JP4641580B2 - 粉末状乳化剤の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は食品、化粧品、医薬等に広く使用される乳化剤を粉末化するための製造方法及び製造装置に関し、さらに詳しくは、菓子製造に用いられるプレミックス粉に代表される小麦粉を主体とする製菓材料に配合されるのに適した、乳化起泡力が経時的に安定な粉末状乳化起泡剤や非イオン系粉末状乳化剤などの食品用粉末状乳化剤、その他化粧品、医薬等に使用される粉末状乳化剤の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、含水結晶マルトースを含有する粉末状の乳化起泡剤の製造方法及び乳化剤の配合基準については多くの研究がなされている。しかしながら、従来の粉末状乳化起泡剤はいずれも起泡力の安定性や製造工程の連続化の点において満足できるものではなかった。
例えば特公昭54−37219号は糖類及び/又は糖アルコールを用いて粉末状乳化起泡剤を製造する方法を開示するが、起泡力の安定性が悪く、製品貯蔵中に経時的に起泡力が低下する欠点を有する。
また、特開平1−240134号は乳化剤と無水結晶マルトースを混合した後、室温度で約1日放置して含水結晶マルトースに変換させたのち固形化したものを粉砕する方法を開示するが、製造工程を連続化できない欠点を有し、量産化に適していない。
さらに、特開平5−73454号に記載の方法も粉末状の乳化起泡剤の製造方法を開示するが、製造工程の連続化に適していない欠点を有している。
【0003】
一方、食品用乳化剤に使用される非イオン系のポリグリセリン脂肪酸エステルは、親水基としてグリセリンが2〜10分子重合したポリグリセリンと、親油基としてのステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エルカ酸又は混合脂肪酸とのエステルが市販されている。ポリグリセリンとしては、ジ(2)、テトラ(4)、ヘキサ(6)、及びデカ(10)グリセリンが主に使用され、脂肪酸との組合せにより親水基と親油基のバランス(HLB)を約2〜16の範囲で変化させることが可能である。用途としては、水中油滴型が多いので、HLBは10前後のものが一般に用いられている。形状としては、液状、粘稠液状、油状、ペースト状、蝋状の塊、薄片状、及びフレーク状が一般的であり、これを粉砕して粗粉末状、顆粒状、微粉末状にすることができる。これらのものは形状的に粉末であっても、水系と混合して使用するときは融点以上の温度まで加熱溶解する必要があり、使用に不便であった。特に粉末状の食品や食品加工工程に添加混合するのは極めて不便で、添加混合に便利な粉末状の食品乳化剤に関する要求が多かった。このためにこれらの油溶性界面活性剤を60〜80℃に加熱溶解して粘度を低くして添加するか、この液状品をデキストリン等と混合して粉末化したり、或いはデキストリン、カゼインナトリウム等と乳化後噴霧乾燥して粉末化する方法が一般的であった。
【0004】
これらの油状物質を粉末化する技術として、以下のような特許文献が提案されている。
特公昭51−11077号には、親油性の非イオン界面活性剤と親水性の非イオン界面活性剤とを加熱溶解して混合し、このものを冷風下に噴霧して粉末状にする方法が提案されている。この方法ではさらに水に容易に分散させるために糖類、水溶性高分子物質を添加することも提案されている。
【0005】
特開平1−242133号には、同様に親油性の界面活性剤と親水性の界面活性剤とを混合し、水を加えないで粉末化する方法が提案されている。この方法は親油性と親水性の界面活性剤を混合し、さらに水を添加することなく無水結晶マルトースと混合する方法に関するもので、粉末化の原理は無水結晶マルトースが通常1分子あたり1分子の水を吸収して含水結晶マルトースになることを利用したものである。この原理はバターのように水分を含んだ油性食品の粉末化に用いられているが、この発明ではポリグリセリン脂肪酸エステルの水酸基(−OH)、エーテル状酸素(−O)が水との強い親和力があり、無水結晶マルトースに対して水と同じような結合をすると考えられる。
【0006】
これらの方法はいずれも油状物質と水分を含まない糖質とを単に混合して粉末化する方法であり、得られたものは粉砕したときにサラサラとした微粉状とすることが難しい欠点を有し、満足すべき使用品質を有するものではなかった。
【0007】
