以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<画像形成装置>
図1は本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図1に示す電子写真装置100において、電子写真感光体1は駆動装置(図示せず)により所定の回転速度(プロセススピード)で矢印Aの向きに回転可能となっている。
電子写真感光体1の略上方には、電子写真感光体1の外周面を帯電させる帯電装置2が設けられている。帯電装置2は、接触方式の帯電装置であり、例えば、導電性または半導電性の帯電ロール、帯電チューブ等の帯電部材を備える接触型帯電器が挙げられる。
また、電子写真感光体1の略上方には露光装置3が配置されている。露光装置3は、特に限定されないが、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッター光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系などが挙げられる。また、原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャナによる走査露光系等も用いることができる。光源の波長は、感光体の分光感度に適したものであれば、可視光、赤外光を問わない。
電子写真感光体1の側方には現像装置4が配置されている。現像装置4は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器41,42,43,44が設けられている。現像器41,42,43,44は各々現像ローラ20を備え、内部に各々イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーを貯留している。
また、電子写真感光体1の略下方には無端の中間転写体6が配設されている。中間転写体6はローラ61,62,63に巻掛けられており、外周面が電子写真感光体1の外周面に接触するように配置されている。ローラ61〜63はモータ(図示せず)の駆動力が伝達されて回転し、中間転写体6を矢印Bの向きに回転させる。
中間転写体6を挟んで電子写真感光体1の反対側には1次転写器10が配置されている。電子写真感光体1の外周面上に形成されたトナー像は1次転写器10によって中間転写体6の画像形成面に転写される。
中間転写体6よりも下方側には給紙カセット16が配置されており、給紙カセット16内には記録材料としての用紙11が多数枚積層された状態で収容されている。図1における給紙カセット16の左斜め上方には取り出しローラが配置されており、取り出しローラによる用紙11の取り出し方向下流側にはローラ対が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している記録紙は、取り出しローラが回転されることにより給紙カセット16から取り出され、ローラ対によって搬送される。
また、中間転写体6を挟んでローラ63の反対側には2次転写器12が配置されている。ローラ対によって搬送された用紙は、中間転写体6と2次転写器12の間に送り込まれ、中間転写体6の画像形成面に形成されたトナー像が2次転写器12によって転写される。2次転写器12よりも用紙の搬送方向下流側には、定着ローラ対を備えた定着装置17が配置されており、トナー像が転写された用紙は、転写されたトナー像が定着装置17によって溶融定着された後に画像形成装置100の機体外へ排出され、図示しない排紙トレイ上に載置される。
また電子写真感光体1を挟んで現像装置4の反対側には、電子写真感光体1の外周面を除電する機能及び外周面上に残留している不要トナーを除去する機能を備えた除電・清掃器(クリーニング装置)14が配置されている。電子写真感光体1の外周面上に形成されたトナー像が中間転写体6に転写されると、電子写真感光体1の外周面のうち転写されたトナー像を担持していた領域は、除電・清掃器14によって清掃される。また、中間転写体6上に残留している不要トナーは、中間転写体6表面に当接可能なクリーニングブレードを備える中間転写体クリーナ15によって除去される。
電子写真装置100では、電子写真感光体1が1回転する毎に、これと連動して帯電装置2としての接触型帯電器が駆動し、電子写真感光体1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる。表面が一様に帯電された電子写真感光体1は次に、露光装置3によって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。これにより、電子写真感光体1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が互いに重なるように順次形成されることになり、電子写真感光体1が4回転した時点で電子写真感光体1の外周面上にフルカラーのトナー像が形成されることになる。
以下、上記装置を構成する各要素について詳述する。先ず、本実施形態の画像形成装置100が備える電子写真感光体1の好ましい例について図2を参照しながら詳述する。
<電子写真感光体>
図2は、本発明に係る電子写真感光体1の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図2に示すように、電子写真感光体1は、導電性支持体(導電性基体)52と、導電性支持体上に設けられた下引層53(中間層)と、下引層53上に設けられた感光層56とから構成されている。感光層56は、下引層53上に、電荷発生層54及び電荷輸送層55がこの順序で積層された構造を有している。図2に示す電子写真感光体1では、下引層53が、導電性支持体52と感光層56との間に設けられた中間層であり、特定の条件を満たす金属酸化物粒子が含まれる。
また、図3〜5は、それぞれ本発明に係る画像形成装置に設けられる電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。図3及び4に示す電子写真感光体は、図2に示す電子写真感光体と同様に電荷発生層54と電荷輸送層55とに機能が分離された感光層56を備えるものである。また、図5は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層58)に含有するものである。
図3に示す電子写真感光体1は導電性支持体52上に下引層53、電荷発生層54、電荷輸送層55及び保護層57が順次積層された構造を有するものである。また、図4に示す電子写真感光体1は、導電性支持体52上に下引層53、電荷輸送層55、電荷発生層54、保護層57が順次積層された構造を有するものである。また、図5に示す電子写真感光体1は、導電性支持体52上に下引層53、単層型感光層58が順次積層された構造を有するものである。また、図6に示す電子写真感光体1は、導電性支持体52上に下引層53、単層型感光層58、保護層57が順次積層された構造を有するものである。図3〜6に示す電子写真感光体1においても、下引層53が、導電性支持体と感光層との間に設けられた中間層であり、特定の条件を満たす金属酸化物粒子が含まれる。
以下、図2に示す電子写真感光体1に基づいて、各要素について説明する。
導電性支持体52としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛及びニッケルなどの金属ドラム;シート、紙、プラスチック又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着するか、酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着するか、金属箔をラミネートするか、あるいは、カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散したものを塗布することによって、導電処理したドラム状・シート状・プレート状の物など公知の材料を用いることができる。
導電性支持体として金属パイプ基材を用いる場合、表面は素管のままであっても、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていても構わない。
下引層53は、本発明に係る金属酸化物粒子と、結着樹脂とを含有して構成される。ここで、本発明に係る金属酸化物粒子は、下引層に含まれる金属酸化物粒子と、後述する接触型帯電装置が備える帯電部材に含まれる金属酸化物粒子とが同種であるという条件を満たすものである。本発明に係る金属酸化物粒子の詳細については後述する。
