素子417に印加される。つまり、第3波形部SS13により、ピエゾ素子417に電圧が印加される。一方、第2選択データは[000000]である。このため、第2原駆動信号COM_Bによっては、ピエゾ素子417に電圧が印加されない。これにより、期間T3で発生された第3波形部SS13のみによりピエゾ素子417に電圧が印加され、ノズルNzからは小ドットに対応する量のインクが吐出される。その結果、用紙Sには小ドットが形成される。
次に、中ドットの形成(画素データ[10])の場合について説明する。この場合には、図15Bに示すようにデコーダ83は、中ドットの形成を示す画素データ[10]に基づき、第1選択データ[001000]及び第2選択データ[010100]を生成する。そして、第1選択データ[001000]が第1スイッチ87Aに出力されると、期間T3において、第1原駆動信号COM_Aがピエゾ素子417に印加される。つまり、図15Aに示すように、第3波形部SS13によりピエゾ素子417に電圧が印加される。また、第2選択データ[010100]が第2スイッチ87Bに出力されると、期間T2,期間T4において、第2原駆動信号COM_Bがピエゾ素子417に印加される。すなわち、図15Aに示すように、第2波形部SS22,第4波形部SS24によりピエゾ素子417に電圧が印加される。これにより、期間T2で発生された第2波形部SS22と、期間T3で発生された第3波形部SS13と、期間T4で発生された第4波形部SS24とによりピエゾ素子417に電圧が印加され、ノズルNzからは中ドットに対応する量のインクが吐出される。その結果、用紙Sには中ドットが形成される。このとき、結果的に期間T2と期間T3との間、及び、期間T3と期間T4との間にて、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとが切り替えられることになる。
次に、大ドットの形成(画素データ[11])の場合について説明する。この場合には、図15Bに示すようにデコーダ83は、大ドットの形成を示す画素データ[11]に基づき、第1選択データ[101010]及び第2選択データ[010101]を生成する。そして、第1選択データ[101010]が第1スイッチ87Aに出力されると、図15Aに示すように、期間T1,期間T3,期間T5において、第1原駆動信号COM_Aがピエゾ素子417に印加される。また、第2選択データ[010101]が第2スイッチ87Bに出力されると、図15Aに示すように、期間T2,期間T4,期間T6において、第2原駆動信号COM_Bがピエゾ素子417に印加される。これにより、第1原駆動信号COM_Aが有する3つの波形部SS11,SS13,SS15と、第2原駆動信号COM_Bが有する3つの波形部SS22,SS24,SS26によりピエゾ素子417に電圧が印加され、ノズルNzからは大ドットに対応する量のインクが吐出される。その結果、用紙Sには大ドットが形成される。このとき、結果的に期間T1と期間T2との間、期間T2と期間T3との間、期間T3と期間T4との間、期間T4と期間T5との間、期間T5と期間T6との間にて、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとが切り替えられることになる。
このように、本実施形態では、ピエゾ素子417に印加される電圧を発生させる波形部を、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bに分散させている。すなわち、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとは、駆動パルスPSを発生させるタイミングが相違する、互いに異なる原駆動信号である。このように駆動パルスPSの発生タイミングが異なる原駆動信号を切り替えて駆動信号COMを生成することにより、第1原駆動信号COM_A及び第2原駆動信号COM_Bの各々が有する駆動パルスPSの発生間隔を空けて設定し、たとえば、第1原駆動信号COM_Aが有する駆動パルスPSの間に第2原駆動信号COM_Bが有する駆動パルスPSを発生させて駆動信号を生成することが可能である。このため、各々の原駆動信号としては、駆動パルスの発生間隔を十分に確保しつつ、ピエゾ素子417からはインクを高い周波数で吐出させることが可能である。本実施形態の例では、第1原駆動信号COM_A及び第2原駆動信号COM_Bに関し、それぞれが繰り返し周期Tに有する駆動パルスPSの数は3個であるが、駆動信号COMとしては、各々の繰り返し周期Tに有する駆動パルスPSの数を6個とすることは可能である。しかしながら、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bの各々が有する駆動パルスPSの数を3個とし、第1原駆動信号COM_A及び第2原駆動信号COM_Bにおいて、ある駆動パルスPSの発生終了から次の駆動パルスPSの発生開始までの期間を空けることにより、各々の原駆動信号を生成するための駆動信号生成回路の発熱を抑え、かつ、よりきめ細かな画像を高速に印刷することが可能としている。