また、特開平4−354528号には、グリセリン脂肪酸エステルに対してショ糖脂肪酸エステル及び又はポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸有機エステルを水に加えて加温し、均一なゲル乃至ペーストにしたものに、ブドウ糖及び又は乳糖を加えて均一にした後、脱水乾燥・粉砕する方法が提案されているが、この方法の開示内容だけでは好適な粉末状乳化剤を製造できなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は使用時に容易に水系との混合・混和ができる、経時的に安定した品質の粉末状乳化剤の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はかかる目的を達成するために鋭意検討した結果、適量の水を含む流動性ペースト状乳化剤と無水結晶マルトースを混合し、この混合物を一定条件下で熟成して含水結晶マルトースを晶出させ、これに乾燥空気を送り込み水分を蒸発除去することによって混合物全体を粉末化できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
即ち、本発明は加熱溶解した含水乳化剤に無水結晶マルトースを混合し、この混合物を50℃以下に冷却してこの温度条件を維持しながら、実質的に水分の減少を伴わない条件で混合攪拌を続けて含水結晶マルトースの晶出を助晶し、次いでこの混合物を含水結晶マルトースが溶解しない温度に加熱して混合攪拌を続けながら、乾燥空気を送り込むことにより水分を蒸発除去して混合物全体を粉末状にすることを特徴とする粉末状乳化剤の製造方法である。
また本発明は下記(i) 〜(iii) の装置を含むことを特徴とする上記粉末状乳化剤の製造装置である:
(i) 加熱溶解した乳化剤と無水結晶マルトースを混合するための混合装置;
(ii) 混合物を冷却しながら実質的に水分の減少を伴わない条件で混合撹拌を続けて含水結晶マルトースの晶出を助晶するための助晶装置;及び
(iii) 混合物を加熱・混合・攪拌して含水結晶マルトースの結晶熟成を進めながら乾燥空気を送り込むことにより水分を蒸発除去して混合物全体を粉末状にするための熟成・乾燥装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、原料としての乳化剤と無水結晶マルトースとの混合、含水結晶マルトースの助晶、含水結晶マルトースの熟成・乾燥の連続した工程を含むものである。
本発明において使用する乳化剤は食品、化粧品、医薬用として使用できるものであればいずれも使用できる。例えば乳化起泡力の点からはショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択された少なくとも一つの脂肪酸エステルを含有することが好ましく、特にショ糖脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステルを含有することが好ましい。この場合ショ糖脂肪酸エステルはモノエステル含量が50%以上であることが好ましく、グリセリン脂肪酸エステルもまたモノエステル含量が50%以上であることが好ましく、いわゆる分子蒸溜モノグリが用いられる。とりわけ両者の比率が50:50±10であることが好ましい。本発明の乳化剤は製菓用として市販されているものをそのまま使用することもでき、例えば使用可能な市販品としてリョート−エステルSP(三菱化学フーズ社製)を挙げることができる。この製品はショ糖脂肪酸エステルを主成分とし、これにグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール及び水を適当量配合したものである。また、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する場合、ヘキサグリセリンステアリン酸エステル(例えば三菱化学フーズ社製、リョート−ポリグリエステルHS−11,HLB−11,フレーク状)が好ましい。
【0012】
本発明の方法では、無水結晶マルトースを含水結晶に変換させて全体を粉末化するために水は必須成分である。本発明において必要な水分量は配合される成分やその量によって異なる。乳化剤がショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択された少なくとも一つの脂肪酸エステルを含有するとき、脂肪酸エステル1重量部に対して0.25〜1.5重量部の割合で水を含有することが好ましい。前述した市販品の場合では40W/W%(湿物基準)前後の水を含有している(本明細書では以下、水分量の測定はカールフィッシャー法で行い、W/W%を%と表示する)。但し、粉末化目的には水分量は必要最低限であることが無水結晶マルトースの使用量の点から見て好ましい。乳化剤中の水分量が約40%である場合、その水分の約40%以上が結晶水としてβ−マルトースに移行すれば粉末状となり、余分の水は結晶熟成・乾燥過程で蒸発する。粉末状の製品中の水分は約5%で、このうちβ−マルトース含水結晶と関係のない水分は約1%であることが明らかになった。従って、無水結晶マルトースは乳化剤中に含まれる水1重量部に対して6〜10重量部、好ましくは8〜9重量部の割合で使用されることが好ましいことを見いだした。6重量部未満の使用量の場合は遊離の水分が過剰となるため、粉末化が困難になり、また10重量部を越えると製品中に残る水分が少なすぎて起泡力が低下する恐れがある。
