JP4644162B2 - 段取データ群作成方法 - Google Patents
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Description
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、それぞれ電子回路部品の回路基板への装着を行う複数の装着ユニットの共同により、1枚の回路基板への電子回路部品の装着を行って電子回路を組み立てる電子回路部品装着システムにおける部品供給具の段取替え工数の低減を課題とする。
部品供給具は、同種の電子回路部品を複数収容し、それら電子回路部品を順次供給可能なものであればよく、電子回路部品を保持したテープを送ることにより電子回路部品を順次供給するテープフィーダ、互いに独立した複数の電子回路部品を順次供給するスティックやバルクフィーダ、さらには、複数の電子回路部品を平面的に並べて収容し、順次供給するトレイ等を含む。段取替え工数の低減の観点からは、単に部品供給具を搭載箇所から外す必要はなく、単に部品供給具を搭載するのみであれば、複数種類の電子回路の生産開始当初から搭載しておけばよく、部品供給具の搭載位置の変更や部品供給具の交換は1回ずつの取外しおよび搭載を伴う。したがって、搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくなれば、段取替え工数が低減され、段取替え工数を数える場合、搭載回数を数えてもよく、取外し回数を数えてもよく、搭載と取外しとの両方の回数を数えてもよい。
なお、ここにおいて「可及的に少なくなる」とは、「理論的に最も少なくなる」の意味を含むが、必ずしもそれには限定されず、「実際上、できる限り少なくなるようにされた」といい得る程度の段取データ群であれば、「可及的に少なくなる」に含まれるものとする。さらに具体的には、部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数を可及的に少なくするために満たすべき条件が予め定められており、それら条件を満たすものであれば、「部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくなる段取データ群」と言い得るものとする。さらに付言すれば、上記予め定められた条件を増せば、段取データ群の作成には相当の時間を要し、時間をかけるほどより理想的な段取データ群が得られる傾向がある一方、実際上は、段取データ群の作成に許容される時間に限りがあることが多い。したがって、実際上は、許容時間内において上記予め定められた条件を可及的に満たす段取データ群を求め、それを使用せざるを得ないことが多く、その場合に求められた段取データ群も、「電子回路部品装着システムにおける部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくなる段取データ群」であるものとする。
以下の「可及的」も同様とする。
さらに、複数の装着ユニットの各々において複数種類の電子回路の各々について作成される装着ヘッド構成を表すデータおよび部品供給具の配置を表すデータを段取データと考えることもでき、1つの装着ユニットについて複数種類の電子回路の組立のためにそれぞれ作成される装着ヘッド構成を表すデータおよび部品供給具の配置を表すデータを合わせて段取データと考えることもできる。前者の場合、装着ユニットの数に電子回路の数を掛けた数の段取データがあり、後者の場合、装着ユニットの数だけ段取データがあることとなる。
段取データは、電子回路を組み立てる仕事であるジョブを行うためのデータであり、段取データが複数の装着ユニットの各々における複数種類の電子回路の組立のための各データを含むと考える場合、段取データは複数ジョブ用データと称すべきものになる。
また、装着ユニットにおいて電子回路部品の回路基板への装着を実行するために必要なデータであって、装着される電子回路部品に関する情報,装着座標に関する情報および装着順序等に関する情報は、部品供給具の配置に関する情報と共に、複数の装着ユニットの各々において組み立てられる複数種類の電子回路のそれぞれについて必要な情報であり、本明細書においてはこの情報のデータを装着データと称することとする。
装着ヘッドの構成変更は、装着ヘッドの交換による場合にも、部品保持具の交換による場合にも、部品供給具の搭載作業および取外し作業に比較して容易であり、それらが自動的に行われる場合には特に容易であり、本発明に係る段取データ群作成方法により作成された段取データに従って段取替えを行えば、部品供給具の段取替え工数が少なくて済み、段取替えに要する時間が短縮され、電子回路部品装着システムの生産性が向上する効果が得られる。