===本実施形態の概要===
ここまでの説明においては、理想的な第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bを用いることを前提として説明している。すなわち、所定のDAC値を入力すると、設定された設計値通りの電圧がピエゾ素子417に印加されることを前提として説明している。ところが、実際には、原駆動信号生成部の特性は、個々にばらつく場合がある。具体的には、互いに異なる原駆動信号生成部では、各原駆動信号生成部に同一のDAC値を入力しても同一の出力電圧が得られるとは限らない。このため、出力すべき駆動波形を出力させるために設定された設計値通りのDAC値を第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bに入力しても、理想的な設計通りの駆動信号が出力されない場合がある。このように、原駆動信号生成部毎に出力される駆動信号が異なると、ピエゾ素子417により吐出されるインクの量も相違する。このため、同一のドットを生成する場合であっても、原駆動信号生成部毎にドットのサイズが異なり、良好な画像が印刷できない畏れがある。また、プリンタ1が1つの原駆動信号生成部しか有していない場合であっても、印刷された画像が所望の色合いと異なってしまったり、複数のプリンタにて同一の画像を印刷してもプリンタ毎に画像が相違してしまう畏れがある。特に本実施形態では、ピエゾ素子417に印加される駆動信号を、2つの原駆動信号COM_A,COM_Bを切り替えて生成する場合がある。すなわち駆動信号COMを生成するための2つの原駆動信号COM_A,COM_Bは各々、異なる原駆動信号生成部70A,70Bにて生成される。このため、2つの原駆動信号COM_A,COM_Bを生成する第1原駆動信号生成部70Aと第2原駆動信号生成部70Bとの特性が異なる場合には、各々の原駆動信号COM_A,COM_Bを切り替える際の電圧(基準電圧)が、理論上は同電圧であるにもかかわらず異なってしまう場合がある。第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを切り替えた際の電圧が相違していた場合には、切り替えた瞬間に急激に電圧が変化する。このように急激に電圧が変化すると、原駆動信号を切り替えるだけで、ピエゾ素子417からインクが吐出される畏れがあり、画質が低下する場合がある。このため、本実施形態では切り替えた際に電圧が急激に変化しないように2つの原駆動信号生成部70A,70Bから各々出力される原駆動信号の電圧が揃うようにDAC値を設定する。
===DAC値の設定例===
DAC値の設定は、まず第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bの各々の特性を、例えば各原駆動信号生成部70A、70Bをプリンタ1に搭載する際に予め実測しておく。具体的には、各原駆動信号生成部70A、70Bに、DAC値「000h」から「3FFh」を順次入力し出力電圧を実測する。そして、原駆動信号生成部ごとに実測された出力電圧とDAC値とを対応付けた実測データテーブルを生成しメモリ63に記憶しておく。この実測データテーブルが、「入出力情報」であり、各原駆動信号生成部の特性を示している。
図16は実測データテーブルの概念を説明するための図である。図16においては、紙面の都合上説明に必要な情報のみを示しているが、実測データテーブルは入力DAC値が「000h」〜「3FFh」の各DAC値についてデータを有している。
図17は、図16に示す実測データテーブルを生成した第1原駆動信号生成部及び第2原駆動信号生成部に理論上のDAC値を入力した際に生成される原駆動信号を比較して説明するための図である。図17では、理論上のDAC値を入力した際に生成される第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを比較するために2つの原駆動信号と理論上の原駆動信号とを重ねて示したが、実際にこれらの信号が重なることはない。
図17に示すように、理論上のDAC値を入力した際に生成される第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとはいずれも、本来出力すべき駆動信号の単位信号及び基準電圧より低い出力電圧となる。このため、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを単に切り替えて生成した駆動信号COMは、本来出力すべき駆動信号COMとはなり得ない。
