JP4644812B2 - ゼオライトを用いた抗菌剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ゼオライトを用いた抗菌剤に関し、詳しくは、ゼオライトのユニットセルに酸素活性化金属錯体が内包された構成を備える抗菌剤に関する。
一般的な光触媒である二酸化チタンを抗菌剤に利用する技術が知られている。例えば特許文献1には、二酸化チタンを含む塗膜を基体に形成してなる光触媒体を用いた抗菌剤が記載されている。一方、特許文献2には、金属フタロシアニン誘導体等の金属錯体をゼオライト等の担体に保持させてなる消臭体が記載されている。この特許文献2には、また、かかる金属錯体が殺菌・滅菌作用や制菌作用を有するとの記述がある。
特開平11−169727号公報 特開平5−277167号公報
これらの特許文献に記載された技術では、抗菌に寄与する成分(抗菌成分)である金属フタロシアニン誘導体等の金属錯体あるいは二酸化チタンを、例えばディッピング等の方法によって担体の表面上に保持させている。換言すれば、担体に抗菌成分を担持した構成の抗菌剤において、該抗菌成分はその抗菌剤の外部に露出している。かかる態様の抗菌剤では、該抗菌成分により発揮される抗菌作用に関連して該成分を担体に担持するためのバインダが劣化して該成分が担体から脱落しやすくなる等、耐久性が不足しがちである。また、このように担体の表面に抗菌成分を担持した態様の抗菌剤等を例えば有機質の繊維に付着させた抗菌繊維では、抗菌剤表面に露出した抗菌成分が繊維と直接接触するため、該成分がその機能を発揮することに関連して繊維がダメージを受ける虞がある。
そこで本発明は、ゼオライトを用いた抗菌剤であって、より使い勝手のよい抗菌剤を提供することを目的とする。例えば、耐久性の向上および周辺材料に与えるダメージの低減の少なくとも一方を実現し得る抗菌剤を提供することを目的とする。
ここに開示される一つの技術は、ゼオライトを用いた抗菌剤に関する。その抗菌剤は、周期表の1〜13族に属する金属を含むゼオライトと、該ゼオライトのユニットセルに内包されている酸素活性化金属錯体と、前記ゼオライトに保持されている光還元性金属錯体とを含む。ここで、前記周期表の1〜13族に属する金属は、銀、銅および亜鉛からなる群から選択される一種または二種以上の金属である。また、前記酸素活性化金属錯体はコバルト錯体である。前記光還元性金属錯体はルテニウム錯体である。
かかる構成の抗菌剤によると、前記酸素活性化金属錯体の有する酸素活性化機能を利用して抗菌作用を発揮することができる。該抗菌剤は、前記酸素活性化金属錯体がゼオライトのユニットセルに内包されていることにより、周辺物質にダメージを与え難く、使い勝手が良い。また、前記光還元性金属錯体は、光エネルギーの供給を受けて自らは酸化される一方、電子(e-)を放出することができる。このため、酸素活性化金属錯体に加えて光還元性金属錯体を有する上記抗菌剤によると、より優れた抗菌性能が実現され得る。
なお、ここで「抗菌作用」とは、菌の発生、生育および増殖のうち少なくとも一つを防止または抑制する作用をいう。ここでいう「抗菌」の概念には、例えば、殺菌、滅菌、除菌、制菌等と称される一種または二種以上の機能が包含され得る。
なお、上記ゼオライトの含有する金属(以下、「ゼオライトに含まれる金属」ということもある。)は、典型的には、イオン交換可能な形態で(例えば、二次イオンとして)該ゼオライトに含まれている。したがって、例えば、ゼオライト骨格の形成に参加しているアルミニウム(換言すれば、ゼオライト骨格に組み込まれているアルミニウム)は、ここでいう「ゼオライトに含まれる金属」の概念には含まれない。一方、イオン交換可能な形態でゼオライトに含まれているアルミニウム(例えば、イオン交換等によって事後的にゼオライトに導入されたアルミニウムイオン)は、上記「ゼオライトに含まれる金属」であり得る。
前記酸素活性化金属錯体としては、酸素からスーパーオキシドラジカル、ヒドロキシラジカル等の活性種を生じさせる酸素活性化触媒として機能し得る種々の錯体を特に限定なく使用することができる。例えば、金属フタロシアニン錯体、ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト金属錯体、および、環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体、からなる群から選択される一種または二種以上を好ましく採用することができる。好ましい一つの態様では、該酸素活性化金属錯体を構成する配位子が一または二以上のフッ素置換基(置換基としてのフッ素原子)を有する。かかる置換基を有する酸素活性化金属錯体がユニットセルに内包された抗菌剤によると、より優れた抗菌性能が実現され得る。例えば、一または二以上の水素原子がフッ素原子で置換された構造のフタロシアニン配位子を有する金属錯体が好ましい。また、例えば、中心金属がコバルト、鉄、マンガン、ルテニウム、チタン、バナジウム、ニッケル、銅またはセリウムである一種または二種以上の金属錯体を、前記酸素活性化金属錯体として好ましく採用することができる。
かかる抗菌剤の一つの好ましい態様では、前記光還元性金属錯体が前記ゼオライトのユニットセルに内包されている。このように光還元性金属錯体がユニットセルに内包された構成の抗菌剤によると、該抗菌剤が周辺材料にダメージを与える事象を、より高いレベルで防止することができる。
前記光還元性金属錯体としては、光エネルギーの供給を受けて電子(e-)を放出する光触媒として機能し得る種々の錯体を特に限定なく使用することができる。例えば、かかる機能を有する各種のルテニウム錯体(中心金属としてルテニウムを有する金属錯体)を好ましく採用することができる。また、例えば、ビピリジン骨格を有する少なくとも一つの化合物を配位子(ビピリジン型配位子)とする金属錯体(ビピリジン金属錯体)を、前記光還元性金属錯体として好ましく採用することができる。
好ましい一つの態様では、該抗菌剤が、前記酸素活性化金属錯体1モルに対して前記光還元性金属錯体を凡そ0.1〜10モルの割合で含む。かかる割合で前記酸素活性化金属錯体および前記光還元性金属錯体を含有する抗菌剤によると、より良好な抗菌性能が実現され得る。
ここに開示される一つの抗菌剤は、前記ゼオライトが周期表の3〜13族に属する一種または二種以上の金属(例えば、周期表の4〜13族またはランタノイドに属する金属)を含むものであり得る。かかる構成の抗菌剤によると、該金属と前記酸素活性化金属錯体との協同作用によって、例えば、酸素由来活性種の生成および/または該活性種と基質(菌体等)との反応(例えば酸化反応)のうち少なくとも一方をより効率よく進行させ得る。このことによって、より良好な抗菌性能が実現され得る。
ここに開示される抗菌剤の一つの好ましい態様では、前記ゼオライトが、銀(Ag)、銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される一種または二種以上の金属を含む。これらの金属は、それ自体が(例えば、該金属イオン単独でも)抗菌作用を有するものであり得る。したがって、酸素活性化金属錯体とともに用いられる金属としてこれらの金属を選択することによって、より優れた抗菌性能が実現され得る。人体や環境への影響等の観点から、該金属として少なくとも銀を含有する抗菌剤が特に好ましい。
前記ゼオライトとしては、例えば、X型ゼオライトまたはY型ゼオライトを好ましく採用することができる。これらのゼオライトは、そのユニットセルに酸素活性化金属錯体を内包させるのに適した骨格構造を有する。
ここに開示される抗菌剤の好ましい一つの態様では、前記ユニットセルの入口部よりもサイズ(分子サイズ)の大きな前記酸素活性化金属錯体が該ユニットセルに内包されている。このような抗菌剤は、前記酸素活性化金属錯体がユニットセルに安定して保持されている(閉じ込められている)ことから使い勝手がよい。例えば、該抗菌剤に施され得る種々の処理および/または該抗菌剤の種々の使用状況において、良好な耐久性を示すものであり得る。また、該抗菌剤が周辺材料にダメージを与える事象を、より高いレベルで防止することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される抗菌剤は、周期表の1〜13族に属する金属を含む(典型的には、イオン交換可能な形態で含む)ゼオライトと、該ゼオライトのユニットセルに内包されている酸素活性化金属錯体と、該ゼオライトに保持されている光還元性金属錯体とを含む。かかる抗菌剤を構成するゼオライトは、従来より知られている多孔質結晶性アルミノケイ酸塩に限定されず、同様の結晶構造(骨格構造)を有する多孔質結晶性メタロケイ酸塩、リン酸塩系多孔質結晶等の無機材料であり得る。これら多孔質結晶性アルミノケイ酸塩と類似結晶構造(以下、「ゼオライト型の結晶構造」ということもある。)を有する無機材料については、2000年7月発行の書籍「ゼオライトの科学と工学」(小野嘉夫、八嶋建明著、講談社刊)に詳細な説明がされている。ここでいう「ゼオライト」の概念には、これらゼオライト型の結晶構造を有する種々の無機材料が包含され得る。前記ゼオライトとしては、このようなゼオライト型無機材料から選択される一種または二種以上を適宜選択して使用することができる。また、該ゼオライトの「ユニットセル」とは、該ゼオライトの結晶構造(骨格構造)における構造単位をいう。この「ユニットセル」は、また、該ゼオライトにおいて一つの細孔を構成する単位ともなっている。