なお、段取データを作成する場合、部品供給具を搭載する位置まで決めることは不可欠ではなく、複数の装着ユニットの各々について部品供給具の配分のみが決められてもよい。この場合、段取データのうち、部品供給具の配置を表すデータは配分を表すデータであることとなる。
前記複数種類の電子回路の組立作業開始に先立ち、それら複数種類の電子回路の組立作業開始後に、前記複数の装着ユニットの各々における装着ヘッドの構成変更を許容することを条件として、前記電子回路部品装着システムにおける前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくなる前記段取データ群を作成する段取データ群作成方法。
(2)前記段取データ群の作成が、
前記複数種類の電子回路の各々に対して、前記電子回路部品装着システムにおける電子回路の種類毎のスループットが可及的に大きくなる条件で決定された前記複数の装着ユニットにおける前記装着ヘッドの構成の、前記電子回路部品装着システムにおける組合わせであるヘッド構成組合わせをそれぞれ取得するヘッド構成組合わせ取得と、
取得された複数のヘッド構成組合わせの各々により装着可能であることを条件に、前記複数の装着ユニットの各々における前記複数の部品供給具の配置を、前記複数種類の電子回路の組立作業開始後に前記電子回路部品装着システムにおける前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくて済み、かつ、各装着ユニットにおける前記複数種類の電子回路の組立作業に要する時間が可及的に短くなる配置に決定することにより、前記複数の装着ユニットの各々に対する前記段取データを作成する第1案作成と
を含む(1)項に記載の段取データ群作成方法。
スループットは、例えば、電子回路部品装着システムにおいて単位時間当たりに装着し得る電子回路部品の数や、単位時間当たりに生産し得る回路基板の数により表される。
ヘッド構成組合わせは、例えば、複数種類の電子回路の各々に対する段取データ群であって、それら電子回路の種類毎のスループットが可及的に大きくなる条件で作成されたものに含まれるヘッド構成組合わせを取り出すことにより取得できる。その際、複数種類の電子回路の各々に対する段取データ群は、過去に作成されて格納されているものを読み出しても、新たに作成してもよい。いずれにしても、ヘッド構成組合わせを取得するために使用される上記段取データ群を、段取データ群の第1案と称することもでき、その場合には本項において「第1案」と称されているものは「第2案」と称すべきものとなり、後述の(7)項における「第2案」は「第3案」と称すべきものとなる。
装着ユニットにおける装着ヘッドの構成が決まれば、その装着ユニットにおいて装着可能な電子回路部品の種類が決まり、部品供給具の配置を決めることができる。この際、装着ヘッド構成が、スループットが可及的に大きくなる条件で決定されていれば、それに従って部品供給具の配置が決められることにより、大きいスループットを得ることが可能である。また、部品供給具の配置は、その搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくて済むように決められるため、段取替え時間の短縮により作業能率の向上を図ることができる。しかし、例えば、1つの装着ユニットに搭載される部品供給具が多くなったり、電子回路部品の供給数が多くなれば、その装着ユニットにおける電子回路の組立作業に要する時間が長くなり、電子回路部品装着システム全体としての装着サイクルタイムが長くなり、スループットが小さくなる。
それに対し、本項に記載の段取データ群作成方法によれば、部品供給具の配置は更に、装着ユニットにおける電子回路の組立作業に要する時間が可及的に短くなる配置に決定され、複数の装着ユニットの各々への部品供給具の配分が、各装着ユニットにおける電子回路の組立作業に要する時間が可及的に均等になるように行われるとともに、各装着ユニットにおける部品供給具の搭載位置が組立作業時間が可及的に短くなる位置に決められる。装着ユニットにおける複数種類の電子回路の組立作業に要する時間は、部品供給具と、部品供給具により供給される電子回路部品の回路基板における装着位置との距離が短いほど短くなるのであり、それを考慮して部品供給具の配置が決められ、スループットの向上が図られる。