また、駆動信号COMは、第1原駆動信号COM_A及び第2原駆動信号COM_Bを切り替えて生成される場合があるが、切り替えるタイミングは各々の原駆動信号COM_A,COM_Bにおける単位信号が出力されておらず、基準電圧に保持されているタイミングである。すなわち、2つの原駆動信号COM_A,COM_Bを切り替えるタイミングは、ピエゾ素子417の動作終了後から動作開始までの所定期間においてCH信号が入力されるタイミングであり、図9におけるA―B間及びG−H間のいずれかである。そして、本実施形態の第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bを用いた場合、このタイミングにおける電圧は、第1原駆動信号COM_Aでは15.2Vであり、第2原駆動信号COM_Bでは14.6Vである。このため、第1原駆動信号COM_Aを第2原駆動信号COM_Bとを基準電圧となるタイミングにて切り替えると、切り替えた瞬間に電圧が変化することになる。このため、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを切り替えて生成した駆動信号COMが、本来出力すべき駆動信号COMと同じになるように、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを生成するためのDAC値を設定する。
まず、例えば第1原駆動信号生成部70Aから出力される第1原駆動信号COM_Aの基準電圧と、第2原駆動信号生成部70Bから出力される第2原駆動信号COM_Bの基準電圧とが、いずれも理論上の基準電圧15.8Vとなるように、実測データテーブルに基づいてDAC値を設定する。すなわち、基準電圧となるように第1原駆動信号生成部70Aに入力するDAC値として「177h」、第2原駆動信号生成部70Bに入力するDAC値として「1C2h」を、それぞれ設定する。
次に、単位信号を生成するためのデータテーブルとして、第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bに入力するためのDAC値を、理論上のDAC値と各々の原駆動信号生成部70A,70Bの実測データテーブルとに基づいて生成しメモリ63に記憶する。具体的には、基準電圧15.8Vとするための理論上のDAC値「168h」と、例えば、第1原駆動信号生成部70Aに入力すべきDAC値「177h」とは、DAC値として15段階異なるため、単位信号を生成するための理論上のデータテーブルにおける各DAC値を15段階大きな値に変更した新たなデータテーブルを生成し、第1原駆動信号生成部70A用のデータテーブルとしてメモリ63に記憶する。同様に、基準電圧15.8Vとするための理論上のDAC値「168h」と、第2原駆動信号生成部70Bに入力すべきDAC値「1C2h」とは、DAC値として30段階異なるため、単位信号を生成するための理論上のデータテーブルにおける各DAC値を30段階大きな値に変更した新たなデータテーブルを生成し、第2原駆動信号生成部70B用のデータテーブルとしてメモリ63に記憶する。
図18は、第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bに入力する新たなデータテーブルの概念を説明するための図である。図示するように、第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bにて単位信号を生成するためのデータテーブルとして記憶された新たなデータテーブルは、いずれも理論上の基準電圧、及び、理論上の単位信号が出力されるようにDAC値が変更されている。このため、プリンタ側コントローラ60のCPU62により、メモリ63のアドレスを示すポインタを順次移動させて、DAC値をデジタルアナログ変換器715Aに出力すると、第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bからは、いずれも基準電圧が15.8Vとなるような、また、理想的な単位信号が出力されるような原駆動信号が出力されることになる。このため、複数の原駆動信号部にて生成された異なる原駆動信号にて生成した駆動信号にてピエゾ素子を駆動しても、目標とした設計値通りのインク滴を吐出させることが可能である。
本実施形態では第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとにおける全体の電圧を揃えるようにDAC値を設定するために、基準電圧を設定した後に、原駆動信号全体の電圧を揃えるようにDAC値を設定することにより、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとにおける全体の電圧、すなわち、図9に示すA−B点間、B−C点間、C−D点間、D−E点間、E−F点間、F−G点間、G−H点間いずれもの電圧が揃うようにDAC値が設定される。このため、各々の原駆動信号が有する単位信号にて吐出されるインクの量をほぼ同じに揃えることが可能であり、プリンタ個々の画質及び色調等のばらつきを抑えることが可能である。