前記ゼオライトの具体的な構造としては、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、グメリナイト、β型ゼオライト、モルデナイト、オフレタイト、EMT、SAPO−37、ベリロリン酸塩X等のように細孔の入口部が12個の原子により形成されている大細孔のもの;クローバライト等のように細孔の入口部が14個以上の原子により形成されている超大細孔のもの;フェリエライト、ヒューランダイト、ウェイネベアイト等のように細孔の入口部が10個の原子により形成されている中細孔のもの;アナルシム、チャバサイト、エリオナイト、A型ゼオライト等のように細孔の入口部が8個以下の原子により形成されている小細孔のもの;等を例示することができる。これらのうち好ましいゼオライトとして、例えば、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、EMT、SAPO−37およびベリロリン酸塩Xが挙げられる。これらのゼオライトは、細孔の内部のサイズが概ね直径1.3nmであり、該細孔の入口部のサイズが概ね直径0.7nmであって、一つのユニットセルに一分子の酸素活性化金属錯体が内包された構成を有する抗菌剤を構築するのに適している。特に、ゼオライトのユニットセル内(細孔内)の除去対象物質を分解しやすい位置に酸素活性化金属錯体が内包された構成の抗菌剤を容易に合成できるという観点から、X型ゼオライトおよび/またはY型ゼオライトの使用が特に好ましい。
一般にゼオライトは、その骨格構造(典型的には、ケイ素とアルミニウムとが酸素を介して結合した骨格構造)の有する電荷を中和する陽イオンを含有する。該陽イオン(カチオン)は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属;等から選択される一種または二種以上であり得る。また、銀、銅、亜鉛、白金、パラジウム、アルミニウム、インジウム、スズ、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、金、モリブデン、タングステン等の、周期表4〜13族に属する金属;ランタン、セリウム等の希土類金属(例えばランタノイド);等から選択される一種または二種以上の金属の陽イオンであり得る。このような陽イオンは、例えばイオン交換によって、その一部または実質的に全部を他の陽イオン(二次イオン)に置き換えることができる。
ここに開示される抗菌剤の好ましい一つの態様では、該抗菌剤を構成するゼオライトが、周期表の3〜13族に属する一種または二種以上の金属を含有する(典型的には、上述のようにイオン交換可能な陽イオンとして含有する)ことによって特徴づけられるゼオライトである。すなわち、該ゼオライトに含まれる金属のうち少なくとも一部が周期表の3族(ランタノイドを含む。)〜13族に属する金属から選択される一種または二種以上であるゼオライトであり得る。例えば、上記イオン交換可能な陽イオンのうち一部が周期表の3〜13族に属する金属から選択される一種または二種以上(例えば銀イオン)であり、残部がアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択される一種または二種以上の金属(例えばナトリウムイオン)であるゼオライトであり得る。このような構成のゼオライトは、例えば、上記イオン交換可能な陽イオンが実質的にナトリウムイオンであるゼオライトと、銀イオンを含有する水溶液との間でイオン交換を行い、該ナトリウムイオンの少なくとも一部を銀イオンに置き換えることによって得ることができる。
ここに開示される抗菌剤を構成するゼオライトは、また、周期表の4〜12族(例えば10〜12族)に属する一種または二種以上の金属を含有する(典型的には、上述のようにイオン交換可能な陽イオンとして含有する)ものであり得る。上記「周期表の4〜12族に属する金属」としては、銀、銅、亜鉛、白金、パラジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、金、モリブデン、タングステン等が挙げられる。これらのうち、銀、銅、亜鉛、白金およびパラジウムからなる群から選択される一種または二種以上(例えば、これらのうちいずれか一種)の金属を含有するゼオライトを好ましく採用し得る。銀、銅および亜鉛からなる群から選択される一種または二種以上(例えば、これらのうちいずれか一種)の金属を含有するゼオライトの使用がより好ましい。該金属元素として銀を含有するか、あるいは銀と他の一種または二種以上の金属元素を含有するゼオライトが特に好ましい。なお、ここでいう周期表の族番号は、IUPACの定める1〜18の族番号表示によるものである。
ここに開示される抗菌剤を構成する「酸素活性化金属錯体」は、酸素(典型的には酸素分子(O2))からスーパーオキシドラジカル、ヒドロキシラジカル等の活性種を生じさせる酸素活性化触媒として機能し得る種々の金属錯体であり得る。スーパーオキシドラジカル(O2 -)は、例えば、酸素分子の一電子還元により生じ得る。このスーパーオキシドラジカルから、例えば過酸化水素(H22)を経てヒドロキシラジカル(・OH)が生じ得る。上記酸素活性化金属錯体は、このような酸素由来活性種の有する高い酸化力を利用して酸化反応を進行させる酸化触媒として把握され得る。かかる酸化反応は、ここに開示される抗菌剤による抗菌作用の発現(例えば、菌体の発生、生育または増殖の抑制)に寄与し得る。ここに開示される抗菌剤は、このような酸素活性化金属錯体の一種または二種以上がゼオライトのユニットセルに内包された構成を有するものであり得る。
前記抗菌剤の構成要素となり得る酸素活性化金属錯体としては、金属フタロシアニン錯体;ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト金属錯体(以下、「金属サロフェン錯体」ということもある。)、ビス(サリチリデン)エチレンジアミナト金属錯体、ビス(サリチリデン)プロピレンジアミナト金属錯体、ビス(サリチリデン)シクロヘキサンジアミナト金属錯体、ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミナト金属錯体;環状テトラピロール化合物(例えば、ポルフィリン、ポルフィセン)を配位子とする金属錯体;環状ポリアミン、環状ポリフォスフィン、環状ポリチオエーテル、環状ポリエーテルおよびそれらの化合物に含まれるヘテロ原子の一または二以上を窒素(N)、イオウ(S)、リン(P)または酸素(O)原子で置き換えた構造の環状化合物を配位子とする錯体;窒素(N)、リン(P)、硫黄(S)または酸素(O)原子を起点とする二脚型構造の三座配位子(例えば、ジエチレントリアミン)あるいは三脚型構造の四座配位子(例えば、トリスピリジルメチルアミン、ニトリロトリ酢酸、トリエタノールアミン)を有する金属錯体;等を例示することができる。さらに、ヒスチジン、ロイシン等のアミノ酸、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、1−メチル−1,3−ブタンジオン等の化合物を配位子とする金属錯体を例示することができる。これらのうち、酸素を活性化する能力や化合物自体の化学的安定性の観点から、金属フタロシアニン錯体、金属サロフェン錯体および環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも一種を好ましく採用することができる。金属フタロシアニン錯体および/または金属サロフェン錯体が特に好ましい。
なお、ここでいう「金属フタロシアニン錯体」は、該錯体を構成する配位子が置換基を有しないものに加えて、該配位子が置換基を有するものをも包含する概念であり、このことは他の金属錯体についても同様である。
ここに開示される抗菌剤においてゼオライトのユニットセルに内包される酸素活性化金属錯体は、例えば、下記一般式(1)により表される金属フタロシアニン錯体であり得る。
Figure 0004644812
