JP4640529B2 - 原油タンク用耐食鋼材とその製造方法ならびに原油タンク - Google Patents

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Description

本発明は、原油タンカーの油槽や原油を輸送あるいは貯蔵するためのタンク(以下、まとめて「原油タンク」と総称する)に用いて好適な鋼材に関し、具体的には、原油タンクの天井部や側壁部、底部の鋼材表面に発生する全面腐食および原油タンクの底板に発生する局部腐食を軽減することができる鋼材に関するものである。なお、本発明の原油タンク用鋼材は、厚鋼板、薄鋼板および形鋼を含むものである。
タンカーの原油タンクの内面、特に上甲板裏面および側壁部上部に用いられている鋼材には、全面腐食が生じることが知られている。全面腐食が起こる原因としては、
(1)昼夜の温度差による鋼板面への結露と乾湿の繰り返し、
(2)原油タンク内に防爆用に封入されるイナートガス(O約5vol%、CO約13vol%、SO約0.01vol%、残部Nを代表組成とするボイラあるいはエンジンの排ガス)中のO、CO、SOの結露水への溶け込み、
(3)原油から揮発するHS等の腐食性ガスの結露水への溶け込み、
(4)原油タンクの洗浄に使用される海水の残留、
などが挙げられる。これらは、実際のドック検査時における調査で、強酸性の結露水と、硫酸イオンおよび塩化物イオンが検出されていることからも窺い知ることができる。
更に、腐食によって生成した鉄錆を触媒としてHSが酸化されて、固体Sが鉄錆中に層状に生成し、これらの腐食生成物は、容易に剥離して脱落するため、原油タンクの底部に堆積する。そのため、2.5年毎のドック検査では、多大な費用をかけて、タンク上部の補修やタンク底部の堆積物の回収が行われているのが現状である。
一方、タンカーの原油タンクの底板においては、原油そのものの腐食抑制作用や原油タンク内面に形成される原油由来の保護性コート(以下、「オイルコート」と称す)の腐食抑制作用によって、使用される鋼材には腐食が生じないと考えられていた。しかし、最近の研究で、タンク底板の鋼材には、お椀型の局部腐食(孔食)が発生することが明らかになった。局部腐食の原因としては、
(1)塩化ナトリウムを代表とする塩類が高濃度に溶解した凝集水の存在、
(2)過剰な洗浄によるオイルコートの離脱、
(3)原油中の硫化物の高濃度化、
(4)原油タンク内に防爆用に封入されたイナートガス中のO、CO、SOの高濃度化、
(5)微生物等の関与、
などの項目が挙げられているが、いずれも推定の域を出ず、明確な原因は未だ判明していない。なお、実際のドック検査時における原油タンク内の滞留水の分析では、高濃度の塩化物イオンと硫酸イオンが検出されている。
ところで、上記全面腐食や局部腐食を抑制する最も有効な方法は、鋼材表面に重塗装を施し、鋼材を腐食環境から遮断する方法である。しかし、原油タンクの塗装作業は、その塗布面積が膨大である。また、塗膜の劣化により、約10年に1度は塗り替えが必要となるため、検査および塗装に多大な費用が発生する。さらに、重塗装した塗膜の損傷部分においては、原油タンク環境では、却って腐食が助長されることが指摘されている。
上記のような腐食の問題に対しては、鋼材自体の耐食性を改善し、原油油槽環境においても耐食性を有する耐食鋼が幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.01〜0.3%を含有する鋼に、適正量のSi,Mn,P,Sと、Ni:0.05〜3%を添加し、さらに選択的にMo,Cu,Cr,W,Ca,Ti,Nb,V,Bを添加した全面腐食や局部腐食に対する抵抗性を改善したカーゴオイルタンク用の耐食鋼が開示されている。また、HSを含む乾湿繰り返しを受ける腐食環境においては、Crの含有量が0.05mass%を超えると耐全面腐食性と耐孔食性が著しく低下するので、Crの含有量は0.05mass%以下とすることが開示されている。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.001〜0.2%を含有する鋼に、適正量のSi,Mn,P,SとCu:0.01〜1.5%、Al:0.001〜0.3%、N:0.001〜0.01%を添加し、さらにMo:0.01〜0.2%またはW:0.01〜0.5%の少なくとも一方を添加することにより、耐全面腐食性および耐局部腐食性に優れ、しかも固体Sを含む腐食生成物の生成を抑制した原油油槽用の耐食鋼が開示されている。
また、特許文献3には、質量%で、C:0.01〜0.2%を含有する鋼に、適正量のSi,Mn,Pと、Ni:0.01〜2%、Cu:0.05〜2%、W:0.01〜1%を添加し、選択的にCr,Al,N,Oを添加した上で、さらにCu,Ni,Wの添加量をパラメータ式で規定することにより全面腐食や局部腐食を向上させたカーゴオイルタンク用の耐食鋼が開示されている。
また、特許文献4には、質量%で、C:0.01〜0.2%を含有する鋼に、適正量のSi,Mn,P,Cr,Alと、Ni:0.01〜1%、Cu:0.05〜2%、Sn:0.01〜0.2%を添加し、さらに選択的にMo,W,Ti,Zr,Sb,Ca,Mg,Nb,V,Bを添加することにより全面腐食や局部腐食に対する抵抗性を向上したカーゴオイルタンク用の耐食鋼が開示されている。
特開2003−082435号公報 特開2004−204344号公報 特開2005−325439号公報 特開2007−270196号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4に開示された耐食鋼を原油タンクに適用した場合、原油タンクの上部に使用された場合における全面腐食に対する抵抗性(以下、「耐全面腐食性」と称す。)や、原油タンク底板に使用された場合の局部腐食に対する抵抗性(以下、「耐局部腐食性」と称す。)が必ずしも十分とは言い難いものがあった。
これは、原油タンクの上部甲板裏の全面腐食や、底板の局部腐食のそれぞれに対する耐食鋼を開発するためには、それぞれの腐食環境を模擬した単なる耐食性試験を行うだけでは、不十分であることを示している。というのは、実験室における腐食試験は、少なからず促進試験の要素を含むため、一部の腐食因子が省略されたり、実環境を正確に再現していない場合が生じたりするためであり、特に、原油タンク用の耐食鋼の開発においては、試験環境中に、塩化物イオンおよび硫酸イオンを添加することが必須である。