また、第1原駆動信号COM_A及び第2原駆動信号COM_Bにおいて、ある駆動パルスPSの発生終了から次の駆動パルスPSの発生開始までの期間に、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを切り替えたとしても、切り替えた瞬間に電圧が急激に変化することはない。よって、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを切り替えても電圧が変化しないため、原駆動信号を切り替えただけでピエゾ素子417からインクが吐出されることを防止することが可能である。
===印刷動作について===
前述した構成を有するプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60が、メモリ63に格納されたコンピュータプログラムに従って、制御対象部(用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、駆動信号生成回路70)を制御する。従って、このコンピュータプログラムは、この制御を実行するためのコードを有する。そして、制御対象部を制御することで、用紙Sに対する印刷動作が行われる。
図19は、プリンタの処理を説明するためのフローチャートである。本実施形態のプリンタ1は、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを切り替えて生成した駆動信号COMが、出力すべき理想的な駆動信号となるようにDAC値を設定するために、予め第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bの実測データテーブルを生成する。このため、プリンタ1の印刷動作とは別に、実測データテーブルを生成する実測処理を予め実行しておく。この実測処理は、CPU62がDAC値を原駆動信号生成部に「000h」から順次入力して実行してもよいし、プリンタ1とは別個の装置にて実測し、入力することとしてもよい。
プリンタ1にて印刷するために実施される処理としては、実測データテーブルを生成する実測処理(S00)、印刷命令の受信処理(S10)、単位信号を生成するためのデータテーブルを生成する単位信号データ生成処理(S20)、給紙処理(S30)、ドット形成処理(S40)、搬送処理(S50)、排紙判断処理(S60)、及び排紙処理(S70)を有している。以下、各処理について、簡単に説明する。
実測処理(S00)は、第1原駆動信号生成部70AにDAC値を「000h」から順次入力して出力電圧を測定し、DAC値と出力電圧とを対応付けた第1実測データテーブルを生成する第1実測処理(S01)と、第2原駆動信号生成部70BにDAC値を「000h」から順次入力して出力電圧を測定し、DAC値と出力電圧とを対応付けた第2実測データテーブルを生成する第2実測処理(S02)とを有している。第1実測処理(S01)と第2実測処理(S02)とにて生成された実測データテーブルはメモリ63に記憶される。すなわち、第1実測処理(S01)及び、第2実測処理(S02)が、「駆動信号生成回路の特性を実測するステップ」に相当する。
印刷命令の受信処理(S10)は、コンピュータ110からの印刷命令を受信する処理である。この動作において、プリンタ側コントローラ60はインタフェース部61を介して印刷命令を受信する。
単位信号データ生成処理(S20)において、プリンタ側コントローラ60は、実測処理(S00)にて記憶されている第1実測データテーブルと第2実測データテーブルとに基づいて、ピエゾ素子417の動作終了後から動作開始までの所定期間において第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとの電圧(基準電圧)VCが揃うように、DAC値を設定し、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとにて単位信号を生成するための各々のデータテーブルを生成する。このとき、印刷命令の受信処理(S10)にて受信した印刷モードを示す情報に基づいて駆動信号を規定する信号規定情報(図10)が選択され(S21)、選択された情報に基づいて、まず第1原駆動信号COM_A及び第2原駆動信号COM_Bの基準電圧のDAC値が設定される(S22)。次に、設定された基準電圧のDAC値に基づいて単位信号を生成するためにクロック信号毎に第1原駆動信号生成部70A及び第2原駆動信号生成部70Bに入力されるべきDAC値が各々設定されて(S23)、単位信号を生成するためのデータテーブルが設定される。単位信号データ生成処理(S20)の詳細については、上述したので、ここでは省略する。
給紙処理(S30)は、印刷対象となる用紙Sを移動させ、印刷開始位置(所謂頭出し位置)に位置決めする処理である。この処理において、プリンタ側コントローラ60は、搬送モータ22を駆動するなどして、給紙ローラ21や搬送ローラ23を回転させる。