本項に記載の段取データ群作成方法においては、「電子回路部品装着システムにおける部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数を可及的に少なくする」段取データの作成に、「各装着ユニットにおける複数種類の電子回路の組立作業に要する時間が可及的に短くなる」という条件が付けられるのであり、段取データ群は、その条件を満たす限りにおいて部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少ないデータであることとなる。
(3)前記第1案作成が、前記複数の部品供給具の各々が搭載されるべき装着ユニットを、前記ヘッド構成組合わせにより装着可能であることを条件に、前記複数種類の電子回路の組立作業開始後に前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくて済む装着ユニットに決定する搭載ユニット決定を含み、その搭載ユニット決定により搭載が決定された部品供給具の各装着ユニットにおける配置を、各装着ユニットにおける前記複数種類の電子回路の組立作業に要する時間が可及的に短くなる配置に決定することにより、前記第1案を作成するものである(2)項に記載の段取データ群作成方法。
装着ヘッド構成組合わせが得られても部品供給具を搭載する装着ユニットが一義的に決まらない場合、搭載ユニットを決定することが必要となる。例えば、部品供給具により供給される電子回路部品を装着可能な装着ヘッド構成を有する装着ユニットが複数ある場合、部品供給具をいずれの装着ユニットに搭載するかが決められ、各装着ユニットにおける部品供給具の配置が決められる。
(4)前記搭載ユニット決定が、前記複数種類の電子回路の各々に対するヘッド構成組合わせを含むヘッド構成組合わせ群により装着可能であることを条件に、前記複数の装着ユニットのうち各電子回路部品を供給する各部品供給具を搭載可能なすべての装着ユニットのリストを作成する搭載可能ユニット決定を含み、その搭載可能ユニット決定により決定された搭載可能な装着ユニットの数が少ない部品供給具から順に搭載ユニットを決定するとともに、その決定に際して、前記複数種類の電子回路の組立作業開始後に前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくて済む搭載ユニットに決定するものである(3)項に記載の段取データ群作成方法。
搭載可能な装着ユニットの数が少ない部品供給具の方が、多い部品供給具より、搭載される装着ユニットが限定されるため、先に搭載ユニットを決定することにより、複数種類の電子回路の組立作業開始後に部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくて済む装着ユニットを搭載ユニットに決定することが容易になる。
(5)前記搭載ユニット決定において、前記複数種類の電子回路のうち多くの種類の電子回路の組立作業用として搭載可能な装着ユニットを、少ない種類の電子回路の組立作業用として搭載可能な装着ユニットより優先して搭載ユニットに決定する(3)項または(4)項に記載の段取データ群作成方法。
同種の電子回路部品が複数種類の電子回路の組立においてそれぞれ回路基板に装着される場合、同じ装着ユニットにおいて供給されれば、電子回路の種類が変わる際に部品供給具の取外しおよび搭載が不要であり、多くの種類の電子回路の組立作業用として搭載可能な装着ユニットを優先的に搭載ユニットに決定すれば部品供給具の取外しおよび搭載が不要になる確率が高くなる。したがって本項の特徴によれば部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少ない段取データが得られる。
装着ユニットにおいて同種の電子回路部品が回路基板に装着される複数種類の電子回路の組立のためのヘッド構成は、全部同じでもよく、少なくとも一部が異なっていてもよい。実施例において説明するように、1種類の電子回路部品を装着可能なヘッド構成が複数ある場合、複数種類の電子回路の組立のためのヘッド構成が、複数のヘッド構成のいずれかであれば、互いに異なっていても、本項に記載の段取データ群作成方法の効果を得ることができる場合があるのである。
(6)前記搭載ユニット決定が、既に各装着ユニットに搭載されることが決定されている部品供給具により供給される電子回路部品を各装着ユニットにより装着するために必要な時間の和である積算装着所要時間が前記複数の装着ユニット間において可及的に均一になることを条件として行われる(3)項ないし(5)項のいずれかに記載の段取データ群作成方法。