結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物が挙げられる。
また、下引層53は、本発明に係る金属酸化物粒子以外に、導電性材料を更に含有してもよい。
導電性材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化アルミ等の金属酸化物、及び、有機金属化合物などが挙げられる。有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等が挙げられる。
下引層53は、上記各構成材料を含有する下引層形成用塗布液を用いて構成される。
下引層形成用塗布液の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、結着樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、下引層53を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
下引層53の膜厚は、好ましくは3〜40μm、より好ましくは3〜25μmが適当である。かかる膜厚が3μm未満であると、外部から導電性異物が貫入した場合に基体への導電路が形成されやすく、耐リーク性を十分に発現させることが困難となる傾向にある。一方、膜厚が40μmを超えると、成膜が困難となることや残留電荷が増加することにより、画質低下を引き起こしやすくなる。
また、下引層53は、外部からの導電性異物の貫入を防止する観点から、ビッカース硬度が30度以上であることが好ましい。これにより、さらに高水準の耐リーク性を発現させることが可能となる。
さらに、下引層53は、温度28℃、湿度85%RHの条件下で106V/m印加時の体積抵抗率が106Ω・cm〜1013Ω・cmであることが好ましい。ここで、下引層の体積抵抗率ρは下記の方法により求めた値を採用する。
下引層表面に、直径0.7mmの電極を接触させ、106V/mの電場を印加したときに、基体に流れる電流量(I)を測定し、以下に示す式(eq−1)により求める。
ρ(Ω・cm)=(10/I(A))×(0.35)2×π(cm2)/D(cm)
…(eq−1)
なお、式(eq−1)中、Dは下引層の厚さを表し、かかる厚さDは、導電性基体上に下引層を形成した後、渦電流方式(Fischerscope MMS、プローブETA3.3)により測定する。
下引層53の上記体積抵抗率が、106Ω・cm未満であると、ピンホールリーク防止性を十分に得ることが困難となる傾向にあり、1013Ω・cmを超えると、残留電位が上昇しすぎる傾向にある。
電荷発生層54は、上記の下引層53上に電荷発生材料を真空蒸着により形成するか、あるいは、電荷発生材料を有機溶剤及び結着樹脂とともに分散して塗布液を調製し、この塗布液を下引層53上に塗布することにより形成される。
電荷発生材料としては、非晶質セレン・結晶性セレン・セレンーテルル合金・セレンーヒ素合金・その他のセレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛・酸化チタン等の無機系光導電体、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン顔料、スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料を用いることができる。また、有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔料ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。
本発明において、優れた性能が得られる電荷発生材料として以下の化合物が特に好適である。すなわち、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるクロルガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるチタニルフタロシアニンが電荷発生材料として好ましく用いられる。なお、これらの材料は、結晶の形状や測定方法により上記のピーク強度の位置が上記の値から僅かに外れる場合も有るが、X線回折パターンが実質的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断できる。
電荷発生層54における結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。すなわち、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。
これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。また、有機溶剤としては、上記の結着樹脂を溶解又は分散可能なものであれば特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いもよい。
また、電荷発生材料と結着樹脂と有機溶剤との分散は、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイノーミル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用いて行うことができる。
塗布液の塗布方法としては、感光体の形状や用途に応じて浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
電荷発生層54の厚みは、一般には0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの範囲に設定される。
電荷輸送層55は、電荷輸送物質を有機溶剤及び結着樹脂とともに分散して塗布液を調製し、この塗布液を電荷発生層54上に塗布することにより形成される。
電荷輸送層55に用いられる電荷輸送物質としては、下記に示すものが例示できる。すなわち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質;あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
積層型感光体では、電荷輸送材料の電荷輸送極性により感光体の帯電極性が異なる。正孔輸送物質を用いた場合には感光体は負帯電で用いられ、電子輸送物質を用いた場合には正帯電で用いられる。両者を混合した場合には両帯電極性の感光体が可能である。
電荷輸送層55に用いられる結着樹脂としては、任意のものを用いることができるが、特に電荷輸送材料と相溶性を有し適当な強度を有するものを用いることが望ましい。このような結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
これら結着樹脂として用いられる重合体の分子量は、感光層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は粘度平均分子量で3000〜30万、より好ましくは2万〜20万の範囲とされる。
電荷輸送層55は、上記の電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた塗布液を電荷発生層54上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層55の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。また、塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:5が好ましい。
電荷輸送材料と結着樹脂と有機溶剤との分散は、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイノーミル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用いて行うことができる。
塗布液の塗布方法としては、感光体の形状や用途に応じて浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