また、特許文献3および4に記載の発明は、原油非積載時には、カーゴオイルタンクの外側にあるバラストタンク内に海水が積載されることを考慮し、原油腐食環境および海水腐食環境における耐食性の両立を目指した技術である。しかし、これらの技術は、海水腐食環境に対しては、カーゴオイルタンク外面の防食塗膜劣化後の耐食性として、鋼材自体が有する耐食性に着目しているが、鋼材が含有する耐食性元素とジンクプライマー中のZnとの相乗効果に起因した鋼材表面に塗膜が存在する状態における耐食性、いわゆる塗装後耐食性の向上については、何ら考慮していない。
しかし、特許文献3および4では考慮されていない塗装後耐食性を向上させることは、原油タンカー用耐食鋼材の長寿命化を図る上で、極めて重要かつ有効であるが、現在のところ、これを実現する技術は存在していないのが実情である。
そこで、本発明は、上記課題を解決するために開発されたものであり、その目的は、原油タンク内面、特に上甲板および側板に使用した場合に優れた耐全面腐食性を有するとともに、原油タンク底板に使用した場合にも優れた耐局部腐食性を有し、さらに、鋼材表面にZnが存在する状態で使用された場合においては、著しく優れた耐全面腐食性および耐局部腐食性を発揮する原油タンク用鋼材とその製造方法、および、その鋼材を用いた原油タンクを提供することにある。
発明者等は、上記課題を達成するために、まず、原油タンク内の全面腐食に関与する因子を抽出し、それらの因子を組み合わせた腐食試験を行った。その結果、原油タンク内で生じる全面腐食の再現に成功し、全面腐食の支配因子および腐食機構について、以下の知見を得た。
原油タンク内に防爆のために封入されるイナートガスには水蒸気が含まれる。そのため、航海中の昼夜の温度差でタンク内壁の鋼材表面に結露を生じる。この結露水には、イナートガス成分であるCO(二酸化炭素)やO(酸素),SO(二酸化硫黄)および原油からの揮発成分であるHS(硫化水素)等が溶け込み、硫酸イオンを含む腐食性の酸性溶液を生成する。また、原油タンクの海水洗浄によって持ち込まれる塩化物イオンも考慮する必要がある。これらの成分が溶け込んだ腐食性の酸性溶液は、鋼板温度が上昇する過程で濃化し、鋼板表面に全面腐食を生じさせる。さらに、鋼板表面に形成した鉄さびを触媒として、HSからS(硫黄)が析出し、鉄さびと硫黄が層状となったさび層を形成するため、鋼板表面のさび層は脆く保護性のないものとなり、腐食が継続的に進行する。
そこで、発明者等は、硫酸イオンおよび塩化物イオンを含有した結露水が存在する環境下での鋼板表面の全面腐食に及ぼす各種合金元素の影響について調査した。その結果、Cu,CrおよびSnの添加は、原油タンク用鋼材として使用される環境において形成される鋼板表面の錆層を緻密化し、耐全面腐食性を向上させること、また、WおよびSbの添加は、緻密な錆層の生成を促進し、耐全面腐食性を向上させることを確認した。すなわち、主にCu,CrおよびSnに加えてさらにWおよびSbを適正量添加することにより、耐全面腐食性に優れた原油タンク用鋼材が得られることを見出した。
次いで、発明者らは、原油タンク底板の局部腐食に関与する因子を抽出し、それらの因子を組み合わせた腐食試験を行った。その結果、全面腐食と同様、原油タンク底板で生じる局部腐食の再現にも成功し、局部腐食の支配因子および腐食機構について、以下の知見を得た。
実際の原油タンク底板で発生するお椀型の局部腐食では、底板上に滞留する溶液中に含まれるOおよびHSが主な支配因子として働き、具体的には、OとHSが共存し、かつ、O濃度とHS濃度の両方がある範囲の環境下(O濃度:2〜8vol%、HS濃度:0.1〜5vol%のガスを飽和させた水溶液中)で局部腐食が生じる。つまり、低O濃度かつ低HS濃度の環境下では、HSが酸化されて固体Sが析出する。この析出した固体Sは、原油タンク底板との間で局部電池を形成し、鋼材表面に局部腐食を引き起こす。この局部腐食は、塩化物イオンおよび硫酸イオンの存在する酸性環境下ではさらに促進されて成長する。
そこで、発明者等は、上記低O濃度および低HS濃度の環境下での局部腐食の発生に及ぼす各種合金元素の影響について調査した。その結果、Wの添加は、原油タンク用鋼材として使用される環境において形成される鋼板表面の錆層を緻密化し、耐局部腐食性を向上させること、また、SnおよびSbの添加は、Wを含む緻密な錆層の生成を助けて、耐局部腐食性を向上させることを確認した。また、塩化物イオンおよび硫酸イオンの双方が同時に存在する酸性腐食環境においては、Moの添加は、却って耐食性を劣化させることを確認した。すなわち、Wの添加に加えて、SnおよびSbを適正量添加し、かつ、Mo含有量を制限することにより、耐局部腐食性に優れた原油タンク用鋼材が得られる。
以上の知見の結果から、Cu,Cr,Sn,WおよびSb含有量を適正化することにより、原油タンク内面に使用した場合において優れた耐全面腐食性を有するとともに、原油タンク底板に使用した場合にも優れた耐局部腐食性を有する、すなわち、原油タンク内のいずれの部位に用いても耐食性に優れる原油タンク用鋼材が得られることがわかった。
また、発明者らは、上記Cu,Cr,Sn,WおよびSb含有量を適正化した鋼材は、無塗装の状態でも優れた耐食性を有するが、表面に金属ZnあるいはZn化合物を含有する塗装を施して使用した場合には、その塗装寿命を大きく延長できるとともに、耐全面腐食性および耐局部腐食性が著しく向上することを見出した。また、本発明の鋼材において、鋼のミクロ組織が耐食性に及ぼす影響を調べたところ、面積率にして2%以上のパーライトを生成させることで、耐食性を向上することができることも見出した。
本発明は、上記知見に基づき、さらに検討を加えてなされたものである。
すなわち、本発明は、C:0.001〜0.16mass%、Si:1.5mass%以下、Mn:0.1〜2.5mass%、P:0.025mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.005〜0.1mass%、N:0.001〜0.008mass%、Cu:0.008〜0.35mass%、Cr:0.1mass%超0.5mass%以下、Sn:0.005〜0.3mass%を含有し、Mo:0.01mass%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式;
A1=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])−6 ・・・(1)
ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Cr]、[Mo]および[Sn]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
で定義するA1の値が0以下であることを特徴とする原油タンク用耐食鋼材である。
本発明の原油タンク用耐食鋼材は、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.005〜0.4mass%を含有し、下記(2)式;