ドット形成処理(S40)は、用紙Sにドットを形成するための処理である。この処理において、プリンタ側コントローラ60は、キャリッジモータ31を駆動したり、駆動信号生成部やヘッド41に対して制御信号を出力したりする。このとき、単位信号データ生成処理(S20)にて生成された単位信号を生成するための各々のデータテーブルに基づいて、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとが生成される(S41)。そして、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを必要に応じてクロック信号毎に選択し駆動信号COMを生成する(S42)。生成された駆動信号COMに基づいて、プリンタ側コントローラ60がヘッド41の移動中にピエゾ素子417を駆動することにより、ノズルNzからインクが吐出され、用紙Sにドットが形成される。
すなわち、単位信号データ生成処理(S20)及び各々のデータテーブルに基づいて、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとが生成される処理(S41)が、「信号規定情報と、実測した特性とに基づいて駆動信号を生成するステップ」に相当する。
搬送処理(S50)は、用紙Sを搬送方向へ移動させる処理である。この処理において、プリンタ側コントローラ60は、搬送モータ22を駆動して搬送ローラ23を回転させる。この搬送動作により、先程のドット形成動作によって形成されたドットとは異なる位置に、ドットを形成することができる。
排紙判断処理(S60)は、印刷対象となっている用紙Sに対する排出の要否を判断する処理である。この判断は、例えば、印刷データの有無に基づき、プリンタ側コントローラ60によって行われる。
排紙処理(S70)は、用紙Sを排出させる処理であり、先程の排紙判断で「排紙する」と判断されたことを条件に行われる。この場合、プリンタ側コントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることで、印刷済みの用紙Sを外部に排出させる。
本実施形態においては、単位信号を生成するための情報がメモリ63に記憶されており、印刷する際に、この情報に基づいて単位信号を生成するためのデータテーブルを生成する例について説明したが、予め単位信号を生成するためのデータテーブルをメモリ63に記憶しておいてもよい。この場合には、印刷モードに応じて単位信号がそれぞれ異なると、メモリ63に記憶しておくデータテーブルが多くなるため、上記実施形態のように、単位信号を生成するための情報をメモリ63に記憶しておくことが望ましい。
本実施形態のように、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを切り替えて駆動波形を生成する場合には、信号規定情報と実測した特性とに基づいて、少なくとも基準電圧を、出力すべき基準電圧に揃うようにDAC値を設定することにより、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを切り替えた際に急激に出力電圧が変化しないような駆動信号を生成することが可能である。
<原駆動信号が1つの場合>
ここまでは、プリンタ1の駆動信号生成回路70が第1原駆動信号生成部70Aと第2原駆動信号生成部70Bを有し、第1原駆動信号COM_Aと第2原駆動信号COM_Bとを切り替えて駆動信号を生成する例について説明したが、原駆動信号は1つであってもよい。
図20は、原駆動信号が1つの場合における駆動信号生成回路の構成を示す図である。例えば、上述した実施形態では、駆動信号生成回路70が第1原駆動信号生成部70Aと第2原駆動信号生成部70Bを有していたが、ここでは、駆動信号生成回路70が1つの原駆動信号生成部70Cのみを有している。すなわち、駆動信号生成回路70は、原駆動信号COM_Cを生成する原駆動信号生成部70C有し、原駆動信号生成部70Cは、波形生成回路71Cと電流増幅回路72Cとを有している。
原駆動信号が1つの場合におけるDAC値の設定方法は、まず原駆動信号生成部70Cの特性を予め実測しておく。すなわち原駆動信号生成部70Cに、DAC値「000h」から「3FFh」を順次入力し出力電圧を実測し、実測された出力電圧とDAC値とを対応付けた実測データテーブルを生成しメモリ63に記憶しておく。このとき生成された実測データテーブルは、上述した第1原駆動信号生成部70Aの実測データテーブルと同じであってとする。このため、理論上のDAC値を入力した際に生成される原駆動信号COM_Cは、本来出力すべき駆動信号の単位信号、及び基準電圧より低い出力電圧となる。このため、原駆動信号生成部70Cにて生成される駆動信号COM_Cが、本来出力すべき駆動信号COMと同じになるように、原駆動信号COM_Cを生成するためのDAC値を設定する。