電荷輸送層55の膜厚は、一般には5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲に設定される。
また、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光や熱による感光体の劣化を防止する目的で、上記の電荷発生層54及び電荷輸送層55により構成される感光層56中には、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例としては、フェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。また、上記の酸化防止剤の中で有機イオウ系酸化防止剤及び有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と呼ばれ、上記フェノール系酸化防止剤又は上記アミン系酸化防止剤などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤としては2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系光安定剤として2−(−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。その他、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどを用いることもできる。
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、感光層56中に少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。かかる電子受容性物質としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系又はキノン系化合物や、−Cl、−CN、−NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
さらに、感光層の上に、必要に応じて保護層を形成することが可能である。
保護層としては、例えば、絶縁性樹脂中に半導電性微粒子や電荷輸送性物質を分散させた層が挙げられる。半導電性微粒子としては、電気抵抗が109Ω・cm以下で白色、灰色もしくは青白色を呈する平均粒径が0.3μm以下好ましくは0.1μm以下の微粒子が適当である。絶縁性樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート等の縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリビニルブチラールのようなビニル重合体等が上げられる。
また、反応性官能基を有する電荷輸送性物質を熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂と反応させて保護層を形成することができる。
保護層の膜厚は光透過率が低くならない程度、すなわち15μm以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜9μm程度である。
さらに、感光体表面の潤滑性向上のために感光体の最外層(図2の感光体においては電荷輸送層55、また保護層をさらに設けた場合にはかかる保護層)中にテフロンのような離型性固体粒子を含有することも可能である。
次に、電子写真感光体100が備える帯電装置2の好ましい例について図7を参照しながら詳述する。
<帯電装置>
図7は、帯電装置2が有する帯電部材の好適な実施形態を示す模式断面図である。図7に示される帯電部材2aは、芯材21と、芯材21の周囲に設けられた弾性層22と、弾性層22上に設けられた抵抗層23とから構成されるロール状部材(帯電ロール)である。なお、図7は、このロール状部材の回転軸に対して垂直に断面したときの断面図である。本実施形態においては、帯電部材2aが、本発明に係る金属酸化物粒子を含む。ここで、本発明に係る金属酸化物粒子は、下引層に含まれる金属酸化物粒子と同種の金属酸化物粒子を意味する。本発明に係る金属酸化物粒子の詳細については後述する。
本実施形態において、上記ロール状部材は、感光体に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、帯電ロールに何らかの駆動手段を取り付け、感光体とは異なる周速度で回転させ、帯電させても良い。
芯材21の材質としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることもできる。
弾性層22の材質としては、導電性あるいは半導電性を有するもので、一般にはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが用いられる。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。
導電性粒子および半導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物が挙げられる。
弾性層22を形成する手段としては、上記の材料を含む塗布液を用意し、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
また、弾性層22は、例えば、上記ゴム材に導電性粒子又は半導電性粒子を予め混合しておき、この混合物を所定の形状に成形することにより形成してもよく、或いは、上記ゴム材を所定の形状に成形した後、この成形物を、導電性材料を分散及び/又は溶解した導電性塗料若しくは導電性接着剤に浸漬させて形成してもよい。導電性塗料及び導電性接着剤としては、例えば、結着樹脂としてのポリエステルに導電性フィラーを含有するポリエステル系導電性接着剤が挙げられる。
抵抗層23の材質としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが用いられる。
結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が挙げられる。
導電性粒子および半導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物が挙げられる。
抵抗層23には、必要に応じて、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。
抵抗層23を形成する手段としては、上記の材料を含む塗布液を用意し、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
また、抵抗層23は、上記の結着樹脂を含む抵抗層形成用材料をシームレスチューブ状に成形し、これを弾性層22の外周に外挿することで形成することもできる。
抵抗層23の膜厚としては、0.01〜10000μmが好ましく、0.1〜5000μmがより好ましく、0.5〜2000μmが特に好ましい。
本実施形態に係る帯電部材2aにおいては、本発明に係る金属酸化物粒子が弾性層22に含まれていてもよく、抵抗層23に含まれていてもよく、弾性層22及び抵抗層23に含まれていてもよい。
また、本発明においては、帯電部材(図7に示す帯電部材においては弾性層22及び抵抗層23、すなわち芯材21と抵抗層23表面との間)の電気抵抗率が、103〜1014Ωcmであることが好ましく、105〜1012Ωcmであることがより好ましく、107〜1012Ωcmであることが特に好ましい。なお、帯電部材2aの電気抵抗率は、帯電部材2aを金属製の平板上に載置し、芯材と平板との間に100Vの直流電圧を印加したときに流れる電流として直流電圧を印加から10秒後の電流値を測定し、この電流値を基に体積抵抗値を求め、この値を用いて計算することができる。
上記電気抵抗率が、103Ωcm未満であると、電位の安定性が低下する傾向にあり、1014Ωcmを超えると、帯電能力が低下する傾向にある。
(本発明に係る金属酸化物粒子)
本実施形態の画像形成装置100において、下引層(中間層)53及び帯電部材2aに含まれる本発明に係る金属酸化物粒子は、下記(i)、(ii)及び(iii)の条件のいずれかを満たすものであることが必要である。
(i)金属酸化物粒子が、1種の金属元素の酸化物から構成される単一粒子であり、中間層に含まれる金属酸化物粒子の金属酸化物と、帯電部材に含まれる金属酸化物粒子の金属酸化物とを同じ組成式で表すことができる。