例えば、ある種類の電子回路部品を供給する部品供給具を搭載可能な装着ユニットが複数存在する場合に、それら複数の装着ユニットのうちで、既に搭載されることが決定されている部品供給具により供給される電子回路部品の積算装着所要時間が小さい装着ユニットを積算装着所要時間が大きい装着ユニットより優先して、その部品供給具の搭載ユニットに決定される場合が一例であり、その場合、積算装着所要時間が最小である装着ユニットが搭載ユニットに決定されるのが原則であるが、他の条件との組合わせによっては積算装着所要時間が2番目,3番目等に小さい装着ユニットが搭載ユニットに決定される場合も、本項の一態様と考えることとする。
(7)前記段取データの群の作成が、さらに、前記第1案に基づいて前記複数種類の電子回路の各々の組立てを行うことを想定した場合に、前記複数の装着ユニットの各々における1枚の電子回路に対する所要時間が可及的に均一になるように、それら複数の装着ユニット間における前記複数の部品供給具の配分を変更して前記段取データ群の第2案を得る第2案作成を含む(2)項ないし(6)項のいずれかに記載の段取データ群作成方法。
複数の装着ユニットの各々における1枚の電子回路に対する所要時間にばらつきがあれば、所要時間が最も長い装着ユニットの装着サイクルタイムが、その電子回路を生産する場合の電子回路部品装着システム全体の装着サイクルタイムとなる。複数の装着ユニットが一斉に装着を開始した場合に、最後に電子回路部品の装着を終わる装着ユニットにおける装着サイクルタイムが電子回路部品装着システム全体の装着サイクルタイムを規定することになるのである。そのため、所要時間を可及的に均一化した方が電子回路部品装着システムの装着サイクルタイムを短縮し、スループットを大きくすることができる。
第1案も複数の装着ユニット間のサイクルタイムがほぼ均一になるように作成されるのが普通であるが、部品供給具の配置が、各装着ユニットにおける前記複数種類の電子回路の組立作業に要する時間が可及的に短くなる配置に決定された後の所要時間が不均一になることがあり、この不均一を可及的に小さくして第2案を作成すれば、電子回路部品装着システムの装着サイクルタイムを短縮し、スループットを大きくすることができる。
(8)前記複数種類の装着ヘッドのうちの1つ以上が複数種類の電子回路部品を装着可能なものであり、かつ、前記複数種類の装着ヘッドの2つ以上のものの2つずつの装着ヘッドの装着可能な電子回路部品の種類の範囲が互いに異なるが一部において互いに重なり合っており、前記ヘッド構成組合わせ取得と前記第1案作成との少なくとも一方が、1種類の電子回路部品が2種類の装着ヘッド構成により装着可能であることを利用するものである(2)項ないし(7)項のいずれかに記載の段取データ群作成方法。
「複数種類の装着ヘッドのうちの1つ以上が複数種類の電子回路部品を装着可能なものであり、かつ、複数種類の装着ヘッドの2つ以上のものの2つずつの装着ヘッドの装着可能な電子回路部品の種類の範囲が互いに異なるが一部において互いに重なり合う」には、複数種類の電子回路部品が装着可能な装着ヘッドは1つであり、その他の装着ヘッドが装着可能な電子回路部品の種類は1種類である態様が含まれる。この場合、装着可能な電子回路部品の種類が1種類である装着ヘッドにより装着される電子回路部品の種類と、装着可能な電子回路部品の種類が複数である装着ヘッドにより装着される複数種類の電子回路部品のうちの1つとが同じであれば、複数種類の電子回路部品を装着可能な装着ヘッドについては一部において重なり、1種類の電子回路部品を装着可能な装着ヘッドについては全部が重なり、「2つずつの装着ヘッドの装着可能な電子回路部品の種類の範囲が互いに異なるが一部において互いに重なり合う」特殊な場合であると考えるのである。
本項の段取データ群作成方法においては、実施例においてさらに具体的に説明するように、2つずつの装着ヘッドの装着可能範囲の重なり合いが、ヘッド構成組合わせ取得と前記第1案作成との少なくとも一方において利用される。
例えば、装着能率の高い装着ヘッドの種類が同じである電子回路部品が複数種類あり、それらのうち部品供給具の配分が、後に行われる電子回路の組立て用に決められる電子回路部品については、その電子回路部品にとって装着能率が最高である種類の装着ヘッドを有する装着ユニットに部品供給具を配分することが、部品供給具の脱着を行わない限り不可能である場合や、装着数が多い電子回路部品を供給する部品供給具であるため、同じ電子回路部品を供給する部品供給具を複数搭載することが望ましいのであるが、その電子回路部品が後に組み立てられる電子回路用であるため、先に組み立てられる電子回路用の別の電子回路部品であって、装着能率が最高である装着ヘッドの種類が同じである電子回路部品の配分により、所望の数の部品供給具全部を、装着能率が最高である装着ヘッドが割り当てられた装着ユニットに搭載することが、部品供給具の脱着を行わない限り不可能である場合等に有効なのである。