A2=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+2×[Ni]+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])−6 ・・・(2)
ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]および[Sn]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
に定義するA2の値が0以下であることを特徴とする。
また、本発明の原油タンク用耐食鋼材は、上記成分組成に加えてさらに、W:0.001〜0.5mass%およびSb:0.005〜0.3mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有し、下記(3)式;
A3=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+2×[Ni]+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])+0.0019×(1/([Sb]+[W]))−6.5
・・・(3)
ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[Sn]、[Sb]および[W]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
に定義するA3の値が0以下であることを特徴とする。
また、本発明の原油タンク用耐食鋼材は、上記成分組成に加えてさらに、Nb:0.002〜0.1mass%、V:0.002〜0.1mass%、Ti:0.001〜0.1mass%およびB:0.01mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明の原油タンク用耐食鋼材は、上記成分組成に加えてさらに、Ca:0.0002〜0.005mass%およびREM:0.0005〜0.015mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする。
また、本発明の原油タンク用耐食鋼材は、鋼材の板厚1/4の位置におけるミクロ組織が、面積率で2〜20%のパーライトを含むことを特徴とする。
また、本発明の原油タンク用耐食鋼材は、鋼材の表面に、金属ZnあるいはZn化合物を含む塗膜が形成されてなることを特徴とする。
また、本発明の原油タンク用耐食鋼材は、塗膜中におけるZnの含有量が1.0g/m以上であることを特徴とする。
また、本発明は、上記の成分組成を有する鋼素材を1000〜1350℃に加熱後、圧延仕上温度を750℃以上として熱間圧延し、2℃/sec以上の冷却速度で650℃以下、450℃以上の冷却停止温度まで冷却する原油タンク用耐食鋼材の製造方法を提案する。
また本発明は、上記鋼材を用いたことを特徴とする原油タンクである。
本発明によれば、原油タンカーの油槽や原油を輸送あるいは貯蔵するためのタンク等の原油タンクのいずれの部位に用いても、全面腐食や局部腐食を起こすことがない鋼材を安価に提供することができるので、産業上格段の効果を奏する。
局部腐食試験装置を説明する図である。 全面腐食試験装置を説明する図である。
本発明の原油タンク用鋼材の成分組成を上記範囲に限定する理由について説明する。
C:0.001〜0.16mass%
Cは、鋼材の強度を高める元素であり、本発明では所望の強度を得るために、0.001mass%以上の含有を必要とする。一方、Cは、含有量の増加とともに耐食性が劣化するだけでなく、0.16mass%を超える添加は、溶接性および溶接熱影響部の靭性を劣化させる。よって、Cは0.001〜0.16mass%の範囲とする。なお、強度、靭性をより向上する観点からは、0.01〜0.15mass%の範囲が好ましく、0.05〜0.15mass%の範囲がより好ましい。
Si:1.5mass%以下
Siは、脱酸剤として作用するとともに、強度を増加させる元素であるが、1.5mass%を超える添加は、鋼の靭性を低下させる。そのため、本発明では、Siは1.5mass%以下の範囲に限定する。なお、Siは、酸性環境において、防食皮膜を形成して耐食性の向上に寄与するので、酸性環境での耐食性を改善する観点からは、0.2〜1.5mass%の範囲が好ましく、0.3〜1.5mass%の範囲がより好ましい。
Mn:0.1〜2.5mass%
Mnは、鋼材の強度を高める元素であり、本発明では所望の強度を得るために、0.1mass%以上の含有を必要とする。一方、2.5mass%を超える添加は、鋼の靭性および溶接性を低下させるとともに、偏析を助長して鋼板組成の不均一化を招く。よって、Mnは0.1〜2.5mass%の範囲とする。なお、高強度を維持し、かつ、耐食性を劣化させる介在物の形成を抑制する観点からは、0.5〜1.6mass%の範囲が好ましく、0.8〜1.4mass%の範囲がより好ましい。
P:0.025mass%以下
Pは、粒界に偏析して鋼の靭性を低下させるとともに、耐食性をも低下させる有害な元素であり、できる限り低減するのが望ましい。特に、0.025mass%を超えて含有すると、中央偏析を助長して鋼板組成の不均一化を招くとともに、靭性が顕著に低下するようになるため、Pは0.025mass%以下とする。なお、Pを0.003mass%未満に低減することは、製造コストの増大を招くので、Pの下限は0.003mass%程度が好ましく、また、酸性環境における耐全面腐食性を向上させる観点からは、0.010mass%以下が好ましく、0.009mass%以下がより好ましい。
S:0.01mass%以下
Sは、非金属介在物であるMnSを形成して腐食の起点になり、耐局部腐食性および耐全面腐食性を低下させる有害な元素であり、できる限り低減するのが望ましい。特に、0.01mass%を超える含有は、耐局部腐食性および耐全面腐食性の顕著な低下を招くので、本発明では、Sの上限は0.01mass%とする。なお、より耐食性を向上する観点からは、0.0020mass%以下が望ましいが、極度のSの低減は製造コストの増大を招くので、現実的には0.0002〜0.0020mass%の範囲が好ましく、0.0009mass%以下がより好ましい。
Al:0.005〜0.1mass%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、本発明では0.005mass%以上含有させる必要である。一方、0.1mass%を超えて添加すると、鋼の靭性が低下する。よって、Alは0.005〜0.1mass%の範囲とする。好ましくは0.01〜0.05mass%、より好ましくは0.02〜0.04mass%の範囲である。