ここで、上記式(1)中のR1,R2,R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子(H)、ハロゲン原子、置換基を有するまたは有しないアルキル基(例えば、水素原子の全部がフッ素原子で置き換えられた構造のアルキル基、すなわちパーフルオロアルキル基)、ニトロ基、第1級、第2級または第3級のアミノ基、カルボキシル基、カルボキシルアミド基、ニトリル基、水酸基、アルコキシル基、フェノキシル基、スルホン酸基およびスルホンアミド基からなる群から選択されるいずれかであり得る。上記アルキル基としては、炭素原子数が1〜3程度のもの(典型的にはメチル基)が好ましい。上記ハロゲン原子としては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)が例示される。これらのうちフッ素または塩素が特に好ましい。
上記式(1)に含まれる四つのR1は互いに同一であってもよく異なってもよい。R2,R3およびR4についても同様である。通常は、四つのR1、四つのR2、四つのR3、四つのR4がそれぞれ互いに同一である構造の金属フタロシアニン錯体が好ましい。また、R1とR4とが同一であり、かつR2とR3とが同一である構造の金属フタロシアニン錯体を好ましく採用することができる。上記式(1)中のR1〜R4の全てが同一である構造の金属フタロシアニン錯体であってもよい。かかる構造の金属フタロシアニン錯体は、高い対称性を有することから安定性のよいものであり得る。また、目的とする錯体を効率よく(例えば、精度よく)合成するのに適している。
ここに開示される抗菌剤を構成する金属フタロシアニン錯体の一好適例として、上記式(1)中のR1〜R4の全てが水素原子(H)である金属フタロシアニン錯体(すなわち、無置換の金属フタロシアニン錯体)が挙げられる。このような金属フタロシアニン錯体は、例えば、比較的安価な原料を用いたship-in-bottle法により、ユニットセル内で容易に合成することができる。したがって、該金属フタロシアニン錯体がゼオライトのユニットセルに内包された構成の抗菌剤を容易に製造することができる。
ここに開示される抗菌剤を構成する金属フタロシアニン錯体の他の好適例として、上記式(1)中のR1〜R4の全てがハロゲン原子である金属フタロシアニン錯体が挙げられる。かかる金属フタロシアニン錯体は、フタロシアニン骨格を構成するベンゼン環の水素原子がより電気陰性度の大きなハロゲン原子に置き換えられているため、除去対象物質の分解に寄与する活性種をより効率よく生成するものであり得る。したがって、このようなハロゲン置換金属フタロシアニン錯体をゼオライトのユニットセルに内包する抗菌剤によると、より高いガス浄化性能が発揮され得る。なかでも、電気陰性度の値が特に大きく、かつ無置換の金属フタロシアニン錯体と同程度の分子サイズを有することから、R1〜R4の全てがフッ素原子(F)である金属フタロシアニン錯体(金属パーフルオロフタロシアニン錯体)が特に好ましい。
また、ここに開示される抗菌剤においてゼオライトのユニットセルに内包される酸素活性化金属錯体は、例えば、下記一般式(2)により表される金属サロフェン(salophen)錯体であり得る。
Figure 0004644812
ここで、上記式(2)中のR5,R6,R7およびR8、ならびにR10,R11,R12およびR13は、それぞれ独立に、水素原子(H)、ハロゲン原子、置換基を有するまたは有しないアルキル基(例えばパーフルオロアルキル基)、ニトロ基、第1級、第2級または第3級のアミノ基、カルボキシル基、カルボキシルアミド基、ニトリル基、水酸基、アルコキシル基、フェノキシル基、スルホン酸基およびスルホンアミド基からなる群から選択されるいずれかであり得る。また、上記式(2)中のR9は、水素原子(H)、ハロゲン原子、置換基を有するまたは有しないアルキル基(例えばパーフルオロアルキル基)、ベンジル基およびその誘導体(例えば、置換基を有するベンジル基)、および、フェニル基またはその誘導体(例えば、置換基を有するベンジル基)、からなる群から選択されるいずれかであり得る。上記アルキル基としては、炭素原子数が1〜3程度のもの(典型的にはメチル基)が好ましい。上記ハロゲン原子としては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)が例示される。通常は、これらのうちフッ素または塩素であることが好ましい。
上記式(2)に含まれる二つのR5は互いに同一であってもよく異なってもよい。R6,R7およびR8についても同様である。通常は、二つのR5、二つのR6、二つのR7、二つのR8がそれぞれ互いに同一である金属サロフェン錯体が好ましい。このような金属サロフェン錯体は、目的とする錯体を効率よく(例えば、精度よく)合成するのに適している。
ここに開示される抗菌剤を構成する金属サロフェン錯体の一好適例として、上記式(2)中のR5〜R13の全てが水素原子(H)である金属サロフェン錯体(すなわち、無置換の金属サロフェン錯体)が挙げられる。このような金属サロフェン錯体は、例えば、比較的安価な原料を用いたship-in-bottle法により、ユニットセル内で容易に合成することができる。したがって、該金属サロフェン錯体がゼオライトのユニットセルに内包された構成の抗菌剤を容易に製造することができる。
ここに開示される抗菌剤を構成する金属サロフェン錯体の他の好適例として、上記式(2)中のR5〜R8のうち少なくとも一つがハロゲン原子である金属サロフェン錯体(ハロゲン化サロフェン錯体)が挙げられる。例えば、上記式(2)中のR6がいずれもフッ素原子である金属サロフェン錯体(フッ化サロフェン錯体)、該R6がいずれも塩素原子である金属サロフェン錯体(塩化サロフェン錯体)等を好ましく採用することができる。かかる構造の金属サロフェン錯体におけるR9〜R13は、例えば、いずれも水素原子であり得る。
酸素活性化金属錯体を構成する中心金属(上記式(1)または(2)で表される酸素活性化金属錯体では該式中のM)は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)およびセリウム(Ce)から選択される一種または二種以上(典型的には一種)であり得る。これらのうち、錯体合成の容易性(特に、ship-in-bottle法による合成に適していること)、抗菌性能等の観点から好ましい中心金属として、コバルト、鉄、マンガン、銅、ニッケル、チタンおよびルテニウムが挙げられる。特に限定するものではないが、酸素活性化金属錯体を100質量%として、該錯体の質量に占めるその中心金属の質量割合は例えば0.01〜10.0質量%(より好ましくは0.2〜2.0質量%)であり得る。一分子の酸素活性化金属錯体に含まれる中心金属の数は特に限定されない。すなわち、該酸素活性化金属錯体は、単核錯体、複核(二核)錯体および多核錯体のいずれであってもよい。例えば、単核の酸素活性化金属錯体がゼオライトのユニットセルに内包された構成の抗菌剤が好ましい。
ここに開示される抗菌剤では、前記酸素活性化金属錯体がゼオライトのユニットセルに内包されている。該酸素活性化金属錯体のサイズは、上記ユニットセルの有する細孔の内部のサイズと比較して概ね同程度またはそれよりも小さいことが好ましい。このようなサイズの関係を満たすゼオライトと酸素活性化金属錯体との組み合わせは、該錯体をユニットセルに効率よく内包させるのに適している。上記細孔内部のサイズと概ね同程度のサイズの酸素活性化金属錯体がユニットセルに内包された構成の抗菌剤が特に好ましい。
また、ユニットセルの有する細孔の入口部のサイズに対して、該入口部のサイズよりも大きなサイズの酸素活性化金属錯体が内包されていることが好ましい。すなわち、該酸素活性化金属錯体が、前記入口部を実質的に通過できない(該入口部を経由してユニットセルの細孔に出入りすることができない)サイズであることが好ましい。このようなサイズの関係を満たすゼオライトと酸素活性化金属錯体との組み合わせは、該錯体がユニットセルの内部(細孔内)に保持された状態を安定して維持するのに適している。例えば、該抗菌剤に施され得る種々の処理および/または該抗菌剤の種々の使用状況において、ユニットセルに内包された酸素活性化金属錯体が該ユニットセルの細孔から抜け出す(ユニットセルから失われる)事象が起こり難い。したがって、かかる抗菌剤は良好な耐久性を示すものであり得る。また、該抗菌剤が周辺材料にダメージを与える事象を、より高いレベルで防止することができる。