(ii)金属酸化物粒子が、複数の金属元素を含む酸化物から構成される粒子であり、中間層に含まれる金属酸化物粒子の金属酸化物と、帯電部材に含まれる金属酸化物粒子の金属酸化物とを同じ組成式で表すことができる。
(iii)金属酸化物粒子が、第1の金属酸化物を主成分とする粒子の表面上に第2の金属酸化物を主成分とする層を有する複合金属酸化物粒子であり、中間層に含まれる金属酸化物粒子の第1の金属酸化物と、帯電部材に含まれる複合金属酸化物粒子の第1の金属酸化物とを同じ組成式で表すことができ、且つ、中間層に含まれる金属酸化物粒子の第2の金属酸化物と、帯電部材に含まれる複合金属酸化物粒子の第2の金属酸化物とを同じ組成式で表すことができる。
上記(i)の金属酸化物粒子としては、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化タングステン、及び、酸化インジウム等が挙げられる。これらのうち、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンが特に好ましい。
上記(i)の金属酸化物粒子として酸化亜鉛を用いる場合、ピンホールリーク防止性を更に高めることができるとともに画像かぶりの少ない安定した電気特性を得ることができるため、特に好ましい。また、上記(i)の金属酸化物粒子として酸化錫を用いる場合、ピンホールリーク防止性に優れるとともに感光体の表面電位の安定性を更に向上させることができる。また、上記(i)の金属酸化物粒子として酸化チタンを用いる場合、優れたピンホールリーク防止性をより確実かつ容易に得ることができる。
下引層に含まれる上記(i)の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、10〜100nmがより好ましく、30〜100nmが更により好ましい。また、帯電部材に含まれる上記(i)の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、1000nm以下であることが好ましく、10〜1000nmがより好ましく、50〜500nmが更により好ましい。更に、帯電部材に含まれる上記(i)の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、100nm以下であることが特に好ましい。本実施形態においては、下引層に含まれる上記(i)の金属酸化物粒子及び帯電部材に含まれる上記(i)の金属酸化物粒子の双方が、100nm以下の体積平均粒径を有することが好ましい。
また、上記(i)の金属酸化物粒子は、各種表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、表面処理剤としてシリコン化合物、及び、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン原子などを含有する有機金属化合物を用いる方法が挙げられる。
シリコン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでも特に好ましく用いられるシリコン化合物は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
有機チタン化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
本発明においては、下引層に含まれる上記(i)の金属酸化物粒子が上述の表面処理剤により表面処理が施されている場合、帯電部材に含まれる上記(i)の金属酸化物粒子は必ずしも表面処理を施す必要はないが、同じ化合物による表面処理が施されていることが好ましい。
上記(ii)の金属酸化物粒子としては、例えば、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アンチモンとの固溶体、In2O3−SnO2などが挙げられる。
また、上記(ii)の金属酸化物粒子は、上述の表面処理が施されていてもよい。また、下引層に含まれる上記(ii)の金属酸化物粒子が上述の表面処理剤により表面処理が施されている場合、帯電部材に含まれる上記(ii)の金属酸化物粒子も同じ化合物による表面処理が施されていることが好ましい。
上記(iii)の金属酸化物粒子は、例えば、第1の金属酸化物としての、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化アルミニウム等の金属酸化物を主成分とする基材粒子の表面を各種の方法で処理することにより第2の金属酸化物を主成分とする層を形成し、得ることができる。
基材粒子としては、市販されている一般的な金属酸化物粒子を利用することができる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化アルミニウム等の金属酸化物を主成分とするものが好ましく、これらの1種の材料からなるものがより好ましい。これらの中でも、酸化チタンが電気特性の点から特に好ましい。酸化チタンには、結晶構造上、ルチル型及びアナタース型、並びに非晶質のものがあるが、何れのものでも好適に利用することができる。
基材粒子の平均粒径は、200nm以下であることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。平均粒径が、10nm以下であると複合金属酸化物粒子とした場合に、下引層中に分散させることが困難となり、電気特性等の改善が不十分となる傾向がある。他方、200nmを越えると、複合金属酸化物粒子とした場合に下引層中にそれがリークポイントとなりやすく、良好な画像を得ることが困難となる傾向がある。
基材粒子の表面を処理する方法としては、例えば、上記第1の金属酸化物を主成分とする粒子の表面を有機金属化合物を用いて又は硫酸塩を用いて処理する方法が挙げられる。なお、かかる表面処理に用いる有機金属化合物や硫酸塩の金属の種類は、複合金属酸化物粒子の電気特性をさらに向上させる観点から、基材粒子の金属と異なる種類のものが選択される。
有機金属化合物を用いた表面処理としては、有機金属化合物を含む溶液を基材粒子の表面に塗布し、その有機金属化合物に含まれる金属の酸化物(第2の金属酸化物)からなる皮膜を基材粒子上に形成する表面処理方法が挙げられる。より具体的には、先ず、有機金属化合物を溶媒に添加し、所定量の有機酸を添加して表面処理用溶液を調製する。次に、この表面処理用溶液を基材粒子表面に塗布して乾燥する。そして、その基材粒子を焼成することで、第2の金属酸化物を主成分とする層が基材粒子上に形成する(例えば、特開昭58−156533号公報参照)。
表面処理用溶液に添加する有機金属化合物としては、通常使用されるものが使用できる。有機金属化合物としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機錫化合物、有機鉄化合物、有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらの中でも、有機亜鉛化合物が好ましく、ジエトキシ亜鉛、ジブトキシ亜鉛等がより好ましい。
硫酸塩を用いた表面処理としては、先ず、基材粒子の溶液(例えば、基材粒子の懸濁液)に硫酸塩を添加して混合し、その溶液を中和する。得られた溶液をフィルタリングして基材粒子を分離し、その基材粒子を洗浄して加熱する。このようにして、第2の金属酸化物を主成分とする層が基材粒子上に形成する(例えば、資源・素材学会誌107(1991)No.12、P914参照)。硫酸塩としては、例えば、硫酸亜鉛、硫酸チタン、硫酸錫、硫酸鉄、硫酸アルミニウムが挙げられる。これらの中でも、硫酸亜鉛がより好ましい。
本発明においては、上記(i)〜(iii)の金属酸化物粒子が、104〜1010Ω・cmの体積抵抗率を有することが好ましい。
また、本発明においては、中間層が、上記(i)〜(iii)の金属酸化物粒子を中間層に含まれる金属酸化物の合計質量に対して好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上含み、帯電部材が、上記(i)〜(iii)の金属酸化物粒子を帯電部材に含まれる金属酸化物の合計質量に対して好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上含むことが好ましい。