N:0.001〜0.008mass%
Nは、鋼の靭性向上および溶接継手部の機械的特性向上のために、0.001mass%以上の添加が必要である。しかし、0.008mass%を超える添加は、固溶Nの増加をもたらし、溶接条件によっては、継手部の靭性を著しく低下させる。よって、Nは0.001〜0.008mass%の範囲とする。好ましくは0.002〜0.005mass%、より好ましくは0.002〜0.004mass%の範囲である。
Cu:0.008〜0.35mass%
Cuは、防食皮膜を形成して全面腐食を抑制する作用があり、本発明では、添加が必須の元素である。しかし、0.008mass%よりも少ないと上記効果が得られない。一方、Cuは、Snと複合添加することで、耐全面腐食性を著しく向上するが、0.35mass%を超えて添加すると、熱間加工性が低下し、製造性を害するようになる。よって、Cuは0.008〜0.35mass%の範囲とする。なお、Cu添加の効果は、添加量の増加にともない飽和していくため、費用対効果の点からは、0.008〜0.15mass%の範囲が好ましく、0.01〜0.14mass%の範囲がより好ましい。
Cr:0.1mass%超0.5mass%以下
Crは、Cuとともに鋼材表面に保護皮膜を形成し、酸性環境における耐全面腐食性を向上させるほか、鋼材強度を高める作用があり、本発明では添加が必須の元素である。特に、硫酸イオンおよび塩化物イオンを含む酸性環境において、Crは酸化皮膜を形成して鋼材表面を覆い、全面腐食速度を低下する効果がある。また、Crは、Cuとともに錆層を緻密化するため、ジンクプライマー塗布された状態でもZn化合物を錆層中に長く留めるので、塗装後耐食性も含めて、耐食性の向上に大きく寄与する。さらに、Cr添加による耐食性向上効果により、Cuの添加量を抑制できるので、Cu,Sn共存下で生じる熱間加工性の低下を軽減する効果がある。しかし、Crの0.1mass%以下の添加では、上記の添加効果は得られず、一方、0.5mass%を超える添加は、上記効果が飽和するとともに、コストの上昇および溶接性の劣化を招く。よって、Crは、0.1mass%超0.5mass%以下の範囲で添加する。好ましくは0.11〜0.3mass%、より好ましくは0.12〜0.2mass%の範囲である。
Sn:0.005〜0.3mass%
Snは、Cuとの複合効果により、あるいは後述のようにWを添加する場合にはCuおよびWとの複合効果により、緻密な錆層を形成して酸性環境下における全面腐食を抑制するとともに、局部腐食をも抑制する作用があり、本発明では添加が必須の元素である。しかし、0.005mass%未満では、上記の添加効果がなく、一方、0.3mass%を超える添加は、熱間加工性および靭性の劣化を招く。よって、Snは、0.005〜0.3mass%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.1mass%、より好ましくは0.03〜0.09mass%の範囲である。
Mo:0.01mass%以下
Moは、一般的にWと同様の作用を有し、耐食性を向上させる元素と考えられている。しかし、発明者らは、Wは酸性塩水環境下で不溶性の塩を形成するのに対して、Moは酸性塩水環境下では溶解性のある塩を形成し、バリア効果を発揮せず、特に、Mo含有量が0.01mass%を超えて多くなると、却って酸性塩水環境における耐食性が劣化することを新規に見出した。そこで、本発明では、Moの含有量を0.01mass%以下に制限する。好ましくは0.008mass%以下、より好ましくは0.005mass%以下である。
以上の元素が本発明の鋼材の基本成分である。しかし、本発明の鋼材が優れた耐全面腐食性および耐局部腐食性を兼備するためには、上記成分が上記組成範囲にあるだけではなく、さらに、下記(1)式で定義されるA1の値が0以下となるよう含有していることが必要である。なお、A1の値は、好ましくは−1以下である。

A1=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])−6 ・・・(1)
ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Cr]、[Mo]および[Sn]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
上記(1)式は、本発明において行った腐食試験において得られた、耐全面腐食性および耐局部腐食性に及ぼす各元素の影響を纏めた耐食性の指標を表す経験式であり、上記A1の値が0を超えると、耐全面腐食性および耐局部腐食性のいずれか一方または両方を確保することができなくなることがわかっている。なお、上記(1)式では、各元素の耐食性に及ぼす影響について、1次および2次の項の元素は、その元素を添加するほど耐全面腐食性および耐局部腐食性が低下することを、一方、逆数となっている項の元素は、添加するほど耐全面腐食性および耐局部腐食性が向上することを示している。つまり、CおよびMoは耐食性低下元素、PおよびSは含有量の2乗で影響する耐食性低下元素、Cu,CrおよびSnは耐食性向上元素である。
本発明の鋼材は、上記基本成分に加えてさらに、Niを下記の範囲で添加することができる。
Ni:0.005〜0.4mass%
Niは、Cuと複合して添加することにより、熱間加工性の劣化を抑制する働きがある。しかし、0.005mass%未満の添加では上記効果が得られず、一方、0.4mass%を超える添加は、コストの上昇を招く。よって、Niは0.005〜0.4mass%の範囲で添加するのが好ましい。なお、費用対効果の観点からは、0.005〜0.15mass%の範囲がより好ましく、0.005〜0.1mass%の範囲がさらに好ましい。さらに、0.03〜0.1mass%の範囲であればより一層好ましい。
なお、Niを添加する場合は、上記A1の値に代えて、下記(2)式で定義されるA2の値を0以下となるよう各成分を含有させる必要がある。なお、A2の値は、好ましくは−1以下である。ここで、(2)式からわかるように、Niは、耐食性を低下する元素である。

A2=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+2×[Ni]+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])−6 ・・・(2)
ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]および[Sn]は、それぞれの元素の含有量(mass%)を示す。