ここに開示される抗菌剤において前記酸素活性化金属錯体は、主として、一つのユニットセルに一分子の酸素活性化金属錯体が内包された(すなわち、該錯体が一分子毎に異なるユニットセルに内包された)態様で存在していることが好ましい。酸素活性化金属錯体として金属フタロシアニン錯体や金属サロフェン錯体等のように通常の状態(例えば、ゼオライトの外表面に付着した状態)では複数の錯体分子がスタック(積層)した状態となりやすい金属錯体を採用する場合には、かかる態様の抗菌剤が特に好ましい。複数の錯体分子が一分子毎に異なるユニットセルに内包されている(これにより錯体分子のスタックが阻止されている)状態では、それら複数の錯体分子がスタックした状態にある場合に比べて、個々の錯体分子の酸素活性化機能をより効率よく発揮させることができる。換言すれば、該酸素活性化金属錯体の利用効率を高めることができる。かかる構成の抗菌剤は、より高い抗菌性能を示すものであり得る。
このように一つのユニットセルに一分子の酸素活性化金属錯体を内包させるのに適したゼオライトと、該ゼオライトのユニットセルの形状(細孔の入口部および/または内部のサイズ)に応じたサイズの酸素活性化金属錯体とを組み合わせた構成の抗菌剤が好ましい。例えば、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、EMT、SAPO−37およびベリロリン酸塩Xからなる群から選択されるゼオライトと、上記一般式(1)または(2)においてベンゼン環に結合している基(上記式(1)ではR1〜R4、上記式(2)ではR5〜R8およびR10〜R13)がそれぞれ水素原子(H)、フッ素原子(F)または塩素原子(Cl)から選択されるいずれかである金属錯体との組み合わせが好ましい。より具体的には、上記ゼオライトと、上記一般式(1)におけるR1〜R4がそれぞれHおよびFから選択されるいずれかである金属フタロシアニン錯体(例えば、R1〜R4の全てがHである金属フタロシアニン錯体、R1〜R4の全てがFである金属フタロシアニン錯体)との組み合わせを好ましく採用することができる。また、上記ゼオライトと、上記一般式(2)におけるR5〜R8がそれぞれH,FおよびClから選択されるいずれかであってR10〜R13がいずれもHである金属サロフェン錯体との組み合わせを好ましく採用することができる。このような組み合わせは、一つの錯体分子の大きさがゼオライトのユニットセルの内部の大きさと概ね同程度であることから、一つのユニットセルに一分子の酸素活性化金属錯体が内包された構成を備える抗菌剤を形成するのに適している。
ゼオライトのユニットセル内に酸素活性化金属錯体を内包させる方法としては、ゼオライトと酸素活性化金属錯体形成用原料(該錯体を構成する配位子の前駆体等)とを含む混合物を封管中で加熱する方法、該混合物を加熱還流する方法等を適宜採用することができる。上記混合物としては、目的とする(すなわち、ユニットセルに内包させようとする)酸素活性化金属錯体の中心金属たる金属元素が担持されているゼオライトと、その金属元素に配位して上記酸素活性化金属錯体を構築し得る配位子前駆体とを含む混合物を好ましく使用することができる。かかる配位子前駆体としては、ユニットセルの入口部よりもサイズの小さな化合物を好ましく使用することができる。上記ユニットセルへの酸素活性化金属錯体の内包は、このような配位子前駆体がユニットセル内において金属元素に配位することによって該ユニットセル内で酸素活性化金属錯体が合成(構築)されるように行われることが好ましい。ユニットセルの入口部のサイズよりも分子サイズの大きな酸素活性化金属錯体を該ユニットセルに内包させる場合には、二分子以上の配位子前駆体(一種類の化合物であってもよく、二種以上の化合物であってもよい。)から一分子の錯体が合成されるように、該錯体およびそれに対応する配位子前駆体(好ましくは、さらに該錯体の中心金属たる金属元素)を選定することが好ましい。このようにユニットセル内で酸素活性化金属錯体を合成する手法(特に、該ユニットセルの入口部よりもサイズの大きな錯体を合成する手法)は、いわゆるship-in-bottle法として把握され得る。かかる合成法によると、ユニットセルの入口部よりも大きな酸素活性化金属錯体であっても、該錯体を該ユニットセルに効率よく内包させることができる。なお、かかる合成法は、ユニットセルの入口部よりも小さなサイズの酸素活性化金属錯体の合成にも好ましく適用され得る。
上記一般式(1)中のR1〜R4の全てが水素原子である(すなわち、無置換の)金属フタロシアニン錯体を酸素活性化金属触媒として使用する場合を例として、該金属フタロシアニン錯体をゼオライトのユニットセル内に内包させる好ましい方法について説明する。
目的とする酸素活性化金属触媒の中心金属となり得る金属元素(例えばコバルト)が適当量担持されたゼオライトを用意する。この金属担持ゼオライトを1,2−ジシアノベンゼン(フタロニトリル)と混合する。該混合物を、例えば封管中で、例えば200〜300℃で3〜24時間(典型的には4〜12時間)加熱することにより、ユニットセル内に金属フタロシアニン錯体を生成させる(合成する)ことができる。このようにして、ユニットセルに金属フタロシアニン錯体が内包されたゼオライトを得ることができる。ここで、ユニットセルに内包させる金属フタロシアニン錯体の量は、例えば、ゼオライトに担持させておく金属元素(酸素活性化金属触媒の中心金属を構成する金属元素)の量を調節することによって制御することができる。上記金属担持ゼオライトと1,2−ジシアノベンゼンとの混合比は、該ゼオライトに担持されている金属(例えばコバルト)のイオン換算で、該金属イオンに対して4当量以上の1,2−ジシアノベンゼンを含む比率とすることが適当である。
上記加熱処理の後、得られた錯体内包ゼオライトを適当な有機溶媒で洗浄することが好ましい。このことによって、未反応の1,2−ジシアノベンゼン(配位子前駆体)や、錯体生成反応の副生成物、ゼオライト骨格の外部に形成された(すなわち、ユニットセルに内包されていない)金属フタロシアニン錯体等を除去することができる。洗浄に使用する有機溶媒としては、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール等の炭素原子数1〜4程度のアルコール)、低級ケトン(例えば、アセトン、エチルメチルケトン等の炭素原子数3〜5程度のケトン)、ピリジン等を好ましく選択することができる。洗浄温度および洗浄時間は特に限定されず、所望の洗浄効果が達成されるように適宜設定することができる。例えば、各溶媒の沸点近辺の温度で洗浄することによって良好な洗浄効率が実現され得る。
なお、上記一般式(1)中のR1〜R4のうち少なくとも一つが水素原子以外の基である(すなわち、置換基を有する)金属フタロシアニン錯体をゼオライトのユニットセルに内包させる方法としては、例えば、対応する置換基を有する置換ジシアノベンゼンを使用して、上記と同様の操作を行う方法を例示することができる。
また、金属フタロシアニン錯体以外の酸素活性化金属錯体についても、上記方法に準じた操作方法を適用することにより、該錯体をゼオライトのユニットセルに内包させることができる。例えば、無置換の金属サロフェン錯体をユニットセルに内包させる場合には、配位子前駆体としてサリチルアルデヒドおよびフェニレンジアミンを使用し、中心金属に対応する金属元素を担持したゼオライトと上記配位子前駆体とを含む混合物を封管中で加熱または加熱還流するとよい。これらの配位子前駆体は、フェニレンジアミン1モルに対してサリチルアルデヒドを概ね2モル(例えば、1.5〜2.5モル)の割合で使用することが好ましい。また、置換基を有する金属サロフェン錯体をユニットセルに内包させる場合には、対応する置換基を有するサリチルアルデヒドおよび/またはフェニレンジアミンを使用すればよい。
ここに開示される抗菌剤を構成する「光還元性金属錯体」としては、光エネルギーの照射により(例えば、赤外線、可視光線または紫外線を受容することにより)自らは酸化される一方、電子(e-)を放出する光還元性金属触媒として機能し得る種々の金属錯体が採用され得る。該錯体から放出された電子は、前記酸素活性化金属錯体による酸素の活性化(活性種の生成)に寄与し得る。そのため、酸素活性化金属錯体に加えてこのような光還元性金属錯体を有する抗菌剤によると、より効率よく酸素を活性化することができ、このことによってより高い抗菌性能を発揮することができる。また、かかる光還元性金属錯体から供給(放出)される電子自体が抗菌効果に寄与することもあり得る。したがって、酸素活性化金属錯体と光還元性金属錯体とを有する抗菌剤によると、より優れた抗菌性能が実現され得る。