まず、例えば原駆動信号生成部70Cから出力される原駆動信号COM_Cの基準電圧が、理論上の基準電圧15.8Vとなるように、実測データテーブルに基づいてDAC値を「177h」に設定する。次に、単位信号を生成するためのデータテーブルとして、原駆動信号生成部70Cに入力するためのDAC値を、理論上のDAC値と各々の原駆動信号生成部70Cの実測データテーブルとに基づいて生成しメモリ63に記憶する。すなわち、基準電圧15.8Vとするための理論上のDAC値「168h」と、原駆動信号生成部70Cに入力すべきDAC値「177h」との差分(15段階)だけ、理論上のデータテーブルにおける各DAC値を大きな値に変更した新たなデータテーブルを生成してメモリ63に記憶する。
図21は、原駆動信号が1つの場合におけるプリンタの処理を説明するためのフローチャートである。原駆動信号が1つの場合には、上述した2つの原駆動信号を切り替えて駆動信号を生成する場合と比較して、実測処理(S00A)、ドット形成処理(S40)が相違する。具体的には、実測処理(S00A)においては、プリンタが備える原駆動信号生成部が1つであるため、特性を実測する工程を1つの原駆動信号部にて実行する点で上記実施形態と異なる。また、ドット形成処理(S40A)においては、駆動信号生成処理(S41A)にて1つの原駆動信号COM_Cが生成され、駆動信号生成処理(S42A)にて1つの原駆動信号が有する単位信号が、印刷すべきドットサイズに応じて選択される点で相違する。
このようにして、原駆動信号生成部70Cにて単位信号を生成するためのデータテーブルとして記憶された新たなデータテーブルは、理論上の基準電圧、及び、理論上の単位信号が出力されるようにDAC値が変更される。このため、プリンタ側コントローラ60のCPU62により、メモリ63のアドレスを示すポインタを順次移動させて、DAC値をデジタルアナログ変換器715Aに出力すると、基準電圧が15.8Vとなるような、また、理想的な単位信号が出力されるような駆動信号COMが出力されることになる。このため、原駆動信号部70Cにて生成された駆動信号にてピエゾ素子を駆動すると、目標とした設計値通りのインク滴を吐出させることが可能である。
したがって、いずれの駆動信号生成回路であっても、出力すべき駆動信号に忠実な駆動信号を生成することが可能なので、互いに特性の異なる複数の駆動信号生成回路にて、ほぼ同じ駆動信号を生成することが可能である。このため、複数の駆動信号生成回路にて生成される駆動信号は、ばらつきが小さくなり、ほぼ同等のインクが吐出されるため、形成される画像における色調等のばらつきを抑えることが可能である。特に、生成される駆動信号は、出力されるべき駆動信号とほぼ同じなので、適正な量のインクが吐出されるため、所望の画像を印刷することが可能である。さらに、駆動信号生成部70Cの特性は実測されるので、駆動信号生成部70Cの特性を正確に認識することが可能である。このため、駆動信号生成部70Cの正確な特性と信号規定情報とに基づいて駆動信号を生成することにより、出力すべき駆動信号に忠実な駆動信号を駆動信号生成部70Cにて生成することが可能である。
そして、互いに異なる駆動信号生成回路が各々別個のプリンタに搭載されている場合には、各々プリンタにて生成される原駆動信号もほぼ同じ駆動信号が生成されるので、各々のプリンタにて印刷される画像の画質及び色調等のばらつきを抑え、安定した画像を供給することが可能である。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてプリンタ1を有する印刷システム100について記載されているが、その中には、印刷制御装置や印刷制御方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<駆動信号について>
前述の実施形態において、第1駆動信号COM_Aが有する駆動パルスPSの数と、第2駆動信号COM_Bが有する駆動パルスPSの数は同じであった。例えば、第1実施形態において、繰り返し周期Tにおける駆動パルスPSの数は、第1駆動信号COM_Aが3個、第2駆動信号COM_Bも3個であった。しかし、駆動パルスPSの数を、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bで異ならせてもよい。例えば、一つの繰り返し周期T内において、最大5つの駆動パルスPSをピエゾ素子417に印加する構成の場合、第1駆動信号COM_Aに3個の駆動パルスPSを含ませ、第2駆動信号COM_Bに2個の駆動パルスPSを含ませることができる。