また、本発明の鋼材は、上記成分に加えてさらに、SbおよびWのうちから選ばれる1種または2種を下記の範囲で添加することができる。
Sb:0.005〜0.3mass%
Sbは、Snと同様に、Cuとの複合効果により、あるいは後述のようにWを添加する場合にはCuおよびWとの複合効果により、緻密な錆層を形成して酸性環境における腐食を抑制する作用があり、本特性をより向上させたい場合に添加することができる。しかし、0.005mass%未満の添加では効果がなく、一方、0.3mass%を超える添加では、効果が飽和するととともに、加工性が低下するようになる。よって、Sbを添加する場合は、0.005〜0.3mass%の範囲とするのが好ましい。さらに、0.02〜0.15mass%の範囲がより好ましく、0.03〜0.09mass%の範囲がより一層好ましい。
W:0.001〜0.5mass%
Wは、腐食環境で形成されるWO 2−イオンが、塩化物イオン等の陰イオンに対するバリア効果を発揮するとともに、不溶性のFeWOを形成して腐食の進行を抑制する。さらに、鋼板表面に形成される錆層を緻密化する効果もある。そして、Wは、これらの化学的、物理的な効果によって、HSおよびClが存在する腐食環境における局部腐食および全面腐食の進行を抑制する効果がある。しかし、0.001mass%よりも少ないと十分な添加効果が得られず、一方、0.5mass%を超える添加は、その効果が飽和するだけでなく、コストの上昇を招く。よって、Wを添加する場合には、0.001〜0.5mass%の範囲とするのが好ましい。さらに、0.02〜0.1mass%の範囲がより好ましく、0.03〜0.09mass%の範囲がより一層好ましい。
なお、上記Niのほか、Sbおよび/またはWを添加する場合には、上記A1あるいはA2の値に代えて、下記(3)式で定義されるA3の値を0以下にするよう、各元素を含有させる必要がある。なお、A3の値は、好ましくは−1以下である。ここで、(3)式からわかるように、SbおよびWは、耐食性を向上する元素である。

A3=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+2×[Ni]+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])+0.0019(1/([Sb]+[W]))−6.5 ・・・(3)
ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[Sn]、[Sb]および[W]は、それぞれの元素の含有量(mass%)を示す。
さらに、本発明の鋼材は、強度および靭性を向上させるため、上記成分に加えてさらに、Nb,V,TiおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上を下記に範囲で添加することができる。
Nb:0.002〜0.1mass%
Nbは、鋼の強度および靭性向上を目的に添加する元素である。しかし、0.002mass%未満ではその効果がなく、一方、0.1mass%を超えると、効果が飽和してしまう。よって、Nbを添加する場合は、0.002〜0.1mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.004〜0.05mass%、さらに好ましくは0.005〜0.01mass%の範囲である。
V:0.002〜0.1mass%
Vは、鋼の強度向上を目的に添加する元素である。しかし、0.002mass%未満では強度向上効果がなく、一方、0.1mass%を超える添加は、靭性の低下を招く。よって、添加する場合は、0.002〜0.1mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.003〜0.05mass%、さらに好ましくは0.004〜0.01mass%の範囲である。
Ti:0.001〜0.1mass%
Tiは、鋼の強度および靭性向上を目的に添加する元素である。しかし、0.001mass%未満ではその効果がなく、一方、0.1mass%を超えると効果が飽和してしまう。よって、添加する場合は、0.001〜0.1mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.005〜0.03mass%、さらに好ましくは0.006〜0.02mass%の範囲である。
B:0.01mass%以下
Bは、鋼の強度向上を目的に添加する元素であり、その効果は、0.0003mass%以上の添加によって得られる。しかし、0.01mass%を超える添加は、靭性を低下させるため、添加する場合は、0.01mass%以下にするのが好ましい。より好ましくは0.0003〜0.002mass%、さらに好ましくは0.0003〜0.0015mass%の範囲である。
さらに、本発明の鋼材は、延性および靭性の向上を図るため、上記成分に加えてさらに、CaおよびREMのうちから選ばれる1種または2種を下記に範囲で添加することができる。
Ca:0.0002〜0.005mass%
Caは、介在物の形態制御によって延性および靭性を向上させる効果があるとともに、塗装状態における耐食性を向上する効果があるので、これらの特性向上を目的として添加することができる。しかし、0.0002mass%未満では、その効果がなく、一方、0.005mass%を超える添加は、靭性の低下を招く。よって、添加する場合には、0.0002〜0.005mass%の範囲とするのが好ましい。なお、耐食性向上の観点からは、0.001〜0.005mass%の範囲がより好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.003mass%の範囲である。
REM:0.0005〜0.015mass%
REM(Rare Earth Metal)は、原子番号が57〜71までの希土類元素を意味し、一般にはLa,Ce,Pr,Ndなどを含む混合物であるミッシュメタルを用いて添加することができる。このREMは、介在物の形態を制御し、延性および靭性を向上させる作用を有する。しかし、0.0005mass%未満では、その効果がなく、一方、0.015mass%を超える添加は、靭性が低下させる。よって、添加する場合は、0.0005〜0.015mass%の範囲とするのが好ましい。なお、耐食性を向上させる観点からは、0.005〜0.015mass%の範囲がより好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.01mass%の範囲である。
なお、本発明の鋼材は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなるものである。ただし、本発明の鋼材は、上記本発明の作用効果を害さない範囲であれば、他の元素の含有を拒むものではなく、例えば、Oであれば0.008%以下であれば、含有することができる。