本項の特徴により、ヘッド構成組合わせ取得においては、例えば、ヘッド構成組合わせが取り得る組合わせの種類が増え、よりスループットの大きい組合わせが得られる可能性が高くなる。また、第1案作成においては、2種類の装着ヘッド構成により装着可能な電子回路部品について、それを供給する部品供給具を配置することができる装着ユニットが増え、部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数を可及的に少なくする配置が得られる可能性が高くなる。
(9)前記第1案が、各装着ヘッド構成が原則としてそれぞれ装着可能な複数種類の電子回路部品のうち最も能率よく装着作業を行い得る電子回路部品の装着に使用されるが、前記電子回路部品装着システムにおける前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数を可及的に少なくするために必要である場合に、前記最も能率よく装着可能な電子回路部品以外の電子回路部品の装着にも使用されるものとして作成される(8)項に記載の段取データ群作成方法。
電子回路部品装着システムにおける部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数を可及的に少なくするために必要である場合には必ず、装着ヘッド構成が、最も能率よく装着可能な電子回路部品以外の電子回路部品の装着にも使用される段取データ群が作成されるようにしてもよく、さらに、例えば、装着ヘッド構成が最適のものではなくなることによる所要時間の延長が部品供給具の取外しや搭載に要する時間に比較して短い等の他の付加的条件が満たされた場合に、最適ではない装着ヘッド構成が使用される段取データ群が作成されるようにしてもよい。上記他の付加的条件が満たされない場合には、例えば、部品供給具の取外しおよび搭載が行われることにより、最適な装着ヘッド構成が使用されるようにされる。
(10)(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の方法をコンピュータによって実施するためのプログラムである段取データ群作成プログラム。
(11)(10)項の段取データ群作成プログラムがコンピュータにより読取可能に記録された記録媒体。
記録媒体は、例えば、ROMカセット等コンピュータに着脱可能な着脱式記録媒体,コンピュータに設けられた読取装置により読み取り可能な磁気テープ,磁気ディスク,光磁気ディスク,光ディスク等の読取式記録媒体とされる。
段取データ群は、ホストコンピュータ60において、図4に示す段取データ群作成プログラムが実行されて作成される。段取データ群作成プログラムは、記録媒体64に記録されており、記録媒体64が読取装置62にセットされ、メインルーチンを含むプログラムデータが読み取られてホストコンピュータ60に入力され、RAMのプログラムメモリに記憶される。プログラムデータは、ホストコンピュータ60以外のコンピュータから供給されてもよく、ホストコンピュータ60において作成されてプログラムメモリに記憶させられていてもよい。
装着ヘッド40の種類の決定は、8台の装着モジュール12において採用可能な装着ヘッド40の組合わせの各々についてスループットを算出し、スループットが最大である組合わせを探すことにより行われる。装着ヘッド40の種類の組合わせの中には、装着すべき電子回路部品のすべては装着できないものもあり、スループットはすべての電子回路部品の装着が可能な組合わせについて算出される。
JOB1の場合、すなわち着目JOBがJOB1である場合、装着ヘッド40が、第1〜第5装着モジュール12ではH12、第6装着モジュール12ではH04、第7,第8装着モジュール12ではH01である組合わせがスループットが最大の組合わせであったとする。JOB2,JOB3およびJOB4についてもJOB1と同様に、8台の装着モジュール12について組み合わせる装着ヘッド40の種類および数を順次変更し、最大のスループットが得られる組合わせが探される。4つのJOB1〜4の各々について得られる装着ヘッド40の種類(ヘッド構成)の組合わせたるヘッド種類組合わせの集合がヘッド種類組合わせ群であり、JOB1〜4について得られたヘッド種類組合わせ群が図8のものであったとする。