【0013】
また、乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルであるとき、無水結晶マルトースの使用量が少ない場合、例えば無水結晶マルトースがポリグリセリン脂肪酸エステル1重量部に対して2.5〜3.5重量部使用される場合、水は無水結晶マルトース使用量の10〜20重量%、好ましくは13〜17重量%使用される。無水結晶マルトースの使用量が多い場合、例えば無水結晶マルトースがポリグリセリン脂肪酸エステル1重量部に対して3.5〜5.0重量部使用される場合、水は無水結晶マルトース使用量の5〜17重量%、好ましくは7.5〜14重量%使用される。無水結晶マルトースとポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物の外観形状は全体として大豆様粒形又はそれ以上の大粒であり、特に水量が少なくなると大粒になり微細粒はほとんどなく、水量が零の場合は大型粒又は塊となり、通常の衝撃式粉砕機での粉砕が困難であった。また、無水結晶マルトースの量が多くなると、両者の混合物の形状は微細粒の中に大型粒が混在している状態であった。
本発明の乳化剤は必要により、さらにソルビトール、グリセリン、プロピレングライコール、香料等を配合することにより、乳化、起泡、安定性等の効力を高めることができる。
【0014】
本発明において使用する無水結晶マルトースは例えば特開平6−277100号記載の方法に従って高温度・高湿度下で全糖結晶化方式で製造された水分2%以下のものを用いることができる。無水結晶マルトースは主としてα−型であり、水分があるときは1分子の結晶水と結合してβ−型の含水結晶となる性質がある。1分子の結晶水は重量的には約5%(≒(18/342)×100)の水分に相当する。従って、水分を全部結晶水にするためには水分量の約20倍の無水結晶マルトースが必要となるが、本発明の目的である粉末化のための必要量は実験によって決定された。無水結晶マルトースは溶解度が高く、25℃で水1mlに約3g溶解する。
【0015】
本発明における乳化剤と無水結晶マルトースを混合するための混合装置としては、周囲にジャケットを配した加熱可能なものであることが好ましく、例えばリボン式のニーダーまたはスクリュー二軸式の連続混合移送を可能にした装置を使用することができる。乳化剤は無水結晶マルトースと混合される前は予め加熱溶解されて流動状態で維持されており、その状態で混合装置に連続的に供給できるような装置を配置しておくことが好ましい。
【0016】
実際的な操作としては、必要量の水を加えた乳化剤を例えば50〜80℃の温度、80%以上の相対湿度で予め加熱して流動状態とし、この流動状態の乳化剤と無水結晶マルトースを混合装置に定量供給し、そこでそれらを例えば65±5℃の温度で維持しながら混合・攪拌・移送を続けると、全体が白色状態から約30分ぐらいで見掛け上溶解混合が行われてさらに流動性のあるペースト状となる。この状態では無水結晶マルトースは一部溶解し、同時に変旋光し、β化する。溶解混合に要する時間は約30分もあれば十分である。しかし、この混合・攪拌・移送中に水分の実質的な減少が伴わないように混合装置内の相対湿度を90%以上に保つことが好ましい。装置の大きさによっては単に密閉することでも可能である。
【0017】
次に、この流動性のある混合物を助晶装置に移動させる。
この工程で無水結晶マルトースは混合物中の水分を取り込んで安定なβ−含水結晶マルトースに変換される。助晶装置は例えば周囲にジャケットを配した冷却可能なものであり、内部に混練・移送機(例えば二軸式ニーダー)を有することが好ましい。
助晶装置では、まず混合物中に気泡をできるだけ抱き込ませることが重要である。このために助晶装置における混合物の充填容積は装置中の混練機容積(ニーダー容積)の50%以下、好ましくは40〜50%とし、ニーダー翼が内容物よりはみ出るようにすることが好ましい。このようにすることにより、次の工程で冷却されてペースト状の乳化剤の粘度が高くなっても、流動性が良くなり、助晶が容易になる。
【0018】
次に、例えば助晶装置の周囲のジャケットに冷却水を送り込むことによって混合物を50℃以下、好ましくは20〜45℃、より好ましくは30〜40℃まで冷却する。あまり低温にすると、混合物の粘度が高くなり機械的な操作が極めて困難になるので好ましくない。また50℃を越えると、蒸発水量が大きくなり、助晶に要する時間が極端に長くなるため、連続化に適さない。
【0019】
この冷却により、マルトースの過飽和度はより高くなり、含水結晶マルトースが晶出しはじめると、混合物はマシュマロ状となるが、この助晶時間は約3〜4時間である。