次に、本発明の原油タンク用鋼材のミクロ組織について説明する。
本発明の鋼材は、板厚tの1/4の位置におけるミクロ組織が、フェライト、パーライトおよびベイナイトからなる複合組織からなり、かつ、面積率で2〜20%のパーライトを含むものであることが好ましい。
一般に、同じ成分組成を有する鋼の強度を制御する方法として、各種の組織制御方法が用いられているが、中でも熱間圧延後の水冷は、最も用いられている方法の一つである。本発明の成分組成を有する鋼材は、熱間圧延後、徐冷すると、フェライトとパーライトからなるミクロ組織を形成するが、水冷に代表される急冷処理を行うと、上記パーライトが、より強度の高いベイナイト組織に変化する。特に、冷却速度が大きくなるほど、また、冷却停止温度が低くなるほど、ベイナイト組織の比率は高まり、最終的にはフェライトとベイナイトの2相組織となる。
しかし、ベイナイト組織は、セメンタイトの微小分散組織であるため、酸性環境における腐食を加速するという性質がある。そこで、パーライト組織を一定量残存させ、セメンタイトの微細分散を抑制することで、耐食性を向上させることができる。パーライトを残存させることによる耐食性向上効果が明確に現れるのは、パーライトの面積率が2%以上である。一方、パーライト組織の面積率が20%を超えると、靭性が低下するため好ましくない。よって、本発明の鋼材において、より優れた耐食性を得るためには、ミクロ組織中のパーライトの面積率を2〜20%の範囲に制御するのが好ましい。ここで、上記ミクロ組織の測定位置を、鋼材の板厚の1/4の位置とした理由は、造船用のように板厚の厚い鋼材においては、板厚の1/4の位置で全板厚を代表することができ、また、鋼材の加工面が腐食環境にさらされても、鋼材の表層から板厚中心部まで、全面的に耐全面腐食性を満足できるからである。なお、ミクロ組織を有する本発明の原油タンク用耐食鋼材は、概ね、降伏応力が315MPa以上、引張強さが440MPa以上の強度を有する。なお、所定の強度が得られれば、ベイナイト組織は存在しなくても構わない。
次に、本発明の原油タンク用鋼材の製造方法について説明する。
本発明の鋼材は、成分組成を上記本発明の範囲に制御した鋼素材を用いることにより、従来の鋼材と同様の方法で製造することができる。例えば、転炉や電気炉、真空脱ガス処理炉等の2次精錬炉等で、主要5元素であるC,Si,Mn,P,Sの他に、Cu,Cr,SnおよびMoの含有量を本発明の範囲に調節するとともに、必要に応じてその他の合金元素を添加し、本発明に適合する鋼を溶製する。その後、上記溶鋼を、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法等で、鋼スラブ(鋼片)とし、その鋼片を、そのままあるいは冷却後、再加熱して熱間圧延を行う。
上記熱間圧延の条件は、耐食性および機械的特性を確保する観点から、適切な圧延温度および圧下比を選択し、ミクロ組織を制御する必要があり、具体的には、上記適正範囲に調製された成分組成を有する鋼素材を1000〜1350℃に加熱後、圧延仕上温度を750℃以上として熱間圧延し、2℃/sec以上で650℃以下、450℃以上の冷却停止温度まで冷却することが必要である。
スラブ加熱温度:1000〜1350℃
加熱温度が1000℃未満では変形抵抗が大きく、熱間圧延が難しくなる。一方、1350℃を超える加熱は、表面痕の発生原因となったり、スケールロスや燃料原単位が増加したりする。好ましくは、1100〜1300℃の範囲である。
熱間圧延仕上温度:750℃以上
熱間圧延の仕上温度は、750℃以上とする必要がある。750℃未満では、鋼材が所定の圧延温度に達するまでの待ち時間が発生するため圧延能率が低下したり、変形抵抗の増大により圧延荷重が増加して圧延することが困難となったりするからである。
熱延後の冷却速度:2℃/sec以上、冷却停止温度:650℃以下、450℃以上
熱間圧延後の冷却速度は、2℃/sec以上で冷却する必要がある。2℃/sec未満では、フェライトが粗大化し、降伏応力が低下するためである。一方、冷却速度の上限は、特に制限はないが、通常の水冷で得られる80℃/sec程度以下であればよい。
また、冷却停止温度は、650℃以下、450℃以上とする必要がある。650℃を超えると、フェライトが粗大化し、降伏応力が低下するからであり、一方、450℃未満ではパーライトの分率が2%未満となってしまうからである。
一般に、タンカーの原油タンク等に用いられる鋼材は、金属ZnあるいはZn化合物を含むプライマー等の塗料(以下、「ジンクプライマー」と総称する。)を塗布することにより、耐局部腐食性および耐全面腐食性を向上させて使用されている。これらの鋼材は、表面にショットブラスト処理を施した後、ジンクプライマー塗装されるため、鋼板の粗度等の表面状態によっては、下地を完全に覆い得ない場合があり、表面全体を完全に覆うためには、一定量以上(例えば、15μm以上)の塗膜厚さが必要であるとされている。
この点、上記の成分組成を有する鋼素材を用いて上記の方法で製造された本発明の原油タンク用鋼材は、無塗装の状態においても耐食性(耐全面腐食性、耐局部腐食性)に優れているのみならず、塗装後の耐食性にも優れているところに特徴がある。特に、本発明の原油タンク用鋼材は、金属ZnあるいはZn化合物を含むプライマーの塗布量を、Zn含有量に換算して1.0g/m以上とすることにより、耐局部腐食性および耐全面腐食性を格段に向上することができる。さらに、2.5g/m以上とすれば、より優れた耐局部腐食性および耐全面腐食性を得ることができる。なお、耐局部腐食性および耐全面腐食性の観点からは、ジンクプライマー塗布量の上限は設けないが、ジンクプライマーの塗膜が厚くなると、切断性や溶接性が低下するので、上限の厚さは100μmとするのが好ましい。
ジンクプライマーの塗膜厚と鋼材表面のZn含有量との関係は、ジンクプライマー中のZn含有率に依存するが、一般的には平均塗装厚にして15μm以上であれば、鋼材表面全体を覆うことができ、ジンクプライマーの種類によらず、Zn含有量に換算して1.0g/m以上の塗布量を確保することができる。
なお、鋼板表面のZn含有量は、例えば、鋼材から30mm角の小片を複数個(例えば、10個)切り出し、その表面の塗膜あるいはさび層をすべて溶解回収し、その中に含まれるZn量を分析することにより求めることができる。
表1に示す成分組成を有する鋼を、転炉等を用いて溶製し、連続鋳造法で厚さ200mmのスラブとし、これらのスラブを、1200℃に加熱後、仕上圧延終了温度を800℃とする熱間圧延を施して板厚25mmに圧延し、その後、30℃/secの冷却速度で580℃まで冷却し、No.1〜35の鋼板を製造した。