上記光還元性金属錯体としては、例えば、ビピリジン骨格を有する少なくとも一つの化合物(ビピリジン化合物)を配位子とするビピリジン金属錯体(典型的には金属トリスビピリジン錯体)を例示することができる。上記ビピリジン化合物は、そのビピリジン骨格(ピリジン環)が置換基を有する化合物であってもよく、置換基を有しない化合物(例えば、2,2’−ビピリジン)であってもよい。ここでいう「ビピリジン化合物」は、これら置換基を有するビピリジン化合物(ビピリジン誘導体)および置換基を有しないビピリジン化合物を包含する概念である。光還元性金属錯体の他の例として、2,2’−ビピラジン骨格を有する少なくとも一つの化合物(ビピリジン化合物の場合と同様に、置換基を有するまたは有しないビピラジン化合物であり得る。例えば、2,2’−ビピラジンであり得る。)を配位子とするビピラジン金属錯体、フェナントロリン骨格を有する少なくとも一つの化合物(同様に、置換基を有するまたは有しないフェナントロリン化合物であり得る。)等を例示することができる。
ここに開示される抗菌剤は、上記酸素活性化金属錯体の一種または二種以上をゼオライトのユニットセルに内包することに加えて、このような光還元性金属錯体の一種または二種以上がゼオライトに保持されたものであり得る。かかる構成の抗菌剤は、該抗菌剤に光エネルギーが供給されない状況または光エネルギーの供給が少ない状況においても、上記酸素活性化金属錯体の機能によって良好な抗菌性能を発揮するものであり得る。また、該抗菌剤に光エネルギーが供給される状況では、光還元性金属錯体および酸素活性化金属錯体の双方の機能を効果的に利用して、さらに高い抗菌性能を発揮するものであり得る。
ここに開示される抗菌剤においてゼオライトに保持される(典型的には、該ゼオライトのユニットセルに内包される)光還元性金属錯体は、例えば、下記一般式(3)により表されるトリスビピリジン錯体であり得る。なお、下記式(3)では、第一のビピリジン配位子についてのみ各ピリジン環を構成する炭素原子に結合する全ての基(R21,R22,R23,R24)を表示し、第二および第三のビピリジン配位子では該基の一部または全部の表示を省略しているが、これらのビピリジン配位子を構成する各ピリジン環も第一のビピリジン配位子の各ピリジン環と同じ位置にそれぞれR21,R22,R23,R24を有する。
Figure 0004644812
ここで、上記式(3)中のR21,R22,R23およびR24は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換基を有するまたは有しないアルキル基(例えばパーフルオロアルキル基)からなる群から選択されるいずれかであり得る。上記アルキル基としては、炭素原子数が1〜3程度のもの(典型的にはメチル基)が好ましい。上記ハロゲン原子としては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)が例示される。通常は、これらのうちフッ素または塩素が好ましい。
上記式(3)に含まれる三つのビピリジン配位子は、互いに同一であってもよく異なってもよい。また、各ビピリジン配位子に含まれる二つのR21は互いに同一であってもよく異なってもよい。R22,R23およびR24についても同様である。例えば、上記式(3)に含まれる六つのR21、六つのR22、六つのR23、六つのR24がそれぞれ互いに同一である構造の金属トリスビピリジン錯体を好ましく採用し得る。
光還元性金属錯体を構成する中心金属(上記式(3)で表される光還元性金属錯体では該式中のM)は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、白金(Pt)、クロム(Cr)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)およびレニウム(Re)から選択される一種または二種以上(典型的には一種)であり得る。これらのうち特に好ましい中心金属としてルテニウムが例示される。例えば、ビピリジン骨格を有する少なくとも一つの化合物を配位子とするルテニウム錯体(トリスビピリジンルテニウム錯体等)が好ましい。
このような光還元性金属錯体は、ゼオライトのユニットセルに内包された態様、ゼオライト骨格の外部(例えば、該ゼオライトの外表面上)に付着した態様等のうち一種または二種以上の態様で上記抗菌剤に保持され得る。例えば、該光還元性金属錯体が主としてゼオライトのユニットセルに内包された態様で保持されている抗菌剤が好ましい。その光還元性金属錯体のサイズは、上記ユニットセルの有する細孔の内部のサイズと比較して、概ね同程度またはそれよりも小さいサイズであることが好ましい。このようなサイズの関係を満たすゼオライトと光還元性金属錯体との組み合わせは、該錯体をユニットセルに効率よく内包させるのに適している。上記細孔内部のサイズと概ね同程度のサイズの光還元性金属錯体がユニットセルに内包された構成の抗菌剤が特に好ましい。
また、ユニットセルの有する細孔の入口部のサイズに対して、該入口部のサイズよりも大きなサイズの光還元性金属錯体が該ユニットセルに内包されていることが好ましい。すなわち、該光還元性金属錯体が、前記入口部を実質的に通過できない(該入口部を経由してユニットセルの細孔に出入りすることができない)サイズであることが好ましい。このようなサイズの関係を満たすゼオライトと光還元性金属錯体との組み合わせは、該錯体がユニットセルの内部(細孔内)に保持された状態を安定して維持するのに適している。例えば、該抗菌剤に施され得る種々の処理および/または該抗菌剤の種々の使用状況において、ユニットセルに内包された光還元性金属錯体が該ユニットセルの細孔から抜け出す(ユニットセルから失われる)事象が起こり難い。したがって、かかる構成の抗菌剤は、より耐久性に優れたものであり得る。
ここに開示される抗菌剤において前記光還元性金属錯体は、主として、一つのユニットセルに一分子の光還元性金属錯体が内包された態様で存在していることが好ましい。かかる態様によると、個々の錯体分子の機能(光エネルギーの供給を受けて電子を放出する機能)をより効率よく発揮させることができる。かかる構成の抗菌剤は、より高い抗菌性能を示すものであり得る。
このように一つのユニットセルに一分子の光還元性金属錯体を内包するのに適したゼオライトと、該ゼオライトのユニットセルの形状(細孔の入口部および/または内部のサイズ)に応じたサイズの光還元性金属錯体とを組み合わせた構成の抗菌剤が好ましい。例えば、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、EMT、SAPO−37およびベリロリン酸塩Xからなる群から選択されるゼオライトと、上記一般式(3)においてピリジン環に結合している基(R21〜R24)がそれぞれHおよびFから選択されるいずれかである(例えば、該式中に含まれる全てのR21〜R24がHである、すなわち無置換の)金属トリスビピリジン錯体との組み合わせが好ましい。
ゼオライトのユニットセルに光還元性金属錯体を内包させる方法としては、該ユニットセルに酸素活性化金属錯体を内包させることに関して上記で例示した方法と同様の方法を好ましく採用することができる。例えば、目的とする光還元性金属錯体の中心金属たる金属元素が担持されているゼオライトと、その金属元素に配位して上記光還元性金属錯体酸素活性化金属錯体を構築し得る配位子前駆体とを含む混合物を加熱することにより、ユニットセルに光還元性金属錯体が内包されたゼオライトを得ることができる。上記混合物の加熱条件は特に限定されないが、例えば、加熱温度としては100〜200℃程度、加熱時間としては3〜24時間程度の条件を採用することができる。その後、得られた錯体内包ゼオライトを適当な有機溶媒で洗浄することが好ましい。
このような光還元性金属錯体の合成に使用する配位子前駆体としては、ユニットセルの入口部よりもサイズの小さな化合物を好ましく使用することができる。上記ユニットセルへの光還元性金属錯体の内包は、このような配位子前駆体がユニットセル内において金属元素に配位することによって該ユニットセル内で光還元性金属錯体が合成(構築)されるように行われることが好ましい。ユニットセルの入口部のサイズよりも分子サイズの大きな錯体を該ユニットセルに内包させる場合には、二分子以上の配位子前駆体(一種類の化合物であってもよく、二種以上の化合物であってもよい。)から一分子の錯体が合成されるように、該錯体およびそれに対応する金属元素ならびに配位子前駆体を選択することが好ましい。このようにユニットセル内で光還元性金属錯体を合成する手法(特に、該ユニットセルの入口部よりもサイズの大きな錯体を合成する手法)は、いわゆるship-in-bottle法として把握され得る。かかる合成法によると、ユニットセルの入口部よりも大きなサイズの光還元性金属錯体であっても、該錯体を該ユニットセルに効率よく内包させることができる。なお、かかる合成法は、ユニットセルの入口部よりも小さなサイズの光還元性金属錯体の合成にも好ましく適用され得る。