なお、S2までの説明は、各種の装着ヘッド40は複数種類の吸着ノズル44を保持可能であることを前提として行って来た。実際の電子回路部品装着システムがそのように構成されているからである。しかし、S3以降は単純化して理解を容易にするために、それぞれの種類の装着ヘッド40には1種類の吸着ノズル44のみが保持される場合を想定し、その1種類の吸着ノズル44により複数種類の電子回路部品を吸着可能であると仮定して説明を行う。
この単純化はそれほど不自然なものではない。電子回路部品装着システムにおける装着ヘッド40の組合わせが前述のようにして求められる場合には、各種の電子回路部品がそれぞれできる限り能率よく装着されるように各装着ヘッド40が決定されるため、実際に決定された装着ヘッド40の組合わせにおいては、装着ヘッドH08やH12によって装着可能である小形の電子回路部品が、吸着ヘッドH01によって装着されるように、装着ヘッド40の種類が決定されることはなく、せいぜいH04の装着ヘッド40によって装着されるように決定されるのみであり、それも例外的なことである。同様に、1種類の装着ヘッド40にはできる限り多種類の電子回路部品を装着し得る吸着ノズル44が装着されるため、それぞれの種類の装着ヘッド40に保持させられる吸着ノズル44の種類もほぼ1種類に決まって来る。したがって、例外的な場合を除けば、それぞれの種類の装着ヘッド40には1種類の吸着ノズル44のみが保持され、その1種類の吸着ノズル44により複数種類の電子回路部品が吸着されることとなるので、上記単純化の結果は多くの場合に実際の結果と一致するのであり、上記単純化は妥当であることになるのである。
また、原則外の搭載モジュール12の決定は、場合によっては、JOB1についてテープフィーダ30の搭載モジュールを決定する場合にも適用可能である。例えば、JOB1の電子回路について作成された装着ヘッド40の種類の組合わせが、一部の電子回路部品については装着能率が低い装着ヘッド40により装着が行われる組合わせである場合もあり得、その場合には装着能率が最高ではない装着ヘッド40が割り当てられた装着モジュール12に配分されるテープフィーダ30が生じるのである。
以上の説明から明らかなように、S3,S4およびS5の実行が第1案の作成であり、そのうちS3およびS4の実行が搭載ユニット決定であり、S3の実行が搭載可能ユニット決定である。S5の実行による最適化の手法は既に知られており、詳細な説明は省略するが、前述のように、1つの装着モジュール12に、全部のJOBの開始当初から、後に行われるJOBにおいて電子回路部品を供給するテープフィーダ30が搭載される場合もあることを考慮して最適化が行われる。
以上の説明から明らかなように、S6の実行が第2案の作成である。第2案の作成において最終バランス調整が行われる場合、第1案作成におけるテープフィーダ30の搭載モジュールの決定は仮決めと考えることができる。
仮に、装着モジュールが装着ヘッドの交換を行うことができないものであり、装着ヘッドの種類が決まっている場合に、JOB1〜4を行うための8台の装着モジュールの各々における装着ヘッドの種類が、図13に示すように決められたとする。この場合、例えば、JOB4において装着ヘッドH01により装着される電子回路部品の種類が多く、テープフィーダの数が多い場合、JOB1の電子回路の組み立てに必要な電子回路部品を供給するテープフィーダと共に第8装着モジュールに載せておくことができず、JOB3が終了し、JOB4が行われる際にテープフィーダの交換を行うことが必要となり、第8装着モジュールにおいてテープフィーダの段取替え工数が発生する。
なお、上記仮定下の形態、すなわち、現実に1種類の装着ヘッド40は1種類の吸着ノズルのみを保持可能である電子回路部品装着ラインにおいても、本発明の実施例である段取データ群作成方法を実施し得る。
また、複数の装着ユニットはモジュール化されていることは不可欠ではなく、部品供給部や部品装着部は装着モジュール12と同様に構成されるが、モジュール化されていない装着ユニットでもよく、あるいは、例えば、部品供給部や部品装着部の構造を異にする装着ユニットでもよい。例えば、部品供給部は、複数の部品供給具が移動装置により移動させられて順次部品供給位置に位置決めされ、電子回路部品を供給する構造とされ、部品装着部は、複数の部品保持具が回転体に設けられ、回転体が回転体回転装置によって回転させられることにより、順次、部品保持位置および部品装着位置等に移動させられる構造とされる。
Claims (6)