なお、これらの鋼板については、板厚1/4の位置におけるミクロ組織を観察してパーライトの面積率を測定し、これらの鋼板の全てが、ミクロ組織中におけるパーライトの面積率が2%以上であることを確認した。
また、表1のNo.1および8の鋼については、熱間圧延後の冷却速度および冷却停止温度を変化させることによって、ミクロ組織中のパーライトの面積率が異なる鋼板を製造した。
Figure 0004640529
Figure 0004640529
次いで、上記のようにして得た各鋼板の板厚1/4の位置を被試験面とする長さ50mm×幅50mm×厚さ5mmの試験片を採取し、その表面に、ショットブラストを施した後、ショットブラストままの無塗装状態の試験片と、ジンクプライマーの厚さを5〜10μm、15〜25μmおよび50〜70μmに塗り分けた3種類の試験片、合計4種類の表面状態を有する腐食試験片を作製した。その後、その試験片の50mm×50mmの被試験面に、局部腐食の起点となる中央5mmφの部分を残して、実タンカーから採取した原油成分を含むスラッジを均一に塗布した。なお、Znの単位面積あたりの含有量(塗布量)は、塗布状態が均一であれば、ジンクプライマーの厚さに比例し、ジンクプライマーの厚さが15μmであれば、一般にはジンクプライマーの種類によらず、Zn塗布量に換算すると1.0g/m以上を確保できる。
次いで、上記試験片を、図1に示した構造の試験装置の試験液中に1ヶ月間浸漬する局部腐食試験に供した。この試験装置は、腐食試験槽2と恒温槽3の二重構造からなるもので、腐食試験槽2中には実際の原油タンク底板で生じる局部腐食と同様の局部腐食を発生させることができる試験液6が注入されている。この試験液6は、5000massppmの硫酸イオンを含む10%NaCl水溶液を母液とし、この母液にCO:13vol%+O:5vol%O+SO:0.01vol%+HS:0.3vol%の濃度比に調整した混合ガス4を導入して溶け込ませた溶液を使用した。なお、上記混合ガス4の残部である調整ガスは、不活性のNガスとした。上記試験装置では、混合ガス4が連続して供給されるため、試験液6は常に撹拌されている。また、試験液6の温度は、恒温槽3に入れた水7の温度を調整することにより、40℃に保持した。
上記腐食試験終了後、試験片の表面に生成した錆を除去し、腐食形態を目視で観察するとともに、発生した局部腐食の深さをデプスメーターで測定し、以下の基準で耐局部腐食性を評価した。
<耐局部腐食性の評価>
◎:局部腐食の発生なし
○:局部腐食の深さが0.5mm未満
△:局部腐食の深さ0.5mm以上1mm未満
×:局部腐食の深さ1mm以上
上記局部腐食試験の結果を、表2および表3に示した。表2から、本発明に適合するNo.1〜21の発明例の鋼板は、ジンクプライマーの塗布の有無に拘わらず、耐局部腐食性の評価がすべて◎または○を示しており、無塗装状態で局部腐食が発生する場合であっても、その最大深さは0.5mm未満に抑えられ、良好な耐局部腐食性を有している。特に、ジンクプライマーを15μm以上塗布したもの、すなわち、ジンクプライマーの塗布状態が均一で、Zn含有量が1.0g/m以上のものは、No.3〜21のすべてが◎であり、ジンクプライマーの塗布により、耐局部腐食性が格段に向上していることが確認された。
一方、本発明の条件を満たさない比較例のNo.22〜35の鋼板、すなわち、Cu,Cr,Snの含有量の少なくとも一つが本発明範囲を下回るもの、P,S,Moの含有量が本発明範囲を超えるもの、または耐食性の指標A1〜A3の値のいずれかが0を超える鋼板は、ジンクプライマーを塗布していない場合のみならず、塗布している場合においても、耐局部腐食性の評価は×または△である。すなわち、比較例の鋼板は、無塗装の状態で、耐局部腐食性が劣るだけでなく、ジンクプライマーを塗布した場合でも、その向上はわずかである。
また、表3は、ミクロ組織中のパーライトの面積率を変化させた鋼板を用いて、上記と同様にして、無塗装状態における耐局部腐食性を評価した結果を示したものである。表3から、パーライトを含まないベイナイトのみからなるミクロ組織の鋼板に比べ、パーライトを面積率で2%以上含むミクロ組織の鋼板では、耐局部腐食性が向上する傾向にあることが確認された。
Figure 0004640529
Figure 0004640529
実施例1で得られたNo.1〜35の鋼板の板厚1/4の位置から、長さ50mm×幅25mm×厚さ4mmの矩形の試験片を採取し、その表面にショットブラストを施した後、実施例1と同様、ショットブラストままの無塗装状態の試験材と、ジンクプライマーの厚さ(Znの単位面積あたりの含有量に比例)を5〜10μm、15〜25μmおよび50〜70μmの3水準に塗り分けた試験片の合計4種類の表面状態を有する腐食試験片を作製した。なお、ジンクプライマーを塗布した試験片には、腐食を加速するため、鋼材表面に達するX字型のカッティングを被試験面に施し、これを模擬損傷箇所とした。なお、このときの塗膜の損傷は、面積率で1.0%であった。
次いで、上記試験片を、原油タンク内の腐食環境を模擬することができる図2に示した試験装置を用いた全面腐食試験に供した。この腐食試験装置は、腐食試験槽12と、温度制御プレート13から構成されており、腐食試験槽12には、飽和蒸気圧に保つために水16が注入され、温度が30℃に保持されている。また、腐食試験槽の内部には、原油タンク内の腐食環境を模擬するため、CO:13vol%、O:5vol%、SO:0.01vol%、HS:0.01vol%、残部がNの混合ガスを、飽和水蒸気圧(露点:30℃)の下に充満させている。試験片は、上記腐食試験槽の上部に設置された温度制御プレートの下方に取り付け、ヒーターと冷却装置によって25℃×1時間/50℃×5時間、昇温、降温時間:各1時間を1サイクル(8時間)とし、これを28日間付与することにより、結露水による全面腐食を模擬できるようにした。なお、試験片の表面(被試験面)には、硫酸イオンおよび塩化物イオンを与えるため、硫酸イオン1000massppmおよび塩化物イオン10000massppmに相当する硫酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを混合した水溶液を500μL塗布・乾燥後、試験に供した。また、試験開始後は、硫酸イオンおよび塩化物イオンを一週間ごとに供給した。
上記腐食試験終了後、無塗装状態の試験片については、試験片表面に生成した錆を除去後、試験前後の質量変化から、腐食による板厚減量を求め、これを1年当たりの腐食板厚に換算して、以下の基準で耐全面腐食性を評価した。
<無塗装材の耐全面腐食性の評価>
○:腐食速度0.2mm/年未満