さらに、本発明においては、中間層が、上記(i)〜(iii)の金属酸化物粒子を中間層に含まれる導電性材料(半導電性材料を含む)の合計質量に対して好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上含み、帯電部材が、上記(i)〜(iii)の金属酸化物粒子を帯電部材に含まれる導電性材料(半導電性材料を含む)の合計質量に対して好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上含むことが好ましい。
本実施形態の画像形成装置100において、ピンホールリーク防止性をより高水準で達成させる観点から、中間層53が実質的に導電性材料として酸化亜鉛粒子又はシランカップリング剤で処理された酸化亜鉛粒子のみを含み、帯電部材2aが金属酸化物粒子として実質的に酸化亜鉛粒子のみを含む態様が特に好ましい。
以下、本実施形態の画像形成装置100を構成する他の要素について説明する。
露光装置3としては、特に制限はなく、例えば、電子写真感光体1表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系機器などが用いられる。なお、上記像露光は、上記像露光装置を用いて好適に行うことができる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。これまで、半導体レーザの波長として780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流であるが、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400〜450nm近傍に発振波長を有するレーザも利用が可能である。またカラー画像形成のためにはマルチビーム出力が可能なタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像器41〜44は、現像により上記電子写真感光体1上に形成した静電潜像を現像してトナー像を形成する機能を有するものであればよい。現像工程は、上記電子写真感光体1上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する工程である。現像は、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤などを接触あるいは非接触させて現像する一般的な現像手段を用いて行うことができる。したがって、現像器41〜44としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ロール等を用いて電子写真感光体1に付着させる機能を有する公知の現像器などが挙げられる。
1次転写器10は、反転現像により電子写真感光体1上に形成したトナー像を中間転写体に転写する機能を有するものである。第1転写工程は、反転現像により電子写真感光体1上に形成したトナー像を中間転写体に転写する工程である。第1転写工程は、1次転写器10を用いて好適に行うことができる。なお、以下において、該トナー像の中間転写体への転写を「第1転写」と称することがある。この工程は必要に応じて行われ、場合によっては省略され、感光体から直接紙などの転写材に転写される場合もある。
1次転写器10としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器などのそれ自体公知の転写帯電器を用いることができる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点で接触型転写帯電器が好ましい。なお、本発明においては、転写帯電器のほかに、剥離帯電器等を併用することもできる。また、第1転写の際に、1次転写器10から電子写真感光体1に付与される転写電流には、通常直流電流が使用されるが、更に交流電流を重畳させて使用してもよい。1次転写器10における設定条件としては、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、1次転写電流としては+100〜+400μA、1次転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
中間転写体6の構造としては、単層構造のものと多層構造のものがある。多層構造の場合には、例えば導電性支持体上に、ゴム、エラストマー、樹脂等から形成される弾性層と、少なくとも1層の被覆層とを設けてなる構造などがある。中間転写体6の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することできるが、例えば、ローラ形状、ベルト形状などが好適に挙げられる。本発明においては、これらの中でも、画像の重ね合わせ時の色ズレ、繰り返しの使用による耐久性、他のサブシステムの配置の自由度の取り易さ等の点で、無端ベルト形状が特に好ましい。無端ベルト形状の中間転写体6は遠心成形、スプレー被覆法、浸漬成膜法などの方式をとることにより形成することができる。またシート形状の導電性フィルムをシーム形成してベルトを形成することもできる。
中間転写体6の材料としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂等に対して、導電性のカーボン粒子や金属粉等を分散混合させたものが挙げられる。これらの中でも、機械強度に優れる点で、ポリイミド系樹脂にカーボン粒子を分散させたものを用いるのが好ましい。
中間転写体6の表面体積抵抗値としては、例えば、108〜1016Ωcmが好ましい。表面体積抵抗値が、108Ωcm未満であると画像に滲みや太りが生じ、1016Ωcmを越えると画像の飛び散りの発生や、中間転写体シートの除電の必要性が発生し、いずれの場合も好ましくない。中間転写体の厚みは、一般には50〜250μmが好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
2次転写器12は、中間転写体6上のトナー像を一括して紙などの転写材に転写する機能を有する。第2転写工程は、2次転写器12を用いて好適に行うことができる。なお、以下において、かかるトナー像の転写材への転写を「第2転写」と称することがある。
2次転写器12としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、例えば、上記1次転写器10として例示した接触型転写帯電器、スコロトロン転写帯電器、コロトロン転写帯電器などが用いられる。これらの中でも、1次転写器10と同様に接触型転写帯電器が好ましい。また、第2転写の際に、2次転写器12から中間転写体6に付与される転写電流には、通常直流電流が使用されるが、本発明においては更に交流電流を重畳させて使用してもよい。
2次転写器12における設定条件としては、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、2次転写電流としては+100〜+400μA、1次転写電圧としては+2000〜+5000Vを設定値とすることができる。
クリーニング装置14及び中間転写体クリーナ15としては、特に制限はなく、それ自体公知のものを使用できる。
定着装置17としては、特に制限はなく、それ自体公知の定着器、例えば熱ロール定着器、オーブン定着器などが挙げられる。
また、画像形成装置100は、更に、電子写真感光体1に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
光除電装置としては、例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられ、光除電を行う際に用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光などが挙げられる。光除電を行う際における照射光強度としては、通常、電子写真感光体1の半減露光感度を示す光量の数倍から30倍程度になるように出力設定される。
本実施形態の画像形成装置100においては、帯電装置2により電子写真感光体1を帯電させる方法として、帯電部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vが好ましく、特に100〜1500Vが好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、さらに好ましくは1200〜1600Vが好ましい。交流電圧の周波数は50〜20,000Hz、好ましくは100〜5,000Hzである。