ゼオライトに光還元性金属錯体を保持(典型的には、該ゼオライトのユニットセルに内包)させるタイミングは特に限定されない。例えば、該ゼオライトのユニットセルに酸素活性化金属錯体を内包させる前であってもよく後であってもよい。ゼオライトのユニットセルの有する細孔の入口部のサイズよりも大きなサイズの酸素活性化金属錯体が該ユニットセルに内包された態様の抗菌剤は、ユニットセルに酸素活性化金属錯体を内包させた後に光還元性金属錯体を保持させることを含む製造方法を採用する場合にも、その光還元性金属錯体を保持させる際に(例えば、上述のようなship-in-bottle法を適用して光還元性金属錯体を内包させる際に)、予め内包されている酸素活性化金属錯体がユニットセルから失われ難いので好ましい。また、酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体がいずれもゼオライトのユニットセルに内包された態様であって、これら錯体のいずれもがユニットセルの有する細孔の入口部のサイズよりも大きなサイズの錯体である場合には、酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体のいずれの錯体を先に内包させてもよい。いずれの場合にも、先に内包させた一方の錯体が、その後に他方の錯体を内包させる際にユニットセルから失われることが効果的に防止され得る。したがって、ここに開示される抗菌剤を製造する方法において選択の幅(例えば、各錯体をユニットセルに内包させる順序の選択幅)をより広げ得るので好ましい。
周期表の3〜13族(典型的には4〜12族またはランタノイド、好ましくは4〜12族、例えば10〜12族)に属する所望の金属を含むゼオライトは、例えば、イオン交換可能な陽イオンが周期表1〜13族に属する一種または二種以上の金属(例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択される一種または二種以上の金属、すなわち周期表の1族または2族に属する金属)であるゼオライトを用意し、該ゼオライトに含まれる陽イオンの少なくとも一部を上記所望の金属(例えば、銀、銅および亜鉛から選択される一種または二種以上)とイオン交換する(これにより上記所望の金属がゼオライトに導入される)ことを包含する方法によって得ることができる。かかるイオン交換は、所望の金属元素のイオンを含む溶液中にゼオライトを接触(分散等)させて、例えば室温で所定時間攪拌することによって行うことができる。ゼオライトに含有させる上記所望の金属の量は、例えば、上記溶液に含まれる該所望の金属イオンの量と、該溶液に接触させるゼオライトの量との比率を調節することによって制御することができる。ガス浄化性能等の観点から、ここに開示される抗菌剤の含有する上記所望の金属の量は、該抗菌剤を構成するゼオライトと上記金属と酸素活性化金属錯体と光還元性金属錯体との合計質量を100%として、例えばその凡そ0.01〜10.0質量%(好ましくは0.1〜5.0質量%)とすることができる。
上記イオン交換に使用する溶液としては、例えば、上記所望の金属の硝酸塩、過塩素酸塩、塩酸塩等から選択される一種または二種以上が水に溶解してなる水溶液を好ましく採用することができる。この溶液における金属塩の濃度は、目標とする担持量に応じて適宜設定され得るが、通常は概ね0.1〜5質量%(例えば、概ね0.5質量%)程度の濃度とすることが適当である。かかる溶液にゼオライトを分散させて、室温で数時間(例えば3時間)程度攪拌することにより、該ゼオライト中の陽イオンと溶液中の金属イオンとのイオン交換を行うことができる。その後、得られた固体を適当な溶媒(例えば水およびアセトン)で洗浄し、常法により乾燥する(例えば100℃程度の温度で乾燥する)ことにより、該ゼオライトに所望の金属を含ませる(担持させる)ことができる。
上記イオン交換を行うタイミングは特に限定されず、例えば、ゼオライトのユニットセルに酸素活性化金属錯体を内包させる前であってもよく後であってもよい。また、ゼオライトに光還元性金属錯体を保持させる(典型的には、ユニットセルに内包させる)前であってもよく後であってもよい。好ましい一態様として、ユニットセルに酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体を内包するゼオライトに対して(酸素活性化金属錯体と光還元性金属錯体とはいずれを先に内包させてもよい)イオン交換処理を施すことによって上記所望の金属を含有(担持)させる方法を例示することができる。酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体のいずれもが細孔入口部よりも大きなサイズの錯体である場合には、かかる方法を採用することによる利点がよりよく発揮されるので好ましい。このことによって、上記イオン交換を行う際に酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体がユニットセルから失われることが効果的に防止され得る。
なお、ここに開示される抗菌剤を構成するゼオライトに含まれる上記所望の金属(例えば、周期表3〜13族に属する一種または二種以上の金属)は、該抗菌剤の有する酸素活性化金属錯体および/または光還元性金属錯体の中心金属と同種の金属であり得る。例えば、ship-in-bottle法を適用してゼオライトのユニットセルに内包された酸素活性化金属錯体の中心金属と同種の金属であり得る。かかる態様の抗菌剤では、目的とする酸素活性化金属錯体の中心金属たる金属元素を担持したゼオライトと配位子前駆体とを反応させて該金属錯体を合成した後に残った未反応の(錯体を構成しない)中心金属を、上記所望の金属の一部または全部として利用することができる。ここに開示される抗菌剤には、このような手法により製造されたものも含まれ得る。
ここに開示される抗菌剤の好ましい一態様では、該抗菌剤を構成するゼオライトと酸素活性化金属錯体との質量比が、ゼオライト100質量部に対して酸素活性化金属錯体が例えば凡そ0.1〜20質量部の比率であり得る。該抗菌剤を構成するゼオライトと光還元性金属錯体との質量比は、例えば、ゼオライト100質量部に対して光還元性金属錯体が凡そ0.1〜20質量部の比率であり得る。
ここに開示される抗菌剤の他の好ましい一態様では、該抗菌剤の有するユニットセルの個数のうち凡そ1/30〜1/2(より好ましくは、凡そ1/20〜1/4)個の割合で、該ユニットセルに酸素活性化金属錯体が内包されている。また、該抗菌剤の有するユニットセルの個数のうち凡そ1/30〜1/2(より好ましくは、凡そ1/20〜1/4)個の割合で、該ユニットセルに光還元性金属錯体が内包されている抗菌剤が好ましい。
該抗菌剤に含まれる酸素活性化金属錯体と光還元性金属錯体とのモル比は、例例えば、酸素活性化金属錯体1モルに対する光還元性金属錯体の含有量が凡そ0.1〜10モル(より好ましくは凡そ0.2〜3モル、さらに好ましくは凡そ0.5〜1.5モル)となる比率であり得る。
このような割合でゼオライト、酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体を含有する抗菌剤によると、より高い抗菌性能が実現され得る。
ここに開示される抗菌剤に所定の金属錯体(典型的には、酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体)が含まれることは、例えば元素分析法等により確認することができる。また、該抗菌剤における金属錯体の存在状態は、ガス吸着法によって確認することができる。ゼオライトのユニットセルの大きさは、0.3〜1.8nm程度であり、このサイズは、空気中に含まれる酸素分子の大きさ(約0.3nm)や窒素分子の大きさ(約0.4nm)と同程度である。したがって、ユニットセル内に酸素活性化金属錯体も光還元性金属錯体も内含しないゼオライトに所定の条件下で酸素分子または窒素分子(以下、「測定ガス分子」ともいう。)を吸着させると、ゼオライトの外表面のみならず、該ゼオライトのユニットセル内(細孔内)にも測定ガス分子が吸着される。その測定ガス分子の吸着量から、ゼオライトの比表面積(すなわち単位質量当たりの表面積(単位m3/g))を算出することができる。ここで算出される表面積は、ゼオライトの外表面の面積のみならず、該ゼオライトのユニットセルの表面(細孔表面)の面積をも包含する表面積である。一方、ユニットセルに酸素活性化金属錯体を内包するゼオライトまたは酸素活性化金属錯体と光還元性金属錯体とを内包するゼオライトでは、ユニットセルの細孔に金属錯体が収容されているため、測定ガス分子が該細孔に入ることができない。その結果、ユニットセルに金属錯体が内包されたゼオライトでは該錯体を内包しないゼオライトに比べて測定ガス分子の吸着量が少なくなる。かかる吸着量の現象に対応して、該吸着量から算出される見かけの表面積も減少する。このような被測定ガス分子の吸着量および/または該吸着量から算出される表面積の値の差異によって、ゼオライトのユニットセル内に金属錯体が内包されていることを確認することができる。また、該ゼオライトが所望の金属(例えば、周期表の3〜13族に属する金属)を含有することおよびその含有量は、例えば、蛍光X線測定により把握することができる。