この助晶操作中にマルトースは1時間くらいで約60%弱がβ−化し、3時間も混合攪拌を続けていると市販の含水結晶マルトース粉末と同等の約80%弱がβ−化する。4時間後にはさらにβ−化が進行し、90%以上がβ−化する。β−化の進行と同時に含水結晶の晶出が始まるのが偏光顕微鏡で観察される。
【0020】
この助晶工程で特に重要なことは、混合物中の水分が蒸発して必要水分量が不足すると含水結晶の晶出が遅れるため、混合操作中に実質的な水分の減少が起こらないようにすることである。このために混練機内は90%以上の相対湿度に維持することが好ましい。実際には混練機に蓋をして密閉状態にすれば良いが、装置の大きさによっては湿度を調節した雰囲気の空気を送り込めるようにしておくことが好ましい。本発明の方法では、乳化剤と無水結晶マルトースを混合した時の水分量は約10%前後であることが好ましいが、約4時間の助晶・攪拌・移送後も水分低下は1%以内でなければならない。また前述したように助晶装置の混練機中への原料充填量は装置形態に支配されるが、混練機容積の約50%以下、好ましくは40%以下にとどめて攪拌混合中に原料に空気が取り込まれるようにすることが好ましい。このようにすることにより、原料容積が約30%増加し、流動性も良くなり、表面積も大きくなり、結晶熟成に効果的であることを発見した。
【0021】
次に結晶の熟成と余分の水分の蒸発乾燥が行われる。含水結晶マルトースの熟成は65℃、相対湿度60%前後の条件で最も良く促進されるが、例えば前述の助晶装置に65℃の乾燥空気を送り込むことで約1.5〜2時間後には結晶の熟成による水分の含水結晶マルトースへの移行がなされ、余分の水分が大部分蒸発して粉末状となる。
【0022】
助晶装置を経過した混合物は、次に結晶熟成・乾燥装置に送り込まれる。
この熟成・乾燥装置は加熱・乾燥・移送が主目的であるから、メッシュ式のコンベヤ方式で加熱乾燥されることが好ましい。具体的には装置内にメッシュ式コンベヤを設置し、その上面には内容物の切り替え・攪拌が可能な移行装置を付設しておくことが好ましい。また、助晶装置から熟成・乾燥装置への混合物の供給は混合物がマシュマロ状であるため、高所の助晶装置から低所の熟成・乾燥装置へ移送するようにし、このため圧縮空気送風装置、スロープ式滑り台、及び/又は振動機を具備した装置を設置して行うことが望ましい。
【0023】
熟成・乾燥装置では、再び加温して装置内温度を好ましくは60〜70℃とする。約20〜30分で混合物が60〜70℃に達するから以後この温度を保つために、装置内に60〜70℃の乾燥空気を送り込み続けて、混合物を切り替え、攪拌しつつ移送させて熟成・乾燥を行う。前述したように混合物中には空気が十分混入されているのでマシュマロ状になっていたのが、昇温と乾燥開始により次第に粉末状となる。熟成・乾燥装置の通過所要時間は1.5〜2時間であるが、この工程の最初は相対湿度が60〜70%に維持されるので、含水結晶マルトースの熟成が効果的に進行し、含水結晶マルトースへの水分の移行と、逐次余分の水分の蒸発による除去が行われる。
【0024】
本発明の方法では、当初混合物の水分は約10%であり、このうち約4%がβ−マルトースの含水結晶の生成に必要であって、製品中の結晶水以外の水分量を1%とすれば、熟成・乾燥工程中の蒸発水分量は約5%に相当する。含水結晶マルトースの熟成条件は65℃、相対湿度60%前後が最も好都合であるが、上記のような条件で混合、助晶操作後は、単に65℃前後の乾燥空気を混合物中に送風することで急速に結晶の熟成と、引き続き余分の水分の蒸発が起こる。この熟成・乾燥装置内の温度が60℃未満では乾燥に長時間を要し、また70℃を越えると含水結晶マルトースの形成が遅れて好ましくない。
【0025】
以上のような原料の混合・溶解・助晶・結晶熟成・乾燥が行われ、これらの工程によってβ−マルトースの含水結晶化が終了し、結晶全体は米粒から小豆大の顆粒を含んだ流動性の粉末状となる。この時点で結晶の湿物基準の水分量は約5%前後であるが、必要により常法で粉砕装置及び/又は篩装置を用いてこれをさらに細粒化し製品としてもよい。以上の全工程は遅くとも6時間以内で行うことができる。
【0026】
このようにして得られた本発明の粉末状乳化剤は6カ月経っても起泡力などの品質が低下しないことを確認した。また従来の市販乳化剤を使用した場合と比較して、本発明の方法で得られた粉末状乳化剤は起泡剤として、焼成物の表面が好ましい焼き色を呈すること、内部もまた美しい淡黄色となり食感を向上させること、さらに従来品の欠点であった脂肪酸エステルを使用した場合の特有の匂いが全く感じられないことも確認した。これはマルトースの存在による適当なメイラード反応の結果であると判断した。本発明の方法で得られた粉末状乳化剤は親水性で還元性の無水結晶マルトースが含水結晶に変換するときにポリグリセリン脂肪酸エステルも一緒に粉末化されているので、使用時の分散・溶解性が良く、他の成分との相性が極めて優れているものである。本発明の粉末状乳化剤は食品はもとより必要により化粧品、医薬等の広範囲な各種用途に用いることができる。