図8は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。画像形成装置110は、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置110では、中間転写体6上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用できる構成となっている。プロセスカートリッジ20は、電子写真感光体1と、電子写真感光体1を接触方式により帯電させる帯電装置2と、帯電装置2により帯電される電子写真感光体1を露光する露光装置3、露光装置3により露光された部分を現像する現像器(現像器41〜44のいずれか)と、現像器により電子写真感光体1に現像された像を転写する1次転写器10と、クリーニング装置14を備えている。このプロセスカートリッジ20は、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、電子写真装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
なお、画像形成装置110は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。すなわち、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像器41〜44、中間転写体6、1次転写器10、及び、クリーニング装置14は上述したものと同様である。
本発明によれば、タンデム方式の画像形成装置110であっても、ピンホールリーク防止性に優れ、長期に亘って良好な画像を形成することが可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<感光体の作製>
(感光体−1)
酸化亜鉛(ZnO)(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製、体積平均粒径(一次粒径):70nm、比表面値:15m2/g)100質量部と、テトラヒドロフラン500質量部とを攪拌混合し、シランカップリング剤(商品名「KBM603」、信越化学社製)を1.25質量部添加し、2時間攪拌した。その後テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行った。得られた表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度は亜鉛元素強度の2.0×10−4であった。
表面処理を施した酸化亜鉛を23質量部、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)を12質量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)を9質量部、シリコンボール(トスパール120、東芝シリコーン社製)を3質量部、レベリング剤としてシリコーンオイルSH29PA(東レダウコーニングシリコーン)を0.01質量部及びn−ブチルアルコールを80質量部混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にてアルミニウム基材(84mmφ×340mm、肉厚1mm)上に塗布し、150℃で30分の乾燥硬化を行い、膜厚20μmの下引層を得た。この下引層の硬度を、ビッカース硬度計ASAHI VL101を用い50gの荷重を加えて測定したところ、そのビッカース硬度は40であった。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン15質量部を、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部及びn−ブチルアルコール300質量部と混合し、これをサンドミルで4時間分散処理することにより電荷発生層用塗布液を調製した。得られた塗布液を上記下引層上に浸漬コートし、25℃で5分間加熱乾燥して膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4質量部、及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)6質量部をクロロベンゼン80質量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、130℃、40分の加熱を行い膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−1」とした。なお、電荷輸送層の硬度を、ビッカース硬度計ASAHI VL101を用い50gの荷重を加えて測定したところ、そのビッカース硬度は30であった。
(感光体−2)
感光体−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化亜鉛(ZnO)(商品名「Nano Fine−50」、堺化学社製、体積平均粒子径(一次粒径):20nm)を用いたこと以外は、感光体−1の作製と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−2」とした。
なお、この感光体−2の作製において、調製した表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度は亜鉛元素強度の1.5×10−4であった。また、各層の厚み、並びに、下引層及び電荷輸送層のビッカース硬度は、感光体−1と同じであった。
(感光体−3)
感光体−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化錫(SnO2)(商品名「S1」、三菱マテリアル社製、体積平均粒子径(一次粒径):20nm)を用いたこと以外は、感光体−1の作製と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−3」とした。
なお、この感光体−3の作製において、調製した表面処理酸化錫を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度は錫元素強度の1.5×10−4であった。また、各層の厚み、並びに、下引層及び電荷輸送層のビッカース硬度は、感光体−1と同じであった。
(感光体−4)
感光体−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化錫(SnO2)(商品名「Nano Tek TinOxide」、シーアイ化成社製、体積平均粒子径(一次粒径):20nm)を用いたこと以外は、感光体−1の作製と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−4」とした。
なお、この感光体−4の作製において、調製した表面処理酸化錫を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度は錫元素強度の1.7×10−4であった。また、各層の厚み、並びに、下引層及び電荷輸送層のビッカース硬度は、感光体−1と同じであった。
(感光体−5)
感光体−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化チタン(TiO2)(商品名「MT500BW」、テイカ社製、体積平均粒子径(一次粒径):35nm)を用いたこと以外は、感光体−1の作製と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−5」とした。
なお、この感光体−5の作製において、調製した表面処理酸化チタンを蛍光X線により分析した結果、Si元素強度はチタン元素強度の1.7×10−4であった。また、各層の厚み、並びに、下引層及び電荷輸送層のビッカース硬度は、感光体−1と同じであった。
(感光体−6)
感光体−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化チタン(TiO2)(商品名「TAF−1500J」、富士チタン社製、体積平均粒子径(一次粒径):30nm)を用いたこと以外は、感光体−1の作製と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−6」とした。