なお、上記酸素活性化金属錯体により生成する酸素由来活性種は、人間が不快と感じる物質あるいは環境上好ましからざる物質(除去対象物質)に作用してこれを分解するかまたはより環境負荷の少ない物質に変換する(以下、これらを合わせて「分解」ということもある。)機能を有するものであり得る。したがって、ここに開示される抗菌剤は、抗菌性能に加えて、除去対象物質を分解する性能を有するものであり得る。該抗菌剤が酸素活性化金属錯体に加えて光還元性金属錯体を含むことは、上記活性種の生成に寄与し得ることから、このような除去対象物質の分解に対して有利に作用し得る。該抗菌剤が上記金属元素を含有することもまた、除去対象物質の分解効率を高める上で好ましい。
上記除去対象物質は、例えば、揮発性有機化合物(VOC)や、硫化水素、トリメチルアミン、酢酸、ホルムアルデヒド、ノネナール、イソ吉草酸、インドール、メルカプタン類、チオエーテル等のような悪臭物質または環境上好ましからざる(例えば有害性のある)物質から選択される一種または二種以上であり得る。上記VOCとしては、シックハウス症候群、シックスクール症候群などの影響を及ぼす可能性が高いとされている化合物、例えばホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレンモノマー、パラジクロロベンゼン等が例示される。ここに開示される抗菌剤は、このような除去対象物質を効率よく除去(分解)するものであり得る。したがって、該抗菌剤は、例えば、抗菌性能と悪臭成分を分解する性能との双方を有する「抗菌消臭剤」として有効に機能し得る。したがって、ここに開示される抗菌剤は、他の観点として、このような抗菌消臭剤としても把握され得る。かかる抗菌剤(抗菌消臭剤)の好ましい一つの態様では、該除去対象物質を持続的に(より好ましくは常温で)効率よく分解することができる。
ここに開示される抗菌剤または抗菌消臭剤は、そのままの形態(例えば粉末状)で使用される他、例えば、該抗菌剤が適当な基材に保持された態様等で使用され得る。該基材を構成する材料は、有機材料(天然繊維、合成繊維、樹脂成形体、樹脂フィルム等)であってもよく、無機材料(金属、金属酸化物等)であってもよい。ここに開示される技術には、例えば粉末状等の形態に製造された抗菌剤を、必要に応じて使用される適当なバインダ(結着材)とともに所定の形状に成形してなる抗菌性物品が含まれる。例えば、このような抗菌剤が:壁材、床材、天井材等の建材;椅子、机、ベッド、タンス等の家具;自動車や電車などの車両内装材;等に練り込まれた形態の抗菌性物品であり得る。また、かかる粉末状抗菌剤が適当なビヒクルに分散された混合物(塗料)を調製し、該混合物を建材等の基材に付与(例えば塗布)して抗菌性塗膜を形成してもよい。また、そのような抗菌性塗膜を有する抗菌性物品を形成してもよい。ここに開示される抗菌剤は、このような各種形態の抗菌性物品の構成材料として好ましく使用され得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1>
以下のようにして、銀イオンを含むゼオライトのユニットセルにサロフェンコバルト錯体とトリスビピリジンルテニウム錯体とが内包された構成を備える抗菌剤を製造した。
すなわち、粉末状のX型ゼオライトを用意し、該ゼオライトに含まれる陽イオン(ここではナトリウムイオン)をルテニウムイオンとイオン交換した。これにより、適量のルテニウムが担持されたゼオライト(ルテニウム担持ゼオライト)を得た。このルテニウム担持ゼオライトにおけるルテニウムの担持量は、該ルテニウム担持ゼオライトの質量の例えば0.5〜5質量%程度とすることが適当である。本実施例では、ルテニウムの担持量を1質量%とした。
上記ルテニウム担持ゼオライトを、ルテニウムイオン換算で3当量以上(例えば3〜15当量)の2,2’−ビピリジンまたはその誘導体(本実施例では、3.5当量の2,2’−ビピリジンを使用した。)と混合して封管し、100〜200℃の温度で3〜24時間(ここでは、190℃で24時間)加熱した。得られた固体に含まれる未反応の配位子等を除去するため、ソックスレー抽出器を用いて該固体をエタノールで洗浄し、真空乾燥した。これを濃硝酸ナトリウム水溶液に懸濁して50℃前後の温度で一晩攪拌することにより、未反応の(錯体を構成しない)ルテニウムイオンをナトリウムイオンと交換することで除去した。次いで、得られた固体を水およびアセトンで洗浄し、100℃で乾燥した。このようにして、ユニットセル(ゼオライトスーパーケージ内)にトリスビピリジンルテニウム錯体が内包されたゼオライト(以下、これを「サンプルa1」ということもある。)を得た。
上記で得られたトリスビピリジンルテニウム錯体内包ゼオライトに含まれる陽イオン(主としてナトリウムイオン)をコバルトイオンとイオン交換した。これにより、ユニットセルにトリスビピリジンルテニウム錯体を内包し、かつ適量のコバルトが担持されたゼオライト(コバルト担持ゼオライト)を得た。このコバルト担持ゼオライトにおけるコバルトの担持量は、該コバルト担持ゼオライトの質量の例えば0.5〜5質量%程度とすることが適当である。本実施例では、コバルトの担持量を1質量%とした。
上記コバルト担持ゼオライトを、コバルトイオン換算で3当量以上(例えば3〜15当量)のサリチルアルデヒドまたはその誘導体(本実施例では、3.2当量の5−クロロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒドを使用した。)を適量のエタノールに溶解させた溶液に混合した。この懸濁液を還流しながら、コバルトイオン換算で1.5当量以上(例えば1.5〜10当量)のフェニレンジアミンまたはその誘導体(本実施例では、1.6当量のフェニレンジアミンを使用した。)をエタノールに溶解した溶液を徐々に滴下し、滴下完了後さらに3時間以上(ここでは3時間)還流した。その後、得られた固体に含まれる未反応の配位子等を除去するため、ソックスレー抽出器を用いて該固体をアセトンまたはt−ブタノール(ここではt−ブタノールを使用した。)で洗浄し、真空乾燥した。これを濃硝酸ナトリウム水溶液に懸濁して50℃前後の温度で一晩攪拌することにより、未反応の(錯体を構成しない)コバルトイオンをナトリウムイオンと交換することで除去した。次いで、得られた固体を水およびアセトンで洗浄し、100℃で乾燥した。このようにして、サロフェンコバルト錯体およびトリスビピリジンルテニウム錯体がユニットセルに内包されたゼオライト(以下、これを「サンプルa2」ということもある。)を得た。
次いで、上記で得られたサンプルa2を、適当な濃度で銀イオンを含む水溶液(例えば、硝酸銀の0.1〜5質量%水溶液、ここでは硝酸銀の0.5質量%水溶液を使用した。)に入れ、室温で数時間(ここでは3時間とした。)攪拌した。このことによって、該固体に含まれる陽イオン(主としてナトリウムイオン)を銀イオンとイオン交換した。その後、得られた固体を水およびアセトンで洗浄し、100℃で乾燥した。
このようにして、ゼオライトのユニットセルにサロフェンコバルト錯体(上記一般式(2)におけるMがコバルト(Co)であり、R5およびR7〜R13がいずれも水素原子(H)であり、R6が塩素原子(Cl)である金属錯体)およびトリスビピリジンルテニウム錯体(上記一般式(3)におけるMがルテニウム(Ru)であり、R21〜R24がいずれも水素原子(H)である金属錯体)が内包され、かつ該ゼオライトに銀(Ag)が担持された構成の抗菌剤(以下、これを「サンプルA」ということもある。)を得た。このサンプルAの銀含有量は1質量%であった。
<実施例2>
以下のようにして、銀イオンを含むゼオライトのユニットセルにフタロシアニンコバルト錯体とトリスビピリジンルテニウム錯体とが内包された構成の抗菌剤を製造した。
すなわち、実施例1で用いたものと同じ粉末状X型ゼオライトを用意し、該ゼオライトに含まれる陽イオンをコバルトイオンとイオン交換した。これにより、適量のコバルトが担持されたゼオライト(コバルト担持ゼオライト)を得た。このコバルト担持ゼオライトにおけるコバルトの担持量は、該コバルト担持ゼオライトの質量の例えば0.5〜5質量%程度とすることができる。本実施例では、コバルトの担持量を1質量%とした。