【0027】
本発明は、以上述べたように原料の混合、溶解、助晶、熟成、乾燥の一連の操作を連続的に行うことができ、これによって粉末状乳化剤の量産化及び製造コストの低減が可能になった。なお、上述した本発明の製造装置の一例を図1に概略的に示す。
【0028】
【実施例】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例 1
市販のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルを配合した含水乳化剤(商品名リョート−エステルSP−O(三菱化学フーズ社製))100重量部を予め加熱して品温が60℃に達した時にジャケット付きリボン式ニーダ(ケミカルエンジニアリング製・ネスコニーダ)中に添加し、次いで無水結晶マルトース(三和澱粉工業(株)製)330重量部を3回に分けてこれに添加混合した。この間ジャケットに温水を流して加熱し同温度を維持した。乳化剤中の脂肪酸エステルの含有量は27.0重量部、水分37.8重量部であった。従って、脂肪酸エステルの総量に対する水分量は1.40倍、水分量に対する無水結晶マルトースの使用量は8.73倍であった。混合溶解時はニーダーに蓋をして密閉状態で行ったので内部の雰囲気は相対湿度約90%であった。30分の混合溶解後には乳化剤と無水結晶マルトースは完全混合し、この時の混合物中の水分はカールフィッシャー法で約10.5%であり、見掛け上マルトースは溶解し過飽和状態となっていることが確認できた。
【0029】
続いてこの流動性の混合物を助晶装置に供給した。助晶装置の周囲のジャケットに水を送り込み、混合物の温度を35℃に冷却した。混合物の充填容積は助晶装置の混練機容積の約40%であり、ニーダー翼は内容物より半分飛び出しており、混合攪拌中に混合物中に空気が取り込まれて混合物容積は約30%増加した。4時間混合攪拌を続けることでマルトースの90%以上がβ−化して、一部が含水結晶マルトースとなっているのが偏光顕微鏡で観察され、混合物は外観的に白色のマシュマロ状となった。
【0030】
次に、その混合物を助晶装置の下部に設置した熟成・乾燥装置に供給した。混合物をスロープ式滑り台上に5kg/cm2Gの圧縮空気の送風機で送り込み、振動機を利用して熟成・乾燥装置内のメッシュ式コンベヤ上に移し、移送中に混合物上部を移行する切り替え攪拌装置で、混合物を切り替えし均一化した。装置内の温度を65℃として再び混合物を加温し、同時に65℃の乾燥空気を混合物中に送風した。約2時間後水分が約5%に低下し、混合物全体が一部粒状物を含む粉末になった。330重量部の無水結晶マルトースが含水結晶マルトースに変換することに必要な水分はこのうち約4%になるから約80%の水分が結晶に取り込まれていることになる。結晶水でない水分は約1%となる。この混合物をさらに衝撃式粉砕機で粉砕して粉末状乳化剤を得た。
【0031】
このようにして得られた製造直後の粉末状乳化剤を後述する品質評価テストに基づいて焼成したスポンジケーキは比容積が3.4であった。また、同じ粉末状乳化剤を室温で6カ月保存した後の比容積は製造直後とほとんど変わらなかった。スポンジケーキの表面は薄い狐色で、表面着色部分の厚みは約0.5〜0.8mmで従来品より薄いが、この部分は時間が経過しても剥がれることはなかった。内部はかすかに黄色に着色しており、きめの細かいソフトな食感であった。また脂肪酸エステル特有の匂いは全く感じられなかった。
【0032】
実施例 2
乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(ステアリン酸70%、エステル組成:モノエステル55%、ジ,トリ,ポリエステル45%、HLB=11)44重量部、グリセリン脂肪酸エステル(モノエステル含量93%、ヨウ素価70、HLB=4.3)35重量部、ソルビタン脂肪酸エステル(モノステアレート、HLB=5.1)21重量部をジャケット付きリボン式ニーダー中に添加して加熱混合溶解し、品温が60℃に達しペースト状になった時に、水75重量部を添加して混合攪拌した。そこへ無水結晶マルトース(三和澱粉工業(株)製)660重量部を3回に分けて添加して混合溶解を続けた。この間、ニーダーに蓋をして密閉状態を保ったので内部の雰囲気は相対湿度約90%に維持され、混合溶解中に水分の蒸発は殆ど伴わなかった。乳化剤中の脂肪酸エステルの総量に対する水分量は0.75倍であり、水分量に対する無水結晶マルトースの使用量は8.80倍であった。30分の混合溶解後には乳化剤と無水結晶マルトースは完全に混合溶解し、見掛け上マルトースは溶解し過飽和状態となっていることが確認できた。その後この混合物を助晶装置に供給し、助晶装置の周囲のジャケットに水を循環して混合物の温度を40℃に冷却しながら混合撹拌を続け、過飽和状態を保ち助晶を3時間継続して行った。