なお、この感光体−6の作製において、調製した表面処理酸化チタンを蛍光X線により分析した結果、Si元素強度はチタン元素強度の1.6×10−4であった。また、各層の厚み、並びに、下引層及び電荷輸送層のビッカース硬度は、感光体−1と同じであった。
(感光体−7)
感光体−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化チタン(TiO2)(商品名「STT−100H」、チタン工業社製、体積平均粒子径(一次粒径):40nm)を用いたこと以外は、感光体−1の作製と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−7」とした。
なお、この感光体−7の作製において、調製した表面処理酸化チタンを蛍光X線により分析した結果、Si元素強度はチタン元素強度の1.8×10−4であった。また、各層の厚み、並びに、下引層及び電荷輸送層のビッカース硬度は、感光体−1と同じであった。
(感光体−8)
酸化亜鉛(ZnO)(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製、体積平均粒径(一次粒径):70nm、比表面値:15m2/g)100質量部と、テトラヒドロフラン500質量部とを攪拌混合し、シランカップリング剤(商品名「KBM603」、信越化学社製)を1.25質量部添加し、2時間攪拌した。その後テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行った。得られた表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度は亜鉛元素強度の2.0×10−4であった。
表面処理を施した酸化亜鉛を60質量部、アリザリンを0.3質量部、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)を13.5質量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)を10質量部、メチルエチルケトンを72質量部、及びn−ヘキサン18を質量部混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液57質量部に触媒としてジオクチルスズジラウレートを0.005質量部、及びシリコーン樹脂微粒子トスパール145(GE東芝シリコン社製)を4質量部添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にてアルミニウム基材(84mmφ×340mm、肉厚1mm)上に塗布し、170℃で40分の乾燥硬化を行い、膜厚25μmの下引層を得た。この下引層の硬度を、ビッカース硬度計ASAHI VL101を用い50gの荷重を加えて測定したところ、そのビッカース硬度は40であった。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部を、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部及びn−酢酸ブチル200質量部と混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に、n−酢酸ブチル175質量部およびメチルエチルケトン180質量部を添加し、これを撹拌することにより電荷発生層用塗布液を調製した。得られた塗布液を下引層が形成された導電性支持体上に浸漬塗布し、常温で5分乾燥して膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、4フッ化エチレン樹脂粒子1質量部、フッ素系グラフトポリマー0.02質量部、テトロヒドロフラン5質量部及びトルエン2質量部を十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。続いて、電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4質量部と、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)60質量部とを、テトロヒドロフラン23質量部及びトルエン10質量部に十分に溶解混合した。この溶液に、上記の4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した後、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名「LA−33S」)を用いて、400kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰返し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを混合することで、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。得られた塗布液を上記電荷発生層の上に塗布し、115℃で40分間加熱乾燥することにより、膜厚32μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−8」とした。なお、電荷輸送層の硬度を、ビッカース硬度計ASAHI VL101を用い50gの荷重を加えて測定したところ、そのビッカース硬度は40であった。
上記で作製した感光体−1〜8について、下引層の体積抵抗率ρを下記の方法により求めた。得られた値を表1に示す。
下引層表面に、直径0.7mmの電極を接触させ、106V/mの電場を印加したときに、基体に流れる電流量(I)を測定し、以下に示す式(eq−1)により求めた。
ρ(Ω・cm)=(10/I(A))×(0.35)2×π(cm2)/D(cm)
…(eq−1)
なお、式(eq−1)中、Dは下引層の厚さを表し、かかる厚さDは、導電性基体上に下引層を形成した後、渦電流方式(Fischerscope MMS、プローブETA3.3)により測定した。
<帯電ロールの作製>
(帯電ロール−1)
先ず、ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、攪拌機を用いて十分泡立て、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させることで3次元網目構造からなるウレタン材料を作製した。また、ステンレス製の金属シャフトを用意し、作製したウレタン材料に、用意した金属シャフトの径に応じた大きさの貫通孔を設けた。そして、その金属シャフトを、ウレタン材料に設けた貫通孔に挿し込み、両者を一体化させた。その後、一体化させたシャフトを高速で回転させ外周側のウレタン材料を研磨して、外径9mmの、3次元網目構造のウレタン材料からなる弾性層を備えたロールを作製した。
さらに、このロールをポリエステル系導電性接着剤に浸漬し、弾性層の導電化処理を施して、導電性ロールにした。
一方、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブッロクコポリマー(商品名「SEBC:DYNARON 4600P」、日本合成ゴム社製)50質量部と、水素添加スチレン・ブチレン共重合体(商品名「HSBR:DYNARON 2324P」、日本合成ゴム社製)50質量部と、導電性カーボンブラック(商品名「ケッチェンブラックEC」、ケッチェンブラックInc社製)10質量部と、酸化亜鉛(ZnO)(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製、体積平均粒径(一次粒径):70nm、比表面値:15m2/g)15質量部と、イオン導電剤「PEL−100」(日本カーリット社製、商品名)3質量部と、充填剤としての炭酸カルシウム2質量部と、分散助剤としてのステアリン酸亜鉛1質量部と、をドライブレンドした後、加圧ニーダーを用いて200℃で10分間、十分に混練した。続いて、加圧ニーダーより取り出した混練物を粉砕したのち、2軸押し出し機を用いてペレット化した。得られたペレットから、クロスヘッドを備えた単軸押し出し機を用い、外径10mmφ、肉厚1500μm、長さ320mmのスチレンエラストマー製シームレスチューブを作製した。
上記で得られたスチレンエラストマー製シームレスチューブを、先に作製した導電性ロールの外周に、外挿し、帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−1」とした。