上記コバルト担持ゼオライトを、コバルトイオン換算で4当量以上(例えば4〜20当量)のフタロニトリルまたはその誘導体(本実施例では、8当量のフタロニトリルを使用した。)と混合して封管し、200〜300℃の温度で3〜24時間(ここでは、220℃で5時間)加熱した。得られた固体に含まれる未反応の配位子やゼオライト粒の外部に生成したフタロシアニン等を除去するため、ソックスレー抽出器を用いて該固体をアセトン、メタノール、ピリジン等の溶媒により洗浄し、真空乾燥した。これを濃硝酸ナトリウム水溶液中に懸濁させて50℃前後の温度で一晩攪拌することにより、未反応の(錯体を構成しない)コバルトイオンをナトリウムイオンと交換することで除去した。次いで、得られた固体を水およびアセトンで洗浄し、100℃で乾燥した。このようにして、ユニットセル(ゼオライトスーパーケージ内)にフタロシアニンコバルト錯体が内包されたゼオライト(以下、これを「サンプルb1」ということもある。)を得た。
上記で得られたフタロシアニンコバルト錯体内包ゼオライトに含まれる陽イオン(主としてナトリウムイオン)をルテニウムイオンとイオン交換した。これにより、ユニットセルにフタロシアニンコバルト錯体を内包し、かつ適量のルテニウムが担持されたゼオライト(ルテニウム担持ゼオライト)を得た。このルテニウム担持ゼオライトにおけるルテニウムの担持量は、該ルテニウム担持ゼオライトの質量の例えば0.5〜5質量%程度とすることが適当である。本実施例では、ルテニウムの担持量を1質量%とした。
上記ルテニウム担持ゼオライトを、ルテニウムイオン換算で3当量以上(例えば3〜15当量)の2,2’−ビピリジンまたはその誘導体(本実施例では、3.5当量の2,2’−ビピリジンを使用した。)と混合して封管し、100〜200℃の温度で3〜24時間(ここでは、190℃で24時間)加熱した。得られた固体に含まれる未反応の配位子等を除去するため、ソックスレー抽出器を用いて該固体をエタノールで洗浄し、真空乾燥した。これを濃硝酸ナトリウム水溶液に懸濁して50℃前後の温度で一晩攪拌することにより、未反応の(錯体を構成しない)ルテニウムイオンをナトリウムイオンと交換することで除去した。次いで、得られた固体を水およびアセトンで洗浄し、100℃で乾燥した。このようにして、フタロシアニンコバルト錯体およびトリスビピリジンルテニウム錯体がユニットセルに内包されたゼオライト(以下、これを「サンプルb2」ということもある。)を得た。
次いで、上記で得られたサンプルb2に実施例1と同様のイオン交換処理を施した。このようにして、ゼオライトのユニットセルにフタロシアニンコバルト錯体(上記一般式(1)におけるR1〜R4がいずれも水素原子(H)である金属錯体)とトリスビピリジンルテニウム錯体(上記一般式(3)におけるMがルテニウム(Ru)であり、R21〜R24がいずれも水素原子(H)である金属錯体)とが内包され、かつ該ゼオライトに銀(Ag)が担持された構成の抗菌剤(以下、これを「サンプルB」ということもある。)を得た。このサンプルBの銀含有量は1質量%であった。
<実施例3>
実施例2におけるフタロシアニンコバルト錯体の合成において、フタロニトリルに代えて同量(コバルトイオン換算で8当量)のパーフルオロフタロニトリルを使用し、その他の点については実施例2と同様にして、ユニットセルにパーフルオロフタロシアニンコバルト錯体(上記一般式(1)におけるR1〜R4がいずれもフッ素原子(F)である金属錯体)が内包されたゼオライト(以下、これを「サンプルc1」ということもある。)を得た。このサンプルc1を用いた点以外は実施例2と同様にして、ユニットセルに上記パーフルオロフタロシアニンコバルト錯体とトリスビピリジンルテニウム錯体(上記一般式(3)におけるMがルテニウム(Ru)であり、R21〜R24がいずれも水素原子(H)である金属錯体)とが内包されたゼオライト(以下、「サンプルc2」ということもある。)を得た。そして、上記で得られたサンプルc2に実施例2と同様のイオン交換処理を施した。このようにして、ゼオライトのユニットセルに上記パーフルオロフタロシアニンコバルト錯体とトリスビピリジンルテニウム錯体(上記一般式(3)におけるMがルテニウム(Ru)であり、R21〜R24がいずれも水素原子(H)である金属錯体)とが内包され、かつ該ゼオライトに銀(Ag)が担持された構成の抗菌剤(以下、「サンプルC」ということもある。)を得た。
<実施例4>
実施例1〜3により得られた抗菌剤(サンプルA,B,C)、該抗菌剤の製造過程で得られた錯体内包ゼオライトであって酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体を内包するが金属元素(ここでは銀)が担持されていないゼオライト(サンプルa2,b2,c2)、および、実施例1〜3において出発原料として使用したX型ゼオライト粉末(すなわち、未処理のゼオライト粉末。以下、これを「サンプルX」という。)に関し、以下の手法により抗菌性を評価した。
すなわち、常法に従って肉汁寒天培地を入れたペトリ皿を用意し、ここに各サンプルをそれぞれ約0.01gづつ散布した。それらのペトリ皿を開放状態で約24時間屋外(日陰)に放置した後、36℃で5日間培養した。その後、培地の表面を400倍の顕微鏡で観察し、サンプルXを散布したペトリ皿における菌(バクテリア等)の増殖状態を基準として、他のペトリ皿における菌の増殖の程度を評価した。その結果、サンプルXを散布したペトリ皿では顕著な菌の増殖がみられたのに対し、サンプルA,B,Cを散布したペトリ皿では菌の増殖が大幅に抑えられていた。また、金属元素担持前のサンプルa2,b2,c2についても、サンプルA,B,Cには劣るものの、サンプルXに比べて明らかに菌の増殖を抑制する効果が認められた。以上より、これらサンプルA,B,Cおよびサンプルa2,b2,c2が抗菌剤として有効に機能すること、および、サンプルA,B,Cではより高い抗菌性能が実現されることを確認した。
<実施例5>
さらに、上記サンプルA〜C,サンプルa2〜c2およびサンプルXに関し、以下の手法によりガス浄化性能を評価した。
すなわち、同質量の各サンプルをそれぞれ同形のガラス瓶に入れ、インドールおよびノネナールを混入した空気(被処理ガス)を各ガラス瓶に導入して瓶を密閉した。それらのガラス瓶を、外光の入る室内(ただし直射日光は当たらない。)に1時間放置した。その後、各瓶の蓋を開けてその臭いを嗅ぎ、サンプルXを入れたガラス瓶の臭気を基準として、他のサンプルを入れたガラス瓶の臭気の相対的な強さを官能評価した。その結果、ゼオライトのユニットセルに酸素活性化金属錯体および光還元性金属錯体を内包し、かつ銀イオンが担持されたサンプルA,BまたはCを入れたガラス瓶については、いずれも優れた臭気低減効果が認められた。また、銀が担持されていないサンプルa2,b2,c2についても、サンプルA,B,Cには劣るものの、明らかな臭気低減効果が認められた。以上より、これらサンプルA,B,Cおよびサンプルa2,b2,c2が抗菌消臭剤として有効に機能すること、および、サンプルA,B,Cではより高い抗菌消臭性能が実現されることを確認した。

Claims (8)

  1. 銀、銅および亜鉛からなる群から選択される一種または二種以上の金属を含むゼオライトと、
    該ゼオライトのユニットセルに内包されている酸素活性化金属錯体と、
    該ゼオライトに保持されている光還元性金属錯体と、
    を有し、
    ここで、前記酸素活性化金属錯体はコバルト錯体であり、前記光還元性金属錯体はルテニウム錯体である、ゼオライトを用いた抗菌剤。
  2. 前記酸素活性化金属錯体は:
    金属フタロシアニン錯体;
    ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト金属錯体;および、
    環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体;
    からなる群から選択される一種または二種以上である、請求項1に記載の抗菌剤。
  3. 前記酸素活性化金属錯体を構成する配位子が一または二以上のフッ素置換基を有する、請求項1または2に記載の抗菌剤。
  4. 前記光還元性金属錯体は前記ゼオライトのユニットセルに内包されている、請求項1から3のいずれかに記載の抗菌剤。
  5. 前記光還元性金属錯体は、ビピリジン骨格を有する少なくとも一つの化合物を配位子とするビピリジン金属錯体である、請求項1から4のいずれかに記載の抗菌剤。
  6. 前記酸素活性化金属錯体1モルに対して前記光還元性金属錯体を0.1〜10モルの割合で含む、請求項1から5のいずれかに記載の抗菌剤。
  7. 前記ゼオライトはX型ゼオライトまたはY型ゼオライトである、請求項1から6のいずれかに記載の抗菌剤。
  8. 前記ユニットセルの入口部よりもサイズの大きな前記酸素活性化金属錯体が該ユニットセルに内包されている、請求項1から7のいずれかに記載の抗菌剤。
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