【0033】
次に、この混合物を熟成・乾燥装置に供給した。装置内の温度を65℃として再び混合物を加温すると共に、65℃の乾燥空気を混合物中に送風した。これを2時間継続することで含水結晶マルトースの熟成と余分の水分の蒸発が行われた。水分は約4.8%に低下し、混合物全体が一部粒状物を含む粉末になった。この混合物をさらに衝撃式粉砕機で粉砕して粉末状乳化剤を得た。
【0034】
このようにして得られた製造直後の粉末状乳化剤を後述する品質評価テストに基づいて焼成したスポンジケーキは比容積が3.2であった。また、同じ粉末状乳化剤を室温で6カ月保存した後(同様に使用したスポンジケーキ)の比容積は製造直後とほとんど変わらなかった。スポンジケーキの表面は薄い狐色で、表面着色部分の厚みは約0.5〜0.8mmと薄く、この部分は時間が経過しても剥がれることはなかった。内部はやや薄い黄色に着色しており、きめの細かいソフトな食感で、脂肪酸エステル特有の匂いは全く感じられなかった。
【0035】
実施例 3
乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(ステアリン酸70%、エステル組成:モノエステル55%、ジ,トリ,ポリエステル45%、HLB=11)110重量部、グリセリン脂肪酸エステル(モノエステル含量93%、ヨウ素価70、HLB=4.3)90重量部と水130重量部をジャケット付きリボン式ニーダー中に添加して加熱混合溶解し、品温が65℃に達しペースト状になった時に、無水結晶マルトース1100重量部を3回に分けて添加して混合溶解を続けた。この間、ニーダーに蓋をして密閉状態を保ったので、内部の雰囲気は相対湿度約90%以上であった。乳化剤中の脂肪酸エステルの総量に対する水分量は0.65倍であり、水分量に対する無水結晶マルトースの使用量は8.46倍であった。30分の混合溶解後には乳化剤と無水結晶マルトースは完全に混合溶解し、見掛け上マルトースは溶解し過飽和状態となっていることが確認できた。
【0036】
次に、この混合物を助晶装置に供給し、助晶装置の周囲のジャケットに水を循環して混合物の温度を38℃に冷却しながら、約3時間混合攪拌・助晶を続けた。この間も密閉状態にして水分蒸発を実質的に防いだ。混合物はマシュマロ状になり、水分は約10%であった。
【0037】
次に、この混合物を熟成・乾燥装置に供給した。装置内の温度を65℃として再び混合物を加温すると共に、65℃の乾燥空気を混合物中に送風した。これを約2時間継続して結晶の熟成と余分の水分の蒸発を行ったところ、混合物全体が一部粒状物を含む粉末になった。この混合物をさらに衝撃式粉砕機で粉砕して粉末状乳化剤を得た。得られた粉末状乳化剤の水分量は約5.2%であった。このうち含水結晶マルトースの結晶水は約4.0%であるから、遊離の水分は約1.2%と推定された。
【0038】
このようにして得られた製造直後の粉末状乳化剤を後述する品質評価テストに基づいて焼成したスポンジケーキは比容積が3.3であった。また、同じ粉末状乳化剤を室温で6カ月保存した後(同様に使用したスポンジケーキ)の比容積は製造直後とほとんど変わらなかった。スポンジケーキの表面は薄い狐色で、表面着色部分の厚みは約0.5〜0.8mmと薄く、しかもこの部分は時間が経過しても剥がれることはなかった。内部はかすかに黄色に着色しており、きめの細かいソフトな食感であった。また脂肪酸エステル特有の匂いは全く感じられなかった。
【0039】
粉末状乳化剤の品質評価テストは以下のように行った。
砂糖72g、全卵140g、水10gに、実施例1,2又は3で得られた乳化起泡剤43gを添加混合した後、小麦粉(薄力粉)100gを添加して、ケーキ用ミキサーで混合を行い、生地の比重を測定し、常法によりこの生地を型にいれ、オーブンにて180℃、30分間焼成してスポンジケーキとし、その比容積(容量ml/重量g)を測定した。比容積の値が大きい程よく膨張したことを示し、起泡力が高いことを示す。焼成したケーキにおいてこの値が3〜4になることを目標にした。
一方、対照としては、砂糖104g、全卵140gに市販の乳化剤(実施例1の三菱化学フーズ社製リョート−エステルSP−O)10gを添加混合した後、小麦粉(薄力粉)100gを添加して、ケーキ用ミキサーで混合を行い、上記と同様に行った。
【0040】
実施例1〜3で得られた本発明の製品及び対照の製品を比較した評価結果を表1に記載する。
【0041】
【表1】
【0042】
(比容積の測定法)
常法に従い、一定容量の容器にケシの実を満量に充填し、一旦満量にしたケシの実を他の容器に移し、空容器に既知重量の試料を入れ、さらに取り出したケシの実を満量まで入れ、残存したケシの実の容積(ml)を測定し、それを重量(g)で割り、1gあたりの容積(ml)で表示した。