- 各々装着ヘッドの構成および複数の部品供給具の配置を変更可能な複数の装着ユニットを含む電子回路部品装着システムにより、複数種類の回路基板にそれぞれ複数の電子回路部品を装着して複数種類の電子回路を組み立て、生産するに際し、前記複数種類の電子回路の生産順序を含む生産計画に基づいて、少なくとも前記複数の装着ユニットの各々に対する装着ヘッドの構成を表すデータと複数の部品供給具の配置を表すデータとを含む段取データの、前記電子回路部品装着システムに対する群である段取データ群を作成する段取データ群作成方法であって、
前記複数種類の電子回路の組立作業開始に先立ち、それら複数種類の電子回路の組立作業開始後に、前記複数の装着ユニットの各々における装着ヘッドの構成変更を許容することを条件として、前記電子回路部品装着システムにおける前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくなる前記段取データ群を作成することを特徴とする段取データ群作成方法。 - 前記段取データ群の作成が、
前記複数種類の電子回路の各々に対して、前記電子回路部品装着システムにおける電子回路の種類毎のスループットが可及的に大きくなる条件で決定された前記複数の装着ユニットにおける前記装着ヘッドの構成の、前記電子回路部品装着システムにおける組合わせであるヘッド構成組合わせをそれぞれ取得するヘッド構成組合わせ取得と、
取得された複数のヘッド構成組合わせの各々により装着可能であることを条件に、前記複数の装着ユニットの各々における前記複数の部品供給具の配置を、前記複数種類の電子回路の組立作業開始後に前記電子回路部品装着システムにおける前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくて済み、かつ、各装着ユニットにおける前記複数種類の電子回路の組立作業に要する時間が可及的に短くなる配置に決定することにより、前記複数の装着ユニットの各々に対する前記段取データを作成する第1案作成と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の段取データ群作成方法。 - 前記第1案作成が、前記複数の部品供給具の各々が搭載されるべき装着ユニットを、前記ヘッド構成組合わせにより装着可能であることを条件に、前記複数種類の電子回路の組立作業開始後に前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくて済む装着ユニットに決定する搭載ユニット決定を含み、その搭載ユニット決定により搭載が決定された部品供給具の各装着ユニットにおける配置を、各装着ユニットにおける前記複数種類の電子回路の組立作業に要する時間が可及的に短くなる配置に決定することにより、前記第1案を作成するものであることを特徴とする請求項2に記載の段取データ群作成方法。
- 前記搭載ユニット決定が、前記複数種類の電子回路の各々に対するヘッド構成組合わせを含むヘッド構成組合わせ群により装着可能であることを条件に、前記複数の装着ユニットのうち各電子回路部品を供給する各部品供給具を搭載可能なすべての装着ユニットのリストを作成する搭載可能ユニット決定を含み、その搭載可能ユニット決定により決定された搭載可能な装着ユニットの数が少ない部品供給具から順に搭載ユニットを決定するとともに、その決定に際して、前記複数種類の電子回路の組立作業開始後に前記部品供給具の搭載と取外しとの少なくとも一方の回数が可及的に少なくて済む搭載ユニットに決定するものであることを特徴とする請求項3に記載の段取データ群作成方法。
- 前記段取データの群の作成が、さらに、前記第1案に基づいて前記複数種類の電子回路の各々の組立てを行うことを想定した場合に、前記複数の装着ユニットの各々における1
枚の電子回路に対する所要時間が可及的に均一になるように、それら複数の装着ユニット間における前記複数の部品供給具の配分を変更して前記段取データ群の第2案を得る第2案作成を含むことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の段取データ群作成方法。 - 前記複数種類の装着ヘッドのうちの1つ以上が複数種類の電子回路部品を装着可能なものであり、かつ、前記複数種類の装着ヘッドの2つ以上のものの2つずつの装着ヘッドの装着可能な電子回路部品の種類の範囲が互いに異なるが一部において互いに重なり合っており、前記ヘッド構成組合わせ取得と前記第1案作成との少なくとも一方が、1種類の電子回路部品が2種類の装着ヘッド構成により装着可能であることを利用するものであることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の段取データ群作成方法。
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