△:腐食速度0.2mm/年以上0.8mm/年未満
×:腐食速度0.8mm/年以上
また、プライマー塗布材については、各試験片の表面および塗膜下に進行した錆の面積率を測定し、以下の基準で耐全面腐食性を評価した。
<プライマー塗布材の耐全面腐食性の評価>
○:錆面積率25%未満
△:錆面積率25%以上50%未満
×:錆面積率50%%以上
上記全面腐食試験の結果を、表4および表5に示した。表4から、本発明に適合するNo.1〜21の発明例の鋼板は、無塗装材の耐全面腐食性の評価が全て○で、良好であるとともに、ジンクプライマーを塗布した耐全面腐食性も全て○であること、すなわち、発明例の鋼板は、無塗装状態で良好な耐全面腐食性を有するとともに、ジンクプライマー塗布により、さらに良好な耐全面腐食性を有することが確認された。
一方、比較例の鋼板No.22〜35は、ジンクプライマーを塗布していない場合のみならず、塗布している場合においても、耐全面腐食性の評価が×または△であり、いずれの場合も耐全面腐食性が劣っていることがわかる。
また、表5は、実施例1において得た、ミクロ組織中のパーライトの面積率を変化させた鋼板を用いて、無塗装状態における全面腐食試験を行い、上記と同様の基準で耐全面腐食性を評価した結果を示したものである。表5から、パーライトの面積率が2%以上の鋼板では、耐局部腐食性と同様、耐全面腐食性も向上する傾向があることがわかった。
Figure 0004640529
Figure 0004640529
本発明の技術は、原油タンカーの油槽や原油を輸送あるいは貯蔵するためのタンク等の原油タンク用鋼材に限定されるものではなく、類似の腐食環境で使用される他の分野の鋼材に対しても、プライマー塗装あるいは通常塗装を併用する場合も含めて、好適に適用することができる。
1、11:試験片
2、12:腐食試験槽
3:恒温槽
4、14:導入ガス
5、15:排出ガス
6、16:試験液
7:水
13:温度制御プレート

Claims (10)

  1. C:0.001〜0.16mass%、Si:1.5mass%以下、Mn:0.1〜2.5mass%、P:0.025mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.005〜0.1mass%、N:0.001〜0.008mass%、Cu:0.008〜0.35mass%、Cr:0.1mass%超0.5mass%以下、Sn:0.005〜0.3mass%を含有し、Mo:0.01mass%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で定義するA1の値が0以下であることを特徴とする原油タンク用耐食鋼材。

    A1=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])−6 ・・・(1)
    ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Cr]、[Mo]および[Sn]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.005〜0.4mass%を含有し、下記(2)式に定義するA2の値が0以下であることを特徴とする請求項1に記載の原油タンク用耐食鋼材。

    A2=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+2×[Ni]+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])−6 ・・・(2)
    ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]および[Sn]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
  3. 上記成分組成に加えてさらに、W:0.001〜0.5mass%およびSb:0.005〜0.3mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有し、下記(3)式に定義するA3の値が0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の原油タンク用耐食鋼材。

    A3=28×[C]+2000×[P]+27000×[S]+0.0083×(1/[Cu])+2×[Ni]+0.027×(1/[Cr])+95×[Mo]+0.00098×(1/[Sn])+0.0019×(1/([Sb]+[W]))−6.5
    ・・・(3)
    ここで、上記式中の[C]、[P]、[S]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[Sn]、[Sb]および[W]は、それぞれの元素の含有量(mass%)
  4. 上記成分組成に加えてさらに、Nb:0.002〜0.1mass%、V:0.002〜0.1mass%、Ti:0.001〜0.1mass%およびB:0.01mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の原油タンク用耐食鋼材。
  5. 上記成分組成に加えてさらに、Ca:0.0002〜0.005mass%およびREM:0.0005〜0.015mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の原油タンク用耐食鋼材。
  6. 鋼材の板厚1/4の位置におけるミクロ組織が、面積率で2〜20%のパーライトを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の原油タンク用耐食鋼材。
  7. 鋼材の表面に、金属ZnあるいはZn化合物を含む塗膜が形成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の原油タンク用耐食鋼材。
  8. 塗膜中におけるZnの含有量が1.0g/m以上であることを特徴とする請求項7に記載の原油タンク用耐食鋼材。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の成分組成を有する鋼素材を1000〜1350℃に加熱後、圧延仕上温度を750℃以上として熱間圧延し、2℃/sec以上の冷却速度で650℃以下、450℃以上の冷却停止温度まで冷却する原油タンク用耐食鋼材の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の鋼材を用いたことを特徴とする原油タンク。
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