(表皮の厚さ)
製品上部の褐色に変色している部分の厚さ(mm)をノギスで測定した。
(脂肪酸エステル使用による特有の匂いの有無)
パネラー5名による官能検査によって決定した。
(食感)
パネラー5名による官能検査によって決定した。
【0043】
表1の結果から明らかなように、比容積は本発明法による粉末状乳化剤を用いたスポンジケーキと対照のものと比較してほとんど変わらない。すなわち、起泡力はほとんど変わらないことを確認できる。表皮の厚さは対照と比較して、本発明によるものはいずれも薄く、好ましい外観と食感が得られた。色調は対照が表面及び内部とも白っぽく、食欲をそそるものではなかった。それに対して本発明品を使用したものは、表面は狐色で内部は淡黄色で食欲をそそるものであった。また、対照が有する脂肪酸エステル使用による特有の匂いは本発明品を用いたものはなかった。
【0044】
実施例 4
混合・撹拌操作はジャケット付き10L容量の横型式二軸回転ニーダーを用いて行った。二軸ニーダーはかみ合うようにセットされ、両者の回転数は相互に異なり一方がやや遅くなるように設定されている。このニーダー中へ市販ポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製、リョートーポリグリエステルHS−11)600gを加え、蓋をしてジャケットに温水を循環して、内容物の温度が60℃に達するまで加熱して溶解した。さらにこれに温水を270ml加えて、再び蓋をして約30分間撹拌を続けて混合した。この間内容物の温度は60±2℃に保った。またこの間殆ど水分の蒸発は伴わなかった。全体がペースト状になった時、無水結晶マルトース1800gを徐々に加え、再び蓋をしてニーダー内部を密閉状態に保ちながら撹拌加熱を続けて内容物の温度を60±2℃に維持した。約30分で無水結晶マルトースは一部溶解し、内容物はペースト状のマスキットに変化した。
【0045】
この状態で時間をかけても含水結晶の晶出は認められず、この時点でジャケットに冷却水を導入して内容物の温度を55℃、50℃、45℃、40℃、35℃又は30℃に冷却し、それぞれの温度で湿度を90%、85%、80%、75%又は70%に変化させて観察を続けた。45℃以下に低下させると含水結晶マルトースの晶出が観察された。3時間の助晶操作の後は、結晶の熟成は高温度、高湿度の方が早いことを経験的に観察していたので蓋をしたまま60℃±2℃、高相対湿度を保ちながら約10分間攪拌を続け、そのあと蓋を除去して余分の水分の蒸発乾燥を図った。内容物を各温度及び各湿度に設定した場合の粉末化の良否及び製品水分を表2に示す。含水結晶の水分約5%はこのような乾燥条件では蒸発しない結晶水である。
【0046】
【表2】
* やや良好とは、一見粉末化はできたように見えたが微粉化工程で粉砕するのがやや困難であったことを表す(以下の実施例も同じ)。
【0047】
以下に続く実施例では特記した以外は実施例4の条件に従い、助晶の条件は温度35℃〜45℃、装置を密閉して相対湿度80%以上で行い、結晶の熟成は60℃±2℃の温度で密閉下で約10分、その後同温度で解放状態で乾燥を図った。
【0048】
実施例 5
実施例4と同様の装置及び操作条件でポリグリセリン脂肪酸エステル100重量部に対して無水結晶マルトースを300重量部使用して水分量を変化させて実験した。その結果を以下の表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
実施例 6
無水結晶マルトース使用量を400重量部とした以外は実施例5と同様にして水分量を変化させて実験した。その結果を以下の表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
実施例 7
無水結晶マルトース使用量を500重量部とした以外は実施例5と同様にして水分量を変化させて実験した。その結果を以下の表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
実施例 8
実施例4と同様の装置及び操作条件で無水結晶マルトースの量と水分量を変化させて実験した。その結果を以下の表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】
上記したような実施例4〜8の結果に基づいてさらに実施例9,10を示す。
【0057】
実施例 9