また、繰り返し周期T毎に、駆動パルスPSの数を変えるようにしてもよい。例えば、ある繰り返し周期Tにおいては、第1駆動信号COM_Aに3個の駆動パルスPSを、第2駆動信号COM_Bに2個の駆動パルスPSをそれぞれ含ませる。そして、次の繰り返し周期Tにおいては、第1駆動信号COM_Aに2個の駆動パルスPSを、第2駆動信号COM_Bに3個の駆動パルスPSをそれぞれ含ませる。さらに、その次の繰り返し周期Tにおいては、第1駆動信号COM_Aに3個の駆動パルスPSを、第2駆動信号COM_Bに2個の駆動パルスPSをそれぞれ含ませる。このようにすれば、繰り返し周期T内の駆動パルスPSの数が奇数であっても、第1原駆動信号生成部70Aと第2原駆動信号生成部70Bの発熱量を均等化できる。
また、前述した実施形態において、生成される原駆動信号は1種類または2種類であったが、これに限定されない。例えば、3種類以上の原駆動信号を発生させるようにしてもよい。
<印刷システムについて>
印刷システムに関し、前述の実施形態では、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とが別々に構成されている印刷システム100について説明したが、この構成に限定されない。印刷システムは、印刷装置と印刷制御装置とが一体になっているものであってもよい。
<駆動素子について>
前述の実施形態では、ピエゾ素子417を用いてインクを吐出させていた。しかし、インクを吐出させる素子は、ピエゾ素子417に限られるものではない。例えば、発熱素子や磁歪素子等、インクを吐出させるための動作を実行である素子ならば使用できる。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1の実施形態であったので、染料インク又は顔料インクをノズルNzから吐出させていた。しかし、ノズルNzから吐出させるインクは、このようなインクに限られるものではない。また、インクの色も前述した4色に限られるものではない。
<他の応用例について>
また、前述の実施形態では、プリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
1…プリンタ,20…用紙搬送機構,21…給紙ローラ,22…搬送モータ,23…搬送ローラ,24…プラテン,25…排紙ローラ,30…キャリッジ移動機構,31…キャリッジモータ,32…ガイド軸,33…タイミングベルト,34…駆動プーリー,35…従動プーリー,40…ヘッドユニット,41…ヘッド,41A…流路ユニット,411…ノズルプレート,412…貯留室形成基板,412a…インク貯留室,413…供給口形成基板,413a…インク供給口,41B…アクチュエータユニット,414…圧力室形成基板,414a…圧力室,415…振動板,416…蓋部材,416a…供給側連通口,417…ピエゾ素子,42…針側ケース部材,421…インク供給針,43…ヘッド側ケース部材,431…基板配置部,44…ヘッド制御基板,441…コネクタ,45…ヘッド側配線部材,50…検出器群,51…リニア式エンコーダ,52…ロータリー式エンコーダ,53…紙検出器,54…紙幅検出器,60…プリンタ側コントローラ,61…インタフェース部,62…CPU,63…メモリ,64…制御ユニット,70…駆動信号生成回路,70A…第1原駆動信号生成部,71A…第1波形生成回路,715A…デジタルアナログ変換器,716A…電圧増幅回路,72A…第1電流増幅回路,70B…第2原駆動信号生成部,71B…第2波形生成回路,715B…デジタルアナログ変換器,716B…電圧増幅回路,72B…第2電流増幅回路,70C…原駆動信号生成部,71C…波形生成回路,72C…電流増幅回路,81A…第1シフトレジスタ,81B…第2シフトレジスタ,82A…第1ラッチ回路,82B…第2ラッチ回路,83…デコーダ,84…制御ロジック,85…防止回路,86A…第1レベルシフタ,86B…第2レベルシフタ,87A…第1スイッチ,87B…第2スイッチ,100…印刷システム,110…コンピュータ,111…ホスト側コントローラ,112…インタフェース部,113…CPU,114…メモリ,120…表示装置,130…入力装置,131…キーボード,132…マウス,140…記録再生装置,141…フレキシブルディスクドライブ装置,142…CD−ROMドライブ装置,S…用紙,CTR…コントローラ基板,IC…インクカートリッジ,HC…ヘッド制御部,FC…コントローラ側配線基板,Nz…ノズル,Nk…ブラックインクノズル列,Nc…シアンインクノズル列,Nm…マゼンタインクノズル列,Ny…イエローインクノズル列,COM_A…第1駆動信号,COM_B…第2駆動信号,PS…駆動パルス,SS11…第1波形部,SS12…第2波形部,SS13…第3波形部,SS14…第4波形部,SS15…第5波形部,SS16…第6波形部,SS21…第1波形部,SS22…第2波形部,SS23…第3波形部,SS24…第4波形部,SS25…第5波形部,SS26…第6波形部,CH_A…第1チェンジ信号,CH_B…第2チェンジ信号,CLK…クロック信号,TIM_A…第1タイミング信号,TIM_B…第2タイミング信号