(帯電ロール−2)
帯電ロール−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化亜鉛(ZnO)(商品名「Nano Fine−50」、堺化学社製、体積平均粒子径(一次粒径):20nm)を用いたこと以外は、帯電ロール−1の作製と同様にして帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−2」とした。
(帯電ロール−3)
帯電ロール−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化錫(SnO2)(商品名「S1」、三菱マテリアル社製、体積平均粒子径(一次粒径):20nm)を用いたこと以外は、帯電ロール−1の作製と同様にして帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−3」とした。
(帯電ロール−4)
帯電ロール−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化錫(SnO2)(商品名「Nano Tek TinOxide」、シーアイ化成社製、体積平均粒子径(一次粒径):20nm)を用いたこと以外は、帯電ロール−1の作製と同様にして帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−4」とした。
(帯電ロール−5)
帯電ロール−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化チタン(TiO2)(商品名「MT500BW」、テイカ社製、体積平均粒子径(一次粒径):35nm)を用いたこと以外は、帯電ロール−1の作製と同様にして帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−5」とした。
(帯電ロール−6)
帯電ロール−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化チタン(TiO2)(商品名「TAF−1500J」、富士チタン社製、体積平均粒子径(一次粒径):30nm)を用いたこと以外は、帯電ロール−1の作製と同様にして帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−6」とした。
(帯電ロール−7)
帯電ロール−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化チタン(TiO2)(商品名「STT−100H」、チタン工業社製、体積平均粒子径(一次粒径):40nm)を用いたこと以外は、帯電ロール−1の作製と同様にして帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−7」とした。
(帯電ロール−8)
帯電ロール−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化錫系半導体ATO(SnO2−Sb)で被覆された酸化チタン(商品名「ECT−62」、チタン工業社製、体積平均粒子径(一次粒径):170nm)を用いたこと以外は、帯電ロール−1の作製と同様にして帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−8」とした。
(帯電ロール−9)
帯電ロール−1の作製において、酸化亜鉛(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製)の代わりに酸化アンチモンドープ・酸化チタン・酸化スズ(商品名「W−1」、三菱マテリアル社製、体積平均粒子径(一次粒径):200nm)を用いたこと以外は、帯電ロール−1の作製と同様にして帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−9」とした。
(帯電ロール−10)
先ず、下記に示す材料を混合し、得られた混合物を加熱することで導電性ベース層形成材料を作製した。
スチレン−ブタジエンゴム(「Nipo19550」、日本ゼオン社製)…100質量部
カーボンブラック(「Conductex975」、コロンビアカーボン社製)…20質量部
酸化亜鉛(ZnO)(商品名「SMZ−017N」、テイカ社製、体積平均粒径(一次粒径):70nm、比表面値:15m2/g)…10質量部
ステアリン酸…1質量部
プロセスオイル(「ダフニーオイル」、出光興産社製)…130質量部
硫黄…0.3質量部
ジベンゾチアゾールジスルフィド(加硫促進剤)…1.5質量部
テトラメチルチウラムモノサルファイド(加硫促進剤)…0.6質量部
ステンレス製の金属シャフトを用意し、上記で作製した導電性ベース層形成材料に、用意した金属シャフトの径に応じた大きさの貫通孔を設けた。そして、その金属シャフトを、導電性ベース層形成材料に設けた貫通孔に挿し込み、両者を一体化させた。その後、一体化させたシャフトを高速で回転させ外周側の導電性ベース層形成材料を研磨して、外径9mmの導電性ベース層を備えたロールを作製した。
次に、下記に示す材料をドライブレンドした後、加圧ニーダーを用いて200℃で10分間、十分に混練した。続いて、加圧ニーダーより取り出した混練物を粉砕したのち、2軸押し出し機を用いてペレット化した。得られたペレットから、クロスヘッドを備えた単軸押し出し機を用い、外径10mmφ、肉厚1500μm、長さ320mmのシームレスチューブを作製した。
上記で得られたシームレスチューブを、先に作製した導電性ベース層を備えたロールの外周に、外挿し、帯電ロールを得た。この帯電ロールを「帯電ロール−10」とした。
上記で作製した帯電ロール−1〜10について、帯電ロールの体積抵抗率を下記の方法により測定した。得られた値を表2に示す。
帯電ロールの体積抵抗率は、温度22℃、湿度55%RHの条件下で帯電ロールを金属製の平板上に載置し、金属シャフトと平板との間に100Vの直流電圧を印加したときに流れる電流として直流電圧を印加から10秒後の電流値を測定し、この電流値を基に体積抵抗値を求め、この値から計算して得た。
( 実施例1〜17、参考例18、比較例1〜47)
実施例1〜17、参考例18及び比較例1〜47では、電子写真感光体及び接触帯電装置の帯電ロールとして表3及び4に示す組み合わせのものを用いて、図1に示した構成を有する4サイクル方式のカラー画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docu Print C620改造機)を作製し、下記の画質評価試験を行った。
[画質評価試験]
画像形成装置の長期使用に伴って、劣化した現像器や中間転写体から導電性材料の放出が発生し、それが感光体上に突き刺さる場合を想定して、意図的に長さ120μm、直径7μmの導電性カーボンフィラー5mmgを画像形成装置の現像器中に添加した。この現像器を用いて、高温高湿(28℃、85%RH)の環境下で1万枚の画像形成を行った。ここでは、現像器から出た導電性カーボンフィラーが感光体上に無数に突き刺さり、リークが発生し易い条件となっている。
上記の画像形成試験の初期および1万枚の画像形成後の、形成された画像(A3サイズ)に発生した4色連点欠陥の個数をカウントすることにより、画質評価を行った。得られた結果を表3及び4に示す。
表3及び4に示されるように、感光体の下引層及び帯電ロールに同種の金属酸化物微粒子を含む実施例1〜17の画像形成装置は、ピンホールリークが発生し易い条件とした場合であっても、異種の金属酸化物微粒子を用いた比較例1〜47の画像形成装置と比較して画質欠陥が十分に低減されていることが確認された。したがって、本発明によれば、接触帯電装置を用いる場合であっても、ピンホールリークの発生を十分抑制でき長期に亘って良好な画像を形成できる画像形成装置の実現が可能であることが分かった。
1…電子写真感光体、2…帯電装置、2a…帯電部材(帯電ロール)、3…露光装置、4…現像装置、6…中間転写体、10…1次転写器、12…2次転写器、14…クリーニング装置、20…プロセスカートリッジ、21…芯材、22…弾性層、23…抵抗層、41,42,43,44…現像器、52…導電性支持体(導電性基体)、53…下引層(中間層)、54…電荷発生層、55…電荷輸送層、56…感光層、100,110…画像形成装置。