混合・撹拌操作はジャケット付き10L容量の横型式二軸回転ニーダーを用いて行った。二軸ニーダーは噛み合うようにセットされ、両者の回転数は相互に異なり一方がやや遅くなるように設定されている。このニーダー中へ市販ポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製、リョートーポリグリエステルHS−11)600gを加え、蓋をしてジャケットに温水を循環して内容物の温度が60℃に達するまで加熱して溶解した。さらにこれに温水を270ml加えて、再び蓋をして約30分間撹拌を続けて混合した。この間内容物の温度は60±2℃に保った。またこの間殆ど水分の蒸発は伴わなかった。全体がペースト状になったとき、無水結晶マルトース1800gを徐々に加え、再び蓋をしてニーダー内部を密閉状態に保ちながら撹拌加熱を続けて内容物の温度を60±2℃に維持した。約30分で無水結晶マルトースは一部溶解し、内容物はペースト状のマスキットに変化した。この時点で冷却水をジャケットに導いて内容物の温度を35〜45℃とし、密閉状態を保ち高湿度状態で約3時間続け、含水結晶マルトースの晶出を促進した。約3時間後にはα−無水結晶マルトースの80%以上がβ−含水結晶に変換した。その後ジャケットに温水を導いて内容物の温度を60±2℃まで上昇させ、その温度で約10分間撹拌を続けた後、蓋を開放状態とし、撹拌と加熱による温度維持を続けて結晶の熟成と、続けて余分の水分(約180g)を蒸発させて乾燥を行った。ニーダー内容積に対する内容物の容積は約35%程度にしたため、撹拌を続けている間に空気を巻き込んで内容物は白色状となり、全体が大豆粒形状の小塊に変化した。これを除湿冷風送風付の粉砕機にかけて微粉末とした。この時点で内容物の水分含量は4.2重量%であり、含水結晶に含まれる分以外の自由水は約0.6重量%と算出された。この粉末状製品は含まれるマルトースとポリグリセリン脂肪酸エステルの親水基との親和性から、使用時の分散・溶解性、乳化力および乳化安定性の点で従来のポリグリセリン脂肪酸エステル単独製品よりも優れた性能を有しており、各種用途に有利に利用できることがわかる。
【0058】
実施例 10
実施例1と同様の装置及び操作条件でポリグリセリン脂肪酸エステル600gとし、添加温水を280mlとし、無水結晶マルトース使用量を2400gとして、その他の操作条件は実施例1と全く同じように行った。熟成乾燥の工程を経た後には内容物は全体が白色状の大豆粒よりも細粒を主体としたものに変化した。これを粉砕した粉末の水分含量は4.3%であった。これより含水結晶に含まれる分以外の水分は約0.3重量%と算出された。この粉末状製品も使用時の分散・溶解性、乳化力および乳化安定性の点で従来のポリグリセリン脂肪酸エステル単独製品よりも優れた性能を有しており、各種用途に有利に利用できることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の方法及び装置によれば、使用時に容易に水系との混合、混和ができる、経時的に安定した品質を有する、粉末状の乳化剤を安価な方法で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉末状乳化剤の製造装置の一例を示したものである。
Claims (2)
- ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択された少なくとも一つの脂肪酸エステル1重量部に対して0.25〜1.5重量部の割合で水を含有する加熱溶解した含水乳化剤に無水結晶マルトースを混合し、この混合物を50℃以下に冷却してこの温度条件を維持しながら、調湿した空気を送り込み相対湿度を90%以上に維持しつつ混合攪拌を続けて含水結晶マルトースの晶出を助晶し、次いでこの混合物を含水結晶マルトースが溶解しない温度に加熱して混合攪拌を続けて結晶熟成を進めながら、乾燥空気を送り込むことにより水分を蒸発除去して混合物全体を粉末状にすることを特徴とする粉末状乳化剤の製造方法。
- 下記(i)〜(iii)の装置が、(i)〜(iii)の順序で連結されていることを特徴とする請求項1記載の粉末状乳化剤の製造装置:
(i) ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択された少なくとも一つの脂肪酸エステル1重量部に対して0.25〜1.5重量部の割合で水を含有する加熱溶解した含水乳化剤と無水結晶マルトースを混合するための混合装置であって、周囲にジャケットを配して加熱可能とし、且つ、混合物の連続混合移送を可能にした混合装置;
(ii) 混合物を冷却しながら調湿した空気を内部に送り込み相対湿度を90%以上に維持しつつ混合を続けて含水結晶マルトースの晶出を助晶するための助晶装置であって、調湿空気を内部に送り込む装置を具備し、周囲にジャケットを配して冷却可能とし、且つ、内部に混練・移送機を有する助晶装置;及び
(iii)混合物を加熱・混合・攪拌して含水結晶マルトースの結晶熟成を進めながら乾燥空気を送り込むことにより水分を蒸発除去して混合物全体を粉末状にするための熟成・乾燥装置。
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